JP3830226B2 - シーリング材処理用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シーリング材処理用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築物の内外装の目地部等に適用されるシーリング材は、水密や気密を付与する目的で各種建築部材間等の接合部や隙間に充填することにより使用される材料である。
【0003】
従来よりシーリング材としては、シリコーン系、変成シリコーン系、ポリスルフィド系、変成ポリスルフィド系、またはポリウレタン系等の樹脂からなるものがあり、これらのうち、耐久性および耐候性等の点で優れた性能をバランスよく有することから、特に変成シリコーン系、変成ポリスルフィド系またはポリウレタン系の樹脂が広く使われている。
【0004】
しかし、これらの樹脂からなるシーリング材は、硬化後も表面にべたつき(タック)が残るため、目地部に大気中の塵埃が付着し美観を損なう問題がある。特に関東地方においては、関東ローム層の影響で、シーリング材の表面が顕著に汚れる問題もあり、美観上の理由から、シーリング材表面に防汚性を付与する技術が提案されている。
【0005】
例えば、シーリング材を硬化した後に、その表面に着塵防止剤を塗布してバリア層を設ける方法が提案されているが、シーリング材が硬化するまでの間の塵埃の付着を防止できない問題がある。また着塵防止剤としては、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系などの樹脂を主成分としたものであり、被膜の硬度が硬くなるために目地の動きに追従できず、または、光の作用で劣化し、クラックを生じ、そこに塵埃が付着する問題もあった。
【0006】
また、シーリング材が硬化するまでの間に塵埃が付着することを防止するために、フッ素樹脂を主成分とする溶剤型の防汚加工剤を、シーリング材の未硬化時に塗布する方法が提案されている(特開平2−182767、特開平7−118572)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
フッ素樹脂を主成分とする溶剤型の防汚加工剤には、溶剤として塩素化フッ素化炭化水素や塩素化炭化水素が用いられてきたが、近年環境上の配慮から該溶剤以外の他の溶剤を選択する必要がでてきた。
【0008】
フッ素樹脂を溶解しうる他の溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤がある。しかし、これらの溶剤は有機系材料に対する溶解性が高いため、シーリング材周辺の有機系材料が変色する、縮みがでる、光沢が変化する等の問題があり、上記他の溶剤を含む防汚加工剤は、シーリング材周辺の材料が無機系材料であるものへの適用に限定される問題があった。また、溶剤への溶解性を考慮すると、フッ素樹脂中のフッ素含量が低くなる問題があり、フッ素に由来する性能を期待するためには塗工量が多くなる問題もあった。また、塗工量を多くすると、外観が変化したりクラックの発生の原因になる問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の問題を解決しようとするもので、シーリング材表面を処理するための組成物であって、脂肪族炭化水素系溶剤および該溶剤に可溶性の含フッ素重合体を含有し、当該含フッ素重合体が、ポリフルオロアルキル基を含むアクリレートの重合単位またはポリフルオロアルキル基を含むメタクリレートの重合単位を含み、かつ、シクロヘキシルアクリレートの重合単位またはシクロヘキシルメタクリレートの重合単位を含み、さらに、含フッ素重合体中のフッ素含有量が20〜35重量%であることを特徴とするシーリング材処理用組成物を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明における脂肪族炭化水素系溶剤としては、脂肪族炭化水素を主成分とする公知の溶剤が採用できる。本明細書における脂肪族炭化水素とは、炭素原子と水素原子のみからなる狭義の脂肪族炭化水素である。
【0011】
本発明における脂肪族炭化水素系溶剤としては、脂肪族炭化水素を80重量%以上含む溶剤が好ましい。脂肪族炭化水素系溶剤中には、脂肪族炭化水素系溶剤以外の溶剤を実質的に含まないのが好ましく、特に芳香族炭化水素や酢酸エステル、ケトン類等の含酸素溶媒等を含まないことが好ましいが、有機塗装への影響が無視できる範囲であれば、少量を含んでいてもよい。
