JP2008132479A - アスベスト含有廃材の処理方法 - Google Patents

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Hiroyuki Sakakibara
弘幸 榊原
Mikio Wakasugi
三紀夫 若杉
Taido Kanesaki
泰道 兼先
Takashi Matsuda
隆 松田
Kensuke Kanai
謙介 金井
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Abstract

【課題】アスベスト含有廃材を完全にかつ安全に無害化処理できるアスベスト処理方法である。特に、アスベストを含有する廃材の寸法が大きかったり、スレート板等である場合にも、アスベスト粉塵等の飛散や放散を防止すると共に、完全にかつ安全に無害化処理することができる、アスベスト処理方法を提供する。
【解決手段】アスベスト含有廃材の処理方法は、アスベストを含有する廃材を、密閉状態で破砕・粉砕処理し、酸処理することにより、該廃材を非アスベスト化処理物とし、該非アスベスト化処理物を更に溶融炉にて溶融処理することを特徴とするもので、特に好適には、アスベストを含有する廃材を酸に浸漬した状態で破砕・粉砕・酸処理を同時に行うものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、アスベストを含有する廃材の処理方法に関し、特に、アスベストを含む廃材を完全にかつ安全に処理することができるアスベスト含有廃材の処理方法に関する。
従来より、アスベストは長期にわたって強度低下等が起きず、耐火性にも優れていることから、様々な分野で広く使用されてきており、スレート板、水道管、耐火被覆材、ブレーキパッド、ガスケット、保温板、ロープ、パッキング、アセチレンボンベの充填材などの様々な分野に多岐にわたって多くの部材に使用されてきた。
しかし、近年、アスベストは、綿肺、肺癌、悪性中皮腫など多くの健康阻害の要因となることが明らかとなり、その使用が禁止されている。
特に、アスベストを含む部材としては、スレート部材や耐火性被覆材等として多く使用されており、これらのスレート部材等は、天井、壁材などに多く用いられている。
しかし、これらの多量に使用されてきたアスベスト含有部材は、上記したような環境的理由により、そのまま使用を継続することは環境上危険であり、早急に廃棄・無害化の処理をしなければならない状況となっている。
これまでに大量に生産されたスレート部材等のアスベスト含有部材は、一般廃棄物として取り扱われ、現在は産業廃棄物として廃棄処分されているが、アスベストの飛散や放散が問題となっており、緊急な安全対策が求められている。
特に、耐火被覆材や崩壊した天井板等、アスベストを含有する建材を用いた建造物の解体等がピークを迎えているが、アスベストの暴露とそのアスベストの処理の問題が深刻化している。
かかるアスベスト(石綿)は天然に産する鉱物繊維で、蛇紋岩系のクリソタイル(3MgO・2SiO・2HO)を原料とするものである。
かかる蛇紋岩系のクリソタイルは、加熱すると約700℃で脱水、変態し、約900℃で無害なフォレストライト(2MgO・SiO)になることが知られているが、実際のスレート板等を簡便に無害化することは困難である。
かかるアスベストの有害性は、その繊維質に由来するものである。
従って、繊維質の改質、融解によりアスベストを無害化する方法として、特許第3680958号(特許文献1)には、ロータリーキルンを用いたセメントの製造方法であって、前記ロータリーキルンの排出口側に設けた燃焼手段の近傍から石綿廃材を前記ロータリーキルン内に供給し、この供給された石綿廃材、及びセメント原料を前記燃焼手段によって処理することを特徴とするセメント製造方法が記載されている。
また、特開2005−279589号公報(特許文献2)には、アスベストを含むスレート廃材を粉砕せずにホウ砂、ホウ酸と炭酸ナトリウムの混合物、又はホウ砂と炭酸ナトリウムの混合物からなる融解剤の水溶液に漬け、それを減圧下に置いて融解剤をスレート廃材の表面からスレート内部の空隙内に含浸することによって前処理した後、該前処理したスレート廃材を融解剤を満たした溶融炉内に浸漬して780〜1000℃の範囲に加熱することによって、スレート廃材中のアスベストを溶融させてガラス化させることを特徴とするスレート廃材の処理方法が記載されている。
