JP3827824B2 - 衣料用洗剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は衣料を洗濯する場合において優れた白度維持効果を有する衣料用洗剤組成物に関する。衣料の洗濯においてしばしば問題となるグレーイングを抑制する効果を有する衣料用洗剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
衣料用洗剤は、汚れを可溶化し繊維から洗濯液中に溶解・分散させる界面活性剤、界面活性剤の能力を低下させるカルシウムやマグネシウム等を洗濯液中から除去するための金属イオン封鎖剤、汚れの分解や可溶化を促進させるアルカリ剤、汚れを分散させるための高分子化合物、及びその他の洗浄ビルダーにより構成されている。
【0003】
衣料用洗剤に配合される成分の基本的な考え方は、これまで大きな変化なく今日に至っているが、具体的な成分については環境に対する配慮より見直しが行われてきた。その一つとして洗剤の無リン化が挙げられる。かつて衣料用洗剤には金属イオン封鎖剤としてトリポリリン酸ナトリウム等のリン化合物が配合されていた。しかしながら、湖水や沼などの富栄養化の原因の一つとしてこれらリン化合物が懸念されるにいたり、リン化合物に代わる金属イオン封鎖剤として、特定構造を有する結晶性アルミノ珪酸ナトリウム(当業界では合成ゼオライトと呼称される)がリン酸塩型ビルダーにおける問題がないうえ、近年では価格的にも安定していることから、金属イオン封鎖剤の主成分となっている。
【0004】
一方、洗剤の形状については、液状、スラリー状、ペースト状、粉末ないし粒状、タブレット状又は棒状等の多様の形状が提案されおり、それぞれにおいてこれまで多くの技術が出願・公開されてきた。これら形状のうち、1980年代後半の粉末洗剤の高嵩密度化は、そのコンパクトさが輸送ないし持ち運び並びに収納性に大きく寄与するものであったため、現在ではコンパクト洗剤が主流を占めるようになっている。
【0005】
ゼオライトは無リンビルダーとして汎用されているが、その硬度封鎖機構はリン酸塩のようなキレート形成ではなく、イオン交換によるものである。従って、交換速度は交換イオンのゼオライト中での拡散によって速度論的な制約を受ける。そのため、低水温、短時間の洗濯ではイオン交換に時間がかかり、洗浄力が不足するという問題がある。特に水和シェルの大きなMgイオンの交換に非常に時間がかかる。
【0006】
前述したゼオライトの性能上の問題から、ゼオライト以外の生分解性有機ビルダーの開発研究が行われている。例えば、エポキシコハク酸やマレイン酸とアスパラギン酸との反応により得られる特定の有機ビルダー及びこれを含有する洗浄剤組成物が特開平5-170714号公報に開示されており、また、特開平6-248300号公報には、ヒドロキシイミノジコハク酸からなるビルダーを特定量含有する洗浄剤組成物が開示されている。
【0007】
N,N −ビス(カルボキシルメチル)グルタミン酸塩は、上記の有機ビルダーよりも硬度成分封鎖能と生分解性に優れ、特開昭63-267751 号公報でN,N −ビス(カルボキシルメチル)グルタミン酸塩の洗剤用ビルダーとしての配合が示唆されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
有機キレート剤のなかで、アミノポリカルボン酸タイプのものは硬度成分の封鎖能に優れ、また界面活性剤との組み合わせにより高い皮脂洗浄力を示す。しかし、繰り返しの洗濯によって、衣類がグレーイングするといった問題があった。グレーイングは汚垢に含まれるすすのような無機成分が洗濯中に他の清浄な繊維表面に移動することにより生じる。本発明の目的は、アミノポリカルボン酸の一つであるN,N −ビス(カルボキシルメチル)グルタミン酸塩を配合した洗浄剤組成物において、グレーイングを抑制する効果を有し、かつ優れた皮脂汚れ洗浄力を有する洗剤組成物を見出すことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、衣料用洗剤組成物において、上記課題を解決するために鋭意研究したところ、界面活性剤、N,N −ビス(カルボキシルメチル)グルタミン酸塩、ポリエチレングリコールを含有する衣料用洗剤組成物が上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(a)界面活性剤 10〜50重量%
(b)下記一般式で表されるN,N −ビス(カルボキシルメチル)グルタミン酸塩1 〜40重量
【0011】
【化2】
【0012】
〔式中、M は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは塩基性アミノ基を示し、複数個のM は同一でも異なっていても良い。〕
(c)重量平均分子量1000〜20000 のポリエチレングリコール1.0 〜5 重量%