【0012】
脂肪族炭化水素系溶剤としては、工業ガソリンJIS規格4号、5号に分類される溶剤が好ましく、パラフィン系炭化水素、またはイソパラフィン系炭化水素を主成分とするパラフィン系溶剤が好ましい。該パラフィン系溶剤炭化水素は、通常は炭素数の異なるパラフィン系炭化水素またはイソパラフィン系炭化水素が2種以上含まれる混合物であり、炭素数6以上の複数のパラフィン系炭化水素またはイソパラフィン系炭化水素化合物が含まれるのが好ましく、特に炭素数7〜12のパラフィン系炭化水素、または炭素数7〜12のイソパラフィン系炭化水素が80重量%以上含まれるものが好ましい。例えば、パラフィン系溶剤としては、イソペンタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等を含むものが好ましい。さらに、脂肪族炭化水素系溶剤の沸点は80〜300℃であるのが好ましい。
【0013】
上記の脂肪族炭化水素系溶剤は、市販されており、本発明においては該市販品をそのまま使用できる。市販品としては以下のものが挙げられる。
Aソルベント、Kソルベント、ミネラルスピリット、ドライソルベント、ニューソルDX、LAソルベント(以上、日本石油社製商品名)、ベガゾールAN45、ベガゾール3040(以上、モービル社製商品名)、エッソナフサNo.6、エッソナフサNo.5(以上、エッソ化学社製商品名)、LAWS、シェルエイト、ブライトソル、シェルソル140(以上、シェル化学社製商品名)、昭石ソルベント、昭石SSドライゾール、昭石ナフゾール1号(以上、昭和石油社製商品名)、共石特ソルベント、共石ホワイトゾール、LAソルベント(以上、共同石油社製商品名)、ミネラルターペン、ダイヤソルベント(以上、三菱石油社製商品名)、ソルベントケロシンLA、ソルベントケロシン(以上、ゼネラル石油社製商品名)、ダイナソルベント(大協石油社製商品名)、出光ソルベント(出光興産社製商品名)等。
【0014】
また、本発明における脂肪族炭化水素系溶剤としては、脂肪族炭化水素を単独で用いてもよい。該脂肪族炭化水素としては、炭素数10〜18のノルマルパラフィン類が好ましく、具体的には、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等が挙げられる。また、脂肪族炭化水素系溶剤は、メチルシクロヘキサンのような脂環式炭化水素であってもよい。
【0015】
本発明における含フッ素重合体としては、ポリフルオロアルキル基を含む重合体が好ましい。
なお、以下において、アクリレートとメタクリレートとを総称して「(メタ)アクリレート」と記載する。他の化合物においても同様である。また、以下においてポリフルオロアルキル基をRf 基と記載する。
【0016】
Rf 基は、アルキル基の水素原子の2個以上がフッ素原子に置換された基を意味する。また、本発明におけるRf 基は、炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子を含んでいてもよい。Rf 基の炭素数は1〜20が好ましく、4〜16がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。また、Rf 基は、直鎖または分岐の構造が好ましく、直鎖の構造がより好ましい。分岐の構造である場合には、分岐部分がRf 基の末端部分に存在し、かつ、炭素数が1〜3程度の短鎖である場合が好ましい。
【0017】
Rf 基中のフッ素原子数は、[(Rf 基中のフッ素原子数)/(Rf 基に対応する同一炭素数のアルキル基中の水素原子数)]×100%で示した場合に、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましく、実質的に100%であるのが好ましい。
【0018】
Rf 基は、通常は末端部がペルフルオロアルキル基であるものが好ましいが、末端部に水素原子もしくは塩素原子を含むもの、または、該基の炭素−炭素結合間にエーテル性の酸素原子が挿入された基であってもよく、例えば、オキシポリフルオロアルキレン基含有基などであってもよい。
【0019】
