JP3829897B2 - プリンタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドットインパクト方式の印字ヘッドを有するプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ドットインパクト方式の小型プリンタとして、記録紙に対して印字を行うための印字ヘッドがプリンタ本体に設けられたガイド軸に沿って溝カム等の駆動によって周期的に往復移動するように構成されたいわゆるシャトルプリンタが提案されている。
このような印字ヘッドとしては、例えば図5に示すような印字ヘッド100が知られており、この印字ヘッド100は、電磁ソレノイド152を有する駆動部150と、断面が略L字状に一体的に形成された樹脂製のキャリッジ部160とから構成されている。
【0003】
この駆動部150は、その背面側の部分に図示しないプリンタの溝カムと係合する係合ピン151が設けられる一方、正面側の部分からは電磁ソレノイド152の駆動によって押し出しロッド152aが押し出されるように構成されている。
【0004】
ここで、キャリッジ部160は、駆動部150の上方の部分に、プリンタに平行に配設された主ガイド軸102及び従ガイド軸103を貫通させるためのガイド孔161、162が形成されている。また、キャリッジ部160の正面側の部分には、記録紙の幅方向に一定の間隔をもって複数の印字レバー163が配設されている。
【0005】
この場合、この印字ヘッド100のキャリッジ部160は、ヨーク153の正面側部153bに複数ねじ180を用いて固定されている。
【0006】
このキャリッジ部160の各印字レバー163は、キャリッジ部160の長手方向に延びる支軸164に揺動自在に支持されており、駆動部150の押し出しロッド152aの押し出し動作により、ねじりコイルばね165の弾性力に抗して矢印A方向に押し出されるように構成されている。
【0007】
図6は、他の従来例に係る印字ヘッドを示すものである。
【0008】
図6に示すように、この印字ヘッド200は基本的な構成は図5に示す印字ヘッド100と同様であるが、この従来例の場合は、キャリッジ部260が、駆動部150のヨーク153の上面側部153aにおいて複数ねじ280を用いて固定されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の印字ヘッドにおいては、次のような問題があった。
【0010】
すなわち、ヨーク153の正面側部153bにキャリッジ部160が固定された印字ヘッド100の場合は、電磁ソレノイド152の印字駆動力を効率よく印字レバー163に伝達することができるが、ヨーク153の曲げ加工の際の精度を確保することが困難であることから、駆動部150の背面部に固定された係合ピン151を正確に位置決めすることができず、その結果、この係合ピン151とプリンタの溝カムとの噛み合い不良によるロック等が起こりやすいという問題があった。
【0011】
他方、ヨーク153の上面側部153aにキャリッジ部260が固定された印字ヘッド200の場合は、係合ピン151の位置決めは正確になるが、上述したヨーク153の曲げ精度の悪さや、一体的に形成された樹脂製のキャリッジ部260の剛性不足によって印字レバー163と押し出しロッド152aとが離れやすく(図6に示すギャップg)、その結果、印字レバー163のストロークにばらつきが生じて印字レバー163に対する力が弱くなったり、印字の際に濃淡が生じやすいという問題があった。
【0012】
本発明は、このような従来の技術の課題を解決するためになされたもので、印字ヘッドにおいてプリンタの駆動伝達部と係合する部分の正確な位置決めが可能になるとともに、印字レバーに対して均一かつ効率良く印字駆動力を伝達しうるプリンタを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の発明は、電磁ソレノイドによって駆動される押し出しロッドを有し、当該プリンタの駆動伝達部と係合部において係合することによって所定の方向に移動可能に構成された駆動部と、前記押し出しロッドによって押し出される印字レバーを有するとともに当該プリンタの第1のガイド部材に沿って移動可能に構成され、前記駆動部の取付部材に固定された第1のキャリッジ部と、前記第1のキャリッジ部と別体で設けられるとともに前記第1のガイド部材と略平行な第2のガイド部材に沿って移動可能に構成され、前記駆動部の取付部材に固定された第2のキャリッジ部とを有する印字ヘッドを備えたプリンタにおいて、前記第2のキャリッジ部の軸方向の長さは、前記第1のキャリッジ部の軸方向の長さよりも短く形成し、前記駆動部の取付部材は、少なくとも、当該プリンタの正面側に面した正面側部と当該プリンタの上面側に面した上面側部とからなり、前記第1のキャリッジ部は、前記駆動部の取付部材の前記正面側部に第1の固定部材で固定し、前記第2のキャリッジ部は、前記駆動部の取付部材の前記上面側部に第2の固定部材で固定するに際して、前記第2のガイド部材の貫通する長孔形状のガイド孔によって調整可能に固定されることを特徴とする。
