JP2011104674A - 用紙切断装置およびそれを用いた印刷装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な切断特性を有する用紙切断装置を提供する。
【解決手段】固定刃27と、前記固定刃27に対して進退することによって、前記固定刃27との間に位置する用紙を切断する可動刃21と、を備える用紙切断装置20であって、前記固定刃27は、直線状の刃部27aが形成されるとともに可撓性を有し、前記直線状の刃部27の中央部が弾性部材31により付勢され前記可動刃21との当接方向に湾曲しており、前記可動刃21は、平板形状を呈し、進行方向に向かってV字型の刃部21aが形成され、前記可動刃21が前記固定刃27に対して進行するとき、前記可動刃21の前記V字型の刃部21aの両端側から前記固定刃27の前記直線状の刃部21と当接していく。
【選択図】図7

Description

本発明は、情報が印刷された用紙を切断する用紙切断装置およびそれを備えた印刷装置に関する。
レシートやチケット等の単票発行用の印刷装置において、情報が印刷されたロール状の用紙を所定の長さに切断する用紙切断装置が用いられる。このような用紙切断装置としては、往復移動可能な可動刃を用意して、可動刃の摺動する面に設けられた開口部に用紙を通過させ切断する構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の用紙切断装置では、用紙をセットする場合に、用紙を矩形に開口された開口部に挿入する必要があった。
近年、ロール紙や用紙のセット性等の使い勝手を向上させることを目的に、いわゆるロール紙の投げ込みタイプの印刷装置が提案されている。このような印刷装置は、印刷部を印刷ヘッドとプラテンとに分離して、一方を印刷装置の本体側に、他方を印刷装置のケース蓋側に設け、ケース蓋を開けた状態で用紙をセットする。そして、ケース蓋を閉めることによって用紙を印刷ヘッドとプラテンとの間に配置することによって印刷可能な状態にする(例えば、特許文献2参照)。
特開平9−19887号公報 特開2004−98699号広報
上述の印刷装置に対して、用紙切断装置を適用しようとすると、用紙切断装置を分離する必要がある。この場合は往復移動可能な可動刃と、その受け刃である固定刃とに分離することが一般的である。そして、一方を印刷装置の本体側に、他方を印刷装置のケース蓋側に設けることになる。このような場合、固定刃と可動刃との位置精度を確保することが極めて困難になり、固定刃と可動刃とを安定的に当接させることができずに、用紙切断装置の切断能力を確保できないとの課題があった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
(適用例1)固定刃と、前記固定刃に対して進退することによって、前記固定刃との間に位置する用紙を切断する可動刃と、を備える用紙切断装置であって、前記固定刃は、直線状の刃部が形成されるとともに可撓性を有し、前記直線状の刃部の中央部が弾性部材により付勢され前記可動刃との当接方向に湾曲しており、前記可動刃は、平板形状を呈し、進行方向に向かってV字型の刃部が形成され、前記可動刃が前記固定刃に対して進行するとき、前記可動刃の前記V字型の刃部の両端側から前記固定刃の前記直線状の刃部と当接していくことを特徴とする用紙切断装置。
この構成によれば、平板状の可動刃は、V字型の刃部の両端側から固定刃に接触することができる。可動刃はV字型の刃部を有し固定刃は直線状の刃部であるため、可動刃の進行に従い、両側から徐々に中央方向に接触範囲を広げることができる。また、固定刃は、その中央部がバネ等の弾性部材により付勢され可動刃との当接方向に湾曲しているとともに可撓性を有するため、可動刃との接触範囲が増加するに従い、湾曲部が徐々に平坦化していく。そのため、可動刃と固定刃とは一定の圧力で確実に安定して当接することができる。その結果、用紙を確実に切断することができる。
また、この用紙切断装置は、湾曲した固定刃とV字型の刃部を有する平板状の可動刃との組み合わせで用紙を切断する。この用紙切断装置の用紙切断可能範囲は、固定刃と可動とが接触する2つの接触開始位置間の大きさである。そのため、可動刃のV字型の刃部の両端側が固定刃の設置位置に到達する位置を用紙切断可能範囲外にすることによって、固定刃と可動刃との当接方向の位置精度をラフにすることができる。
