JP3831275B2 - 保持具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルを介して挿通される細長な処置具、或いはプローブが配置される保持具に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内視鏡は医療用分野及び工業用分野で広く用いられている。特に、挿入部が軟性の内視鏡では、この挿入部を屈曲した体腔内に挿入することにより、切開することなく体腔内深部の臓器を診断したり、必要に応じて内視鏡に設けられている処置具挿通チャンネル内に処置具を挿通して、生体組織の採取やポリープを切除するなどの治療・処置を行える。
【0003】
しかし、挿入部が細長な内視鏡を、例えば肛門側から体腔内に挿通させて下部消化管内の検査を行う場合等、挿入部を屈曲した管内に円滑に挿入するためにはある程度の熟練を必要とした。これは、挿入部の先端位置が体腔内のどの位置にあるのかとか、現在の挿入部の挿入状態を知ることができないためであった。
【0004】
前記内視鏡の挿入部の挿入状態を知るため、本出願人は、特願2001‐239754号に挿入形状検出プローブを提案している。この挿入形状検出プローブでは、内視鏡に設けられている処置具挿通チャンネル内に、必要に応じて挿通配置することによって、挿入部形状の検出を高精度に行える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、処置具挿通チャンネル内には前記挿入形状検出プローブの他にも処置具等が挿通される。このため、前記処置具挿通チャンネル内に処置具を挿通するときには、一旦、挿入形状検出プローブを処置具挿通チャンネルから抜去し、他の処置具を使用している間、前記挿入形状検出プローブを保持具等に吊るし下げておかなければならない。
【0006】
しかし、この挿入形状検出プローブが細長であるため、検査室の床等に接触させることなく吊り下げることは難しく、当然、術者一人でその作業をすることは困難であった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、術者一人で、容易、かつ衛生的に吊り下げ作業を行える保持具を提供することを目的にしている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の保持具は、長尺形状を呈する医療処置具を保持する保持具であって、床面に載置される医療機器の側面より延設されたアーム部であって当該側面に対して回動自在に配設されたアーム部の先端部に垂設された突片に嵌入固定可能な嵌入孔部と、前記嵌入孔部が前記突片に嵌入した際、当該嵌入孔部より前記アーム部の延出方向先端寄りに形成された、前記医療処置具の中途部が挿通可能な所定幅寸法の切り欠き部を有する保持溝と、前記嵌入孔部が前記突片に嵌入した際、前記保持溝より前記アーム部の延出方向先端寄りにおいて、前記医療処置具の先端部が配置可能な所定径を有して穿設された保持孔とを具備したことを特徴とする。
【0009】
そして、前記保持溝の深さ寸法を、前記処置具、或いはプローブの中途部を少なくとも二回配置可能に形成している。
また、前記保持溝の底部と、前記保持孔の上部との間に所定間隔を設けている。
【0010】
これらの構成によれば、処置具、或いはプローブの中途部を切り欠き部を通して保持溝に複数回配置し、最後に、処置具、或いはプローブの先端部を保持孔に通すことによって、細長な処置具、或いはプローブは複数の輪状部を作って保持具に安定して吊り下げられる。
【0011】
また、処置具、或いはプローブの先端部を、最後に保持孔に通すとき、又は、保持具に吊り下げられているプローブを再び、処置具挿通チャンネルに挿通させるとき、手をプローブの中途部に接触させることなく、プローブの先端部の把持を行える。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を具体的に説明する。◎
図1ないし図9は本発明の一実施形態にかかり、図1は挿入部形状観察装置を説明する図、図2は保持具を説明する斜視図、図3は保持具を説明する側面図、図4は図3のA‐A線断面図、図5は保持具と取り付け具との関係を説明する図、図6は他の構成の取り付け具を説明する図、図7は保持具にプローブを吊り下げた状態を説明する図、図8は他の構成の保持具を説明する図、図9は別の構成の保持具を説明する図である。
