JP3833685B2 - 携帯電話機 - Google Patents
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Description
この発明は、複数の周波数帯域の信号を送受信できる携帯電話機に関する。
従来の発明として、特開平8−331001号公報に記載されるような技術があった。
この従来技術は、内部にマイク、スイッチ、アンテナ等の電子部品が配されたフリップを有する携帯無線機(例えば、携帯電話機)において、その電子部品のリード線のグランド側の長さを、携帯無線機が使用する周波数の波長λに対してλ/2に設定して、無線機本体側より見た電子部品のリード線のグランド側をオープンの状態にすることにより、フリップの開閉によってアンテナ性能や放射パターンに影響を与えないようにするものである。
しかし、この従来技術には次のような課題がある。
その課題は、1つの周波数帯域のみを利用する携帯無線機の場合には、その周波数帯域において携帯無線機のアンテナ特性を極めて良好にできるが、2つ以上の複数の周波数帯域を利用する携帯無線機の場合には、それらの周波数帯域において携帯無線機のアンテナ特性を夫々極めて良好にすることはできないというものである。
したがって、従来の携帯電話機では、複数の周波数帯域の信号を夫々極めて良好に送受信することはできなかった。
この従来技術は、内部にマイク、スイッチ、アンテナ等の電子部品が配されたフリップを有する携帯無線機(例えば、携帯電話機)において、その電子部品のリード線のグランド側の長さを、携帯無線機が使用する周波数の波長λに対してλ/2に設定して、無線機本体側より見た電子部品のリード線のグランド側をオープンの状態にすることにより、フリップの開閉によってアンテナ性能や放射パターンに影響を与えないようにするものである。
しかし、この従来技術には次のような課題がある。
その課題は、1つの周波数帯域のみを利用する携帯無線機の場合には、その周波数帯域において携帯無線機のアンテナ特性を極めて良好にできるが、2つ以上の複数の周波数帯域を利用する携帯無線機の場合には、それらの周波数帯域において携帯無線機のアンテナ特性を夫々極めて良好にすることはできないというものである。
したがって、従来の携帯電話機では、複数の周波数帯域の信号を夫々極めて良好に送受信することはできなかった。
この発明は上記課題を解決し、携帯電話機が複数の周波数帯域を利用する場合に、いずれの周波数帯域においてもアンテナ特性の極めて良好な携帯電話機を提供することを目的とする。
この発明は、アンテナおよびグランド用部材を有する第1の部分体と、この第1の部分体に係合される第2の部分体とを備え、複数の周波数帯域の信号を使用する携帯電話機であって、
前記第2の部分体は、使用者の声を集音するマイクと、このマイクと前記第1の部分体の前記グランド用部材との間に設けられ、使用する信号の周波数に応じて実効的なグランド長さを変動させるグランド用接続線とを備えるものである。
その結果、2つ以上の周波数帯域の信号を利用する携帯電話機の場合であっても、異なる周波数帯域のそれぞれの信号に対してアンテナ特性の極めて良好な携帯電話機を実現できる。
この発明は、アンテナおよびグランド用部材を有する第1の部分体と、この第1の部分体に係合される第2の部分体とを備え、複数の周波数帯域の信号を使用する携帯電話機であって、
前記第2の部分体は、使用者の声を集音するマイクと、このマイクと前記第1の部分体の前記グランド用部材との間に設けられ、使用する信号の周波数に応じて実効的なグランド長さを変動させるグランド用接続線とを備えるものである。
その結果、2つ以上の周波数帯域の信号を利用する携帯電話機の場合であっても、異なる周波数帯域のそれぞれの信号に対してアンテナ特性の極めて良好な携帯電話機を実現できる。
第1図は、実施の形態1による携帯電話機の構成を概念的に示す斜視図である。
第2図は、実施の形態1による携帯電話機の第2の部分体に配置される第1の並列共振回路を示す図である。
第3図は、プリント基板上で実現した並列共振回路を示す図である。
第4図は、実施の形態1による携帯電話機の第2の部分体に配置される第2の並列共振回路を示す図である。
第5図は、実施の形態1による携帯電話機がフリップを閉じているときの状態を示す図である。
第6図は、実施の形態1による携帯電話機がフリップを開いているときの状態を示す図である。
第7図は、実施の形態1による携帯電話機の第1および第2の並列共振回路のインピーダンス特性と、一般的なマイク用ノイズフィルタが有するインピーダンス特性を表した図である。
第8図は、実施の形態2において、並列共振回路の配置位置とアンテナ放射効率との関係を表すシミュレーション結果である。
第9図は、実施の形態2において、並列共振回路の配置位置とアンテナ放射効率との関係を表すシミュレーション結果である。
第10図は、実施の形態2において、シミュレーションを行うのに際して設定した携帯電話機の形状を示す図である。
第11図は、実施の形態3による携帯電話機の構成を概念的に示す斜視図であって、スライド式カバーが外装筐体本体に重畳しているときの状態を示している。
第12図は、実施の形態3による携帯電話機の構成を概念的に示す斜視図であって、スライド式カバーが外装筐体本体とずれているときの状態を示している。
第13図は、実施の形態3による携帯電話機において、スライド式カバーのマイクが取り付けられている面の裏面を眺めた斜視図である。
第14図は、実施の形態3による携帯電話機において、スライド式カバーを外装筐体本体から取り外し、外装筐体本体を眺めたときの斜視図である。
第15図は、スライド式カバーが外装筐体本体と重畳しているときの状態およびずれているときの状態を説明するための図である。
第2図は、実施の形態1による携帯電話機の第2の部分体に配置される第1の並列共振回路を示す図である。
第3図は、プリント基板上で実現した並列共振回路を示す図である。
第4図は、実施の形態1による携帯電話機の第2の部分体に配置される第2の並列共振回路を示す図である。
第5図は、実施の形態1による携帯電話機がフリップを閉じているときの状態を示す図である。
第6図は、実施の形態1による携帯電話機がフリップを開いているときの状態を示す図である。
第7図は、実施の形態1による携帯電話機の第1および第2の並列共振回路のインピーダンス特性と、一般的なマイク用ノイズフィルタが有するインピーダンス特性を表した図である。
第8図は、実施の形態2において、並列共振回路の配置位置とアンテナ放射効率との関係を表すシミュレーション結果である。
第9図は、実施の形態2において、並列共振回路の配置位置とアンテナ放射効率との関係を表すシミュレーション結果である。
第10図は、実施の形態2において、シミュレーションを行うのに際して設定した携帯電話機の形状を示す図である。
第11図は、実施の形態3による携帯電話機の構成を概念的に示す斜視図であって、スライド式カバーが外装筐体本体に重畳しているときの状態を示している。
第12図は、実施の形態3による携帯電話機の構成を概念的に示す斜視図であって、スライド式カバーが外装筐体本体とずれているときの状態を示している。
第13図は、実施の形態3による携帯電話機において、スライド式カバーのマイクが取り付けられている面の裏面を眺めた斜視図である。
第14図は、実施の形態3による携帯電話機において、スライド式カバーを外装筐体本体から取り外し、外装筐体本体を眺めたときの斜視図である。
第15図は、スライド式カバーが外装筐体本体と重畳しているときの状態およびずれているときの状態を説明するための図である。
実施の形態1.
