JP3830140B2 - 発電及び吸収冷温水装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電及び吸収冷温水装置に係り、特に、ガスタービン、エンジン等の外部からの排熱を熱源として、吸収冷温水機を運転すると共に、吸収冷温水機内に組込んだ冷媒蒸気を駆動源とする膨張機で、発電機を駆動して発電をも行うことができる発電及び吸収冷温水装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
排熱を用いて冷温水を製造する装置、あるいは排熱を用いて発電をする装置など、どちらか一方を目的にした装置が、従来から用いられてきた。
排熱を用いて冷温水を製造し、冷暖房をする場合、中間期には、冷温水負荷がほとんどなくなり、排熱が有効利用できなくなる。
一方、排熱を用いて発電をする装置は、一年中、排熱の利用はできるが、発電効率は低い。冷暖房が必要な時期は、発電した電気で冷凍機あるいはヒートポンプを運転するよりも、排熱で吸収冷温水機を直接駆動した方が利用効率が高くできることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術に鑑み、冷温水製造と共に発電が可能な簡易な装置を用いて、冷暖房負荷が無い時には、発電単独の運転が可能な発電及び吸収冷温水装置を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを有する冷媒と吸収剤とを組合わせ冷暖房サイクルを行う吸収冷温水装置において、前記再生器で発生する冷媒蒸気で駆動される冷媒蒸気膨張機と該膨張機に接続した発電機を、該再生器と凝縮器の間に設け、前記凝縮器、吸収器及び蒸発器は一つの角型缶胴内に収められ、前記再生器は該角型缶胴とは別体に設けられていることを特徴とする発電及び吸収冷温水装置としたものである。
また、本発明では、再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを有する冷媒と吸収剤とを組合わせ冷暖房サイクルを行う吸収冷温水装置において、前記再生器で発生する冷媒蒸気で駆動される冷媒蒸気膨張機と該膨張機に接続した発電機を、該再生器と凝縮器の間に設け、前記凝縮器と吸収器とは、それらの蒸気系を弁を有する配管で接続したことを特徴とする発電及び吸収冷温水装置としたものである。
【0005】
前記発電及び吸収冷温水装置において、再生器と凝縮器とは、直接冷媒蒸気を通す弁を有する配管で接続することができ、これにより、再生器からの冷媒蒸気を、前記膨張機又は凝縮器に選択的に導くことができ、さらに、前記蒸発器には、溶液流路の溶液を該蒸発器の伝熱面に導く、暖房サイクル時に作動する弁を有する配管を接続することができる。
なお、本発明には、吸収冷温水装置としているが、冷凍サイクルのみにを行う吸収冷凍装置も当然に含まれる。
【0006】
【発明の実施の形態】
吸収剤と冷媒との組合わせは、特に指定はないが、冷房時の効率を上げるには、なるべく吸収剤と冷媒との沸点差が大きいことが望ましい。
本発明で用いる膨張機としては、タービン型、スクリュー型、スクロール型等各種型式があり、主に、蒸気の容積流量で型式選択が行うことができる。
また、発電装置と冷凍装置とを兼用できる機器が多く、別途電気式冷凍装置を設けるよりもコンパクトでコストメリットもでる。
【0007】
次に、本発明を図1及び図2に示す本発明の発電及び吸収冷温水装置のフロー構成図を用いて説明する。
