JP3831258B2 - フィードバック制御方法及びフィードバック制御装置 - Google Patents

フィードバック制御方法及びフィードバック制御装置 Download PDF

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    • GPHYSICS
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    • G05B5/00Anti-hunting arrangements
    • G05B5/01Anti-hunting arrangements electric

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロセス制御技術に係り、特に設定値に対して制御量が追従するように制御対象に操作量を与えて設定値追従制御を行うフィードバック制御方法及びフィードバック制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、実用性の高い汎用制御理論としてPID制御が知られている。また、現代制御理論のような高度な制御理論として、例えば単純適応制御SAC(Simple Adaptive Control )が知られている。どちらの制御理論も、設定値SPに対し制御量PVが追従するように操作量MVを制御演算結果として制御対象に出力するものであり、制御量PVを計測し設定値SPとの偏差Erに基づき制御演算を行なうものである。
【0003】
通常のPID制御は、線形制御理論であり、制御対象を含めた制御系が線形系になることを前提にした制御理論である。ただし、実際の制御対象は厳密な線形性を有するものではなく、PID制御にしても若干の非線形性は許容できる。しかし、半導体製造装置に利用されるRTP(Rapid Thermal Process )のハロゲンランプによる加熱などは、PID制御が単純には通用しない非線形性の強い系である。この場合、制御系の安定性を追求するだけであればPID制御でも対応できるが、RTPなどのように高速度な昇温とオーバーシュートの少ない応答波形が要求される条件では、PID制御は対応できない。
【0004】
例えば、制御系の非線形特性が図14のような特性Kで近似できる場合、設定値SPのステップ変更に追従(ステップ応答)させて高速昇温させようとすると、設定値SPと制御量PVとの偏差Erが大きい時点では操作量MV(加熱出力)が100%になり、平均的なプロセスゲイン特性は図14のKav1に示される大きな傾きの特性になる。ところが、昇温が進んで偏差Erが小さくなるにつれて、例えば操作量MVは20%程度に降下してくる。こうなると平均的なプロセスゲイン特性は同じく図14のKav2に示される別の小さな傾きの特性になる。
【0005】
PIDコントローラのPIDパラメータを高速昇温という仕様に合わせて調整し、このPIDコントローラで図14のような強非線形系を温度制御すると、設定値SPのステップ変更に対して、昇温軌道(ステップ応答波形)は図15のPVのようになる。すなわち、応答前半においては、プロセスゲインが大き過ぎる制御対象を制御するようなオーバーシュートが制御量PVに発生し、応答後半においては、プロセスゲインが小さ過ぎる制御対象を制御するような制御量PVの設定値SPへの追従が極端に遅いという制御動作が発生する。結果的に、図15のような昇温軌道になるが、半導体製造装置のようにオーバーシュートの少ない応答波形が要求される制御対象としては、適切な制御が行なわれたことにはならない。また、PIDパラメータの調整も、線形制御理論の範囲外なので極めて難しい。
【0006】
一方、単純適応制御SACなどの高度な適応制御理論は、制御対象のプロセスゲイン特性の変動に対し、常に適切な制御特性が得られるように制御演算部の内部パラメータが自動修正されるように設計されている。しかし、内部パラメータの自動修正(適応動作)が適切に動作するためには、過渡状態において十分な制御演算回数が必要になる。高速昇温の場合、昇温に要する所要時間として1.0〜1.5sec程度が要求されるため、制御周期が50msecの場合、ステップ応答中の制御演算回数は20〜30回程度になる。
【0007】
このような条件で強非線形特性に起因するプロセスゲイン変化に追従するために与えられる制御演算回数は、図16(b)に示すようにせいぜい2〜3回程度になり、適応動作が機能するためには全く論外に制御演算回数が不足することになる。すなわち、実用レベルで考えると、高度な適応制御理論に基づく手法では、最終的に制御の安定性が得られる程度であり、強非線形特性の制御対象をきれいに高速昇温させることはできない。また実質的には、高速昇温に限らず、安定性を確保することだけが目的の技術である。さらに、適応動作を適切に動作させるために予め設定すべき多くのパラメータについて、その設定に関する実用水準の指針がない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のPID制御理論では、非線形性の強い系を制御対象とする場合、適切な設定値追従制御が実現できず、またPIDパラメータの調整も困難になるという問題点があった。