更に、特開2006−52177号公報(特許文献3)には、無機質系材料の廃材を、セメント製造用原料とともにセメント製造用キルン内に投入して、加熱処理することによりセメントに変換してなる無機質系材料の廃材の処理方法において、廃材の寸法を、最小値が1mm以上で最大値がセメント製造用キルンの内径の1/10以下であり且つ廃材内部のどの個所であっても表面までの最短距離が30mm以下の範囲内となるように寸法調整し、廃材とセメント原料との合計量に占める廃材の比率が乾燥状態における質量比率で1〜20%の範囲とし、廃材をセメント製造用原料とともにセメント製造用キルン内にキルンの窯尻から投入し、1000〜1500℃で20〜60分間加熱処理して焼結体を得、得られた焼結体を粉末化することを特徴とする無機質系材料の廃材の処理方法が記載されている。
上記各々の特許文献に記載された従来の方法は、アスベスト含有廃棄物を溶融炉やセメントキルンに投入して無害化を行っている方法である。
しかし、アスベスト含有廃棄物を、溶融炉やセメントキルンに供給する際に、アスベストの飛散や放散を防止することはできない。また、上記従来の方法では、前処理としてアスベスト含有廃材を粉砕したり、分解したり、微細クラック等を形成したりするために、重機などを用いてアスベスト含有廃材を破壊するなど、主として機械的手段を用いなければならず、結局アスベストが飛散、放散してしまい、溶融炉やセメントキルンに供給する工程における人体への健康面での影響問題は十分に解決されていない。
特許3680958号 特開2005−279589号公報 特開2006−52177号公報
本発明の目的は、アスベスト含有廃材を完全にかつ安全に無害化処理でき、環境的にも極めて優れた、アスベスト含有廃材の処理方法を提供することである。
また特に、アスベスト含有廃材の寸法が大きかったり、緻密なスレート板等である場合にも、アスベスト粉塵等の飛散や放散を有効に防止するとともに、完全にかつ安全に無害化処理できる、アスベスト含有廃材の処理方法を提供することである。
また、アスベスト含有廃材を、セメントクリンカの原料として再利用することができる、アスベスト含有廃材の処理方法を提供することである。
本発明者らは、アスベスト含有廃材を、環境的に安全に破砕・粉砕処理し、酸処理し、次いで、溶融処理する工程を備える方法であって、特にアスベスト含有廃材を破砕・粉砕するにあたり、密閉状態、例えば該アスベスト含有廃材を酸に浸漬した湿潤状態で破砕・粉砕する等の密閉状態で行うことで、綿状、板状、粉末状、破片状の任意の形態のアスベスト含有廃材を完全にかつ安全に無害化できることを見出し、本発明に到達した。
本発明の請求項1記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、アスベストを含有する廃材を密閉状態で破砕・粉砕処理し、酸処理することにより、前記廃材中のアスベストを非アスベスト化した処理物を、更に溶融炉により溶融処理することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
請求項2記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項1記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記密閉状態は、アスベストを含有する廃材を酸に浸漬した状態とすることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
また、請求項3記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項1記載のアスベスト含有廃材の処理方法であって、前記密閉状態は、ケースにより密閉可能な破砕・粉砕機による破砕・粉砕及び該破砕・粉砕機から酸処理容器へ移送がケースにより密閉可能な移送状態、またはケースにより密閉可能な酸処理容器を用いて破砕・粉砕が実現される状態とすることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
請求項4記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項1〜3いずれかの項記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記溶融炉がセメントキルンであることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
また、請求項5記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項4記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記非アスベスト化した処理物を、セメントクリンカ焼成プラントの原料受け入れ工程乃至セメントキルン供給工程のいずれかの工程に供給して、溶融処理することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
