JP3829900B2 - インクジェットプリンタ及びインクカートリッジ交換検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関し、特に、電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたか否かを電源オン時に検出でき、また、電源オン時に、当該検出結果に基づき、ヘッドクリーニング動作を行うインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジが交換されたことを検出する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクカートリッジをインク供給源としているインクジェットプリンタが広く知られている。この形式のインクジェットプリンタは、一般に、インクカートリッジが装着されているか否かを検出するカートリッジセンサと、インクカートリッジのインク残量が残り少なくなったことを検出するインクニアエンドセンサを備えている。
【0003】
インクニアエンドセンサによってインクカートリッジのインク残量が残り少なくなったことが検出されると、例えば、それ以後のインク吐出回数等に基づき、インクカートリッジのインク切れの時点を検出し、インク交換要求を表示器等を介して報知するようになっている。
【0004】
ここで、インク交換要求に応じてインクカートリッジの交換を行うと、その交換時にインク供給路に気泡等が侵入する可能性がある。気泡等がインク供給路に侵入すると、空吐出等による印字不良が発生する可能性がある。このような弊害を回避するために、インクカートリッジの交換時には、インクノズルから所定量のインク吸引動作を行なって気泡を外部に排出するヘッドクリーニングが行われる。
【0005】
インクカートリッジの交換は電源がオフ状態の間においても行われる可能性がある。例えば、電源オフ時に、インクカートリッジのインク残量が残り少ない旨の警告表示がなされている場合には、電源をオフした後に、新たなインクカートリッジに交換される場合がある。このような場合には、電源オン時に、ヘッドクリーニングを行わないと、印字不良が起きるおそれがある。しかし、電源オフ状態でのインクカートリッジの交換はマイクロスイッチ等から構成されているカートリッジセンサでは検出できない。そこで、従来においては、電源オフ状態においてインクカートリッジが交換されたことを検出するための機構が、例えば、特開平7−266577号公報において提案されている。
【0006】
この公開公報に開示されている機構は、リチュウム電池により電力が供給されているトランジスタを備え、インクカートリッジが電源オフ状態の間に交換されると、トランジスタが一時的にオフに切り換わり、この状態変化がメモリに記憶されるようになっている。電源オン時には、当該メモリの内容に基づき、電源オフ状態でインクカートリッジが交換されたか否かを判別可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなインクカートリッジの交換を検出する機構は、検出用のトランジスタおよびリチュウム電池が必要となるので、その分、装置の大型化、コスト高を招くことになってしまう。また、電池切れの場合には、電源オフ状態においてインクカートリッジが交換されたことを検出できないという欠点がある。
【0008】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、装置の大型化、コスト高を招くことなく、電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたことを検出可能なインクジェットプリンタを提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクカートリッジ交換検出方法は、
(1) インクカートリッジが装着されているか否かを検出するカートリッジセンサと、前記インクカートリッジのインク残量が第1の所定の量以下となったか否かを検出するインクニアエンドセンサとを用い、
電源をオフする時における前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無の検出結果と、前記インクニアエンドセンサによるインク残量の検出結果とを記憶保持しておき、
電源のオン時に、前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無を検出するとともに、前記インクニアエンドセンサによるインクカートリッジのインク残量を検出することにより、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたか否かを検出するインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法であって、
前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されていない旨を記憶保持している場合、または前記インクニアエンドセンサによりインクカートリッジのインク残量が前記第1の所定量以下の旨を記憶保持している場合において、
前記電源のオン時に、前記カートリッジセンサにより前記インクカートリッジが装着されている旨が検出され、かつ、前記インクニアエンドセンサにより前記インクカートリッジのインク残量が前記第1の所定の量以下でない旨が検出された場合には、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたと判別することを特徴とする。
(2) (1)において、さらに、前記インクカートリッジのインク残量が前記第1の所定の量よりさらに少ない第2の所定の量以下となったか否かを検出するインク切れ検出手段を用い、
電源をオフする時に、前記インク切れ検出手段によるインク切れか否かの検出結果をさらに、記憶保持しておき、
