JP3834104B2 - シート両面パターン成形装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光透過形プラスチック両面シートの表裏の両面にエンボスパターンをそれぞれ賦形させるシート両面パターン成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、例えばプラスチックシートの表裏の両面にエンボスパターンをそれぞれ賦形させるシート両面パターンの成形方法として、例えば特開昭59−96920号公報に示されたロール円周上にパターンを設けた技術が知られている。ここでは、押出機から押出される合成樹脂材料製のシートが導かれる一対の成形ロールの一方に第1のパターン成形用の第1型付ロール、他方に第2のパターン成形用の第2型付ロールがそれぞれ配置されている。
【0003】
そして、押出機から押出される合成樹脂材料製のシートが第1型付ロールと第2型付ロールとの間に供給され、第1型付ロールと第2型付ロールとの間で圧延される際に同時にその圧延シートの両面にそれぞれエンボスパターンを賦形させるようになっている。この場合、例えば合成樹脂材料製のシートの表面側には第1型付ロールによる第1のエンボスパターンが形成され、そのシートの裏面側には第2型付ロールによる第2のエンボスパターンが形成されている。
【0004】
なお、圧延シートの両面にそれぞれ賦形される各エンボスパターンは、成形ロールの表面に円周方向に沿って加工された規定形状の溝が、ロールの軸方向上に設けられたものである。
【0005】
また、ロール軸方向にパターンを設けた場合は、圧延シートの両面にそれぞれ賦形される各エンボスパターンは、成形ロールの表面に軸方向に沿って加工された規定形状の溝が、ロールの円周方向上に設けられている。そして、機械加工精度と次に述べるシートの両面のパターン間の位相の微調整精度から、後者の軸方向にパターンを設けた成形方法が優れている。
【0006】
また、合成樹脂材料製のシート両面にエンボスパターンを形成する場合にはシート両面パターンの成形時にシートの両面のパターン間の位相を微調整する作業が必要になる。そして、従来機においては、前者のロール円周上にパターンを設けた場合では一方の成形ロールの回転方向位相を調整し、後者のロール軸方向に設けたものはシートの両面のパターン間の調整機構としては例えば実開昭59−179039号公報に示されているような印刷機の版胴の位相調整(見当合せ)機構を基にした歯車機構が採用されている。これは、ロールの片側の軸端近くに歯車機構によるロールの軸方向の位置合せ機構を設け、対向するロール表面のエンボスパターンの軸方向の位相を調整することにより、シート両面の溝の位相を微調整する構造になっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の後者のシート両面パターン成形装置ではシートの両面のパターン間の位相調整機構は負荷の軽い印刷機に使用されている機構を基本として構成されているための次のような問題がある。
【0008】
1)シートの両面のパターン間の位相調整機構で対象となる負荷が、高速軽負荷常温の版胴ではなく、低速・重負荷・高温の溶融樹脂である。そのため、合成樹脂材料製のシートを対象とするシート両面パターンの成形装置のロールの軸方向の位置合せ機構として実開昭59−179039号公報の印刷機の版胴の位相調整機構を基にした歯車機構を採用した場合には負荷の特性(溶融〜半溶融過程の合成樹脂材料の成形応力(粘度・硬度に比例した抵抗力))と、装置の剛性不足の関係からロールの軸方向の位置合せ作業に多大の作業時間を要する問題がある。例えば、ロールの軸方向の位置合せ作業時に調整目標値に到達するまでに2時間〜4時間程度の作業時間が必要となる。
【0009】
2)負荷変動に対しての耐力が弱いので、ロールの軸方向の位置合せ作業時に目標値に到達しても、シート両面パターンの成形作業時の安定性と再現性が悪い問題がある。
【0010】
3)本装置を必要とするような成形シートはロットが小さく、品種替が激しいのが通例である。そのため、ロールの軸方向の位置合せ作業時に目標到達までの時間が多大で、かつ安定性が悪い従来装置では、生産性が極めて悪い問題がある。
【0011】
4)シートの両面のパターン間の位相調整機構の各構成部品がロール軸上に組み込まれた状態で配置されているので、シート両面パターン成形装置から型付ロールを交換する際にはロール軸上に組み込まれた位相調整機構の各構成部品をロール軸上から取外す作業が必要になる。そのため、シート両面パターン成形装置から型付ロールを交換する際の作業性が悪い問題がある。
