JP3833190B2 - 玉網の柄 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は魚釣りに用いる玉網の柄に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚釣りを行う際に、釣竿の仕掛けに係った魚を引き上げるために玉網が用いられる。玉網は、環状の枠部と、枠部に固定される袋状の網と、枠部に連結された玉網の柄とから構成されている。
この玉網の柄は、複数の先細りテーパの施された筒状体を順次振出形式に連結してなるものであり、順次手元側の筒状体内に先端側の筒状体が収納可能となっている。このような玉網では、収納時は玉網の柄を構成する筒状体を順次手元側に収納したコンパクトな状態としておく。そして、釣竿の仕掛けにかかった魚を釣り上げる際に、網側を水面に向かって勢いよく差し出し、順次の筒状体を引き出して長い一本の柄部として先端の網に魚をすくい入れる。
【0003】
このように玉網の柄をコンパクトな状態とした際に、手元側の筒状体内に収納した他の筒状体が先端側に飛び出さないように、口栓が玉網の柄の最も先端側に位置する筒状体に装着されているものがある(例えば、特許文献1参照)。このような玉網の柄では、最も手元側に位置する筒状体の先端側の内周面を口栓に嵌着させて、いわば蓋をするのである。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−287582号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の玉網の口栓は、玉網の柄の最も先端側に位置する筒状体に接着等によって固定されており、取り外しができないのが一般的である。このように口栓が取り外し得ない場合、振出形式に複数の筒状体が連結されている場合、各筒状体を取り外して分解することができないという問題が生じる。即ち、振出形式に筒状体が連結されている場合、先端側に位置する筒状体を順次手元側に引き出して、個々の筒状体に分解することになる。しかし、最も先端側に位置する筒状体に口栓が取り付けられている場合、この口栓が邪魔になり、筒状体を手元側に引き抜くことができないのである。
【0006】
そこで、口栓を脱着自在に最も先端側に位置する筒状体に装着しておくことが考えられる。
しかし、上述のように、使用時に勢いよく先端側に振り出して用いるものであり、口栓は使用時に外れ易く紛失し易い。また、口栓は最も手元側に位置する筒状体の先端側端部と嵌着するのであり、コンパクトに玉網の柄を収納した場合、その余の筒状体は口栓によって蓋をされた最も手元側に位置する筒状体の内部にある。このため、収納時に、その余の筒状体が先端側に移動すると口栓に衝突し、その勢いで口栓が外れてしまうことも考えられる。
【0007】
本発明の課題は、口栓が脱着自在であり、且つ、不用意に外れ難い、玉網の柄を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に関する玉網の柄は、先端側に位置する筒状体が順次手元側の筒状体内に収納可能なように振出形式に複数の筒状体を連結してなる玉網の柄であって、最も先端側に位置し先端側外周面が粗面加工されている先端筒状体と、先端筒状体の手元側に位置する1又は複数の中間筒状体と、中間筒状体の手元側に位置する手元筒状体と、先端筒状体の先端側に脱着自在に装着される口栓とを備えている。そして、この口栓は、その外周面が手元筒状体の先端側端部内周面と嵌着するための嵌着面となっている第1弾性本体と、第1弾性本体の手元側に配置され第1弾性本体より硬度が小さい弾性体からなる第2弾性本体とを有する。また、この口栓には軸方向に貫通する先端筒状体を挿着するための孔が形成されている。
【0009】
この玉網の柄は、例えば、その先端筒状体の内周面に設けられる連結部分に網枠を連結して、玉網として用いられるものである。玉網の柄の柄部を構成する先端筒状体から順次手元側に位置する各筒状体内に振出形式に各筒状体が収納されて、最終的には、最も手元側に位置する手元筒状体内に全ての筒状体が収納されたコンパクトな状態となる。そして、このコンパクトに各筒状体を収納した状態で、先端筒状体の先端側端部外周面に配置された口栓の第1弾性本体の嵌着面に、手元側筒状体の先端側内周面を嵌着させて栓をする。口栓は、先端筒状体がその孔に挿入されて先端筒状体の先端側外周面に脱着自在に装着されている。この先端筒状体の先端側外周面は粗面加工されており、口栓との装着力が向上している。このようにして、各筒状体をコンパクトに収納した際に、各筒状体が不用意に先端側に飛び出さないようになっている。
【0010】
