JP2013076109A - 金属マンガンの電解採取による製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硫酸マンガン溶液からの電解採取による金属マンガンの製造方法において、排水処理が容易で環境上の問題のない添加剤を使用することにより電着効率を改善する方法を提供する。
【解決手段】硫酸マンガンを含有する水溶液からの金属マンガンの電解採取による製造方法であって、当該水溶液をカソード側とアノード側が隔膜によって隔離された電解槽中に投入する工程と、金属マンガンをカソード側に電解採取する工程とを含み、電解採取をカソード側の水溶液中に亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩が存在する条件下で行う方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属マンガンの電解採取による製造方法に関し、特に硫酸浴からの電解採取による金属マンガンの製造方法において、添加剤を用いることで電着状態を改善する方法に関する。
リチウムイオン2次電池は、携帯電話、ノートパソコン、それに自動車用などに、近年急速に需要が拡大している。そのため今後、廃棄されるリチウムイオン2次電池の量も大きくなると予想されている。マンガンなどのレアメタルは、鉱石産出国が限られていることから、今後の価格高騰に備え、国内でリサイクルの方法を確立する必要がある。
マンガンなどのレアメタルをリチウムイオン電池から回収する方法として、例えば、特開2009−193778号公報(特許文献1)に記載される方法がある。
この方法では、正極物質を含むリチウムイオン電池滓を、硫酸や塩酸等の浸出液を用いて浸出する。浸出後液を苛性ソーダ等で中和後に、マンガンを溶媒抽出で分離し、さらに希硫酸で逆抽出することで、硫酸マンガン溶液を得る。その後、この溶液を苛性ソーダや炭酸ソーダ等で中和し、MnをMn(OH)2、MnCO3等として回収することが記載されている。
一方、硫酸マンガン溶液から金属マンガンを電解採取する方法が知られている。マンガンは酸性の強い液からは電着しないため、隔膜を用いてアノード側とカソード側を隔離し、カソライトのpHを制御しながら電解する隔膜電解の技術を用いて電着させる。このとき、添加剤を加えて電着を改善する工夫がなされる。
硫酸浴における、マンガンの電着方法としては例えば、特公昭41−19282号公報(特許文献2)及び特公昭45−15610号公報(特許文献3)がある。これらの発明では、硫酸マンガンと硫酸アンモニウムからなる電解液に、二酸化セレンや亜セレン酸塩などのセレン化合物を添加することで、金属マンガンを電解採取する際の電流効率や操業性を改善している。
具体的な利点として、
(1)電解液への精製において、従来のように極めて高純度な電解液の精製を行わなくても、従来より優れた電流効率で高純度のマンガンが得られること
(2)電解組成である硫酸マンガン、硫酸アンモニウムの最適濃度範囲が、従来の厳しい濃度範囲より拡大されて操業操作が容易になり、且つ経済的に有利な条件で電解製造が可能になったこと
(3)アノライトとカソライトのpH制御が従来より容易になり、電解液のpH変化が従来法より減少したこと
が特許文献2に列挙されている。
特開2009−193778号公報 特公昭41−19282号公報 特公昭45−15610号公報
特開2009−193778号公報(特許文献1)では、リチウムイオン滓から硫酸マンガン溶液を得て、マンガンを水酸化物や炭酸塩の形態で回収する方法が記載されているが、金属マンガンの形態で回収するニーズも存在する。その場合、特公昭41−19282号公報(特許文献2)や特公昭45−15610号公報(特許文献3)に記載のようなMnの電解採取法は有望な技術であると考えられる。
ところが、特公昭41−19282号公報(特許文献2)及び特公昭45−15610号公報(特許文献3)で添加している二酸化セレンや亜セレン酸塩などのセレン化合物は、安定で酸化還元が起こりにくく、難溶性塩を生成せず共沈や吸着反応など複雑な条件を用いないと沈澱分離できないため、マンガンを採取した後の電解液の排水処理が難しい。