【0012】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、シート両面パターンの成形時にシート両面のパターン間の位相を微調整する作業の調整精度(目標値に対して調整後到達できる精度)と維持精度(調整完了後の負荷変動に対する精度)の向上を図ることができるとともに、ロール交換の作業性の向上を図ることができるシート両面パターン成形装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、フラットダイから押出されるシート状の溶融樹脂が一対の成形ロール間に導かれ、前記成形ロール間で圧延される圧延シートの圧延時に同時に前記圧延シートの両面にそれぞれ所定のパターンが成形されるシート両面パターン成形装置において、前記一対の成形ロールのうちの一方の第1の成形ロールの軸受部をその軸方向に固定する軸受固定部と、他方の第2の成形ロールの軸受部をその軸方向へ移動可能な状態で支持する軸受可動支持部と、前記圧延シートの両面間の位相差に応じて前記第2の成形ロールの軸方向への移動位置を調整するシャトル機構によって構成される成形ロール位置調整手段とを具備し、前記シャトル機構は、前記第2の成形ロールの軸方向と直交する方向に向けて延設された第1のガイド溝を有する成形ロール位置調整装置固定部と、前記第1のガイド溝に沿って摺動し、且つ前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に対して傾斜させた第2のガイド溝をもつガイドブロックと、前記第2のガイド溝に沿って摺動するテーパブロックと、前記ガイドブロックを摺動駆動するガイドブロック駆動機構とを有し、前記ガイドブロック駆動機構によって前記ガイドブロックを前記第1のガイド溝に沿って摺動させ、前記ガイドブロックの摺動動作にともない前記テーパブロックを前記第2のガイド溝の傾斜面に沿って摺動させる際に、前記ガイドブロックの摺動量に対応して前記テーパブロックが前記第2のガイド溝の傾斜分、前記第2の成形ロールの軸方向に移動することにより、前記第2の成形ロールを軸方向に移動させて前記第2の成形ロールの移動位置を調整することを特徴とするシート両面パターン成形装置である。
そして、本請求項1の発明では一対の成形ロールのうちの一方の第1の成形ロールの軸受部を軸受固定部によって第1の成形ロールの軸方向に固定し、他方の第2の成形ロールの軸受部を軸受可動支持部によって第2の成形ロールの軸方向へ移動可能な状態で支持するとともに、圧延シートの両面間の位相差に応じて成形ロール位置調整手段のシャトル機構を動かす。このとき、シャトル機構は、ガイドブロック駆動機構によって前記ガイドブロックを前記第1のガイド溝に沿って摺動させ、ガイドブロックの摺動動作にともないテーパブロックを第2のガイド溝の傾斜面に沿って摺動させる際に、ガイドブロックの摺動量に対応してテーパブロックが第2のガイド溝の傾斜分、第2の成形ロールの軸方向に移動することにより、第2の成形ロールを軸方向に移動させて第2の成形ロールの移動位置を調整することにより、シート両面パターンの成形時にシート両面のパターン間の位相を微調整する作業の調整精度と維持精度の向上を図るようにしたものである。
【0014】
請求項2の発明は請求項1に記載のシート両面パターン成形装置の前記成形ロール位置調整手段はシート両面パターン成形装置本体の固定部側に前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に向けて延設された第1のガイド溝と、この第1のガイド溝に沿って前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に摺動可能に装着され、かつ前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に対して傾斜させた第2のガイド溝が形成されたガイドブロックと、前記第2の成形ロールの回転軸側を係脱可能に係止する係止手段を備え、前記第2の成形ロールの回転軸側と一緒に移動可能に支持された被動部側に固定され、前記ガイドブロックの第2のガイド溝のテーパ面に沿って摺動可能に支持されたテーパブロックと、前記ガイドブロックを前記固定部側の第1のガイド溝に沿って前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に摺動させ、前記ガイドブロックの摺動動作にともない前記テーパブロックおよび前記被動部を介して前記第2の成形ロールをその軸方向へ移動させるガイドブロック駆動機構とを具備したことを特徴とするものである。