このように各筒状体をコンパクトに収納した際も、中間筒状体は手元筒状体内においてはフリーな状態にある。このため、運搬時等においては中間筒状体が先端側に移動して、口栓に衝突する恐れもある。このような衝突時においても、中間筒状体は第2弾性本体に衝突するので、この第2弾性本体が衝突の際の衝撃を吸収し、口栓が先端筒状体から外れてしまうのを抑えている。
【0011】
なお、振出形式に連結されている各筒状体を分解する場合には、先端筒状体から口栓を取り外し、順次、先端側に位置する筒状体を手元側に引きだして、個々の筒状体に分解することができる。各筒状体のメンテナンスに有益である。
別の玉網の柄では、第1弾性本体の手元側端面から前記孔が軸方向に貫通しており、第2弾性本体はリング状の部材であって、第1弾性本体の手元側端面に前記孔を閉塞しないように貼り付けられている。第2弾性本体を別途形成して、第1弾性本体に貼り合わせ加工することで、製造が容易になる。
【0012】
さらに別の玉網の柄では、孔の内周面にも粗面加工が施されている。先端筒状体と口栓との嵌着力がさらに向上する。
なお、口栓の第1弾性本体の外周面には軸方向に延びる複数の溝が周方向に間隔を隔てて形成してもよい。第1弾性本体の外周面に手元筒状体を嵌着させた際の、不要な固着を防止し得る。
【0013】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1実施形態を採用した玉網は、図1に示すように、環状の枠に網が取り付けられた網枠部1とこれに連結される玉網の柄2とからなる。
【0014】
網枠部1は、ステンレス合金やチタン合金等からなる金属製部材を環状に折り曲げて形成した枠部分と、ナイロン繊維等からなる糸を網目状の編み込んでなる略円筒型の網とを組み合わせたものである。この網が、魚をすくい入れる部分である。網枠部1の枠部分の一部に雄ねじ等が形成され、この雄ねじ部で玉網の柄2に脱着自在に網枠部1は装着されることになる。
【0015】
一方、玉網の柄2は、例えば、4つの筒状体(先端側から順に、第1筒状体11〜第4筒状体14)を振出形式に連結して構成されている。筒状体の数はこれに限定されるものではなく、必要な玉網の柄2の全長や、個々の筒状体の軸方向長さ等に応じて、任意に設定されるべきものである。
この各筒状体11〜14は、それぞれ炭素繊維等の強化繊維に合成樹脂を含浸させた繊維強化樹脂を芯材に巻回して焼成して製造する先細り筒状部材である。これらはいわゆる振出形式で連結されるため、順次手元側の筒状体内に収納可能である。特に図示しないものの、これらの第1筒状体11〜第3筒状体13の手元側端部外周面はそれぞれ各筒状体が先端側に飛び出さないように太径化して「抜け止め」となっている。若しくは、順次各筒状体を先端側に引き出した際に、各筒状体を嵌着可能なように、各筒状体の手元側端部外周面には周知の嵌合部分を形成する。
【0016】
最も手元側に位置する太径の第4筒状体14には、竿元側端部に底栓3が脱着自在に装着される。例えば、第4筒状体14の手元側端部内周面にねじ溝を形成して、ここに底栓3を螺着させる。
図2に詳しく示すように、最も先端側に位置する小径の第1筒状体11には、先端側端部内周面に雌ねじ部材4が収納されている。雌ねじ部材4は内周面にねじ溝が形成されているパイプ状の部材であり、第1筒状体11の先端側端部内周面に接着等されている。この実施形態では、別途雌ねじ部材4を第1筒状体1に取り付けているが、第1筒状体1の内周面に直接ねじ溝を形成してもよい。この雌ねじ部材4は上述の網枠部1の雄ねじが螺着する部分である。
【0017】
また、第1筒状体11の先端側端部外周面に口栓10が装着されている。この口栓10は、第1弾性本体5と、第1弾性本体5の手元側に貼り付けられている第2弾性本体6とからなる。第1弾性本体5は軸長方向に貫通する貫通孔が形成された略筒状のゴム製部材である。例えば、NBRなどのゴムから構成される。そのゴム硬度は好ましくは70±5程度に設定する。第1弾性本体5は先端側端部外周面に径方向外側に広がる鍔を有し、その余の外周面は手元側ほどやや小径化するテーパ面となっている。その外周面には、手元側端縁から軸方向に延びる複数の溝が周方向に間隔を隔てて形成されている。この外周面の外径は、軸方向中央付近において、第4筒状体14の先端側端部の内径におよそ合わせて設定される。また、第1弾性本体5を貫通している貫通孔の内周面には、さらに粗面加工を施しても良い。
【0018】
第2弾性本体6はリング状のゴム部材である。例えば、ネオプレーンゴム等の第1弾性本体5の素材よりゴム硬度が小さいものを用いる。好ましくはその硬度は20〜30程度に設定する。第2弾性本体6は、内径が上述の第1弾性本体5の貫通孔よりも大きく、且つ、外径が上述の第1弾性本体5の手元側端部の外径よりも小さくなるようなリングとする。そして、第1弾性本体5の手元側端面に接着若しくはその他の手法で装着される。
【0019】