前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されている旨を記憶保持しており、かつ、前記インク切れ検出手段によりインクカートリッジのインク残量が前記第2の所定量以下の旨を記憶保持している場合において、
前記電源のオン時に、前記カートリッジセンサにより前記インクカートリッジが装着されている旨が検出され、かつ、前記インクニアエンドセンサにより前記インクカートリッジのインク残量が前記第1の所定の量以下でない旨が検出された場合には、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたと判別することを特徴とする。
(3) (1)または(2)において、
インクカートリッジが交換されたと判別された場合には、インクノズルからインクを吸引するヘッドクリーニング動作を行うことを特徴とする。
(4) インクカートリッジが装着されているか否かを検出するカートリッジセンサと、前記インクカートリッジのインク残量が第1の所定の量以下となったか否かを検出するインクニアエンドセンサとを用い、
電源をオフする時における前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無の検出結果と、前記インクニアエンドセンサによるインク残量の検出結果とを記憶保しておき、
電源のオン時に、前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無を検出するとともに、前記インクニアエンドセンサによるインクカートリッジのインク残量を検出することにより、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたか否かを判別するインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法であって、
前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されていない旨が記憶保持されている場合において、
前記電源のオン時に、前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されている旨が検出され、かつ、前記インクニアエンドセンサによりインクカートリッジのインク残量が第1の所定の量以下であることが検出された場合には、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが新品では無いインクカートリッジに交換されたと判別し、インクエンド表示させるとともに、カートリッジ交換待機とすることを特徴とする。
(5) インクカートリッジが装着されているか否かを検出するカートリッジセンサと、前記インクカートリッジのインク残量が第1の所定の量以下となったか否かを検出するインクニアエンドセンサと、前記インクカートリッジのインク残量が前記第1の所定の量よりさらに少ない第2の所定の量以下となったか否かを検出するインク切れ検出手段と、を用い、 電源をオフする時における前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無の検出結果と、前記インクニアエンドセンサによるインク残量の検出結果と、インク切れ検出手段によるインク切れか否かの検出結果とを記憶保持しておき、
電源のオン時に、前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無を検出するとともに、前記インクニアエンドセンサによるインクカートリッジのインク残量を検出することにより、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたか否かを判別するインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法であって、
前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されている旨を記憶保持しており、かつ、インク切れ検出手段によりインクカートリッジのインク残量が前記第2の所定量以下の旨を記憶保持している場合において、
前記電源のオン時に、前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されている旨が検出され、かつ、前記インクニアエンドセンサによりインクカートリッジのインク残量が第1の所定の量以下であることが検出された場合には、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが新品では無いインクカートリッジに交換されたと判別し、インクエンド表示させるとともに、カートリッジ交換待機とすることを特徴とする。
また、本発明のインクジェットプリンタは、上記(1)〜(5)記載の方法によりインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジが交換されたことを検出することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照して本発明を適用したインクジェットプリンタを説明する。本例のインクジェットプリンタは、キャリッジに搭載されたインクジェットヘッドを、記録紙の搬送方向に直交する方向に移動させて、記録紙の表面に印刷を行い、インク供給源として、プリンタ本体に形成したカートリッジ装着部に対して着脱可能に装着されたインクカートリッジを使用する形式のものである。
【0020】
図1は本例のインクジェットプリンタの概略構成図であり、図2はそこに搭載されているカートリッジ装着部分を示す説明図である。本例のインクジェットプリンタ1は、プリンタ機構部2と、このプリンタ機構部2の各駆動部分を制御するためのプリンタコントロール部3から基本的に構成されている。
【0021】