(適用例2)前記可動刃は、前記V字型の刃部の両端に案内突起を有していることを特徴とする上記の用紙切断装置。
この構成によれば、可動刃の刃部が固定刃に到達する前に可動刃の案内突起が固定刃の配置位置に到達する。そのため、固定刃に対する可動刃の誘い込みを確実に行うことができる。その結果、可動刃と固定刃の位置合わせを確実に行うことができる。
(適用例3)前記固定刃と前記可動刃とが分離可能であることを特徴とする上記の用紙切断装置。
この構成によれば、固定刃と可動刃とを分離して異なる部位に配置することができる。例えば、用紙のセット性を向上させるため印刷部が印刷ヘッドとプラテンとに分離され開閉自在な印刷装置においても、固定刃もしくは可動刃の一方を印刷ヘッドもしくはプラテンが配置し、固定刃もしくは可動刃の他方を印刷ヘッドもしくはプラテンの他方に配置することができる。その結果、切断される用紙のセット性を向上させた用紙切断装置を提供することができる。
(適用例4)用紙に情報を印刷する印刷部と、上記の用紙切断装置と、少なくとも、前記印刷部と前記用紙切断装置とを収容する筐体と、を備え、前記筐体は、少なくとも本体部と蓋部とを有し、前記本体部側には、前記用紙切断装置の固定刃もしくは可動刃のいずれか一方を備え、前記蓋部側には、前記用紙切断装置の前記固定刃もしくは前記可動刃のいずれか他方を備えることを特徴とする印刷装置。
(適用例5)前記印刷部は、少なくとも、前記用紙に情報を印刷する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに当接しながら回動し前記用紙を搬送するプラテンとを有し、前記印刷ヘッドと前記プラテンとが分離可能に設けられ、前記本体部側には、前記印刷ヘッドもしくは前記プラテンのいずれか一方を備え、前記蓋部側には、前記印刷ヘッドもしくは前記プラテンのいずれか他方を備えることを特徴とする上記の印刷装置。
これらの構成によれば、印刷装置は、印刷部を印刷ヘッドとプラテンとに、用紙切断装置を固定刃と可動刃とに分離して、筐体の本体部もしくは蓋部に配設することができる。そのため、蓋部を開けることによって印刷部と用紙切断装置とをオープン状態にすることができ、記録用紙のセット性を向上させることができる。また、印刷装置において、用紙切断装置は、可撓性を有する湾曲した固定刃とV字型の刃部を有する平板状の可動刃との組み合わせであるため、固定刃と可動刃との当接方向の位置精度をラフに設定することができるとともに、可動刃と固定刃とを一定の圧力で当接させながら摺動させることができる。そのため、用紙切断装置は、可動刃と固定刃とが分離可能な構造でありながら、記録用紙を確実に切断することができる。
サーマルプリンターの外観構成を示す斜視図。 カバーフレームが開いた状態のプリンター機構部の斜視図。 カバーフレームが閉じた状態のプリンター機構部の斜視図。 プリンター機構部の側断面を示す側断面図。 印刷部を説明する側面図。 サーマルヘッドの外観斜視図。 用紙切断装置の構成を説明する図。 可動刃と固定刃との位置関係を説明する。
以下、本実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で参照する図面では、説明および図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。
(印刷装置の全体構成について)
本実施形態の印刷装置として、サーマルプリンターを例にとり図1〜3を参照して説明する。図1は、サーマルプリンターの外観構成を示す斜視図である。図2および図3は、プリンター機構部の外観を示す斜視図であり、詳しくは、図2はカバーフレームが開いた状態のプリンター機構部の斜視図であり、図3はカバーフレームが閉じた状態のプリンター機構部の斜視図である。
