JP2011072915A - アスベストの無害化処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】任意の形態のアスベストを含有する廃材を、アスベスト粉塵等の飛散や放散を防止して、含有されるアスベスト繊維束をばらばらにして、無害化処理を短時間で、完全にかつ上記厚生労働省規定の0.1重量%以下に、容易に無害化処理することができ、特に、アスベスト繊維束の状態にあるアスベストを完全に、短時間で効率よく無害化処理することができる処理方法を提供する。
【解決手段】アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニアのフッ化物塩、及びフッ化水素酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種のフッ化物と、得られる処理水溶液のpHが1以下となるように塩酸、硫酸及び硝酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種の鉱酸とが添加された処理水溶液にアスベスト含有廃材を接触させて静置又は撹拌するとともに、該処理液に超音波振動を与えて、アスベスト含有廃材中のアスベストを無害化する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アスベストの無害化処理方法に関し、特に、アスベストを含有する廃材を特定のpH値を有するフッ化物イオン含有処理水溶液に溶解してアベストを短時間で無害化するアスベストの無害化処理方法に関する。
従来より、アスベストは長期間にわたって強度低下が起きないことから、様々な分野で広く使用されてきており、スレート板、水道管、耐火被覆材、ブレーキパッド、ガスケット、保温板、ロープ、パッキング、アセチレンボンベの充填材として多くの部材に使用されてきたが、近年、アスベストは、石綿肺、肺癌、悪性中皮腫など多くの健康阻害の要因となることが明らかとなり、使用が禁止されている。
特に従来のスレート板等は、耐火性、遮音性及び保温性等に優れていることから、天井、壁材等に、また、耐火性被覆材等は、吹き付け施工品として多く用いられており、かかるスレート板等や耐火被覆材等にはアスベストが含有されていた。
これらの多量に使用されてきたアスベスト含有部材は、上記したような環境的理由により、そのまま使用を継続することは危険であり、早急に廃棄・無害化処理をしなければならない状況となっている。
これまでのアスベスト含有廃材は、一般廃棄物として取り扱われて、現在は産業廃棄物として廃棄処分されているが、アスベストの飛散や放散が問題となっており、安全対策が求められている。
またアスベストを含有する廃材の有効利用は進んでいないのが現状である。
特に、耐火被覆材や崩壊した天井板などアスベストを含有する石膏ボード等の建材を用いた建造物の解体等がピークを迎えているが、アスベストの暴露とそのアスベストの飛散、放散の問題が深刻化している。
かかるアスベスト(石綿)は天然に産する鉱物繊維で、蛇紋岩系のクリソタイル(MgSi(OH))、角閃石系のアモサイト((Mg,Fe)Si22(OH))、クロシドライト(NaFe 2+Fe 3+Si22(OH))、アンソフィライト(MgSi22(OH))、トレモライト(CaMgSi22(OH))、アクチノライト(Ca(Mg,Fe)Si22(OH))が挙げられる。
かかる蛇紋岩系のクリソタイルは、加熱すると約700℃で脱水、変態し、約900℃でフォルステライト(2MgO・SiO)になることが知られているが、実際には、その繊維形状が保持されていることから容易に無害化することは困難であり、従ってその有効利用も十分に図られていない。
かかるアスベストの有害性は、その繊維質に由来するものであるので、繊維質の改質、融解により無害化する方法として、以下の方法が提案されている。
