JP3828208B2 - 輪転印刷機における自動版替え方法および輪転印刷機 - Google Patents
輪転印刷機における自動版替え方法および輪転印刷機 Download PDFInfo
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多色のグラビア印刷などを行う輪転印刷機における自動版替え方法および輪転印刷機に関し、特にセクショナル駆動方式の輪転印刷機において、１版替え等の一部の版のみの版替えを行う自動版替え方法および輪転印刷機に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
多色のグラビア印刷などを行う輪転印刷機は、各々版胴を有する複数個の印刷ユニットにより構成されており、従来、この種の輪転印刷機における版替え（版交換）は、それが１版のみであっても機械全体の運転を停止し、運転停止状態で所定の印刷ユニットの版を新版に交換するか、予め新版を準備されている印刷ユニットの使用をクラッチ切り換えによって選択するか、あるいは運転状態下で、交換版胴駆動モータとワンポイントクラッチを使用して駆動系を切り換えることにより行われている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従来の輪転印刷機では、版交換のために機械全体の運転を停止しなればならないため、輪転印刷機の稼動率が低下し、生産性が悪くなる。
【０００４】
クラッチの切り換えによって使用する印刷ユニットを選択するものでは、輪転印刷機の停止後に版替え作業を行うので、時間損失があり、輪転印刷機を一旦停止されるために印刷状態への復帰のための段取り時間を要し、印刷効率が低いと云う問題点がある。また、輪転印刷機を一旦停止させるので、損紙量が多く、印刷コストがかかると云う問題点もある。
【０００５】
交換版胴駆動モータとワンポイントクラッチを使用した版替えでは、機構が複雑になり、またワンポイントクラッチ等の寿命について問題がある。
【０００６】
この発明は、上述の如き問題点に着目してなされたものであり、特に各印刷ユニットの版胴を各印刷ユニット毎に設けられた個別の回転駆動装置により各印刷ユニット毎に独立駆動するセクショナル駆動方式の輪転印刷機において、機械全体の運転を停止することなく、また特別な機構を追加することなく、自動的に版替えを行う方法、およびこの自動版替え方法の実施に使用される輪転印刷機を提供することを目的としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項１による発明は、各々版胴、圧胴、ガイドローラを具備した印刷ユニットを複数個有し、各印刷ユニットの版胴を各印刷ユニット毎に設けられた個別の回転駆動装置により各印刷ユニット毎に独立駆動するセクショナル駆動方式の輪転印刷機における自動版替え方法において、前記複数個の印刷ユニットのうち少なくとも一つの印刷ユニットを新版印刷ユニットとして残して他の印刷ユニットを同期駆動すると共に同期駆動中の各印刷ユニットの圧胴を圧着動作させて印刷を行い、残された停止状態の新版印刷ユニットの版胴に次に使用する版をセットし、版替え時には前記新版印刷ユニットを同期駆動中の印刷ユニットの駆動速度まで増速すると共に、版替えによる圧胴の着脱によるウェブパス長の変化を考慮して印刷ユニット間の位相を演算し、これに基づいて新版印刷ユニットの版胴の回転位相を同期駆動中の印刷ユニットの版胴の回転位相に一致させる位相調整を行い、位相一致後に当該新版印刷ユニットの圧胴を圧着動作させて印刷を行い、同期駆動中の印刷ユニットのうち版替え対象の旧版印刷ユニットの圧胴を退避させて当該旧版印刷ユニットの同期駆動を停止するものである。
【０００８】
この発明による自動版替え方法では、次に使用する版をセットされた新版印刷ユニットと版替え対象の旧版印刷ユニットの各々の駆動制御と、それら印刷ユニットの圧胴の操作だけで、機械全体の運転を停止することなく版替えが行われる。
【０００９】
請求項２による発明は、請求項１に記載の輪転印刷機における自動版替え方法において、予め設定されている印刷ジョブの印刷長と既に印刷された印刷長情報と現印刷速度より版替えの時期を演算予測し、演算予測された版替え時期に版替えプロセスを実行するものである。
【００１０】
この発明による自動版替え方法では、版替え時期が自動的に設定され、版替えを無人化できる。
【００１１】
請求項３による発明は、各々版胴、圧胴、ガイドローラを具備した印刷ユニットを複数個有し、各印刷ユニットの版胴を各印刷ユニット毎に設けられた個別の回転駆動装置により各印刷ユニット毎に独立駆動するセクショナル駆動方式の輪転印刷機において、前記複数個の印刷ユニットのうち少なくとも一つの印刷ユニットを残して同期駆動する印刷ユニットを指定する同期駆動印刷ユニット指定手段と、前記同期駆動印刷ユニット指定手段により指定されなかった印刷ユニットの少なくとも一つを新版印刷ユニットとして指定し、前記同期駆動印刷ユニット指定手段により指定された印刷ユニットのうちの少なくとも一つを旧版印刷ユニットとして指定する版替え印刷ユニット指定手段と、版替え時には前記新版印刷ユニットを同期駆動中の印刷ユニットの駆動速度まで増速する制御と、版替えによる圧胴の着脱によるウェブパス長の変化を考慮して印刷ユニット間の位相を演算し、これに基づいて新版印刷ユニットの版胴の回転位相を同期駆動中の印刷ユニットの版胴の回転位相に一致させる位相調整の制御を行い、位相一致後に当該新版印刷ユニットの圧胴を圧着動作させ前記旧版印刷ユニットの圧胴を退避させて当該旧版印刷ユニットの同期駆動を停止させる制御を行う版替え制御手段とを有しているものである。
【００１２】
