JP3826264B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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  • Characterised By The Charging Evacuation (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃焼室の吸気口を開閉するための吸気弁のリフト量を変えるためのリフト量変更機構と、燃焼室に流入する空気の量を制御するためのスロットル弁と、燃焼室に流入する空気の流入特性を変えるためにスロットル弁下流の吸気通路に配置された二種類の弁とを具備する内燃機関が特開2000−54847号公報に開示されている。当該公報において上記二種類の弁のうちの一方はスロットル弁から燃焼室までの距離を変えるための弁であり、他方の弁は燃焼室に流入する空気に対して共鳴効果を作用させるか否かを制御するための弁である。
【0003】
当該公報では機関回転数に応じてリフト量、スロットル弁から燃焼室までの距離、および共鳴効果の作用の有無いずれか一つを変更し、これにより全ての機関回転数に亘って燃焼室に流入する空気の体積効率を高め、機関出力トルクを高めるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報において開弁タイミングを変えるべく開弁タイミング変更機構を作動させたときには燃焼室に流入する空気の体積効率が急激に変化し、このために機関出力トルクも急激に変化するいわゆるトルクショックが生じる。このことは燃焼室の排気口を開閉するための排気弁のリフト量を変えるための機構を具備し、排気弁のリフト量を変更することにより燃焼室に流入する空気の体積効率が急激に変化し、斯くしてトルクショックが生じる内燃機関にも同様に生じる問題である。そこで本発明の目的は吸気弁または排気弁の開弁特性を変えたときにトルクショックが生じることを防止することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、1番目の発明では、内燃機関の燃焼室内に開口する吸気口を開閉するための吸気弁と、燃焼室内に開口する排気口を開閉するための排気弁と、これら吸気弁および排気弁の一方の開弁特性を変えるための開弁特性変更機構とを具備し、機関運転要求に基づいて上記開弁特性変更機構により開弁特性を変えるようにした内燃機関の制御装置であって、吸気弁が開弁せしめられたときに燃焼室内へ吸入せしめられる空気の吸気特性を変えるための吸気特性変更手段を上記開弁特性変更機構とは別個に具備し、且つ機関出力トルクを変更することのできる機関出力トルク変更手段を上記開弁特性変更機構および吸気特性変更手段とは別個に具備し、上記開弁特性変更機構を作動させて開弁特性を変更したときに上記機関出力トルク変更手段を制御することによって機関出力トルクの変化を抑制する機関出力トルク変化抑制制御を実行するようにした内燃機関の制御装置において、前記機関出力トルク変化抑制制御を実行する期間を吸気特性変更手段の動作状態に応じて定まる期間とする
【0006】
2番目の発明では、1番目の発明において、上記機関出力トルク変化抑制制御において、機関出力トルクが要求トルクよりも大きくなることが予測された場合には機関出力トルク変更手段により機関出力トルクを減少させ、機関出力トルクが要求トルクよりも小さくなることが予測された場合には機関出力トルク変更手段により機関出力トルクを増大することにより機関出力トルクの変化を抑制する
【0008】
上記課題を解決するために、番目の発明では、内燃機関の燃焼室内に開口する吸気口を開閉するための吸気弁と、燃焼室内に開口する排気口を開閉するための排気弁と、これら吸気弁および排気弁の一方の開弁特性を変えるための開弁特性変更機構とを具備し、機関運転要求に基づいて上記開弁特性変更機構により開弁特性を変えるようにした内燃機関の制御装置であって、吸気弁が開弁せしめられたときに燃焼室内へ吸入せしめられる空気の吸気特性を変えるための吸気特性変更手段を上記開弁特性変更機構とは別個に具備し、且つ上記吸気特性変更手段よりも上流の吸気通路の流路断面積を制御するスロットル弁を上記開弁特性変更機構および吸気特性変更手段とは別個に具備し、上記開弁特性変更機構を作動させて開弁特性を変更したときに上記スロットル弁の開度を制御することによって機関出力トルクの変化を抑制する機関出力トルク変化抑制制御を実行するようにした内燃機関の制御装置において、前記機関出力トルク変化抑制制御を実行する期間を吸気特性変更手段の動作状態に応じて定まる期間とする。