特開2005−279589号公報(特許文献1)には、アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずにホウ砂、ホウ酸と炭酸ナトリウムの混合物、又はホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物からなる融解剤の水溶液に漬け、それを減圧下に置いて融解剤をスレート廃材の表面からスレート内部の空隙内に含浸することによって前処理した後、該前処理したスレート廃材を融解剤を満たした溶融炉内に浸漬して780℃〜1000℃の範囲に加熱することによってスレート廃材中のアスベストを溶融させてガラス化させることを特徴とするスレート廃材の処理方法が記載されている。
更に、特開2006−52117号公報(特許文献2)には、無機質系材料の廃材を、セメント製造用原料とともにセメント製造用キルン内に投入して、加熱処理することによりセメントに変換してなる無機質系材料の廃材の処理方法において、廃材の寸法を、最小値が1mm以上で最大値がセメント製造用キルンの内径の1/10以下であり且つ廃材内部のどの個所であっても表面までの最短距離が30mm以下の範囲内となるように寸法調整し、廃材とセメント原料との合計量に占める廃材の比率が乾燥状態における質量比率で1〜20%の範囲とし、廃材をセメント製造用原料とともにセメント製造用キルン内にキルンの窯尻から投入し、1000〜1500℃で20〜60分間加熱処理して焼結体を得、得られた焼結体を粉末化することを特徴とする無機質系材料の廃材の処理方法が記載されている。
上記の各々の特許文献に記載された従来の方法においては、アスベスト含有廃棄物を溶融炉やセメントキルンに投入して無害化を行っている。
しかし、アスベスト含有廃棄物を溶融炉やセメントキルンに供給する際に、アスベストの飛散や放散を防止することはできず、また、上記従来の方法では、前処理としてアスベスト含有廃材を粉砕したり、分解したり、微細クラック等を形成したりするために、重機などを用いてアスベスト含有廃材を破壊するなど、主として機械的手段を用いるので、アスベストが結局飛散、放散してしまい、無害化処理工程における人体への健康面での影響問題は十分に解決されていないのが現状である。
さらに、無害化処理工程において溶融することが必要であるのでエネルギー消費量も多大である。
また、特許第3418989号(特許文献3)、特許第3418990号(特許文献4)及び特許第3418991号(特許文献5)には、30重量%の無機酸、無機酸の塩、またはそれらの混合物、特にリン酸と、0.1〜4%のアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアのテトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロケイ酸塩を含むフッ化物イオン源、またはそれらの混合物を添加し、共存する温石綿含有の建築材料中の温石綿量が1%未満に減少させるのに十分な時間、温石綿を接触させたままで置くことを含んでなる石綿を除去するための方法が開示されている。
かかる特許文献3〜5に記載された酸処理液による無害化の方法は、アスベスト含有量を1重量%以下、即ち1重量%まで少なくすれば足りる方法であって、該方法は、「石綿含有材料は1重量%を超える石綿を含有する材料」と定義した米国環境保護機関の基準に準じて発明されたものである。
しかし、日本では、平成18年9月1日より有害となるアスベスト含有重量比が、1重量%から国際水準の0.1重量%に変更(厚生労働省基準)されたため、上記方法では、当該基準を容易にクリアすることができず、現行規制の下では、アスベストを無害化するには不十分である。
特に、アスベスト含有建材中に含まれるアスベスト繊維はnmレベルの単繊維が収束したμmレベルの繊維束の状態で存在しており、微粉砕してもその収束した繊維が残存しており、従って、収束した繊維と無害化処理液とが接触した際に、その収束した繊維の外側から溶解が進行するため処理に時間がかかり、処理効率が悪くなっている。
特開2005−279589号公報 特開2006−52117号公報 特許第3418989号 特許第3418990号 特許第3418991号
本発明の目的は、上記問題点を解決し、任意の形態のアスベスト含有廃材を、アスベスト粉塵等の飛散や放散を防止して、含有されるアスベストを、完全にかつ上記厚生労働省規定の0.1重量%以下に、短時間で容易に無害化処理することができるアスベストの処理方法を提供することである。特に、アスベスト繊維束の状態にあるアスベストを完全に、短時間で効率よく無害化処理することができる処理方法を提供することである。
