JP3830073B2

JP3830073B2 - 生体組織接着剤塗布用具

Info

Publication number: JP3830073B2
Application number: JP2000050395A
Authority: JP
Inventors: 幸彦坂口; 昌夫池田
Original assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Current assignee: Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date: 2000-02-28
Filing date: 2000-02-28
Publication date: 2006-10-04
Anticipated expiration: 2020-02-28
Also published as: JP2001238887A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に複数成分系製剤として適用される組織接着剤の塗布用具に関するものであり、特に肝臓や肺の切除断端や消化管の縫合部の止血閉鎖などに好適な、生体の患部に噴霧して塗布するための用具に関する。
【０００２】
【従来の技術】
繊維素原（フィブリノゲン）は、いわゆる血液凝固カスケードの最終段階に存在する非常に重要な役割を担う凝固因子である。フィブリノゲンは、例えば損傷後の血液凝固系の活性化において、トロンビンにより、その可溶性形態から止血及び創傷治療に重要な寄与をする不溶性のフィブリンに変換される。この血液凝固の最終相の原理を利用した組織接着剤が開発され、外科手術において肝臓または脾臓のような軟部器官の縫合代用の接着剤として、または縫合補助剤として使用されている。同時に、幅広い臨床の現場で応用されている。近年、２本のシリンジ体に収納されたフィブリノゲン溶液およびトロンビン溶液を同時に射出し、無菌ガスを利用して、射出させた２液を噴霧して混合するスプレー塗布法が普及し始めている。このような器具の好適な例は、例えばＷＯ９４−０７４２０号公報に開示されている。
【０００３】
しかしながら本器具を用いた不具合として先端部での詰まりという現象がしばしば発生しており、これは特に断続して使用する際に多く発生していた。その原因は噴霧中にフィブリノゲン溶液とトロンビン溶液の霧状の微粒子が術野より反射し、ノズルチップ先端の異なる溶液と接触することにより薬液流通路内における最先端において凝固が進むことにより詰まりが発生するものと推定される。また断続使用では術野における空気のも巻き上げ防止や、無菌ガス流出音を無くす目的で無用な無菌ガスを停止させる操作がなされるため、薬液流通路内の残圧によりわずかに吐出された薬液が噴霧されずにノズル先端に付着すると確実に詰まりを発生させており、これらの場合本器具の交換を余儀なくされることはいうまでも無く、特に高価な製剤についても無駄にされていた。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のこのような問題点を解決することを目的とするもので、断続使用における無菌ガス停止操作時に薬液流通路内先端の薬液を無菌ガスで排出してしまうことによりほとんど製剤を無駄にすることがなく、詰まりを発生させない生体組織接着剤塗布用具を提供するものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、後端に複数の薬液注入口、中央付近に無菌ガス注入口を備え、先端に各薬液注入口とその薬液流通路で区切られ連通する複数の薬液吐出ノズルと各薬液吐出ノズルに対して同軸かつ外側略環状に配置された無菌ガス噴出口が設けられている２成分以上の薬液を塗布するためのスプレーヘッドにおいて、無菌ガス注入口に、無菌ガスの流路を、薬液流通路と、無菌ガス流通路と、に切換える切換装置を設けたことを特徴とする生体組織接着剤塗布用具である。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下、図面をもとに本発明について詳細に説明する。図１は本発明の一実施例となる生体組織接着剤塗布用具の構造を示す図で、図２は本発明の他の実施例となる生体組織接着剤塗布用具の構造を示す図であり、それぞれ（ａ）はこれらを側面から見た断面図、（ｂ）は（ａ）の平面断面図である。図３は本発明の一施例となる生体組織接着剤塗布用具の切替機構を段階的に示す平面断面図で、図４は本発明の他の施例となる生体組織接着剤塗布用具の切替機構を段階的に示す側面断面図であり、それぞれ（ａ）は薬液噴霧、（ｂ）は薬液のフラッシュ、（ｃ）は停止の状態を示す図である。
【０００７】
本発明による生体組織接着剤塗布用具は、図１に示すようにスプレーヘッド（１）の後端に２本の薬液注入口（２）と中央付近に無菌ガス注入口（３）が設けられ、先端には複数の薬液吐出ノズル（４）と、各薬液吐出ノズル（４）に同軸でかつ外側に略環状に配置された薬液を噴霧するための無菌ガス噴出口（５）が備えられている。スプレーヘッド（１）内は薬液流通路と無菌ガス流通路とに分かれ、例えば薬液注入口（２）と薬液吐出ノズル（４）をチューブで連結させ薬液流通路（７）とすることによりそれぞれの流路を分割することができるが、スプレーヘッド（１）の成型品そのものに無菌ガス流通路と区分けされた薬液流通路（７）を予め施しても何ら構わない。また、無菌ガス注入口（３）の端末には予め無菌フィルター（１２）を設置しておくことも望ましい実施例の一つである。