また、単純適応制御SACなどの高度な適応制御理論では、強非線形特性の制御対象について制御量を設定値に高速に追従させようとすると、適応動作を機能させるための制御演算回数が不足するため、適切な設定値追従制御が実現できず、またパラメータの調整も困難になるという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、非線形性の強い系を制御対象とする場合でも、適切な設定値追従制御が実現でき、適切な設定値追従制御を行うためのパラメータ調整が容易なフィードバック制御方法及びフィードバック制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、設定値に対して制御量が追従するように制御対象に操作量を与えて設定値追従制御を行うフィードバック制御方法において、設定値追従制御の応答過程を追従フェーズと収束フェーズと安定フェーズの3段階に分割し、設定値変更開始時点を前記追従フェーズの開始時点として前記追従フェーズへの切り換えを行う第1のフェーズ切換手順(図3の101,105)と、前記追従フェーズにおいて制御量を設定値に追従させる操作量を継続的に出力する追従フェーズの操作量決定手順(102)と、前記追従フェーズにおいて制御量が設定値を超えない特定の設定値追従制御経過時点を前記収束フェーズの開始時点として前記収束フェーズへの切り換えを行う第2のフェーズ切換手順(103)と、前記収束フェーズにおいて制御量を設定値近傍に収束させる予め設定された一定レベルの操作量を継続的に出力する収束フェーズの操作量決定手順(104)と、前記収束フェーズにおいて制御量の収束が確定する予め設定された状況に到達した時点を前記安定フェーズの開始時点として前記安定フェーズへの切り換えを行う第3のフェーズ切換手順(106)と、前記安定フェーズにおいて制御量を設定値に安定させる操作量を継続的に出力する安定フェーズの操作量決定手順(107)とを実行し、前記第2のフェーズ切換手順は、前記追従フェーズにおいて現在の制御量から設定値に達するまでの時間である到達残り時間の予測値を、設定値と制御量との偏差及び制御量の変化率に基づいて計算し、計算した到達残り時間予測値が予め設定された時間指標よりも小さくなった時点を前記収束フェーズの開始時点とするようにしたものである。
【0013】
また、本発明は、設定値追従制御の応答過程を追従フェーズと収束フェーズと安定フェーズの3段階に分割し、設定値に対して制御量が追従するように制御対象に操作量を与えて前記設定値追従制御を行うフィードバック制御装置であって、設定値変更開始時点を前記追従フェーズの開始時点として前記追従フェーズへの切り換えを行う第1のフェーズ切換部(図2の3)と、前記追従フェーズにおいて制御量が設定値を超えない特定の設定値追従制御経過時点を前記収束フェーズの開始時点として前記収束フェーズへの切り換えを行う第2のフェーズ切換部(4)と、前記収束フェーズにおいて制御量の収束が確定する予め設定された状況に到達した時点を前記安定フェーズの開始時点として前記安定フェーズへの切り換えを行う第3のフェーズ切換部(5)と、前記追従フェーズにおいて制御量を設定値に追従させる操作量を継続的に出力する第1の操作量決定部(6)と、前記収束フェーズにおいて制御量を設定値近傍に収束させる予め設定された一定レベルの操作量を継続的に出力する第2の操作量決定部(7)と、前記安定フェーズにおいて制御量を設定値に安定させる操作量を継続的に出力する第3の操作量決定部(8)とを備え、前記第2のフェーズ切換部は、前記追従フェーズにおいて現在の制御量から設定値に達するまでの時間である到達残り時間の予測値を、設定値と制御量との偏差及び制御量の変化率に基づいて計算し、計算した到達残り時間予測値が予め設定された時間指標よりも小さくなった時点を前記収束フェーズの開始時点とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
参考例
以下、本発明の参考例について図面を参照して詳細に説明する。本発明では、設定値変更に伴う設定値追従制御の応答過程を、以下に示す3段階のフェーズ(追従フェーズ,収束フェーズ,安定フェーズ)に分割し、各々のフェーズに適切かつ単純な操作量出力手順を割り当て、一連のフェーズの組み合わせにより設定値追従制御の応答波形を強制的かつ直接的に整形する。
【0017】
図1は本発明における追従フェーズ、収束フェーズおよび安定フェーズを説明するための波形図であり、図1(a)は制御量PVの変化(応答波形)を示す図、図1(b)は操作量MVの変化を示す図である。まず、応答過程において、設定値SP変更開始時点t1から、制御量PVが設定値SPを超えない特定の設定値追従制御経過時点t2までを追従フェーズとする。この追従フェーズでは、設定値追従制御の応答波形が乱れず、かつ制御量PVが設定値SPに追従するような操作量MVを継続的に出力する。
【0018】
次に、前記特定の設定値追従制御経過時点t2から、予め指定された状況に到達する時点t3までを収束フェーズとする。この収束フェーズでは、設定値追従制御の応答波形が乱れず、かつ制御量PVが設定値SP近傍に収束するような操作量MVを継続的に出力する。そして、前記予め指定された状況に到達した時点t3以降を安定フェーズとする。この安定フェーズでは、制御量PVが設定値SPに安定するような操作量MVを継続的に出力する。
【0019】
図2は本発明の参考例となるフィードバック制御装置の構成を示すブロック図である。本参考例のフィードバック制御装置は、制御装置のオペレータによって設定された設定値SPを入力する設定値入力部1と、図示しないセンサによって検出された制御量PVを入力する制御量入力部2と、設定値変更開始時点を前記追従フェーズの開始時点t1として追従フェーズへの切り換えを行う第1のフェーズ切換部3と、追従フェーズにおいて制御量PVが設定値SPを超えない特定の設定値追従制御経過時点を収束フェーズの開始時点t2として収束フェーズへの切り換えを行う第2のフェーズ切換部4と、収束フェーズにおいて予め設定された状況に到達した時点を安定フェーズの開始時点t3として安定フェーズへの切り換えを行う第3のフェーズ切換部5と、追従フェーズにおいて制御量PVを設定値SPに追従させる操作量MVを継続的に出力する第1の操作量決定部6と、収束フェーズにおいて制御量PVを設定値SP近傍に収束させる操作量MVを継続的に出力する第2の操作量決定部7と、安定フェーズにおいて制御量PVを設定値SPに安定させる操作量MVを継続的に出力する第3の操作量決定部8と、各フェーズに応じて決定された操作量MVを図示しない制御対象に出力する操作量出力部9とを備えている。
