JP3831076B2 - 太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,保温性が要求される防寒衣料やスポーツ衣料,あるいはテント等のレジャー用品として有用な太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来,防寒衣料およびスポーツ衣料等に保温性を付与する方法として,表地と裏地との間に中綿を挿入させた3層構造により,中綿の空気層を利用するものがあるが,このような3層構造の衣料は,重く,嵩張り,自由な動きが阻害される欠点を有するものであった。
また,近年においては,アルミニウム,チタン等の金属を蒸着した布帛を裏地に用いることにより体熱を反射させる保温性織編物(特開昭59−156743号)等が提案されており,これにより用いる中綿の量を少なくしたり,全く入れないようにしたりして,前述の嵩張りや動きの阻害等の欠点を解消してきた。
しかし,アルミニウム,チタン等の金属を蒸着した布帛は,蒸着加工に伴うコストアップ,蒸着加工前の準備工程における織編物の微妙な取扱いによる蒸着斑の発生や,洗濯もしくは着用時の摩擦による蒸着金属の脱落による保温性の低下等の問題があった。
【0003】
このような問題を解消すべく,炭化ジルコニウムに代表される遷移金属炭化物を均一に含有させた繊維,あるいは,該遷移金属炭化物と熱可塑性合成高分子体との混練組成物を芯部とし,熱可塑性合成高分子体を鞘部とする芯鞘型繊維により,太陽光エネルギーを吸収し,吸収した光エネルギーを熱エネルギーに変換する太陽光選択吸収性保温繊維(特公平3−9202号)が提案されている。
しかしながら,近年におけるスポーツ衣料を中心とするさらに高度な保温性および保温効果の持続性が要求されているため,このような繊維では要求が達成できないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は,このような現状に鑑みて行われたもので,従来の蓄熱保温性布帛より高度な保温性を有する太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛を得ることを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は,上記目的を達するもので,以下の構成からなるものである。すなわち本発明は,「1.太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維が混用されてなる布帛であって,布帛中に含まれる太陽光選択吸収蓄熱剤が1.5重量%以上で,かつ布帛中に含まれる中空部の比率が10%以上であることを特徴とする太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛。2.太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維が合撚または流体混繊交絡によって混合された複合糸よりなる布帛であって,布帛中に含まれる太陽光選択吸収蓄熱剤が1.5重量%以上で,かつ布帛中に含まれる中空部の比率が10%以上であることを特徴とする太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛。3.太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維を経糸または緯糸のそれぞれに単独で,または混合して使用されてなる布帛であって,布帛中に含まれる太陽光選択吸収蓄熱剤が1.5重量%以上で,かつ布帛中に含まれる中空部の比率が10%以上であることを特徴とする太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛。」を要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下,本発明について詳細に説明を行う。
本発明でいう太陽光選択吸収蓄熱繊維とは,太陽光選択吸収蓄熱剤である周期律第IV族に属する炭化物微粉末と熱可塑性合成高分子体との混練組成物を溶融紡糸して得られる複合繊維である。
【0007】
この太陽光選択吸収蓄熱繊維に含有せしめる周期律第IV族に属する炭化物微粉末としては,炭化ジルコニウム,炭化ハフニウム,炭化チタン等が挙げられる。
このような炭化物微粉末の粒径は,平均粒径が5μm以下であることが好ましい。平均粒径が5μmを超えると,紡糸工程で紡糸ノズルの目塞がりや糸切れなどによる可紡性の低下,延伸工程での糸切れ等の問題が発生するので不適当である。