上記事情に鑑みて、本発明は、硫酸マンガン溶液からの電解採取による金属マンガンの製造方法おいて、排水処理が容易で環境上の問題のない添加剤を使用することにより電着効率を改善する方法を提供することを課題とする。
この問題を解決するため、本発明者らは種々の検討を行った結果、電解採取時のカソライト電解液の添加剤に、亜硫酸ナトリウム及びリグニンスルホン酸塩を用いることによって、この問題を解決できるとの知見を得た。
本発明は一側面において、硫酸マンガンを含有する水溶液からの金属マンガンの電解採取による製造方法であって、当該水溶液をカソード側とアノード側が隔膜によって隔離された電解槽中に投入する工程と、金属マンガンをカソード側に電解採取する工程とを含み、電解採取をカソード側の水溶液中に亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩が存在する条件下で行う方法である。
本発明に係る金属マンガンの電解採取による製造方法の一実施形態においては、リグニンスルホン酸塩は、前記水溶液中にマンガンの理論電着量1kg当たり0.2〜1.2gで添加される。
本発明に係る金属マンガンの電解採取による製造方法の別の一実施形態においては、亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩が電解採取中にカソード側の前記水溶液に連続的に添加される。
本発明に係る金属マンガンの電解採取による製造方法の更に別の一実施形態においては、亜硫酸塩が亜硫酸ナトリウムであり、リグニンスルホン酸塩がリグニンスルホン酸ナトリウムである。
本発明に係る金属マンガンの電解採取による製造方法の更に別の一実施形態においては、前記水溶液が硫酸ナトリウムを含有する。
本発明に係る金属マンガンの電解採取による製造方法の更に別の一実施形態においては、アノードが不溶性アノードであり、カソードがステンレス製である。
上記発明により、環境上問題のあるセレン化合物を使わずに高い電着効率でマンガンを電解採取することができる。
リチウムイオン廃電池滓から金属マンガンを得るまでの一連の工程の一例を示すフロー図である。 実施例で使用した電解槽の概形を示す。 発明例1のマンガンの電着写真である。 比較例3のマンガンの電着写真である。
本発明に係る硫酸マンガンを含有する水溶液からの金属マンガンの電解採取による製造方法においては、当該水溶液をカソード側とアノード側が隔膜によって隔離された電解槽中に投入する工程と、金属マンガンをカソード側に電解採取する工程とを含み、電解採取をカソード側の水溶液中に亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩が存在する条件下で行う。
硫酸マンガンを含有する水溶液としては、特に制限はないが、例えば特開2009−193778号公報(特許文献1)に記載のように、リチウムイオン電池の正極材に含まれる金属成分を硫酸浸出し、浸出後液中のMnをジ−2−エチルヘキシル燐酸(D2EHPA)等で溶媒抽出し、更に硫酸水溶液で逆抽出した後の水溶液とすることができる。従って、本発明で処理対象とする硫酸マンガンを含有する水溶液は一実施形態において、硫酸酸性である。
図1には、Mn、Co、Ni及びLiを含有する廃リチウムイオン電池滓から各金属を回収する全体のプロセスの一例が記載されている。当該プロセスでは、廃リチウムイオン電池滓は硫酸(及び過酸化水素)で浸出した後、浸出後液から不純物として含まれ得るCu、Al及びFeを中和沈殿処理などの方法により除去する。次いで、D2EHPA等で溶媒抽出することで、MnをCo、Ni及びLiから分離する。溶媒抽出されたMnは硫酸水溶液等で逆抽出すると、硫酸マンガンを含有する逆抽出液が得られる。これに対しては、本発明の電解採取法を採用することで金属Mnを製造することができる。