JP3830492B2 - アスベストを含むスレート廃材の処理方法 - Google Patents

アスベストを含むスレート廃材の処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、アスベストを含むスレート廃材の処理融解による処理方法に関する。
アスベスト(石綿)は天然に産する鉱物繊維である。アスベストを使用した工業製品は
、スレート板、水道管、耐火被覆材、ブレーキパッド、ガスケット、保温板、ロープ、パ
ッキング、アセチレンボンベの充填材など多岐にわたる。この中でも、特に使用量の多い
のは、スレートである。これはセメントの強度補強をはかるべく石綿を強化材として15重
量%〜20重量%程度混入したものである。スレートは、天井、壁材など大量に使用されて
きた。
これまでに大量に生産されたスレート材は、使用後廃棄された場合には産業廃棄物とし
て処分されている。しかしながら、セメント硬化物が中性化すればアスベストの飛散、放
散が予測されることから安全な対策が求められているが、現状では特別な対策はない。
廃棄されたスレート廃材は、安定なものであるので、一般廃棄物として取り扱われてい
る。しかし、耐火被覆材や崩壊した天井板など含アスベスト建材を用いた建造物の解体は
今後ピークを迎えることから、アスベスト暴露とアスベスト処理の問題が深刻化する。廃
棄後の建材は、厳封され特定管理物質となり、その費用設備は膨大なものとなっている。
スレートは、アスベストをセメントで固めた安定な耐火性の高い材料であり、その廃材の
分解、融解、崩壊にはさらに高いエネルギーを要している。
アスベストの多くは蛇紋岩系のクリソタイル(3MgO・2SiO・2HO)であ
り、加熱すると約700℃で脱水、変態し、約900℃で無害なフォレストライト(2M
gO・SiO)になることが知られている。しかしながら、建材中に用いられていると
これを容易に無害化することは困難である。
アスベストの分解無害化法には密閉型電気炉溶解法やスラグ浴融解法などがある(例え
ば、特許文献1〜3)が、どれも1000℃以上の処理温度を要し、膨大なエネルギー消
費問題を抱えていることから実用化には至っていない。そのため現状では、廃棄アスベス
トの大部分が産業廃棄物として処理されているに過ぎず、環境保全倫理に適ったアスベス
ト処理技術の早急な確立が要求される。
石綿廃棄物に溶融助剤を混合し、溶融釜中において1000〜1100℃程度に加熱し
て石綿繊維をガラス化又は石綿以外の結晶構造を有する物質に変換する方法(特許文献4
)、電気ガラス溶解炉の中にアスベストを供給し1000℃以上の温度で溶解させる方法
(特許文献5)、アスベスト廃棄物にCaF源を加えて1300〜1400℃で溶融し
てガラス化する方法(特許文献6)、分解剤として弗素含有の無機酸及び又は該酸のアル
カリ金属塩もしくはアンモニウム塩を用いて周囲温度と1000℃の温度でアスベストを
分解する方法(特許文献7)も知られている。
本発明者は、フロン分解物とアスベストを混合して従来よりも低温(約575℃)に加
熱すると、アスベストが分解し、無害化できることを見出し、この方法に係わる発明を特
許出願した(特願2003−410145)。
特開平8−257531号公報 特開平9−19672号公報 特表平10−500616号公報 特開昭62−237984号公報 特公平4−28648号公報 特開平6−170352号(特許第3120308号)公報 特開平4−226677号公報
スレートの強化材であるアスベストは、綿肺、肺癌、悪性中皮腫など多くの健康阻害の
要因となる。しかし、長い潜伏期間と高い発病率から悪玉物質といわれ使用が禁止された
。アスベストの有害性は、その繊維質に由来するものであり、繊維質の改質、融解が無害
化のポイントであると考えられる。本発明者は、フッ化カルシウムを主体とするフロン分
解物とともに575℃に加熱することでアスベストを融解し無害化する方法を開発した。
しかし、スレート廃材中のアスベストは、この方法では融解できなかった。スレート廃
材中のアスベストの分解は通常1500℃程度の高温を必要とする。耐熱性に優れたスレ
ート廃材中のアスベストを1000℃未満の低温で融解、ガラス化する技術は知られてい
ない。
アスベストを含むスレート等は、建材の場合は主に板状である。水道管などは筒状であ
る。耐火被被覆材は、堅い綿状である。形のあるものを分解あるいは融解させるには、で
きるだけ形を小さくした方が有利である。そのためには、前処理として粉砕工程、分解工
程、微細クラックの形成工程などが必要となる。これらの工程は、重機などを用いて破壊
するなど、主として機械的手段を用いるので、アスベストが飛散などして好ましいとはい
えない。したがって、できるだけ、建材などとして使用された形態のまま、あるいは最小
限破砕した形態で処理することが望ましい。