番目の発明では、番目の発明において、上記機関出力トルク抑制制御において、機関出力トルクが要求トルクよりも大きくなることが予測された場合には上記スロットル弁の開度を小さくし、機関出力トルクが要求トルクよりも小さくなることが予測された場合には上記スロットル弁の開度を大きくすることにより機関出力トルクの変化を抑制する。
【0009】
番目の発明では、1〜番目の発明のいずれか1つにおいて、内燃機関が複数の燃焼室を有し、これら燃焼室が複数の群に分割され、各燃焼室群に対応して吸気通路が接続され、上記吸気特性変更手段がこれら吸気通路を連通させたり遮断したりするための連通制御弁を具備する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図示した実施例を参照して本発明を説明する。図1は本発明の制御装置を備えた内燃機関を示す。なお以下の説明ではいわゆる4サイクルガソリンエンジンに本発明の制御装置を適用した実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されず、例えばディーゼルエンジンのようなその他の内燃機関に本発明を適用することもできる。
【0011】
図1において1は機関本体、2は吸気ポート、3は吸気弁、4は排気ポート、5は排気弁、6は燃焼室、7は点火栓である。燃焼室6内にはピストン8が配置される。吸気弁3は吸気弁開閉弁特性変更機構により開閉駆動せしめられる。吸気弁開閉弁特性変更機構については後に詳細に説明する。
図2に示したように機関本体1は複数(本実施例では四つ)の燃焼室6を有する。これら燃焼室6は複数(本実施例では二つ)の群に分割されている。第一の群は機関本体1の最も外側に位置する二つの燃焼室6から構成され、他方の第二の群は第一群の燃焼室6間に位置する二つの燃焼室6から構成される。
【0012】
これら各群の燃焼室6は対応するサージタンク10a,10bを介して吸気通路11に接続される。すなわち第一群の燃焼室6はサージタンク10aを介して吸気通路11に接続され、第二群の燃焼室6はサージタンク10bを介して吸気通路11に接続される。
またこれらサージタンク10a,10bは連通路10cを介して互いに接続されている。連通路10cにはサージタンク10a,10b同志の連通の有無を制御するための連通制御弁として可変吸気弁15aが配置される。可変吸気弁15a上流の吸気通路11には吸気絞り弁としてスロットル弁15bが配置される。
【0013】
また図1に示したようにスロットル弁15b上流の吸気通路11には機関本体1へ吸入せしめられる空気の質量流量(以下、吸気量)を検出するための質量流量検出器12が配置される。質量流量検出器12の上流側の吸気通路11にはエアクリーナ13が接続される。スロットル弁15bの下流側であって吸気ポート2近傍の吸気マニホルド9には燃料噴射弁16が取り付けられる。燃料噴射弁16は燃料供給通路17を介して燃料タンク18に接続される。燃料供給通路17には吐出量可変の燃料ポンプ19が配置される。排気ポート4は排気マニホルド20に接続される。排気マニホルド20は排気通路21に接続される。
【0014】
機関本体1には点火デストリビュータ25が取り付けられる。点火デストリビュータ25には二つのクランク角センサ26および27が取り付けられる。これらクランク角センサ26および27から出力されるパルス信号に基づいて機関回転数が算出される。
内燃機関は電子制御装置50を具備する。電子制御装置50はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス51により互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)52、RAM(ランダムアクセスメモリ)53、CPU(マイクロプロセッサ)54、入力ポート55、および出力ポート56を具備する。質量流量検出器12は対応するAD変換器57を介して入力ポート55に接続される。クランク角センサ26および27は入力ポート55に直接接続される。点火栓7、可変吸気弁15a、スロットル弁15b、燃料噴射弁16、および燃料ポンプ19は対応する駆動回路58を介して出力ポート56に接続される。アクセルペダル14には負荷センサ28が接続される。負荷センサ28は内燃機関に対する要求機関負荷を検出する。負荷センサ28は対応するAD変換器57を介して入力ポート55に接続される。