【0020】
図3は図2のフィードバック制御装置の動作を示すフローチャート図である。設定値SPは、制御装置のオペレータによって設定され、設定値入力部1を介して第1のフェーズ切換部3、第2のフェーズ切換部4、第3のフェーズ切換部5、第1の操作量決定部6、第2の操作量決定部7及び第3の操作量決定部8に入力される。
【0021】
また、制御対象の制御量PVは、図示しないセンサによって検出され、制御量入力部2を介して第1のフェーズ切換部3、第2のフェーズ切換部4、第3のフェーズ切換部5、第1の操作量決定部6、第2の操作量決定部7及び第3の操作量決定部8に入力される。
【0022】
初期状態では、安定フェーズが選択される。すなわち、制御開始に伴って、第1のフェーズ切換部3は、追従フェーズの開始時点t1か否かを判断し(図3ステップ101)、開始時点t1でないと判断した場合、フェーズ切り換えを行わずにステップ107に進んで安定フェーズのままとする。安定フェーズの場合、第3の操作量決定部8が予め規定された操作量MVを出力し、操作量出力部9は、第3の操作量決定部8から出力された操作量を制御対象へ出力する(ステップ107)。
【0023】
ステップ101において、追従フェーズの開始時点t1と判断した場合、第1のフェーズ切換部3は、安定フェーズから追従フェーズへ切り換えを行い、追従フェーズへ切り換えたことを第2のフェーズ切換部4、第3のフェーズ切換部5及び第1の操作量決定部6に通知する。追従フェーズの場合、第1の操作量決定部6が予め規定された操作量MVを出力し、操作量出力部9は、第1の操作量決定部6から出力された操作量を制御対象へ出力する(ステップ102)。
【0024】
次に、追従フェーズに切り換えられた場合、第2のフェーズ切換部4は、収束フェーズの開始時点t2か否かを判断し(ステップ103)、開始時点t2でないと判断した場合、フェーズ切り換えを行わずにステップ102に戻り追従フェーズのままとする。
【0025】
ステップ103において、収束フェーズの開始時点t2と判断した場合、第2のフェーズ切換部4は、追従フェーズから収束フェーズへ切り換えを行い、収束フェーズへ切り換えたことを第1のフェーズ切換部3、第3のフェーズ切換部5及び第2の操作量決定部7に通知する。収束フェーズの場合、第2の操作量決定部7が予め規定された操作量MVを出力し、操作量出力部9は、第2の操作量決定部7から出力された操作量を制御対象へ出力する(ステップ104)。
【0026】
次に、収束フェーズに切り換えられた場合、第1のフェーズ切換部3は、追従フェーズの開始時点t1か否かを判断し(ステップ105)、追従フェーズの開始時点t1と判断した場合、ステップ102に進んで収束フェーズから追従フェーズへ切り換えを行い、追従フェーズへ切り換えたことを第2のフェーズ切換部4、第3のフェーズ切換部5及び第1の操作量決定部6に通知する。また、第1のフェーズ切換部3は、開始時点t1でないと判断した場合、フェーズ切り換えを行わずにステップ106に進み収束フェーズのままとする。
【0027】
続いて、第3のフェーズ切換部5は、安定フェーズの開始時点t3か否かを判断し(ステップ106)、開始時点t3でないと判断した場合、フェーズ切り換えを行わずにステップ104に戻り収束フェーズのままとする。
【0028】
ステップ106において、安定フェーズの開始時点t3と判断した場合、第3のフェーズ切換部5は、収束フェーズから安定フェーズへ切り換えを行い、安定フェーズへ切り換えたことを第1のフェーズ切換部3、第2のフェーズ切換部4及び第3の操作量決定部8に通知する。ステップ107の処理は前述のとおりである。以上のようなステップ101〜107の処理をオペレータ等の指令によって制御装置が停止するまで(ステップ108においてYES)、制御周期dtごとに繰り返す。
【0029】
ここで、フェーズ切り換えについてより詳細に説明する。図4、図5は追従フェーズから収束フェーズへの切り換えを説明するための波形図である。追従フェーズから収束フェーズへ切り換えるか否かの判断方法には2通りあり、一方の判断方法によれば、第2のフェーズ切換部4は、設定値SPと制御量PVとの偏差Erが予め設定された偏差指標Exよりも小さくなった時点を、収束フェーズの開始時点(特定の設定値追従制御経過時点)t2と判断し、追従フェーズから収束フェーズへの切り換えを行う(図4)。
【0030】
また、もう一方の判断方法によれば、第2のフェーズ切換部4は、現在の制御周期における制御量PVから設定値SPに達するまでの時間である到達残り時間の予測値Trを設定値SPと制御量PVとの偏差Er及び制御量PVの変化率ΔPVに基づいてTr=Er/ΔPVにより計算し、計算した到達残り時間予測値Trが予め設定された時間指標Txよりも小さくなった時点を、収束フェーズの開始時点(特定の設定値追従制御経過時点)t2と判断し、追従フェーズから収束フェーズへの切り換えを行う(図5)。
【0031】
図6は収束フェーズから安定フェーズへの切り換えを説明するための波形図である。第3のフェーズ切換部5は、収束フェーズの開始時点t2から、予め設定された時間指標Tcが経過した時点を、安定フェーズの開始時点(予め指定された状況に到達する時点)t3と判断し、収束フェーズから安定フェーズへの切り換えを行う。