また,太陽光選択吸収蓄熱繊維に含有せしめる炭化物微粉末の添加率は,1.5〜20重量%の範囲にあることが適当であり,好ましくは2.0〜10重量%の範囲がよい。炭化物微粉末の添加率が1.5重量%未満であると,太陽光選択吸収性を十分に得ることができず,20重量%を超えると,繊維の生産性,保温効果の飽和,強伸度の低下等により好ましくない。
【0008】
太陽光選択吸収蓄熱繊維に含有せしめる熱可塑性合成高分子体としては,ナイロン6,ナイロン66に代表されるポリアミド系合成重合体,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル系合成重合体,ポリエチレン,ポリプロピレンに代表されるポリオレフィン系合成重合体等が挙げられ,これらの炭化物微粉末と熱可塑性合成高分子体との混練組成物を芯部とし,熱可塑性合成高分子体を鞘部とする複合紡糸によって太陽光選択吸収蓄熱繊維を得ることができる。
本発明で用いる中空繊維としては,前述のポリアミド系合成重合体,ポリエステル系合成重合体,ポリオレフィン系合成重合体等からなる繊維が挙げられ,これらの繊維は,上述の重合体を中空形に溶融紡糸することにより得ることができる。
【0009】
本発明では,上述の太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維を混用して織編物等の布帛を形成するが,このとき布帛中に含まれる太陽光選択吸収蓄熱剤は,1.5重量%以上でなければならない。布帛中に含まれる太陽光選択吸収蓄熱剤が1.5重量%より少なければ,太陽光選択吸収性が低下するので,高度の保温性,保温効果の持続性等に問題が生じてしまう。
また,太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維の混用比率としては,80:20〜20:80の範囲が好ましく,さらに好ましくは40:60〜60:40の混用比率である。この混用比率が20:80以下の比率になると,太陽光選択吸収蓄熱繊維の比率が少なくなりすぎて,中空部を有する繊維が布帛を多く占め,太陽光選択吸収蓄熱繊維の性能効果が少なくなり,また,逆にこの混用比率が80:20以上になると,太陽光選択吸収蓄熱繊維が布帛中で多くを占め,中空部を有する繊維の中空層が少なくなるため,太陽光選択吸収によって得られた蓄熱保温効果で暖められる空気層も少なく,より一層高度な保温性を得ることができなくなり,保温効果の持続性も短くなる。
【0010】
太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維の混用方法としては,両者を用いて合撚,液体攪乱による交絡または整経,製織時における配列等の手段を適宜採用して行うことができるが,いずれの方法においても,上記の混用率の範囲でなければ高度な保温性を得ることができない。
さらに,本発明では,中空繊維における中空率が10%以上でなければ,本発明の効果を得ることができない。中空率が10%より少ないと,太陽光選択吸収によって得られた保温効果により暖められる空気層も少なくなり,高度な保温効果や保温効果の持続性を損なってしまう。また,布帛の軽量化のためにも中空率が高いことが必要であり,中空率が10%以下になると,軽量化と蓄熱保温性の両者を満足する布帛が得られなくなる。
【0011】
ここで本発明の太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維の一例を図によって説明する。
図1は本発明で用いる太陽光選択吸収蓄熱繊維の一例の断面図であり,芯鞘構造の芯部1は炭化物微粉末と熱可塑性合成高分子体との混練生成物,鞘部2は熱可塑性合成高分子体を示すものである。
図2〜図5は,本発明で用いる中空繊維の一例の断面図であり,図2はドーナツ型,図3は田型,図4は井型,図5はC型の断面形状をそれぞれ示すものである。3,4,5,6はいずれも中空部を示す。各中空繊維の中空率は,図2のドーナツ型中空糸は24%,図3の田型中空糸は16%,図4の井型中空糸は25%,図5のC型中空糸は28%である。
【0012】
【作用】
本発明で用いる太陽光選択吸収蓄熱繊維は,太陽光の主成分である波長0.3〜2μmの光エネルギーを吸収し,そのエネルギーを波長2〜20μmの熱エネルギーに転換,放射する能力と,人体から放射される10μmの熱エネルギーを反射する能力をもっている。このような効果を有する太陽光選択吸収蓄熱繊維は,良好な保温性を示すが,スポーツ衣料を中心とするさらに高度な保温性および保温効果の持続性も十分に満たすものではない。
本発明の如く,太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維を混用して布帛を構成し,その布帛中に含まれる太陽光選択吸収蓄熱剤を1.5重量%以上有し,かつ布帛中に含まれる中空部の比率を10%以上となるように構成すると,繊維の中空部が布帛の軽量化を図るとともに,太陽光選択吸収蓄熱繊維の太陽光選択吸収保温効果とその熱によって中空繊維の中空層が暖められる効果により,高度な保温性と保温持続性を発揮するようになる。しかも,太陽光選択吸収蓄熱繊維が身体の放熱を遮断し続けるので,太陽光が弱くなったり,日没時においても断熱保温効果を発揮することができる。