このサーマルプリンターは、POSシステム等に用いられ、レシートやクーポン等を印刷して発行することに適用される。サーマルプリンターは、記録用紙としてロール状の感熱紙を使用して、この感熱紙に情報を印刷し所定の長さに切断して単票として発行する。なお、図1〜図3に示すX方向は、印刷される感熱紙の幅方向を示し、Z方向は、印刷ヘッドとしてのサーマルヘッド部での感熱紙の紙送り方向を示し、Y方向は、X方向およびZ方向と直交する方向を示す。
図1〜3に示すように、サーマルプリンター100は、筐体としての外装ケース200と、プリンター機構部300と、図示しない制御部を有している。
図2および図3に示すプリンター機構部300は、回路基板等からなる制御部とともに図1に示す外装ケース200に収容される。詳しくは、プリンター機構部300は、樹脂等からなる下ケース205に固定され、側面部および後方部は、上ケース210に覆われており、そのY方向の前方部分は、パネル215により覆われている。これら下ケース205、上ケース210およびパネル215が本体部を構成する。さらに、プリンター機構部300の上面は、蓋部としての上部カバー220に覆われている。
図2に示すように、プリンター機構部300は、印刷された感熱紙を切断するための用紙切断装置20およびロール状の感熱紙を収納保持するためのロール紙ホルダー50を備えている。図1に示すパネル215の上部にはこの用紙切断装置20が配置され、用紙切断装置20はカッターカバー225で覆われている。このカッターカバー225は、図1中矢印A方向にスライドさせて引き出すことができる。
図1に示すように、上ケース210の上面のX方向の一方の側には、オープンボタン230が設けられている。オープンボタン230は、図1中矢印B方向に押し下げられることによって、プリンター機構部300に設けられたカバーオープンレバー235を、支点240を中心に回転させることができる。カバーオープンレバー235は、図2に示すプリンター機構部300のカバーフレーム12のロック機構と係合しており、時計方向に回転されることにより、ロック機構が解除される。さらに、カバーフレーム12は、上部カバー220と結合されている。
そのため、矢印B方向にオープンボタン230を押下げると、カバーオープンレバー235が時計方向に回転されてロック機構が外され、上部カバー220が矢印C方向に開き、ロール紙ホルダー50が露出する。すなわち、この状態が、図2に示すプリンター機構部300のカバーフレーム12が開いた状態である。このようにすることにより、ロール状の感熱紙のセットもしくは取り出しが容易にできる。
なお、本実施形態で使用する感熱紙は、発色剤がバインダー等により保持されている発色層からなる印刷面を有し、この印刷面を外面に順次積層され構成されているロール状の感熱紙である。以降、このロール状の感熱紙をロール紙と呼ぶ。
(プリンター機構部について)
次いで、プリンター機構部の詳細を図2〜6を参照して説明する。図4は、プリンター機構部の側断面を示す側断面図である。図5は印刷部を説明する側面図である。図6はサーマルヘッドの外観斜視図である。なお、図4〜6に示すX方向、Y方向およびZ方向は、図1〜3に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一方向である。図2〜4に示すように、プリンター機構部300は、本体フレーム60とカバーフレーム12と、ロール紙ホルダー50と、印刷部70と、用紙切断装置20と、を備えている。
図2に示すように、本体フレーム60は、板金等からなり、Z方向上方およびY方向前方に開口を有する略箱型に形成されている。カバーフレーム12は、本体フレーム60の上部後方に設けられている。カバーフレーム12は、本体フレーム60の後部両側の上端部に設けられた支軸68を中心として開閉自在に取り付けられている。カバーフレーム12には、カバーフレーム12を閉じた際にロール紙との接触を避けるための円弧状の覆い15が設けられている。また、サーマルプリンター100の設置角度を変える場合、すなわち、例えば縦置きにする場合、この覆い15は、ロール紙を受ける保持部材としても機能する。