請求項6記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項1〜5いずれかの項記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、非アスベスト化した処理物をフラックスと共に溶融炉に供給することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
更に、好適には請求項7記載のアスベスト含有廃材の処理方法は、請求項1〜6いずれかの項記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、酸は、燐酸、硫酸、硝酸、塩酸及びフッ酸からなる群より選ばれる1種以上の酸であることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法である。
本発明のアスベスト含有廃材の処理方法は、アスベスト含有廃材を、安全にかつ完全に無害化処理することができる。
特に、アスベスト含有廃材中のアスベストの飛散・放散を完全に防止して、酸処理による非アスベスト化を有効に実施することができる。
また、セメントキルンを用いて溶融することで、セメントクリンカを製造することができ、アスベスト含有廃材の有効な再利用を促進することも可能となる。
しかも、アスベスト含有廃材の寸法や堅さ等の性状を問わず、スレート板、吹き付け材等のあらゆる廃材を、完全にかつ安全に処理することができる。
本発明を以下の最良の形態例について説明するが、これらに限定されるものではない。
本発明のアスベストの処理方法は、アスベストを含有する廃材を密閉状態で破砕・粉砕処理し、酸処理することにより、前記廃材中のアスベストを非アスベスト化した処理物を、更に溶融炉により溶融処理する、アスベスト含有廃材の処理方法である。
このように、環境的に安全にアスベスト含有廃材を破砕・粉砕処理し、酸処理し、溶融処理する工程を備えることで、寸法の大きいアスベスト含有廃材等の任意の形態のアスベスト含有廃材であっても、有効にかつ安全に、完全に無害化することができることとなる。
特に、アスベスト含有廃材を密閉状態で破砕・粉砕し、酸処理した後の非アスベスト化した処理物を、セメントキルンで溶融処理に供するので、アスベストが飛散・放散することなく、取り扱いが安全になり、健康面への影響を極めて少なくすることができるようになる。
本発明のアスベスト含有廃材の処理方法を適用できるアスベスト含有廃材としては、特に種類や形態は限定されず、例えば、吹き付け材、スレート板等の、アスベストを含有する部材であれば、すべて対象とすることができる。
本発明のアスベスト含有廃材の処理方法は、まず、アスベストを含有する廃材を、密閉状態で破砕・粉砕処理し、酸処理する。
ここで、密閉状態とは、アスベストが作業環境中の自由な大気(密閉空間内の大気を除く)と直接接触していない状態をいい、例えば、ケースにより密閉可能な破砕・粉砕機による破砕・粉砕及び該破砕・粉砕機から酸処理容器へ移送がケースにより密閉可能な移送状態、またはケースにより密閉可能な酸処理容器を用いて破砕・粉砕が実現される状態等が挙げられる。
このように、アスベスト含有廃材を破砕・粉砕することで、酸処理によりアスベストを非アスベスト化処理物とすることが容易にでき、また該非アスベスト化時間も短時間で実施することが可能となる。
特に、アスベスト含有廃材を酸処理する酸に浸漬して、同時に破砕・粉砕処理する場合には、アスベストが飛散・放散しないように破砕・粉砕する工程と、アスベスト含有廃材を非アスベスト化処理物とする酸処理工程とを好適に同時に行うことができる。
また、アスベスト含有廃材が、少なくとも酸による湿潤状態となれば足りるので、破砕・粉砕を、上記したようにアスベスト含有廃材を酸に浸漬した状態のままで実施しても、あるいは、アスベスト含有廃材を酸に浸漬して湿潤状態となれば、酸から取り出して破砕・粉砕を実施してもよい。
また、アスベスト含有廃材を密閉状態で破砕・粉砕する他の方法としては、ケースにより密閉可能な破砕・粉砕機、及び該破砕・粉砕機から酸処理容器へ移送がケースにより密閉可能な移送状態、またはケースにより密閉可能な酸処理容器を用いる方法がある。
当該方法として、破砕・粉砕機、移送手段及び酸処理容器を配置し、これら各装置を一つの密閉されたケースで覆う方法や、破砕・粉砕機、移送手段及び酸処理容器それぞれを密閉可能な仕様として各装置をシールを施して接続する方法等が挙げられる。
アスベスト含有廃材を破砕・粉砕できる手段としては、公知の建材廃材を破砕・粉砕する手段を用いることができる。
