JP2009214081A - アスベストの急速処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アスベスト複合材に所定の薬剤を含浸させた後、電磁波を照射することにより、短時間で、効率よくアスベスト含有材を分解・ガラス化することができるアスベストの急速処理方法を提供する。
【解決手段】繊維状アスベストと、酸化カルシウム含有するセメントとを有する複合材を、塩化カルシウムを含有する反応液に浸漬して、該反応液を前記複合材中に含浸させた後、電磁波を短時間照射することにより、アスベストを分解し、その後の冷却によりガラス化することを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アスベストの急速処理方法に関するものであり、特に、アスベスト複合材に所定の薬剤を含浸させて電磁波を照射することにより、短時間で、アスベスト含有材を分解・ガラス化する技術に関するものである。
アスベストは、天然に産する繊維状ケイ酸塩鉱物で、代表的なものに、クリソタイル、クロシドライト、アモサイトの3種類がある。アスベストはその耐熱性、耐摩耗性、防音性などの諸性質に優れ、安価なことから、建材、家庭製品など、これまでに3000種を超える利用形態があり、その推定総使用量は、540万トンに及んでいる。
しかし、アスベスト繊維は極めて細いため空気中に飛散し、体内に吸い込むことで、数μm〜数十μmの粉塵が肺の中の組織に刺さり、15〜40年の潜伏期間を経て、肺がん、悪性中皮腫などの健康障害を引き起こす問題が生じていた。そのため、アスベストを含有する全ての製品の製造、輸入、譲渡、提供、および使用が禁止された。また、建造物等の解体や吹付けアスベストなどの除去においても、所要の安全措置を行わないとアスベストが飛散することから、アスベストの使用や製造が全面的に禁止されることとなった。
一方、既に製造等されたアスベスト含有製品に関するアスベスト含有廃棄物は、管理型として保管や埋め立て処理が行われている。しかし、このような処理方法ではアスベストを分解していないため、再度露出して飛散する可能性があり、また、保存・埋め立て場所の確保の問題など将来的な解決には至っていない。
そのため、アスベストのガラス化および溶融には、様々な方法が試みられているが、一般に、1500℃を超える超高温による溶融処理が行われるのが通常である。しかし、アスベストを溶融するには高いエネルギーが必要であり、高い処理コストと高い環境負荷が生じ、また、炉材の耐久性等にも解決すべき問題点がある。そのため、大量に発生するアスベスト含有廃棄物の処理としては、省エネルギーで、迅速・簡易なアスベスト処理が望まれている。
非特許文献1には、繊維状アスベスト含有セメント板を600℃で熱処理した後、機械的な粉砕を行い、繊維状アスベストを破壊する方法が開示されている。しかしながら、加熱により生成される鉱物は、フォルステライト等の鉱物であることから、人体への安全性に問題がある。
橋本 忍、奥田 篤史他、「位相差顕微鏡法により加熱クリソタイルの評価」、Journal of the Ceramic Society of Japan、Vol.114(2006)、No.1332(August) pp.716-718
また、本発明者らは、酸化カルシウム成分を含有するセメントを有するアスベスト複合材に、塩化カルシウムを含有する反応液を含浸させた後、600〜800℃の温度で加熱することによってアスベストを粒状または粉状に分解する技術を開発し、特許文献1において提案した。
特許第3747246号公報
また、非特許文献2には、アスベスト廃棄物自体にマイクロ波を照射することによってアスベストを処理する方法が開示されている。しかしながら、この方法はマイクロ波の内部加熱効果等を利用したものであって、1000℃で1時間以上の加熱保持を必要としており、迅速な分解ができないという問題がある。
「アスベスト含有窯業系建材の非飛散無害化処理システムの開発」、平成19年度アスベスト処理技術研究セミナー講演資料集、財団法人廃棄物研究財団、平成19年9月、P132−135
また、アスベスト廃棄物を埋め立て処理する場合、廃棄物の飛散を防ぐには、アスベスト処理物が粉状や粒状ではなくガラス状であることが望まれるが、現段階では、1500℃程度の温度に加熱する高温溶融処理を施すことによりアスベストをガラス化する方法が行われているにすぎない。
本発明の目的は、アスベストの急速処理方法、特に、アスベスト複合材に所定の薬剤を含浸させた後、電磁波を照射することにより、短時間で、アスベスト含有材を分解・ガラス化する方法を提供することにある。
