JP3832168B2 - 硫酸亜鉛溶液からのニッケル分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸性の硫酸亜鉛溶液、特に亜鉛の電解採取に供される亜鉛電解液から溶解性ニッケルを分離除去する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
亜鉛の電解採取に際して、ニッケルは電解液中に存在する不純物としては最も悪影響のある金属とされている。例えば、0.5mg/リットル程度のニッケルイオンが亜鉛電解液中に存在すると、陰極に電着した亜鉛の再溶解を引き起こし、更に1〜2mg/リットルまで増加すると電解の継続が困難となる。
【0003】
この現象は、陰極面に析出したニッケル粒子の表面が低い水素過電圧を示すので、容易に水素が発生するためである。その結果、電解の電流効率を悪化させ、更に極端な場合には、陰極母板まで貫く水素の腐食孔を発生させることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、亜鉛の電解採取に供される電解液のような硫酸亜鉛溶液から、有害な不純物であるニッケルを効率的に分離除去する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明が提供する硫酸亜鉛溶液からのニッケルの分離方法は、硫酸亜鉛溶液中の遊離硫酸を除去し、該溶液中に塩基性亜鉛塩を添加した後、ジメチルグリオキシムを添加して溶解性ニッケルを沈殿として分離することを特徴とする。
【0006】
上記本発明の硫酸亜鉛溶液からのニッケル分離方法においては、前記塩基性亜鉛塩を、前記硫酸亜鉛溶液中の溶解性ニッケルとジメチルグリオキシムとが反応して発生する遊離硫酸の2当量以上添加する。
【0007】
また、予め前記硫酸亜鉛溶液中の遊離硫酸を除去するために、該溶液中の遊離硫酸に対し1当量の塩基性亜鉛塩を添加して遊離硫酸を中和することができる。
【0008】
また、前記ニッケル錯体の沈殿生成を効率良く行うためには、反応中の硫酸亜鉛溶液のpHを5〜5.5に維持することが必要である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、ニッケルの定量分析に用いられる方法、即ちニッケルとジメチルグリオキシムとで錯体を形成させて、ビス(ジメチルグリオキシマト)ニッケル(bis(dimethylglyoximate)nickel(II))として固液分離する方法を、酸性硫酸亜鉛溶液中の溶解性ニッケルの除去に適用したものである。
【0010】
一般に、ニッケルとジメチルグリオキシムとは、他のα−ジオキシム類と同様に、酢酸塩緩衝溶液又はアルカリで反応し錯体を形成し、選択的に赤色の沈殿を生成する。ジメチルグリオキシムは他の多くの金属類とも反応するが、沈殿とはならない。ニッケルとの反応により生成する錯体は水に難溶性であり、溶解度は9.7×10−7mol/リットルである。
【0011】
ニッケルとジメチルグリオキシムとの反応を下記化学式1に示す。この反応は、化学量論的には、ニッケル1gに対してジメチルグリオキシム3.97gを要する。
【0012】
【化1】
2C4H8O2N2+Ni2+=Ni(C4H7N2)2+2H+
【0013】
しかしながら、硫酸亜鉛溶液中においては、遊離硫酸のほとんど存在しないpH領域であっても、単純にジメチルグリオキシムを添加するだけでは、ニッケルを上記錯体として沈殿させることが困難である。
【0014】
この問題に対して、本発明者らの研究により、予め硫酸亜鉛溶液中の遊離硫酸を除去すること、及び硫酸亜鉛溶液中に塩基性亜鉛を存在させることによって、溶液中のニッケルが効率良く錯体として沈殿することが判明した。
【0015】
予め硫酸亜鉛溶液中の遊離硫酸を除去するには、遊離硫酸を中和すれば良く、好ましくは硫酸亜鉛溶液中の遊離硫酸に対して1当量の塩基性亜鉛塩を添加して遊離硫酸を中和する。また、硫酸亜鉛溶液中に塩基性亜鉛塩を存在させることにより、上記ニッケルとジメチルグリオシムの反応時に生成する水素イオン(溶液中で遊離硫酸を生成する)を消費して、pHの低下を防止する。この場合の塩基性亜鉛塩の添加量は、硫酸亜鉛溶液中の溶解性ニッケルとジメチルグリオキシムとが反応して発生する遊離硫酸の2当量以上とすることが好ましい。
【0016】
塩基性亜鉛塩としては、酸化亜鉛(ZnO)、炭酸亜鉛(ZnCO3)、水酸化亜鉛(Zn(OH)2)等が適当である。また、塩基性亜鉛塩の代わりに水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属の水酸化物を添加しても良く、この場合には溶液中において水酸化亜鉛が生成するので、同様の効果を得ることができる。
