JP3829378B2 - 楕円振動パーツフィーダ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば振動により部品を供給する楕円振動パーツフィーダに関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】
図6において、楕円振動パーツフィーダは全体として1で示され、公知のボウル2を備えている。ボウル2の内周面にはスパイラル状のトラックが形成され、この下流側の適所に部品整列手段が設けられている。トラックの排出端には姿勢保持手段が設けられ、ここを通って所望の姿勢の部品(例えば長辺を移送方向に向けた部品m)が図示しない直線式振動フィーダに供給される。
【0003】
ボウル2は図7に明示される十字状の上側可動フレーム7に固定されており、この上側の可動フレーム7に図8に明示されるやはり十字状の下側可動フレーム8に直立した4組の重ね板ばね9により結合されている。すなわち、上側可動フレーム7の4つの端部7aに重ね板ばね9の上端部がボルトにより固定され、下側可動フレーム8の4つの端部8aに重ね板ばね9の下端がボルトにより固定されている。端部7a、8aは上下方向に整列している。
【0004】
固定フレーム10の中央には、上側可動フレーム7の中央部に対向して垂直駆動電磁石11が固定され、この垂直駆動電磁石11に対向して上側可動フレーム7の下面には垂直可動コア13が固定されている。また固定フレーム10の相対向する側壁部には垂直駆動電磁石11を挟んで対称的に一対の水平駆動電磁石14a、14bが固定され、これら電磁石14a、14bにはそれぞれコイル15a、15bが巻装されている。上側可動フレーム7の下面には水平駆動電磁石14a、14bに対向して水平可動コア16a、16bが固定されている。
【0005】
固定フレーム10にはこれと一体的に4個の脚部17が形成され、これら脚部17が防振ゴム18を介して基台上に支持されている。脚部17には横方向に延在するばね取付部17aが一体的に形成され、これらばね取付部17aに図8に示されるように垂直駆動用の重ね板ばね19が両端部で4組、ボルトにより固定されている。重ね板ばね19は図2に示されるようにスペーサ20を介して重ねられ、これらの中央部分が下側可動フレーム8にボルトにより固定されている。
【0006】
以上の構成において、水平駆動電磁石14a、14bは、水平方向の加振力を発生させる第1の振動駆動子であり、またこれによって駆動される第1の振動系はボウル2、板ばね9、可動コア16a、16bなどからなり、また電磁石11は垂直方向の加振力を発生させる第2の振動駆動子であり、ボウル2、板ばね19、可動コア13などにより第2の振動系が構成される。
【0007】
一般に、水平方向の第1振動系の共振周波数と同じかほぼ等しい周波数の駆動電流がそれぞれ電磁石14a、14b、11に供給されるのであるが、これによりボウル2は、水平方向には共振状態またはこれに近い状態の周波数f0 で振動し、また垂直方向には通常、数パーセント共振周波数をより高くしており、よって図5で示すように水平方向には振動工学上明らかに、力と変位との位相差が90度遅れで振動し、また垂直方向にはこれとは異なる位相差で振動し、これら位相差により楕円振動を行なうのであるが、この位相差は理論的に60度で最適条件、すなわちボウル2内のトラック上の部品mを最大の搬送速度で搬送できることが判明しているので、従って水平方向の加振力と垂直方向の加振力との位相差が90度と設定されている。すなわち、図9から明らかなように垂直方向の共振周波数はf1 であることにより、150度の位相遅れで振動する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
然るに、上記従来のパーツフィーダにおけるボウルとベースブロックとを結合する水平方向用の板ばね、垂直方向用の板ばね取付機構が非常に複雑であり、これの組み立てには多大のコストを必要とする。本発明はこのような問題に鑑みてなされ、低コストで楕円振動パーツフィーダを生産することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上の課題は、ボウルを取り付けた可動フレームと、該可動フレームの下方に配設されたベースフレームとを備え、前記ベースフレームの中央部に固定された垂直方向加振用電磁石と、該垂直方向加振用電磁石の両側で前記ベースフレームに固定された一対の水平方向加振用電磁石と、前記垂直方向加振用電磁石及び、前記一対の水平方向加振用電磁石にそれぞれ対向するように前記可動フレームに固定された可動コアにより楕円加振駆動部が構成され、前記可動フレームと前記ベースフレームとの間に環状のゴム部材が配設されており、前記垂直方向加振用電磁石に設けられる電磁コイルと、前記水平方向加振用電磁石にそれぞれ設けられる電磁コイルに60度位相差のある電流を流して、前記ボウルに楕円振動を行わせるようにしたことを特徴とする楕円振動パーツフィーダ。また以上の課題は、ボウルを取り付けた可動フレームと、該可動フレームの下方に配設されたベースフレームとを備え、前記可動フレームに垂直に固定した取り付け板の両側に垂直軸の周りに異なる角度に傾斜して取り付けられた一対の振動電動機により楕円加振駆動部が構成され、前記可動フレームと前記ベースフレームとの間に環状のゴム部材が配設されており、前記振動電動機に同一の交流電源が接続され同期化を受けて同回転数、同位相で回転することにより前記ボウルに楕円振動を行わせるようにしたことを特徴とする楕円振動パーツフィーダ、によって解決することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図1を参照して説明する。