溶媒抽出されなかったCo、Ni及びLiに対しては、2−エチルヘキシル2−エチルヘキシルホスホネート(PC−88A)等で溶媒抽出することで、CoをNi及びLiから分離する。溶媒抽出されたCoは硫酸浴中で電解採取することができる。溶媒抽出されなかったNi及びLiに対しては、更にバーサティック酸(VA−10)等でNiを溶媒抽出する処理が行われる。Liと分離し抽出したNiは硫酸水溶液等で逆抽出して硫酸ニッケルを含有する逆抽出液が得られる。このNiを含む逆抽出液を炭酸ナトリウムなどの炭酸塩と反応させることで炭酸ニッケルを回収する。VA−10でNiを抽出した後の液にはLiが残る。この液に炭酸ナトリウムなどの水溶性炭酸塩水溶液を反応させることで難溶性の炭酸リチウムを回収することができる。
このように、本発明は廃リチウムイオン電池滓からMn、Co、Ni及びLiを回収するプロセスの中に組み込むことができる。
硫酸マンガンを含有する水溶液は、pHが中性付近となるよう調節することが望ましい。後述する方法で電解槽にマンガン水溶液を供給した際にカソライトのpHが低下するとMn電着の電流効率が低下する。また添加剤として加える亜硫酸塩がカソライト内で分解しやすくなる。一方、pHが高すぎると水溶液中のマンガンイオンの酸化が進みやすくなる。これらの理由により、pHが6〜9の範囲とするのが好ましく、7〜8の範囲とするのがより好ましい。
本発明で処理対象とする硫酸マンガンを含有する水溶液は一実施形態において、硫酸ナトリウムを含有する。硫酸ナトリウムは、支持電解質として液の導電性の向上や電解時のカソライトpHの安定化に寄与するので、存在する方が望ましいと考えられる。特に、リチウムイオン電池の正極材に含まれるMnを溶媒抽出及び逆抽出する過程では特開2009−193778号公報(特許文献1)に記載のように中和のために苛性ソーダを添加する場合が多く、その場合は、得られた水溶液は硫酸ナトリウムを含有することが多い。従って、工業的に先例のある、硫酸アンモニウムを添加した電解液で効果があるとされた添加剤(セレン化合物)が、硫酸ナトリウムを含む液に対しては金属マンガンの電着状態を改善する上で十分な効果が得られないことから、本発明が硫酸ナトリウムを含有する場合にも好適に適用できるというのは利点の一つであると考えられる。
本発明によるマンガンの電解採取では、カソード側とアノード側が隔膜によって隔離された電解槽を使用する。これは、カソード付近の水溶液のpHが低下してしまうとマンガンが電着しにくくなるため、アノードで生成した酸によるカソード付近でのpHの低下を防ぐためである。隔膜としては、アノライトとカソライトの混合を防ぐ一方、カソライト側に給液した分の量の液がアノライト側に抜けるだけの通液性があり、かつ膜を通して所定の電流が流れる限り特に制限は無いが、例えば耐酸テトロンやテフロン(登録商標)、あるいはポリプロピレン製の耐酸濾布等が挙げられる。カソードの材質としては限定的ではないが例えば硫酸に対して耐性がありかつ電着した金属Mnの剥離が容易なステンレス、チタンなどが使用でき、これらの中では安価なステンレスが好ましい。アノードの材質としては硫酸に対して耐性を有する不溶性陽極、例えばDSE、PbないしはPb合金等が使用でき、汚染防止の観点からはDSEが好ましい。
電解槽に投入された硫酸マンガンを含有する水溶液の電解採取時における温度は特に制限はないが、常温(10〜45℃)で問題なく実施できる。
電解採取元液(硫酸マンガンを含有する水溶液)は、電解槽のカソライト(陰極側の水溶液)側に対し連続して加えることにより、電解採取によって電解槽内の電解液から失われていくマンガンを補充することが、安定した電着状態が得られるようカソライトの組成を維持するためには望ましい。また、これに伴って、マンガン濃度の低いアノライト(陽極側の水溶液)側から補充分に相当する電解液を抜き出すことが液量を一定に保つために望ましい。