プリンタ機構部2は、記録紙搬送機構21と、インクジェットヘッド22と、このインクジェットヘッド22を担持したキャリッジ(図示せず)の送り機構23と、インクジェットヘッド22の回復処理を行うための回復処理装置24とを備えている。
【0022】
回復処理装置24は、インクジェットヘッド22のノズル面をキャッピングするためのキャップ、インクノズルからインクの吸引を行うインク吸引ポンプ、キャリッジによって移動するイクジェットヘッド22のノズル面から異物等を拭き取るためのワイパー等を備えた一般的な構成のものである。後述のように、この回復処理装置24は、インクカートリッジが交換されると、インクジェットヘッド22のノズル面をキャップした状態でインク吸引ポンプを駆動して、インクカートリッジからインクジェットヘッドのノズルに到るインク供給路に侵入した気泡等をインクノズルから吸引して排出するクリーニング処理を行う。
【0023】
プリンタ機構部2は、更に、インクカートリッジ装着部25(図2参照)にインクカートリッジ26(図2参照)が装着されているか否かを検出するためのカートリッジセンサ27と、装着されているインクカートリッジ26のインク残量が所定の量以下になったことを検出するためのインクニアエンドセンサ28とを備えている。
【0024】
ここで、図2を参照して説明すると、インクカートリッジ装着部25はカートリッジガイド25aを備え、ここに、直方体形状のインクカートリッジ26を矢印方向にスライドさせることにより、着脱可能な状態でに装着される。図2(A)の状態は、インクカートリッジ26をスライドさせて装着状態にする手前の状態を示してある。インクカートリッジ26の前側端面にはインク供給口26aが形成されており、インクカートリッジ26を装着すると、インクカートリッジ装着部25に配置されているインク針25bがインク供給口26aに差し込まれて、当該インクカートリッジ25から、インク針25b、インクチューブ25cを経由してインクジェットヘッド22の各ノズルに到るインク供給路が形成される。
【0025】
また、インク針25aの上方位置には、カートリッジセンサ27の検出片27aが突出しており、インクカートリッジ26が装着されると、この検出片27aがインクカートリッジ26により押され、この結果、インクカートリッジ26が装着されたことが検出される。
【0026】
図2(B)から分かるように、インクカートリッジ26は、直方体形状のケース26bと、この内部に配置されている可撓性のインク袋26cから構成されており、このインク袋26cにインクが貯留されている。インク袋26cの側面にはL形のニアエンド検出片28aが取り付けられている。インク袋26c内のインク残量が少なくなると、インク袋26cが収縮し、これに伴って、検出片28aの水平部分28dが、ケース26bの側面から外部に突出して、カートリッジガイド25aに取り付けられているインクニアエンドセンサ28の回動片28eを押す。この結果、インクカートリッジ26のインク残量が所定量以下になったことが検出される。
【0027】
なお、インクカートリッジ26の側部には、回復処理装置24によってインクジェットヘッド22のノズルから吸引した廃インクを回収する廃インク回収室25dが取り付けられており、ここにはインク吸収材が充填されている。
【0028】
再び図1を参照して、プリンタコントロール部3について説明する。プリンタコントロール部3は、マイクロコンピュータを中心に構成されており、CPU31は、RAM32を作業領域として用いて、ROM33に格納されている制御プログラムを実行することにより、各ドライバ41〜44を介して、プリンタ機構部2の各駆動部分21〜24を駆動制御する。
【0029】
また、上記の回復処理装置24によるヘッドクリーニング処理におけるインク吸引時間をカウントするクリーニングタイマ34を備えている。このタイマは例えばソフトウエアによる実現される機能である。さらに、インクニアエンドセンサ28がオンして、インクカートリッジ26のインク残量が所定の量以下、例えば3グラム以下になったことが検出された場合に、それ以後のインク吐出回数をカウントするインクエンドカウンタ35を備えている。インクエンドカウンタ35によって予め設定されているインク吐出回数がカウントされると、CPU31はインクカートリッジがインク無し(インク切れ)となったものと判断して、その旨を、ドライバ45を介して、表示器36に表示させる。
【0030】
この表示器36には、カートリッジセンサ27がオフしてカートリッジ無しが検出された場合にも、その旨が表示される。また、インクニアエンドセンサ28がオンして、インクカートリッジのインク残量が所定の量以下となったことが検出された場合にも、それを示すインクニアエンド表示がなされる。
【0031】
CPUの31の入力側には、ヘッドクリーニング動作を指示するクリーニングスイッチ51、記録紙の送り動作を指示する紙送りスイッチ52、電源スイッチ53等のマニュアルスイッチからの入力信号が供給される。
【0032】
なお、プリンタコントロール部の駆動電力はスイッチング回路61を介して外部電源に接続されている電源回路62から、電源異常検出回路63を介して供給される。
【0033】
ここで、本例のプリンタコントロール部3は、電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたことを検出するための検出機能が備わっている。この検出機能を実現するためにプリンタコントロール部3は、電源オフ状態においても記憶保持可能なEEPROM71を備えている。このEEPROM71の記憶内容と、カートリッジセンサ27およびインクニアエンドセンサ28の検出結果とを比較することにより、電源オフ状態におけるインクカートリッジの交換の有無が検出される。
【0034】