図において、Aは吸収器、GHは高熱源再生器、GLXは低熱源再生器、Gは低温再生器、Cは凝縮器、Eは蒸発器、Xは溶液熱交換器、XHは高温熱交換器、SPは溶液ポンプ、RPは冷媒ポンプ、V1〜V6は弁、1と2は冷媒蒸気通路、3と4は冷却水、5は高温排ガス、6は冷温水通路であり、また、7は膨張機、8は発電機、11〜17は溶液流路、18〜26は冷媒流路である。
このように、図1では、吸収器A、蒸発器E、凝縮器Cを、一つの角型缶胴に収め、該缶胴の下部に吸収器Aを、また吸収器Aの斜め上部に蒸発器E、吸収器A上部に凝縮器Cを配置し、吸収器A、蒸発器Eの低圧側と、凝縮器Cとを、斜め隔壁で分け、斜め隔壁の下側には蒸発器Eから吸収器Aへの冷媒蒸気が流れる通路2を配した構造としている。
【0008】
また、この缶胴とは別に、高温排ガス5を熱源とする高熱源再生器GHと溶液熱交換器X及び膨張機7と発電機8とが配備されている。そして、この缶胴の吸収器A及び凝縮器Cと高熱源再生器GH及び膨張機7とは溶液流路11、12及び冷媒流路20〜26でそれぞれ接続されている。
また、図2では、図1の角型缶胴において、凝縮器Cの上部に低温再生器Gを配置し、該低温再生器Gと凝縮器Cとを斜め隔壁で分け、冷媒蒸気が流れる通路1とすると共に、缶胴とは別に設けた高熱源再生器GHに接続する低熱源再生器GLXを配備して、缶胴の吸収器A、低温再生器G及び凝縮器Cと高熱源再生器GH、低熱源再生器GLX及び膨張機7とを溶液流路11〜16及び冷媒流路20〜26でそれぞれ接続して構成されている。
【0009】
次に、図1を用いたそれぞれの運転について説明する。
図1は、水、メタノール、水+メタノール、TFEなど、低圧冷媒であって、圧力があまり高くないとして、前記のように、吸収器、蒸発器、凝縮器を角缶胴に収めて示している。
まず、冷房運転においては、蒸発器Eで冷媒蒸気が蒸発して、冷水(又はブライン)を冷却する。蒸発した冷媒蒸気は、吸収器Aにて、冷却水3で冷却されている吸収溶液に吸収される。
吸収器Aの溶液は、流路11から溶液ポンプSPで、溶液熱交換器Xの被加熱側を通って高熱源再生器GHに送られ、高熱源再生器GHで熱源によって加熱され、冷媒蒸気を発生し、溶液は吸収剤が濃縮された状態になる。濃縮溶液は、流路12から溶液熱交換器Xの加熱側を通って吸収器Aに戻り、吸収器伝熱面に散布される。
【0010】
高熱源再生器GHで発生した冷媒蒸気は、流路20、21を通り、冷媒蒸気膨張機7で仕事をして低圧になり、流路22から凝縮器Cに入り、冷却水で冷却されて凝縮し、冷媒液となって流路18から蒸発器Eに戻る。
冷水負荷があまり無く、出力オーバーになる時は、熱源が排熱の場合、熱源を最大限使用して発電量を多く確保し、一方、冷水(冷房)出力調整のため、冷媒蒸気膨張機7からの冷媒蒸気の一部を、弁V1を閉、弁V2開として流路24から吸収器Aに導き、凝縮器Cで凝縮する冷媒量を減少させて負荷調節を行う。凝縮器Cの負荷が小さくなると、凝縮圧力が低下し、膨張機7出力は若干であるが増加する。別の調整法として、蒸発器Eの冷媒液を弁V4を開として吸収器Aに戻し、吸収能力を低下させるなどの方法もある。なお、熱源が排熱ではなく、熱源コストが問題になる場合は、発電量と冷凍出力の効果を考慮して調整する必要がある。
【0011】
暖房運転においては、暖房時には、基本的には吸収器A、凝縮器Cに冷却水3、4を流さず、吸収溶液を弁V3を開として流路17から蒸発器E伝熱面に散布し、弁V2を経由してくる凝縮器Cの冷媒蒸気を吸収して温水を製造する。
高熱源再生器GHで発生した冷媒蒸気は、冷媒蒸気膨張機7で仕事をし、低圧冷媒蒸気となって、凝縮器C、弁V2を経由して吸収器A又は蒸発器Eに入り、蒸発器E伝熱面に散布されている吸収溶液に吸収される。