本発明においては、マンガンの電解採取をカソード側の水溶液中に亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩が存在する条件下で行う。亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩の何れか一方のみが存在するだけでは十分な効果は得られないが、両者を併用することで電着効率や電着状態が有意に改善する。亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩を含有する電解採取した後の電解液は、有害な成分を含まずまた添加した亜硫酸塩やリグニンスルホン酸塩は自然界で分解性を有するので排水処理が容易であり、環境への影響はセレン化合物に比べて格段に低い。
亜硫酸塩は主に電着効率を改善するのに役立つ添加剤である。具体的には、亜硫酸塩は、アノライト側での酸化マンガン発生を抑える他、カソライトの酸化によるカソライト側での電着電流の浪費を防ぐ働きをする。亜硫酸塩としては特に制限はないが、水溶液としての溶解度の点でアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩が好ましく、その中でも工業薬品として安価に入手できる亜硫酸ナトリウムが特に好ましい。添加すべき亜硫酸塩の量は、例えばMn理論電着量1kgあたり20〜250gとすることができる。
リグニンスルホン酸塩は主に電着状態を改善する効果がある。具体的には、電極表面への電圧集中を和らげ、電着面を平滑化して、綺麗に電着させる働きをする。リグニンスルホン酸塩としては特に制限はないが、水溶液としての溶解度が高いアルカリ金属又はアルカリ土類金属との塩が好ましく、その中でも溶けやすくかつ工業品が入手しやすいリグニンスルホン酸ナトリウムが特に好ましい。
リグニンスルホン酸塩の添加量には適正範囲がある。電着するマンガンの理論電着量1kgあたり、リグニンスルホン酸塩を0.2〜2.0gの範囲とするのが好ましく、0.5〜1.5gの範囲とするのがより好ましく、0.8〜1.2gの範囲とするのが更により好ましく、中心条件としてはほぼ1g/kg・Mnの比率(0.9〜1.1g)で加えるのが最も好ましい。添加量が少ない場合は電着面は平滑化するものの、カソード板のエッジに電着したマンガンがトゲ状に成長しやすくなる。過剰に添加すると、電着効率が低下すると共に平滑な電着面が得られにくい。
電着を良好にするための添加剤としては、ニカワ等の高分子及びイノゲン等の界面活性剤も考えられるが、これらを添加した場合は、カソード板のエッジ付近においてトゲが成長しやすいという問題が生じる。
亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩は、電解槽内に電解採取元液(硫酸マンガンを含有する水溶液)と別個に供給してもよいし、電解採取元液に必要な量をあらかじめ添加・混合して一緒に電解槽に供給してもよい。更には亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩を電解採取中にカソード側の電解液(硫酸マンガンを含有する水溶液)に連続的に添加することも可能である。
以下、本発明の内容を実施例により説明する。
(発明例1)
電解槽は、濾布(ポリプロピレン製の耐酸濾布)でカソード側とアノード側を隔てた隔膜電解槽を用いた。図2に、概略の図を示す。
電解槽の大きさは2.6L、極板面積はカソード・アノードとも70cm2、電流密度は400A/m2、電流は2.8Aとした。
硫酸マンガンを含有する水溶液として、以下のプロセスによって得たマンガン逆抽出液を使用した。廃リチウムイオン電池から正極材を取り出して硫酸及び過酸化水素を含有する浸出液で浸出した後、中和沈殿処理等によってCu、Al及びFeを除去し、D2EHPAでMnを溶媒抽出し、次いで硫酸水溶液で逆抽出し、マンガン逆抽出液を得た。これに対して苛性ソーダを添加して、pHを7〜8に調整した。このマンガン逆抽出液はMnSO4:38−41g/L、Na2SO4:36−43g/Lを含有していた。