【0032】
次に、各フェーズにおける操作量決定手順について説明する。追従フェーズにおける操作量決定手順には3通りあり、第1の手順によれば、第1の操作量決定部6は、予め設定された操作量MV1を継続的に出力する。
【0033】
また、第2の手順によれば、第1の操作量決定部6は、予め設定された操作量MV1を時間遅れフィルタ処理して、時間遅れフィルタ処理後の値MVfを継続的に出力する。すなわち、第2の手順では、操作量MV1を図7に示すような時間遅れフィルタに通して、時間遅れフィルタ処理後の操作量MVfを制御対象に与えることになる。
【0034】
そして、第3の手順によれば、第1の操作量決定部6は、制御の即応性を重視したPID制御アルゴリズム(P,PD,PI制御を含む)により算出した操作量MVcを継続的に出力する。すなわち、第3の手順では、図8に示すようなPID制御系により偏差Erから操作量MVcを算出して制御対象に与えることになる。
【0035】
収束フェーズにおいて、第2の操作量決定部7は、予め設定された操作量MV2を継続的に出力する。また、安定フェーズにおいて、第3の操作量決定部8は、制御の安定性を重視したPID制御アルゴリズム(P,PD,PI制御を含む)により算出した操作量MVdを継続的に出力する。すなわち、第3の操作量決定部8は、図8と同様のPID制御系により偏差Erから操作量MVdを算出して制御対象に与えることになる。
【0036】
本発明では、前述のように、設定値追従制御の応答過程を3段階のフェーズ(追従フェーズ,収束フェーズ,安定フェーズ)に分割することが、重要な着眼点である。例えば非線形性の強い制御対象について、設定値SPのステップ変更に制御量PVを追従させるステップ応答制御を行う場合、図14で説明したように、追従フェーズに相当する段階と、安定フェーズに相当する段階では、制御対象の平均的なプロセスゲイン特性が大きく異なる。
【0037】
このとき、追従フェーズと安定フェーズとを同一特性の制御手法で制御しようとすると、追従フェーズに適切な制御特性であれば安定フェーズには不適切な制御特性になり、逆に安定フェーズに適切な制御特性であれば追従フェーズには不適切な制御特性になる。そして、温度制御における高速昇温などでは、これら追従フェーズと安定フェーズの特性の切り換わりが急激なため、切換時点の前後で制御応答波形が乱れる。すなわち、追従フェーズか安定フェーズのどちらかの制御特性が劣化するだけではなく、両者の中間段階での制御応答波形の乱れも顕著に現れる。
【0038】
本発明は、追従フェーズと安定フェーズとに別の制御特性を与える手法により制御を行おうとするものであり、かつ追従フェーズと安定フェーズの切換時点の前後で制御応答波形が乱れないように、さらに別の制御特性を与えて制御を行うための収束フェーズを設けている。
【0039】
そして、まず追従フェーズでは、制御量PVが設定値SPに追従することだけを目的とした操作量MVを出力する。次に、収束フェーズでは、追従フェーズから安定フェーズに移行させるために制御量PVが設定値SP近傍に収束することだけを目的とした操作量MVを出力する。最後に、安定フェーズでは、制御量PVが設定値SPに安定することだけを目的とした操作量MVを出力する。
【0040】
また、本発明では、追従フェーズ、収束フェーズ、安定フェーズのそれぞれの制御特性を別々に調整できるので、実対象に合わせたパラメータ調整が容易になる。特に、設定値追従制御では、追従フェーズから収束フェーズへの切換時点を調整することと、収束フェーズにおける操作量MVを調整することにより、設定値追従制御の応答波形を強制的かつ直接的に整形する作用が得られるため、きれいな設定値追従制御が実現できる。
【0041】
なお、設定値追従特性と外乱抑制特性を別々に調整可能な制御手法として、2自由度PIDが提案されているが、設定値追従特性のフェーズ毎に別々に調整するという概念のものではないので、2自由度PIDでは本発明が解決する課題を解決できないことに留意しなければならない。本発明は、3段階のフェーズに分割していることと、中間段階の収束フェーズを設けてフェーズを円滑に移行させていくことに特徴がある。
【0042】
次に、本参考例のより具体的な動作として、高速昇温制御に図2のフィードバック制御装置を適用した場合の動作を説明する。図9は本参考例のフィードバック制御装置の動作を示す波形図であり、図9(a)は制御量PVの変化を示す図、図9(b)は操作量MVの変化を示す図である。なお、前述のように図3のステップ101〜108の処理は制御周期dtごとに行われる。したがって、操作量MVも制御周期dtごとに出力される。図9(b)の○印は制御周期dtごとに出力される操作量MVを表している。
【0043】
本参考例では、追従フェーズから収束フェーズへの切換時点(特定の設定値追従制御経過時点)t2を、設定値SPと制御量PVとの偏差Erが予め設定された偏差指標Exよりも小さくなった時点とし、収束フェーズから安定フェーズへの切換時点(予め指定された状況に到達する時点)t3を、予め設定された時間指標Tcが経過した時点とする。
【0044】
また、本参考例では、追従フェーズの操作量MVの決定手順を、予め設定された操作量MV1を継続的に出力する手順とし、収束フェーズの操作量MVの決定手順を、予め設定された操作量MV2を継続的に出力する手順とし、安定フェーズの操作量MVの決定手順を、制御の安定性を重視したPID制御アルゴリズムにより算出した操作量MVdを継続的に出力する手順とする。
【0045】