温水負荷があまり無く出力オーバーになる時は、熱源を最大限使用して発電量を確保し、一方、温水(暖房)出力調整のため、冷却水3、4を流し、余分な温熱を冷却水に捨てる。この際、冷却水は、温度を調整あるいは流量を調整して、温水の容量制御をすることになる。
温水負荷が多く、発電量よりも、温熱出力を重視する場合、高熱源再生器GHで発生した冷媒蒸気を、弁V1、弁V2を開として流路23、24から直接蒸発器Eに導き、温熱を多くしてもよい。
【0012】
発電単独運転においては、基本的には吸収器Aに吸収溶液を散布すると共に冷却水を流し、冷媒蒸気膨張機出口の蒸気を吸収器Aに導いて吸収させる。
凝縮器Cには冷却水を流さなくてよいが、流れていても差し支えない。
高熱源再生器GHで発生した冷媒蒸気は、冷媒蒸気膨張機7で仕事をし、低圧冷媒蒸気となって、吸収器Aで吸収溶液に吸収される。
吸収冷凍機には、単効用、二重効用、一二重効用等各種サイクルが存在するが、構成機器間で温度差があり、蒸気圧力に高低差をつけられる場合は、その機器間に冷媒蒸気膨張機7を設けることができる。
【0013】
次に、図2を用いてそれぞれの運転を説明する。
図2は、一二重効用サイクルの可能な装置を示す。高熱源再生器GHに高温側熱源流体を、低熱源再生器GLXに低温側熱源流体を投入する。
高熱源再生器GHの発生蒸気は、冷媒蒸気膨張機7に導くと発電ができ、一方低温再生器Gに導いて加熱源として利用すれば、冷凍能力を増加させることができる。
低熱源再生器GLXで発生した冷媒蒸気は、凝縮器Cに導く。低熱源温度が高ければ、発生冷媒を冷媒蒸気膨張機7の低圧部あるいは低圧段を経由して凝縮器Cに導いてもよい。この場合、冷媒蒸気膨張機7と凝縮器Cとに切替選択導入などとしてもよい。
凝縮器Cと吸収器Aとを弁を有する配管で結び、冷媒蒸気膨張機7から出る低圧冷媒蒸気を凝縮器Cで凝縮させるか、吸収器Aに吸収させるか調節あるいは選択できる。
【0014】
冷房運転においては、高熱源再生器GHからの冷媒蒸気は、冷房負荷が多く冷房主体で運転する場合は、弁V1を開として流路23から低温再生器Gに導いて溶液の加熱濃縮に利用(二重効用サイクル)し、冷房負荷が高負荷でなく、発電主体で運転する場合は、弁V1を閉じ、弁V6を開として流路21から冷媒蒸気膨張機7に導いて発電し、膨張後の冷媒を凝縮させて冷房に利用する。
低熱源再生器GLXからの冷媒蒸気は、冷房中は基本的には凝縮器Cに導く。
冷水負荷があまり無く出力オーバーになる時は、凝縮器Cと吸収器Aとの間の弁V5を開とし、冷媒蒸気膨張機7出口から吸収器Aに入る蒸気量を調節する。
蒸発器Eで冷媒蒸気が蒸発して、冷水(又はブライン)を冷却する等は図1と同じである。溶液の循環は、吸収冷凍機のシリーズフロー、パラレルフロー、リバースフロー、これらの混合したフロー等の各種で行うことができる。
【0015】
暖房運転においては、暖房時には、吸収器A、凝縮器Cに冷却水3、4を流さず、吸収溶液を流路17から弁3を開として蒸発器E伝熱面に散布して温水を製造する。
高熱源再生器GHで発生した冷媒蒸気は、冷媒蒸気膨張機7にて仕事をした後、低熱源再生器GLXで発生した冷媒蒸気と共に吸収器A又は蒸発器Eに入り、蒸発器伝熱面に散布されている吸収溶液に吸収され、蒸発器Eを流れる温水を加熱する。
温水負荷があまり無く出力オーバーになる時は、冷却水を流して調節する。
【0016】
発電単独運転においては、高熱源再生器GHで発生した冷媒蒸気は、冷媒蒸気膨張機7に導き、膨張機7で仕事をした後吸収器Aの吸収溶液に吸収される。