本発明の方法は、アスベストを含むスレート廃材を融解剤を用いて加熱することによっ
てアスベストを低温で融解することが可能となった。スレート廃材のみでは耐熱性があり
1000℃に加熱しても何も変化は生じない。ところが、四ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)
、ホウ酸、又はホウ酸と炭酸ナトリウムとの混合物をスレート廃材に十分に含浸し、それ
を780℃〜1000℃、好ましくは790℃〜850℃程度に加熱するとスレート廃材
中のアスベストを融解させることができる。
すなわち、本発明は、(1)アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずにホウ砂、ホウ
酸と炭酸ナトリウムの混合物、又はホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物からなる融解剤の水
溶液に漬け、それを減圧下に置いて融解剤をスレート廃材の表面からスレート内部の空隙
内に含浸することによって前処理した後、該前処理したスレート廃材を融解剤を満たした
溶融炉内に浸漬して780℃〜1000℃の範囲に加熱することによってスレート廃材中
のアスベストを溶融させてガラス化させることを特徴とするスレート廃材の処理方法、で
ある。
また、(2)アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずにホウ砂、ホウ酸と炭酸ナトリ
ウムの混合物、又はホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物からなる融解剤の水溶液に漬け、そ
れを加圧下に置いて融解剤をスレート廃材の表面からスレート内部の空隙内に含浸するこ
とによって前処理した後、該前処理したスレート廃材を融解剤を満たした溶融炉内に浸漬
して780℃〜1000℃の範囲に加熱することによってスレート廃材中のアスベストを
溶融させてガラス化させることを特徴とするスレート廃材の処理方法、である。
また、(3)アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずにホウ砂、ホウ酸と炭酸ナトリ
ウムの混合物、又はホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物からなる融解剤の水溶液に漬け、そ
れを減圧下に置いて融解剤をスレート廃材の表面からスレート内部の空隙内に含浸し、さ
らに加圧下において同様に含浸することによって前処理した後、該前処理したスレート廃
材を融解剤を満たした溶融炉内に浸漬して780℃〜1000℃の範囲に加熱することに
よってスレート廃材中のアスベストを溶融させてガラス化させることを特徴とするスレー
ト廃材の処理方法、である。
また、(4)アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずに500℃〜700℃の範囲に
加熱するか、又はマイクロ波を照射して加熱した後、水中に投入するか、又は冷却空気を
吹き付けることによって、スレート廃材の内部及び表面に微細亀裂を発生させた後に融解
剤の水溶液に漬けることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかのスレート廃材
の処理方法、である。
融解剤の含浸処理を行わないと、スレート廃材の表層部のみがガラス化するだけで、形
状の変化もない。これに対して、本発明の方法は、スレート廃材の特定の融解剤による前
処理を行うことで780〜1000℃、例えば800℃程度で、耐熱性に優れたスレート
廃材内部のアスベストを融解処理しガラス化ができる。融解剤をスレート廃材中に含浸す
る際に、微細亀裂の発生、減圧下及び/又は加圧下の含浸など、効果的な含浸条件を付加
することで、低温での効率的なアスベストの融解、分解が可能となり、有害なアスベスト
を含むスレート廃材を安定な形態に変換できる。
本発明の方法により、耐熱性に優れたスレート廃材中のアスベストを1000℃以下の
低温で融解、ガラス化することができる。また、このような低い処理温度で融解が可能に
なるので、都市清掃工場からのエネルギー使用が可能となり、コスト面での低価格化がは
かれる。本発明の方法は、小型の(45×60cm)スレート板が破壊処理なしで処理で
きるし、特に、実用的には定尺もの(いわゆる3尺×6尺、90cm×180cm)の大
きさのスレート板を、切断をしなくてそのままの大きさで無害化処理できる。
本発明の方法では融解剤として、(1)ホウ砂、(2)ホウ酸と炭酸ナトリウムの混合
物、(3)ホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物が適する。ホウ砂は、Na247・10H2