実施の形態1による携帯電話機は、複数の周波数帯域(例えば、1.5[GHz]程度の周波数帯域と1[GHz]程度の周波数帯域)を使用する携帯電話機である。
第1図は、実施の形態1による携帯電話機の要部の構成を概念的に示す斜視図である。
第1図に基づいて、実施の形態1による携帯電話機の構成を説明する。
符号2は実施の形態1による携帯電話機、符号4はABS(ACRYCONITRILE BUTADIENE STYRENE)樹脂等の非金属で作製される携帯電話機2の外装筐体、符号4aは外装筐体4の一部(第1の部分体)であって、ディスプレイ(図示せず)やテンキー(図示せず)等の携帯電話機2の主用な部品が搭載される部分の外装部分である外装筐体本体である。
また、符号4bは、外装筐体本体4a(第1の部分体)に開閉自在に設けられる蓋(第2の部分体)、符号4cは、蓋4b(第2の部分体)と外装筐体本体4a(第1の部分体)とを回転自在に連結するヒンジである。
なお、蓋4bとヒンジ4cとを含む構成部分をフリップと呼ぶ。
また、フリップが閉じた状態とは、蓋4bが外装筐体本体4aの近傍に位置している状態をいう。(第5図参照)
携帯電話機2が通話に使用されていない場合、携帯電話機2はフリップの閉じた状態に維持されることが多い。
一方、フリップが開いた状態とは、第1図に示すように、蓋4bがヒンジ4cによって回転し、外装筐体本体4aから離れた状態をいう。
なお、携帯電話機2が通話に使用されている場合、携帯電話機2はフリップの開いた状態に維持されることが多い。
また、符号6は外装筐体4の内部に設けられ、金属製の部材等で構成され、携帯電話機2のグランドとして使用されるグランド用部材、符号8はグランド用部材6に電気的に接続されるアンテナ部品、符号10は蓋4b上に設けられ、グランド用端子10aと音声信号用端子10bとを有し、使用者の声を集めるマイク、符号12はグランド用部材6の内部に設けられ、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータである。
また、符号14はA/Dコンバータ12とマイク10とを電気的に接続し、音声信号を伝達する音声信号線、符号16は音声信号線14上のA/Dコンバータ12の近傍に配置され、音声信号と比較して高い周波数の信号をカットする音声信号用ノイズフィルタであるEMI(Electro Magnetic Interference)フィルタである。
また、符号17はマイク10とグランド用部材6とを電気的に接続し、1.5[GHz]の周波数帯域の信号に対して共振する第1の並列共振回路20と、1[GHz]の周波数帯域の信号に対して共振する第2の並列共振回路22とを有するグランド用接続線である。
また、グランド用接続線17は、グランド用部材6と第1の並列共振回路20とを第1の接続線18aによって電気的に接続し、第1の並列共振回路20と第2の並列共振回路22とを第2の接続線18bによって電気的に接続し、第2の並列共振回路22とマイク10とを第3の接続線18cによって電気的に接続する。
即ち、グランド用接続線17は、第1の並列共振回路20、第2の並列共振回路22、第1の接続線18a、第2の接続線18b、第3の接続線18cとで構成されている。
第2図は、第1の並列共振回路20の回路図である。
第1の並列共振回路20は、コンデンサ20aとコイル20bとが並列に接続されている。
コンデンサ20aとコイル20bは、一般に知られる式の条件を満たすことによって、1.5[GHz]の信号を受信する場合に、共振が起こるように構成する。
一般に知られる式とは、次に示す式(1)であり、周波数f0[Hz]の信号に共振するためには、L[H]のインダクタンスをもつコイルと、C[F]の容量をもつコンデンサを組み合わせれば良いという式である。
f0=1/2π(LC)1/2 ・・・・・ 式(1)
この式に基づけば、1.5[GHz]の周波数に共振する回路を作るためには、例えば、コンデンサ20aとして、2[pF]の容量を持つコンデンサを選択し、コイル20bとして、5.6[nH]のインダクタンスを持つコイルを選択すれば良い。
また、第3図は、プリント基板上で実現する並列共振回路を示した図である。
第3図で、21aはコンデンサ部、21bはコイル部である。
このように、プリント基板上で並列共振回路を実現すれば、軽量化、低コスト化等において有効である。
第4図は、第2の並列共振回路22の回路図である。
第2の並列共振回路22は、コンデンサ22aとコイル22bとが並列に接続されている。
コンデンサ22aとコイル22bは、式(1)を満たすことによって、1[GHz]の信号を受信する場合、共振が起こるように構成する。
式(1)に基づき、例えば、コンデンサ22aとして、2[pF]の容量を持つコンデンサを選択し、コイル22bとして、12.6[nH]のインダクタンスを持つコイルを選択すれば良い。
また、第2の並列共振回路22も、第3図で表すプリント基板のように実現すれば、軽量化、低コスト化等において有効である。
次に、実施の形態1による携帯電話機2の動作を説明する。
まず、実施の形態1による携帯電話機2について、送信時または受信時に、従来と比べて携帯電話機2の通話品質が向上することに関連した動作を説明する。
なお、実施の形態1による携帯電話機2のグランド用部材6の寸法は、アンテナ特性を十分良好にできる寸法であるが、アンテナ特性を極めて良好にできる寸法には、長さが不足している。
デザインまたは実装技術等から寸法が決定される外装筐体4a内に、グランド用部材6を収める必要から、このような状況が生じ得る。
第5図は、実施の形態1による携帯電話機2がフリップを閉じているときの状態を示す図である。
フリップが閉じた状態における携帯電話機2の動作を、第5図に基づいて説明する。
なお、第5図においては、グランド用接続線17を主体に説明するため、第1図に示されている携帯電話機2の構成要素のうち、A/Dコンバータ12、音声信号線14およびEMIフィルタ16が省略されている。
フリップが閉じている場合、蓋4b内に配置されたグランド用接続線17は、グランド用部材6の近傍に位置するので、アンテナ特性に関し、この存在がないものとして取り扱っても差し支えない。つまり、アンテナ特性は十分良好であるが、極めて良好ではない状態である。
第6図は、実施の形態1による携帯電話機2がフリップを開いているときの状態を示す図である。
次に、携帯電話機2がフリップを開いている場合の動作を、第6図に基づいて説明する。
なお、第6図においても、グランド用接続線17を主体的に説明するため、第1図に示されている携帯電話機2の構成要素のうち、A/Dコンバータ12、音声信号線14およびEMIフィルタ16が省略されている。
フリップが開いている場合、グランド用接続線17は、蓋4bと共に移動し、グランド用部材6から突出した状態となる。
この状態では、携帯電話機2は、グランド用部材6の長さをあたかも延長したかのようなアンテナ特性となる。従って、フリップを開けることが、グランド用部材6の、アンテナ特性を極めて良好にできる寸法には不足している長さを補うことに相当する。
さらに、フリップが開いている場合、グランド用接続線17の実効的な長さ(グランド部として機能する部分の長さ)は、周波数毎に、任意の長さにできる。
したがって、1.5[GHz]または1[GHz]のいずれの周波数帯の信号を送受信しているときであっても、携帯電話機2は、アンテナ特性を、極めて良好にできる。
一般に、並列共振回路は、この回路が同調する周波数の信号を受信した場合に、その回路のインピーダンスが最大になる。
したがって、携帯電話機2が1.5[GHz]の信号を送受信している場合、第1の並列共振回路20は共振するよう設計されるので、第1の並列共振回路20は共振してインピーダンスが上昇し、第1の並列共振回路20がオープンの状態になる。
すなわち、グランド用接続線17の実効的な長さが、グランド用部材6に電気的に接続される第1の接続線18aとなる。
また、携帯電話機2が1[GHz]の信号を送受信している場合、第2の並列共振回路22は共振するよう設計されるので、第2の並列共振回路22は共振してインピーダンスが上昇し、第2の並列共振回路22がオープンの状態になる。
すなわち、グランド用接続線17の実効的な長さは、グランド用部材6に電気的に接続される第1の接続線18a、第1の並列共振回路20および第2の接続線18bとなる。
なお、実施の形態1では、蓋4b内に、第2の並列共振回路22および第3の接続線18cが設けられているが、第2の並列共振回路22および第3の接続線18cを設けずに、第2の接続線18bをグランド用端子10aに直接電気的に接続しても、グランド用接続線17の実効的な長さを変動させることはできる。
次に、実施の形態1による携帯電話機2について、送信時に、マイク10から出力する信号内に混在するノイズを削減することに関連した作用を第7図に基づいて説明する。
第7図は、第1の並列共振回路20および第2の並列共振回路22のインピーダンスと、一般にマイクを使用する場合に、そのマイクのグランド用接続線に設けるノイズフィルタ(以下、「マイク用ノイズフィルタ」という)が有するインピーダンスを周波数に応じて表したものである。
即ち、第7図は、第1および第2の並列共振回路のインピーダンス特性と、一般的なマイク用ノイズフィルタに要求されるインピーダンス特性を表したものである。
第7図において、第1の並列共振回路20のインピーダンス特性は実線Aで示され、共振周波数1.5[GHz]において第1の並列共振回路20のインピーダンスはピークとなる。
同様に、第2の並列共振回路20のインピーダンス特性は波線Bで示され、共振周波数1[GHz]において第2の並列共振回路22のインピーダンスはピークとなる。
また、2点鎖線Cは、一般にマイクを使用する場合に、そのマイクのグランド用接続線に設けるマイク用ノイズフィルタに要求されるインピーダンス特性である。
第7図から明らかなように、一般的にマイク用ノイズフィルタのインピーダンスは、周波数に関わらず、数百[Ω]のインピーダンスが必要である。