(1)繊維状アスベストと、酸化カルシウムを含有するセメントとを有する複合材を、塩化カルシウムを含有する反応液に浸漬して、該反応液を前記複合材中に含浸させた後、電磁波を短時間照射することによりアスベストを分解し、その後の冷却によりガラス化することを特徴とするアスベストの急速処理方法。
(2)アスベスト1モルに対し、前記セメント中の酸化カルシウム量は3.2モル以上であり、前記反応液中の塩化カルシウム量は0.25モル以上であることを特徴とする上記(1)に記載のアスベストの急速処理方法。
(3)前記電磁波の照射時間は、4分以内であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のアスベストの急速処理方法。
(4)前記電磁波は、マイクロ波であることを特徴とする上記(1)、(2)または(3)に記載のアスベストの急速処理方法。
(5)前記マイクロ波は、電子レンジ、高周波誘導加熱または直接通電を用いて発生させることを特徴とする上記(4)に記載のアスベストの急速処理方法。
本発明によれば、アスベスト複合材に、塩化カルシウムを含有する反応液を含浸させた後、電磁波を短時間照射し、その後冷却することにより、アスベストを分解・ガラス化することができるアスベストの急速処理方法の提供が可能となる。
以下、発明を完成するに至った経緯を作用とともに説明する。
本発明者らは、酸化カルシウム成分を含有するセメントを有するアスベスト複合材に、塩化カルシウムを含有する反応液を含浸させた後、600〜800℃の温度で加熱することによってアスベストを粒状または粉状に分解する技術を開発している(特許文献1)。
しかし、上述したように、アスベスト廃棄物を埋め立て処理する場合、廃棄物の飛散を防ぐには、アスベスト処理物がガラス状であることが望まれている。
一般に、アスベストを高温で溶融する場合、予熱、加熱、冷却と一連の工程で長時間を必要とする。そこで、本発明者らは、可能な限り短時間でアスベストの分解とガラス化を同時に行うことができる方法について鋭意検討を行ってきた。
本発明者らは、アスベストの急速分解を研究する過程において、吹き付けアスベストなどの断熱素材を外熱式で中央部まで短時間で加熱することは困難であるので、外熱式ではない他の急速加熱方法を模索した。
本発明者らは、以前、セメントと砂とからなるモルタル(サイズ:縦4cm、横4cm、厚さ9cm)を電子レンジ中に入れて加熱する実験を行った。この結果、モルタルは赤熱状態になり融解することを確認した。これから、コンクリートやモルタルを構成する酸化カルシウムや炭化ケイ素などは、電磁波を照射することによって加熱することができるという知見を得た。そこで、この知見に基づき、アスベストとセメントとを有する複合材を分解およびガラス化するための鋭意検討を行った。
まず、アスベストのみに電磁波を数分間照射してみたところ、アスベストの分解もガラス化も起こらなかった。数分間の照射でアスベストを分解させるには、分解を促進するための何らかの薬剤を添加する必要があると考えた。これまでの研究結果から、アスベストは酸化カルシウムと加熱すると470℃で分解することが熱力学的計算から求められており、アスベストと酸化カルシウムを含有するセメントとを共存させることで急速分解が可能であると考えた。
繊維状アスベストとセメントとが共存した複合材としては、例えば、建材に使用されているスレート材が挙げられる。そこで、このスレート材のみに電磁波を照射して加熱してみたが、ガラス化することはなかった。したがって、アスベストを急速に分解・ガラス化するには、分解を促進する薬剤とともに、融解・ガラス化を促進する薬剤をさらに添加することが必要であると考えた。融解・ガラス化を促進する薬剤としては、本発明者らのこれまでの研究結果から塩化カルシウムが有用であると考えた。
そして、繊維状アスベストと、酸化カルシウム成分を含有するセメントとを有する複合材を、塩化カルシウムを含有する反応液に浸漬してこの反応液を複合材料中に含浸させた後、電磁波を短時間照射し、冷却したところ、アスベストの分解およびガラス化に成功し、本発明を完成させるに至ったのである。
アスベストを外熱加熱式で加熱する場合、試料は外周部から加熱され、また、アスベストを高温で溶融するには、予熱、加熱、冷却と一連の工程で長時間が必要となる。一方、本発明では、電磁波を用いることにより試料内部を直接加熱することができるので、短時間でアスベストを溶融することができる。また、加熱を短時間で行うことから、アスベスト複合材等の蓄熱量を小さくすることができ、外熱加熱式に比べて、冷却時間を短くすることができ、アスベスト複合材の急冷が可能となる。これによって、アスベストのガラス化を容易に達成することができるものである。