この発明による輪転印刷機では、同期駆動印刷ユニット指定手段により同期駆動する印刷ユニットを指定することが行われ、版替え印刷ユニット指定手段により新版印刷ユニットと旧版印刷ユニットを指定することが行われ、版替え制御手段によって次に使用する版をセットされた新版印刷ユニットと版替え対象の旧版印刷ユニットの各々の駆動制御と、それら印刷ユニットの圧胴が操作されるだけで、機械全体の運転を停止することなく版替えが行われる。
【００１３】
請求項４による発明は、請求項３に記載の輪転印刷機において、予め設定されている印刷ジョブの印刷長と既に印刷された印刷長情報と現印刷速度より版替えの時期を演算予測する版替え時期演算手段を有し、前記版替え時期演算手段によって演算予測された版替え時期に前記版替え制御手段によって版替えプロセスを実行するものである。
【００１４】
この発明による輪転印刷機では、版替え時期演算手段によって版替えの時期が演算予測され、この版替え時期演算手段によって演算予測された版替え時期に版替え制御手段による版替えプロセスが実行される。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【００１６】
図１はこの発明による輪転印刷機を６連式のグラビア輪転印刷機に適用した実施の形態を示している。このグラビア輪転印刷機は６台の印刷ユニット１1 〜１6 を一列に有し、ストレート印刷により６色刷りを行う。印刷ユニット１1 の側には巻出し部３とインフィード部５とが設けられ、印刷ユニット１6 の側にはアウトフィード部７と巻取り部９とが設けられている。
【００１７】
印刷ユニット１1 〜１6 は各々、版胴１１、圧胴１３、ガイドローラ１５を具備している。各印刷ユニット１1 〜１6 にはサーボモータ１７1 〜１７6 が設けられており、サーボモータ１７1 〜１７6 は各印刷ユニット１1 〜１6 の版胴１１を各印刷ユニット１1 〜１6 毎に独立駆動する。
【００１８】
図２はグラビア輪転印刷機の制御系を示している。駆動制御装置２１は、ディジタルシグナルプロセッサ（以下、ＤＳＰ）２３と、メモリ部２５と、各サーボモータ１７1 〜１７6 毎に設けられたモータ制御インタフェース部２７1 〜２７6 と、テンション制御インタフェース部２８と、入力インタフェース部３１と、出力インタフェース部３３とを有し、入力インタフェース部３１にはキーボードなどの入力装置３５が、出力インタフェース部３３にはＣＲＴなどの表示装置３７が各々接続されている。
【００１９】
ＤＳＰ２３は、図示されていない印刷機制御回路より運転指令信号と速度指令信号とを与えられ、各サーボモータ１７1 〜１７6 に接続されているロータリエンコーダ２９1 〜２９6 より回転角信号を位置フィードバック信号として各モータ制御インタフェース部２７1 〜２７6 より入力し、各モータ制御インタフェース部２７1 〜２７6 を介して各サーボモータ１７1 〜１７6 のサーボアンプ３９1 〜３９6 へ同時に個別の位置指令信号（回転角指令信号）を出力する。
【００２０】
これにより、ＤＳＰ２３は、固定周期の位置ループを構成した各印刷ユニット１1 〜１6 のサーボ系を制御するソフトウェアサーボ機能を持ち、各印刷ユニット１1 〜１6 のサーボ系を並列処理する。
【００２１】
上述の構成により、ＤＳＰ２３は、加速時と減速時には、所定の加速時間、減速時間に従った変化率を維持して位置指令信号を連続して発生し、定速運転時には、速度指令に応じた時間間隔を維持して位置指令信号を連続的に発生し、何れの場合も、ソウトウェア同期により各サーボモータ１７1 〜１７6 の版胴１１の回転速度の同期性を維持する。
【００２２】
各サーボモータ１７1 〜１７6 に接続されているロータリエンコーダ２９1 〜２９6 はアブソリュート型のものであり、各印刷ユニット１1 〜１6 の版胴１１は、取り外し可能であるが、キー係合によりユニット本体側のサーボモータ１７1 〜１７6 による駆動系と画一的に決まる回転位相をもって接続されることにより、版胴１１に設けられている印刷見当調整用レジスタマークの位置をロータリエンコーダ２９1 〜２９6 の出力信号により管理できるようになっている。
【００２３】
ＤＳＰ２３は、このロータリエンコーダ２９1 〜２９6 が出力する回転角信号によって各印刷ユニット１1 〜１6 の版胴１１の回転位相を認識し、ガイドローラ径、圧胴径、版胴１１とガイドローラ１５の軸間距離などの固定値と、版胴１１の胴径より印刷ユニット間のウェブパス長を演算し、このウェブパス長と版胴１１の周長とにより各印刷ユニット１1 〜１6 間の版胴１１の位相差を計算し、この位相差より初期見当プリセット調整のための版胴回転角（位相差補正角）を各印刷ユニットについて求め、各印刷ユニット１1 〜１6 のロータリエンコーダ２９1 〜２９6 が原点位置（版胴１１の印刷見当調整用レジスタマークが真下、真上などのホームポジションに位置する版胴１１の回転位置）を表す回転角信号を出力している状態より、各印刷ユニット１1 〜１6 について位相差補正角だけ版胴１１を回転させる回転角指令信号を各サーボアンプ３９1 〜３９6 へ出力する。これにより初期見当プリセット調整が行われる。
【００２４】
なお、この初期見当プリセット調整について、より詳細な説明が必要ならば、本願出願人と同一の出願人による特願平８−２０２８４号の明細書および図面を参照されたい。
【００２５】
印刷の途中で版替えを行う必要がある場合には、表示装置３７による印刷条件画面の表示下で、複数個の印刷ユニット１1 〜１6 のうち、少なくとも一つの印刷ユニット、例えば印刷ユニット１1 を残して同期駆動する印刷ユニット１2 〜１6 を入力装置３５によるユーザ入力により指定し、同期駆動指定以外の印刷ユニットの少なくとも一つ、この場合、印刷ユニット１1 を新版印刷ユニットとして入力装置３５によるユーザ入力により指定すると共に、同期駆動指定の印刷ユニット１2 〜１6 のうちの少なくとも一つ、例えば印刷ユニット１2 を旧版印刷ユニットとして入力装置３５によるユーザ入力により指定する。