【0017】
このようにジメチルグリオキシムでニッケルの錯体を形成させ、効率良く沈殿させるためには、硫酸亜鉛溶液のpHを5以上に維持することが好ましい。しかしながら、亜鉛電解採取における硫酸亜鉛溶液の酸性浴は、pH5.5以上になると亜鉛が水酸化物を生成する領域であるため、pH5.0〜5.5の範囲とする必要がある。
【0018】
かかる本発明方法により、硫酸亜鉛溶液中のニッケルを効果的に沈殿除去するためには、溶液中に存在するニッケル重量の4倍以上のジメチルグリオキシムを添加することが好ましい。ニッケル重量の4倍以上のジメチルグリオキシムを添加することにより、溶液中に残留するニッケル量を1mg/リットル以下とすることができる。
【0019】
【実施例】
遊離硫酸の比較的少ない硫酸亜鉛溶液中に酸化亜鉛を添加し、攪拌をおこなって遊離硫酸を消費させた後、余剰の酸化亜鉛を濾過して除去することにより、遊離硫酸の極めて少ない硫酸亜鉛溶液を得た。この硫酸亜鉛溶液の亜鉛濃度を50g/リットル、ニッケル濃度を100mg/リットルに調整した。尚、ニッケル濃度の調整は、硫酸ニッケル(6水塩)を添加することによって行った。
【0020】
上記のごとく濃度調整した硫酸亜鉛溶液に、酸化亜鉛(ZnO)を溶液1リットル当たり200mg添加した。次に、ジメチルグリオキシム(DMG)を下記表1に示すように0〜600mg/リットルの添加量で添それぞれ加し、十分に攪拌してニッケルの除去を行った。その後、各硫酸亜鉛液中の残留ニッケル濃度とpHを測定し、その結果をジメチルグリオキシムの添加効率と共に下記表1に示した。
【0021】
比較のために、上記ごとく濃度調整した硫酸亜鉛溶液に酸化亜鉛を添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、ニッケルの除去を行い、その結果も表1に併せて示した。
【0022】
【表1】
【0023】
上記の表1から分かるように、酸化亜鉛を添加して溶液のpHを5.0〜5.5の範囲に維持することによって、硫酸亜鉛溶液中の溶解性ニッケルを効率よく沈殿分離することができる。また、ジメチルグリオキシムの添加量を溶液中のNi量の4倍以上とすることによって、硫酸亜鉛溶液中のニッケル量を1mg/リットル以下の低い濃度にまで低下させることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、亜鉛電解採取に用いる硫酸亜鉛溶液中の不純物であるニッケルを、簡単な方法で極低濃度まで効率的に除去することが可能
である。
Claims (7)
- 予め硫酸亜鉛溶液中の遊離硫酸を除去し、該溶液中に塩基性亜鉛塩を添加した後、ジメチルグリオキシムを添加して溶解性ニッケルを沈殿として分離することを特徴とする硫酸亜鉛溶液からのニッケル分離方法。
- 前記塩基性亜鉛塩を、前記硫酸亜鉛溶液中の溶解性ニッケルとジメチルグリオキシムとが反応して発生する遊離硫酸の2当量以上添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の硫酸亜鉛溶液からのニッケル分離方法。
- 予め前記硫酸亜鉛溶液中の遊離硫酸を除去するために、該溶液中の遊離硫酸に対し1当量の塩基性亜鉛塩を添加して遊離硫酸を中和することを特徴とする、請求項一に記載の硫酸亜鉛溶液からのニッケル分離方法。
- 前記沈殿生成中の硫酸亜鉛溶液のpHを5〜5.5に維持することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の硫酸亜鉛溶液からのニッケル分離方法。
- 前記塩基性亜鉛塩が酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の硫酸亜鉛溶液からのニッケル分離方法。
- 前記塩基性亜鉛塩として、アルカリ金属の水酸化物を前記硫酸亜鉛溶液に添加して水酸化亜鉛を生成させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の硫酸亜鉛溶液からのニッケル分離方法。
- ジメチルグリオキシムの添加量を、前記硫酸亜鉛溶液中のニッケル重量の4倍以上とすることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の硫酸亜鉛溶液からのニッケル分離方法。
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