それに対して、第1の並列共振回路20のインピーダンスは、1.5[GHz]の周波数の近傍において、15000[Ω]以上のインピーダンスとなる。
また、第2の並列共振回路22のインピーダンスは、1[GHz]の周波数の近傍において、10000[Ω]以上のインピーダンスとなる。
すなわち、携帯電話機2が1.5[GHz]の周波数帯の信号を送受信する場合は、第1の並列共振回路20がマイク用ノイズフィルタとして動作し、携帯電話機2が1[GHz]の周波数帯の信号を送受信する場合は第2の並列共振回路22がマイク用ノイズフィルタとして動作する。
したがって、グランド用接続線17が第1の並列共振回路20および第2の並列共振回路22を有するため、別途マイク用ノイズフィルタを設ける必要がない。
次に、実施の形態1による携帯電話機2において、1つのノイズフィルタで、送信時に、マイク10から出力されるノイズを有効に減衰させる作用について説明する。
通常、マイクを使用する場合、そのマイクが有するグランド用接続線および音声信号線の両方から生じるノイズをカットする必要がある。
その場合、それぞれに独立したノイズフィルタを設けることは部品数およびコストの増加を招くために一般的な手法ではなく、両者に共通したノイズフィルタを1つ設けることが一般的な手法である。
しかし、グランド用接続線から生じるノイズは、音声信号線14から生じるノイズと周波数が異なることが多いので、1つのノイズフィルタによって、いずれの周波数においても最適にノイズをカットすることは困難である。
実施の形態1による携帯電話機2においては、前述したように、第1の並列共振回路20および第2の並列共振回路22はマイク10のグランド用接続線からのノイズフィルタとしても機能する。
そのため、グランド用接続線17より生じるノイズについては考慮する必要がなく、音声信号線14に被るノイズのカットだけを目的とした1つのEMIフィルタ16を音声信号線14に設けるだけでよい。(図1を参照)
これにより、有効に音声信号線14に被るノイズをカットすることができる。
なお、EMIフィルタ16は、A/Dコンバータ12の近傍であればあるほど良い。
また、EMIフィルタ16と同様の特性をもつフィルタとして、チョークコイルを用いるフィルタ等がある。
実施の形態1による携帯電話機2によれば、グランド用部材6を有する外装筐体本体4a(第1の部分体)と、この外装筐体本体4aに回転自在に接続される蓋4b(第2の部分体)とを備え、複数の周波数(例えば、1.5[GHz]の周波数と1[GHz]の周波数)とを使用する携帯電話機2において、蓋4b上に設けられる電子部品(例えば、マイク10)と、この電子部品(マイク10)とグランド用部材6との間に設けられ、携帯電話機2が使用する複数の周波数のそれぞれに共振する第1の並列共振回路および第2の並列共振回路を配置することにより実効的なグランド長さを変動させることのできるグランド用接続線17とを備えている。
従って、携帯電話機2が、携帯電話機2の使用する周波数のいずれの周波数の信号を送受信する場合であっても、グランド用接続線17の実効的な長さを周波数に応じた最適な長さにできる。
そのため、フリップ上のグランド用接続線17が、グランド部材6の長さを、周波数に応じた最適な長さに延長したかのような効果を奏することができ、複数の(例えば、2つの)周波数帯域の信号のそれぞれに対してアンテナ特性が極めて良好な携帯電話機2を実現できる。
また、実施の形態1によれば、電子部品がマイク10であるので、マイク10に使用するマイク用ノイズフィルタを別途設ける必要がなくなる。
また、実施の形態1によれば、マイク10が有する音声信号線14にEMIフィルタ16を設けることにより、音声信号線14に被るノイズを有効に減衰させることができる。
また、実施の形態1によれば、蓋4bのグランド用接続線17に配置される第1および第2の並列共振回路は、プリントされていることを特徴とするので、軽量に、または安価に、フリップを実現できる。
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1による携帯電話機2のグランド用接続線17において、アンテナ放射効率が極めて良好となる実効的なグランド長をシミュレーションにより求める方法とその結果を示したものである。
第8図および第9図は、株式会社エー・イー・ティー・ジャパンから販売されているMW−STUDIOという3次元電磁界解析ソフトを用いて、並列共振回路の配置位置とアンテナ放射効率との関係をシミュレーションした結果を表したものである。
また、第10図は、そのシミュレーションをするにあたって設定した携帯電話機の形状を表す図である。
シミュレーションの設定について、第10図に基づいて説明する。
符号6sは、シミュレーションにおいて、長さLb=100[mm]、幅W=30[mm]、厚さT=5[mm]と設定されるグランド用部材である。
また、符号8sはグランド用部材6sの端部に取り付けられるアンテナ部品で、携帯電話機2が1[GHz]の周波数帯域を使用する場合は、アンテナ部品の長さLa=75[mm]、携帯電話機2が1.5[GHz]の周波数帯域を使用する場合は、アンテナ部品の長さLa=50[mm]と設定する。
ただし、この設定は計算を簡単にするためのもので、実際のアンテナ部品の長さは、携帯電話機2が1[GHz]または1.5[GHz]のいずれの周波数帯域を使用する場合であっても、同じ長さで送受信可能なアンテナ部品を用いても良い。
符号17sは、グランド用部材6sに電気的に接続され、第1の並列共振回路20sおよび第2の並列共振回路22sを備えるグランド用接続線である。
また、符号18asは、グランド用部材6sと第1の並列共振回路20sとを電気的に接続し、長さLl1[mm]を有する第1の接続線、符号18bsは、第1の並列共振回路20sと第2の並列共振回路22sとを電気的に接続し、長さLl2[mm]を有する第2の接続線、符号18csは、第2の並列共振回路22sとマイクのグランド用端子10asとを電気的に接続し、長さLl3[mm]を有する第3の接続線18csである。
また、第1の並列共振回路20sおよび第2の並列共振回路22sは、1[mm]の長さと設定する。
また、第10図で、グランド用接続線17sが第1の並列共振回路20sおよび第2の並列共振回路22sを有しているが、第1の並列共振回路20sまたは第2の並列共振回路22sのいずれか一方が無い場合について説明する。
この場合に、シミュレーションするとき、第1の並列共振回路20sまたは第2の並列共振回路22sのいずれか無い部分を1[mm]のグランド用接続線が存在するとしてシミュレーションする。
第8図において、実線Aは、第1の並列共振回路20sを有し、第2の並列共振回路22sは有さないグランド用接続線17s(以降、「第1のグランド用接続線17s1」という)の、第1の並列共振回路20sが共振している場合の、アンテナ放射効率である。
また、このアンテナ放射効率は、アンテナ特性への影響に関し、実効的な長さ(以降、「第1のグランド部分長」という)Lg1に応じて表されている。
また、第8図において、破線Bは、第2の並列共振回路22を有し、第1の並列共振回路20sを有さないグランド用接続線17s(以降、「第2のグランド用接続線17s2」という)の、第2の並列共振回路22sが共振している場合の、アンテナ放射効率である。
また、このアンテナ放射効率は、実効的な長さ(以降、「第2のグランド部分長」という)Lg2に応じて表されている。
まず、第1のグランド部分長Lg1について説明する。
第1のグランド用接続線17s1は、携帯電話機2が1.5[GHz]の周波数帯を使用する場合、第1の並列共振回路20sがオープンとなり、第1のグランド部分長Lg1が、第1の接続線18asの長さLl1となる。
第8図によると、第1のグランド部分長Lg1が、0[mm]〜40[mm]程度の長さである場合に、アンテナ放射効率が90%以上となり、極めて良好なアンテナ特性となる。
次に、第2のグランド部分長Lg2について説明する。
第2のグランド用接続線17s2は、携帯電話機2が1[GHz]の周波数帯を使用する場合、第2の並列共振回路22sがオープンとなり、第2のグランド部分長Lg2が、第1の接続線18asの長さLl1、並列共振回路の長さとしての1[mm]および第2の接続線18bsの長さLl2を合計した長さ(Ll1+1+Ll2)となる。
第8図によると、第2のグランド部分長Lg2が、70〜90[mm]近傍である場合に、アンテナ放射効率が90%以上となり、極めて良好なアンテナ特性となる。
第9図において、実線Aは、第1の並列共振回路20sおよび第2の並列共振回路22sを備えるグランド用接続線17s(以降、「第3のグランド用接続線17s3」という)の、第1の並列共振回路20sが共振している場合のアンテナ放射効率を表す。
また、このアンテナ放射効率は、長さ(以降、「第3のグランド部分長」という)Lg3に応じて表されている。
また、第9図において、波線Bは、第2の並列共振回路22sが共振している場合のアンテナ放射効率を表す。
またこのアンテナ放射効率は、アンテナ特性への影響に関して、長さ(以降、「第4のグランド部分長」という)Lg4に応じて表される。
なお、第3のグランド用接続線17s3は、第1の接続線18asの長さLl1を20[mm]で固定し、第2の接続線18bsの長さLl2を可変とする。
第9図によれば、1.5[GHz]の周波数の信号を送受信する場合には、Ll1の長さが固定されているため、一定して97%のアンテナ放射効率となるが、1[GHz]の周波数の信号を送受信する場合には、(Ll1+1+Ll2)の長さが60〜75[mm]程度のときに、アンテナ放射効率が90%以上となり、極めて良好なアンテナ特性になる。
以上のシミュレーション結果より、グランド用接続線の第1の並列共振回路とグランド用部材とを接続する部分の長さが40[mm]以下の長さであれば、アンテナ放射効率が極めて良好であることが判る。
また、グランド用接続線の第2の並列共振回路とグランド用部材とを接続する部分の長さが60〜75[mm]程度の長さであれば、アンテナ放射効率が極めて良好であることが判る。
実施の形態3.
