JP3829038B2 - ステアリングのハウジング構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力舵取装置におけるステアリングのハウジング構造に関し、特にハウジングのコーティングに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば特開平11−91603号公報に掲載された動力舵取装置のハウジング構造では、ハウジングの軽量化のためにマグネシウム合金のハウジングが採用されている。かかるハウジングは、自動車の下部に設けられるため、電解質を含む雨水や塩水を浴びることは避け難い。マグネシウム合金の腐食を防止するためには、一般に、ハウジング表面に塗装処理を行うか、又は、陽極酸化被膜を形成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記塗装処理は、路面やタイヤからの飛び石に対する耐性が十分ではなく、傷が付きやすい。その結果、ハウジングのマグネシウム合金地金が露出すると、腐食・電食を招く。なお、塗装の膜厚を増大させることは、塗装むらや、処理工程の増大という他の問題点を生じるので、好ましくない。
一方、上記陽極酸化被膜は硬いため、傷は付きにくいが、飛び石の衝突により剥離し易い。被膜が剥離すると、ハウジングのマグネシウム合金地金が露出して、腐食・電食を招く。
【0004】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、マグネシウム合金からなるハウジングにおいて、腐食・電食を防止するとともに、簡易な処理工程により飛び石に対する耐性を向上させるハウジング構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、マグネシウム合金からなるハウジングを有するステアリングのハウジング構造において、前記ハウジングにおける外表面、当該ハウジングと異なる他の部材と接触する内表面及び端面のすべての面に対して、無溶剤系のナイロン系樹脂単体のコーティングを膜厚100〜300μmにて施し、そのコーティングによって飛び石に対する耐性と他の部材との接触部での耐電食性との双方を確保したことを特徴とするものである(請求項1)。
上記のようなステアリングのハウジング構造においては、ナイロン系樹脂によりコーティングされることによって、マグネシウム合金からなるハウジングの露出が防止され、かつ、絶縁される。また、ナイロン系樹脂は樹脂単体の被膜を形成し、ナイロン系樹脂自身の柔軟性によりその被膜も安定した柔軟性を有する。
【0006】
また、上記ハウジング構造において、ハウジングの表面にはメラミン又はエポキシ系樹脂塗料の下地層が設けられ、その上にナイロン系樹脂単体のコーティングが施されていてもよい(請求項2)。
この場合、下地層を介してコーティングされることにより、ナイロン系樹脂の密着性が確保される。
【0007】
また、上記ハウジング構造(請求項1又は2)において、ハウジングの表面にはブラスト処理が施され、その上にメラミン若しくはエポキシ系樹脂塗料の下地層又はナイロン系樹脂単体のコーティングが施されていてもよい(請求項3)。
この場合、ブラスト処理によりハウジングの表面が荒れる。従って、メラミン若しくはエポキシ系樹脂塗料の下地層やナイロン系樹脂のコーティングが付着しやすくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図2は、動力舵取装置におけるステアリング装置の構成の一部を示す断面図である。当該ステアリング装置1は、バルブ装置1Vとラックピニオン装置1Pとを互いに接続してなるラックピニオン式油圧ステアリング装置であり、出力軸2からラック3に与えられる操舵力に、油圧による補助操舵力をステアリング操作に応じて付加するように構成されている。バルブ装置1Vの筐体であるバルブハウジング4と、ラックピニオン装置1Pの筐体であるピニオンハウジング5とは、それぞれ個別に製造された後に、ボルト6によって、互いに連結されている。
【0009】
上記バルブ装置1V内にはロータリバルブ機構が備えられ、その中心部に、ステアリングホイール(図示せず)に連結された入力軸7と、この入力軸7と軸方向一端(図示しない上方端)でのみ相互に固定されたトーションバー8とが挿通されている。トーションバー8の下端部には出力軸2が接続され、入力軸7に与えられた操舵力(回転トルク)はトーションバー8を介して出力軸2に伝達される。
バルブ装置1Vは外周面に油圧の入出力用のポート4a及び4b、並びに、補助操舵力を発生する油圧シリンダ(図示せず)への配管接続用のポート4c及び4dを備えている。上記出力軸2の下端部にはピニオン9が形成され、このピニオン9が、ラックピニオン装置1P内に支持されたラック3と噛み合っている。出力軸2は上下のベアリング10により、ピニオンハウジング5に支持されている。ラック3の左右両端部には操舵用車輪(図示せず)が連結されており、ラック3の左右方向の移動に応じて車輪が操舵される。
【0010】
図1は、上記バルブハウジング4のみを示す図である。バルブハウジング4はマグネシウム合金を成型したものである。バルブハウジング4の表面(少なくとも外表面及び他の部材と接触する内表面、端面等)には、コーティング11が施されている。このコーティング11は、下地層11aと、その上に形成されたナイロン系樹脂のコーティング11bとからなる。下地層11aは、メラミン又はエポキシ系樹脂塗料の塗布により形成され、膜厚は5μm程度である。ナイロン系樹脂のコーティング11bは、ポリアミド樹脂のPA11、PA12、PA6、PA66、PA46、芳香族系ポリアミドなどを単体(溶剤なし)で用いて、これを流動浸漬又は粉体塗装(静電)等の簡易な処理工程により、膜厚100〜300μmに形成したものである。なお、ポリアミド樹脂に代えてオレフィン系のポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)を使用することも可能である。上記のような下地層11aを設けることにより、ナイロン系樹脂のコーティング11bの密着性が良くなる。