図2に示すように、ロール紙ホルダー50は、本体フレーム60の箱状に形成された内部の後方に、上記カバーフレーム12に覆われて設けられている。ロール紙ホルダー50は、樹脂等により形成され、中央部にロール紙の最大径に相当する略円弧状のくぼみを有し、本体フレーム60の底部に、円弧状のくぼみの側面開口が本体フレーム60の両側面側に向くように取り付けられている。本体フレーム60の内側の両側面部分は、ロール紙の側面ガイド部として機能する。そのため、ロール紙は、側面を本体フレーム60の内側の両側面部分に幅方向の動きを規制され、ロール紙ホルダー50の略円弧状のくぼみに回転自在に保持される。
(印刷部について)
図4に示すように、印刷部70は、ロール紙ホルダー50を始点として、後述する用紙切断装置20の紙出口Gを終点とする感熱紙Sの搬送経路D上の出口近傍に設けられている。図2〜5に示すように、印刷部70は、サーマルヘッド10とヘッド保持機構77とプラテン71とを有している。なお、サーマルヘッド10とヘッド保持機構77とは本体フレーム60側に、プラテン71はカバーフレーム12側に分離可能な状態で配設されている。
図6に示すように、サーマルヘッド10は、放熱板106とヘッド支持軸102と基板としてのヘッド基板110とドライバーIC120とFPC108とを有している。ヘッド基板110は、長矩形形状を呈しており、複数の発熱素子145からなる発熱素子列145aが長手方向に沿って図中Z方向上方に形成されている。また、発熱素子列145aと平行して、発熱素子145を駆動する複数のドライバーIC120が配設されている。放熱板106は、アルミニウム等の引き抜き材で形成され、ヘッド基板110が放熱板106の係止面106aに両面粘着テープ等で貼り付けられている。
放熱板106のヘッド基板110のZ方向上方には、案内斜面部104が放熱板106の長手方向にわたって形成されている。この案内斜面部104は、図4に示すカバーフレーム12を閉じる際に、プラテン71を滑動させて所定の位置まで案内する。この際、案内斜面部104の傾斜は、プラテン71がヘッド基板110と衝突しないような所定の角度を有している。また、案内斜面部104の斜面は、この案内斜面部104に近接して付設されたヘッド基板110と略同じ高さになるように設定されている。ヘッド支持軸102は円柱状の丸ピンであり、放熱板106の左右の側面部に設けられた穴部に圧入されている。FPC108は、一端をヘッド基板110に設けられた図示しない接続端子に接続され、サーマルプリンター100を制御する図示しない制御部と接続されている。
図5(b)に示すように、ヘッド保持機構77は、本体フレーム60に形成された溝部としての切り欠き部62とヘッド押圧板72とヘッド押圧板72に取り付けられるバネ75とから構成されている。切り欠き部62は、本体フレーム60の上方に開口を有し、プラテン側に溝62aが形成され、溝62aと対向する位置の上下に溝62b,62cが形成されている。サーマルヘッド10は、ヘッド支持軸102が本体フレーム60の切り欠き部62に挿入され、ヘッド支持軸102が切り欠き部62の溝62aに係合することによって、本体フレーム60に取り付けられる。ヘッド押圧板72は、上下に曲げ部72b,72cが形成され、圧縮コイルバネであるバネ75が固定されている。このヘッド押圧板72は、切り欠き部62に挿入され、曲げ部72b,72cがそれぞれ切り欠き部62の溝62b,62cに係合する。
このようにすることによって、サーマルヘッド10とヘッド押圧板72とは、切り欠き部62の両側に、互いに略平行状態で支持される。ヘッド押圧板72に固定されるバネ75は、サーマルヘッド10の背面に当接する。このバネ75によりサーマルヘッド10はプラテン71方向に付勢される。このヘッド保持機構77は、ヘッド押圧板72に固定されたバネ75をサーマルヘッド10の背面からずらすことによって、切り欠き部62から取り外すことができる。サーマルヘッド10もバネ75からの付勢力がなくなることによって、切り欠き部62から取り外すことができる。このようにして、サーマルヘッド10は本体フレーム60に対して、着脱可能に支持される。