特に、個々の装置が密閉可能な仕様のものとしては、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ボールミル、たて型ミル、タワーミル等が挙げられる。
これにより、例えばスレート板等の寸法の大きいアスベスト含有廃材を完全に容易に酸により非アスベスト化できることとなる。
破砕・粉砕されたアスベスト含有廃材を酸に含浸して、アスベストを非アスベスト化する際に使用できる酸としては、燐酸、硫酸、硝酸、塩酸、フッ酸、またはこれらの混合酸を有効に用いることができ、その濃度はアスベストの非アスベスト化への反応が生じる条件であれば特に限定されないが、濃度が高いほうが短時間でまた多量に無害化処理することができる。
また、酸の濃度は、現場の状況等に応じて適宜設定すればよい。
かかる酸処理によって、アスベスト含有廃材中に存在するアスベストを非アスベスト化して、無害化処理する。
ここで、非アスベスト化とは、アスベストと酸とが反応して、クリソタイル、クロシドライト、アモサイト等の針状結晶がそれ以外の物質に転化した状態を表すものである。アスベストがこのような状態となることで、人体に対して無害となる。
本発明におけるアスベスト含有廃材の酸処理における非アスベスト化処理の一例を以下に例示する。
但し、フッ化物イオン濃度は、添加したフッ化物が全て100%解離している場合の値を示し、「部」は質量部、「%」は質量%を表す。
また、アスベストの定量分析は、JIS A 1481「建材製品中のアスベスト含有率測定方法」に準じて測定した値であり、定量分析に用いたX線分析装置(スペクトリス(株)Panalitical事業部製 X’pert pro)における各アスベストの定量下限値は、クリソタイル0.026%、アモサイト0.008%、クロシドライト0.012%である。
例1
10%塩酸(関東化学株式会社製;35%品を希釈)水溶液95部、フッ化アンモニウム(関東化学株式会社製)5部の水溶液(水素イオン濃度;2.81mol/L・pH=−0.45、フッ化物イオン濃度;27000mg/L=1.4mol/L・2、9%)に、クリソタイル、アモサイト、クロシドライトの各アスベスト標準試料((社)日本作業環境測定協会より入手できる標準試料)をそれぞれ20部ずつ浸漬させて、40℃、3時間で溶解させたところ、各アスベストの残留率は、上記定量分析法で測定して、上記定量下限以下であった。
例2
クリソタイル3.4%、アモサイト36.2%及びクロシドライト8.1%を含有するセメント系ボード(スレート材)を、HEPAフィルター付きのグローブボックス内でペンチを使用して粗粉砕(最大粒径1〜2cm程度)し、IKA社製分析ミルを用いて密封状態で粉砕した。
10%塩酸(関東化学株式会社製;35%品を希釈)水溶液95部、フッ化アンモニウム(関東化学株式会社製)5部の水溶液(水素イオン濃度;2.81mol/L・pH=−0.45、フッ化物イオン濃度;27000mg/L=1.4mol/L・2、9%)に、上記粉砕セメントボード(スレート材)20部を浸漬させて、40℃、3時間で溶解させたところ、各アスベストの残留率は、上記定量分析法で測定して、上記定量下限以下であった。
例3
10%塩酸(関東化学株式会社製;35%品を希釈)水溶液95部、46%フッ化水素
酸(関東化学株式会社製)5部の水溶液(水素イオン濃度;2.81mol/L・pH=
−0.45、フッ化物イオン濃度23000mg/L=1.4mol/L・2、4%)に
、クリソタイル、アモサイト、クロシドライトの各アスベスト標準試料((社)日本作業
環境測定協会より入手できる標準試料)をそれぞれ20部ずつ浸漬させて、40℃、3時
間で溶解させたところ、各アスベストの残留率は、上記定量分析法で測定して、上記定量下限以下であった。
なお、アスベスト含有廃材を破砕・粉砕せずに酸処理する工程のみによる非アスベスト化処理方法では、例えば、極めて緻密なアスベスト含有廃材では酸が浸透しにくく、実用的には廃材内部まで完全に無害化することは困難な場合がある。
しかし、本発明の方法では、アスベスト含有廃材を密閉状態で破砕・粉砕処理し、酸処理した後の非アスベスト化処理物は、破砕・粉砕処理が安全に行われるとともに、破砕・粉砕後に酸処理するので実用的にも廃材内部まで完全に無害化されたものとなり、その後の搬送や溶融炉への供給等の処理作業中にアスベストの問題となるような飛散、放散は生じない。
従って、上記酸処理工程の後は、酸の残留物や溶出物等への対策を施すことにより、完全にかつ安全に無害化処理を行うことができるものとなる。
次いで、本発明の方法においては、前記非アスベスト化処理物を、溶融炉、特に好適にはセメントキルンに供給して、溶融処理するものである。