本参考例では、フェーズを示すパラメータをFとし、F=1のとき追従フェーズ、F=2のとき収束フェーズ、F=3のとき安定フェーズとする。また、現在の制御周期nにおける設定値をSP(n)、制御周期nにおける制御量をPV(n)、制御周期nにおける操作量をMV(n)、制御周期nにおける制御偏差をEr(n)とする。
【0046】
第1のフェーズ切換部3は、図3のステップ101又は105において、現在の制御周期nにおける設定値SP(n)が1制御周期前の設定値SP(n−1)よりも昇温側に変更されている場合、現時点を追従フェーズの開始時点t1と判断し、フェーズを示すパラメータFの値をF=1(追従フェーズ)とし、このF=1を第2のフェーズ切換部4、第3のフェーズ切換部5及び第1の操作量決定部6に出力する。すなわち、第1のフェーズ切換部3は以下のような処理を行なう。
if SP(n)>SP(n−1) then F←1 ・・・(1)
【0047】
なお、第1のフェーズ切換部3は、第2のフェーズ切換部4または第3のフェーズ切換部5からF=2またはF=3の通知を受けた場合、第1の操作量決定部6に出力しているパラメータFの値を通知を受けた値F=2またはF=3に変更する。
【0048】
また、本参考例では、昇温制御のため、SP(n)>SP(n−1)が成立したとき追従フェーズに切り換えているが、設定値SP(n)が1制御周期前の設定値SP(n−1)より小さくなったとき(SP(n)<SP(n−1))追従フェーズに切り換えるようにしてもよい。
【0049】
次に、第1の操作量決定部6には、追従フェーズにおける操作量出力値MV1が予め設定されている。操作量出力値MV1については、制御量PVが所望の追従特性で設定値SPに追従するように設定すればよい。高速昇温制御に本発明を適用する場合、MV1=100%が適当である。
【0050】
第1の操作量決定部6は、第1のフェーズ切換部3から出力されたパラメータFの値がF=1である場合、予め設定された値MV1を操作量MV(n)として出力する(図3ステップ102、図9(b))。すなわち、第1の操作量決定部6は以下のような処理を行なう。
if F=1 then MV(n)←MV1 ・・・(2)
【0051】
次に、第2のフェーズ切換部4は、現在の制御周期nにおける設定値SP(n)と制御量PV(n)との偏差Er(n)を算出する。
Er(n)=SP(n)−PV(n) ・・・(3)
【0052】
また、第2のフェーズ切換部4には、フェーズ切換判断のための偏差指標Exが予め設定されている。第2のフェーズ切換部4は、図3のステップ103において、パラメータFの値がF=1で、設定値SP(n)が設定値SP(n−1)から変更されておらず、かつ偏差Er(n)が偏差指標Exよりも小さい場合、現時点を収束フェーズの開始時点t2と判断し、パラメータFの値をF=2(収束フェーズ)とし、このF=2を第1のフェーズ切換部3、第3のフェーズ切換部5及び第2の操作量決定部7に出力する。すなわち、第2のフェーズ切換部4は以下のような処理を行なう。
Figure 0003831258
【0053】
偏差指標Exについては、追従フェーズから収束フェーズへ移行するタイミングが適切となるように、すなわち制御量PVが所望の追従特性(応答波形)で設定値SPに追従するように試行錯誤で調整すればよい。高速昇温制御に本発明を適用する場合、図10に示すように、オーバーシュート傾向か昇温不足傾向が2段階で現れる。偏差指標Exの調整では1段階目に着目し、オーバーシュートが発生する場合は偏差指標Exを大きな値に、昇温不足の場合は偏差指標Exを小さな値に修正すれば良い。偏差指標Exは、設定値追従制御の応答波形を強制的かつ直接的に整形する作用のある数値なので、試行錯誤により容易に適切な値を求めることができる。
【0054】
なお、第2のフェーズ切換部4は、第1のフェーズ切換部3または第3のフェーズ切換部5からF=1またはF=3の通知を受けた場合、第2の操作量決定部7に出力しているパラメータFの値を通知を受けた値F=1またはF=3に変更する。
【0055】
次に、第2の操作量決定部7には、収束フェーズにおける操作量出力値MV2が予め設定されている。第2の操作量決定部7は、第2のフェーズ切換部4から出力されたパラメータFの値がF=2である場合、予め設定された値MV2を操作量MV(n)として出力する(図3ステップ104、図9(b))。すなわち、第2の操作量決定部7は以下のような処理を行なう。
if F=2 then MV(n)←MV2 ・・・(5)
【0056】
操作量出力値MV2については、制御量PVが所望の特性で設定値SPに収束するように試行錯誤で調整すればよい。高速昇温制御に本発明を適用する場合、図11に示すように、オーバーシュート傾向か昇温不足傾向が2段階で現れる。操作量出力値MV2の調整では2段階目に着目し、オーバーシュートが発生する場合は操作量出力値MV2を小さな値に、昇温不足の場合は操作量出力値MV2を大きな値に修正すれば良い。操作量出力値MV2は、設定値追従制御の応答波形を強制的かつ直接的に整形する作用のある数値なので、試行錯誤により容易に適切な値を求めることができる。
【0057】
次に、第3のフェーズ切換部5には、フェーズ切換判断のための時間指標Tcが予め設定されている。第3のフェーズ切換部5は、図3のステップ106において、パラメータFの値がF=2で、かつF=2(収束フェーズ)にセットされた時点t2からの経過時間tnが時間指標Tcよりも長い場合、現時点を安定フェーズの開始時点t3と判断し、パラメータFの値をF=3(安定フェーズ)とし、このF=3を第1のフェーズ切換部3、第2のフェーズ切換部4及び第3の操作量決定部8に出力する。すなわち、第3のフェーズ切換部5は、以下のような処理を行なう。
if F=2 and tn>Tc then F←3 ・・・(6)