図2に示すように、プラテン71は、ゴム等の弾性部材により円筒形のローラー状に形成され、プラテン軸受73を介してカバーフレーム12に回転可能に支持されている。プラテン71の一方の軸には、プラテン歯車74が圧入されている。本体フレーム60には、溝部64が設けられており、カバーフレーム12を閉じると、プラテン71が、サーマルヘッド10の案内斜面部104(図5参照)に案内された後、プラテン軸受73が溝部64と当接する。さらに、サーマルヘッド10によるプラテン71への加圧力で、カバーフレーム12には下向きの力が作用し、プラテン71の位置が定められる。
以上の構成により、図5(a)に示すように、プラテン71は、感熱紙Sの内面S2の側から感熱紙Sをサーマルヘッド10の方向に押圧し、プラテン71と対向するサーマルヘッド10は、感熱紙Sの外面S1の側から感熱紙Sをプラテン71の方向に押圧して、感熱紙Sを挟持する。なお、このとき感熱紙Sの外面S1の表面に、前述の発色層が形成されている。
また、図2に示すように、本体フレーム60の側面には、プラテン71を回転駆動させるための紙送りモーター66と紙送り伝達歯車67とが設けられている。上述のように、プラテン71が本体フレーム60の溝部64に位置決めされることによって、プラテン歯車74と紙送り伝達歯車67とが噛み合い、紙送りモーター66からの動力がプラテン71へ伝達される。
また、図4に示すように、本体フレーム60の前方すなわちカバーフレーム12の支軸68とは相対する位置であって紙出口Gの近傍に用紙切断装置20が設けられている。用紙切断装置20は、図4に示すように、可動刃21とその駆動手段と固定刃27とを備えている。可動刃21とその駆動手段とは本体フレーム60側に配置され、可動刃21は、駆動手段により図中矢印E方向に往復移動する。固定刃27は、カバーフレーム12側、すなわち、感熱紙Sが通過する搬送経路を挟んで対向する側に配置されている。そのため、カバーフレーム12を閉じた状態では、駆動手段により往復移動される可動刃21の刃部と固定刃27の刃部とが当接状態で摺動する。このことによって、感熱紙Sは紙出口G近傍で切断される。なお、用紙切断装置20の詳細については後述する。
上述の構成を有するサーマルプリンター100は、上部カバー220と連結するカバーフレーム12を開き感熱紙Sからなるロール紙Rをセットして、感熱紙Sを紙出口Gまで引き出し、上部カバー220と連結するカバーフレーム12を閉じることによって、感熱紙Sはプラテン71とサーマルヘッド10との間、および可動刃21と固定刃27との間にセットされる。そして、紙送りモーター66を起動しプラテン71を回転させて感熱紙Sを送りながら、サーマルヘッド10の直線状に配置された発熱素子45を選択的に通電して発熱させることによって、感熱紙Sに所定の情報を印刷することができる。また、用紙切断装置20を駆動して固定刃27に対して可動刃21を往復移動させることにより、情報が印刷された感熱紙Sを所定の長さに切断してレシート等の単票として発行することができる。
(用紙切断装置について)
ここで用紙切断装置について、図7および図8を参照して説明する。図7は、用紙切断装置の構成を説明する図であり、(a)は用紙切断装置の側断面図、(b)は、主要構成の斜視図である。図8は、可動刃と固定刃との位置関係を説明する図である。図7に示すX方向、Y方向およびZ方向は、図1〜3に示すX方向、Y方向およびZ方向と同一方向である。
図7(a)に示すように、用紙切断装置20は、第1カッターユニット20aと第2カッターユニット20bを有する。第1カッターユニット20aは、図4に示すサーマルプリンター100のサーマルヘッド10側に設けられ、可動刃21と可動刃駆動手段としてのカッターモーター22と、これらを収容する第1カッター収容部24とを備える。可動刃21は、図7(b)に示すように、四角形形状の金属の薄板の一辺にV字刃部21aが研削等によって形成されている。また、V字刃部21aの両端には外方向に突出した矩形の案内突起23が設けられている。なお、可動刃21の材料としては、例えば、ステンレス系の刃物鋼や焼入れをした鉄材等が好適に用いられる。
この可動刃21は、上面に山形の歯を有する樹脂製のラック25が取り付けられ、図7(a)に示す第1カッター収容部24の底面24aに図中E方向に摺動可能に配設されている。カッターモーター22は、出力軸にピニオン26が圧入されており、ピニオン26が上述の可動刃21のラック25と係合した状態で第1カッター収容部24に収容されている。第1カッターユニット20aは、図示しない制御部からのモーター駆動信号を受けてカッターモーター22の出力軸を正逆に回転させる(ピニオンラック方式)ことによって、可動刃21を第1カッター収容部24の底面24aに沿って図中E方向に往復移動させることができる。