前述の実施の形態1による携帯電話機は、第2の部分体である蓋4bがヒンジ4cによって外装筐体本体4aに開閉自在に設けられたフリップ式であった。
これに対して、本実施の形態による携帯電話機は、実施の形態1による携帯電話機の第2の部分体である蓋4bに相当するスライド式カバーが外装筐体本体にスライド自在に設けられていることを特徴する。
第11図は、実施の形態3による携帯電話機に備えられるスライド式カバーが外装筐体本体に重畳している状態(以下、「重畳状態」という)の携帯電話機の斜視図である。
第12図は、実施の形態3による携帯電話機において、スライド式カバーが外装筐体本体とずれている状態(以下、「ずれ状態」という)を示す斜視図である。
第13図は、実施の形態3による携帯電話機においてスライド式カバーを外装筐体本体から取り外し、そのスライド式カバーのマイクが取り付けられている面の裏面を眺めた斜視図である。
第14図は、実施の形態3による携帯電話機においてスライド式カバーを外装筐体本体から取り外し、外装筐体本体を眺めたときの斜視図である。
実施の形態3による携帯電話機の構成について、第11図から第14図に基づいて説明する。
第11図または第12図において、符号42は実施の形態3による携帯電話機、符号44は携帯電話機42の外装筐体、符号44aは外装筐体44の一部である外装筐体本体(第1の部分体)である。
また、符号44bは外装筐体44の一部で、外装筐体本体44a(第1の部分体)にスライド自在に設けられ、非通話時は外装筐体本体44aに対して重畳状態であり、通話時は外装筐体本体44aに対してずれ状態であるスライド式カバー、符合45は外装筐体本体44aに設けられる受話部、符合47は外装筐体本体44aに設けられるディスプレイである。
また、符合49は外装筐体本体44a(第1の部分体)上に設けられ、スライド式カバー44bが重畳状態の場合は、スライド式カバー44b(第2の部分体)に覆われ、スライド式カバーがずれ状態の場合には、スライド式カバーから露出するテンキーである。
また、符合50はスライド式カバー44bに設けられるマイク、符合51aは、スライド式カバー44bと外装筐体本体44aとがスライド自在に接続されるように、外装筐体本体44aの側面に設けられるスライド用溝である。
また、外装筐体本体44aにおいて、スライド用溝51aが設けられる側面と対向する側面にも、スライド用溝51aと同様のスライド用溝であるスライド用溝51b(図示せず)が設けられている。
第13図および第14図において、符合46は外装筐体本体44aの内部に設けられるグランド用部材、符号53aはスライド式カバー44bに設けられ、スライド用溝51aとスライド自在に係合される爪である。
また、スライド式カバー44bにおいて、爪53aが設けられる面と対向する面にも、爪53aと同様に、スライド用溝51b(図示せず)とスライド自在に係合される爪53b(図示せず)が設けられる。
符合54はスライド式カバー44b上に設けられ、金属板等で構成され、マイク50の音声信号用端子50bと電気的に接続される音声信号線、符号57はマイク50のグランド用端子50aと電気的に接続され、1.5[GHz]の周波数帯域の信号に対して共振する第1の並列共振回路60と、1[GHz]の周波数帯域の信号に対して共振する第2の並列共振回路62とを有するグランド用接続線である。
また、グランド用部材46と第1の並列共振回路60とは、金属板等で構成される第1の接続線58aと後述する突設部66とによって電気的に接続され、第1の並列共振回路60と第2の並列共振回路62とは金属板等で構成される第2の接続線58bによって電気的に接続され、第2の並列共振回路62とマイク50とは金属板等で構成される第3の接続線58cによって電気的に接続される。
符号64は、グランド用部材46の内部に設けられるA/Dコンバータ(図示せず)と電気的に接続され、音声信号線54と接触し、外装筐体本体44aの表面に突設される突設部、符号66はグランド用部材46に電気的に接続され、第1の接続線58aが有する接触部59bまたは第2の接続線58bが有する接触部59aと電気的に接続され、外装筐体本体44aの表面に突設される突設部である。
なお、グランド用接続線57はスライド式カバー44bが突設部66上をスライド自在となるように構成する。
例えば、第13図のように、第1の並列共振回路60または第2の並列共振回路62のいずれか一方または両方が立体的な形状を持つ場合、スライド式カバー44bがスライドすることによりグランド用接続線57が移動し、グランド用接続線57と突設部66とが摺動したとき、第1の並列共振回路60または第2の並列共振回路62のいずれか一方または両方が摺動部分に配置されないように考慮する。
その理由は、第1の並列共振回路60または第2の並列共振回路62によって、摺動が妨げられる場合があるからである。
また、ずれ状態および重畳状態において、グランド用接続線57が突設部66と接触しているよう考慮する。
その理由は、グランド用接続線57が突設部66と接触することによって、グランド用接続線57の電位がグランド用部材46と同じになるからである。
第15図は、スライド式カバー44bが外装筐体本体44aと重畳しているときの状態およびずれているときの状態を説明するための図であり、第15図(a)は携帯電話機42において、スライド式カバー44bが重畳状態である場合に、グランド用部材46、グランド用接続線57、音声信号線54、突設部64および突設部66を描いた図である。
また、第15図(b)は携帯電話機42において、スライド式カバー44bがずれ状態である場合に、グランド用部材46、グランド用接続線57、音声信号線54、突設部64及び突設部66を描いた図である。
本実施の形態による携帯電話機42の動作を説明する。
使用者が携帯電話機42を使用する場合の動作について、第11図または第12図に基づいて説明する。
この携帯電話機42は、通話に使用されない場合は、スライドカバー44bが外装筐体本体44aと重畳状態にある。
この状態において、携帯電話機42は収容性に優れている。
使用者は、携帯電話機42を通話に使用しようとする場合、スライド式カバー44bを外装筐体本体内44bとずれた状態にすることによって、受話部45とマイク50との位置を引き離し、通話を行う。
受話部45とマイク50との位置を引き離すことは、マイク50が重畳状態では使用者の声を十分拾うことが出来ない場合に、より十分に使用者の声を拾うための手段として有効である。
また、マイク50が、重畳状態で使用者の声を十分拾える性能を備えている場合であっても、通話中は使用者の口元にマイク50を配置することを望む使用者からの要求を満たすことができる。
スライド式カバー44bが重畳状態である場合の、携帯電話機42のアンテナ特性に関する動作を第15図(a)に基づいて説明する。
この状態では、グランド用接続線57は、グランド用部材46の近傍に位置するために、アンテナ特性に関する影響において、あたかもグランド用部材46の内部にあるかのような振る舞いをする。
ただし、グランド用部材46の長さはアンテナ特性を極めて良好にするためには、若干長さが足りないので、この状態では、アンテナ特性は十分良好であるが、極めて良好ではない。
スライド式カバー44bがずれ状態にある場合の、携帯電話機42の動作を第15図(b)に基づいて説明する。