Rf 基は、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル基が好ましい。ペルフルオロアルキル基の炭素原子数は4〜20が好ましく、4〜16がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。ペルフルオロアルキル基の構造は直鎖または分岐の構造が好ましく、特に直鎖の構造が好ましい。直鎖の構造のペルフルオロアルキル基は、Cn F2n+1(ただし、nは4〜16の整数を示す)で表される基が好ましく、特にnが6〜12のものが好ましい。
【0020】
Rf 基の具体例としては、以下のものが挙げられる。なお、以下の具体例中には、それぞれの構造異性の基に相当する基も含まれる。
C4 F9 −[例えば、CF3 (CF2 )3 −、(CF3 )2 CFCF2 −、(CF3 )3 C−、CF3 CF2 CF(CF3 )−等の構造異性体。]、C5 F11−[例えば、CF3 (CF2 )4 −、(CF3 )2 CF(CF2 )2 −、(CF3 )3 CCF2 −、CF3 (CF2 )2 CF(CF3 )−等の構造異性体。]、C6 F13−[CF3 (CF2 )2 C(CF3 )2 −等の構造異性体。]、C8 F17−、C10F21−、C12F25−、C14F29−、C16F31−、C18F37−、(CF3 )2 CFCs F2s−(ここで、sは1〜15の整数である。)、HCt F2t−(ここで、tは1〜18の整数である。)、テトラフルオロフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、1,3−ビストリフルオロメチルフェニル基等。
【0021】
また、Rf 基がエーテル性の酸素原子を含む基である場合の具体例としては、以下のものが挙げられる。ただし、uは1〜10の整数、vは1〜11の整数、wは1〜11の整数を示す。mは1〜10の整数を示し、1〜6の整数が好ましい。
CF3 (CF2 )4 OCF(CF3 )−、F[CF(CF3 )CF2 O]u CF(CF3 )−、F(CF2 CF2 CF2 O)v CF2 CF2 −、F(CF2 CF2 O)w CF2 CF2 −、F[CF(CF3 )CF2 O]m CF(CF3 )−。
【0022】
本発明におけるRf 基を含有するフッ素樹脂としては、Rf 基を含有する(メタ)アクリレートの重合単位を含む重合体が好ましい。
Rf 基を含有する(メタ)アクリレートとしては、以下の化合物が好ましい。なお、下式におけるRf は炭素数1〜20のペルフルオロアルキル基を示し、R4 は水素原子またはメチル基を示す。
【0023】
CH2=C(R4)COOCH2CH2Rf
CH2=C(R4)COOCH2CH2N(C3H7)CORf
CH2=C(R4)COOCH(CH3)CH2Rf
CH2=C(R4)COOCH2CH2N(CH3)SO2Rf
CH2=C(R4)COOCH2CH2N(CH3)CORf
CH2=C(R4)COOCH2CH2N(C2H5)SO2Rf
CH2=C(R4)COOCH2CH2N(C2H5)CORf
CH2=C(R4)COOCH2CH2N(C3H7)SO2Rf
CH2=C(R4)COOCH(CH2Cl)CH2OCH2CH2N(CH3)SO2Rf
【0024】
Rf 基を含有する(メタ)アクリレートの重合単位を含む重合体中には、Rf 基を含有する(メタ)アクリレートの重合単位が、1種または2種以上含まれていてもよい。2種以上を含む場合には、Rf 基部分の炭素数が異なる2種以上のRf 基を含有する(メタ)アクリレートを併用するのが好ましい。
【0025】
Rf 基を含有する(メタ)アクリレートの重合単位を含む重合体は、Rf 基を含有する(メタ)アクリレートの重合単位以外のラジカル重合性の不飽和結合を有する単量体の重合単位を含んでいてもよい。なお、以下において該ラジカル重合性の不飽和結合を有する単量体を「他の単量体」と記す。
【0026】
他の単量体としては、上記の脂肪族炭化水素系溶剤への溶解性の点から、下記のものが挙げられる。これらのうち、他の単量体としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートを必須とし、特にシクロヘキシルメタクリレートを必須とするのが好ましい。
【0027】