【0014】
請求項1記載の発明の場合、第1のキャリッジ部と第2のキャリッジ部とを別体で構成してそれぞれを駆動部の取付部材の正面側部と上面側部に固定するようにしたことから、取付部材の加工精度が多少悪い場合であっても、駆動部に対する第1のキャリッジ部の位置がずれてしまうことがなく、電磁ソレノイドによって駆動される押し出しロッドと印字レバーとの適正な位置関係を安定して維持することができるため、押し出しロッドから印字レバーに対して均一かつ効率の良い印字駆動力を伝達することが可能になる。
【0015】
その一方、第2のガイド部材に沿って案内される第2のキャリッジ部と印字ヘッドの駆動部とが第2のガイド部材の貫通する長孔形状のガイド孔によって調整可能に固定されていることから、第2のガイド部材に対して駆動部の係合部を正確に位置決めすることができ、これにより駆動部の係合部とプリンタの駆動伝達手段との噛み合い不良によるロックを防止することが可能になる。なお、第2のキャリッジ部の軸方向の長さを第1のキャリッジ部の軸方向の長さよりも短く形成したことについては、請求項2記載の発明と密接に関係するので、そちらで具体的に説明する。
【0016】
【0017】
【0018】
この場合、請求項2記載の発明のように、請求項1記載の発明において、前記第1のキャリッジ部は、前記第1のガイド部材と摺動する摺動部を少なくとも2つ有し、前記第2のキャリッジ部は、前記第2のガイド部材と摺動する摺動部を1つ有するように構成されていることも効果的である。なお、前記第2のガイド部材の貫通する前記長孔形状のガイド孔は、前記第2のガイド部材をガイドするための孔であるから、当然に、前記第2のガイド部材と摺動する摺動部に形成されることになる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、第2のキャリッジ部において第2のガイド部材と摺動する部分が一つであることから、第2のキャリッジ部の大きさを小さくしてその軽量化を図ることができる。また、駆動部において第2キャリッジ部の占める部分以外の部分を露出させることが可能になるため、電磁ソレノイドからの熱をこの部分において放出させて温度上昇を防止することが可能になる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るプリンタの好ましい実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態のプリンタの内部構成を示す分解斜視図である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態のプリンタ1の本体フレーム2の背面側には、プリンタ1の駆動源である直流モータ3が設けられ、この直流モータ3の回転軸には、溝カム(駆動伝達手段)4、円筒カム5、ウォーム6等が固定されている。
【0023】
本体フレーム2の直流モータ3の正面側近傍には、後述する印字ヘッド20を記録紙の幅方向(矢印A又はB)方向に案内するための主ガイド軸(第1のガイド部材)10と、従ガイド軸(第2のガイド部材)11とが平行に配設されている。
【0024】
本体フレーム2の正面側には、印字ヘッド20の印字面20aと対向させて記録紙を送るための紙送り機構60が取り付けられる。この紙送り機構60は、その正面側の部分に記録紙を矢印C方向に挿入するための挿入口60aが形成されている。そして、紙送り機構60の一方の端部に回転可能に設けられたかさ歯車61の係合部61aが、円筒カム5の回転に伴って周期的に揺動するカムフォロアー7の係合ピン7aと係合することによって、記録紙を図示の矢印D方向に向けて間欠的に送るように構成されている。
【0025】
この紙送り機構60の上面側の部分には、図示しないインクリボンカセットが取り付けられるようになっている。このインクリボンカセットは、ウォーム6から歯車8を介して駆動力が伝達される歯車9とともに回転する係合ピン9aと噛み合い、これによりインクリボンカセット内の無端状のインクリボンが所定方向に送られるように構成されている。
【0026】
図2は、本実施の形態の印字ヘッドの内部構成を示す側面図であり、図3は、同印字ヘッドの外観構成を示す平面図であり、図4は、同印字ヘッドの外観構成を示す正面図である。
【0027】