を含有する衣料用洗剤組成物を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明において、(a)成分の界面活性剤はアニオン性、ノニオン性のものが配合される。アニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜16のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン塩(SAS) 、α−オレフィンスルホン塩、1級、2級の高級アルコールの硫酸エステル塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、ノニオン性界面活性剤としては、炭素数8〜22のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、アルキルアミンオキサイド等である。界面活性剤は15〜50重量%、好ましくは25〜45重量%配合される。この配合量の範囲において、十分な洗浄力が得られ、また製造も容易である。
【0014】
(b)成分のN,N −ビス(カルボキシルメチル)グルタミン酸塩は下記一般式で表される。
【0015】
【化3】
【0016】
〔式中、M は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは塩基性アミノ基を示し、複数個のM は同一でも異なっていても良い。〕
(b)成分は、組成物中に1〜40重量%、好ましくは3〜30重量%配合される。1重量%未満では十分な洗浄効果が得られず、また40重量%を超えると洗剤の製造が困難である。
【0017】
本発明の(c)成分は重量平均分子量1000〜20000 、好ましくは4000〜15000 のポリエチレングリコールであり、その配合量は0.5 〜5 重量%、好ましくは1 〜3 重量%である。
【0018】
本発明の洗剤組成物は上記の(a)、(b)、(c)の必須成分の他に、下記のような他の任意成分を含有することができる。
【0019】
両性活性剤としてはアミノ酸型界面活性剤、N-アシルアミノ酸型界面活性剤などである。また、少量なら、カチオン性界面活性剤も併用することができる。カチオン界面活性剤としては第4級アンモニウム塩などを使用することができる。
【0020】
また、特に、本発明の衣料用洗剤組成物には、(d)成分としてカルボン酸系ポリマーを配合することが好ましい。カルボン酸系ポリマーとして、モノエチレン性不飽和のモノカルボン酸単位及び/又はモノエチレン性不飽和のジカルボン酸単位を含有する重量平均分子量1000〜150000、好ましくは10000 〜100000のものが用いられ、好ましくは下記の(VI)式で表されるコポリマー又は/及び(VII) 式で表されるホモポリマーなどのカルボン酸系ポリマーを配合することが好ましい。なおコポリマーは一般的にランダム重合である。
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、Z は炭素数1〜8のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メタリルスルホン酸などの(無水)マレイン酸、又はマレイン酸塩と共重合可能なモノマーと(無水)マレイン酸のコポリマーの塩、m はコポリマーの重量平均分子量が1000〜150000を示すような値である。M はNa、K 、NH4 、H である。)
【0023】
【化5】
【0024】
(式中、P は単独重合可能なモノマーであり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などがその例である。m'はホモポリマーの重量平均分子量が1000〜150000を示すような値である。ホモポリマーはNa、K 、NH4 等の塩となっている。)
これらのカルボン酸系ポリマーの中でアクリル酸−マレイン酸コポリマーの塩とポリアクリル酸塩(Na 、K 、NH4)が特に優れている。重量平均分子量は1000〜80000 が適している。これらポリマーはその一部もしくは全部が塩であってもよい。(d)成分の不飽和カルボン酸系高分子重合体は、組成物中に0.5 〜5重量%、好ましくは1〜4重量%配合されるとよい。0.5 %重量未満では十分な効果が得られず、また、5重量%を超えると洗剤の溶解性を低下させるので好ましくない。
【0025】