前記セメント中の酸化カルシウム量は、アスベスト1モルに対して3.2モル以上含まれていることが好ましい。酸化カルシウム量が3.2モル未満だと、発熱に長時間を要する場合があるためである。尚、複合材中の酸化カルシウム量が、アスベスト1モルに対し3.2モル未満の場合には、3.2モル以上になるように酸化カルシウム成分を複合材に添加することが好ましい。この添加する酸化カルシウム成分としては、石灰岩、セメント、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
前記反応液中の塩化カルシウム量は、アスベスト1モルに対して0.25モル以上であることが好ましい。塩化カルシウムが0.25モル未満だと、アスベストが十分に溶融しない場合があるためである。また、前記塩化カルシウムを過剰に添加しても、塩化カルシウム自体が分解、析出して粒状となるだけで、複合材を溶融ガラス化したあとの処理物の量がいたずらに多くなるに過ぎないため、前記反応液中の塩化カルシウム量は可能な限り少ない方が好ましい。
電磁波の照射時間は、4分以内の短時間であるのが好ましい。前記照射時間が4分を超えると、被照射物が赤熱状態になり、電子レンジ内部の材料が燃焼し始めるおそれがあるためである。
照射する電磁波には、放射線、電子線、X線、赤外線、紫外線、電波、マイクロ波等、様々な種類があるが、これらの中でも、取り扱いが容易であるマイクロ波を照射するのが好ましい。また、マイクロ波は、電子レンジ、高周波誘導加熱または直接通電を用いて発生させるのが好ましい。
前記マイクロ波を照射する際には、電子レンジルツボを用いるのが好ましい。電子レンジルツボは、耐熱性材料、例えば、アルミナ、ムライトのような無機繊維材料からなる筒の内側に炭化ケイ素などのマイクロ波を吸収して発熱する発熱材料が塗布されている。前記耐熱性材料を通過した電磁波により発熱材料が発熱すると、所定温度まで数分で高温に加熱することが可能なルツボである。加熱時の最高到達温度は約1200℃である。
アスベストを含む建築材料には、セメント、石膏、ケイ酸カルシウムなど各種複合材がある。これらはいずれも強固に製造されたものであり、容易に分解も破壊も粉砕もできない。本発明の方法を実施するには、繊維状アスベストと、酸化カルシウム含有するセメントとを有する複合材を、塩化カルシウムを含有する反応液に浸漬して、該反応液を前記複合材中に含浸させる必要がある。そのためには、微細クラックを強制に発生させることや、粒状あるいは粉末状にすることが好ましい。あるいは、高温まで加熱した試料を一気に水中に投入することで、微細キレツを発生させる方法もある。塩化カルシウム水溶液を、アスベストとセメント硬化物の隙間の中にしみ込ませる方法もある。その際に、加圧下、減圧下で実施することも効果的である。また、アスベストをセメントペーストとの分散液の中に、塩化カルシウム水溶液を混ぜ入れると一気に硬化する。塩化カルシウムはセメントの急結剤としての作用を示す。この現象を活用すれば、アスベストとセメントとの硬化物の中に、塩化カルシウムが均一に分散した硬化物が得られ、強固なアスベスト系建材の分解および融解に威力を発揮する。
(i)実験例1:アスベストへの電磁波照射実験
アスベストは、クリソタイル(関東化学製:型番Cat.No.01449-02 石綿99%)を使用した。電子レンジで加熱処理を行う場合には、電子レンジルツボを用いた。電子レンジルツボは、その容器内に載置した磁製ルツボとともに、電子レンジ内にいれ、加熱処理できる実験器具である。電子レンジルツボの概要は、高さ8.5cm、外径12.5cm、内径8.0cm、内側高さ5.0cmの筒状容器である。
アスベスト1gを磁製ルツボに入れ、種々の出力(600W,1000W,1400W,1800W)で照射時間を1分、2分、3分と変化させて、電磁波照射を行った。
通電を始めると、電子レンジルツボの外周は、赤熱状態に達した。1800Wで3分間処理した場合の電子レンジルツボ外周の温度は、光温度計で測温したところ、1000〜1200℃であった。
得られた処理物は、電子レンジ内で冷却後、室内に取り出した。各処理物は、磁製ルツボ内の様子を観察したあと、ルツボから取り出した。融解して取り出せない場合は、磁製ルツボを壊してから取り出した。得られた処理物それぞれについて、光学顕微鏡観察およびX線回折測定を行った。