この状態では、グランド用接続線57がグランド用部材46から飛び出ている。
したがって、グランド用接続線57が、アンテナ特性に関し、あたかもグランド用部材46の長さ方向の延長部分であるかのような振る舞いをする。
また、第1の並列共振回路60と第2の並列共振回路62とを備えるので、前述の実施の形態1で説明したように、グランド用接続線57の実効的な長さは、周波数に応じて変動させることができ、グランド用部材46の長さを最適とすることができる。
実施の形態3による携帯電話機は、グランド用部材46を有する外装筐体本体44a(第1の部分体)と、この外装筐体本体44aにスライド自在に接続されるスライド式カバー44b(第12部分体)とを備え、複数の周波数帯域を使用する携帯電話機において、スライド式カバー44bに設けられる電子部品と、この電子部品とグランド用部材46との間に設けられ、携帯電話機42が使用する周波数に応じて、アンテナ特性への影響に関し、実効的な長さが変動するグランド用接続線57とを備えるので、複数の周波数のいずれの周波数を使用するときであっても、アンテナ特性が極めて良好な携帯電話機42を実現できる。
また、実施の形態3は、スライド式カバー44bを引き出すことによって、アンテナ特性を向上させることができるので、使用者からの、部材を引き出すことでアンテナ特性向上の実感を得たいとする要求に、特に応えられる携帯電話機を実現できる。
なお、部材を引き出すことでアンテナ特性向上の実感を得たいとする要求は、従来引き出し式の携帯電話機において、アンテナを引き出すことによってアンテナ特性の向上を図ることが多かったことに由来している。
実施の形態1による携帯電話機は、複数の周波数帯域(例えば、1.5[GHz]程度の周波数帯域と1[GHz]程度の周波数帯域)を使用する携帯電話機である。
第1図は、実施の形態1による携帯電話機の要部の構成を概念的に示す斜視図である。
第1図に基づいて、実施の形態1による携帯電話機の構成を説明する。
符号2は実施の形態1による携帯電話機、符号4はABS(ACRYCONITRILE BUTADIENE STYRENE)樹脂等の非金属で作製される携帯電話機2の外装筐体、符号4aは外装筐体4の一部(第1の部分体)であって、ディスプレイ(図示せず)やテンキー(図示せず)等の携帯電話機2の主用な部品が搭載される部分の外装部分である外装筐体本体である。
また、符号4bは、外装筐体本体4a(第1の部分体)に開閉自在に設けられる蓋(第2の部分体)、符号4cは、蓋4b(第2の部分体)と外装筐体本体4a(第1の部分体)とを回転自在に連結するヒンジである。
なお、蓋4bとヒンジ4cとを含む構成部分をフリップと呼ぶ。
また、フリップが閉じた状態とは、蓋4bが外装筐体本体4aの近傍に位置している状態をいう。(第5図参照)
携帯電話機2が通話に使用されていない場合、携帯電話機2はフリップの閉じた状態に維持されることが多い。
一方、フリップが開いた状態とは、第1図に示すように、蓋4bがヒンジ4cによって回転し、外装筐体本体4aから離れた状態をいう。
なお、携帯電話機2が通話に使用されている場合、携帯電話機2はフリップの開いた状態に維持されることが多い。
また、符号6は外装筐体4の内部に設けられ、金属製の部材等で構成され、携帯電話機2のグランドとして使用されるグランド用部材、符号8はグランド用部材6に電気的に接続されるアンテナ部品、符号10は蓋4b上に設けられ、グランド用端子10aと音声信号用端子10bとを有し、使用者の声を集めるマイク、符号12はグランド用部材6の内部に設けられ、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータである。
また、符号14はA/Dコンバータ12とマイク10とを電気的に接続し、音声信号を伝達する音声信号線、符号16は音声信号線14上のA/Dコンバータ12の近傍に配置され、音声信号と比較して高い周波数の信号をカットする音声信号用ノイズフィルタであるEMI(Electro Magnetic Interference)フィルタである。
また、符号17はマイク10とグランド用部材6とを電気的に接続し、1.5[GHz]の周波数帯域の信号に対して共振する第1の並列共振回路20と、1[GHz]の周波数帯域の信号に対して共振する第2の並列共振回路22とを有するグランド用接続線である。
また、グランド用接続線17は、グランド用部材6と第1の並列共振回路20とを第1の接続線18aによって電気的に接続し、第1の並列共振回路20と第2の並列共振回路22とを第2の接続線18bによって電気的に接続し、第2の並列共振回路22とマイク10とを第3の接続線18cによって電気的に接続する。
即ち、グランド用接続線17は、第1の並列共振回路20、第2の並列共振回路22、第1の接続線18a、第2の接続線18b、第3の接続線18cとで構成されている。
第2図は、第1の並列共振回路20の回路図である。
第1の並列共振回路20は、コンデンサ20aとコイル20bとが並列に接続されている。
コンデンサ20aとコイル20bは、一般に知られる式の条件を満たすことによって、1.5[GHz]の信号を受信する場合に、共振が起こるように構成する。
一般に知られる式とは、次に示す式(1)であり、周波数f0[Hz]の信号に共振するためには、L[H]のインダクタンスをもつコイルと、C[F]の容量をもつコンデンサを組み合わせれば良いという式である。
f0=1/2π(LC)1/2 ・・・・・ 式(1)
この式に基づけば、1.5[GHz]の周波数に共振する回路を作るためには、例えば、コンデンサ20aとして、2[pF]の容量を持つコンデンサを選択し、コイル20bとして、5.6[nH]のインダクタンスを持つコイルを選択すれば良い。
また、第3図は、プリント基板上で実現する並列共振回路を示した図である。
第3図で、21aはコンデンサ部、21bはコイル部である。
このように、プリント基板上で並列共振回路を実現すれば、軽量化、低コスト化等において有効である。
第4図は、第2の並列共振回路22の回路図である。
第2の並列共振回路22は、コンデンサ22aとコイル22bとが並列に接続されている。
コンデンサ22aとコイル22bは、式(1)を満たすことによって、1[GHz]の信号を受信する場合、共振が起こるように構成する。
式(1)に基づき、例えば、コンデンサ22aとして、2[pF]の容量を持つコンデンサを選択し、コイル22bとして、12.6[nH]のインダクタンスを持つコイルを選択すれば良い。
また、第2の並列共振回路22も、第3図で表すプリント基板のように実現すれば、軽量化、低コスト化等において有効である。
次に、実施の形態1による携帯電話機2の動作を説明する。
まず、実施の形態1による携帯電話機2について、送信時または受信時に、従来と比べて携帯電話機2の通話品質が向上することに関連した動作を説明する。
なお、実施の形態1による携帯電話機2のグランド用部材6の寸法は、アンテナ特性を十分良好にできる寸法であるが、アンテナ特性を極めて良好にできる寸法には、長さが不足している。
デザインまたは実装技術等から寸法が決定される外装筐体4a内に、グランド用部材6を収める必要から、このような状況が生じ得る。
第5図は、実施の形態1による携帯電話機2がフリップを閉じているときの状態を示す図である。