そして、本請求項2の発明では成形ロール位置調整手段のシャトル機構の動作時にはガイドブロック駆動機構によってガイドブロックを固定部側の第1のガイド溝に沿って第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に摺動させ、このガイドブロックの摺動動作にともない被動部側のテーパブロックをガイドブロックの第2のガイド溝のテーパ面に沿って摺動させてテーパブロックおよび被動部を介して第2の成形ロールをその軸方向へ移動させるとともに、被動部の係止手段によって第2の成形ロールの回転軸側を係脱可能に係止することにより、ロール交換の作業性の向上を図るようにしたものである。
【0015】
請求項3の発明は請求項2に記載のシート両面パターン成形装置の前記ガイドブロック駆動機構は前記ガイドブロックを前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に移動させる送りねじ機構と、この送りねじ機構の送りねじを回転駆動する回転駆動手段と、前記送りねじの回転角度を検出する回転角検出器とを具備したことを特徴とするものである。
そして、本請求項3の発明ではガイドブロック駆動機構の動作時には回転駆動手段によって送りねじ機構の送りねじを回転駆動してガイドブロックを第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に移動させるとともに、回転角検出器によって送りねじの回転角度を検出することにより、第2の成形ロールの軸方向への移動位置を適正に調整するようにしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1(A)は、例えば光透過形プラスチック両面シートの表裏の両面にエンボスパターンをそれぞれ賦形させる本実施の形態の精密エンボスシート成形機(シート両面パターン成形装置)の要部の概略構成を示すものである。
【0017】
図1(A)中で、1は図示しない押出機から光透過形プラスチック両面シートSの成形素材である溶融樹脂材料が送られるTダイ(フラットダイ)である。このTダイ1の下方には一対の成形ロール2,3が配設されている。ここで、Tダイ1には、図示しないヒータが取付けられている。そして、押出機から送出されてくる溶融プラスチック等の可塑性材料をTダイ1で所望の温度に制御して、成形ロール2,3の間隙の上流側へ供給するようになっている。
【0018】
また、一対の成形ロール2,3のうちの一方の第1の成形ロール2の外周面には光透過形プラスチック両面シートSの一面側(例えば表面側)のエンボスパターンを成形する図1(B)に示す第1の型付けパターン2aが成形されている。さらに、他方の第2の成形ロール3の外周面には光透過形プラスチック両面シートSの他面側(例えば裏面側)のエンボスパターンを成形する例えば図1(C)に示す第2の型付けパターン3aが成形されている。そして、Tダイ1から押出されるシート状の溶融樹脂が一対の成形ロール2,3間に導かれ、成形ロール2,3間で圧延される圧延シート(光透過形プラスチック両面シートS)の圧延時にその圧延シートの両面にエンボスパターンが同時賦形されるようになっている。このとき、圧延シートの一面側には第1の成形ロール2の第1の型付けパターン2aによるエンボスパターンが成形され、他面側には第2の成形ロール3の第2の型付けパターン3aによるエンボスパターンが成形されるようになっている。
【0019】
また、図1(B)は一対の成形ロール2,3のうちの一方の第1の成形ロール2の支持構造を示すものである。ここで、第1の成形ロール2の両端部には固定式軸受部4がそれぞれ配設されている。各固定式軸受部4には第1の成形ロール2の回転軸5の軸端部を回転自在に軸支する軸受ユニット6が設けられている。この軸受ユニット6の下端部にはシート両面パターン成形装置の固定台7に固定する軸受固定部4aが設けられている。そして、第1の成形ロール2は固定式軸受部4によって回転軸5の軸方向に移動不能な状態で、回転自在にそれぞれ軸支されている。
【0020】
また、図1(C)は他方の第2の成形ロール3の支持構造を示すものである。ここで、第2の成形ロール3の両端部には軸受可動支持部8がそれぞれ配設されている。さらに、第2の成形ロール3の一端部側(図1(C)中で左端部側)には光透過形プラスチック両面シートSの両面のエンボスパターン間の位相差に応じて第2の成形ロール3の軸方向への移動位置を調整する後述する精密シャトル機構によって構成される成形ロール位置調整装置(成形ロール位置調整手段)9が軸受可動支持部8に隣接された状態で配設されている。