このように、セメントキルン、特にセメントクリンカ焼成プラント用のセメントキルンで高温溶融処理することにより、酸処理後のアスベスト含有吹付け廃材中に残存する場合もあるアスベストを完全に無害化処理することができることとなるとともに、セメント原料とともに処理されて、セメントクリンカとして再利用されることとなる。
かかるセメントキルンは、好適にはセメントクリンカ焼成プラントのセメントロータリーキルンを適用することができ、かかるセメントキルンを利用することで、一度に多量に均一に溶融処理することが可能となるとともに、セメントクリンカを製造することが可能となり、アスベスト含有廃材を有効にリサイクル適用することも可能となる。
また、上記酸処理して非アスベスト化処理物を、溶融炉、好適にはセメントクリンカ焼成プラント用のセメントキルンで溶融処理するにあたっては、図1に示すように、後述の原料受け入れ工程乃至セメントキルン供給工程のいずれの工程においても、前記酸処理を経た非アスベスト化処理物を供給することができる。
セメントを製造するには、原料工程、焼成工程、仕上げ工程に大別され、図1を参照にして以下に説明する。
該原料工程は、原料受け入れ工程、粉砕・分級工程に大別される。
原料受け入れ工程では、まず、場外から運搬されてくるセメントクリンカ焼成用の原料、即ち石灰石を主体とし、他に粘土、珪石、鉄原料等を受け入れホッパ1にて分別して受け入れる。
当該原料が大塊である場合には、受け入れホッパ1の下流に破砕機(図示せず)が設けられ、所定の粒径に破砕された後、輸送機により各原料が原料貯蔵庫2に貯蔵される。
続く原料工程での粉砕・分級工程では、原料貯蔵庫2の原料を「原料粉砕機」(原料ミル)で混合粉砕し、「分級機」で分級して、安定した粉体原料が調製される。
かかる原料粉砕機は現在、乾燥、粉砕、粗粉と微粉との分級の3つの機能を合わせもつ「たて型ミル」3が多く用いられている。
そして、得られた粉体原料を、例えば、ブレンディングサイロ4で均一に混合した後、原料ストレージサイロ5に導入する。
本発明のアスベスト含有吹付け廃材の処理方法では、酸処理後の非アスベスト化処理物は、他の原料と同様に、受け入れホッパ1に導入されて原料として別途貯蔵されて、上記粉砕機3に導入されても、あるいは特に貯蔵されることなく粉砕機3に直接導入されてもよく、またはこの原料工程では導入されなくてもよい。
次いで前記原料工程を経て調製された粉体原料は、焼成工程を経ることとなる。
かかる焼成工程は、粉体原料が所定の温度になるまで加熱され、セメントとしての水硬特性を呈するように、焼成される工程である。
かかる焼成工程は、セメントキルン供給工程、焼成工程、冷却工程に大別される。
セメントキルン供給工程では、先ず粉体原料は、予熱装置(プレヒーター)6に投入されて加熱され、次いでロータリーキルン8に投入される。
予熱装置6に投入されたセメント原料は、予熱装置6内を下降しながら800〜900℃に加熱される。
予熱装置6内におけるセメント原料の加熱は、予熱装置6内に熱風を送り込むことにより行われる。
なお、予熱装置6の多くは、下段に仮焼炉7が設けられている。
焼成工程では、予熱装置6で加熱され、セメントロータリーキルン8に送られたセメント原料が、該ロータリーキルン8内を1分間に2〜3回転し出口方向に移動しながら約1500℃程度の高温で焼成されて焼結体(セメントクリンカ)となりロータリーキルン8から取り出される。
該ロータリーキルン8内でのセメント原料の焼成は、ロータリーキルン8の窯前(焼結体が取り出される側)方向から窯尻(セメント原料が投入される側)方向に向けて、微粉炭を燃焼させてロータリーキルン8内に送り込むことにより行われ、当該ロータリーキルン8内の温度は、窯尻で約1000℃程度であり、最高温度が約1400〜1500℃であり、窯前が約1200℃程度である。
そして、ロータリーキルン8から取り出された焼結体は、冷却機9に送られる。
冷却工程では、ロータリーキルン8から取り出された焼結体は、冷却機9で強制空冷により急冷され、仕上げ工程へと送られる。
本発明のアスベスト含有吹付け廃材の処理方法においては、酸処理後の非アスベスト化処理物は、原料工程を経て予熱装置6に導入されても、ロータリーキルン8の窯前で導入されても窯尻で導入されても、該セメントキルンで溶融処理できるのであれば、供給されるタイミングは特に問われない。
上記したように、セメント原料とともにロータリーキルン内に投入された酸処理後の非アスベスト化処理物材は、ロータリーキルン内で回転しながら、例えば、1000〜1500℃で20〜60分間加熱溶融処理される。
この際、最高温度を1450℃以上とするとともに、1450℃以上の温度で加熱される時間を5分以上とするのが好適である。
かかる加熱処理により、アスベスト含有吹付け廃材は、溶融されて焼成されて焼結体を形成する。