【0058】
時間指標Tcについては、制御量PVが所望の特性で設定値SPに収束するように試行錯誤で調整すればよい。高速昇温制御に本発明を適用する場合、制御対象のプロセスむだ時間Lpの1〜2倍程度の時間が適当である。なお、第3のフェーズ切換部5は、第1のフェーズ切換部3または第2のフェーズ切換部4からF=1またはF=2の通知を受けた場合、第3の操作量決定部8に出力しているパラメータFの値を通知を受けた値F=1またはF=2に変更する。
【0059】
次に、第3の操作量決定部8は、第3のフェーズ切換部5から出力されたパラメータFの値がF=3である場合、制御の安定性を重視したPID制御アルゴリズムにより算出した操作量MVd(n)を操作量MV(n)として出力する(図3ステップ107、図9(b))。すなわち、第3の操作量決定部8は以下のような処理を行なう。
if F=3 then MV(n)←MVd(n) ・・・(6)
【0060】
ここで、制御の安定性を重視したPID制御アルゴリズムは、ラプラス演算子sを用いた伝達関数で表すと次式のようになる。
Figure 0003831258
式(7)において、Kg3は比例ゲイン、Ti3は積分時間、Td3は微分時間である。なお、安定性重視のためのパラメータKg3,Ti3,Td3の設定の仕方については周知であるので、説明は省略する。
【0061】
第1の実施の形態
次に、本発明の第1の実施の形態について説明する。本実施の形態は高速昇温制御への別の適用事例を示すものである。本実施の形態においてもフィードバック制御装置の構成と処理の流れは図2、図3のとおりであるので、図2、図3の符号を用いて説明する。図12は本実施の形態のフィードバック制御装置の動作を示す波形図であり、図12(a)は制御量PVの変化を示す図、図12(b)は操作量MVの変化を示す図である。図12(b)の○印は制御周期dtごとに出力される操作量MVである。
【0062】
本実施の形態では、追従フェーズから収束フェーズへの切換時点(特定の設定値追従制御経過時点)t2を、設定値SPと制御量PVとの偏差Er及び制御量PVの変化率ΔPVに基づいて計算される到達残り時間予測値Tr=Er/ΔPVが予め設定された時間指標Txよりも小さくなった時点とする。また、収束フェーズから安定フェーズへの切換時点(予め指定された状況に到達する時点)t3を、予め設定された時間指標Tcが経過した時点とする。
【0063】
また、本実施の形態では、追従フェーズの操作量MVの決定手順を、予め設定された操作量MV1を時間遅れフィルタ処理して、時間遅れフィルタ処理後の値MVfを継続的に出力する手順とし、収束フェーズの操作量MVの決定手順を、予め設定された操作量MV2を継続的に出力する手順とし、安定フェーズの操作量MVの決定手順を、制御の安定性を重視したPID制御アルゴリズムにより算出した操作量MVdを継続的に出力する手順とする。
【0064】
まず、第1のフェーズ切換部3の動作は参考例と同じである。次に、第1の操作量決定部6には、追従フェーズにおける操作量出力値MV1と1次遅れフィルタ時定数Tfとが予め設定されている。第1の操作量決定部6は、第1のフェーズ切換部3から出力されたパラメータFの値がF=1である場合、予め設定された値MV1を1次遅れフィルタ処理して、1次遅れフィルタ処理後の値MVf(n)を操作量MV(n)として出力する(図3ステップ102、図12(b))。すなわち、第1の操作量決定部6は以下のような処理を行なう。
if F=1 then MV(n)←MVf(n) ・・・(8)
【0065】
ここで、1次遅れフィルタ処理の演算式を、ラプラス演算子sを用いた伝達関数で表現すると次式のようになる。
MVf(n)={1/(1+Tfs)}MV1 ・・・(9)
第1の操作量決定部6は、式(9)により1次遅れフィルタ処理後の値MVf(n)を算出する。
【0066】
操作量出力値MV1については、制御量PVが所望の追従特性で設定値SPに追従するように設定すればよい。高速昇温制御に本発明を適用する場合、MV1=100%が適当である。また、1次遅れフィルタ時定数Tfについては、制御量PVが設定値SPに追従する速度が所望の速度になるように任意に設定すればよい。高速昇温制御に本発明を適用する場合、1次遅れフィルタ時定数Tfを長くすることにより昇温速度を遅くする調整が可能である。
【0067】
次に、第2のフェーズ切換部4は、現在の制御周期nにおける設定値SP(n)と制御量PV(n)との偏差Er(n)を前述の式(3)により算出する。さらに、第2のフェーズ切換部4は、現在の制御周期nにおける制御量PV(n)から設定値SPに達するまでの時間である到達残り時間の予測値Tr(n)を次式のように算出する。
Figure 0003831258
式(10)において、dtは制御周期、PV(n−1)は1制御周期前の制御量である。
【0068】
また、第2のフェーズ切換部4には、フェーズ切換判断のための時間指標Txが予め設定されている。第2のフェーズ切換部4は、図3のステップ103において、パラメータFの値がF=1で、設定値SP(n)が設定値SP(n−1)から変更されておらず、かつ到達残り時間予測値Tr(n)が時間指標Txよりも小さい場合、パラメータFの値をF=2(収束フェーズ)とし、このF=2を第1のフェーズ切換部3、第3のフェーズ切換部5及び第2の操作量決定部7に出力する。すなわち、第2のフェーズ切換部4は以下のような処理を行なう。
Figure 0003831258
【0069】