エチレン、酢酸ビニル、フッ化ビニル、ハロゲン化ビニルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸とそのアルキルエステル、ポリ(オキシアルキレン)(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール化(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルキルエーテル、ビニルアルキルケトン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、グリシジル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、無水マレイン酸、トリアリールイソシアヌレート、ポリシロキサンを有する(メタ)アクリレート、N−ビニルカルバゾール等。
【0028】
本発明における重合体中のフッ素含有量は20〜35重量%であり、20〜30重量%が好ましい。フッ素含有量が少なすぎると、効果を得るための加工剤使用量が多くなり、外観への影響やクラックの発生の恐れが高くなる。一方フッ素含有量が多すぎると樹脂の溶剤への溶解性が低下し、不溶解部が発生する恐れがある。
【0029】
重合体の分子量は、重量平均分子量で10, 000〜200,000が好ましく、特に30,000〜100,000が好ましい。分子量が小さすぎると塵埃に対する防汚性が充分でなく、一方大きすぎると溶剤への溶解性が低下したり、粘度が上昇するため好ましくない。
【0030】
Rf 基を含有する(メタ)アクリレートの重合単位を含む重合体を得る方法としては、脂肪族炭化水素系溶剤にRf 基を含有する(メタ)アクリレートおよび必要に応じて他の単量体を溶解させ、加熱撹拌下に重合させる方法が好ましい。重合は、重合開始源を作用させて実施するのが好ましく、重合開始源としては、有機酸過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩等の重合開始剤、γ−線等の電離性放射線などが採用され得る。
【0031】
本発明のシーリング材処理用組成物は、上記の脂肪族炭化水素系溶剤と含フッ素重合体を含む。シーリング材処理用組成物中の含フッ素重合体量は特に限定されないが、濃度が低すぎると効果の程度が低くなる恐れや、多量に塗布する必要から液垂れが起こる恐れがあり、濃度が高すぎると不経済であるため、組成物の100重量部に対して含フッ素重合体を0.1〜15重量部含ませるのが好ましく、特に0.3〜8重量部含ませるのが好ましい。さらに脂肪族炭化水素系溶剤は、該組成物の100重量部に対して85〜99.9重量部含ませるのが好ましく、特に92〜99.7重量%含ませるのが好ましい。
【0032】
本発明のシーリング材処理用組成物は、上記の脂肪族炭化水素系溶剤と含フッ素重合体のみからなるものでもよいが、必要に応じて他の添加物を含んでいてもよい。他の添加物としては、香料、消泡剤、防カビ剤等が挙げられる。また、他の添加物を含む場合には、該組成物の100重量部に対して0.01〜1重量部含ませるのが好ましく、特に0.05〜0.5重量%含ませるのが好ましい。
【0033】
本発明のシーリング材処理用組成物は、シーリング材表面に適用し、該シーリング材表面に被膜を形成させることにより、汚れの付着を防止できる。
シーリング材としては変成シリコーン系、変成ポリスルフィド系またはポリウレタン系の樹脂からなるシーリング材が好ましく、特に変成シリコーン系の樹脂が好ましい。
【0034】
該シーリング材としては、POSシール、POSシールタイプII、POSシールLM等(以上、セメダイン社製商品名)、ペンギンシール2500DRY、ペンギンシール2570等(以上、サンスター技研社製商品名)の変成シリコーン系の樹脂からなるシーリング材、S−750(以上、セメダイン社製商品名)、ペンギンシール980、ペンギンシール999(以上、サンスター技研社製商品名)、ハマタイトUH−30、ハマタイトシールエース(以上、横浜ゴム社製商品名)等のポリウレタン系の樹脂からなるシーリング材が挙げられる。
【0035】
シーリング材表面に適用する方法としては、特に限定されず、シーリング材をパテ等で付けた後、シーリング材処理組成物を刷毛、ロール、スプレー等によって該シーリング材表面に塗布する方法が挙げられる。また、塗布の時期については特に限定されず、シーリング材の硬化後または、硬化前のいずれであってもよい。また、目地部周辺にあらかじめマスキングテープを貼って、シーリング材処理用組成物の壁材への付着を防止してもよい。