【0011】
上記のようなコーティング11により、マグネシウム合金からなるバルブハウジング4の露出が防止され、防水される。従って、バルブハウジング4の腐食を防止することができる。また、コーティング11により、バルブハウジング4は他の部材から絶縁される。従って、ピニオンハウジング5、ボルト6、及び、ポート4a〜4dに接続される油圧配管接続用の締結部材(図示せず)とバルブハウジング4との間で絶縁が確保され、電食が防止される。これにより、バルブハウジング4とピニオンハウジング5との間に防食用の絶縁シート等を別途設ける必要がない。また、締結部位に絶縁ワッシャ等を介する必要もなく、締結作業が楽になる。しかも、ナイロン系樹脂のコーティング11bは、樹脂単体被膜となり、材料自身のもつ柔軟性により、安定した柔軟性を備えている。従って、路面やタイヤからの飛び石に対して、十分な耐性を発揮する。
なお、ボルト6や上記締結部材は、アルミ合金、又は鉄系金属にクロメート処理を施したもの、若しくは、鉄系金属にエポキシ系樹脂塗装を施したものを使用する。これにより、ボルト6や締結部材についても、耐食性を確保することができる。
【0012】
なお、上記下地層11aを省略して、バルブハウジング4の表面に直接、ナイロン系樹脂のコーティング11bを形成することも可能である。この場合、バルブハウジング4の表面にブラスト処理(例えばサンドブラスト)を施すことが好ましい。これにより、バルブハウジング4の表面が荒れるので、ナイロン系樹脂のコーティング11bが付着しやすくなる。
【0013】
また、ピニオンハウジング5をマグネシウム合金製とした場合には、これに対してもバルブハウジング4と同様にコーティングを設けることができる。
図3は、上記動力舵取装置とは異なる構成を有する電動式動力舵取装置におけるステアリング装置の構成の一部を示す断面図である。当該ステアリング装置20は、入力軸21に加えられた操舵速度や操舵角を検出する装置を収納するセンサハウジング22と、検出した操舵速度や操舵角に応じて電動力により発生させた補助操舵力を出力軸23に伝達する装置を収納するウオームハウジング24と、ラック25等を収納するピニオンハウジング26とを備えている。この場合、センサハウジング22、ウオームハウジング24及びピニオンハウジング26をマグネシウム合金製として、それぞれに対して、上記のようなコーティングを施し、同様の作用効果を得ることができる。
【0014】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明は以下の効果を奏する。
請求項1のステアリングのハウジング構造によれば、ナイロン系樹脂によりコーティングされることによって、マグネシウム合金からなるハウジングの露出が防止され、かつ、絶縁されるので、ハウジングの腐食及び電食が防止される。また、ナイロン系樹脂は樹脂単体の被膜を形成し、ナイロン系樹脂自身の柔軟性によりその被膜も安定した柔軟性を有するので、飛び石に対する耐性が向上する。また、樹脂単体のコーティングは処理工程が簡易である。
【0015】
請求項2のステアリングのハウジング構造によれば、ナイロン系樹脂が下地層を介してコーティングされることにより、ナイロン系樹脂の密着性が確保される。
【0016】
請求項3のステアリングのハウジング構造によれば、ブラスト処理によりハウジングの外表面が荒れるので、下地層又はナイロン系樹脂のコーティングが付着しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるステアリングのハウジング構造を採用したバルブハウジングを単体で示す図である。
【図2】上記バルブハウジングを用いて構成された動力舵取装置のステアリング装置の断面図である。
【図3】電動式動力舵取装置におけるステアリング装置の構成の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
4 バルブハウジング
5 ピニオンハウジング
11 コーティング
11a 下地層
11b コーティング(ナイロン系樹脂)
22 センサハウジング
24 ウオームハウジング
26 ピニオンハウジング
Claims (3)
- マグネシウム合金からなるハウジングを有するステアリングのハウジング構造において、前記ハウジングにおける外表面、他の部材と接触する内表面及び端面を含む当該ハウジングの表面に対して、無溶剤系のナイロン系樹脂単体のコーティングを膜厚100〜300μmにて施し、そのコーティングによって飛び石に対する耐性と他の部材との接触部での耐電食性との双方を確保したことを特徴とするステアリングのハウジング構造。
- 前記ハウジングの表面にはメラミン又はエポキシ系樹脂塗料の下地層が設けられ、その上にナイロン系樹脂単体のコーティングが施されている請求項1記載のステアリングのハウジング構造。
- 前記ハウジングの外表面にはブラスト処理が施され、その上にメラミン若しくはエポキシ系樹脂塗料の下地層又はナイロン系樹脂単体のコーティングが施されている請求項1又は2記載のステアリングのハウジング構造。
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