時間指標Txについては、追従フェーズから収束フェーズへ移行するタイミングが適切となるように、すなわち制御量PVが所望の追従特性で設定値SPに追従するように試行錯誤で調整すればよい。高速昇温制御に本発明を適用する場合、図10で説明したとおり、オーバーシュート傾向か昇温不足傾向が2段階で現れる。時間指標Txの調整では1段階目に着目し、オーバーシュートが発生する場合は時間指標Txを大きな値に、昇温不足の場合は時間指標Txを小さな値に修正すれば良い。時間指標Txは、設定値追従制御の応答波形を強制的かつ直接的に整形する作用のある数値なので、試行錯誤により容易に適切な値を求めることができる。
【0070】
第2の操作量決定部7、第3のフェーズ切換部5及び第3の操作量決定部8の動作は参考例と同じである。
【0071】
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は高速昇温制御への別の適用事例を示すものである。本実施の形態においてもフィードバック制御装置の構成と処理の流れは図2、図3のとおりであるので、図2、図3の符号を用いて説明する。図13は本実施の形態のフィードバック制御装置の動作を示す波形図であり、図13(a)は制御量PVの変化を示す図、図13(b)は操作量MVの変化を示す図である。図13(b)の○印は制御周期dtごとに出力される操作量MVである。
【0072】
本実施の形態では、追従フェーズから収束フェーズへの切換時点(特定の設定値追従制御経過時点)t2を、設定値SPと制御量PVとの偏差Er及び制御量PVの変化率ΔPVに基づいて計算される到達残り時間予測値Tr=Er/ΔPVが予め設定された時間指標Txよりも小さくなった時点とする。また、収束フェーズから安定フェーズへの切換時点(予め指定された状況に到達する時点)t3を、予め設定された時間指標Tcが経過した時点とする。
【0073】
また、本実施の形態では、追従フェーズの操作量MVの決定手順を、制御の即応性を重視したPID制御アルゴリズムにより算出した操作量MVcを継続的に出力する手順とし、収束フェーズの操作量MVの決定手順を、予め設定された操作量MV2を継続的に出力する手順とし、安定フェーズの操作量MVの決定手順を、制御の安定性を重視したPID制御アルゴリズムにより算出した操作量MVdを継続的に出力する手順とする。
【0074】
まず、第1のフェーズ切換部3の動作は参考例と同じである。次に、第1の操作量決定部6は、第1のフェーズ切換部3から出力されたパラメータFの値がF=1である場合、制御の即応性を重視したPID制御アルゴリズムにより算出した操作量MVc(n)を操作量MV(n)として出力する(図3ステップ102、図13(b))。すなわち、第1の操作量決定部6は以下のような処理を行なう。
if F=1 then MV(n)←MVc(n) ・・・(12)
【0075】
ここで、制御の即応性を重視したPID制御アルゴリズムは、ラプラス演算子sを用いた伝達関数で表すと次式のようになる。
Figure 0003831258
式(13)において、Kg1は比例ゲイン、Ti1は積分時間、Td1は微分時間である。なお、即応性重視のためのパラメータKg1,Ti1,Td1の設定の仕方については周知であるので、説明は省略する。
【0076】
第2のフェーズ切換部4の動作は第1の実施の形態と同じである。また、第2の操作量決定部7、第3のフェーズ切換部5及び第3の操作量決定部8の動作は参考例と同じである。
【0077】
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。例えば、参考例で説明したとおり、安定フェーズから追従フェーズへ切り換えるか否かの判断方法が1通り、追従フェーズから収束フェーズへ切り換えるか否かの判断方法が2通り、収束フェーズから安定フェーズへ切り換えるか否かの判断方法が1通り、追従フェーズの操作量決定手順が3通り、収束フェーズの操作量決定手順が1通り、安定フェーズの操作量決定手順が1通りなので、各判断方法と各操作量決定手順のとり得る組み合わせは1×2×1×3×1×1の計6通りあり、このいずれの組み合わせを用いてもよい。
【0078】
また、追従フェーズにおける操作量決定手順のうち第3の手順(第2の実施の形態)によれば、第1の操作量決定部6は、制御の即応性を重視したPID制御アルゴリズムにより算出した操作量MVcを継続的に出力するようにしているが、これに限るものではなく、例えばIMC(Internal Model Control)等の他の制御アルゴリズムを用いて、即応性を重視した制御を行うようにしてもよい。
【0079】
同様に、安定フェーズにおいて、第3の操作量決定部8は、制御の安定性を重視したPID制御アルゴリズムにより算出した操作量MVdを継続的に出力するようにしているが、これに限るものではなく、他の制御アルゴリズムを用いて、安定性を重視した制御を行うようにしてもよい。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、設定値追従制御の応答過程を追従フェーズと収束フェーズと安定フェーズの3段階に分割し、設定値変更開始時点を追従フェーズの開始時点とし、追従フェーズにおいて制御量が設定値を超えない特定の設定値追従制御経過時点を収束フェーズの開始時点とし、収束フェーズにおいて予め設定された状況に到達した時点を安定フェーズの開始時点として各フェーズの切り換えを行い、追従フェーズでは制御量を設定値に追従させる操作量を出力し、収束フェーズでは制御量を設定値近傍に収束させる操作量を出力し、安定フェーズでは制御量を設定値に安定させる操作量を出力するようにしたことにより、追従フェーズ、収束フェーズ、安定フェーズのそれぞれの制御特性を別々に調整することができるので、実対象に合わせたパラメータ調整が容易になる。特に、追従フェーズから収束フェーズへの切換時点を調整することと、収束フェーズにおける操作量を調整することにより、設定値追従制御の応答波形を強制的かつ直接的に整形する作用が得られるため、非線形性の強い系を制御対象とする場合でも、適切な設定値追従制御を実現することができる。また、本発明は、単純適応制御SAC等の高度な適応制御理論では制御演算回数が不足する場合、例えば高速昇温などの場合でも、適切な設定値追従制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における追従フェーズ、収束フェーズ及び安定フェーズを説明するための波形図である。