【0015】
次に図3〜図5を参照して本実施例の吸気弁開閉弁特性変更機構を簡単に説明する。図3は吸気弁開閉弁特性変更機構の全体図である。吸気弁開閉弁特性変更機構は主に吸気弁3の閉弁タイミングを変更するための機構(以下、閉弁タイミング変更機構)と、吸気弁3の開弁量を変更するための機構(以下、開弁量変更機構)とを具備する。閉弁タイミング変更機構を図3に詳細に示し、開弁量変更機構を図4に詳細に示した。なお閉弁タイミング変更機構の代わりに吸気弁3の開弁タイミングを変更するための開弁タイミング変更機構を採用してもよい。
【0016】
閉弁タイミング変更機構は図4に示したようにロータ43とハウジング44とを有する。ロータ43は一定範囲内において回動可能にハウジング44内に収容される。またロータ43はカムシャフト34に回転不能に取り付けられる。さらにロータ43は図4に示したようにその外周壁面から径方向外方へと延びる四つの羽根45を有する。一方、ハウジング44はその内周壁面から径方向内方へと延びる四つの隔壁46を有する。ロータ43がハウジング44内に収容されたときにこれら羽根45と隔壁46との間に八つの隔室46a、46bが形成される。これら隔室には切換弁48を介してオイルポンプ49が接続される。オイルタンク41内のエンジンオイルが隔室46aに供給されると閉弁タイミングが早くせしめられる。一方、エンジンオイルが隔室46bに供給されると閉弁タイミングが遅くせしめられる。このようにエンジンオイルが供給される隔室を変えることにより吸気弁3の閉弁タイミングを変更することができる。なおハウジング44は歯車であり、図3に示したように内燃機関の出力により回転せしめられる歯車60に係合する。
【0017】
一方、開弁量変更機構は図5に示したように三つのカム32a、32b、32cと、これらカムに対応する三つのリフトアーム33a、33b、33cとを有する。各カムが吸気弁3をリフトする量、すなわち開弁量はそれぞれ異なる。図5に示したように中央のリフトアーム33aの端部に一つの貫通孔36が形成される。残りの二つのリフトアーム33b、33cの端部にはそれぞれ油圧室37b、37cが形成される。各油圧室37b、37c内にはそれぞれ対応してピン38b、38cが摺動可能に収容される。これら油圧室37b、37cは切換弁40を介してオイルポンプ49に接続される。オイルタンク41内のエンジンオイルがいずれの油圧室37b、37cにも供給されないときにはカム33aにより吸気弁3が開弁駆動せしめられる。またエンジンオイルが油圧室37bに供給されたときにはカム33bにより吸気弁3が開弁駆動せしめられる。さらにエンジンオイルが油圧室37cに供給されたときにはカム33cにより吸気弁3が開弁駆動せしめられる。このようにエンジンオイルが供給される油圧室を変えることにより吸気弁3の開弁量を変更し、燃焼室6内に供給せしめられる吸気量を制御することができる。
【0018】
通常機関運転時においては機関回転数Neと機関要求負荷Lとに応じて要求吸気量TGaと要求燃料噴射量TQとが算出される。本実施例ではこれら要求吸気量TGaおよび要求燃料噴射量TQとを図6に示したように機関回転数Neと機関要求負荷Lとの関数としてマップの形で予め記憶しておき、当該マップを用いて要求吸気量TGaおよび供給燃料噴射量Qを算出する。
【0019】
次いで要求吸気量TGaに応じて開弁量変更機構の三つのカム33a,33b,33cのいずれのカムにより吸気弁3を開弁させるかを決定する。すなわち吸気弁3を開弁させるためにいずれのカムを実質的に機能させるかを決定する。本実施例では要求吸気量TGaが多いときには吸気弁3を最も大きく開弁することができるカム(以下、大カム)32cが選択され、要求吸気量TGaが中程度の量であるときには吸気弁3を中程度の大きさで開弁することができるカム(以下、中カム)32bが選択され、要求吸気量TGaが少ないときには吸気弁3を最も小さく開弁することができるカム(以下、小カム)32aが選択される。
【0020】