そして、アスベスト含有廃材がスレート板である場合には、高温や長時間の処理が必要となり、無害化の効率が悪かったが、短時間でアスベスト含有廃材を完全にかつ上記厚生労働省規定の0.1重量%以下に、効率的に無害化処理することができるアスベスト含有廃材の処理方法を提供することである。
本発明者らは、アスベスト含有廃材を特定の酸で酸処理するに際し、該廃材中に含有される繊維束アスベストを酸接触する際に、超音波処理を同時に行なうことによって、上記目的が達成することができることを見出し、本発明に到達した。
本発明の請求項1記載のアスベストの無害化処理方法は、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニアのフッ化物塩、及びフッ化水素酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種のフッ化物と、得られる処理水溶液のpHが1以下となるように塩酸、硫酸及び硝酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種の鉱酸とが添加された処理水溶液にアスベスト含有廃材を接触させて静置又は撹拌するとともに、該処理液に超音波振動を与えて、アスベスト含有廃材中のアスベストを無害化することを特徴とする、アスベストの無害化処理方法である。
好適には、本発明の請求項2記載のアスベストの無害化処理方法は、請求項1に記載のアスベスト含有廃材の無害化処理方法において、前記フッ化物は、イオン源全てが解離した場合の処理水溶液中のフッ化物イオン濃度が1.5〜10重量%となるように添加されることを特徴とする、アスベストの無害化処理方法である。
好適には、本発明の請求項3記載のアスベストの無害化処理方法は、請求項1又は2記載のアスベスト含有廃材の無害化処理方法において、超音波振動は、平面波超音波又は球面波超音波であることを特徴とする、アスベストの無害化処理方法である。
更に好適には、本発明の請求項4記載のアスベストの無害化処理方法は、請求項1乃至3いずれかの項記載のアスベストの無害化処理方法において、アスベスト含有廃材に対する処理水溶液の配合割合は重量比で3〜100であることを特徴とする、アスベストの無害化処理方法である。
また更に好適には、本発明の請求項5記載のアスベストの無害化処理方法は、請求項4記載のアスベストの無害化処理方法において、該処理液水溶液中の前記フッ化物は、イオン源全てが解離した場合の処理水溶液中のフッ化物イオン濃度が1.5〜10重量%であることを特徴とする、アスベストの無害化処理方法である。
本発明のアスベストの無害化処理方法は、アスベストを含有する廃材を、アスベストの粉塵等の飛散や放散を有効に防止して、アスベスト繊維束を含むアスベストの無害化処理を、安全にかつ上記厚生労働省規定の0.1重量%以下に、短時間で容易に無害化処理することができる。特に、無害化処理するための酸にアスベスト含有廃材を投入した懸濁液に超音波処理をすることで、収束したアスベスト繊維が解繊して単繊維レベルにまでばらばらにすることができ、従って無害化処理液との接触面が増加することで、アスベストの溶解が促進され、その結果、処理時間の短縮又は使用する無害化処理液の減量が可能となる。
また、本発明のアスベストの無害化処理方法によって、アスベスト含有廃材中のアスベストを短時間で有効に上記厚生労働省規定の0.1重量%以下にすることができる。
本発明を以下の形態例について説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明のアスベストの無害化処理方法は、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニアのフッ化物塩、及びフッ化水素酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種のフッ化物と、得られる処理水溶液のpHが1以下となるように塩酸、硫酸及び硝酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種の鉱酸とが添加された処理水溶液にアスベスト含有廃材を接触させて静置又は撹拌するとともに、該処理液に超音波振動を与えて、アスベスト含有廃材中のアスベストを無害化処理する、アスベストの無害化処理方法である。