【0013】
【実施例】
以下,実施例により本発明をさらに詳細に説明するが,実施例における織物の性能の測定,評価は,次の方法で行った。
(1)保温性
温度20℃,湿度65%の恒温恒湿の室内において,エネルギー源として写真用100W白色光源を用い,試料にライトを10分間照射した後ライトの電源を切り,15分間放置した。この際,ライト照射前,ライト照射10分後,消灯5分後,消灯15分後の試料の表面温度をサーモビュア JTG−4200(日本電子株式会社製,赤外線センサー)にて測定した。
(2)軽量性
試料の目付,厚さを測定し,比容積を算出した。
【0014】
(3)見かけ中空率
下記〔1〕〜〔6〕に従ってA〜Fを求め , これらの値を用いて〔7〕〔8〕によりX,Yを算出し,布帛中に含まれる中空部の比率Zを〔9〕の式より求めた。
〔1〕a1 +a2 +a3 + an =A
〔2〕b1 +b2 +b3 + bn =B
〔3〕c1 +c2 +c3 + cn =C
〔4〕d1 +d2 +d3 + dn =D
〔5〕e1 +e2 +e3 + en =E
〔6〕f1 +f2 +f3 + fn =F
〔7〕〔C/(A+B+C)〕×100=X
〔8〕〔F/(D+E+F)〕×100=Y
〔9〕(X+Y)/2=Z
【0015】
ただし,文字は,それぞれ以下のとおりの意味を有するものとする。
a:布帛中の経糸において中空糸以外の繊維の単糸における断面積
b:布帛中の経糸において中空糸の単糸における断面積
c:布帛中の経糸において中空糸の単糸における中空部の断面積
d:布帛中の緯糸において中空糸以外の繊維の単糸における断面積
e:布帛中の緯糸において中空糸の単糸における断面積
f:布帛中の緯糸において中空糸の単糸における中空部の断面積
A:布帛中の経糸において中空糸以外の繊維の単糸断面積の総合計
B:布帛中の経糸において中空糸の単糸断面積の総合計
C:布帛中の経糸において中空糸の中空部についての単糸断面積の総合計
D:布帛中の緯糸において中空糸以外の繊維の単糸断面積の総合計
E:布帛中の緯糸において中空糸の単糸断面積の総合計
F:布帛中の緯糸において中空糸の中空部についての単糸断面積の総合計
X:布帛中の経糸に占める中空部の比率
Y:布帛中の緯糸に占める中空部の比率
Z:布帛中に占める中空部の比率
【0016】
実施例1
融解したナイロン6に粒径10μm以下のZrC粉末を5重量%の添加率で配合し,十分混練して均一に分散した混練組成物を調整した。この混練組成物を用いて溶融複合紡糸を行うに際し,紡糸速度1500m/min ,紡糸温度250℃で巻き取り,延伸温度85℃,延伸倍率2.6倍で延伸熱処理を行うことにより,図1に示す断面形状の太陽光選択吸収蓄熱繊維75d/24fを得た。
【0017】
次に,ナイロン6を用い,ZrC粉末を混入せずに図4に示す井型断面形状の井型中空繊維が得られるように,上記と同様の方法で紡糸,延伸,巻取りを行うことにより,中空率30%のナイロン井型中空糸75d/24fを得た。
これらの太陽光選択吸収蓄熱繊維75d/24fとナイロン井型中空糸75d/24fを引き揃え,S方向に150T/Mの撚をかけ,合撚糸とした。
上述の合撚糸を経糸,緯糸に用い,経糸密度100本/吋,緯糸密度100本/吋として,布帛中に占める太陽光選択吸収蓄熱繊維の比率が50%,同じく中空糸の比率が50%の平織物を製織し,その生機を常法により精練,プレセット後,Suminol fast yellow 2GP(住友化学株式会社製,酸性染料)2%owf にて染色することにより,本発明の太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛を得た。この布帛中に占めるZrCの量は2.5%,見かけ中空率は15%であった。
【0018】
実施例2
実施例1において,太陽光選択吸収蓄熱繊維75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを経糸に使用し,また,中空糸75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを緯糸に使用し,経糸密度100本/吋,緯糸密度100本/吋で製織して,布帛中の太陽光選択吸収蓄熱繊維の比率を50%,同じく中空糸の比率を50%とすること以外は,実施例1とまったく同一の方法により本発明の太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛を得た。この布帛中に占めるZrCの量は2.5%,見かけ中空率は15%であった。