EEPROM71には、電源オフ時における次の3つの状態を表すためのフラグ書き込み領域が形成されている。すなわち、インクエンドカウンタ35のカウント結果に基づき検出されるインクカートリッジがインク切れになったか否かを表すフラグF1と、インクニアエンドセンサ28の検出結果に基づきインクカートリッジのインク残量が所定の量以下になったか否かを表すフラグF2と、カートリッジセンサ27の検出結果に基づきインクカートリッジが装着されているか否かを表すフラグF3の書き込み領域が形成されている。
【0035】
プリンタコントロール部3は、電源オン時に、CPU31の制御の下に、予めROM33内に格納されているインクカートリッジが電源オフの間に交換されたか否かの判別制御プログラムを実行して、EEPROM71の記憶内容と、電源オン時における各センサ27、28の検出結果に基づき、インクカートリッジが電源オフ状態において交換されたか否か、交換されたインクカートリッジが新品であるか否か等の判別を行い、その結果に基づき、表示器36を介して所定の表示を行う。また、新品のインクカートリッジに交換された場合には、回復処理装置24を駆動して、クリーニングタイマ34によって規定される時間の間、インクジェットヘッド22のノズルからインク吸引を行うヘッドクリーニング処理を実行する。
【0036】
図3は、本例のインクジェットプリンタ1のプリンタコントロール部3によるインクカートリッジが交換されたことを検出する動作フローを示す概略フローチャートである。また、図4にはプリンタコントロール部3による判別動作を一覧表にしたものである。これらの図を参照して、インクジェットプリンタ1における電源オン時の処理動作を説明する。
【0037】
まず、図4に示すように、電源オン時において発生し得る記憶内容とセンサ検出結果の組み合わせの代表的な例としては、モード1〜12として示す12種類がある。これらのうち、モード1〜3は正常状態で電源がオフされた場合であり、インク残量が所定量よりも多いインクカートリッジが装着されたままで電源がオフされた場合である(フラグF1=0、F2=0、F3=1)。モード4〜6は、電源オフ時にインクカートリッジは装着されているが、そのインク残量が所定量以下となっている場合である(フラグF1=0、F2=1、F3=1)。モード7〜9は電源オフ時にインクカートリッジが装着されていない場合である(フラグF3=0)。モード10〜12はインク切れのインクカートリッジが装着された状態で電源がオフされた場合である(フラグF1=1、F2=1、F3=1)。
【0038】
これらのモード1〜12のうち、モード1、5、9は、電源オフ時の状態と、電源オン時の検出結果が同一であるので、インクカートリッジの交換が行われていないものと判断して、回復処理装置24によるヘッドクリーニング処理は行われない。
【0039】
すなわち、モード1では、フラグF1=0、F2=0、F3=1であり、電源オン時にもインクカートリッジが装着されており、インク残量も所定量以上であるので、図3のフローチャートにおけるステップST1、2、3、4、11、6の流れに沿って制御が進み、印字待機モードに移行する。
【0040】
モード5では、フラグF1=0、F2=1、F3=1であり、電源オン時にも同一の状態であるので、図3のフローチャートにおけるステップST1、2、3、9、10、6の流れに沿って制御が実行され、ニアエンド表示が行われると共に、印字待機モードに移行する。
【0041】
モード9では、フラグF3=0であり、電源オン時も同一の状態であるので、図3のフローチャートにおけるステップST1、7の流れに沿って進み、インクエンド表示を行うと共に、インクカートリッジが交換されるまで待機する交換待機モードに移行する。
【0042】
これに対して、モード4は、電源オフ時にニアエンド状態(F2=1)であったインク残量が電源オン時には十分にあることが検出される場合であり、このような場合には、電源オフ状態においてインクカートリッジの交換が行われたと判断して、回復処理装置24を駆動して、ヘッドクリーニング処理を実行する。すなわち、図3のフローチャートにおけるステップST1、2、3、11、5、6の流れに沿って進み、ヘッドクリーニング処理を実行した後に印字待機モードに移行する。
【0043】
この結果、インクカートリッジの交換時に、インク供給路に侵入した気泡等をインクジェットヘッド22のノズルから外部に排出することができ、印字不良を回避できる。
【0044】
同様にモード7では、電源オフ時にはインクカートリッジが装着されていなかった(フラグF3=0)のに、電源オン時にはインクカートリッジが装着されているのであるから、電源オフ状態の間にインクカートリッジが交換されたものと判断して、ヘッドクリーニング処理を実行する。すなわち、図3のフローチャートにおけるステップST1、2、8、5、6の流れに沿って進み、ヘッドクリーニング処理を実行した後に印字待機モードに移行する。
【0045】
モード10においても、電源オフ時にはインク切れのインクカートリッジが装着されていたのに(フラグF1=1、F3=1)、電源オン時にはインク残量が所定量よりも多いインクカートリッジが装着されているのであるから、電源オフ状態の間にインクカートリッジが交換されたものと判断して、ヘッドクリーニング処理を実行する。すなわち、図3のフローチャートにおけるステップST1、2、3、4、5、6の流れに沿って進み、ヘッドクリーニング処理を実行した後に印字待機モードに移行する。
【0046】
このように、本例の方法では、通常の使用形態において電源オフ時にインクカートリッジが交換されると想定される場合を前提とし、このような場合には、確実にインクカートリッジが交換されたことを検出できる。すなわち、通常の使用形態では、インクニアエンドの表示がなされた場合には、電源オフ後にインクカートリッジを新たなものに交換される場合があるが、インクニアエンドにもなっていないのにもかからわずインクカートリッジが交換されることは有り得ない。本例の方法は、このような、いわゆる異常なインクカートリッジの交換動作が行われることを想定しておらず、従って、このような交換動作は検出対象外としてある。