O、四ホウ酸ナトリウムはNa247と10水和物がある。10水和物はホウ砂と同じ
化学式である。ホウ酸はH3BO3、炭酸ナトリウムはNa2CO3である。両者を1:4で
反応させれば、ホウ砂となる。ホウ酸と炭酸ナトリウムの混合物は重量比で6/1〜1/6
、好ましくは、5/1〜3/1の割合、ホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物は重量比で20/
1〜1/20、好ましくは3/1〜1/5の割合がよい。
スレート廃材を融解剤中に埋め込み、1000℃以上の高温に加熱すればスレート廃材
は融解するが、本発明の方法は、前処理として、スレート廃材に融解剤を十分に含浸させ
ておくことによって、より低温で、より短時間でスレート廃材中のアスベストを融解させ
ることができる。
前処理は、減圧下及び/又は加圧下で行う。減圧下の場合は、真空装置で含浸処理装置
内を減圧することにより行う。融解剤溶液の濃度が高く(濃く)なれば粘度が上昇し、含
浸しにくくなる。融解剤を短時間で多量に含浸させるためにはこれらの飽和溶液又は飽和
溶液に近い高濃度溶液での使用が望ましい。融解剤の溶解度(飽和溶液100g中に含ま
れる重量:%)は下記のとおりである。 ホウ酸では25℃で5.43%、80℃で19
.06%である。硼砂では25℃で3.13%、80℃で19.88%となる。炭酸ナト
リウムでは25℃で22.7%、80℃で31.1%である。
融解剤を減圧下で含浸させる場合には、減圧可能な容器を用い、この中にスレート廃材
と融解剤溶液を入れた容器を置き、真空ポンプで減圧にする。減圧度は、低いことが望ま
れるが、装置上の経費負担が増大するので、0.1MPa以下程度、望ましくは0.01MPa
以下とする。減圧時間の目安は、気泡の発生がなくなるまででよいが、溶液から気泡の発
生が終了後も約30分間程度は真空ポンプで減圧状態を持続することが好ましい。減圧時
間が長すぎることによる弊害はない。なお、急激に容器内を減圧にすると、気泡の発生が
激しく、溶液が吹きこぼれることもあるので、ゆるやかに減圧にすることが望ましい。減
圧終了後、コックなどを解放にし、ゆっくりと大気圧に戻す。その後、再度、真空ポンプ
で減圧にし、同程度の真空度で気泡の発生がなくなるまで減圧にする。含浸操作を繰り返
すことにより、より効果的な融解剤の含浸ができる。繰り返しの融解剤の含浸処理は、少
なくとも2回以上実施することが望ましい。
加圧下で含浸を行う場合、加圧方法は、オートクレーブなどの含浸処理装置内にスレー
ト廃材と融解剤溶液を入れた容器を置き、ポンベから窒素などを吹き込む方法、圧搾空気
を送り込む方法などがある。加圧力は、1気圧以上であればよい。望ましくは、2気圧か
ら5気圧である。この状態で10分間程度保持する。保持時間が10分以上であっても弊
害となることはない。一旦、オートクレーブなどの含浸処理装置内の加圧状態を開放にし
てから再度、圧搾空気又は窒素ガスを充填して再度加圧を行うことが好ましい。加圧下で
の融解剤の含浸処理は、少なくとも2回以上実施することが望ましい。加圧下の場合、圧
力が高くなればスレート廃材の内部にまで融解剤溶液を充填できる。
また、減圧下での含浸、その後加圧下での含浸というように減圧下と加圧下の含浸処理
を交互に行うことも効果的な含浸方法である。また、融解剤を含浸した後乾燥させてから
、再度、減圧下、又は加圧下で融解剤を含浸することも効果的な方法である。含浸処理時
に超音波振動をかければ、スレート廃材内の空隙が脱気されやすくなるので、融解剤溶液
の滲みこみは容易となる。
含浸処理の前に電気炉などで500℃〜700℃程度に加熱したスレート廃材に冷却空
気を吹き付けることによって急速に冷却し、微細クラックを発生させる手法も有効である
。あるいは、加熱したスレート廃材を水中に投入して微細クラックを発生させる方法もあ
る。また、融解剤を含浸させたスレート板を電子レンジなどと同様のマイクロウエーブを
照射するなどしてから水中に投入することで、亀裂を発生させることができる。
さらに、電気炉などで加熱するか、又はマイクロ波(2.54GHz)で表面温度が3
50℃程度以上になるまで加熱したスレート廃材を融解剤の水溶液に投入し、亀裂の発生
と、含浸とを同時に行うことが有効である。また、融解剤の飽和水溶液又は濃厚溶液を調
製しておきその中にスレート廃材を漬け込み、オートクレーブ、反応釜、又は減圧容器な
どを用いて真空ポンプで減圧下に保持し、含浸を促進することができる。融解剤を含浸し
たスレート廃材は、氷浴中で冷却することで結晶化が進行し、スレート廃材の周りには、
融解剤の結晶が析出する。このようにすると、融解剤が均一に滲みこむことになり、高温
加熱による融解が効果的に進行する。
融解剤を含浸したスレート廃材は、溶融釜に入れ、スレート廃材の周囲には融解剤を、