このマンガン逆抽出液を給液速度5mL/分でカソード側に連続的に給液した。液は濾布を経て、アノード側に入り、アノード槽からオーバーフローで排出される。DSEアノードとSUS板カソードを用いて、常温で、電解採取試験を実施した。
カソライトへの添加剤に、亜硫酸ナトリウムと、リグニンスルホン酸ナトリウム(商品名サンエキス、日本製紙ケミカル社製)を用いた。
亜硫酸ナトリウムは、26g/Lの濃度の水溶液として、0.5mL/分の割合で連続的にカソライト中へ添加した。(添加量は、マンガン理論電着量1kgにつき、20%の200gに相当。)
リグニンスルホン酸ナトリウムは、100mg/Lの濃度の水溶液として、0.5mL/分の割合で連続的にカソライト中へ添加した。(添加量はマンガン理論電着量1kgにつき、1.05gに相当する。)
この条件で29時間通電した結果、電着面は平滑になり、電着効率(カソードに電着した重量を、理論電着量で割って百分率にしたもの)は、56.1%となった(表1)。発明例1によって得られたマンガンの電着状態を図3に示す。
(比較例1)(添加剤を使わない場合)
添加剤の効果を比較するため、添加剤を何も用いない場合について、電着性を調べた。
添加剤を添加しなかった以外は、発明例1と同じ条件でマンガンの電解採取試験を行った。
この条件で19.5時間通電した結果、殆ど金属マンガンは電着せず、電着効率は、9.8%と極めて低かった(表1)。また、カソライトのpHが上昇し、茶色にひどく濁った。
(比較例2)(亜硫酸ナトリウム添加の場合)
添加剤を何も用いない場合に、カソライトが濁ってしまったことを踏まえて、pH上昇とMnの酸化を抑えるために、亜硫酸ナトリウムを添加した。
添加剤の添加条件を変更した以外は、発明例1と同じ条件でマンガンの電解採取試験を行った。
カソライトには、発明例1と同じ濃度の亜硫酸ナトリウムの水溶液を、同じ添加速度で連続的に添加した。
(添加量は、マンガン理論電着量1kgにつき、20%の200gに相当。)
21.5時間通電した結果、電着面は比較的平滑になったが、ざらつきやエッジのバリ、トゲが目立った(表1)。電着効率は、52.7%となった。カソライトは、濁らず透明なままであった。
(比較例3)(セレン化合物を使う、既存技術の場合)
添加剤として既存の発明である、特許文献3に記載されているセレン化合物(二酸化セレン水溶液)とセレンの還元防止剤(亜硫酸ナトリウム)を添加して、電解採取試験を行った。
添加剤の添加条件を変更した以外は、発明例1と同じ条件でマンガンの電解採取試験を行った。
この試験では、亜硫酸ナトリウムは、発明例1及び比較例2と同じく、26g/Lの濃度の水溶液として、0.5mL/分の速度で、カソライトに連続的に添加した。
別の添加剤として、電解槽に供給するマンガン水溶液に0.5g/Lの濃度となるよう二酸化セレン水溶液を加えた。得られた混合液を、前記の発明例1と同じく、5mL/分の割合でカソード側に連続的に給液した。
40時間通電した結果、電着面は粗大になり、エッジにもトゲが目立った。また、このトゲがコブ状になり、電解槽内に落下し、再溶解した。電着効率は、48.9%となった(表1)。比較例3で得られたマンガンの電着状態を図4に示す。
(比較例4)(他の有機添加剤(にかわ)を使用した場合)
銅電解などで使われるにかわが、マンガン電解の電着性改善に寄与しないかと考え、にかわを加えた電解採取試験を実施した。添加剤としてはにかわの他に亜硫酸ナトリウムも添加した。
添加剤の添加条件を変更した以外は、発明例1と同じ条件でマンガンの電解採取試験を行った。
亜硫酸ナトリウムは、発明例1と同じ濃度及び添加速度で、カソライトに連続的に添加した。
にかわは、0.2g/Lの濃度の水溶液として、同じく0.5mL/分の速度でカソード側に連続的に添加した。(添加量は、マンガン理論電着量1kgにつき0.11gに相当。)
18時間通電した結果、電着面は発明例1よりも凹凸が多く、更にはエッジのトゲ成長が顕著であった。電着効率は、53.6%となった(表1)。