【０００８】
薬液流通路（７）は薬液注入口（２）と薬液吐出ノズル（４）との途中に分岐流通路（８）へ分岐する分岐部（９）を持ち、分岐流通路（８）のもう一端は無菌ガス注入口（３）と通じている。
無菌ガス注入口（３）はスプレーヘッド（１）内で活栓機構による切替装置（６）を備え、切替装置（６）を回転させることにより外部から供給される無菌ガスをスプレーヘッド（１）内の無菌ガス流通路または前記分岐流通路（８）へ送気するか、或いは送気を停止することの切り替えができ、切り換えの順番は必ずスプレーヘッド（１）内への送気と停止が切り替え操作の終点とし、両者の途中に分岐流通路（８）へ送気されることが重要である。
【０００９】
また、分岐流通路（８）へ送気中の無菌ガスが薬液注入口（２）に連結されるシリンジ（１３）のプランジャーをバックさせることを防止するために、分岐部（９）と薬液注入口（２）との間の薬液流通路（７）に分岐部（９）方向にのみ開口する一方弁（１０）を設置することも望ましく、更に薬液が切替装置（６）へ侵入するのを防止するために、分岐流通路（８）に分岐部（９）方向にのみ開口する一方弁（１１）を設置することも望ましいが、後者については切替装置（６）において分岐流通路（８）へ送気されていないときの気密性が十分に確保されていれば分岐流通路（８）は閉鎖系をなし、必ずしも一方弁（１１）を設置しなくとも良い。
【００１０】
次に本発明による生体組織接着剤塗布用具の他の実施例を説明すると、図２に示すように切替装置（６）以外の基本的な構造は前記実施例と同様である。
無菌ガス注入口（３）はスプレーヘッド（１）内を押し引き可能に摺動する切替装置（６）を備え、切替装置（６）を最後まで押し込むとスプレーヘッド（１）内に無菌ガスが送気され、最後まで引き戻すと送気停止となり、切り換え途中に分岐流通路（８）へ送気される機構をなす。なお、切り替えの順番は前述同様、切り替え途中に分岐流通路（８）へ送気されることが重要であり、残り２者の配置は特に限定されるものではない。
【００１１】
全ての構成部品の材質は特に限定されるものではないが、少なくとも薬液と接触する薬液注入口（２）、薬液吐出ノズル（４）、薬液流通路（７）の材質は医療用プラスチック材料であり、かつ薬液に影響をおよぼさないものであることが求められる。また、本発明の塗布用具の製作は複数の成型品を接着するか又は溶着等により組み立てられる。
【００１２】
次にフィブリノゲン溶液とトロンビン溶液による生体組織接着剤の塗布操作についての具体例を図３および図４を用いて述べる。まずフィブリノゲン溶液を充填したシリンジとトロンビン溶液を充填したシリンジ（１３）の先端をスプレーヘッド（１）の後端の薬液注入口（２）に接続する。次に無菌ガス注入口（３）に無菌フィルター（１２）を介して無菌ガス供給源を接続し、適度なエアー流量を保つ。そして一般的には止血するべく患部へスプレーヘッド（１）を向けシリンジ（１３）を加圧することにより薬液吐出ノズル（４）よりフィブリンノゲン溶液とトロンビン溶液が無菌ガス噴出口（５）より噴出された無菌ガスにより混合され患部に噴霧され止血がなされることとなる。
【００１３】
なお、薬液噴霧の際の切替装置（６）の配置は（ａ）の配置である。そして断続使用が必要となる手技においては無菌ガス注入口（３）に設置された無菌フィルター（１２）を回転または引き戻し操作を行い、切替装置（６）が（ｃ）の配置とすることにより無菌ガスの送気が停止される。このとき（ａ）から（ｃ）に至る過程の（ｂ）の配置において瞬間的に分岐流通路（８）に無菌ガスが送気され分岐部（９）から薬液吐出ノズル（４）までの薬液流通路（７）内の薬液を排出するフラッシュ操作がなされる。特に薬液吐出ノズル（４）先端内の微粒子反射による凝固気味の薬液が排出されるため詰まりを発生させることなく再使用が可能となる。
【００１４】
【発明の効果】
以上に述べた如く、本発明による生体組織接着剤塗布用具は無菌ガス送気停止時に薬液流路内の薬液を排出するため詰まりを発生させずに再使用が可能となるため、用具コスト、製剤コストが有利になるだけでなく速やかに処置を継続することができるより安全な組織接着剤の塗布用具として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の一実施例となる生体組織接着剤塗布用具の構造を示す（ａ）は側面断面図、（ｂ）は平面断面図である。
【図２】本発明の他の実施例となる生体組織接着剤塗布用具の造を示す（ａ）は側面断面図、（ｂ）は平面断面図である。
【図３】本発明の一施例となる生体組織接着剤塗布用具の切替機構を段階的に示す平面断面図で、（ａ）は薬液噴霧、（ｂ）は薬液のフラッシュ、（ｃ）は停止の状態を示す図である。
【図４】本発明の他の施例となる生体組織接着剤塗布用具の切替機構を段階的に示す側面断面図で、（ａ）は薬液噴霧、（ｂ）は薬液のフラッシュ、（ｃ）は停止の状態を示す図である。
【符号の説明】
１スプレーヘッド
２薬液注入口
３無菌ガス注入口
４薬液吐出ノズル
５無菌ガス噴出口
６切替装置
７薬液流通路
８分岐流通路
９分岐部
10 一方弁
11 一方弁
12 無菌フィルター
13 シリンジ