スレート廃材が埋没するまで充填する。融解剤の総使用量は、スレート重量の3〜5倍程
度が好ましい。融解剤量は、過剰でも特に問題になることはないが、少ないと、融解が遅
くなることや、不均質になる。溶融釜を、780〜1000℃、望ましくは790℃から
850℃、例えば、800℃にまで温度を上げ、この温度に約30分〜3時間保持する。
温度が低い場合は長い時間を必要とするが、1000℃程度であれば、30分程度でも可
能である。この操作で、スレート廃材中の繊維状のアスベストは融解し、ガラス化し無害
化できる。なお、スレート廃材中のアスベストを融解することができれば、その他の多く
の石綿使用材料を無害化することができるので、本発明の方法は、その他の多くの石綿使
用材料の融解処理にも適用できる。
以下に本発明の実施例について具体的に説明する。
(1)スレート廃材試料
スレート廃材試料として、一般的なスレート板(幅13.5mm、長さ25mm、厚さ6.5mm、重
量3.4g)を用いた。この中のアスベスト含有量は、約15重量%であった。
(2)融解剤
表1に示す各種の融解剤を用いた。四ホウ酸ナトリウムを融解剤に用いた場合は、60℃
の水100mlに四ホウ酸ナトリウム10gを溶解した溶液を調製した。
(3)融解剤の含浸
真空デシケーターを用い、スレート廃材と融解剤溶液を入れた容器を置き、真空ポンプ
で減圧にした。その際の真空度は、0.01MPaであった。溶液から気泡の発生が終了後、30
分間、真空ポンプで減圧状態を持続した。減圧終了後、コックなどを解放にし、ゆっくり
と大気圧に戻した。その後、再度、真空ポンプで減圧にし、同程度の真空度で気泡の発生
がなくなるまで減圧にした。この処理によって、スレート廃材の空隙に融解剤は浸透した
。スレートの保水能力は、16容積%(water-g/water-g)であった。スレート廃材の重量
は、約6.5gであった。したがって、スレート廃材に付着又は含浸したホウ砂の重量は3.1g
であった。
(4)加熱
融解剤の付着および含浸したスレート廃材は、ルツボに入れた。スレート廃材の周りに
融解剤を詰めた。この時に使用した融解剤量は、約7gであった。従って、融解剤の総使
用量は、10g程度であった。融解剤は、スレート重量の約3倍程度を用いた。
ルツボは、角形電気炉中にいれ、空気中約300℃/時間の昇温速度で所定温度(800℃、
850℃、900℃、1000℃)に加熱し、この温度に所定時間(1時間、2時間)保持した。所定
時間経過後、空冷で室温まで冷却した。加熱後の試料は、形状を観察し、融解の有無、ガ
ラス状態か等を観察し、X線回折分析を行い、アスベストの有無、および結晶性か無定形
かを分析した。結果は後述する。
スレート廃材を融解剤の飽和水溶液中に浸し、真空デシケーター中で1時間、減圧下に
保持した。この時の真空度は、0.08MPaであった。他の条件は実施例1と同じとした。
スレート廃材を融解剤の飽和水溶液中に浸して融解剤を含浸後、溶液ごと氷浴中に入れ
て冷却し、融解剤を内部に含み、表面部には融解剤の析出した(付着した)スレート板を
得た。他の条件は実施例1と同じとした。
実施例1の方法において、含浸前のスレート廃材を電気炉中に入れ500℃に10分間以上
加熱した。これを水中に投入したところ、断面および表面部に微細な亀裂が発生した。こ
の前処理を行うことによって、実施例1と比べて融解剤溶液の滲みこみは早くなり、融解
剤の飽和溶液を含浸させることは容易となった。さらに、含浸処理したスレート廃材を融
解剤とともに高温に加熱した際には短時間でアスベストの融解が進行するとともに、融解
が均一に行われた。
実施例1の方法において、含浸前のスレート廃材に家庭用電子レンジ(出力700W)で4
分間電磁波を照射した。スレート廃材は少し赤みを帯びてきた。これを水中に投入したと
ころ、微細キレツが発生した。この前処理を行うことによって、実施例1と比べて融解剤
溶液の滲みこみは早くなり、融解剤の飽和溶液を含浸させることは容易となった。さらに
、含浸処理したスレート廃材を融解剤とともに高温に加熱した際には短時間でアスベスト
の融解が進行するとともに、融解が均一に行われた。
[比較例1]
実施例1の融解剤に代えて、フロン分解物(CaF2:CaCO3=2:1)を用い、融解温度を800℃
、融解時間を2時間とし、他は実施例1と同じ条件で処理した。
[比較例2]
実施例1の融解剤に代えて、けい砂−炭酸ナトリウム−炭酸カルシウムを用い、融解温
度を800℃、融解時間を2時間とし、他は実施例1と同じ条件で処理した。
[比較例3]
実施例1の融解剤に代えて、SiO2:Na2CO3=77.4:25.6を用い、融解温度を800℃、融解時
間を2時間とし、他は実施例1と同じ条件で処理した。
[比較例4]
実施例1の融解剤に代えて、ガラスカレットを用い融解温度を800℃、融解時間を2時間
とし、他は実施例1と同じ条件で処理した。