このような処理方法を施すことで、アスベスト繊維の凝集体であるアスベスト繊維束がばらばらになるとともに、アスベストの針状構造が破壊され、アスベストは非アスベスト化されて無害化処理される。
従って、かかる処理を行ったアスベストを含有する廃材は、取り扱いが安全になった無害化処理物として扱うことができる。
ここで、本発明において、アスベストの無害化とは、アスベストと酸とが反応して、クリソタイル、クロシドライト、アモサイト等の針状結晶がそれ以外の物質に転化した状態を表すものであり、このような状態になることで、アスベストの飛散の観点において、人体に対し、無害となる。
まず、本発明のアスベストの無害化処理方法に用いる無害化処理水溶液を説明する。
本発明の無害化処理水溶液は、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニアのフッ化物塩、及びフッ化水素酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種のフッ化物と、塩酸、硫酸及び硝酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種の鉱酸とが添加された水溶液であって、pHが1以下のものである。
かかる無害化処理水溶液と、アスベスト含有廃材が接触すると、まずアスベスト繊維の周囲のマトリックスが上記鉱酸に溶解した後に、アスベスト繊維がむき出しになったところで、上記フッ化物イオンの作用により、アスベスト繊維が溶解することによって無害化を達成することができる。
ここで、鉱酸としては、リン酸以外の任意の水溶性の鉱酸を用いることができるが、特に塩酸、硫酸、硝酸等の各種鉱酸及びこれらの混酸を廃材中に含まれている高pHのセメント系バインダーの溶解の点から好適に用いることができる。
リン酸は、本発明の目的を達成する酸としては弱く、上記の点から本発明においては、使用に適さない。
かかる鉱酸は、得られる処理水溶液のpHが1以下となるように配合される。
これは、得られる処理水溶液のpHが1を超えることとなると、廃材中に含まれる高pHのセメント系バインダーを溶解するために時間がかかることとなってしまうからである。
また、かかる処理水溶液を用いてアスベスト含有廃材中のアスベストの無害化処理を実施している間、すなわち、該処理水溶液とアスベスト含有廃材とを浸漬等により接触させている間も、かかる処理液のpHは常時1以下に保持されることが、廃材中に含まれる高pHのセメント系バインダーを溶解させる時間を短縮させる点から好ましく、このことは、かかる該処理水溶液中に含有される鉱酸をアスベスト含有廃材の無害化処理中に必要に応じて添加することによって保持することができる。
本発明のアスベストの無害化処理液は、更にアルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニアのフッ化物塩、及びフッ化水素酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種、具体的には水に可溶性の少なくとも1種のフッ化物を含有する。
当該フッ化物塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニアのフッ化物、二フッ化物、これらの混合物が挙げられる。
特に好適に使用できるフッ化物は、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸である。
かかるフッ化物を処理水溶液中に含有させることにより、アスベストのSiO骨格を破壊することができる。
かかるフッ化物の添加量は、フッ化物がイオン源全て解離したと仮定した場合の処理水溶液中のフッ化物イオン濃度が1.5〜10重量%、特に好適には2.5〜7重量%となるように添加される。
このような範囲でフッ化物を添加することで、より効率的にアスベストのSiO骨格を溶解することができるという作用機能を有することができる。