フリップが閉じた状態における携帯電話機2の動作を、第5図に基づいて説明する。
なお、第5図においては、グランド用接続線17を主体に説明するため、第1図に示されている携帯電話機2の構成要素のうち、A/Dコンバータ12、音声信号線14およびEMIフィルタ16が省略されている。
フリップが閉じている場合、蓋4b内に配置されたグランド用接続線17は、グランド用部材6の近傍に位置するので、アンテナ特性に関し、この存在がないものとして取り扱っても差し支えない。つまり、アンテナ特性は十分良好であるが、極めて良好ではない状態である。
第6図は、実施の形態1による携帯電話機2がフリップを開いているときの状態を示す図である。
次に、携帯電話機2がフリップを開いている場合の動作を、第6図に基づいて説明する。
なお、第6図においても、グランド用接続線17を主体的に説明するため、第1図に示されている携帯電話機2の構成要素のうち、A/Dコンバータ12、音声信号線14およびEMIフィルタ16が省略されている。
フリップが開いている場合、グランド用接続線17は、蓋4bと共に移動し、グランド用部材6から突出した状態となる。
この状態では、携帯電話機2は、グランド用部材6の長さをあたかも延長したかのようなアンテナ特性となる。従って、フリップを開けることが、グランド用部材6の、アンテナ特性を極めて良好にできる寸法には不足している長さを補うことに相当する。
さらに、フリップが開いている場合、グランド用接続線17の実効的な長さ(グランド部として機能する部分の長さ)は、周波数毎に、任意の長さにできる。
したがって、1.5[GHz]または1[GHz]のいずれの周波数帯の信号を送受信しているときであっても、携帯電話機2は、アンテナ特性を、極めて良好にできる。
一般に、並列共振回路は、この回路が同調する周波数の信号を受信した場合に、その回路のインピーダンスが最大になる。
したがって、携帯電話機2が1.5[GHz]の信号を送受信している場合、第1の並列共振回路20は共振するよう設計されるので、第1の並列共振回路20は共振してインピーダンスが上昇し、第1の並列共振回路20がオープンの状態になる。
すなわち、グランド用接続線17の実効的な長さが、グランド用部材6に電気的に接続される第1の接続線18aとなる。
また、携帯電話機2が1[GHz]の信号を送受信している場合、第2の並列共振回路22は共振するよう設計されるので、第2の並列共振回路22は共振してインピーダンスが上昇し、第2の並列共振回路22がオープンの状態になる。
すなわち、グランド用接続線17の実効的な長さは、グランド用部材6に電気的に接続される第1の接続線18a、第1の並列共振回路20および第2の接続線18bとなる。
なお、実施の形態1では、蓋4b内に、第2の並列共振回路22および第3の接続線18cが設けられているが、第2の並列共振回路22および第3の接続線18cを設けずに、第2の接続線18bをグランド用端子10aに直接電気的に接続しても、グランド用接続線17の実効的な長さを変動させることはできる。
次に、実施の形態1による携帯電話機2について、送信時に、マイク10から出力する信号内に混在するノイズを削減することに関連した作用を第7図に基づいて説明する。
第7図は、第1の並列共振回路20および第2の並列共振回路22のインピーダンスと、一般にマイクを使用する場合に、そのマイクのグランド用接続線に設けるノイズフィルタ(以下、「マイク用ノイズフィルタ」という)が有するインピーダンスを周波数に応じて表したものである。
即ち、第7図は、第1および第2の並列共振回路のインピーダンス特性と、一般的なマイク用ノイズフィルタに要求されるインピーダンス特性を表したものである。
第7図において、第1の並列共振回路20のインピーダンス特性は実線Aで示され、共振周波数1.5[GHz]において第1の並列共振回路20のインピーダンスはピークとなる。
同様に、第2の並列共振回路20のインピーダンス特性は波線Bで示され、共振周波数1[GHz]において第2の並列共振回路22のインピーダンスはピークとなる。
また、2点鎖線Cは、一般にマイクを使用する場合に、そのマイクのグランド用接続線に設けるマイク用ノイズフィルタに要求されるインピーダンス特性である。
第7図から明らかなように、一般的にマイク用ノイズフィルタのインピーダンスは、周波数に関わらず、数百[Ω]のインピーダンスが必要である。
それに対して、第1の並列共振回路20のインピーダンスは、1.5[GHz]の周波数の近傍において、15000[Ω]以上のインピーダンスとなる。
また、第2の並列共振回路22のインピーダンスは、1[GHz]の周波数の近傍において、10000[Ω]以上のインピーダンスとなる。
すなわち、携帯電話機2が1.5[GHz]の周波数帯の信号を送受信する場合は、第1の並列共振回路20がマイク用ノイズフィルタとして動作し、携帯電話機2が1[GHz]の周波数帯の信号を送受信する場合は第2の並列共振回路22がマイク用ノイズフィルタとして動作する。
したがって、グランド用接続線17が第1の並列共振回路20および第2の並列共振回路22を有するため、別途マイク用ノイズフィルタを設ける必要がない。
次に、実施の形態1による携帯電話機2において、1つのノイズフィルタで、送信時に、マイク10から出力されるノイズを有効に減衰させる作用について説明する。
通常、マイクを使用する場合、そのマイクが有するグランド用接続線および音声信号線の両方から生じるノイズをカットする必要がある。
その場合、それぞれに独立したノイズフィルタを設けることは部品数およびコストの増加を招くために一般的な手法ではなく、両者に共通したノイズフィルタを1つ設けることが一般的な手法である。
しかし、グランド用接続線から生じるノイズは、音声信号線14から生じるノイズと周波数が異なることが多いので、1つのノイズフィルタによって、いずれの周波数においても最適にノイズをカットすることは困難である。
実施の形態1による携帯電話機2においては、前述したように、第1の並列共振回路20および第2の並列共振回路22はマイク10のグランド用接続線からのノイズフィルタとしても機能する。
そのため、グランド用接続線17より生じるノイズについては考慮する必要がなく、音声信号線14に被るノイズのカットだけを目的とした1つのEMIフィルタ16を音声信号線14に設けるだけでよい。(図1を参照)
これにより、有効に音声信号線14に被るノイズをカットすることができる。
なお、EMIフィルタ16は、A/Dコンバータ12の近傍であればあるほど良い。
また、EMIフィルタ16と同様の特性をもつフィルタとして、チョークコイルを用いるフィルタ等がある。
実施の形態1による携帯電話機2によれば、グランド用部材6を有する外装筐体本体4a(第1の部分体)と、この外装筐体本体4aに回転自在に接続される蓋4b(第2の部分体)とを備え、複数の周波数(例えば、1.5[GHz]の周波数と1[GHz]の周波数)とを使用する携帯電話機2において、蓋4b上に設けられる電子部品(例えば、マイク10)と、この電子部品(マイク10)とグランド用部材6との間に設けられ、携帯電話機2が使用する複数の周波数のそれぞれに共振する第1の並列共振回路および第2の並列共振回路を配置することにより実効的なグランド長さを変動させることのできるグランド用接続線17とを備えている。