【００２６】
これにより、入力装置３５は版替え印刷ユニット指定手段と同期駆動印刷ユニット指定手段として機能する。
【００２７】
版替えモードでは、ＤＳＰ２３による制御の下に、同期駆動対象の印刷ユニット１2 〜１6 を同期駆動すると共に同期駆動中の各印刷ユニット１2 〜１6 の圧胴１３を圧着動作させて印刷ユニット１2 〜１6 の各々により印刷を行い、残された停止状態の新版印刷ユニット１1 の版胴１１に次に使用する版をセットしておく。
【００２８】
版替え時には、ＤＳＰ２３は、版替え制御手段として動作し、新版印刷ユニット１1 を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の駆動速度まで増速する制御と、新版印刷ユニット１1 の版胴１１の回転位相を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の版胴１１の回転位相に一致させる位相調整制御とを行い、位相一致後に新版印刷ユニット１1 の圧胴１３を圧着動作させ、旧版印刷ユニット１2 の圧胴１４を退避させて旧版印刷ユニット１2 の同期駆動を停止させる制御を行う。
【００２９】
版替えに伴う圧胴１４の着脱によって印刷ユニット間のウェブパス長が変化するから、ＤＳＰ２３は、印刷ジョブ切替時に版胴周長の設定値が変更された際において、圧胴が圧着の状態における印刷ユニット間の位相と、圧胴が脱（退避）の状態における印刷ユニット間の位相の双方について演算を行う。
【００３０】
圧胴が着同士の位相演算は、初期見当プリセット調整時と同様に、ガイドローラ径、圧胴径、版胴１１とガイドローラ１５の軸間距離より算出された印刷ユニット間のウェブパス長を使用して行い、圧胴が脱を含む位相演算（例えば新版印刷ユニット１1 と旧版印刷ユニット１2 との位相演算は、ガイドローラ径、圧胴径、版胴１１とガイドローラ１５の軸間距離と、圧胴１４とガイドローラ１５の軸間距離より印刷ユニット間のウェブパス長を演算する。
【００３１】
また、版替えモードでは、ＤＳＰ２３は、予め設定されている印刷ジョブの印刷長Ｌｊと既に印刷された印刷長Ｌｐと現印刷速度Ｖより版替えの時期Ｔｃを下式によって演算予測し、演算予測された版替え時期に、上述の版替えプロセスを実行する。
【００３２】
Ｔｃ＝（Ｌｊ−Ｌｐ）／Ｖ
印刷長は、ロータリエンコーダ２９1 〜２９6 が出力する回転角信号より得られる版胴回転数Ｎと初期見当プリセット時に入力される版胴径Ｄより版胴１回転毎に印刷される長さＬｏを、Ｌｏ＝π・Ｄ・Ｎより算出し、印刷機制御回路よりオペレータ判断あるいは検査装置出力等による正紙／損紙信号を受け、正紙時に計算される長さＬｏを累積することにより求められる。
【００３３】
この版替え時期を版替えプロセスの開始時であると定義するならば、自動版替えシーケンスの開始時から新版印刷ユニット１1 を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の駆動速度まで増速し、新版印刷ユニット１1 の版胴１１の回転位相を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の版胴１１の回転位相に一致させるために必要な時間を考慮して版替え時期を手前に設定する。
【００３４】
なお、新版印刷ユニット１1 の圧胴入れ動作や、旧版印刷ユニット１2 の圧胴逃がし動作により、印刷ユニット間のウェブパス長が変動するから、印刷中に自動見当調整を行う機構を有している場合のものでは、上述のような版替え時には、自動見当調整運転を一時的に停止する。
【００３５】
また、ＤＳＰ２３は、サーボアンプ３９1 〜３９6 に対する位置指令信号の出力に同期してテンション制御インタフェース部２８を介して、巻出し部３、インフィード部５、アウトフィード部７、巻取り部９の各々にテンション制御のための印刷速度信号を出力する。
【００３６】
次に、図３に示されているフローチャートを参照してこの発明による輪転印刷機における自動版替え方法の実施要領について説明する。
【００３７】
まず、表示装置３７による印刷条件画面の表示下で、同期駆動する印刷ユニット１2 〜１6 の指定と、新版印刷ユニット１1 の指定と、旧版印刷ユニット１2 の指定を入力装置３５によるユーザ入力により行う（ステップＳ１０）。
【００３８】
つぎに、同期駆動対象の印刷ユニット１2 〜１6 を同期駆動すると共に同期駆動中の各印刷ユニット１2 〜１6 の圧胴１３を圧着動作させて印刷ユニット１2 〜１6 の各々により印刷を行い、残された停止状態の新版印刷ユニット１1 の版胴１１に次に使用する版をセットする（ステップＳ２０）。
【００３９】
印刷ユニット１2 〜１6 による印刷動作下で、予め設定されている印刷ジョブの印刷長と既に印刷された印刷長情報と現印刷速度より版替えの時期を演算予測し、演算予測された版替え時期が到来すれば（ステップＳ３０肯定）、版替えプロセスを実行、即ち自動版替えシーケンスを開始する（ステップＳ４０）。
【００４０】
この自動版替えシーケンスは、次の順序で行われる。
【００４１】
（１）新版印刷ユニット１1 の駆動速度を増速し（ステップＳ５０）、版胴１１の周速を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の周速に一致させる（ステップＳ６０）。即ち、新版印刷ユニット１1 の駆動速度を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の駆動速度まで増速する。