ところでこのように要求吸気量TGaに応じて決定されたカムを機能させるように変更したときには実際の吸気量(以下、実吸気量)は段階的にしか変化しないので実吸気量を正確に要求吸気量TGaとすることができないことがある。そこで本実施例では吸気弁3の閉弁タイミングを変更すれば実吸気量が変化することを利用して実吸気量が正確に要求吸気量となるようにする。すなわち機能させるべきカム(以下、有効カム)を変更した後に要求吸気量TGaと実吸気量との間のずれ量に応じて閉弁タイミング変更機構により吸気弁3の閉弁タイミングを変更するようにする。本実施例の閉弁タイミング変更機構は吸気弁3の閉弁タイミングを連続的に変更することができるので実吸気量を正確に要求吸気量TGaとすることができる。
【0021】
次に本実施例における可変吸気弁15aの作動制御とその作用について説明する。一般的にスロットル弁と燃焼室との間の吸気通路(吸気マニホルドやサージタンクを含む)には吸気弁が開弁したときに燃焼室から圧力波が伝幡し、この圧力波は吸気通路にて吸気弁に向かって反射する。こうして吸気弁に到達した圧力波は燃焼室に流入する空気の流入特性に影響を与える。
【0022】
もちろん燃焼室に流入する空気の体積効率をできるだけ高くするという観点からは空気の流入特性を向上するように圧力波を影響させることが好ましい。ところがこの圧力波の影響は機関回転数によっても変わってくる。なぜならば圧力波の波長がピストンの往復動速度や単位時間当たりの吸気弁の開弁回数に依存して変わるからである。したがって空気の流入特性を高く維持するためには機関回転数によって吸気通路の容積や燃焼室から圧力波の反射面までの距離を変える必要がある。
【0023】
本実施例の可変吸気弁15aはこのことを可能ならしめるための手段である。すなわち可変吸気弁15aは吸気弁が開弁せしめられたときに燃焼室内へ吸入せしめられる空気の吸気特性を変えるための手段として機能する。本実施例では機関回転数が小さいときには連通路10cを閉じるべく可変吸気弁15aを閉弁する。一方、機関回転数が予め定められた値以上に高くなったときには連通路10cを開放すべく可変吸気弁15aを開弁する。
【0024】
もちろん上述した機関回転数と可変吸気弁の開閉状態との関係は燃焼室6スロットル弁15bとの間の吸気通路の構成によって異なり、上述したように空気の流入特性が最も高くなるように圧力波を影響させるように選択すればよい。
ところで本実施例では機関運転要求に応じて開弁量を変えるべく開弁量変更機構を作動させたときにいわゆるトルクショックを防止するための制御(以下、過渡時制御)を実行するようにしている。次にこの過渡時制御について説明する。
【0025】
開弁量変更機構が作動せしめられ、有効カムが例えば大カム32cから小カム32aに切換えられた時点ではサージタンク10a,10b内の圧力(以下、サージタンク圧)は低い。したがってカム切換直後において吸気弁3が開弁したときには燃焼室6に空気が吸入されづらい。すなわち吸気量が少なくなる。しかも有効カムが大カム32cから小カム32aに切換えられたことからも吸気量が少なくなる。
【0026】
こうしたことから有効カムが大カム32cから小カム32aに切換えられたときには吸気量が急激に大幅に目標吸気量よりも少なくなる。
逆に有効カムが小カム32aから大カム32cに切換えられたときには吸気量が急激に大幅に目標吸気量よりも多くなる。
もちろんこれら以外にも有効カムが大カム32cから中カム32b、中カム32bから小カム32a、或いは小カム32aから中カム32b、中カム32bから大カム32cに切換えられたときにも同様に吸気量が急激に大幅に変化する。
【0027】
このため有効カムが切換えられたときには吸気量の大幅な変化に伴ってトルクショックが発生する。
そこで本実施例の過渡時制御によれば有効カムが大きいカムから小さいカムに切換えられたときには出力トルクが要求トルクよりも急激に小さくなると予測し、スロットル弁15bの開度(以下、スロットル開度)をそのときの目標開度よりも一時的に大きくする。これによればサージタンク圧が急激に高められ、燃焼室6内に空気が吸入されやすくなる。このため有効カム切換時に吸気量が急激に大幅に目標吸気量からずれて少なくなることはなくなり、斯くして所望ではない機関出力トルク変動、すなわちトルクショックが生じることもない。すなわち本実施例ではスロットル弁15bは機関運転状態を制御することができる手段として機能する。