加熱後の処理物の全てに、アスベストの溶けている様子は全く見られず、肉眼でもアスベストの繊維状物が確認できた。また、X線回折測定結果では、37°付近にフォルステライトに起因する回折線が認められ、ガラス化されていることを示すブロード状の回折線は見られなかった。
(ii)実験例2:アスベスと酸化カルシウムとの混合物への電磁波照射実験
アスベストとポルトランドセメントとを1:0.1、1:0.4、1:1、1:4の4種類の割合(質量比)で混合し、試料を調製した。ポルトランドセメント中の酸化カルシウム成分は概ね65質量%であるので、上記各試料におけるアスベストとポルトランドセメント中の酸化カルシウム成分との混合割合は、モル比にすると、それぞれ1:0.3、1:1.3、1:3.2、1:12.9である。
各混合物に水1.5mlを加えて混練した後、磁製ルツボに入れた。ルツボの中の内容物の表面は、平らになるようにし、ドラフト内で乾燥させた。これを電子レンジルツボ内に入れ、電子レンジで加熱(1800W、3分30秒)した。得られた処理物それぞれについて、光学顕微鏡観察およびX線回折測定を行った。
加熱後の処理物の外観はいずれも、アスベストが極わずかに溶けているのが見られただけであり、アスベストが融解したというには不十分であった。また、X線回折測定結果では、アスベストの回折線は認められなかったが、37°付近にフォルステライトに起因する回折線が認められ、ガラス化されていることを示すブロード状の回折線は見られなかった。
(iii)実験例3:アスベストと塩化カルシウムとの混合物への電磁波照射実験
アスベストと塩化カルシウムとを1:0.25および1:0.66の2種類の割合(質量比)で混合し、試料を調製した。上記各試料におけるアスベストと塩化カルシウムとの割合は、モル比にすると、それぞれ1:1.2、1:3.3である。
各混合物に水1.5mlを加えて混練した後、磁製ルツボに入れた。ルツボの中の内容物の表面は、平らになるようにし、ドラフト内で乾燥させた。これを電子レンジルツボ内に入れ、電子レンジで加熱(1800W、3分30秒)した。
加熱後の処理物の外観はいずれも、アスベストが極わずかに溶けているのが見られただけであり、アスベストが融解したというには不十分であった。また、X線回折測定結果では、アスベストの回折線は認められなかったが、37°付近にフォルステライトに起因する回折線が認められ、ガラス化されていることを示すブロード状の回折線は見られなかった。
(iv)実験例4:アスベストと酸化カルシウムと塩化カルシウムとの混合物への電磁波照射実験
アスベストに、ポルトランドセメント(酸化カルシウム成分65質量%)および塩化カルシウムを表1に示す各種割合で混合し、試料1〜26を調製した。これら混合物に少量の水を加えて混練した後、磁製ルツボに入れた。ルツボの内容物は、表面が平らになるようにし、ドラフト内で乾燥させた。これを電子レンジルツボに入れ、電子レンジで加熱(1800W、3分30秒)した。電子レンジ内に入れ加熱すると、数分で電子レンジルツボの外周は、赤熱状態に達し、放射温度計で測温したところ、約1000〜1200℃であった。
得られた電磁波照射処理物について、外観観察、光学顕微鏡観察、X線回折測定および走査型電子顕微鏡観察を行った。
表1は、アスベスト、ポルトライドセメント中の酸化カルシウム(セメント中の65質量%として算出)、塩化カルシウムの混合割合を、アスベストのモル数を1モルとしたときのモル比で示したものである。
表中の外観の評価欄に示した記号はるつぼの内容物の状態を示す。◎は完全溶融、○は約2/3〜完全溶融、△は約1/2〜2/3溶融、×はわずかに溶解または全く溶解していないことを示す。ここで、「溶融」という用語は、試料が融けてガラス状になり、破断面が鋭利な貝殻状を示す場合を意味する。
粉末X線回折の評価欄に示した記号(A、B、C)は、冷却後のルツボの内容物を分析した結果を示す。Aは幅広いブロード状の回折線の場合(結晶性物質の存在を示す回折線ピークのない)、Bはブロード状の回折線と結晶性物質の回折線ピークとが混在する場合、Cは結晶性物質の回折線ピークのみが存在する場合を示す。
(処理物の外観)
処理物の色および溶融状況は、3種類に大別された。試料No.1〜12は黄色、試料No.13〜15は茶色、試料No.17、18、22〜25はこげ茶色であった。そして、ポルトランドセメントと塩化カルシウムの双方の混合割合が多い試料No.16、19〜21は、透明度の高い茶色のガラス状を示した。