【0013】
なお、図6(a)は取り付け具を説明する斜視図、図7(b)は取り付け具に配置した保持具を示す図である。
【0014】
図1に示すように本実施形態の保持具20は、例えば、挿入形状検出プローブ(以下、プローブと略記する)1が使用される内視鏡装置2で用いられる。前記内視鏡装置2は、被検者の体腔内等に例えば肛門から挿入されて観察部位の観察を行う内視鏡3と、この内視鏡3で撮像して得られた撮像信号から映像信号を生成するビデオプロセッサ4と、このビデオプロセッサ4からの映像信号を内視鏡画像として表示するモニタ5と、前記被検者が横たわり、前記プローブ1からの磁界を検知する挿入形状検出用ベッド6と、前記プローブ1を駆動するとともに、前記挿入形状検出用ベッド6で検知した磁界に対応する信号から前記内視鏡3の体腔内での挿入形状を画像化した映像信号を出力する挿入形状検出装置7と、この挿入形状検出装置7から出力された映像信号を基に挿入部形状画像を表示するモニタ8と、前記挿入形状検出装置7に基端部が例えば回動自在に配置され、先端部である取付け部に前記保持具20が配置される取り付け具である細長なアーム部材30とで主に構成されている。
【0015】
前記内視鏡3は、体腔内に挿入される細長な挿入部11と、この挿入部11の基端側に連設する把持部を兼ねる操作部12と、この操作部12の側部から延出してビデオプロセッサ4等の外部装置に接続されるユニバーサルコード13とを有して構成されている。
【0016】
前記プローブ1は、内視鏡3の操作部12に設けられた処置具挿入口14から処置具挿通チャンネル15内に挿入配置される。このプローブ1には、形状検出素子として例えば磁界を発生する磁界発生素子として、複数のソースコイル16が配設されている。このプローブ1は、コネクタ部1aを介して前記挿入形状検出装置7に接続される。
【0017】
前記アーム部材30は、術中、ベッド6側に回動配置される。このことにより、保持具20を術者の手元近くに配置させられる。そして、この保持具20に図中の破線に示すようにプローブ1を配置させることにより、細長なプローブ1の中途部及び先端部が床面に触れることなく、吊り下げられるようになっている。
【0018】
図2ないし図4を参照して保持具20の詳細を説明する。
前記保持具20は、プローブ1を保持する目的の場合、弾性を有する素材である例えばシリコンゴムによって形成する。これは、前記プローブ1の外表面に傷が付くことを防止するとともに、このプローブ1の中途部を前記保持具20に配置する際、プローブ1内に配置されているソースコイル16に衝撃等を与えて不具合が発生することを防止するためである。
【0019】
図2に示すように保持具20には、前記アーム部材30の先端部に設けられた後述する取付け部に対して着脱自在に配置される角孔21a及び一対の係止溝21bを形成した固定部21と、この固定部21より先端側に形成され、前記プローブ1の中途部が通過する所定幅寸法の切り欠き部22aを設けた保持溝22と、この保持溝22より先端側に形成され、前記プローブ1の先端部が挿通配置される所定径寸法の保持孔23とが設けられている。
【0020】
図3に示すように前記保持溝22の深さ寸法は、プローブ1の中途部1bを少なくとも2回、重ねて遊嵌配置可能に形成してある。また、前記切り欠き部22aの幅寸法は、前記保持溝22に配置したプローブ1の中途部1bが脱落することを防止するため、前記中途部1bの径寸法より幅狭に形成してある。このため、前記中途部1bを保持溝22内に配置するとき、前記切り欠き部22aの有する弾性力に抗して、この中途部1bでこの切り欠き部22aを押し広げることによって通過配置される。
なお、符号22bは、前記中途部1bを、前記切り欠き部22aに案内する傾斜面であり、この傾斜面22bを設けることによってプローブ1の中途部1bがスムーズに切り欠き部22aに導かれて、保持溝22内に配置される。
【0021】