【００４２】
（２）予め計算されている各印刷ユニット間の位相差に基づいて、新版印刷ユニット１1 の版胴１１の回転位相を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の版胴１１の回転位相に一致させる位相調整を行う（ステップＳ７０、Ｓ８０）。
【００４３】
（３）速度一致、位相一致後に、新版印刷ユニット１1 と印刷ユニット１3 〜１6 とは同期運転に移行する（ステップＳ９０）。
【００４４】
（４）自動見当調整運転を停止する（ステップＳ１００）。
【００４５】
（５）新版印刷ユニット１1 の圧胴入れを行い、これの圧胴１３を圧胴動作させる（ステップＳ１１０）。
【００４６】
（６）旧版印刷ユニット１2 の圧胴逃がしを行い、これの圧胴１３を退避させる（ステップＳ１２０）。
【００４７】
（７）旧版印刷ユニット１2 の駆動速度を減速し、旧版印刷ユニット１2 を停止させる（ステップＳ１３０）。
【００４８】
（８）これにより、版替えは完了し、自動見当調整運転を再開する（ステップＳ１４０）。
【００４９】
これにより、機械全体の運転を停止することなく版替えが行われる。
【００５０】
以上に於ては、この発明を特定の実施の形態について詳細に説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、この発明の範囲内にて種々の実施の形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【００５１】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、請求項１による輪転印刷機の自動版替え方法によれば、次に使用する版をセットされた新版印刷ユニットと版替え対象の旧版印刷ユニットの各々の駆動制御と、それら印刷ユニットの圧胴の操作だけで、特別な機構を追加することなく、機械全体の運転を停止しないで版替えを行うことができ、印刷用紙の損失が削減され、印刷中に切り替え版の準備を行うことができて機械の稼動率が向上すると共に印刷作業の高能率化が可能になる。また特別な機構を必要としないから、性能を常に最善の状態に維持し易くなり、保守性も向上する。
【００５２】
請求項２による輪転印刷機の自動版替え方法によれば、版替え時期が自動的に設定され、版替えを無人化できる。
【００５３】
請求項３による輪転印刷機によれば、同期駆動印刷ユニット指定手段により同期駆動する印刷ユニットを指定することが行われ、版替え印刷ユニット指定手段により新版印刷ユニットと旧版印刷ユニットを指定することが行われ、版替え制御手段によって次に使用する版をセットされた新版印刷ユニットと版替え対象の旧版印刷ユニットの各々の駆動制御と、それら印刷ユニットの圧胴が操作されるだけで、特別な機構を追加することなく、機械全体の運転を停止しないで版替えを行うことができ、印刷用紙の損失が削減され、印刷中に切り替え版の準備を行うことができて機械の稼動率が向上すると共に印刷作業が高能率化が可能になる。また特別な機構を必要としないから、性能を常に最善な状態に維持し易くなり、保守性も向上する。
【００５３】
請求項４による輪転印刷機によれば、版替え時期演算手段によって版替えの時期が演算予測され、この版替え時期演算手段によって演算予測された版替え時期に版替え制御手段による版替えプロセスが実行されるから、版替えを無人化できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明による輪転印刷機を６連式のグラビア輪転印刷機に適用した一つの実施の形態を示す全体構成図である。
【図２】 グラビア輪転印刷機の制御系の一つの実施の形態を示すブロック線図である。
【図３】 この発明による輪転印刷機における版替えプロセスのフローチャートである。
【符号の説明】
１1 〜１6 印刷ユニット
３ 巻出し部
５ インフィード部
７ アウトフィード部
９ 巻取り部
１１ 版胴
１３ 圧胴
１５ ガイドローラ
１７1 〜１７6 サーボモータ
２１ 駆動制御装置
２３ ディジタルシグナルプロセッサ（ＤＳＰ）
２５ メモリ部
２７1 〜２７6 モータ制御インタフェース部
３５ 入力装置
【発明の属する技術分野】
この発明は、多色のグラビア印刷などを行う輪転印刷機における自動版替え方法および輪転印刷機に関し、特にセクショナル駆動方式の輪転印刷機において、１版替え等の一部の版のみの版替えを行う自動版替え方法および輪転印刷機に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
多色のグラビア印刷などを行う輪転印刷機は、各々版胴を有する複数個の印刷ユニットにより構成されており、従来、この種の輪転印刷機における版替え（版交換）は、それが１版のみであっても機械全体の運転を停止し、運転停止状態で所定の印刷ユニットの版を新版に交換するか、予め新版を準備されている印刷ユニットの使用をクラッチ切り換えによって選択するか、あるいは運転状態下で、交換版胴駆動モータとワンポイントクラッチを使用して駆動系を切り換えることにより行われている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
従来の輪転印刷機では、版交換のために機械全体の運転を停止しなればならないため、輪転印刷機の稼動率が低下し、生産性が悪くなる。
【０００４】