【0021】
さらに、図2は第2の成形ロール3の図1(C)中で右端部側の軸端部の支持構造を示すものである。この第2の成形ロール3の右端部側の軸受可動支持部8にはシート両面パターン成形装置の固定台7に固定される台座部10と、この台座部10の上に載置され、第2の成形ロール3の回転軸11の右端部側の軸端部を回転自在に軸支する可動軸受ユニット12とが設けられている。ここで、台座部10の上面にはガイド溝13が第2の成形ロール3の回転軸11の軸方向に沿って延設されている。
【0022】
また、可動軸受ユニット12にはユニット本体14の下面にスライド部材15が突設されている。このスライド部材15は台座部10のガイド溝13内にスライド自在に挿入されている。これにより、スライド部材15と台座部10のガイド溝13との係合部によって可動軸受ユニット12のスライド方向が規制されている。そして、可動軸受ユニット12は第2の成形ロール3の回転軸11の軸方向に沿ってスライド自在に支持されている。なお、可動軸受ユニット12はラジアルベアリングによって形成されている。
【0023】
また、図3は第2の成形ロール3の図1(C)中で左端部側の軸端部の支持構造を示すものである。この第2の成形ロール3の左端部側の軸受可動支持部8は図2の右端部側の軸受可動支持部8と略同様な構成になっており、ここでは図2の軸受可動支持部8と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。そして、第2の成形ロール3は図1(C)に示すようにその回転軸11の両端部が左右の軸受可動支持部8によってその回転軸11の軸方向へ移動可能な状態で、それぞれ回転自在に軸支されている。
【0024】
また、第2の成形ロール3における成形ロール位置調整装置9側の回転軸11の軸端部には図3に示すように軸受可動支持部8による軸支部11aの外側に軸延長部11bが延設されている。そして、この回転軸11の軸延長部11bの部分に成形ロール位置調整装置9が配設されている。
【0025】
この成形ロール位置調整装置9には部品マウント用のベースである成形ロール位置調整装置固定部16が設けられている。この成形ロール位置調整装置固定部16は軸受可動支持部8の台座部10と一体的に成形されている。
【0026】
さらに、この成形ロール位置調整装置固定部16には図3および図7に示すように第2の成形ロール3の軸方向と直交する方向に向けて延設された第1のガイド溝17が形成されている。
【0027】
また、成形ロール位置調整装置固定部16の第1のガイド溝17内にはこの第1のガイド溝17に沿って第2の成形ロール3の軸方向と直交する方向に摺動可能なガイドブロック18が装着されている。このガイドブロック18の上面には図7に示すように第2の成形ロール3の軸方向と直交する方向に対して若干傾斜させた第2のガイド溝19が形成されている。そして、この第2のガイド溝19の両側面には第2の成形ロール3の軸方向と直交する方向に対してわずかな傾きを持った2つの平行な傾斜面状のガイド面20が形成されている。
【0028】
また、成形ロール位置調整装置固定部16の上には第2の成形ロール3の回転軸11側に係脱可能に連結される連結プレート(被動部)21が配設されている。この連結プレート21の左右の両側部には図4に示すように側板22がそれぞれ固定されている。さらに、左右の各側板22の下端部には図5および図8に示すように内側に向けて略L字状に屈曲された脚部23が形成されている。この場合、連結プレート21の両側板22の脚部23間には成形ロール位置調整装置固定部16が挟まれた状態で係合されている。そして、この連結プレート21は両側の脚部23を介して成形ロール位置調整装置固定部16に沿って第2の成形ロール3の軸方向にスライド可能に支持されている。
【0029】
さらに、連結プレート21の上面には図4および図5に示すように第2の成形ロール3の回転軸11を係脱可能に係止する係止機構24が設けられている。この係止機構24には左右一対の係止ユニット25が設けられている。
【0030】
ここで、連結プレート21の左右の各側板22の上部には図5に示すように係止ユニット25を保持するユニット保持部26が設けられている。また、係止ユニット25には回転軸固定用のテーパブロック27が設けられている。
