JP3830099B2 - 玉網の柄 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は魚釣りに用いる玉網、特に、その柄に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚釣りを行う際に、釣竿の仕掛けに係った魚を引き上げるために玉網が用いられる。玉網は、環状の枠部と、枠部に固定される袋状の網と、枠部に連結された柄とを有している。この柄は、複数の先細りテーパの施された筒状体を順次振出形式に連結してなるものであり、順次手元側の筒状体内に先端側の筒状体が収納可能となっている。
【0003】
このような玉網では、収納時は玉網の柄を構成する筒状体を順次手元側に収納したコンパクトな状態としておく。そして、釣竿の仕掛けにかかった魚を釣り上げる際に、網側を水面に向かって勢いよく差し出し、順次の筒状体を引き出して長い一本の柄部として先端の網に魚をすくい入れる。そして、このように玉網の柄をコンパクトな状態とした際に、手元側の筒状体内に収納した他の筒状体が先端側に飛び出さないように、口栓が玉網の柄の最も先端側に位置する筒状体に装着されているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、玉網の柄は上述のように、コンパクトな状態として準備しておき、魚が仕掛けに係ったら素早く玉網の柄を伸ばすという動作を繰り返すものである。このため、口栓には、▲1▼完全に柄を収納した際にしっかりと栓をする(本止め状態),▲2▼軽く栓をしておいて素早く柄を再度伸ばすことができる(仮止め状態)という、両者の要請が求められる。従来の玉網の口栓では、このように口栓の嵌着力を2段階に調整して何れの要請にも十分対応できるものではなく、嵌着が緩すぎ若しくは逆にきつすぎて素早く口栓を取り外せない等、機動的に対応できないことがあった。
【0005】
振出式釣竿用の口栓において嵌着力を調整する技術は幾つか提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、これらの口栓は嵌着力の調整が煩雑且つ複雑であり、玉網の柄のように、使用中にも嵌着力を調整した場合に十分に対応できない。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−287582号(実施の形態1及び図1参照)
【0007】
【特許文献2】
特開平7−255329号公報(図1参照)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、口栓の嵌着力を任意に調整でき、操作性に富む玉網の柄を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明1の玉網の柄は、
先端側に位置する筒状体が順次手元側の筒状体内に収納可能なように振出形式に複数の筒状体を連結してなる玉網の柄であって、
先端側端部に網枠を連結する連結部分を有する最も先端側に位置する先端筒状体と、
最も手元側に位置する太径の筒状体であり、この筒状体の内径の断面形状が非円形であり内周面が止着面となっている止着部分を先端側端部に有する手元筒状体と、
前記先端筒状体の前記先端側端部の外周面に配置された栓部材であり、前記外周面が前記手元筒状体の前記止着面の断面形状にあわせて非円形化され前記止着面に止着する被止着面となっている口栓とからなり、
仮止め状態においては、前記止着面に前記被止着面の互いの前記非円形形状が、合致するように挿入して嵌着させるとともに、本止め状態においては、前記口栓と前記手元筒状体とを相対的に周方向にひねって回転させて、相互の前記非円形形状を不一致させて嵌着力を向上させることを特徴とする。
【0010】
この玉網の柄は、その先端筒状体の連結部分に網枠を連結して用いられる。玉網の柄の柄部を構成する先端筒状体から順次手元側に位置する各筒状体内に振出形式に各筒状体が収納されてコンパクトな状態となる。そして、このコンパクトに収納した状態で、先端筒状体の先端側端部外周面に配置された口栓の被止着面を、手元側筒状体の止着部分に嵌着させて栓をする。
【0011】
一応玉網の柄を収納しておき、魚を釣り上げた場合のために準備しておく準備状態(仮止め状態)にあっては、止着部分の止着面と口栓の被止着面との非円形断面形状がおよそ一致するような状態としておく。これに対して、釣りを終えて完全に玉網の柄を収納する(本止め状態)場合若しくは準備状態でも幾分嵌着力を強めたい場合には、口栓と手元筒状体とを相対的に周方向にひねって回転させて、止着面と被止着面との非円形断面形状が不一致にする。この場合、相互の断面形状の不一致により嵌着力が向上する。
【0012】
本発明2の玉網の柄は、
先端側に位置する筒状体が順次手元側の筒状体内に収納可能なように振出形式に複数の筒状体を連結してなる玉網の柄であって、
先端側端部に網枠を連結する連結部分を有する最も先端側に位置する先端筒状体と、