【0028】
なお過渡時制御の実行を開始してから一定期間が経過すればサージタンク圧は十分に高くなっているので本実施例では過渡時制御の実行を開始してから予め定められた期間が経過したときに過渡時制御を終了し、スロットル弁開度を目標開度とする。
一方、有効カムが小さいカムから大きいカムに切換えられたときには出力トルクが目標トルクよりも急激に大きくなると予測し、スロットル弁開度をそのときの目標開度よりも一時的に小さくする。これによればサージタンク圧が急激に低下せしめられ、燃焼室6内に空気が吸入されづらくなる。このため有効カム切換時に吸気量が急激に大幅に目標吸気量からずれて多くなることはなくなり、斯くして所望ではないトルクショックが生じることもない。
【0029】
なおこの場合においても過渡時制御の実行を開始してから一定期間が経過すればサージタンク圧は十分に低く維持されることから過渡時制御の実行を開始してから予め定められた期間が経過したときに過渡時制御を終了し、スロットル開度を目標開度とする。
また過渡時制御を終了するときに初めてスロットル開度を目標開度に向かって変えるのではなく、サージタンク圧の変化(上昇または下降)に追従して過渡時制御の実行を開始してからスロットル開度を徐々に目標開度に近づけるようにすればトルクショックの発生を防止するという観点からは好ましい。
【0030】
ところで本実施例によれば例えば有効カムを大カム32cから小カム32aに切換えたときに過渡時制御によりスロットル開度を目標開度よりも大きくし、目標とする量の空気を燃焼室6に吸入することができる目標圧力にまでサージタンク10a,10b内の圧力をできるだけ素早く到達させ、これによりトルクショックを防止するようにしている。そして過渡時制御を実行すべき期間(以下、必要実行期間)はサージタンク圧を目標圧力にまで到達させるのに必要な期間に相当する。
【0031】
この必要実行期間は有効カムを同様に切換えた場合であっても可変吸気弁15cの開閉状態によって異なる。すなわちこの必要実行期間は可変吸気弁15aが開弁状態にあるときには長く、一方、可変吸気弁15aが閉弁状態にあるときには短い。このように必要実行期間を異ならせる要因の一つとしてはサージタンク10a,10bの容積の大小が考えられる。しかしながら本実施例ではこの容積は可変吸気弁15aの開閉状態に関係なく一定である。
【0032】
そこで本実施例において可変吸気弁15aの開閉状態によって必要実行期間が異なるのは次の理由によるものと考える。有効カム切換時においてサージタンク圧を例えば高めるべくスロットル開度を目標開度よりも大きくした場合、サージタンク圧の上昇速度は主に単位時間当りにサージタンク10a,10b内に流入する空気の量に影響される。
【0033】
すなわち可変吸気弁15aが開弁されているときにはサージタンク10a,10b間を空気が行き交い、このためサージタンク10a,10b内には乱流が生じ、したがって空気は可変吸気弁15aが閉弁しているときに比べてサージタンク10a,10bに流入しづらくなる。このために可変吸気弁15aが開弁されているときには閉弁されているときに比べて必要実行期間が長くなる。
【0034】
一方、有効カム切換時においてサージタンク圧を低下させるべくスロットル開度を目標開度よりも小さくした場合にも同様の理由から可変吸気弁15aが開弁されている時には、閉弁されている時に比べて必要実行期間が長くなる。
こうした現象を踏まえて本実施例では過渡時制御を実行する期間(以下、過渡時制御実行期間)を可変吸気弁15aが開弁状態にあるときには長く、逆に可変吸気弁15aが閉弁状態にあるときには短くする。
【0035】
トルクショックが生じることのない領域にて過渡時制御を実行するとかえってサージタンク圧が過剰に高くなったり低くなったりし、要求トルクを正確に出力することができないが上述したように過渡時制御実行期間を変えることにより過渡時制御が過不足なく実行されるので要求トルクを正確に出力することができる。
【0036】
次にこうした本実施例の内燃機関の制御装置を用いたときの作用を図7に示した例を参照して説明する。なお図7に示した例は理解しやすいように機関出力トルクを一定値に維持すべきときの例である。