図7(a)に示すように、第2カッターユニット20bは、図4に示すサーマルプリンター100のプラテン71側に設けられ、固定刃27と固定刃取付け機構28と、これらを収容する第2カッター収容部29とを備える。固定刃27は、図7(b)に示すように、長方形形状の金属の薄板であって長辺の1つに直線状の直線刃部27aが研削等によって形成されている。また、固定刃27の両端の短辺側には取り付け用の孔部27bが形成されている。固定刃27の材料としては、例えば、弾性を有するステンレス鋼のようなバネ材が好適に用いられる。そのため、固定刃27は板バネとしての機能を有し、荷重を加えることによって撓むことができる。なお、固定刃27の板厚は、可動刃21の板厚に対して十分薄く設定することが好ましい。
固定刃取付け機構28は、固定ピン30と弾性部材としての板バネ31とを有する。固定ピン30は、円板状の頭部30aと円柱状の軸部とを有し、頭部30aの直径は固定刃27の孔部27bの直径より大きく、軸部の長さは固定刃27の板厚より十分長く形成されている。固定刃27は、固定ピン30が、固定刃27の両端の孔部27bに嵌入され第2カッター収容部29の底面29aにかしめられることによって第2カッター収容部29に固定される。上述の構造を有するため、固定刃27は、上方向の位置が頭部30aに規制されつつも、板厚方向に自由度を持つことができる。なお、固定刃27の直線刃部27aは、取り付けられたとき上述の可動刃21方向に対向している。
板バネ31は、バネ性を有するとともに略台形形状に形成され、底辺31b側が第2カッター収容部29の底面29aに固定され、上辺31a側が自由度を有する構造になっている。板バネ31の上辺31aは、固定刃27の長手方向の略中央で固定刃27の下面に圧接している。すなわち、固定刃27は、長方形の2つの短辺側で位置規制され、長手方向の略中央で上方向にバネ力を受けている。そのため、固定刃27は、長手方向の中央部が上方向に向かう円弧状に撓んだ状態を呈している。
次いで、可動刃21と固定刃27との関係を説明する。図4に示すように、可動刃21を有する第1カッターユニット20aはサーマルプリンター100のサーマルヘッド10側に設けられ、固定刃27を有する第2カッターユニット20bはプラテン71側に設けられている。そのため、図2に示すカバーフレーム12が開いた状態では、第1カッターユニット20aと第2カッターユニット20b、すなわち可動刃21と固定刃27とは分離した状態にある。図3および図4に示すカバーフレーム12が閉じた状態になって初めて可動刃21と固定刃27とが対向する。
このときの可動刃21と固定刃27との位置関係を図8を参照して説明する。図8(a)は、待機状態を示し、可動刃21が進行するに従って、(b)、(c)、(d)の位置関係になる。図8(a)に示すように、待機状態では、可動刃21と固定刃27とは十分間隔を有している。このとき、可動刃21は、第1カッター収容部24の内部に収納されており、V字刃部21aは露出していない。また、図中Z方向では、可動刃21のV字刃部21aの両端に設けられた案内突起23は、円弧状に撓んだ固定刃27の両端部に対してZ(+)方向に間隔を空けて配置されている。なお、この可動刃21と固定刃27との間の空間を、感熱紙Sが紙送りされる。可動刃21のV字刃部21aおよび固定刃27の直線刃部27aは、感熱紙Sの面に対して直交する方向に配置されている。
次いで、制御部からのモーター駆動信号を受けてカッターモーター22の出力軸を正方向に回転させ、可動刃21を図中E方向に進行させる。このとき、図8(b)に示すように、まず可動刃21の案内突起23が、固定刃27の領域に到達する。この段階では、可動刃21と固定刃27とは接触していない。図8(c)に示すように、可動刃21がさらに進行すると、可動刃21のV字刃部21aと固定刃27の直線刃部27aとが左右2点で接触する。可動刃21がさらに進行すると、可動刃21のV字刃部21aと固定刃27の直線刃部27aとの接触点が除々に中央方向に移動する。そのため、可動刃21と固定刃27との間に位置する感熱紙Sは幅方向の両端部から除々に切断される。