図2〜図4に示すように、本実施の形態の印字ヘッド20は、それぞれ別体の樹脂からなる正面側キャリッジ部41(第1のキャリッジ部)及び背面側キャリッジ部51(第2のキャリッジ部)と、電磁ソレノイド23を有する駆動部21とから構成される。ここで、正面側キャリッジ部41は、駆動部21の正面側(図2の左側)に配設され、背面側キャリッジ部51は、駆動部21の上面側(図2の上側)に配設されている。
【0028】
図2又は図4に示すように、正面側キャリッジ部41は駆動部21と略同じ長さを有し、その長手方向を貫通するように支軸43が設けられている。この支軸43には、一定の間隔をおいて所定数の印字レバー45が揺動自在に取り付けられ、各印字レバー45は、ねじりコイルばね44によって駆動部21側に付勢されるように構成される。
【0029】
また、図2に示すように、正面側キャリッジ部41には、その印字面20aの上方近傍にプリンタ1の主ガイド軸10が貫通するガイド孔42が設けられている。本実施の形態の場合は、図3に示すように、正面側キャリッジ部41の上面に潤滑油を供給するための給油口41bが形成され、これにより正面側キャリッジ部41は、その長手方向の両端部に形成された2つの摺動部41aにおいて主ガイド軸10と摺動するようになっている。
【0030】
図2又は図4に示すように、駆動部21には、各印字レバー45を駆動するため印字レバー45と同数の電磁ソレノイド23が設けられている。本実施の形態においては、略断面コ字状のヨーク(取付部材)22の内側に磁性体からなる固定鉄芯24が固定され、この固定鉄芯24には、コイル25が巻かれたコイルボビン26が嵌め合わされている。ここで、コイルボビン26は、印字ヘッド20の背面側のコイル押え板28に設けたばね部材27によって固定鉄芯24に付勢されている。
【0031】
そして、コイルボビン26の内側には、固定鉄芯24の近接する位置に磁性体からなる可動鉄芯29がコイル押え板28を貫通する状態で摺動自在に支持されている。この可動鉄芯29には、上述した支軸43と直交する方向に延び固定鉄芯24を貫通する押し出しロッド30が固定され、これにより押し出しロッド30は、可動鉄芯29とともに矢印E又はF方向に移動できるように構成されている。
【0032】
ここで、図2に示すように、各電磁ソレノイド23の押し出しロッド30は、その先端部30aが印字レバー45に当接するように構成され、コイル25に通電をして磁気回路を生成させた場合に、ねじりコイルばね44の付勢力に抗して印字レバー45を矢印G方向に押圧してその先端部45aが正面側キャリッジ部41の印字面20aから突出するようになっている。
【0033】
また、図2又は図3に示すように、駆動部21には、コイル押え板28に円筒形状の係合ピン31が設けられている。図2に示すように、この係合ピン31は、主ガイド軸10及び従ガイド軸11と直交する方向に延び、かつ、主ガイド軸10及び従ガイド軸11の中心を結ぶ直線L1と係合ピン31の中心を通過する直線L2とが平行になるように構成されている。そして、この係合ピン31は、図1に示す溝カム4に形成した溝部4aと係合するように設けられている。
【0034】
ここで、図2又は図4に示すように、正面側キャリッジ部41は、駆動部21のヨーク22の正面側部22bに、所定数のねじ48を用いて固定されている。本実施の形態の場合、各ねじ48は、印字レバー45の間であって、押し出しロッド30に近接する位置に固定されている。
【0035】
図2に示すように、背面側キャリッジ部51には、長孔形状のガイド孔52が設けられ、このガイド孔52をプリンタ1の従ガイド軸11が貫通するように構成される。この場合、背面側キャリッジ部51においては、1つの摺動部51aにおいて従ガイド軸11と摺動するようになっている。
【0036】
図3に示すように、本実施の形態においては、背面側キャリッジ部51は駆動部21よりかなり短く形成されている。そして、背面側キャリッジ部51は、係合ピン31の近傍において、ねじ58によって駆動部21のヨーク22の上面側部22aに固定されている。このような構成により、本実施の形態においては、ヨーク上側面部22aの表面が露出するようになっている。
【0037】
以上述べたように本実施の形態によれば、正面側キャリッジ部41と背面側キャリッジ部51とを別体で構成してそれぞれを駆動部21のヨーク22に固定するようにしたことから、ヨーク22の曲げ精度が多少悪い場合であっても、駆動部21に対する正面側キャリッジ部41の位置がずれてしまうことがなく、電磁ソレノイド23によって駆動される押し出しロッド30と印字レバー45との適正な位置関係を安定して維持することができる。その結果、本実施の形態によれば、押し出しロッド30から印字レバー45に対して均一かつ効率の良い印字駆動力を伝達することができ、濃淡のない印字を行うことができる。