Claims

後端に複数の薬液注入口、中央付近に無菌ガス注入口を備え、先端に各薬液注入口とその薬液流通路で区切られ連通する複数の薬液吐出ノズルと各薬液吐出ノズルに対して同軸かつ外側略環状に配置された無菌ガス噴出口が設けられている２成分以上の薬液を塗布するためのスプレーヘッドにおいて、
無菌ガス注入口に、無菌ガスの流路を、薬液流通路と、無菌ガス流通路と、に切換える切換装置を設けたことを特徴とする生体組織接着剤塗布用具。
前記切換装置は、切換装置の開の位置では、無菌ガスの流通路と無菌ガス噴出口とが連通し、開から閉への切り換え操作過程においては、無菌ガスの流通路が複数ある薬液流通路と連通し、切換操作が完了し閉の位置では無菌ガスの流通路と薬液流通路とが連通しておらず、かつ薬液流通路においては個々に気密閉鎖系をなしている請求項１記載の生体組織接着剤塗布用具。
薬液注入口と薬液吐出ノズルとを連通させる薬液流通路の途中に分岐部を設け、無菌ガス注入口への分岐流通路が設けられており、薬液が分岐部方向のみに流通可能な一方弁が薬液注入口の先に備えられている請求項１又は２記載の生体組織接着剤塗布用具。
薬液注入口と薬液吐出ノズルとを連通させる薬液流通路の途中に分岐部を設け、無菌ガス注入口への分岐流通路が設けられており、無菌ガスが分岐部方向のみに流通可能な一方弁が無菌ガス注入口の先に備えられている請求項１ないし３記載のいずれかの生体組織接着剤塗布用具。