【0036】
本発明においては、組成物を塗布後に乾燥させて、シーリング材表面に含フッ素重合体の皮膜を形成させる。乾燥は、自然乾燥でも加熱乾燥でもよい。特に塵埃が多い工場等で使用する場合には、加熱することで乾燥時間を縮め、溶剤蒸発前に塵埃が付着するのを防ぐことが好ましい。
【0037】
含フッ素重合体の皮膜は、シーリング材の表面に0.1〜5μmの膜厚で形成されるのが好ましい。薄すぎると充分な効果が得られず、厚すぎるとひび割れの原因となり、また不経済でもある。
【0038】
本発明の組成物で処理されるシーリング材の適用箇所は、特に限定されない。例えば、各種建築部材間の接合部や隙間に存在するシーリング材、輸送機器に使用されるシーリング材、電気機器に使用されるシーリング材、家具や台所用品に使用されるシーリング材等が挙げられる。これらのうち、本発明の組成物は、各種建築部材間の接合部や隙間に存在するシーリング材に適用するのが好ましい。
【0039】
【実施例】
[例1]シーリング材処理用組成物の調製例
撹拌機のついた1リットルのオートクレーブにミネラルスピリット(日本石油社製商品名)200重量部、ペルフルオロアルキルエチルアクリレート(該化合物のペルフルオロアルキル基は炭素数6、8、10、12、14の混合物であり、平均は9である。以下、FAと記す。)45重量部、シクロヘキシルメタクリレート51重量部、トリアリルイソシアヌレート4重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部を加えた。内部の空気を窒素ガスにより置換して300rpmで撹拌しつつ、60℃に昇温して20時間保持し、淡黄色の液を得た。ガスクロマトグラフによるモノマーの転化率は99%以上であった。生成した淡黄色の液をニューソル(日本石油社製商品名)によって固形分濃度が2重量%になるよう希釈し、組成物1とした。
【0040】
[例2]シーリング材処理用組成物の調製例
撹拌機のついた1リットルオートクレーブにニューソル(日本石油社製商品名)200重量部、FA45重量部、シクロヘキシルメタクリレート51重量部、トリアリルイソシアヌレート4重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部を加えた。内部の空気を窒素ガスにより置換し300rpmで撹拌しつつ、60℃に昇温し、20時間保持した。反応粗液をガスクロマトグラフにより分析した結果、モノマ−の転化率は99%以上であった。反応粗液をミネラルスピリット(日本石油社製商品名)により固形分濃度が3重量%となるように希釈し、組成物2とした。
【0041】
[例3]シーリング材処理用組成物の調製例
例1における組成物1をさらに希釈し、固形分濃度が0.5重量%としたものを組成物3とした。
【0042】
[例4]シーリング材処理用組成物の調製例
例1における組成物1と固形分濃度5重量%である点のみが異なる組成物を調製し、組成物4とした。
【0043】
[例5]シーリング材処理用組成物の比較調製例
例1における淡黄色の液から溶媒を留去し、これに、酢酸エチルを加えて固形分濃度が2重量%である組成物を調製し、組成物5とした。
【0044】
[例6]シーリング材処理用組成物の比較調製例
撹拌機のついた1リットルオートクレーブにメチルイソブチルケトン200重量部、FA10重量部、メチルメタクリレート51重量部、シクロヘキシルメタクリレート35重量部、トリアリルイソシアヌレート4重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部を加えた。内部の空気を窒素ガスにより置換し300rpmで撹拌しつつ、60℃に昇温し、20時間保持した。反応粗液をガスクロマトグラフにより分析した結果、モノマーの転化率は99%以上であった。反応粗液をメチルイソブチルケトンにより固形分濃度が3重量%となるように希釈し、組成物6とした。
【0045】
[評価例1〜5]
上記で調製した組成物1〜4を、それぞれ、以下の評価方法で評価した。結果を表1に示す。
【0046】
[比較評価例6〜9]