【0019】
実施例3
実施例1において,太陽光選択吸収蓄熱繊維75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを経糸に使用し,また,中空糸75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを緯糸に使用し,経糸密度130本/吋,緯糸密度70本/吋で製織して,布帛中の太陽光選択吸収蓄熱繊維の比率を65%,同じく中空糸の比率を35%とすること以外は,実施例1とまったく同一の方法により本発明の太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛を得た。この布帛中に占めるZrCの量は3.3%,見かけ中空率は10.5%であった。
【0020】
実施例4
実施例1において,中空糸75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを経糸に使用し,また,太陽光選択吸収蓄熱繊維75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを緯糸に使用し,経糸密度140本/吋,緯糸密度60本/吋で製織して,布帛中の太陽光選択吸収蓄熱繊維の比率を70%,同じく中空糸の比率を30%とすること以外は,実施例1とまったく同一の方法により本発明の太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛を得た。この布帛中に占めるZrCの量は1.5%,見かけ中空率は21%であった。
【0021】
本発明との比較のため,下記比較例1〜6により比較用の織物6点を製造し,本発明との比較に供した。
【0022】
比較例1
実施例1で用いた太陽光選択吸収蓄熱繊維75d/24fと中空部を有しない中実糸75d/24fを用い,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを経糸,緯糸の双方に使用して,経糸密度100本/吋,緯糸密度100本/吋で製織して,布帛中の太陽光選択吸収蓄熱繊維の比率を50%,同じく中実糸の比率を50%とすること以外は,実施例1とまったく同一の方法により比較用の織物を得た。この布帛中に占めるZrCの量は2.5%,見かけ中空率は0%であった。
【0023】
比較例2
実施例1で用いた太陽光選択吸収蓄熱繊維75d/24fを2本引き揃え,S撚にて撚数150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを経糸に用い,中空部を有しない中実糸75d/24fを2本引き揃え,S撚にて撚数150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを緯糸に使用して,経糸密度100本/吋,緯糸密度100本/吋で製織して布帛中の太陽光選択吸収蓄熱繊維の比率を50%,同じく中実糸の比率を50%とすること以外は,実施例1とまったく同一の方法により比較用の織物を得た。この布帛中に占めるZrCの量は2.5%,見かけ中空率は0%であった。
【0024】
比較例3
実施例1で用いた中空糸75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを経糸に使用し,太陽光選択吸収蓄熱繊維75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを緯糸に使用し,経糸密度140本/吋,緯糸密度60本/吋で製織して,布帛中の太陽光選択吸収蓄熱繊維の比率を70%,同じく中空糸の比率を30%とすること以外は,実施例1とまったく同一の方法により比較用の織物を得た。この布帛中に占めるZrCの量は3.5%,見かけ中空率は9%であった。
【0025】
比較例4
実施例1で用いた中空糸75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを経糸に使用し,太陽光選択吸収蓄熱繊維75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを緯糸に使用し,経糸密度160本/吋,緯糸密度40本/吋で製織して,布帛中の太陽光選択吸収蓄熱繊維の比率を20%,同じく中空糸の比率を80%とすること以外は,実施例1とまったく同一の方法により比較用の織物を得た。この布帛中に占めるZrCの量は1.0%,見かけ中空率は24%であった。
【0026】
比較例5