【0031】
このテーパブロック27のブロック本体28の先端面には図5および図8に示すように上側に向かうにしたがって左右の係止ユニット25の各テーパブロック27間の間隔が大きくなる上広がり状のテーパ面29が形成されている。さらに、このテーパブロック27のブロック本体28の先端部両側面には図9に示すように先端側に向かうにしたがって幅寸法が小さくなる先細状のテーパ面30がそれぞれ形成されている。
【0032】
また、第2の成形ロール3の回転軸11には図6に示すように軸延長部11bの部分にスラストベアリングによって形成される軸受ユニット31が装着されている。この軸受ユニット31のスラストベアリングケース32の両側面の下部には図8および図9に示すように連結プレート21の左右のテーパブロック27と対応する形状の係合凹部33が形成されている。そして、連結プレート21の上に第2の成形ロール3の回転軸11を装着する場合にはスラストベアリングケース32の係合凹部33内に連結プレート21の左右のテーパブロック27を挿入することにより、連結プレート21の左右のテーパブロック27によってスラストベアリングケース32が第2の成形ロール3の回転軸11の軸方向および回転方向の動きがそれぞれ規制され、結果として第2の成形ロール3の回転軸11のスラストベアリングケース32が連結プレート21の上面に係脱可能に係止されるようになっている。更には第2の成形ロール3の回転軸11の取外し時におけるブロック本体28の抜け止めとしてストッパ26bを設けている。
【0033】
なお、スラストベアリングケース32の変位は軸受ユニット31のスラストベアリングを介して第2の成形ロール3の回転軸11の軸方向の変位になる。これにより、連結プレート21は第2の成形ロール3の回転軸11と一体的にその回転軸11の軸方向にスライド移動できるようになっている。
【0034】
また、連結プレート21の下面には図3および図7に示すようにガイドブロック18の第2のガイド溝19内に挿入されるテーパブロック34が固定されている。このテーパブロック34には図7に示すようにガイドブロック18における第2のガイド溝19の2つの平行なガイド面20にそれぞれ接合されるR・L双方向の作用面34a,34bを持つブロックである。そして、このテーパブロック34はガイドブロック18の第2のガイド溝19の2つのガイド面20に沿って摺動可能に支持されている。
【0035】
また、成形ロール位置調整装置固定部16の一側面には図5および図7に示すようにガイドブロック駆動機構35が取付けられている。このガイドブロック駆動機構35には駆動モータ(回転駆動手段)36が設けられている。この駆動モータ36の回転軸37の一端部にはボールねじ(送りねじ)38が固定されている。
【0036】
さらに、図7に示すようにガイドブロック18の一端部にはボールねじ38による送りねじ機構を構成する駆動力伝達部材39が設けられている。この駆動力伝達部材39にはガイドブロック駆動機構35のボールねじ38に螺合するねじ穴40が形成されている。
【0037】
そして、駆動モータ36によるボールねじ38の回転時にはこのねじ38と駆動力伝達部材39のねじ穴40との螺合部を介してボールねじ38の回転動作がガイドブロック18の進退動作(シャトル動作)に変換され、ガイドブロック18が成形ロール位置調整装置固定部16の第1のガイド溝17に沿って第2の成形ロール3の軸方向と直交する方向に摺動されるようになっている。さらに、このガイドブロック18のシャトル動作に連動して、このときのガイドブロック18の第2のガイド溝19内のテーパブロック34とガイドブロック18との間の相対的な移動動作にともなうガイドブロック18の摺動量に対応したテーパブロック34のテーパ量が、第2の成形ロール3の軸方向の変位量として出力されるようになっている。
【0038】
また、駆動モータ36の回転軸37の他端部には図5に示す回転角検出器41が連結されている。そして、ボールねじ38の回転角がこの回転角検出器41によって検出されるようになっている。
【0039】
また、第2の成形ロール3の回転軸11における軸延長部11bの外側には図6に示すように位置測定用リング42がマウント固定されている。そして、この位置測定用リング42の軸方向変位量を例えばレーザ変位計で計測することにより、成形ロール位置調整装置固定部16に対する第2の成形ロール3の実際の変位を実測することができるようになっている。
【0040】