クラッチの切り換えによって使用する印刷ユニットを選択するものでは、輪転印刷機の停止後に版替え作業を行うので、時間損失があり、輪転印刷機を一旦停止されるために印刷状態への復帰のための段取り時間を要し、印刷効率が低いと云う問題点がある。また、輪転印刷機を一旦停止させるので、損紙量が多く、印刷コストがかかると云う問題点もある。
【０００５】
交換版胴駆動モータとワンポイントクラッチを使用した版替えでは、機構が複雑になり、またワンポイントクラッチ等の寿命について問題がある。
【０００６】
この発明は、上述の如き問題点に着目してなされたものであり、特に各印刷ユニットの版胴を各印刷ユニット毎に設けられた個別の回転駆動装置により各印刷ユニット毎に独立駆動するセクショナル駆動方式の輪転印刷機において、機械全体の運転を停止することなく、また特別な機構を追加することなく、自動的に版替えを行う方法、およびこの自動版替え方法の実施に使用される輪転印刷機を提供することを目的としている。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項１による発明は、各々版胴、圧胴、ガイドローラを具備した印刷ユニットを複数個有し、各印刷ユニットの版胴を各印刷ユニット毎に設けられた個別の回転駆動装置により各印刷ユニット毎に独立駆動するセクショナル駆動方式の輪転印刷機における自動版替え方法において、前記複数個の印刷ユニットのうち少なくとも一つの印刷ユニットを新版印刷ユニットとして残して他の印刷ユニットを同期駆動すると共に同期駆動中の各印刷ユニットの圧胴を圧着動作させて印刷を行い、残された停止状態の新版印刷ユニットの版胴に次に使用する版をセットし、版替え時には前記新版印刷ユニットを同期駆動中の印刷ユニットの駆動速度まで増速すると共に、版替えによる圧胴の着脱によるウェブパス長の変化を考慮して印刷ユニット間の位相を演算し、これに基づいて新版印刷ユニットの版胴の回転位相を同期駆動中の印刷ユニットの版胴の回転位相に一致させる位相調整を行い、位相一致後に当該新版印刷ユニットの圧胴を圧着動作させて印刷を行い、同期駆動中の印刷ユニットのうち版替え対象の旧版印刷ユニットの圧胴を退避させて当該旧版印刷ユニットの同期駆動を停止するものである。
【０００８】
この発明による自動版替え方法では、次に使用する版をセットされた新版印刷ユニットと版替え対象の旧版印刷ユニットの各々の駆動制御と、それら印刷ユニットの圧胴の操作だけで、機械全体の運転を停止することなく版替えが行われる。
【０００９】
請求項２による発明は、請求項１に記載の輪転印刷機における自動版替え方法において、予め設定されている印刷ジョブの印刷長と既に印刷された印刷長情報と現印刷速度より版替えの時期を演算予測し、演算予測された版替え時期に版替えプロセスを実行するものである。
【００１０】
この発明による自動版替え方法では、版替え時期が自動的に設定され、版替えを無人化できる。
【００１１】
請求項３による発明は、各々版胴、圧胴、ガイドローラを具備した印刷ユニットを複数個有し、各印刷ユニットの版胴を各印刷ユニット毎に設けられた個別の回転駆動装置により各印刷ユニット毎に独立駆動するセクショナル駆動方式の輪転印刷機において、前記複数個の印刷ユニットのうち少なくとも一つの印刷ユニットを残して同期駆動する印刷ユニットを指定する同期駆動印刷ユニット指定手段と、前記同期駆動印刷ユニット指定手段により指定されなかった印刷ユニットの少なくとも一つを新版印刷ユニットとして指定し、前記同期駆動印刷ユニット指定手段により指定された印刷ユニットのうちの少なくとも一つを旧版印刷ユニットとして指定する版替え印刷ユニット指定手段と、版替え時には前記新版印刷ユニットを同期駆動中の印刷ユニットの駆動速度まで増速する制御と、版替えによる圧胴の着脱によるウェブパス長の変化を考慮して印刷ユニット間の位相を演算し、これに基づいて新版印刷ユニットの版胴の回転位相を同期駆動中の印刷ユニットの版胴の回転位相に一致させる位相調整の制御を行い、位相一致後に当該新版印刷ユニットの圧胴を圧着動作させ前記旧版印刷ユニットの圧胴を退避させて当該旧版印刷ユニットの同期駆動を停止させる制御を行う版替え制御手段とを有しているものである。
【００１２】
この発明による輪転印刷機では、同期駆動印刷ユニット指定手段により同期駆動する印刷ユニットを指定することが行われ、版替え印刷ユニット指定手段により新版印刷ユニットと旧版印刷ユニットを指定することが行われ、版替え制御手段によって次に使用する版をセットされた新版印刷ユニットと版替え対象の旧版印刷ユニットの各々の駆動制御と、それら印刷ユニットの圧胴が操作されるだけで、機械全体の運転を停止することなく版替えが行われる。
【００１３】
請求項４による発明は、請求項３に記載の輪転印刷機において、予め設定されている印刷ジョブの印刷長と既に印刷された印刷長情報と現印刷速度より版替えの時期を演算予測する版替え時期演算手段を有し、前記版替え時期演算手段によって演算予測された版替え時期に前記版替え制御手段によって版替えプロセスを実行するものである。
【００１４】
この発明による輪転印刷機では、版替え時期演算手段によって版替えの時期が演算予測され、この版替え時期演算手段によって演算予測された版替え時期に版替え制御手段による版替えプロセスが実行される。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【００１６】
図１はこの発明による輪転印刷機を６連式のグラビア輪転印刷機に適用した実施の形態を示している。このグラビア輪転印刷機は６台の印刷ユニット１1 〜１6 を一列に有し、ストレート印刷により６色刷りを行う。印刷ユニット１1 の側には巻出し部３とインフィード部５とが設けられ、印刷ユニット１6 の側にはアウトフィード部７と巻取り部９とが設けられている。
【００１７】