(比較例5)(他の有機添加剤(界面活性剤)を使用した場合)
鉛電解の電着性改善に寄与する有機添加剤であるノイゲンの添加により、マンガンの電着性が改善されることを期待して、電解採取試験を行った。
添加剤の添加条件を変更した以外は、発明例1と同じ条件でマンガンの電解採取試験を行った。添加剤としてはノイゲン(非イオン界面活性剤、第一工業製薬)と亜硫酸ナトリウムの2種類を用いた。
亜硫酸ナトリウムは、発明例1と同じく26g/Lの濃度の水溶液として、0.5mL/分の速度で、カソライト中へ連続的に添加した。(添加量は、マンガン理論電着量1kgにつき、20%の200gに相当。)
ノイゲンは、電解液に100mg/Lの濃度となるようあらかじめ溶解した。その電解液を、他の例と同様に、5mL/分の割合でカソード側に連続的に給液した。(添加量は、マンガン理論電着量1kgにつき10.45gに相当。)
46.5時間通電した結果、電着面は比較的平滑になってはいるが、細かい荒れがありエッジが現れ、電着効率は、42.5%となった(表1)。
(発明例2−A)(リグニンスルホン酸塩の添加量の変化による影響)
リグニンスルホン酸ナトリウムの添加量を変えた場合の影響を調べた。リグニンスルホン酸ナトリウムの添加条件を変えた以外は、発明例1と同じ条件でマンガンの電解採取試験を行った。
リグニンスルホン酸ナトリウムは、発明例1の二倍の濃度200mg/Lの濃度の溶液として、0.5mL/分の割合でカソライト中へ添加した。(添加量は発明例1の2倍、マンガン理論電着量1kgにつき、2.1gに相当する。)
18時間通電した結果、添加剤を全く添加しない比較例1よりも電着効率は向上し、24.1%となったが、電着面の平滑度合いは発明例1に比べて劣っていた。(表2)。
(発明例2−B〜2−E)
同様にして、リグニンスルホン酸ナトリウムの濃度を変えて添加量を0.33〜1.97g/kg・Mnの範囲で変えた結果を、表2にまとめた。添加剤を全く添加しない場合よりも電着効率は上昇したが、添加量が増えるほど、電流効率が低下する傾向が見られる他、発明例1の条件よりやや高い領域でも電着面に荒れが見られた。一方、発明例1の条件より添加量の低いほうでは、電着面の状態は平滑だが、発明例1に比べて、エッジのトゲ成長が促される傾向があった。リグニンスルホン酸ナトリウム無添加(比較例2)と比べると、リグニンスルホン酸ナトリウムの好適な添加量は0.33〜1.05g/kg−Mnであり、特に1.05g/kg−Mnが最も好ましかった。
10 電解槽
11 アノード
12 カソード
13 電解液
14 隔膜

Claims (6)

  1. 硫酸マンガンを含有する水溶液からの金属マンガンの電解採取による製造方法であって、当該水溶液をカソード側とアノード側が隔膜によって隔離された電解槽中に投入する工程と、金属マンガンをカソード側に電解採取する工程とを含み、電解採取をカソード側の水溶液中に亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩が存在する条件下で行う方法。
  2. リグニンスルホン酸塩は、前記水溶液中にマンガンの理論電着量1kg当たり0.2〜1.2gで添加される請求項1に記載の金属マンガンの電解採取による製造方法。
  3. 亜硫酸塩及びリグニンスルホン酸塩が電解採取中にカソード側の前記水溶液に連続的に添加される請求項1又は2に記載の金属マンガンの電解採取による製造方法。
  4. 亜硫酸塩が亜硫酸ナトリウムであり、リグニンスルホン酸塩がリグニンスルホン酸ナトリウムである請求項1〜3の何れか一項に記載の金属マンガンの電解採取による製造方法。
  5. 前記水溶液が硫酸ナトリウムを含有する請求項1〜4の何れか一項に記載の金属マンガンの電解採取による製造方法。
  6. アノードが不溶性アノードであり、カソードがステンレス製である請求項1〜5の何れか一項に記載の金属マンガンの電解採取による製造方法。
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