最も手元側に位置する太径の筒状体であり、この筒状体の内径の断面形状が非円形であり内周面が止着面となっている止着部分を先端側端部に有する手元筒状体と、
前記先端筒状体の前記先端側端部の外周面に配置された栓部材であり、前記外周面が前記手元筒状体の前記止着面の断面形状にあわせて非円形化され前記止着面に止着する被止着面となっている口栓と、
前記止着部分は前記内周面に周方向に間隔を隔てて形成され軸線方向に伸びる凹溝を有することで断面形状が前記非円形化されており、前記口栓の前記被止着面には前記凹溝に対応する突起が軸線方向に伸びて形成されており、
仮止め状態においては、前記凹溝に前記突起を合致させた状態で、前記口栓を前記手元筒状体に嵌着させると共に、本止め状態の場合、若しくは嵌着力を向上させる際には、前記口栓と前記手元筒状体とを相互に周方向に回転させて、前記嵌着を不一致にさせることを特徴とする。
本発明3の玉網の柄は、発明1又は2の玉網の柄であって、手元筒状体の止着部分は手元筒状体に脱着自在に連結された別部材からなる。
この手元筒状体は止着部分を別部材から形成しており、繰り返し使用した結果、止着部分と口栓との嵌着力が低下した場合に容易に交換可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1実施形態を採用した玉網は、図1に示すように、環状の枠に網が取り付けられた網枠部1とこれに連結される玉網の柄2とからなる。
【0015】
網枠部1は、ステンレス合金やチタン合金等からなる金属製部材を環状に折り曲げて形成した枠部分を、ナイロン繊維等からなる糸を網目状の編み込んでなる略円筒型の網の開口縁に通して、枠と網とを組み合わせたものである。この枠の一部に雄ねじ等が形成され、この雄ねじ部で玉網の柄2に脱着自在に装着されることになる。
【0016】
玉網の柄2は、例えば、4つの筒状体(先端側から順に、第1筒状体11〜第4筒状体14)を振出形式に連結して構成されている。各筒状体11〜14は、それぞれ炭素繊維等の強化繊維に合成樹脂を含浸させた繊維強化樹脂を芯材に巻回して焼成して製造する先細り筒状部材である。これらはいわゆる振出形式で連結されるため、順次手元側の筒状体内に収納可能である。もっとも、釣竿の竿体のように引き延ばした状態で相互に筒状体同士を連結固定する必要はない。これらの第1筒状体11〜第3筒状体13の手元側端部外周面はそれぞれ各筒状体が先端側に飛び出さないような「抜け止め」となっていれば足りる。このような各筒状体11〜14の外径の先細りテーパは一定のテーパ率に設定されており、各筒状体11〜14の外径は順次先端側ほど小径化している。
【0017】
最も手元側に位置する太径の第4筒状体14は、図1〜図3に示すように、竿元側端部に底栓4が脱着自在に装着されると共に、第4筒状体14の先端側端部内周面に形成されたねじ溝に止着部材20が脱着自在に螺着している。
止着部材20は、手元側部分が第4筒状体14に合致するような円筒型であり先端側部分の内径が断面八角形状の部分である。円筒型部分の手元側端部外周面が一段小径化して上述の第4筒状体14に螺合するための雄ねじ部分となっている。止着部分20は筒状体であり内部を第3筒状体13が挿通するが、この止着部材20が第4筒状体14の先端側端部に装着されることで、第3筒状体13の先端側への抜け止めとなっている。また、その先端側は外周面断面形状が円形で内周面断面形状が八角形であり、この内周面が後述のように止着面である。この八角形部分は手元側の円筒型部分より一段小径化しており、その断面の八角形の形状は長辺・短辺を交互に繰り返す非正八角形である。
【0018】
最も先端側に位置する小径の第1筒状体11には、図1,図2,図4及び図5に示すように、先端側端部内周面にねじ溝が形成されると共に、先端側端部外周面に口栓21が装着されている。先端側端部内周面のねじ溝は、上述の網枠1の雄ねじ部分が螺着する部分である。
口栓21は、ウレタンゴム等のゴム素材から形成される栓材であり、軸方向に貫通する貫通孔に第1筒状体11が挿入された状態で第1筒状体11の先端側外周面に接着剤等で固定されている。もっとも、第1筒状体11に対して口栓21を脱着自在にしてもよい。この口栓21は、手元側の挿入部分と先端側の頭部分とからなる。手元側の挿入部分は頭部分に比べて外径が小径化されており第4筒状体14の止着部材20の止着面部分に挿入されて嵌着する部分である。その断面形状は上述の止着部材20の内周面の断面八角形状にあわせて設定されており、外周面(被止着面)が止着部材20の内周面(止着面)に嵌着する。なお、この挿入部分については、図4に示すように、先端側ほどやや大径化するようなテーパを施しても良い。
【0019】
このような玉網では、第1筒状体11から順次第4筒状体14内に筒状体を収納してコンパクトな状態とする。そして、魚が仕掛けに係るのを待つ。このように、一応玉網の柄2の各筒状体を収納しておき、魚を釣り上げた場合のために準備しておく準備状態(仮止め状態)にあっては、第4筒状体14の止着部材20に、口栓21の挿入部分をその八角形形状が合致するような状態で挿入して嵌着させておく。