上記処理水溶液を用いて、アスベスト含有廃材と該処理水溶液とを接触させることにより、具体的には、アスベスト含有廃材を処理水溶液に浸漬させて静置または撹拌することで、アスベスト含有廃材中のアスベストと該処理水溶液とが有効に接触でき無害化を図ることができる。
その際に、処理水溶液のpHは1以下を保持していなければならず、その保持方法としては、該処理水溶液中に含有される鉱酸を、前記無害化処理中に適宜添加することで、pHを1以下に保持する方法が例示できる。
本発明のアスベスト無害化処理におけるアスベスト含有廃材に対する処理水溶液の配合割合は、アスベスト含有廃材中に含有されるアスベスト量やセメント系バインダー量により任意に設定することができるが、好ましくは重量比で3〜100、更に好ましくは5〜20であると望ましい。
重量比が前記範囲内であると、鉱酸とセメント系バインダーとの反応による水溶液のpHの上昇を更に抑制でき、更なる短時間処理が可能となって処理効率が向上し、また、無害化処理後の廃液処理のコストを、より安価に抑制することができる。
本発明において無害化処理の対象となるアスベストを含有する廃材としては、アスベスト自体だけでなく、アスベスト含有スレート板、アスベスト含有吹付け材、アスベスト含有保温材等の、建材に用いられているアスベストを含有する廃材であれば、すべて対象とすることができ、特に、今後、多量の排出が予想され、アスベストの飛散・放散が特に問題となるアスベスト含有吹き付け施工品を解体して生じる廃材も有効に利用することができる。
また、回収されたアスベスト含有スレート板には、パルプ繊維等の有機物の添加物も含まれているが、本発明を適用する場合には、鉱酸での酸処理後に残渣を濾別することにより容易に分離することができる。
また、アスベストを含有する廃材の酸処理を行う上で、当該廃材を、密閉状態で破砕・粉砕処理した後に、本発明のアスベスト無害化処理を行うことが好ましい。
ここで、密閉状態とは、アスベストが作業環境中の自由な大気(密閉空間内の大気を除く)と直接接触していない状態をいい、例えば、ケースにより密閉可能な破砕・粉砕機、破砕・粉砕機から無害化処理容器へのケースにより密閉可能な移送手段、またはケースにより密閉可能な無害化処理容器を用いて実現される状態、好適には、アスベスト含有廃材を無害化処理する処理水溶液に浸漬させた状態等が例示できる。
アスベスト含有廃材を破砕・粉砕できる手段としては、公知の建材廃材を破砕・粉砕する手段を用いることができる。
例えば、寸法の大きいアスベスト含有建材では、予めジョークラッシャー、インパクトクラッシャー等で粗粉砕処理を行い、更にボールミル、振動ミル等を用いて乾式又は湿式にて微粉砕する必要がある。
特に、個々の装置が密閉可能な仕様のものとしては、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ボールミル、たて型ミル、タワーミル等が挙げられる。
これにより、アスベストを含有する廃材、例えばスレート板等の寸法の大きいアスベスト含有廃材も、上記酸との接触面積を増大することができ、また前記酸処理によりアスベストを非アスベスト化して無害化処理物とすることが簡便にでき、また該無害化時間も短時間で実施することが可能となる。
また、アスベスト含有廃材を密閉状態で破砕・粉砕する他の方法として、ケースにより密閉可能な破砕・粉砕機、移送手段及び酸処理容器を配置し、これら各装置を一つの密閉されたケースで覆う方法や、破砕・粉砕機、移送手段及び酸処理容器それぞれを密閉可能な仕様として各装置をシールを施して接続する方法等が挙げられる。
特に、アスベストを含有する廃材を上記無害化処理水溶液に浸漬して破砕・粉砕処理する場合には、アスベストが濡れて飛散・放散しないように破砕・粉砕する工程と、アスベストを含有する廃材を非アスベスト化して無害化処理物とする酸処理工程とを好適に同時に行うこともできる。
また、アスベストを含有する廃材が、少なくとも処理水溶液による湿潤状態となれば足りるので、破砕・粉砕を、上記したようにアスベスト含有廃材が処理水溶液に浸漬した状態のままで実施しても、あるいは、アスベスト含有廃材を処理水溶液に浸漬して湿潤状態となれば、酸から取り出して破砕・粉砕を実施してもよい。