低熱源再生器GLXで発生した冷媒蒸気は、吸収器Aにて吸収溶液に吸収される。なお、低熱源再生器GLXで発生した冷媒蒸気を冷媒蒸気膨張機7の低圧段に導く構成の場合には、膨張機7で仕事をした後、吸収器Aにて吸収される。
吸収器A、蒸発器E等は、低圧冷媒を用いるときは、散布式の熱交換器の形態をとるが、アンモニア等の高圧冷媒のときには散布式ではなく、満液式の熱交換器の形態として差し支えなく、また、蒸発器E、吸収器A、凝縮器Cを別々の缶胴としてもよい。
吸収冷温水機としているが、吸収冷凍機に適用しても差し支えない。
また、冷却水で冷却する場合を説明しているが、代りに空気など水と違った媒体で冷却してもよく、冷温水に対しても空気あるいは熱媒など別の媒体としてもよい。
また、冷媒と吸収剤との沸点差があまり高くない場合、吸収冷凍機としては精留器が必要で、構成機器中に精留器を含んでいても差し支えない。
【0017】
【発明の効果】
本発明によれば、ガスタービン、エンジン等の外部からの排熱を熱源として、吸収冷温水機を運転すると共に、吸収冷温水機内に組込んだ冷媒蒸気を駆動源とする膨張機で、発電機を駆動して発電をも行うことができ、また、冷暖房負荷が無い時には、発電単独の運転ができる発電及び吸収冷温水装置とすることができた。
また、発電装置と冷凍装置とを別々にしたものに比し、構成機器を兼用し、両装置を合体させたことで、コンパクトでコストメリットもでている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発電及び吸収冷温水装置の一例を示すフロー構成図。
【図2】本発明の発電及び吸収冷温水装置の他の例を示すフロー構成図。
【符号の説明】
A:吸収器、G:低温再生器、GH:高熱源再生器、GLX:低熱源再生器、C:凝縮器、E:蒸発器、X:溶液熱交換器、XH:高温熱交換器、SP:溶液ポンプ、RP:冷媒ポンプ、V1〜V6:弁、1、2:冷媒蒸気通路、3、4:冷却水、5:高温排ガス、6:冷温水通路、7:膨張機、8:発電機、11〜17:溶液流路、18〜26:冷媒流路

Claims (4)

  1. 再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを有する冷媒と吸収剤とを組合わせ冷暖房サイクルを行う吸収冷温水装置において、前記再生器で発生する冷媒蒸気で駆動される冷媒蒸気膨張機と該膨張機に接続した発電機を、該再生器と凝縮器の間に設け、前記凝縮器、吸収器及び蒸発器は一つの角型缶胴内に収められ、前記再生器は該角型缶胴とは別体に設けられていることを特徴とする発電及び吸収冷温水装置。
  2. 再生器、凝縮器、吸収器、蒸発器及びこれらの機器を接続する溶液流路と冷媒流路とを有する冷媒と吸収剤とを組合わせ冷暖房サイクルを行う吸収冷温水装置において、前記再生器で発生する冷媒蒸気で駆動される冷媒蒸気膨張機と該膨張機に接続した発電機を、該再生器と凝縮器の間に設け、前記凝縮器と吸収器とは、それらの蒸気系を弁を有する配管で接続したことを特徴とする発電及び吸収冷温水装置。
  3. 前記再生器と凝縮器とは、直接冷媒蒸気を通す弁を有する配管で接続したことを特徴とする請求項1又は2記載の発電及び吸収冷温水装置。
  4. 前記蒸発器には、溶液流路の溶液を該蒸発器の伝熱面に導く、暖房サイクル時に作動する弁を有する配管を接続したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の発電及び吸収冷温水装置。
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