【0020】
これに対して、釣りを終えて完全に玉網の柄2を収納する(本止め状態)場合若しくは準備状態でも幾分口栓21の止着部材20への嵌着力を強めたい場合には、口栓21と第4筒状体14とを相対的に周方向にひねって回転させて、相互の八角形形状を不一致させて嵌着力を向上させる。
[他の実施形態]
(a)図6に示すような口栓31と第4筒状体34とを用いることも可能である。この第4筒状体34の先端側端部内取面には周方向に180度変位した位置に先端側端縁から軸方向に一対の凹溝34aが形成されている。この凹溝34aは第4筒状体34を製造後にその内周面を削ることで形成可能である。口栓31は上記実施形態と同様のゴム栓であり、第1筒状体の先端側端部外周に装着され、挿入部分と頭部分とからなる。挿入部分は第4筒状体34の先端側端部に挿入される部分である。この挿入部分には上述の凹溝34aに対応して軸方向に伸びる突起31aが設けられている。
【0021】
このような口栓31と第4筒状体34とにおいても、上記実施形態と同様にして「仮止め状態」「本止め状態」と為し得る。即ち、仮止め状態においては、凹溝34aに突起31aを合致させた状態で、口栓31を第4筒状体34に嵌着させる。本止め状態乃至嵌合力を向上させる際には、相互に周方向に回転させて、両者を不一致させる。なお、ここでは、凹溝・突起を周方向に2カ所形成しているが、その設置数は任意である。
(b)上記各実施形態においては柄部を構成する筒状体の本数を4本としているが、これに限定されるものではない。また、断面非円形として上記実施形態では八角形状を例示しているが、例えば、多角形形状であれば足り、その断面形状もこれに限定されるものではない。
【0022】
【発明の効果】
本発明の玉網の柄は、簡易な操作で口栓の嵌着力を任意に調整でき、操作性に優れるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を採用した玉網の全体図。
【図2】図1の玉網の柄の口栓21付近の拡大図。
【図3】図1の玉網の柄の第4筒状体14の先端側端部の断面図。
【図4】図1の玉網の柄の第1筒状体11の先端側端部の断面図。
【図5】図4の口栓21の手元側方向視図。
【図6】本発明の他の実施形態を採用した口栓31及び第4筒状体34を示した図。
【符号の説明】
1 網枠部
2 玉網の柄
11〜14 第1〜第4筒状体
20 止着部材
21,31 口栓
Claims (3)
- 先端側に位置する筒状体が順次手元側の筒状体内に収納可能なように振出形式に複数の筒状体を連結してなる玉網の柄であって、
先端側端部に網枠を連結する連結部分を有する最も先端側に位置する先端筒状体と、
最も手元側に位置する太径の筒状体であり、この筒状体の内径の断面形状が非円形であり内周面が止着面となっている止着部分を先端側端部に有する手元筒状体と、
前記先端筒状体の前記先端側端部の外周面に配置された栓部材であり、前記外周面が前記手元筒状体の前記止着面の断面形状にあわせて非円形化され前記止着面に止着する被止着面となっている口栓とからなり、
仮止め状態においては、前記止着面に前記被止着面の互いの前記非円形形状が、合致するように挿入して嵌着させるとともに、
本止め状態においては、前記口栓と前記手元筒状体とを相対的に周方向にひねって回転させて、相互の前記非円形形状を不一致させて嵌着力を向上させる
ことを特徴とする玉網の柄。 - 先端側に位置する筒状体が順次手元側の筒状体内に収納可能なように振出形式に複数の筒状体を連結してなる玉網の柄であって、
先端側端部に網枠を連結する連結部分を有する最も先端側に位置する先端筒状体と、
最も手元側に位置する太径の筒状体であり、この筒状体の内径の断面形状が非円形であり内周面が止着面となっている止着部分を先端側端部に有する手元筒状体と、
前記先端筒状体の前記先端側端部の外周面に配置された栓部材であり、前記外周面が前記手元筒状体の前記止着面の断面形状にあわせて非円形化され前記止着面に止着する被止着面となっている口栓と、
前記止着部分は前記内周面に周方向に間隔を隔てて形成され軸線方向に伸びる凹溝を有することで断面形状が前記非円形化されており、前記口栓の前記被止着面には前記凹溝に対応する突起が軸線方向に伸びて形成されており、
仮止め状態においては、前記凹溝に前記突起を合致させた状態で、前記口栓を前記手元筒状体に嵌着させると共に、本止め状態の場合、若しくは嵌着力を向上させる際には、前記口栓と前記手元筒状体とを相互に周方向に回転させて、前記嵌着を不一致にさせる
ことを特徴とする玉網の柄。 - 前記手元筒状体の前記止着部分は、前記手元筒状体に脱着自在に連結された別部材からなる、請求項1又は2に記載の玉網の柄。
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