発熱度合いは、ポルトランドセメント量に関係し、ポルトランドセメント量の多い場合は容易に発熱し、ポルトランドセメント量が少なくなると発熱に時間を必要とした。塩化カルシウム量は、アスベストの溶融状態に影響した。また、塩化カルシウム量がアスベスト1モルに対して約2.5モル以上の場合には、塩化カルシウム自体が分解し粒状となった。
処理物を破断してみると、溶融が進行している場合には、ガラス状の割れ口を示し、一部は平滑なガラス面が見られた。
(X線回折)
電磁波照射処理物のX線回折分析を行い、表1に示すA評価およびB評価の場合は、ブロードな回折線を示していた。従って、電磁波処理物は、ガラス化し無定形になっていることである。これらの結果から、アスベストは溶融・分解したといえる。
(走査電子顕微鏡観察)
試料17および24の電磁波照射処理物の走査型電子顕微鏡による観察を行い、その様子を図1および図2に示す。溶融状態を示す処理物では、平滑なガラス面が観察できた。さらに、アスベストに基因する繊維状物質の存在はなかったので、処理物中のアスベストは分解し融解した。
(高分解能透過型電子顕微鏡観察)
基本的な考え方
このように、走査型電子顕微鏡観察では繊維状のアスベストは観察されなかったので、非繊維化は達成できたといえる。しかし、走査型電子顕微鏡で観察できるのはμm程度までであり、それ以下は識別できない。アスベストの分解はμm程度ではなく、nmレベルまでも分解していなければ、完全であるということはできない。その点を確認する分析手段は、高分解能透過型電子顕微鏡である。
アスベストは、特有の構造を保有している。それは酸化ケイ素と水酸化マグネシウムからなるシートが丸まった基本構造をもつ。走査電子顕微鏡で1本と観察されるアスベスト繊維は、シートの丸まったものが集合したものである。アスベストが分解したことは、シートが丸まった構造が崩壊していなければならない。その点が観察できるのは、透過型電子顕微鏡である。
10万倍で観察すると、繊維状の有無が、160万倍で観察すればシートが丸まった構造の存在が確認できる。アスベストの非繊維化、非石綿化の判定は、160万倍の透過型電子顕微鏡での観察結果で行うことにした。
透過型電子顕微鏡観察
試料の調整法は、試料粒子をビームカプセルに入れた後、試料埋込用樹脂に包埋して、60℃で48時間以上硬化させた。ウルトラミクロトーム(ULTRACUT―S ライカ製)で繊維軸方向に平行に切削し、約50nm厚の切片を作製した。観察は、高分解能透過電子顕微鏡(JEM2010日本電子製)を用い、加速電圧200kVにて断面観察を行った。観察は低倍(10万倍)と高倍(160万倍)で行った。アスベストの構造は中空のスパイラル構造であり、高倍率の透過型電子顕微鏡ならば観察することができる。試料中には、繊維状または層状のアスベスト構造は観察されなかった。これらのことから、加熱した試料中のアスベストは、完全に分解していることが確認できた。
本発明によれば、繊維状アスベストと、酸化カルシウム成分を含有するセメントとを有する複合材を、塩化カルシウムを含有する反応液に浸漬して該反応液を複合材料中に含浸させた後、電磁波を短時間照射して、アスベストを分解した後、冷却によりガラス化することを特徴とするアスベストの急速処理方法の提供が可能となった。
試料17の電磁波照射物の走査電子顕微鏡観察写真を示す。 試料24の電磁波照射物の走査電子顕微鏡観察写真を示す。

Claims (5)

  1. 繊維状アスベストと、酸化カルシウムを含有するセメントとを有する複合材を、塩化カルシウムを含有する反応液に浸漬して、該反応液を前記複合材中に含浸させた後、電磁波を短時間照射することによりアスベストを分解し、その後の冷却によりガラス化することを特徴とするアスベストの急速処理方法。
  2. アスベスト1モルに対し、前記セメント中の酸化カルシウム量は3.2モル以上であり、前記反応液中の塩化カルシウム量は0.25モル以上であることを特徴とする請求項1に記載のアスベストの急速処理方法。
  3. 前記電磁波の照射時間は、4分以内であることを特徴とする請求項1または2に記載のアスベストの急速処理方法。
  4. 前記電磁波は、マイクロ波であることを特徴とする請求項1、2または3に記載のアスベストの急速処理方法。
  5. 前記マイクロ波は、電子レンジ、高周波誘導加熱または直接通電を用いて発生させることを特徴とする請求項4に記載のアスベストの急速処理方法。
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