【0011】
図1において、第1の実施の形態の振動パーツフィーダは全体として30で示され、ボウル31内には公知のスパイラル状のトラック31aが形成されているが、この底壁部に円板状の可動フレーム32が例えば溶接で固定され、この底面に可動コア取付ブロック35が固定され、更にこの底面に可動コアとしての接極子38が固定されている。下方には背の低い円筒状のベースブロック33が配設されており、この上端面と可動フレーム32は環状のゴム部材40で結合されている。
【0012】
ベースブロック33の中央部には円形の凹所33aが形成されており、更にこの中央部にE型電磁石34が固定されている。これには交流が通電される電磁コイル34aが巻装されており、またこの電磁石34の両側には、図2に明示されるように、一対の水平方向加振用の電磁石が設けられている。すなわち、可動コア36A、36Bは図2において、図示するような径方向に対向して可動コア取付ブロック35に固定されており、これと空隙をおいて電磁石37A、37Bがベースブロック33に固定されている。電磁石37A、37Bには電磁コイル37Aa、37Baが巻装されており、これらは同じ電源で励磁される。また上述の垂直方向加振用の電磁石34の電磁コイル37aも同じ電源で励磁されてもよいが、水平方向とは60度の位相差を持っている。
【0013】
ベースブロック33はゴムで成る防振ばね39により床上に支持される。
【0014】
本発明の第1の実施の形態による振動パーツフィーダ30は以上のように構成されるが、次にこの作用について説明する。
【0015】
垂直方向加振用の電磁石34及び水平方向加振用の電磁石37A、37Bの電磁コイル37Aa及び37Baに上述のような交流電流を通電すると垂直方向の加振力及び水平方向の加振力を受け、これらの合成力をゴム部材40を介してボウル31が受けるのであるが、この環状のゴム部材40の垂直方向、すなわち圧縮ばね常数はボウル31や可動コア取付ブロック32などの重量とで定まる共振周波数を決定し、これに近い駆動周波数で垂直方向の電磁石34の電磁コイル34aに駆動電流が通電される。他方、ゴム部材40の剪断方向のばね常数と、やはりボウル31や可動フレーム32、可動コア取付ブロック35などの重量とで定まる共振周波数に近い、例えば共振周波数より数%高い周波数になるような駆動周波数で第1、第2の水平方向加振用電磁石37A、37Bの電磁コイル37Aa、37Baが通電される。よってボウル31は最適条件で楕円振動を行い、トラック上の図示せずとも部品は最高速度で搬送される。
【0016】
本発明の第1の実施の形態における振動パーツフィーダ30は以上のように構成され作用するのであるが、従来のように水平方向及び垂直方向の板ばねの両端部を固定する部材との組立構造ではなく、単に環状のゴム部材40を可動フレーム32とベースブロック31との間に介在させるのみであるので、組立コストは大幅に低下される。
【0017】
図3は本発明の第2の実施の形態による楕円振動パーツフィーダ50を示すが、第1の実施の形態に対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。すなわち、本実施の形態によれば環状のゴム部材の形状は異なり、60度おきにベースブロック33の端面に達するような切り込みCが形成されており、従ってゴム部材55は55a、55b、55c、55d、55e及び55fと6分割されるが、このような構成においても上述と同様な作用、効果が得られることは明らかである。なお、特許請求の範囲において環状ゴムとは、このように部分的に切り込みを有するゴム部材も含むものとする。
【0018】
図4は、本発明の第3の実施の形態による楕円振動パーツフィーダ60を示し、第1、第2の実施の形態に対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。すなわち、本実施の形態によれば上記の実施の形態とは取付フレーム61の形状は大きく異なり、コップ形状を逆さまにしたような形状である。この上壁面に上述の可動コア取付ブロック35、及びこの下面には可動コア38が固定されている。ベースブロック63は従来の楕円振動パーツフィーダの形状と同様で、厚さの大きい円盤形状であり、この上面と可動フレーム61の下面との間に上記実施の形態と同様な環状のゴム部材64が配設されている。この実施の形態によっても上記第1、第2の実施の形態と同様な作用、効果を得られることは明らかである。
【0019】