前記加熱処理に関する温度および時間の条件は、一般的なセメントの焼成条件であるので、通常のセメントを製造する条件で該廃材を処理することができるものである。
またかかる溶融処理をする際に、必要に応じて、フラックスを添加することも可能である。
かかるフラックスとしては、例えば、ホウ酸、ホウ砂、ホウ酸カルシウム、ボロナイトカルサイトなどのホウ酸化合物、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウムなどのリン酸化合物、珪酸、珪酸ナトリウム、珪酸カリウムなどの珪酸化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどの炭酸化合物、炭酸バリウム、硫酸バリウム等のバリウム化合物、フッ化水素、フッ化カルシウムなどのフッ素化合物等を用いることができる。
またかかるフラックス剤を添加すると、融解が迅速になり均質に行われやすくなるので、当該フラックスを溶融処理において添加することが望ましいが、必ず添加する必要があるものではない。
かかるフラックスは、溶融時における融点を低下させる、あるいは溶融時間を短縮させるという機能を有するものである。
このようにして得られた焼結体にセメントの凝結時間調整を目的として石膏が必要に応じて加えられ、仕上げ粉砕機(仕上げミル)で粉砕される仕上げ工程を得て、セメントが得られる。
このようにして得られたセメントは、安定した性能を有するものであり、アスベスト含有吹付け廃材を完全に安全に無害化して再利用を図ることができるものである。
本発明のアスベスト含有廃材の処理方法は、アスベスト含有廃材の性状を問わず、スレート板、吹付け廃材等のあらゆる廃材、特に寸法の大きい緻密なアスベスト含有廃材に有効に適用することができる。
また該廃材を再利用した、セメントを製造することにも適用することが可能となる。
セメントを製造する概略を示す工程図。
符号の説明
1 原料受け入れホッパ
2 原料貯蔵庫
3 原料粉砕機
4 ブレンディングサイロ
5 原料ストレージサイロ
6 予熱装置(プレヒーター)
7 仮焼炉
8 セメントロータリーキルン
9 冷却機

Claims (7)

  1. アスベストを含有する廃材を密閉状態で破砕・粉砕処理し、酸処理することにより、前記廃材中のアスベストを非アスベスト化した処理物を、更に溶融炉により溶融処理することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  2. 請求項1記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記密閉状態は、アスベストを含有する廃材を酸に浸漬した状態とすることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  3. 請求項1記載のアスベスト含有廃材の処理方法であって、前記密閉状態は、ケースにより密閉可能な破砕・粉砕機による破砕・粉砕及び該破砕・粉砕機から酸処理容器へ移送がケースにより密閉可能な移送状態、またはケースにより密閉可能な酸処理容器を用いて破砕・粉砕が実現される状態とすることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  4. 請求項1〜3いずれかの項記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記溶融炉がセメントキルンであることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  5. 請求項4記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、前記非アスベスト化した処理物を、セメントクリンカ焼成プラントの原料受け入れ工程乃至セメントキルン供給工程のいずれかの工程に供給して、溶融処理することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  6. 請求項1〜5いずれかの項記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、非アスベスト化した処理物をフラックスと共に溶融炉に供給することを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
  7. 請求項1〜6いずれかの項記載のアスベスト含有廃材の処理方法において、酸は、燐酸、硫酸、硝酸、塩酸及びフッ酸からなる群より選ばれる1種以上の酸であることを特徴とする、アスベスト含有廃材の処理方法。
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