次に、上記構成の本実施の形態のシート両面パターン成形装置の作用について説明する。ここでは、一対の成形ロール2,3によって圧延される光透過形プラスチック両面シートSの両面にエンボスパターンを同時賦形する際に、光透過形プラスチック両面シートSの両面のエンボスパターン間の位相差に応じて成形ロール位置調整装置9によって第2の成形ロール3の軸方向への移動位置を調整する調整作業について説明する。
【0041】
この第2の成形ロール3の位置調整作業時には、ガイドブロック駆動機構35の駆動モータ36が駆動される。そして、この駆動モータ36によってボールねじ38が回転駆動された場合にはこのねじ38と駆動力伝達部材39のねじ穴40との螺合部を介してボールねじ38の回転動作がガイドブロック18の進退動作(シャトル動作)に変換される。このとき、ガイドブロック18は成形ロール位置調整装置固定部16の第1のガイド溝17に沿って第2の成形ロール3の軸方向と直交する方向に摺動される。
【0042】
さらに、このガイドブロック18のシャトル動作に連動して、このときのガイドブロック18の第2のガイド溝19内のテーパブロック34とガイドブロック18との間の相対的な移動動作にともないテーパブロック34が第2の成形ロール3の軸方向に移動される。そして、このテーパブロック34と一緒に連結プレート21および係止機構24とスラストベアリングケース32との係止部を介して第2の成形ロール3の回転軸11が移動するので、ガイドブロック18の摺動量に対応したテーパブロック34のテーパ量が第2の成形ロール3の軸方向の変位量として出力される。
【0043】
例えば、ガイドブロック18が図7中で、矢印Lで示すように上方向に摺動した場合にはテーパブロック34がガイドブロック18の第2のガイド溝19のガイド面20に沿って摺動する際に、図7中で、第2のガイド溝19の左側のガイド面20からの押圧力がテーパブロック34の左側の作用面34bに作用し、テーパブロック34が図7中で、右側に移動される。このとき、テーパブロック34と一緒に連結プレート21および係止機構24とスラストベアリングケース32との係止部を介して第2の成形ロール3の回転軸11が同方向に移動される。
【0044】
また、ガイドブロック18が図7中で、矢印Rで示すように下方向に摺動した場合には図7中で、第2のガイド溝19の右側のガイド面20からの押圧力がテーパブロック34の右側の作用面34aに作用し、テーパブロック34が図7中で、左側に移動される。このとき、テーパブロック34と一緒に連結プレート21および係止機構24とスラストベアリングケース32との係止部を介して第2の成形ロール3の回転軸11が同方向に移動される。
【0045】
また、成形ロール位置調整装置9による第2の成形ロール3の軸方向への移動位置の調整作業中は例えばレーザ変位計で位置測定用リング42の軸方向変位量を計測することにより、成形ロール位置調整装置固定部16に対する第2の成形ロール3の実際の変位が実測され、第2の成形ロール3の軸方向への移動位置が適正に調整される。
【0046】
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態では成形ロール位置調整装置固定部16、ガイドブロック18、テーパブロック34、連結プレート21及びガイドブロック駆動機構35からなる精密シャトル機構によって構成される成形ロール位置調整装置9を設けたので、成形ロール位置調整装置固定部16の第1のガイド溝17とガイドブロック18との間の摺動面(ガイド面)、およびガイドブロック18の第2のガイド溝19とテーパブロック34の各作用面34a,34bとの間の摺動面(ガイド面)を平面で形成することができる。そのため、成形ロール位置調整装置9の各構成部品の加工精度が得易いうえ、上記各摺動面間の作用面積が比較的大きいので、単位面積当りの作用力が小さくなる。その結果、従来のように歯車機構を採用した構造の成形ロール位置調整装置に比べて負荷耐力の増大を図ることができ、成形ロール位置調整装置9内の作用部・被作用部ともに剛性・精度の向上を図ることができるので、光透過形プラスチック両面シートSの両面パターンの成形時にシートSの両面のエンボスパターン間の位相を微調整する作業の調整精度と維持精度の向上を図ることができる。
【0047】
例えば、従来の歯車機構を採用した構造では第2の成形ロール3の軸方向への移動位置の位置決め精度が±30μm程度以上しか得られなかったものが、本実施の形態では±5μm程度の高精度の位置決め精度が得られる。
【0048】