【0047】
次に、上記のモード4、7、10以外のモードでは、電源オン時の検出結果に基づき、ニアエンド表示、インクエンド表示がそれぞれ行われる。
【0048】
例えば、モード8では、電源オフ時にはインクカートリッジが装着されていないのに(フラグF3=0)、電源オン時には、インク残量が所定量よりも少ないインクカートリッジが装着されている場合である。この場合には、新品ではないインクカートリッジが装着されたことが検出され、インクエンド表示を行うと共に、インクカートリッジが交換されるのを待つ交換待機モードに移行する。すなわち、図3のフローチャートにおけるステップST1、2、8、7の流れに沿って進むことになる。このように、本例によれば、交換されたインクカートリッジが新品では無いことを検出できる場合があるので便利である。
【0049】
なお、本例では、モード5においては、ニアエンド表示をして印字可能状態(印字待機モード)に移行している。すなわち、印字動作時には、インクエンドカウンタ35によるインク吐出回数のカウントを再開して、インクエンド検出動作を行なうようにしている。しかしながら、このような場合には、新品ではないインクカートリッジが電源オフ状態の間に交換された可能性もある。従って、インクエンド表示を行い、インクカートリッジの交換を促すようにしてもよい。すなわち、図3のフローチャートにおいてステップST10からステップST6に移行する代わりに、ステップST10からステップST5に移行する制御を実行してもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジが交換されたことを検出する方法では、電源オフ時におけるインクカートリッジの装着の有無に関する情報と、インクカートリッジのインク残量が所定量以下であるか否かの情報とを記憶しておき、電源オン時に、記憶内容と、これらについての実際の検出結果とを比較することにより、電源オフ状態においてインクカートリッジが交換されたか否かを判別している。
【0051】
従って、本発明によれば、一般的に搭載されているカートリッジセンサおよびインクニアエンドセンサの検出結果を利用して電源オフ状態におけるインクカートリッジの交換の有無を検出しているので、従来の検出機構に比べて、装置の大型化、コスト高を招くことなく、正常な使用状態での電源オフ時におけるインクカートリッジの交換の有無を確実に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェットプリンタの概略ブロック図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタのインクカートリッジ装着部を示す説明図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタにおける電源オン時の処理動作を示す概略フローチャートである。
【図4】図1のインクジェットプリンタにおける電源オン時の処理動作の一覧を示す図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ
2 プリンタ機構部
25 インクカートリッジ装着部
26 インクカートリッジ
27 カートリッジセンサ
28 インクニアエンドセンサ
3 プリンタコントロール部
35 インクエンドカウンタ
36 表示器
71 EEPROM
F1 インク切れであるか否かを示すフラグ
F2 インクニアエンドであるか否かを示すフラグ
F3 インクカートリッジが装着されているか否かを示すフラグ
Claims (6)
- インクカートリッジが装着されているか否かを検出するカートリッジセンサと、前記インクカートリッジのインク残量が第1の所定の量以下となったか否かを検出するインクニアエンドセンサとを用い、
電源をオフする時における前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無の検出結果と、前記インクニアエンドセンサによるインク残量の検出結果とを記憶保持しておき、
電源のオン時に、前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無を検出するとともに、前記インクニアエンドセンサによるインクカートリッジのインク残量を検出することにより、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたか否かを検出するインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法であって、
前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されていない旨を記憶保持している場合、または前記インクニアエンドセンサによりインクカートリッジのインク残量が前記第1の所定量以下の旨を記憶保持している場合において、
前記電源のオン時に、前記カートリッジセンサにより前記インクカートリッジが装着されている旨が検出され、かつ、前記インクニアエンドセンサにより前記インクカートリッジのインク残量が前記第1の所定の量以下でない旨が検出された場合には、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたと判別することを特徴とするインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法。 - 請求項1において、さらに、前記インクカートリッジのインク残量が前記第1の所定の量よりさらに少ない第2の所定の量以下となったか否かを検出するインク切れ検出手段を用い、
電源をオフする時に、前記インク切れ検出手段によるインク切れか否かの検出結果をさらに、記憶保持しておき、
前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されている旨を記憶保持しており、かつ、前記インク切れ検出手段によりインクカートリッジのインク残量が前記第2の所定量以下の旨を記憶保持している場合において、