上記で調製した組成物5、6を、同様に、以下の評価方法で評価した。また、組成物を処理しないもの(評価例6、7)を同様の以下の評価方法で評価した。結果を表1に示す。
【0047】
[表面状態の評価方法]
厚さ6mmのスレートで10mm幅の目地をつくり、目地に添ってマスキングテープを貼った。目地の間に1成分系シリコーン系シーリング材(セメダイン社製商品名:POSシール)、または、ポリウレタン樹脂系シーリング材(横浜ゴム社製商品名:ハマタイトUH−30)を充填し、シーリング材表面をへらで押えて平面にした。その直後に、シーリング材処理用組成物を噴霧器で噴霧し、組成物から形成される被膜が0.1〜5μmの範囲の膜厚となるようにスプレー塗布した。すぐにマスキングテープを剥したものを試験目地とし、南面45度の角度の屋外暴露台に採りつけて放置した。
【0048】
7日後、30日後、180日後の試験目地の表面の汚れの状態を目視で観察し、下記A〜Dの基準で評価した。また、180日後の試験目地について、ひび割れの有無を観察した。
A:汚れの付着が認められない、
B:若干の汚れの付着が認められる、
C:表面が少し黒を帯びている、
D:表面が真っ黒である、
+:ひび割れあり、
±:ひび割れ若干あり、
−:ひび割れなし。
【0049】
[有機塗膜への影響の評価方法]
縦横各300mm、厚さ6mmポリメチルメタクリレート樹脂板に、アクリル塗料(赤)を20〜30μmの範囲の膜厚となるように塗布し、100℃で5分間乾燥し、室温で放冷した塗装板を準備した。塗装板に組成物を噴霧器で噴霧し、組成物から形成される被膜が2cmの幅で2μmの膜厚となるようにスプレー塗布した。室温で30分放置し、塗装板表面の外観を目視で評価した。
〇:外観の変化が認められない、
×:塗膜の変色、むら等が認められる。
【0050】
[タック性の評価方法]
防汚性の評価で用いた試験目地と同じものを準備し、1時間室温乾燥後の目地表面のべたつき感(タック性)の有無を、手でさわって評価した。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】
本発明のシーリング材処理用組成物は、シーリング材表面に耐久性に優れた防汚性を付与できる。また、シーリング材を近傍に有機塗装による塗膜が存在したとしても、該塗膜に悪影響を及ぼす心配なく使用できる。また、本発明のシーリング材処理用組成物により形成される被膜は、ひび割れを防止でき、外観の変化が少ない利点もある。
Claims (7)
- シーリング材表面を処理するための組成物であって、脂肪族炭化水素系溶剤および該溶剤に可溶性の含フッ素重合体を含有し、当該含フッ素重合体が、ポリフルオロアルキル基を含むアクリレートの重合単位またはポリフルオロアルキル基を含むメタクリレートの重合単位を含み、かつ、シクロヘキシルアクリレートの重合単位またはシクロヘキシルメタクリレートの重合単位を含み、さらに、含フッ素重合体中のフッ素含有量が20〜35重量%であることを特徴とするシーリング材処理用組成物。
- 脂肪族炭化水素系溶剤が脂肪族炭化水素を80重量%以上含有する請求項1に記載のシーリング材処理用組成物。
- 脂肪族炭化水素系溶剤の沸点が80〜300℃である請求項1または2に記載のシーリング材処理用組成物。
- 含フッ素重合体が、さらにトリアリルイソシアヌレートの重合単位を含む、請求項1、2または3に記載のシーリング材処理用組成物。
- 当該組成物中の含フッ素重合体の濃度が0.1〜15重量%の組成物である、請求項1、2、3または4に記載のシーリング材処理用組成物。
- 請求項1、2、3、4または5に記載のシーリング材処理用組成物により、シーリング材表面を処理することを特徴とする処理方法。
- 請求項1、2、3、4または5に記載のシーリング材処理用組成物により処理されたシーリング材が用いられた建築部材。
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JP6953722B2 (ja) * | 2016-01-18 | 2021-10-27 | ダイキン工業株式会社 | シーリング材組成物 |
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1997
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