固定刃27は、その中央部が板バネ31により付勢されZ(+)方向、すなわち可動刃21の当接方向に湾曲している。さらに、固定刃27は可撓性を有し、可動刃21は十分な剛性を有しているため、可動刃21の進行に伴い、湾曲部が徐々に平坦化していく。すなわち、可動刃21と固定刃27とは点接触を保ち続けることができる。図8(d)に示すように可動刃21のV字刃部21aの谷底部が、固定刃27の直線刃部27aを通過することによって、感熱紙Sは完全に切断される。その後、制御部からのモーター駆動信号を受けてカッターモーター22の出力軸を逆方向に回転させ、可動刃21を図中E方向に退行させる。なお、可動刃21のV字刃部21aの位置検出については、センサーを用いて検出してもよいし、カッターモーター22の回転数をカウントして検出してもよい。
また、可動刃21のV字刃部21aの位置を検出して、V字刃部21aの谷底部が、固定刃27の直線刃部27aを通過する前で可動刃21の進行を止め可動刃21を退行させてもよい。このことによって、感熱紙Sを幅方向中央部に切り残しを設けること、すなわち、いわゆるパーシャルカットをすることができる。発行される感熱紙Sをパーシャルカットすることによって、発行される単票が図4に示す紙出口Gに落ち込むことを防止し、単票の連続発行をすることができる。
以下、実施形態の効果を記載する。
(1)上述の用紙切断装置20は、直線刃部27aを有するとともに可撓性を有し、中央部が板バネ31により付勢され可動刃21との当接方向に湾曲している固定刃27に対して、V字刃部21aを有する平板状の可動刃21を進行させ用紙を切断することができる。すなわち、可動刃21の進行に伴い、V字刃部21aの両端方向において、可動刃21のV字刃部21aと固定刃27の直線刃部27aとが2点で接触し、これら接触点が除々に中央方向に移動する。また、固定刃27は、可撓性を有するため可動刃21との接触位置が中央側に移動するに従い、湾曲部が徐々に平坦化していく。そのため、可動刃21と固定刃27とは一定の圧力で確実に接触することができる。その結果、可動刃21と固定刃27との間に位置する感熱紙Sを確実に切断することができる。
(2)上述の用紙切断装置20において、可動刃21は、湾曲した固定刃27の両端方向から固定刃27の領域に到達する。すなわち、固定刃27の両端部がいわゆる誘い込み部分としての機能を有する。そして、可動刃21の進行に伴い、可動刃21と固定刃27は除々に接触し始める。この用紙切断装置20の用紙切断可能範囲は、可動刃21と固定刃27とが接触する2つの接触開始位置間の大きさである。そのため、可動刃21のV字刃部21aの両端側が固定刃27の領域に到達する位置を用紙切断可能範囲外にすることによって、可動刃21と固定刃27との当接方向の位置精度をラフにすることができる。その結果、可動刃21と固定刃27とが分離構造であったとしても、刃当りによるロック等の不具合を低減させることができ、信頼性の高い用紙切断装置を提供することができる。
(3)上述の用紙切断装置20において、可動刃21は、V字刃部21aの両端方向に案内突起23を有している。そのため、固定刃27に対する可動刃21の誘い込みを確実に行うことができる。その結果、可動刃21と固定刃27の位置合わせを確実に行うことができる。
(4)上述の用紙切断装置20は、可動刃21と固定刃27とを分離して異なる部位に配置することができる。そのため、切断される用紙のセット性を向上させた用紙切断装置を提供することができる。