アスベスト含有廃材を上記無害化処理水溶液と接触させて、静置または撹拌するとともに、アスベストの無害化処理を行なう際に、該処理溶液に超音波振動を与える。
該超音波振動を与える方法としては、アスベスト含有廃材が含まれる無害化処理液に超音波が伝播するような方法であれば、任意の方法を採用することができ、例えば、超音波発生装置の振動子を、該無害化処理する装置に当てて、超音波振動を該無害化処理液に伝播したり、振動子の先端を直接無害化処理液に浸漬して、超音波振動を発生してもよい。
超音波振動は、その先端形状に応じて、平面波超音波としたり、球面波として付加することができる。
これにより、アスベスト繊維束を単繊維に解繊することができることとなる。
凝集しているアスベスト繊維束を解繊する方法として、アスベスト含有廃材を投入した無害化処理液を高速撹拌するか、無害化処理装置にカッタポンプを接続した循環パイプを接続する等の機械的なせん断力をかけて解繊することも可能であるが、このような機械的な撹拌等だけでは、アスベスト繊維束をばらばらにするのに長時間かかり、不十分な場合もある。従って、上記超音波処理をすることで、アスベスト繊維束を超音波により単繊維レベルまで分散させることができアスベストの溶解反応が促進され、無害化処理時間の短縮や無害化処理液の使用量の低減を図ることができる。
本発明を次の実施例及び比較例により説明する。
但し、実施例及び比較例中、フッ化物イオン濃度は、添加したフッ化物が全て100%解離している場合の値で示す。
また、特記しない限り「部」は重量部、「%」は重量%を表す。
また、アスベストの定量分析は、JIS A 1481「建材製品中のアスベスト含有率測定方法」に準じて測定した値である。
また、定量分析に用いたX線分析装置(スペクトリス(株)Panalitical事業部製 X’pert pro)における各アスベストの定量下限値は、クリソタイル0.026%、アモサイト0.008%、クロシドライト0.012%であった。
実施例1
10%塩酸(関東化学株式会社製;35%品を希釈)水溶液90部、フッ化アンモニウム(関東化学株式会社製)10部の水溶液(水素イオン濃度;2.66mol/L・pH=−0.42、フッ化物イオン濃度;51400mg/L=2.7mol/L・4.8%)からなる無害化処理液に、クリソタイル、アモサイト、クロシドライトの各アスベスト標準試料((社)日本作業環境測定協会より入手できる標準試料)をそれぞれ5部ずつ浸漬・撹拌して、さらに超音波振動による平面波を該無害化処理液に伝播させ、40℃、2時間で溶解させたところ、各アスベストの残留率は、上記厚生労働省基準以下でかつJISの定量下限以下であった。
実施例2
10%塩酸(関東化学株式会社製;35%品を希釈)水溶液90部、フッ化アンモニウム(関東化学株式会社製)10部の水溶液(水素イオン濃度;2.66mol/L・pH=−0.42、フッ化物イオン濃度;51400mg/L=2.7mol/L・4.8%)からなる無害化処理液に、クリソタイル3.4%、アモサイト36.2%及びクロシドライト8.1%を含有するセメント系ボード5部を浸漬・撹拌して、さらに超音波振動による平面波を該無害化処理液に伝播させ、40℃、2時間で溶解させたところ、各アスベストの残留率は、上記厚生労働省基準以下でかつJISの定量下限以下であった。
実施例3
10%塩酸(関東化学株式会社製;35%品を希釈)水溶液90部、46%フッ化水素酸(関東化学株式会社製)10部の水溶液(水素イオン濃度;5.14mol/L・pH=−0.71、フッ化物イオン濃度47200mg/L=2.5mol/L・4.4%)からなる無害化処理液に、クリソタイル、アモサイト、クロシドライトの各アスベスト標準試料((社)日本作業環境測定協会より入手できる標準試料)をそれぞれ5部ずつ浸漬・撹拌して、さらに超音波振動による平面波を該無害化処理液に伝播させ、40℃、2時間で溶解させたところ、各アスベストの残留率は、上記厚生労働省基準以下でかつJISの定量下限以下であった。
比較例1〜3
超音波処理を施さないこと以外は、それぞれ実施例1〜3と同様にして、無害化処理を行なった。各アスベストの残留率が、上記厚生労働省基準以下でかつJISの定量下限以下となったのは、40℃で3時間経過後であった。