印刷ユニット１1 〜１6 は各々、版胴１１、圧胴１３、ガイドローラ１５を具備している。各印刷ユニット１1 〜１6 にはサーボモータ１７1 〜１７6 が設けられており、サーボモータ１７1 〜１７6 は各印刷ユニット１1 〜１6 の版胴１１を各印刷ユニット１1 〜１6 毎に独立駆動する。
【００１８】
図２はグラビア輪転印刷機の制御系を示している。駆動制御装置２１は、ディジタルシグナルプロセッサ（以下、ＤＳＰ）２３と、メモリ部２５と、各サーボモータ１７1 〜１７6 毎に設けられたモータ制御インタフェース部２７1 〜２７6 と、テンション制御インタフェース部２８と、入力インタフェース部３１と、出力インタフェース部３３とを有し、入力インタフェース部３１にはキーボードなどの入力装置３５が、出力インタフェース部３３にはＣＲＴなどの表示装置３７が各々接続されている。
【００１９】
ＤＳＰ２３は、図示されていない印刷機制御回路より運転指令信号と速度指令信号とを与えられ、各サーボモータ１７1 〜１７6 に接続されているロータリエンコーダ２９1 〜２９6 より回転角信号を位置フィードバック信号として各モータ制御インタフェース部２７1 〜２７6 より入力し、各モータ制御インタフェース部２７1 〜２７6 を介して各サーボモータ１７1 〜１７6 のサーボアンプ３９1 〜３９6 へ同時に個別の位置指令信号（回転角指令信号）を出力する。
【００２０】
これにより、ＤＳＰ２３は、固定周期の位置ループを構成した各印刷ユニット１1 〜１6 のサーボ系を制御するソフトウェアサーボ機能を持ち、各印刷ユニット１1 〜１6 のサーボ系を並列処理する。
【００２１】
上述の構成により、ＤＳＰ２３は、加速時と減速時には、所定の加速時間、減速時間に従った変化率を維持して位置指令信号を連続して発生し、定速運転時には、速度指令に応じた時間間隔を維持して位置指令信号を連続的に発生し、何れの場合も、ソウトウェア同期により各サーボモータ１７1 〜１７6 の版胴１１の回転速度の同期性を維持する。
【００２２】
各サーボモータ１７1 〜１７6 に接続されているロータリエンコーダ２９1 〜２９6 はアブソリュート型のものであり、各印刷ユニット１1 〜１6 の版胴１１は、取り外し可能であるが、キー係合によりユニット本体側のサーボモータ１７1 〜１７6 による駆動系と画一的に決まる回転位相をもって接続されることにより、版胴１１に設けられている印刷見当調整用レジスタマークの位置をロータリエンコーダ２９1 〜２９6 の出力信号により管理できるようになっている。
【００２３】
ＤＳＰ２３は、このロータリエンコーダ２９1 〜２９6 が出力する回転角信号によって各印刷ユニット１1 〜１6 の版胴１１の回転位相を認識し、ガイドローラ径、圧胴径、版胴１１とガイドローラ１５の軸間距離などの固定値と、版胴１１の胴径より印刷ユニット間のウェブパス長を演算し、このウェブパス長と版胴１１の周長とにより各印刷ユニット１1 〜１6 間の版胴１１の位相差を計算し、この位相差より初期見当プリセット調整のための版胴回転角（位相差補正角）を各印刷ユニットについて求め、各印刷ユニット１1 〜１6 のロータリエンコーダ２９1 〜２９6 が原点位置（版胴１１の印刷見当調整用レジスタマークが真下、真上などのホームポジションに位置する版胴１１の回転位置）を表す回転角信号を出力している状態より、各印刷ユニット１1 〜１6 について位相差補正角だけ版胴１１を回転させる回転角指令信号を各サーボアンプ３９1 〜３９6 へ出力する。これにより初期見当プリセット調整が行われる。
【００２４】
なお、この初期見当プリセット調整について、より詳細な説明が必要ならば、本願出願人と同一の出願人による特願平８−２０２８４号の明細書および図面を参照されたい。
【００２５】
印刷の途中で版替えを行う必要がある場合には、表示装置３７による印刷条件画面の表示下で、複数個の印刷ユニット１1 〜１6 のうち、少なくとも一つの印刷ユニット、例えば印刷ユニット１1 を残して同期駆動する印刷ユニット１2 〜１6 を入力装置３５によるユーザ入力により指定し、同期駆動指定以外の印刷ユニットの少なくとも一つ、この場合、印刷ユニット１1 を新版印刷ユニットとして入力装置３５によるユーザ入力により指定すると共に、同期駆動指定の印刷ユニット１2 〜１6 のうちの少なくとも一つ、例えば印刷ユニット１2 を旧版印刷ユニットとして入力装置３５によるユーザ入力により指定する。
【００２６】
これにより、入力装置３５は版替え印刷ユニット指定手段と同期駆動印刷ユニット指定手段として機能する。
【００２７】
版替えモードでは、ＤＳＰ２３による制御の下に、同期駆動対象の印刷ユニット１2 〜１6 を同期駆動すると共に同期駆動中の各印刷ユニット１2 〜１6 の圧胴１３を圧着動作させて印刷ユニット１2 〜１6 の各々により印刷を行い、残された停止状態の新版印刷ユニット１1 の版胴１１に次に使用する版をセットしておく。
【００２８】
版替え時には、ＤＳＰ２３は、版替え制御手段として動作し、新版印刷ユニット１1 を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の駆動速度まで増速する制御と、新版印刷ユニット１1 の版胴１１の回転位相を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の版胴１１の回転位相に一致させる位相調整制御とを行い、位相一致後に新版印刷ユニット１1 の圧胴１３を圧着動作させ、旧版印刷ユニット１2 の圧胴１４を退避させて旧版印刷ユニット１2 の同期駆動を停止させる制御を行う。
【００２９】
