JP3827363B2 - 電縫管造管装置の制御装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、電縫管造管装置の溶接温度を制御する制御装置に関し、特に、連続的に造管する電縫管の品種を変更する場合や、造管装置を起動する場合に、熟練を要することなく簡単な操作により、造管開始時より良品を得ることができ、かつ、生産性を著しく向上させ得るように構成したものである。
【0002】
【従来の技術】
電縫管を製造する造管装置は、図4に示すように、高周波発振器1の出力側に接続されたワーク・コイル2とインピーダ3とを備え、ワーク・コイル2の中でインピーダ3を包むように帯状の鋼板4を丸め、V字形に開いた接合部の表面に沿って点線9で示す高周波電流を誘起せしめ、この誘起された高周波電流によって接合部を加熱しながら、突き合わせて溶接することにより電縫管5を連続的に製造するものである。
【0003】
このような電縫管の造管時における接合部の溶接温度が高過ぎると、鋼板4が熔融して湯玉になって落下することがあり、反対に低過ぎると、鋼板4が軟化しないために、突き合わせても接合できないので、接合に適した溶接温度を保つ必要がある。
【0004】
そこで、PID制御回路15を設け、接合部から放射される光線を色温度計のような光学的温度計6によって受光して光学的に温度を測定し、その測定温度と温度設定器24に設定された造管温度とに基づいて高周波発振器1の出力を制御している。
【0005】
接合部の溶接温度は、(1)入熱量、(2)鋼板の材質、(3)鋼板の厚み、(4)造管速度などによって変化する。特に、溶接温度は、同じ材質および同じ厚みの鋼板であっても造管速度により相違するので、造管速度を変更するときには、高周波発振器1の出力を調整して入熱量を変化させ、最適な溶接温度となるように入熱量を設定しなければならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような造管の開始に先立つ調整において、造管速度を変えて試し造管をしながら、接合部の温度が最適な溶接温度となるように、高周波発振器1を調整しなければならないので、最適な接合温度に調整し終えるまでの試し造管の期間に、多くの材料および電力を無駄に費やすことになる。
【0007】
電縫管の品種を変更することなく、同じ電縫管を造管する場合でも、一度、造管装置を停止したのち、造管装置を再起動する際にも、同様の調整作業を必要とする場合が多い。
【0008】
そこで、この発明の制御装置は、低速度で試し造管を行なって、接合部の溶接温度を最適ならしめる入熱量を一度設定すると、造管速度を変更しても自動的に接合部の溶接温度を一定に保つように構成して、調整作業を簡素化し、造管速度を変えてもすべて良品を得ることができる制御装置を提供することを目的として考えられたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明の電縫管造管装置の制御装置は、高周波発振器から出力される高周波電力が印加されるワーク・コイルの中で帯状の鋼板を丸めて走行させ、V字状に開いた接合部の表面に高周波電流を誘起せしめて加熱しながら突き合わせて溶接する電縫管造管装置と、
造管速度を設定する速度設定用ポテンショメータと、
溶接部の温度を測定する光学的温度計と、
溶接温度を設定する電圧が印加され、上記速度設定用ポテンショメータの摺動片と連動する摺動片を有する制御電圧発生用ポテンショメータと、
該制御電圧発生用ポテンショメータの接地側に接続された抵抗と、
上記制御電圧発生用ポテンショメータから出力される粗制御電圧および上記光学的温度計で測定した溶接温度を基準温度に近づける帰還制御を行う精制御電圧を加算し、上記高周波発振器に制御信号として印加する加算回路とを具備し、
造管速度が“0”においても、上記制御電圧発生用ポテンショメータと直列接続された上記抵抗により分圧された溶接温度を設定する電圧を上記制御電圧発生用ポテンショメータから発生させるように構成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
図4に示す造管装置により、厚みや材質が異なる各種の帯状鋼板について、造管速度Veを変化させながら、接合部の温度を最適溶接温度(例えば、1400℃)に保つための高周波発振器1に対する制御入力電圧Viを調べたところ、図1の特性曲線図に示すデータを実測することができた。なお、高周波発振器1の出力は、制御入力電圧Viにほぼ比例するように設計されている。
【0011】