実施例1で用いた太陽光選択吸収蓄熱繊維75d/24fを2本引き揃え,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを経糸,緯糸の双方に使用して,経糸密度100本/吋,緯糸密度100本/吋で製織すること以外は,実施例1とまったく同一の方法により比較用の織物を得た。この布帛中に占めるZrCの量は5.0%,見かけ中空率は0%であった。
【0027】
比較例6
実施例1にて用いた中空糸75d/24fと,中空部を有しない中実糸75d/24fを用い,S撚にて150T/Mで合撚して150d/48fとし,これを経糸,緯糸の双方に使用して,経糸密度100本/吋,緯糸密度100本/吋で製織すること以外は,実施例1とまったく同一の方法により比較用の織物を得た。この布帛中に占めるZrCの量は0%,見かけ中空率は15%であった。
【0028】
上記の実施例1〜4および比較例1〜6によって得られた織物を分かりやすくするため,表1にまとめて示した。
【0029】
【表1】
Figure 0003831076
【0030】
本発明および比較用の織物の性能を測定,評価し,その結果を合わせて表2に示した。
【0031】
【表2】
Figure 0003831076
【0032】
表2より明らかなごとく,本発明方法による実施例1〜4の織物は,太陽光選択吸収蓄熱繊維による蓄熱保温効果と中空糸の保温効果により,ライト照射10分後における高度な保温性はもとより,消灯後5分,15分と経過しても保温効果の持続性に優れ,軽量性においても,比較例と比較して比容積も少なく,軽量効果に富んでいることが分かる。
【0033】
これに対し,比較例1の織物は,実施例1と同様な規格で構成されているが,中空糸を用いていないため空気層の保温効果が得られず,蓄熱保温効果に劣り,さらに,軽量性にも劣っていることが分かる。比較例2の織物も,実施例2と同様な規格で構成されているが,中空糸の効果がないために蓄熱保温効果や軽量性が劣っている。比較例3の織物は,各実施例同様,中空糸を使用し,布帛に含まれるZrCの量も1.5重量%以上含まれているものの,布帛中に占める中空部の比率が少ないために蓄熱保温効果,軽量性に乏しく,また,比較例4の織物は,軽量性はあるものの,布帛に含まれるZrCの量も1.5重量%以下であるため蓄熱保温効果が損なわれている。比較例5の織物は,太陽光選択吸収蓄熱繊維のみで構成されているので蓄熱保温効果はあるものの,中空糸を使用していないので保温効果の持続性,軽量性とも本実施例より劣り,また,比較例6の織物は,太陽光選択吸収蓄熱繊維を使用していないので蓄熱保温効果は得られていない。
【0034】
【発明の効果】
本発明の太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛は,太陽光の照射時はもとより,照射後日陰に入っても保温効果に優れ,かつ保温効果の持続性もあり,良好な軽量性をも有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる太陽光選択吸収蓄熱繊維の一例を示す断面図である。
【図2】本発明で用いる中空繊維の一例を示す断面図である。
【図3】本発明で用いる中空繊維の一例を示す断面図である。
【図4】本発明で用いる中空繊維の一例を示す断面図である。
【図5】本発明で用いる中空繊維の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 芯 部
2 鞘 部
3 中空部
4 中空部
5 中空部
6 中空部

Claims (3)

  1. 太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維が混用されてなる布帛であって,布帛中に含まれる太陽光選択吸収蓄熱剤が1.5重量%以上で,かつ布帛中に含まれる中空部の比率が10%以上であることを特徴とする太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛。
  2. 太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維が合撚または流体混繊交絡によって混合された複合糸よりなる布帛であって,布帛中に含まれる太陽光選択吸収蓄熱剤が1.5重量%以上で,かつ布帛中に含まれる中空部の比率が10%以上であることを特徴とする太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛。
  3. 太陽光選択吸収蓄熱繊維と中空繊維を経糸または緯糸のそれぞれに単独で,または混合して使用されてなる布帛であって,布帛中に含まれる太陽光選択吸収蓄熱剤が1.5重量%以上で,かつ布帛中に含まれる中空部の比率が10%以上であることを特徴とする太陽光選択吸収蓄熱性軽量布帛。
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