このような玉網の柄2と網枠部1とを組み合わせた玉網では、使用時には、各筒状体を先端側に引き出して一本の長い玉網の柄2として、魚をすくい入れる。一方、収納時には、第1筒状体11から順次手元側に位置する各筒状体内に振出形式に各筒状体が収納されて、最終的には、最も手元側に位置する第4筒状体14内に全ての筒状体が収納されたコンパクトな状態となる。そして、このコンパクトに各筒状体を収納した状態で、第1筒状体11の先端側端部外周面に配置された口栓10の第1弾性本体5の外周面である嵌着面に、第4筒状体14の先端側内周面を嵌着させて栓をする(図3参照)。口栓10は、第1筒状体11がその貫通孔に挿入されて第1筒状体11の先端側外周面に脱着自在に装着されている。この第1筒状体11の先端側外周面及び貫通孔の内周面はそれぞれ粗面加工されており、口栓との装着力が向上している。このようにして、各筒状体をコンパクトに収納した際に、各筒状体が不用意に先端側に飛び出さないようになっている。
【0020】
このように各筒状体をコンパクトに収納した際も、例えば、第2筒状体12は第4筒状体14内においてはフリーな状態にある。このため、運搬時等においては、例えば、第2筒状体12が先端側に移動して、口栓10に衝突する恐れもある(図3参照)。このような衝突時においても、第2筒状体12は口栓10の第2弾性本体6に衝突するので、この第2弾性本体6が衝突の際の衝撃を吸収し、口栓10が第1筒状体11から外れ難くなっている。
【0021】
なお、振出形式に連結されている各筒状体を分解する場合には、第1筒状体11から口栓10を取り外し、第4筒状体14の尻栓3を取り外し、順次、先端側に位置する筒状体を手元側に引きだして、個々の筒状体に分解することができる
[他の実施形態]
図4に口栓20として変形例を示す。
【0022】
この口栓20は、第1弾性本体21と、その手元側に連結されている第2弾性本体22とからなる。第1弾性本体21は上記実施形態と同様に、NBRなどの比較的硬いゴムから形成されている。第1弾性本体21の手元側端部は他の部分に比較して一段小径化するように切り欠かれて切り欠き部となっている。一方、第2弾性本体22は上記第1弾性本体21の手元側の切り欠き部分乃至手元側端部を覆うような形状である。第2弾性本体22は、第1弾性本体21に比較して硬度が小さく、上記実施形態のようにネオプレーンゴム等から形成されている。なお、この第1弾性本体21と第2弾性本体22とは脱着自在に両者を組み合わせても良い。
【0023】
このように組み合わされている第1弾性本体21と第2弾性本体22とを軸方向に貫通するように貫通孔が形成されている。この貫通孔は玉網の柄の第1筒状体11が挿入される部分であり、内周面は粗面加工を施しても良い。
なお、その余の事項については、上記第1実施形態と同様である。
【0024】
【発明の効果】
本発明の玉網の柄は、その口栓を脱着自在であって、各筒状体を分解してメンテナンスも容易である。また、脱着自在な口栓が不用意に筒状体から外れてしまうこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を採用した玉網を示した図。
【図2】図1の玉網の柄の口栓10を示した図。
【図3】図1の玉網の柄の収納時における口栓10付近を示した図。
【図4】他の実施形態を採用した口栓20を示した図。
【符号の説明】
1 網枠部
2 玉網の柄
5 第1弾性本体
6 第2弾性本体
10,20 口栓
11〜14 第1〜第4筒状体
Claims (4)
- 先端側に位置する筒状体が順次手元側の筒状体内に収納可能なように振出形式に複数の筒状体を連結してなる玉網の柄であって、
最も先端側に位置し先端側外周面が粗面加工されている先端筒状体と、
前記先端筒状体の手元側に位置する1又は複数の中間筒状体と、
前記中間筒状体の手元側に位置する手元筒状体と、
前記先端筒状体の先端側に脱着自在に装着される口栓とを備え、
前記口栓は、外周面が前記手元筒状体の先端側端部内周面と嵌着するための嵌着面となっている第1弾性本体と、前記第1弾性本体の手元側に配置され前記第1弾性本体より硬度が小さい弾性体からなる第2弾性本体とを有し、軸方向に貫通する前記先端筒状体を挿着するための孔が形成されている、玉網の柄。 - 前記第1弾性本体の手元側端面から前記孔が軸方向に貫通しており、
前記第2弾性本体はリング状の部材であって、前記第1弾性本体の手元側端面に前記孔を閉塞しないように貼り付けられている、請求項1に記載の玉網の柄。 - 前記孔の内周面にも粗面加工が施されている、請求項1又は2に記載の玉網の柄。
- 前記口栓の第1弾性本体の外周面には軸方向に延びる複数の溝が周方向に間隔を隔てて形成されている、請求項1〜3の何れかに記載の玉網の柄。
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