版替えに伴う圧胴１４の着脱によって印刷ユニット間のウェブパス長が変化するから、ＤＳＰ２３は、印刷ジョブ切替時に版胴周長の設定値が変更された際において、圧胴が圧着の状態における印刷ユニット間の位相と、圧胴が脱（退避）の状態における印刷ユニット間の位相の双方について演算を行う。
【００３０】
圧胴が着同士の位相演算は、初期見当プリセット調整時と同様に、ガイドローラ径、圧胴径、版胴１１とガイドローラ１５の軸間距離より算出された印刷ユニット間のウェブパス長を使用して行い、圧胴が脱を含む位相演算（例えば新版印刷ユニット１1 と旧版印刷ユニット１2 との位相演算は、ガイドローラ径、圧胴径、版胴１１とガイドローラ１５の軸間距離と、圧胴１４とガイドローラ１５の軸間距離より印刷ユニット間のウェブパス長を演算する。
【００３１】
また、版替えモードでは、ＤＳＰ２３は、予め設定されている印刷ジョブの印刷長Ｌｊと既に印刷された印刷長Ｌｐと現印刷速度Ｖより版替えの時期Ｔｃを下式によって演算予測し、演算予測された版替え時期に、上述の版替えプロセスを実行する。
【００３２】
Ｔｃ＝（Ｌｊ−Ｌｐ）／Ｖ
印刷長は、ロータリエンコーダ２９1 〜２９6 が出力する回転角信号より得られる版胴回転数Ｎと初期見当プリセット時に入力される版胴径Ｄより版胴１回転毎に印刷される長さＬｏを、Ｌｏ＝π・Ｄ・Ｎより算出し、印刷機制御回路よりオペレータ判断あるいは検査装置出力等による正紙／損紙信号を受け、正紙時に計算される長さＬｏを累積することにより求められる。
【００３３】
この版替え時期を版替えプロセスの開始時であると定義するならば、自動版替えシーケンスの開始時から新版印刷ユニット１1 を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の駆動速度まで増速し、新版印刷ユニット１1 の版胴１１の回転位相を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の版胴１１の回転位相に一致させるために必要な時間を考慮して版替え時期を手前に設定する。
【００３４】
なお、新版印刷ユニット１1 の圧胴入れ動作や、旧版印刷ユニット１2 の圧胴逃がし動作により、印刷ユニット間のウェブパス長が変動するから、印刷中に自動見当調整を行う機構を有している場合のものでは、上述のような版替え時には、自動見当調整運転を一時的に停止する。
【００３５】
また、ＤＳＰ２３は、サーボアンプ３９1 〜３９6 に対する位置指令信号の出力に同期してテンション制御インタフェース部２８を介して、巻出し部３、インフィード部５、アウトフィード部７、巻取り部９の各々にテンション制御のための印刷速度信号を出力する。
【００３６】
次に、図３に示されているフローチャートを参照してこの発明による輪転印刷機における自動版替え方法の実施要領について説明する。
【００３７】
まず、表示装置３７による印刷条件画面の表示下で、同期駆動する印刷ユニット１2 〜１6 の指定と、新版印刷ユニット１1 の指定と、旧版印刷ユニット１2 の指定を入力装置３５によるユーザ入力により行う（ステップＳ１０）。
【００３８】
つぎに、同期駆動対象の印刷ユニット１2 〜１6 を同期駆動すると共に同期駆動中の各印刷ユニット１2 〜１6 の圧胴１３を圧着動作させて印刷ユニット１2 〜１6 の各々により印刷を行い、残された停止状態の新版印刷ユニット１1 の版胴１１に次に使用する版をセットする（ステップＳ２０）。
【００３９】
印刷ユニット１2 〜１6 による印刷動作下で、予め設定されている印刷ジョブの印刷長と既に印刷された印刷長情報と現印刷速度より版替えの時期を演算予測し、演算予測された版替え時期が到来すれば（ステップＳ３０肯定）、版替えプロセスを実行、即ち自動版替えシーケンスを開始する（ステップＳ４０）。
【００４０】
この自動版替えシーケンスは、次の順序で行われる。
【００４１】
（１）新版印刷ユニット１1 の駆動速度を増速し（ステップＳ５０）、版胴１１の周速を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の周速に一致させる（ステップＳ６０）。即ち、新版印刷ユニット１1 の駆動速度を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の駆動速度まで増速する。
【００４２】
（２）予め計算されている各印刷ユニット間の位相差に基づいて、新版印刷ユニット１1 の版胴１１の回転位相を同期駆動中の印刷ユニット１2 〜１6 の版胴１１の回転位相に一致させる位相調整を行う（ステップＳ７０、Ｓ８０）。
【００４３】
（３）速度一致、位相一致後に、新版印刷ユニット１1 と印刷ユニット１3 〜１6 とは同期運転に移行する（ステップＳ９０）。
【００４４】
（４）自動見当調整運転を停止する（ステップＳ１００）。
【００４５】
（５）新版印刷ユニット１1 の圧胴入れを行い、これの圧胴１３を圧胴動作させる（ステップＳ１１０）。
【００４６】
（６）旧版印刷ユニット１2 の圧胴逃がしを行い、これの圧胴１３を退避させる（ステップＳ１２０）。
【００４７】
（７）旧版印刷ユニット１2 の駆動速度を減速し、旧版印刷ユニット１2 を停止させる（ステップＳ１３０）。
【００４８】
（８）これにより、版替えは完了し、自動見当調整運転を再開する（ステップＳ１４０）。
【００４９】
これにより、機械全体の運転を停止することなく版替えが行われる。
【００５０】