図3及び図4に示すように前記保持孔23の上部23aは、前記保持溝22の底部22cより下側に位置するように所定の間隔Bを設定して設けられている。このことにより、前記プローブ1の先端部1cを前記保持孔23に挿入するとき又はこの保持孔23からこのプローブ1の先端部1cを抜去するとき、前記保持溝22に配置されている前記プローブ1の中途部1bに手が触れることが防止されるようになっている。
なお、符号23bは、前記プローブ1の先端1dをスムーズに前記保持孔23に導くための傾斜面として形成した案内面であり、前記保持孔23の両側に形成してある。この案内面23bを設けることによって、プローブ1の先端部1cがスムーズに前記保持孔23に導かれる。
【0022】
図5に示すように前記固定部21の角孔21aには、前記アーム部材30の先端部に形成した取付け部31を構成する角状突起31aが係入する構成になっている。前記角孔21aの大きさは、前記角状突起31aの外形寸法より若干小さく形成されており、前記保持具20の有する弾性力によって確実に角状突起31aに固定される。
【0023】
一方、前記固定部21の係止溝21bは、図6(a)の取り付け金具35に形成した一対の係止部35aに配置されるようになっている。前記取り付け金具35は、図6(b)に示すような例えば中途部に関節部を有するアーム部材30Aの先端部に固定ネジ32によって取り付けられるようになっている。
【0024】
前記係止溝21bの幅寸法は、前記前記係止部35aの厚み寸法より若干小さく形成するか、又は、前記係止部35a間の間隔を前記係止溝21b間の肉厚より幅狭に形成して、前記保持具20の有する弾性力によって確実に取り付け金具35に固定される。
なお、前記固定ネジ32は、前記取り付け金具35に形成した透孔35bに挿通配置されるようになっている。
【0025】
上述のように構成した保持具20の作用を説明する。
まず、術者は、内視鏡3の挿入部11を肛門から挿入していく。そして、挿入部11の湾曲状態を確認したいとき、処置具挿通チャンネル15内にプローブ1を挿通する。なお、前記プローブ1は予め前記保持具20に前記図1の破線に示すように吊り下げられており、アーム部材30を挿入形状検出装置7に対して回動させて保持具20を術者の手元近傍に配置させている。
【0026】
前記プローブ1を前記保持具20から取り外す。その際、まず、図7に示すプローブ1の先端部1cを保持孔23から抜き取り、続いて、プローブ1の先端部側の中途部1bを切り欠き部22aを通して保持溝22から取り外して処置具挿通チャンネル15内に挿通させる。すると、前記モニタ8の画面上に挿入部形状画像が表示され、この挿入部形状画像を観察することによって挿入部形状の確認を行える。
【0027】
次に、術者は、モニタ5の画面上に表示される内視鏡画像を観察して、例えば生体組織の採取を行う必要があると判断したとき、図示しない把持鉗子を処置具挿通チャンネル15内に挿通する。
【0028】
このとき、術者は、例えば看護士等に把持鉗子を用意させる指示を行う一方で、前記プローブ1を処置具挿通チャンネル15から抜去し、このプローブ1に代えて前記処置具挿通チャンネル15内に把持鉗子を挿通しなければならない。そのため、術者は、前記プローブ1を処置具挿通チャンネル15から抜去していく。
【0029】
このとき、図7に示すように術者の手元に配置された保持具20の切り欠き部22aを通して、まず、プローブ1の基端部側の中途部1bを保持溝22に配置する。
【0030】
引き続き、前記処置具挿通チャンネル15からプローブ1を抜去して、再び、前記切り欠き部22aを通して保持溝22に、今度は前記プローブ1の中央部側の中途部1bを配置する。そして、処置具挿通チャンネル15からプローブ1を完全に抜去したなら、前記プローブ1の先端部1cを保持孔23に挿通配置する。
【0031】
このことによって、細長なプローブ1を、直径が比較的大きな、複数の輪状部を形成して保持具20に吊り下げられる。このとき、プローブ1の最下端は検査室の床面に接触すること無く、例えば距離L(図1も参照)だけ離れた状態で保持される。
【0032】
このように、所定位置に保持孔と保持溝とを形成した保持具を術者の手元に配置させておくことにより、細長なプローブの保持具からの取り外し及び吊り下げ作業を一人で、検査室の床面に接触させることなく、一人で手際良く行うことができる。