従って、携帯電話機2が、携帯電話機2の使用する周波数のいずれの周波数の信号を送受信する場合であっても、グランド用接続線17の実効的な長さを周波数に応じた最適な長さにできる。
そのため、フリップ上のグランド用接続線17が、グランド部材6の長さを、周波数に応じた最適な長さに延長したかのような効果を奏することができ、複数の(例えば、2つの)周波数帯域の信号のそれぞれに対してアンテナ特性が極めて良好な携帯電話機2を実現できる。
また、実施の形態1によれば、電子部品がマイク10であるので、マイク10に使用するマイク用ノイズフィルタを別途設ける必要がなくなる。
また、実施の形態1によれば、マイク10が有する音声信号線14にEMIフィルタ16を設けることにより、音声信号線14に被るノイズを有効に減衰させることができる。
また、実施の形態1によれば、蓋4bのグランド用接続線17に配置される第1および第2の並列共振回路は、プリントされていることを特徴とするので、軽量に、または安価に、フリップを実現できる。
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1による携帯電話機2のグランド用接続線17において、アンテナ放射効率が極めて良好となる実効的なグランド長をシミュレーションにより求める方法とその結果を示したものである。
第8図および第9図は、株式会社エー・イー・ティー・ジャパンから販売されているMW−STUDIOという3次元電磁界解析ソフトを用いて、並列共振回路の配置位置とアンテナ放射効率との関係をシミュレーションした結果を表したものである。
また、第10図は、そのシミュレーションをするにあたって設定した携帯電話機の形状を表す図である。
シミュレーションの設定について、第10図に基づいて説明する。
符号6sは、シミュレーションにおいて、長さLb=100[mm]、幅W=30[mm]、厚さT=5[mm]と設定されるグランド用部材である。
また、符号8sはグランド用部材6sの端部に取り付けられるアンテナ部品で、携帯電話機2が1[GHz]の周波数帯域を使用する場合は、アンテナ部品の長さLa=75[mm]、携帯電話機2が1.5[GHz]の周波数帯域を使用する場合は、アンテナ部品の長さLa=50[mm]と設定する。
ただし、この設定は計算を簡単にするためのもので、実際のアンテナ部品の長さは、携帯電話機2が1[GHz]または1.5[GHz]のいずれの周波数帯域を使用する場合であっても、同じ長さで送受信可能なアンテナ部品を用いても良い。
符号17sは、グランド用部材6sに電気的に接続され、第1の並列共振回路20sおよび第2の並列共振回路22sを備えるグランド用接続線である。
また、符号18asは、グランド用部材6sと第1の並列共振回路20sとを電気的に接続し、長さLl1[mm]を有する第1の接続線、符号18bsは、第1の並列共振回路20sと第2の並列共振回路22sとを電気的に接続し、長さLl2[mm]を有する第2の接続線、符号18csは、第2の並列共振回路22sとマイクのグランド用端子10asとを電気的に接続し、長さLl3[mm]を有する第3の接続線18csである。
また、第1の並列共振回路20sおよび第2の並列共振回路22sは、1[mm]の長さと設定する。
また、第10図で、グランド用接続線17sが第1の並列共振回路20sおよび第2の並列共振回路22sを有しているが、第1の並列共振回路20sまたは第2の並列共振回路22sのいずれか一方が無い場合について説明する。
この場合に、シミュレーションするとき、第1の並列共振回路20sまたは第2の並列共振回路22sのいずれか無い部分を1[mm]のグランド用接続線が存在するとしてシミュレーションする。
第8図において、実線Aは、第1の並列共振回路20sを有し、第2の並列共振回路22sは有さないグランド用接続線17s(以降、「第1のグランド用接続線17s1」という)の、第1の並列共振回路20sが共振している場合の、アンテナ放射効率である。
また、このアンテナ放射効率は、アンテナ特性への影響に関し、実効的な長さ(以降、「第1のグランド部分長」という)Lg1に応じて表されている。
また、第8図において、破線Bは、第2の並列共振回路22を有し、第1の並列共振回路20sを有さないグランド用接続線17s(以降、「第2のグランド用接続線17s2」という)の、第2の並列共振回路22sが共振している場合の、アンテナ放射効率である。
また、このアンテナ放射効率は、実効的な長さ(以降、「第2のグランド部分長」という)Lg2に応じて表されている。
まず、第1のグランド部分長Lg1について説明する。
第1のグランド用接続線17s1は、携帯電話機2が1.5[GHz]の周波数帯を使用する場合、第1の並列共振回路20sがオープンとなり、第1のグランド部分長Lg1が、第1の接続線18asの長さLl1となる。
第8図によると、第1のグランド部分長Lg1が、0[mm]〜40[mm]程度の長さである場合に、アンテナ放射効率が90%以上となり、極めて良好なアンテナ特性となる。
次に、第2のグランド部分長Lg2について説明する。
第2のグランド用接続線17s2は、携帯電話機2が1[GHz]の周波数帯を使用する場合、第2の並列共振回路22sがオープンとなり、第2のグランド部分長Lg2が、第1の接続線18asの長さLl1、並列共振回路の長さとしての1[mm]および第2の接続線18bsの長さLl2を合計した長さ(Ll1+1+Ll2)となる。
第8図によると、第2のグランド部分長Lg2が、70〜90[mm]近傍である場合に、アンテナ放射効率が90%以上となり、極めて良好なアンテナ特性となる。
第9図において、実線Aは、第1の並列共振回路20sおよび第2の並列共振回路22sを備えるグランド用接続線17s(以降、「第3のグランド用接続線17s3」という)の、第1の並列共振回路20sが共振している場合のアンテナ放射効率を表す。
また、このアンテナ放射効率は、長さ(以降、「第3のグランド部分長」という)Lg3に応じて表されている。
また、第9図において、波線Bは、第2の並列共振回路22sが共振している場合のアンテナ放射効率を表す。
またこのアンテナ放射効率は、アンテナ特性への影響に関して、長さ(以降、「第4のグランド部分長」という)Lg4に応じて表される。
なお、第3のグランド用接続線17s3は、第1の接続線18asの長さLl1を20[mm]で固定し、第2の接続線18bsの長さLl2を可変とする。
第9図によれば、1.5[GHz]の周波数の信号を送受信する場合には、Ll1の長さが固定されているため、一定して97%のアンテナ放射効率となるが、1[GHz]の周波数の信号を送受信する場合には、(Ll1+1+Ll2)の長さが60〜75[mm]程度のときに、アンテナ放射効率が90%以上となり、極めて良好なアンテナ特性になる。
以上のシミュレーション結果より、グランド用接続線の第1の並列共振回路とグランド用部材とを接続する部分の長さが40[mm]以下の長さであれば、アンテナ放射効率が極めて良好であることが判る。
また、グランド用接続線の第2の並列共振回路とグランド用部材とを接続する部分の長さが60〜75[mm]程度の長さであれば、アンテナ放射効率が極めて良好であることが判る。
実施の形態3.