また、テーパブロック34の作用面34a,34bは互いに平面であるため、加工精度が容易に得られ、かつ歯車機構に比較して作用面積を数10倍程度に大幅に大きくすることができる。このため、光透過形プラスチック両面シートSの両面パターンの成形時にシートSの両面のエンボスパターン間の位相を微調整する作業の微調整にも耐え、維持精度も向上する。
【0049】
さらに、本実施の形態ではガイドブロック18の上面に第2の成形ロール3の軸方向と直交する方向に対して若干傾斜させた第2のガイド溝19を形成し、テーパブロック34の2つの平行な作用面34a,34bをこの第2のガイド溝19のガイド面20に沿って摺動させるようにしたので、成形ロール位置調整装置9内の各作用面を、第2の成形ロール3の軸方向と直交する方向に沿ってほぼ一直線上に配置することができる。そのため、成形ロール位置調整装置9による第2の成形ロール3の軸方向の位置調整時に成形ロール位置調整装置9の各摺動部品間に無理な曲げモーメントが発生しにくくなるので、維持・再現精度の向上を図ることができる。
【0050】
さらに、本実施の形態では連結プレート21の上面に左右の係止ユニット25を設けるとともに、第2の成形ロール3の回転軸11にマウントされた軸受ユニット31のスラストベアリングケース32に連結プレート21の左右のテーパブロック27と対応する形状の係合凹部33を形成し、スラストベアリングケース32を連結プレート21に左右の係止ユニット25の各テーパブロック27を介して係脱可能に係止する構成にしたので、第2の成形ロール3を交換する場合に成形ロール位置調整装置9に関しては何も取外すことなく、第2の成形ロール3の取外しができる。同様に、第2の成形ロール3を連結プレート21の上面に取付ける作業時にも成形ロール位置調整装置9に関しては何も組込むことなく第2の成形ロール3の装着ができる。そのため、第2の成形ロール3を交換する作業を従来に比べて簡単に行うことができ、第2の成形ロール3の交換時間を短縮して第2の成形ロール3の交換の作業性の向上を図ることができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、さらに、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
【0051】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ガイドブロック駆動機構によってガイドブロックを第1のガイド溝に沿って摺動させ、このガイドブロックの摺動動作にともないテーパブロックを第2のガイド溝の傾斜面に沿って摺動させる際に、ガイドブロックの摺動量に対応してテーパブロックが第2のガイド溝の傾斜分、第2の成形ロールの軸方向に移動することにより、第2の成形ロールを軸方向に移動させて第2の成形ロールの移動位置を調整するようにしたので、シート両面パターンの成形時にシート両面のパターン間の位相を微調整する作業の調整精度と維持精度の向上を図ることができる。
【0052】
請求項2の発明によれば、成形ロール位置調整手段のシャトル機構の動作時にガイドブロック駆動機構によってガイドブロックを固定部側の第1のガイド溝に沿って第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に摺動させ、このガイドブロックの摺動動作にともない被動部側のテーパブロックをガイドブロックの第2のガイド溝のテーパ面に沿って摺動させてテーパブロックおよび被動部を介して第2の成形ロールをその軸方向へ移動させるようにしたので、シート両面パターンの成形時にシート両面のパターン間の位相を微調整する作業の調整精度と維持精度の向上を図ることができる。さらに、被動部の係止手段によって第2の成形ロールの回転軸側を係脱可能に係止したので、ロール交換の作業性の向上を図ることができる。
【0053】
請求項3の発明によれば、ガイドブロック駆動機構の動作時に回転駆動手段によって送りねじ機構の送りねじを回転駆動してガイドブロックを第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に移動させるとともに、回転角検出器によって送りねじの回転角度を検出するようにしたので、第2の成形ロールの軸方向への移動位置を適正に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の一実施の形態のシート両面パターン成形装置の要部の概略構成を示す斜視図、(B)は固定側の第1の成形ロールの支持構造の概略構成を示す側面図、(C)は移動側の第2の成形ロールの支持構造の概略構成を示す側面図。