すなわち、図1は、横軸に造管速度Veをとり、縦軸に高周波発振器1に対する制御入力電圧Viをとって示した特性曲線図であって、造管時における接合部の最適溶接温度(例えば、1400℃)をパラメータとして、造管速度Veと高周波発振器1に対する制御入力電圧Viとの関係を示した特性曲線図であり、厚みが異なる3種類の鋼板を使用して実測したところ、曲線a、b、cに示すように、各曲線は略直線を呈し、すべての曲線a、b、cは、特定の仮想点dを通ることが明らかになった。また、材質が異なる鋼板を使用した場合でも同様に実測でき、同じ仮想点dを通ることが明らかになった。
【0012】
そこで、この発明の電縫管造管装置の制御装置は、このような知見に基づいて考えられたものであって、図2に示すように、所定の造管速度における高周波発振器1に対する制御電圧Viを調整して溶接温度を設定する溶接温度設定用の第1のポテンショメータ21と、この第1のポテンショメータ21の摺動片から出力される電圧を増幅する増幅器12と、この増幅器12で増幅された出力電圧が一端に印加される制御電圧発生用の第2のポテンショメータ22と、この第2のポテンショメータ22の接地側に接続された半固定抵抗20よりなる粗制御系を備えている。
【0013】
この第2のポテンショメータ22の摺動片と連動する摺動片を有し、造管速度を制御する電圧を発生する第3のポテンショメータ23が設けられている。この第3のポテンショメータ23の一端には一定の直流電圧が印加され、他端は接地されている。
【0014】
さらに、光学的温度計6の出力電圧Vtと、基準電圧源7から発生する基準温度に対応した基準電圧Vrとの偏差(Vt−Vr)を得る減算回路8と、この減算回路8の出力が印加されるPID制御回路15と、このPID制御回路15の出力を開閉するスイッチ13とよりなる帰還制御を行なう精制御系を備える。
【0015】
このPID制御回路15の出力電圧と第2のポテンショメータ22の摺動片からの出力電圧とを加算して高周波発振器1に対して制御信号を出力する加算回路10を備えている。
【0016】
第2のポテンショメータ22の全抵抗値Rpと半固定抵抗20の抵抗値Roとの関係は、図1の特性曲線図における造管速度“0”と最大造管速度(例えば、70m/分)との長さをM、造管速度“0”と仮想点dとの長さをSとしたとき、
Ro/(Ro+Rp)=S/(S+M)
なる関係を満たすように設定する。したがって、第3のポテンショメータ23の摺動片が接地側にあって、造管速度が“0”でも、第2のポテンショメータ 22 と接地側に直列接続された半固定抵抗 20 とにより分圧された溶接温度を設定する電圧を第2のポテンショメータ 22 の摺動片から発生する。
【0017】
次に、このように構成された制御装置の動作について説明する。
【0018】
まず、スイッチ13を開放してPID制御回路15の出力を遮断して粗制御系のみを動作させる。連動する2つのポテンショメータ22、23を操作して、造管装置を低速度で運転させ、第2のポテンショメータ22の摺動片からの出力電圧を加算回路10を経て高周波発振器1に粗制御電圧として印加する。
【0019】
このようにして、造管装置を手動制御で動作させ、温度表示器61を見ながら、接合部が最適溶接温度(設定温度)となるように、第1のポテンショメータ21を調整する。
【0020】
この調整により、光学的温度計6の出力電圧Vtが、基準温度に対応した基準電圧Vrとほぼ等しくなると、減算回路8から出力される偏差電圧が“0”になる。
【0021】
一方、PID制御回路15においては、減算回路8から出力される光学的温度計6の出力電圧Vtと基準電圧Vrとの偏差に基づいて、比例・積分・微分の演算処理を行なって制御信号を出力している。
【0022】
第1のポテンショメータ21の手動調整により造管中の接合部の温度が安定すると、減算回路8から出力される偏差が“0”になって、PID制御回路15の出力電圧も“0”に近づく。
【0023】
そこで、スイッチ13を閉じると、第2のポテンショメータ22の摺動片から出力される粗制御電圧と、PID制御回路15から出力される精制御電圧とを加算回路10により加算して、この加算回路10から出力される精・粗両制御電圧の加算値を制御電圧Viとして、高周波発振器1に印加し、出力する高周波電力を制御して自動温度制御による造管を行なう。
【0024】
自動温度制御による造管中に、何らかの原因で接合部の温度が変化すると、PID制御回路15が動作して、精制御電圧を変化せしめて高周波発振器1を制御し、接合部の温度が設定温度となるように、高周波発振器1から出力される高周波電力を調整する。
【0025】
第3のポテンショメータ23を操作して造管速度を変更すると、連動する第2のポテンショメータ22の摺動片から出力される粗制御電圧も変化するので、加算回路10を介して変更した造管速度に適した制御信号を高周波発振器1に印加することができる。
【0026】