比較例4
10%塩酸(関東化学株式会社製)水溶液(水素イオン濃度;2.9mol/L・pH=−0.46)100部からなる処理液に、クリソタイル、アモサイト、クロシドライトの各アスベスト標準試料((社)日本作業環境測定協会より入手できる標準試料)をそれぞれ5部ずつ浸漬・撹拌させて、40℃、3時間で溶解させたところ、各アスベストの残留率は、クリソタイル37.9%、アモサイト47.2%、クロシドライト47.6%であった。
比較例5
40%リン酸(関東化学株式会社製;85%品を希釈)水溶液98部、ケイフッ化ナトリウム(関東化学株式会社製)2部の水溶液(水素イオン濃度0.16mol/L・pH=0.8、フッ化物イオン濃度12000mg/L=0.6mol/L・1.3%)からなる処理液に、クリソタイル、アモサイト、クロシドライトの各アスベスト標準試料((社)日本作業環境測定協会より入手できる標準試料)をそれぞれ5部ずつ浸漬・撹拌させて、40℃、3時間で溶解させたところ、各アスベストの残留率は、クリソタイル6.7%、アモサイト24.4%、クロシドライト49.5%であった。
比較例6
40%リン酸(関東化学株式会社製)水溶液98部、ケイフッ化ナトリウム(関東化学株式会社製)2部の水溶液(水素イオン濃度0.16mol/L・pH=0.8、フッ化物イオン濃度12000mg/L=0.6mol/L・1.3%)からなる処理液に、クリソタイル3.4%、アモサイト36.2%及びクロシドライト8.1%を含有するセメント系ボード5部を浸漬・撹拌させて、40℃、3時間で溶解させたところ、各アスベストの残留率は、クリソタイル1.2%、アモサイト19.3%、クロシドライト3.9%であった。
比較例7〜9
比較例4〜6の各処理液に、実施例1記載の超音波振動を施し、40℃、3時間で溶解させた以外は、それぞれ比較例1〜3と同様にして、無害化処理を行なった。各アスベストの残留率は、各アスベストの残留率は、それぞれクリソタイル16.5%、アモサイト27.9%、クロシドライト31.3%、クリソタイル2.5%、アモサイト15.1%、クロシドライト35.0%、クリソタイル0.3%、アモサイト10.6%、クロシドライト3.2%であった。
本発明のアスベストの無害化処理方法は、スレート廃材のみならず、その他の多くのアスベスト使用材料の処理にも適用することができ、迅速で安全な廃棄処分が可能となる。
また、該廃材を再利用した、セメントを製造することにも適用することが可能となる。

Claims (5)

  1. アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニアのフッ化物塩、及びフッ化水素酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種のフッ化物と、得られる処理水溶液のpHが1以下となるように塩酸、硫酸及び硝酸よりなる群より選ばれた少なくとも1種の鉱酸とが添加された処理水溶液にアスベスト含有廃材を接触させて静置又は撹拌するとともに、該処理液に超音波振動を与えて、アスベスト含有廃材中のアスベストを無害化することを特徴とする、アスベストの無害化処理方法。
  2. 請求項1に記載のアスベストの無害化処理方法において、前記フッ化物は、イオン源全てが解離した場合の処理水溶液中のフッ化物イオン濃度が1.5〜10重量%となるように添加されることを特徴とする、アスベストの無害化処理方法。
  3. 請求項1又は2記載のアスベストの無害化処理方法において、超音波振動は、平面波超音波又は球面波超音波であることを特徴とする、アスベストの無害化処理方法。
  4. 請求項1乃至3いずれかの項記載のアスベストの無害化処理方法において、アスベスト含有廃材に対する処理水溶液の配合割合は重量比で3〜100であることを特徴とする、アスベストの無害化処理方法。
  5. 請求項4に記載のアスベストの無害化処理方法において、該処理液水溶液中の前記フッ化物は、イオン源全てが解離した場合の処理水溶液中のフッ化物イオン濃度が1.5〜10重量%であることを特徴とする、アスベストの無害化処理方法。
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