【0033】
また、保持孔と保持溝との間に、所定の間隔を設けたことによって、プローブの先端部を取り扱うとき、プローブの中途部に手が触れることを防止することができる。
【0034】
さらに、固定部に角孔及び一対の係止溝を設けたことによって、アーム部材の複数のタイプの取付け部に対応することができる。
【0035】
なお、前記保持具は前記実施形態に示した形状に限定されるものではなく、例えば図8に示すように切り欠き部22aを有する保持溝22を一対形成した保持具20Aであったり、図9に示すように角孔21aの両側に、前記図8に示した保持具20Aを配置した構成の保持具20B等であってもよい。
【0036】
また、本実施形態の保持具ではプローブを保持する目的のため、保持具を弾性を有する素材で形成したが、把持鉗子等の処置具等を保持する目的で使用する場合には、処置具に対応する素材を選定して、その素材で保持具を形成するようにしてもよい。
【0037】
さらに、前記保持具は、使用後に滅菌消毒して再使用が可能なリユースタイプであっても、一度の使用で廃棄する使い捨てタイプであってもよい。
【0038】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0039】
[付記]
以上詳述したような本発明の上記実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0040】
(1)所定の部材に対して着脱自在な固定部と、
この固定部より先端側に形成され、前記処置具、或いはプローブの中途部が通過する所定幅寸法の切り欠き部を有する保持溝と、
この保持溝より先端側に形成され、前記処置具、或いはプローブの先端部が配置される所定径寸法の保持孔と、
を具備する保持具。
【0041】
(2)前記保持溝の深さ寸法を、前記処置具、或いはプローブの中途部を少なくとも二回配置可能に形成した付記1に記載の保持具。
【0042】
(3)前記保持溝の底部と、前記保持孔の上部との間に所定間隔を設けた付記1に記載の保持具。
【0043】
(4)前記固定部に少なくとも角孔又は係止溝を設けた付記1記載の保持具。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、術者一人で、容易、かつ衛生的に吊り下げ作業を行える保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】挿入部形状観察装置を説明する図
【図2】保持具を説明する斜視図
【図3】保持具を説明する側面図
【図4】図3のA‐A線断面図
【図5】保持具と取り付け具との関係を説明する図
【図6】他の構成の取り付け具を説明する図
【図7】保持具にプローブを吊り下げた状態を説明する図
【図8】他の構成の保持具を説明する図
【図9】別の構成の保持具を説明する図
【符号の説明】
20…保持具
21…固定部
22…保持溝
22a…切り欠き部
23…保持孔
Claims (3)
- 長尺形状を呈する医療処置具を保持する保持具であって、
床面に載置される医療機器の側面より延設されたアーム部であって当該側面に対して回動自在に配設されたアーム部の先端部に垂設された突片に嵌入固定可能な嵌入孔部と、
前記嵌入孔部が前記突片に嵌入した際、当該嵌入孔部より前記アーム部の延出方向先端寄りに形成された、前記医療処置具の中途部が挿通可能な所定幅寸法の切り欠き部を有する保持溝と、
前記嵌入孔部が前記突片に嵌入した際、前記保持溝より前記アーム部の延出方向先端寄りにおいて、前記医療処置具の先端部が配置可能な所定径を有して穿設された保持孔と、
を具備したことを特徴とする保持具。 - 前記保持溝は、当該溝の深さ寸法が前記医療処置具の中途部を少なくとも二回配置可能な寸法に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の保持具。
- 前記保持孔は、当該保持孔の上端が前記保持溝の底端より所定の間隔分下方に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の保持具。
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