【図2】第2の成形ロールの一端部の支持構造を示す縦断面図。
【図3】第2の成形ロールの他端部の支持構造を示す縦断面図。
【図4】連結プレートの係止ユニットによる第2の成形ロールのスラストベアリングケースの係止部を示す平面図。
【図5】成形ロール位置調整装置のガイドブロック駆動機構を示す正面図。
【図6】成形ロール位置調整装置の取付け状態を示す側面図。
【図7】図6のA−A線断面図。
【図8】スラストベアリングケースの係止ユニットを示す側面図。
【図9】図8のA−A線断面図。
【符号の説明】
1 Tダイ(フラットダイ)
2 第1の成形ロール
3 第2の成形ロール
S 光透過形プラスチック両面シート
4 軸受固定部
8 可動軸受部
9 成形ロール位置調整装置(成形ロール位置調整手段)
16 成形ロール位置調整装置固定部
17 第1のガイド溝
18 ガイドブロック
19 第2のガイド溝
34 テーパブロック
35 ガイドブロック駆動機構
Claims (3)
- フラットダイから押出されるシート状の溶融樹脂が一対の成形ロール間に導かれ、前記成形ロール間で圧延される圧延シートの圧延時に同時に前記圧延シートの両面にそれぞれ所定のパターンが成形されるシート両面パターン成形装置において、
前記一対の成形ロールのうちの一方の第1の成形ロールの軸受部をその軸方向に固定する軸受固定部と、
他方の第2の成形ロールの軸受部をその軸方向へ移動可能な状態で支持する軸受可動支持部と、
前記圧延シートの両面間の位相差に応じて前記第2の成形ロールの軸方向への移動位置を調整するシャトル機構によって構成される成形ロール位置調整手段とを具備し、
前記シャトル機構は、前記第2の成形ロールの軸方向と直交する方向に向けて延設された第1のガイド溝を有する成形ロール位置調整装置固定部と、
前記第1のガイド溝に沿って摺動し、且つ前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に対して傾斜させた第2のガイド溝をもつガイドブロックと、
前記第2のガイド溝に沿って摺動するテーパブロックと、
前記ガイドブロックを摺動駆動するガイドブロック駆動機構とを有し、
前記ガイドブロック駆動機構によって前記ガイドブロックを前記第1のガイド溝に沿って摺動させ、前記ガイドブロックの摺動動作にともない前記テーパブロックを前記第2のガイド溝の傾斜面に沿って摺動させる際に、前記ガイドブロックの摺動量に対応して前記テーパブロックが前記第2のガイド溝の傾斜分、前記第2の成形ロールの軸方向に移動することにより、前記第2の成形ロールを軸方向に移動させて前記第2の成形ロールの移動位置を調整することを特徴とするシート両面パターン成形装置。 - 前記成形ロール位置調整手段はシート両面パターン成形装置本体の固定部側に前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に向けて延設された第1のガイド溝と、
この第1のガイド溝に沿って前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に摺動可能に装着され、かつ前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に対して傾斜させた第2のガイド溝が形成されたガイドブロックと、
前記第2の成形ロールの回転軸側を係脱可能に係止する係止手段を備え、前記第2の成形ロールの回転軸側と一緒に移動可能に支持された被動部側に固定され、前記ガイドブロックの第2のガイド溝のテーパ面に沿って摺動可能に支持されたテーパブロックと、
前記ガイドブロックを前記固定部側の第1のガイド溝に沿って前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に摺動させ、前記ガイドブロックの摺動動作にともない前記テーパブロックおよび前記被動部を介して前記第2の成形ロールをその軸方向へ移動させるガイドブロック駆動機構とを具備したことを特徴とする請求項1に記載のシート両面パターン成形装置。 - 前記ガイドブロック駆動機構は前記ガイドブロックを前記第2の成形ロールの軸方向と略直交する方向に移動させる送りねじ機構と、
この送りねじ機構の送りねじを回転駆動する回転駆動手段と、
前記送りねじの回転角度を検出する回転角検出器とを具備したことを特徴とする請求項2に記載のシート両面パターン成形装置。
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