その他のビルダーとしては、ゼオライトである結晶性アルミノ珪酸塩、及び特開平7-89712号公報、特開昭60-227895 号公報記載の結晶性珪酸塩等の金属イオン封鎖剤、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びクエン酸塩等の有機金属イオン封鎖剤、ソーダ灰等のアルカリ金属炭酸塩及びJIS1、2もしくは3号珪酸ナトリウム等のアルカリ金属珪酸塩等のアルカリ剤、硫酸ナトリウム等の増量剤、ポリビニルピロリドン(PVP)及びポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース等の分散剤もしくは色移り防止剤(PVP)、過炭酸ナトリウム等の漂白剤、特開平6-316700号公報記載及びテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)等の漂白活性化剤、プロテアーゼ,セルラーゼ、アミラーゼ及びリパーゼ等の酵素、ホウ素化合物及び亜硫酸ナトリウム等の酵素安定剤、ビフェニル型、スチルベン型の蛍光染料、シリコーン/シリカ系等の消泡剤、酸化防止剤、青味付剤並びに香料等の従来から公知の成分を公知の配合量で配合することができる。上記成分として具体的には特開平8-218093 号公報に記載されているものを使用することができる。
【0026】
また製造方法としては、従来公知の製造方法を使用することができ、その製造条件は組成に応じた的確な条件が当業者によって容易に選択される。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、衣料の洗濯においてしばしば問題となるグレーイングを抑制する効果を有する衣料用洗剤組成物が得られる。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0029】
実施例1
表2に示す配合により、種々の洗剤組成物を調製し、下記の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0030】
<皮脂/カーボン汚れ洗浄力評価法>
(1)皮脂/カーボン汚れ汚染布の調製
【0031】
【表1】
【0032】
上記表1の組成物1kgを80リットルのパークレンに溶解分散し、金巾#2023布を浸漬して汚れを付着させた後パークレンを乾燥除去して、皮脂/カーボン汚れ汚染布を調製した。
【0033】
(2)洗浄条件及び評価方法
評価用洗浄剤水溶液1リットルに、上記で作成した10cm×10cmの人工汚染布5枚を入れ、ターゴトメーターにて100rpm で洗浄した。洗浄条件は次の通りである。
洗浄条件
洗浄時間 10分
洗剤濃度 0.067 %
水の硬度 3゜DH
水温 20℃
すすぎ 水道水にて5分間
洗浄力は汚染前の原布及び洗浄前後の汚染布の550nm における反射率を自記色彩計(島津製作所製)にて測定し、次式によって洗浄率(%)を求め、5枚の測定平均値を洗浄力として示した。
【0034】
【数1】
【0035】
<すす汚れ再汚染防止性能試験法>
木綿の白布(金布2003布)を10cm×10cmに裁断し、5枚1組とした。評価用洗剤水溶液1リットルにカーボン0.25gを加え、タートゴメーターにて次の条件で試験を行った。
洗浄条件
洗浄時間 10分
洗剤濃度 0.067 %
水の硬度 3゜DH
水温 20℃
すすぎ 水道水にて5分間
再汚染防止性能は、洗浄前の原布(白布)及び試験後の汚染布の550nm における反射率を自記色彩計(島津製作所製)にて測定し、次式によって再汚染防止率を求めた。
【0036】
【数2】
【0037】
【表2】
【0038】
(注)表2中の記号は以下の意味である。
・LAS:日石洗剤(株)製アルキルベンゼンスルホン酸「アルケンL(アルキル鎖の炭素数10〜14)」を48%NaOHで中和したもの
・AS:三菱化学(株)製ドバノール25サルフェート(C12〜C15硫酸)のソーダ塩
・SFE:パーム油由来、α−スルホ脂肪酸メチルエステルソーダ
・脂肪酸塩:牛脂由来脂肪酸ソーダ
・AE:ノニデッドS−7(C12、C13アルコールにEOを平均7モル付加したもの、三菱化学(株)製)
・結晶性珪酸塩:SKS−6(δーNa2Si2O5 、結晶性層状シリケート、平均粒子径20μm、ヘキストトクヤマ社製)
・非晶質珪酸塩:JIS2号珪酸ソーダ
・デンス粒灰:炭酸ソーダ
・ゼオライト:4Aゼオライト、平均粒径3μm
・APC:N,N −ビス(カルボキシルメチル)グルタミン酸四ナトリウム塩
・PAA:ポリアルリル酸ソーダ、平均分子量12000
・PEG:ポリエチレングリコール、平均分子量6000
・蛍光染料:チノパールCBS(チバガイギー社製)と、ホワイテックスSA(住友化学社製)を重量比で同量配合したもの。
・香料:特開平8−239700号公報の実施例記載の香料組成を使用
・酵素:サビナーゼ12.0T type-W(プロテアーゼ、ノボノルディスク社製)、リポラーゼ100T(リパーゼ、ノボノルディスク社製)、ターマミル60T (アミラーゼ、ノボノルディスク社製)及びKAC500(アルカリセルラーゼ、花王株式会社製)を重量比率で2:1:1:1の割合で配合したもの。
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