(4)上述のサーマルプリンター100は、印刷部70をサーマルヘッド10とプラテン71とに、用紙切断装置20を可動刃21と固定刃27とに分離して、外装ケース200の本体部もしくは蓋部に配設することができる。そのため、蓋部を開けることによって印刷部70と用紙切断装置20とをオープン状態にすることができ、感熱紙Sのセット性を向上させることができる。また、用紙切断装置20は、可撓性を有する湾曲した固定刃27とV字刃部21aを有する平板状の可動刃21との組み合わせであるため、可動刃21と固定刃27との当接方向の位置精度をラフに設定することができるとともに、可動刃21と固定刃27とを一定の圧力で当接させながら摺動させることができる。そのため、可動刃21と固定刃27とが分離可能な構造でありながら、感熱紙Sの切断性能の高いサーマルプリンター100を提供することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に対しては、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で様々な変形を加えることができる。例えば上記実施形態以外の変形例は、以下の通りである。
(変形例1)上記実施形態では、可動刃21のV字刃部21aの両端に案内突起23が設けられている場合について説明したが、案内突起23は、V字刃部21aが設けられている辺の両側の加工残り部分を代用してもよい。また、案内突起23は平板状ではなく、固定刃27の当接方向とは逆方向に曲げられていてもよい。また、固定刃27の中央部を付勢する弾性部材が板バネの場合について説明したがこれに限定されない。弾性部材は、コイルバネであってもよいしねじりコイルバネであってもよい。弾性部材の種類は特に限定しない。また、印刷装置がサーマルプリンター100の場合を例にとり説明したが、これに限定されない。印刷装置は、インクジェット方式のプリンターであってもよいし、電子写真方式のプリンターであってもよい。
10…サーマルヘッド、20…用紙切断装置、20a…第1カッターユニット、20b…第2カッターユニット、21…可動刃、21a…V字刃部、23…案内突起、24…第1カッター収容部、27…固定刃、27a…直線刃部、30…固定ピン、31…弾性部材としての板バネ、60…本体フレーム、70…印刷部、71…プラテン、100…サーマルプリンター,200…筐体としての外装ケース、205…下ケース、210…上ケース、220…上部カバー、300…プリンター機構部。

Claims (5)

  1. 固定刃と、前記固定刃に対して進退することによって、前記固定刃との間に位置する用紙を切断する可動刃と、を備える用紙切断装置であって、
    前記固定刃は、直線状の刃部が形成されるとともに可撓性を有し、前記直線状の刃部の中央部が弾性部材により付勢され前記可動刃との当接方向に湾曲しており、
    前記可動刃は、平板形状を呈し、進行方向に向かってV字型の刃部が形成され、
    前記可動刃が前記固定刃に対して進行するとき、前記可動刃の前記V字型の刃部の両端側から前記固定刃の前記直線状の刃部と当接していくことを特徴とする用紙切断装置。
  2. 前記可動刃は、前記V字型の刃部の両端に案内突起を有していることを特徴とする請求項1に記載の用紙切断装置。
  3. 前記固定刃と前記可動刃とが分離可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の用紙切断装置。
  4. 用紙に情報を印刷する印刷部と、
    請求項3に記載の用紙切断装置と、
    少なくとも、前記印刷部と前記用紙切断装置とを収容する筐体と、を備え、
    前記筐体は、少なくとも本体部と蓋部とを有し、前記本体部側には、前記用紙切断装置の固定刃もしくは可動刃のいずれか一方を備え、前記蓋部側には、前記用紙切断装置の前記固定刃もしくは前記可動刃のいずれか他方を備えることを特徴とする印刷装置。
  5. 前記印刷部は、少なくとも、前記用紙に情報を印刷する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドに当接しながら回動し前記用紙を搬送するプラテンと、を有し、
    前記印刷ヘッドと前記プラテンとが分離可能に設けられ、前記本体部側には、前記印刷ヘッドもしくは前記プラテンのいずれか一方を備え、前記蓋部側には、前記印刷ヘッドもしくは前記プラテンのいずれか他方を備えることを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
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