【図2】 本発明の参考例となるフィードバック制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】 図2のフィードバック制御装置の動作を示すフローチャート図である。
【図4】 追従フェーズから収束フェーズへの切り換えを説明するための波形図である。
【図5】 追従フェーズから収束フェーズへの切り換えを説明するための波形図である。
【図6】 収束フェーズから安定フェーズへの切り換えを説明するための波形図である。
【図7】 追従フェーズにおける操作量決定手順を説明するための図である。
【図8】 追従フェーズにおける操作量決定手順を説明するための図である。
【図9】 本発明の参考例のフィードバック制御装置の動作を示す波形図である。
【図10】 本発明の参考例において偏差指標の調整方法を説明するための波形図である。
【図11】 本発明の参考例において第2の操作量決定部の操作量出力値の調整方法を説明するための波形図である。
【図12】 本発明の第1の実施の形態のフィードバック制御装置の動作を示す波形図である。
【図13】 本発明の第2の実施の形態のフィードバック制御装置の動作を示す波形図である。
【図14】 強非線形系のプロセスゲイン特性の1例を示す図である。
【図15】 PID制御による強非線形系のステップ応答の1例を示す図である。
【図16】 単純適応制御SAC等の高度な適応制御理論の問題点を説明するための波形図である。
【符号の説明】
1…設定値入力部、2…制御量入力部、3…第1のフェーズ切換部、4…第2のフェーズ切換部、5…第3のフェーズ切換部、6…第1の操作量決定部、7…第2の操作量決定部、8…第3の操作量決定部、9…操作量出力部。

Claims (2)

  1. 設定値に対して制御量が追従するように制御対象に操作量を与えて設定値追従制御を行うフィードバック制御方法において、
    設定値追従制御の応答過程を追従フェーズと収束フェーズと安定フェーズの3段階に分割し、
    設定値変更開始時点を前記追従フェーズの開始時点として前記追従フェーズへの切り換えを行う第1のフェーズ切換手順と、
    前記追従フェーズにおいて制御量を設定値に追従させる操作量を継続的に出力する追従フェーズの操作量決定手順と、
    前記追従フェーズにおいて制御量が設定値を超えない特定の設定値追従制御経過時点を前記収束フェーズの開始時点として前記収束フェーズへの切り換えを行う第2のフェーズ切換手順と、
    前記収束フェーズにおいて制御量を設定値近傍に収束させる予め設定された一定レベルの操作量を継続的に出力する収束フェーズの操作量決定手順と、
    前記収束フェーズにおいて制御量の収束が確定する予め設定された状況に到達した時点を前記安定フェーズの開始時点として前記安定フェーズへの切り換えを行う第3のフェーズ切換手順と、
    前記安定フェーズにおいて制御量を設定値に安定させる操作量を継続的に出力する安定フェーズの操作量決定手順とを実行し、
    前記第2のフェーズ切換手順は、前記追従フェーズにおいて現在の制御量から設定値に達するまでの時間である到達残り時間の予測値を、設定値と制御量との偏差及び制御量の変化率に基づいて計算し、計算した到達残り時間予測値が予め設定された時間指標よりも小さくなった時点を前記収束フェーズの開始時点とすることを特徴とするフィードバック制御方法。
  2. 設定値追従制御の応答過程を追従フェーズと収束フェーズと安定フェーズの3段階に分割し、設定値に対して制御量が追従するように制御対象に操作量を与えて前記設定値追従制御を行うフィードバック制御装置であって、
    設定値変更開始時点を前記追従フェーズの開始時点として前記追従フェーズへの切り換えを行う第1のフェーズ切換部と、
    前記追従フェーズにおいて制御量が設定値を超えない特定の設定値追従制御経過時点を前記収束フェーズの開始時点として前記収束フェーズへの切り換えを行う第2のフェーズ切換部と、
    前記収束フェーズにおいて制御量の収束が確定する予め設定された状況に到達した時点を前記安定フェーズの開始時点として前記安定フェーズへの切り換えを行う第3のフェーズ切換部と、
    前記追従フェーズにおいて制御量を設定値に追従させる操作量を継続的に出力する第1の操作量決定部と、
    前記収束フェーズにおいて制御量を設定値近傍に収束させる予め設定された一定レベルの操作量を継続的に出力する第2の操作量決定部と、
    前記安定フェーズにおいて制御量を設定値に安定させる操作量を継続的に出力する第3の操作量決定部とを備え、
    前記第2のフェーズ切換部は、前記追従フェーズにおいて現在の制御量から設定値に達するまでの時間である到達残り時間の予測値を、設定値と制御量との偏差及び制御量の変化率に基づいて計算し、計算した到達残り時間予測値が予め設定された時間指標よりも小さくなった時点を前記収束フェーズの開始時点とすることを特徴とするフィードバック制御装置。
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