図5は、本発明の第4の実施の形態を示すものであるが、全体として70で示され、上記実施の形態と同様なボウル31が固定されている可動フレーム32の中心部には、長方形状の取付板71が溶接されており、この両側に、すなわち図5の紙面に対し、手前と裏側とに図示する傾きで振動電動機72A、72Bが図示しないが台座を介して取付板71に固定されている。振動電動機72A、72Bは公知のように誘導電動機、例えば4ポールで成り、商用の交流電源を接続すると1500rpm(スリップ0として)、又は1800rpm(スリップ0として)で回転するのであるが、この回転軸72Aa、72Baの両端部には半円形の不平衡重錘72Ab及び72Bbが固定されており、これら振動電動機72A、72Bに同じ交流電源を接続すると公知のように同期化力を受けて同回転数、同位相(誘導電動機でスリップを生じているが)で回転する。同一のスリップ値となっている。
【0020】
両方の振動加振力が合成されてボウル31は上述の電磁石構造と同様に捩り振動を行なう。なお、この振動パーツフィーダ70は大型の場合に有効である。
【0021】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、本発明の技術的思想に基いて種々の変形が可能である。
【0022】
例えば、以上の実施の形態では完全なリング状のゴム部材40及び等角度で切り込みCを形成した6個のゴム片50a乃至50fから成るゴム部材50を用いたがこれに限ることなく、180度の位置で切り込みを設けて半円形のゴム部材を2個用いるようにしてもよい。また第1の実施の形態においてはゴム部材40は上方位置、すなわち可動フレーム32とベースブロック33との上端面との間に位置させ、また第3の実施の形態では可動フレーム61の下面とベースブロック63との間に位置させて下方に設けたが、これらゴム部材40、64を共に用いてもよい。すなわち、図1で示す可動フレーム32の下面には上述のようにゴム部材40を配設し、ベースブロック33を底無し円筒体としてこの下面に第2のゴム部材64を取り付け、更にこの下方に図4で示すようなベースブロック63を配設するようにしてもよい。勿論、この場合には両ゴム部材40、64の垂直方向の圧縮弾性常数及び剪断方向の剪断弾性常数の合計を考慮して垂直方向及び水平方向の共振周波数を定めるのが良い。
【0023】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の楕円振動パーツフィーダによれば従来と同様な最適な楕円振動を行なうことが出来ながら、その組立工数は大幅に減少し、生産コストも大幅に低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による楕円振動パーツフィーダ部分破断側面図である。
【図2】図1における[2]−[2]線方向の断面図である。
【図3】第2の実施の形態による図2と同様な断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態による楕円振動パーツフィーダの部分破断側面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態による楕円振動パーツフィーダの部分破断側面図である。
【図6】従来例の楕円振動パーツフィーダの一部破断側面図である。
【図7】図6における[7]−[7]線方向の断面図である。
【図8】同背面図である。
【図9】同楕円振動パーツフィーダの作用を示すチャートである。
【符号の説明】
30 第1の実施の形態による振動パーツフィーダ
32 取付フレーム
34 電磁石
34a 電磁コイル
36A 可動コア
36B 可動コア
37A 電磁石
37B 電磁石
40 環状ゴム部材
50 第2の実施の形態による振動パーツフィーダ
60 第3の実施の形態による振動パーツフィーダ
61 取付フレーム
64 環状ゴム部材
70 第4の実施の形態による楕円振動パーツフィーダ
72A 振動電動機
72B 振動電動機

Claims (2)

  1. ボウルを取り付けた可動フレームと、該可動フレームの下方に配設されたベースフレームとを備え、前記ベースフレームの中央部に固定された垂直方向加振用電磁石と、該垂直方向加振用電磁石の両側で前記ベースフレームに固定された一対の水平方向加振用電磁石と、前記垂直方向加振用電磁石及び、前記一対の水平方向加振用電磁石にそれぞれ対向するように前記可動フレームに固定された可動コアにより楕円加振駆動部が構成され、前記可動フレームと前記ベースフレームとの間に環状のゴム部材が配設されており、前記垂直方向加振用電磁石に設けられる電磁コイルと、前記水平方向加振用電磁石にそれぞれ設けられる電磁コイルに60度位相差のある電流を流して、前記ボウルに楕円振動を行わせるようにしたことを特徴とする楕円振動パーツフィーダ。
  2. ボウルを取り付けた可動フレームと、該可動フレームの下方に配設されたベースフレームとを備え、前記可動フレームに垂直に固定した取り付け板の両側に垂直軸の周りに異なる角度に傾斜して取り付けられた一対の振動電動機により楕円加振駆動部が構成され、前記可動フレームと前記ベースフレームとの間に環状のゴム部材が配設されており、前記振動電動機に同一の交流電源が接続され同期化を受けて同回転数、同位相で回転することにより前記ボウルに楕円振動を行わせるようにしたことを特徴とする楕円振動パーツフィーダ。
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