以上に於ては、この発明を特定の実施の形態について詳細に説明したが、この発明は、これに限定されるものではなく、この発明の範囲内にて種々の実施の形態が可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【００５１】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、請求項１による輪転印刷機の自動版替え方法によれば、次に使用する版をセットされた新版印刷ユニットと版替え対象の旧版印刷ユニットの各々の駆動制御と、それら印刷ユニットの圧胴の操作だけで、特別な機構を追加することなく、機械全体の運転を停止しないで版替えを行うことができ、印刷用紙の損失が削減され、印刷中に切り替え版の準備を行うことができて機械の稼動率が向上すると共に印刷作業の高能率化が可能になる。また特別な機構を必要としないから、性能を常に最善の状態に維持し易くなり、保守性も向上する。
【００５２】
請求項２による輪転印刷機の自動版替え方法によれば、版替え時期が自動的に設定され、版替えを無人化できる。
【００５３】
請求項３による輪転印刷機によれば、同期駆動印刷ユニット指定手段により同期駆動する印刷ユニットを指定することが行われ、版替え印刷ユニット指定手段により新版印刷ユニットと旧版印刷ユニットを指定することが行われ、版替え制御手段によって次に使用する版をセットされた新版印刷ユニットと版替え対象の旧版印刷ユニットの各々の駆動制御と、それら印刷ユニットの圧胴が操作されるだけで、特別な機構を追加することなく、機械全体の運転を停止しないで版替えを行うことができ、印刷用紙の損失が削減され、印刷中に切り替え版の準備を行うことができて機械の稼動率が向上すると共に印刷作業が高能率化が可能になる。また特別な機構を必要としないから、性能を常に最善な状態に維持し易くなり、保守性も向上する。
【００５３】
請求項４による輪転印刷機によれば、版替え時期演算手段によって版替えの時期が演算予測され、この版替え時期演算手段によって演算予測された版替え時期に版替え制御手段による版替えプロセスが実行されるから、版替えを無人化できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 この発明による輪転印刷機を６連式のグラビア輪転印刷機に適用した一つの実施の形態を示す全体構成図である。
【図２】 グラビア輪転印刷機の制御系の一つの実施の形態を示すブロック線図である。
【図３】 この発明による輪転印刷機における版替えプロセスのフローチャートである。
【符号の説明】
１1 〜１6 印刷ユニット
３ 巻出し部
５ インフィード部
７ アウトフィード部
９ 巻取り部
１１ 版胴
１３ 圧胴
１５ ガイドローラ
１７1 〜１７6 サーボモータ
２１ 駆動制御装置
２３ ディジタルシグナルプロセッサ（ＤＳＰ）
２５ メモリ部
２７1 〜２７6 モータ制御インタフェース部
３５ 入力装置
Claims (4)
- 各々版胴、圧胴、ガイドローラを具備した印刷ユニットを複数個有し、各印刷ユニットの版胴を各印刷ユニット毎に設けられた個別の回転駆動装置により各印刷ユニット毎に独立駆動するセクショナル駆動方式の輪転印刷機における自動版替え方法において、
前記複数個の印刷ユニットのうち少なくとも一つの印刷ユニットを新版印刷ユニットとして残して他の印刷ユニットを同期駆動すると共に同期駆動中の各印刷ユニットの圧胴を圧着動作させて印刷を行い、残された停止状態の新版印刷ユニットの版胴に次に使用する版をセットし、版替え時には前記新版印刷ユニットを同期駆動中の印刷ユニットの駆動速度まで増速すると共に、版替えによる圧胴の着脱によるウェブパス長の変化を考慮して印刷ユニット間の位相を演算し、これに基づいて新版印刷ユニットの版胴の回転位相を同期駆動中の印刷ユニットの版胴の回転位相に一致させる位相調整を行い、位相一致後に当該新版印刷ユニットの圧胴を圧着動作させて印刷を行い、同期駆動中の印刷ユニットのうち版替え対象の旧版印刷ユニットの圧胴を退避させて当該旧版印刷ユニットの同期駆動を停止することを特徴とする輪転印刷機における自動版替え方法。 - 予め設定されている印刷ジョブの印刷長と既に印刷された印刷長情報と現印刷速度より版替えの時期を演算予測し、演算予測された版替え時期に版替えプロセスを実行することを特徴とする請求項１に記載の輪転印刷機における自動版替え方法。
- 各々版胴、圧胴、ガイドローラを具備した印刷ユニットを複数個有し、各印刷ユニットの版胴を各印刷ユニット毎に設けられた個別の回転駆動装置により各印刷ユニット毎に独立駆動するセクショナル駆動方式の輪転印刷機において、 前記複数個の印刷ユニットのうち少なくとも一つの印刷ユニットを残して同期駆動する印刷ユニットを指定する同期駆動印刷ユニット指定手段と、
前記同期駆動印刷ユニット指定手段により指定されなかった印刷ユニットの少なくとも一つを新版印刷ユニットとして指定し、前記同期駆動印刷ユニット指定手段により指定された印刷ユニットのうちの少なくとも一つを旧版印刷ユニットとして指定する版替え印刷ユニット指定手段と、
版替え時には前記新版印刷ユニットを同期駆動中の印刷ユニットの駆動速度まで増速する制御と、版替えによる圧胴の着脱によるウェブパス長の変化を考慮して印刷ユニット間の位相を演算し、これに基づいて新版印刷ユニットの版胴の回転位相を同期駆動中の印刷ユニットの版胴の回転位相に一致させる位相調整の制
御を行い、位相一致後に当該新版印刷ユニットの圧胴を圧着動作させ、前記旧版印刷ユニットの圧胴を退避させて当該旧版印刷ユニットの同期駆動を停止させる制御を行う版替え制御手段と、
を有していることを特徴とする輪転印刷機。 - 予め設定されている印刷ジョブの印刷長と既に印刷された印刷長情報と現印刷速度より版替えの時期を演算予測する版替え時期演算手段を有し、前記版替え時期演算手段によって演算予測された版替え時期に前記版替え制御手段によって版替えプロセスを実行することを特徴とする請求項３に記載の輪転印刷機。
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