前述の実施の形態1による携帯電話機は、第2の部分体である蓋4bがヒンジ4cによって外装筐体本体4aに開閉自在に設けられたフリップ式であった。
これに対して、本実施の形態による携帯電話機は、実施の形態1による携帯電話機の第2の部分体である蓋4bに相当するスライド式カバーが外装筐体本体にスライド自在に設けられていることを特徴する。
第11図は、実施の形態3による携帯電話機に備えられるスライド式カバーが外装筐体本体に重畳している状態(以下、「重畳状態」という)の携帯電話機の斜視図である。
第12図は、実施の形態3による携帯電話機において、スライド式カバーが外装筐体本体とずれている状態(以下、「ずれ状態」という)を示す斜視図である。
第13図は、実施の形態3による携帯電話機においてスライド式カバーを外装筐体本体から取り外し、そのスライド式カバーのマイクが取り付けられている面の裏面を眺めた斜視図である。
第14図は、実施の形態3による携帯電話機においてスライド式カバーを外装筐体本体から取り外し、外装筐体本体を眺めたときの斜視図である。
実施の形態3による携帯電話機の構成について、第11図から第14図に基づいて説明する。
第11図または第12図において、符号42は実施の形態3による携帯電話機、符号44は携帯電話機42の外装筐体、符号44aは外装筐体44の一部である外装筐体本体(第1の部分体)である。
また、符号44bは外装筐体44の一部で、外装筐体本体44a(第1の部分体)にスライド自在に設けられ、非通話時は外装筐体本体44aに対して重畳状態であり、通話時は外装筐体本体44aに対してずれ状態であるスライド式カバー、符合45は外装筐体本体44aに設けられる受話部、符合47は外装筐体本体44aに設けられるディスプレイである。
また、符合49は外装筐体本体44a(第1の部分体)上に設けられ、スライド式カバー44bが重畳状態の場合は、スライド式カバー44b(第2の部分体)に覆われ、スライド式カバーがずれ状態の場合には、スライド式カバーから露出するテンキーである。
また、符合50はスライド式カバー44bに設けられるマイク、符合51aは、スライド式カバー44bと外装筐体本体44aとがスライド自在に接続されるように、外装筐体本体44aの側面に設けられるスライド用溝である。
また、外装筐体本体44aにおいて、スライド用溝51aが設けられる側面と対向する側面にも、スライド用溝51aと同様のスライド用溝であるスライド用溝51b(図示せず)が設けられている。
第13図および第14図において、符合46は外装筐体本体44aの内部に設けられるグランド用部材、符号53aはスライド式カバー44bに設けられ、スライド用溝51aとスライド自在に係合される爪である。
また、スライド式カバー44bにおいて、爪53aが設けられる面と対向する面にも、爪53aと同様に、スライド用溝51b(図示せず)とスライド自在に係合される爪53b(図示せず)が設けられる。
符合54はスライド式カバー44b上に設けられ、金属板等で構成され、マイク50の音声信号用端子50bと電気的に接続される音声信号線、符号57はマイク50のグランド用端子50aと電気的に接続され、1.5[GHz]の周波数帯域の信号に対して共振する第1の並列共振回路60と、1[GHz]の周波数帯域の信号に対して共振する第2の並列共振回路62とを有するグランド用接続線である。
また、グランド用部材46と第1の並列共振回路60とは、金属板等で構成される第1の接続線58aと後述する突設部66とによって電気的に接続され、第1の並列共振回路60と第2の並列共振回路62とは金属板等で構成される第2の接続線58bによって電気的に接続され、第2の並列共振回路62とマイク50とは金属板等で構成される第3の接続線58cによって電気的に接続される。
符号64は、グランド用部材46の内部に設けられるA/Dコンバータ(図示せず)と電気的に接続され、音声信号線54と接触し、外装筐体本体44aの表面に突設される突設部、符号66はグランド用部材46に電気的に接続され、第1の接続線58aが有する接触部59bまたは第2の接続線58bが有する接触部59aと電気的に接続され、外装筐体本体44aの表面に突設される突設部である。
なお、グランド用接続線57はスライド式カバー44bが突設部66上をスライド自在となるように構成する。
例えば、第13図のように、第1の並列共振回路60または第2の並列共振回路62のいずれか一方または両方が立体的な形状を持つ場合、スライド式カバー44bがスライドすることによりグランド用接続線57が移動し、グランド用接続線57と突設部66とが摺動したとき、第1の並列共振回路60または第2の並列共振回路62のいずれか一方または両方が摺動部分に配置されないように考慮する。
その理由は、第1の並列共振回路60または第2の並列共振回路62によって、摺動が妨げられる場合があるからである。
また、ずれ状態および重畳状態において、グランド用接続線57が突設部66と接触しているよう考慮する。
その理由は、グランド用接続線57が突設部66と接触することによって、グランド用接続線57の電位がグランド用部材46と同じになるからである。
第15図は、スライド式カバー44bが外装筐体本体44aと重畳しているときの状態およびずれているときの状態を説明するための図であり、第15図(a)は携帯電話機42において、スライド式カバー44bが重畳状態である場合に、グランド用部材46、グランド用接続線57、音声信号線54、突設部64および突設部66を描いた図である。
また、第15図(b)は携帯電話機42において、スライド式カバー44bがずれ状態である場合に、グランド用部材46、グランド用接続線57、音声信号線54、突設部64及び突設部66を描いた図である。
本実施の形態による携帯電話機42の動作を説明する。
使用者が携帯電話機42を使用する場合の動作について、第11図または第12図に基づいて説明する。
この携帯電話機42は、通話に使用されない場合は、スライドカバー44bが外装筐体本体44aと重畳状態にある。
この状態において、携帯電話機42は収容性に優れている。
使用者は、携帯電話機42を通話に使用しようとする場合、スライド式カバー44bを外装筐体本体内44bとずれた状態にすることによって、受話部45とマイク50との位置を引き離し、通話を行う。
受話部45とマイク50との位置を引き離すことは、マイク50が重畳状態では使用者の声を十分拾うことが出来ない場合に、より十分に使用者の声を拾うための手段として有効である。
また、マイク50が、重畳状態で使用者の声を十分拾える性能を備えている場合であっても、通話中は使用者の口元にマイク50を配置することを望む使用者からの要求を満たすことができる。
スライド式カバー44bが重畳状態である場合の、携帯電話機42のアンテナ特性に関する動作を第15図(a)に基づいて説明する。
この状態では、グランド用接続線57は、グランド用部材46の近傍に位置するために、アンテナ特性に関する影響において、あたかもグランド用部材46の内部にあるかのような振る舞いをする。
ただし、グランド用部材46の長さはアンテナ特性を極めて良好にするためには、若干長さが足りないので、この状態では、アンテナ特性は十分良好であるが、極めて良好ではない。
スライド式カバー44bがずれ状態にある場合の、携帯電話機42の動作を第15図(b)に基づいて説明する。
この状態では、グランド用接続線57がグランド用部材46から飛び出ている。
したがって、グランド用接続線57が、アンテナ特性に関し、あたかもグランド用部材46の長さ方向の延長部分であるかのような振る舞いをする。
また、第1の並列共振回路60と第2の並列共振回路62とを備えるので、前述の実施の形態1で説明したように、グランド用接続線57の実効的な長さは、周波数に応じて変動させることができ、グランド用部材46の長さを最適とすることができる。
実施の形態3による携帯電話機は、グランド用部材46を有する外装筐体本体44a(第1の部分体)と、この外装筐体本体44aにスライド自在に接続されるスライド式カバー44b(第12部分体)とを備え、複数の周波数帯域を使用する携帯電話機において、スライド式カバー44bに設けられる電子部品と、この電子部品とグランド用部材46との間に設けられ、携帯電話機42が使用する周波数に応じて、アンテナ特性への影響に関し、実効的な長さが変動するグランド用接続線57とを備えるので、複数の周波数のいずれの周波数を使用するときであっても、アンテナ特性が極めて良好な携帯電話機42を実現できる。
また、実施の形態3は、スライド式カバー44bを引き出すことによって、アンテナ特性を向上させることができるので、使用者からの、部材を引き出すことでアンテナ特性向上の実感を得たいとする要求に、特に応えられる携帯電話機を実現できる。
なお、部材を引き出すことでアンテナ特性向上の実感を得たいとする要求は、従来引き出し式の携帯電話機において、アンテナを引き出すことによってアンテナ特性の向上を図ることが多かったことに由来している。
この発明は、携帯電話機等の移動通信装置に利用でき、特に、周波数が異なる複数周波数帯域の信号を用いて送受信を行う携帯電話機あるいは移動通信装置に非常に有効である。
Claims (5)
- アンテナおよびグランド用部材を有する第1の部分体と、この第1の部分体に係合される第2の部分体とを備え、複数の周波数帯域の信号を使用する携帯電話機であって、
前記第2の部分体は、
使用者の声を集音するマイクと、
一端が前記マイクに接続され、他端が前記第1の部分体の前記グランド用部材に接続されており、使用する信号の周波数帯域に応じて実効的なグランド長さを変動させるグランド用接続線とを備え、
前記グランド用接続線は、前記複数の周波数帯域の信号にそれぞれ共振する複数の並列共振回路が直列に配置されていることを特徴とする携帯電話機。 - 前記複数の周波数帯域の信号は、略1.5GHzおよび1GHzの周波数帯域の信号であって、
前記グランド用接続線は、略1.5GHzおよび1GHzの周波数帯域の信号にそれぞれ共振する第1の並列共振回路および第2の並列共振回路を有し、前記グランド用部材との接続部より40mm以下の位置に上記第1の並列共振回路を配置し、前記グランド用部材との接続部より60〜75mmの位置に前記第2の並列共振回路を配置したことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。 - 前記並列共振回路は、プリント印刷された回路であることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電話機。
- 前記第2の部分体は、ヒンジを介して前記第1の部分体に回転自在に係合された蓋であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の携帯電話機。
- 前記第2の部分体は、前記第1の部分体に形成されたスライド用溝を介して前記第1の部分体とスライド自在に係合されたスライド式カバーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯電話機。
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