【0038】
その一方、本実施の形態の場合は、従ガイド軸52に沿って案内される背面側キャリッジ部51と、駆動部21とがねじ58によって固定されていることから、従ガイド軸52に対して駆動部21の係合ピン31を正確に位置決めすることができ、これにより駆動部21の係合ピン31と溝カム4との噛み合い不良によるロックを防止することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、背面側キャリッジ部51の従ガイド軸52との摺動部51aが駆動部21の係合ピン31と近接しているため、ヨーク22の曲げ精度のばらつきによる係合ピン31の位置ずれを最小限に抑えることができ、より確実に主ガイド軸10及び従ガイド軸11と駆動部21の係合ピン31との適正な位置関係を維持することが可能になる。
【0040】
さらに、本実施の形態の場合は、背面側キャリッジ部51を小さくしてその軽量化を図ることができ、また、駆動部21においてヨーク22の上面側部22aの表面を露出させることができるため、電磁ソレノイド23からの熱を放出させて温度上昇を防止することが可能になる。なお、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、第1及び第2のキャリッジ部、プリンタの駆動伝達部との係合部の形状や位置関係等は、本発明の範囲を逸脱しない限り、種々の変更を行うことができるものである。
【0041】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、部品の加工精度によらず印字ヘッドにおいてプリンタの駆動伝達部と係合する部分の正確な位置決めが可能になるとともに印字レバーに対して均一かつ効率良く印字駆動力を伝達することができ、これにより印字品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るプリンタの実施の形態の内部構成を示す分解斜視図である。
【図2】 同実施の形態の印字ヘッドの内部構成を示す側面図である。
【図3】 同印字ヘッドの外観構成を示す平面図である。
【図4】 同印字ヘッドの外観構成を示す正面図である。
【図5】 従来例の印字ヘッドの内部構成を示す側面図である。
【図6】 他の従来例の印字ヘッドの内部構成を示す側面図である。
【符号の説明】
4 溝カム(駆動伝達手段)
10 主ガイド軸(第1のガイド部材)
11 従ガイド軸(第2のガイド部材)
20 印字ヘッド
21 駆動部
22 ヨーク(取付部材)
23 電磁ソレノイド
30 押し出しロッド
31 係合ピン(係合部)
41 正面側キャリッジ部(第1のキャリッジ部)
41a 摺動部
45 印字レバー
51 背面側キャリッジ部(第2のキャリッジ部)
51a 摺動部
Claims (2)
- 電磁ソレノイドによって駆動される押し出しロッドを有し、当該プリンタの駆動伝達部と係合部において係合することによって所定の方向に移動可能に構成された駆動部と、
前記押し出しロッドによって押し出される印字レバーを有するとともに当該プリンタの第1のガイド部材に沿って移動可能に構成され、前記駆動部の取付部材に固定された第1のキャリッジ部と、
前記第1のキャリッジ部と別体で設けられるとともに前記第1のガイド部材と略平行な第2のガイド部材に沿って移動可能に構成され、前記駆動部の取付部材に固定された第2のキャリッジ部とを有する印字ヘッドを備えたプリンタにおいて、
前記第2のキャリッジ部の軸方向の長さは、前記第1のキャリッジ部の軸方向の長さよりも短く形成し、
前記駆動部の取付部材は、少なくとも、当該プリンタの正面側に面した正面側部と当該プリンタの上面側に面した上面側部とからなり、
前記第1のキャリッジ部は、前記駆動部の取付部材の前記正面側部に第1の固定部材で固定し、
前記第2のキャリッジ部は、前記駆動部の取付部材の前記上面側部に第2の固定部材で固定するに際して、前記第2のガイド部材の貫通する長孔形状のガイド孔によって調整可能に固定されることを特徴とするプリンタ。 - 前記第1のキャリッジ部は、前記第1のガイド部材と摺動する摺動部を少なくとも2つ有し、前記第2のキャリッジ部は、前記第2のガイド部材と摺動する摺動部を1つ有するように構成され、前記長孔形状のガイド孔は、前記第2のガイド部材と摺動する前記摺動部に形成されていることを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
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Family Applications (1)
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