このようにして高周波発振器1を動作させると、接合部に対する入熱量が適性な値となって、最初から良品または良品に近い品質の電縫管を造管することが可能であり、また、造管中に造管速度を変更しても電縫管の品質に影響を及ぼすことはない。
【0027】
造管する電縫管の品種を変更する場合には、第2のポテンショメータ22の全抵抗値Rpと半固定抵抗20の抵抗値Roとの関係を変えることなく、適当な速度で造管し、最適な溶接温度となるように第1のポテンショメータ21を調整することにより、如何なる造管速度においても入熱量を最適ならしめることができる。
【0028】
(他の実施の形態)
以上で説明した実施の形態においては、第2のポテンショメータ22および第3のポテンショメータ23として、摺動片の位置と抵抗値が比例関係を呈するものとして説明したが、高周波発振器1に印加する制御信号Viと、高周波発振器1の出力電力が、図3に実線Pで示すような直線状の比例関係を有しないで、点線Qで示すような非直線状の関係を呈する場合には、第2のポテンショメータ22に複数のタップを設け、各タップ間に適当な補正用抵抗29を接続して直線化(リニアライズ)すればよいのである。
【0029】
また、以上で電縫管を製造する装置の制御を実施の形態として説明したが、この発明の制御装置は、焼鈍装置における焼き鈍し温度の管理、焼入れ装置における焼入れ温度の管理など各種の加熱装置に適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上の実施の形態に基づく説明から明らかなように、この発明の制御装置によると、造管開始時や造管速度を変更した場合でも、高周波発振器を適確に制御して、その造管速度に適した高周波電力を高周波コイルに印加することができ、溶接温度を安定化ならしめて均質な電縫管が得られ、歩留まりが向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の電縫管造管装置の制御装置の動作原理を説明するために用いる特性曲線図、
【図2】この発明の電縫管造管装置の制御装置の実施の形態を示すブロック図、
【図3】この発明の高周波発振器の制御入力と出力電力の関係を示す特性曲線図、
【図4】従来の電縫管を製造する造管装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 高周波発振器
2 コイル
6 光学的温度計
9 誘起された高周波電流
8 減算回路
10 加算回路
15 PID制御回路
20 半固定抵抗
21、22、23 ポテンショメータ
61 表示器
Claims (1)
- 高周波発振器から出力される高周波電力が印加されるワーク・コイルの中で帯状の鋼板を丸めて走行させ、V字状に開いた接合部の表面に高周波電流を誘起せしめて加熱しながら突き合わせて溶接する電縫管造管装置と、
造管速度を設定する速度設定用ポテンショメータと、
溶接部の温度を測定する光学的温度計と、
溶接温度を設定する電圧が印加され、上記速度設定用ポテンショメータの摺動片と連動する摺動片を有する制御電圧発生用ポテンショメータと、
該制御電圧発生用ポテンショメータの接地側に接続された抵抗と、
上記制御電圧発生用ポテンショメータから出力される粗制御電圧および上記光学的温度計で測定した溶接温度を基準温度に近づける帰還制御を行う精制御電圧を加算し、上記高周波発振器に制御信号として印加する加算回路とを具備し、
造管速度が“0”においても、上記制御電圧発生用ポテンショメータと直列接続された上記抵抗により分圧された溶接温度を設定する電圧を上記制御電圧発生用ポテンショメータから発生させることを特徴とする電縫管造管装置の制御装置。
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JP13417996A JP3827363B2 (ja) | 1996-05-02 | 1996-05-02 | 電縫管造管装置の制御装置 |
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JP13417996A JP3827363B2 (ja) | 1996-05-02 | 1996-05-02 | 電縫管造管装置の制御装置 |
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JPH09295163A JPH09295163A (ja) | 1997-11-18 |
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1996
- 1996-05-02 JP JP13417996A patent/JP3827363B2/ja not_active Expired - Fee Related
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