前記電源のオン時に、前記カートリッジセンサにより前記インクカートリッジが装着されている旨が検出され、かつ、前記インクニアエンドセンサにより前記インクカートリッジのインク残量が前記第1の所定の量以下でない旨が検出された場合には、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたと判別することを特徴とするインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法。 - 請求項1または2において、インクカートリッジが交換されたと判別された場合には、インクノズルからインクを吸引するヘッドクリーニング動作を行うことを特徴とするインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法。
- インクカートリッジが装着されているか否かを検出するカートリッジセンサと、前記インクカートリッジのインク残量が第1の所定の量以下となったか否かを検出するインクニアエンドセンサとを用い、
電源をオフする時における前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無の検出結果と、前記インクニアエンドセンサによるインク残量の検出結果とを記憶保持しておき、
電源のオン時に、前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無を検出するとともに、前記インクニアエンドセンサによるインクカートリッジのインク残量を検出することにより、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたか否かを判別するインクジ ェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法であって、
前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されていない旨が記憶保持されている場合において、
前記電源のオン時に、前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されている旨が検出され、かつ、前記インクニアエンドセンサによりインクカートリッジのインク残量が第1の所定の量以下であることが検出された場合には、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが新品では無いインクカートリッジに交換されたと判別し、インクエンド表示させるとともに、カートリッジ交換待機とすること
を特徴とするインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法。 - インクカートリッジが装着されているか否かを検出するカートリッジセンサと、前記インクカートリッジのインク残量が第1の所定の量以下となったか否かを検出するインクニアエンドセンサと、前記インクカートリッジのインク残量が前記第1の所定の量よりさらに少ない第2の所定の量以下となったか否かを検出するインク切れ検出手段と、を用い、
電源をオフする時における前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無の検出結果と、前記インクニアエンドセンサによるインク残量の検出結果と、インク切れ検出手段によるインク切れか否かの検出結果とを記憶保持しておき、
電源のオン時に、前記カートリッジセンサによるインクカートリッジの装着の有無を検出するとともに、前記インクニアエンドセンサによるインクカートリッジのインク残量を検出することにより、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが交換されたか否かを判別するインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法であって、
前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されている旨を記憶保持しており、かつ、インク切れ検出手段によりインクカートリッジのインク残量が前記第2の所定量以下の旨を記憶保持している場合において、
前記電源のオン時に、前記カートリッジセンサによりインクカートリッジが装着されている旨が検出され、かつ、前記インクニアエンドセンサによりインクカートリッジのインク残量が第1の所定の量以下であることが検出された場合には、
前記電源がオフ状態の間にインクカートリッジが新品では無いインクカートリッジに交換されたと判別し、インクエンド表示させるとともに、カートリッジ交換待機とすることを特徴とするインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジ交換検出方法。 - 請求項1ないし5のうちの何れかの項に記載の方法によりインクジェットプリンタにおけるインクカートリッジが交換されたことを検出することを特徴とするインクジェットプリンタ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP36749698A JP3829900B2 (ja) | 1998-12-24 | 1998-12-24 | インクジェットプリンタ及びインクカートリッジ交換検出方法 |
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JP36749698A JP3829900B2 (ja) | 1998-12-24 | 1998-12-24 | インクジェットプリンタ及びインクカートリッジ交換検出方法 |
Publications (2)
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