[比較例5]
実施例1の融解剤に代えて、四ホウ酸ナトリウム−ガラスカレット=7:3用い融解温度を
800℃、融解時間を2時間とし、他は実施例1と同じ条件で処理した。
[比較例6]
実施例1の方法において、融解剤の含浸処理を行わない他は実施例1と同じ条件で処理
した。ガラス化の行われた領域は、スレート廃材の外周部のみであった。含浸処理を実施
しなかった場合には、表層部のみがガラス光沢を有するのみであって、形状の変化もなか
った。
実施例1及び比較例1〜4の融解状況を表1に示す。融解状況の評価は、×:融解して
いない(0%〜10%)、△:部分的に融解している(10%〜50%)、○:大半が融解して
いる(50%〜90%)、◎:ほぼ完全に融解している(90%〜100%)であった。実施例の
方法が、特に効果的であることが分かる。ルツボ内の様子を観察し、板状のスレート廃材
の形態が崩壊して、ガラス状になった場合の処理温度を表2に示す。これらの保持時間は
、いずれも2時間であった。
Figure 0003830492
Figure 0003830492
<融解物の分析>
実施例1の融解物のX線回折測定では、アスベストに由来する10〜30°に発現する回折
線、は消滅していた。また、鋭い回折線はなくなり、幅広いブロードな回折線のみであっ
た。図1にスレート廃材、図2に、融解物のX線回折図形をそれぞれ示す。図1にはスレ
ート特有の多数のピークが見られるが、図2ではガラス状態を示していた。
これまでは厳重な管理型処分場にしか廃棄できなかったアスベストを含むスレート廃材
は本発明の方法で処理後は、安定型処分場への廃棄が可能となる。
実施例1で使用したスレートのX線回折図形である。 実施例1において、本発明の方法で処理したスレート廃材中の融解物のX線回折図形である。

Claims (4)

  1. アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずにホウ砂、ホウ酸と炭酸ナトリウムの混合物、
    又はホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物からなる融解剤の水溶液に漬け、それを減圧下に置
    いて融解剤をスレート廃材の表面からスレート内部の空隙内に含浸することによって前処
    理した後、該前処理したスレート廃材を融解剤を満たした溶融炉内に浸漬して780℃〜
    1000℃の範囲に加熱することによってスレート廃材中のアスベストを溶融させてガラ
    ス化させることを特徴とするスレート廃材の処理方法。
  2. アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずにホウ砂、ホウ酸と炭酸ナトリウムの混合物、
    又はホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物からなる融解剤の水溶液に漬け、それを加圧下に置
    いて融解剤をスレート廃材の表面からスレート内部の空隙内に含浸することによって前処
    理した後、該前処理したスレート廃材を融解剤を満たした溶融炉内に浸漬して780℃〜
    1000℃の範囲に加熱することによってスレート廃材中のアスベストを溶融させてガラ
    ス化させることを特徴とするスレート廃材の処理方法。
  3. アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずにホウ砂、ホウ酸と炭酸ナトリウムの混合物、
    又はホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物からなる融解剤の水溶液に漬け、それを減圧下に置
    いて融解剤をスレート廃材の表面からスレート内部の空隙内に含浸し、さらに加圧下にお
    いて同様に含浸することによって前処理した後、該前処理したスレート廃材を融解剤を満
    たした溶融炉内に浸漬して780℃〜1000℃の範囲に加熱することによってスレート
    廃材中のアスベストを溶融させてガラス化させることを特徴とするスレート廃材の処理方
    法。
  4. アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずに500℃〜700℃の範囲に加熱するか、又
    はマイクロ波を照射して加熱した後、水中に投入するか、又は冷却空気を吹き付けること
    によって、スレート廃材の内部及び表面に微細亀裂を発生させた後に融解剤の水溶液に漬
    けることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のスレート廃材の処理方法。
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