図7に示した例においては図7(A)に示したように時刻t1において有効カムが大カムから小カムに切換えられる。このときの可変吸気弁15aの状態は閉弁状態にある。そして時刻t1において図7(C)に示したようにスロットル弁15bの開度(スロットル開度)を目標開度DHよりも大きくし、その後、徐々に小さくし、過渡時制御実行期間Δt1をかけてスロットル開度を目標開度DHとする。こうすることによりサージタンクは図7(D)の実線で示したように時刻t1から素早く上昇せしめられ、したがって機関出力トルク図7(E)の実線で示したように一定に維持されたままである。なお図7(D)および図7(E)において鎖線は過渡時制御を実行しなかったときのサージタンク圧の変化と、機関出力トルクの変化を示している。
【0037】
次に時刻t2 において有効カムが小カムから大カムに切換えられる。このときの可変吸気弁15aの状態は閉弁状態にある。そして時刻t2 においては図7(C)に示したようにスロットル開度を目標開度DLよりも小さくし、その後、徐々に大きくし、過渡時制御実行期間Δt1 をかけてスロットル開度を目標開度DLとする。これによりサージタンク圧は図7(D)の実線で示したように時刻t2 から素早く下降せしめられ、したがって機関出力トルクは図7(E)の実線で示したように一定に維持される。
【0038】
さらに図7の例では時刻t3 において有効カムが大カムから小カムに切換えられる。このときの可変吸気弁15aの状態は開弁状態にある。そして時刻t3 においては図7(C)に示したようにスロットル開度を目標開度DHよりも大きくし、その後、徐々に小さくし、過渡時制御実行期間Δt1 よりも長い過渡時制御実行期間Δt2 をかけてスロットル開度を目標開度DHとする。これによりサージタンク圧は図7(D)の実線で示したように時刻t3 から素早く上昇せしめられ、したがって機関出力トルクは図7(E)の実線で示したように一定に維持される。
【0039】
さらに図7の例では時刻t4 において有効カムが小カムから大カムに切換えられる。このときの可変吸気弁15aの状態は開弁状態にある。そして時刻t4 においては図7(C)に示したようにスロットル開度を目標開度DLよりも小さくし、その後、徐々に大きくし、過渡時制御実行期間Δt2 をかけてスロットル開度を目標開度DLとする。これによりサージタンク圧は図7(D)の実線で示したように時刻t2 から素早く下降せしめられ、したがって機関出力トルクは図7(E)の実線で示したように一定に維持される。
【0040】
最後に本実施例の内燃機関の制御を実行するための図8に示したフローチャートについて説明する。なお図8のフローチャートでは過渡時制御を実行すべき期間(過渡時制御実行期間)を図9のマップから読み込むようにしている。ここで図9を参照すると過渡時制御実行期間は機関回転数の関数であり、機関回転数が大きいほど過渡時制御実行期間は長くなる。これは機関回転数が大きいほどサージタンク圧の変動が大きく、サージタンク内に乱流が生じやすいためにサージタンク圧を目標圧に到達させるのに時間がかかるからである。
【0041】
図8のフローチャートでは初めにステップ100において開弁量が変更されたか否か、すなわち開弁量変更機構により有効カムが変更されたか否かが判別される。ステップ100において開弁量が変更されたと判別されたときにはステップ101に進む。一方、ステップ100において開弁量が変更されていないと判別されたときには処理を終了する。
【0042】
ステップ101では可変吸気弁15aが閉弁状態にあるか否かが判別される。ステップ101において可変吸気弁15aが閉弁状態にあると判別されたときにはステップ102に進んで過渡時制御実行期間Δt1 を図9(A)に示したマップから機関回転数に基づいて読み込み、次いでステップ103において過渡時制御Iが実行される。過渡時制御Iでは有効カムが大きいカムから小さいカムに切換えられた場合にはスロットル弁15bの開度(スロットル開度)が目標開度よりも大きくされ、一方、有効カムが小さいカムから大きいカムに切換えられた場合にはスロットル開度が目標開度よりも小さくされる。次いでステップ104において開弁量が変更されてからの時間Δtがステップ102において読み込まれた期間Δt1 を越えた(Δt>Δt1 )か否かが判別される。
【0043】
ステップ104においてΔt>Δt1 であると判別されたときにはステップ105に進んで過渡時制御が終了せしめられる。一方、ステップ104においてΔt≦Δt1 であると判別されたときにはステップ103に進んで過渡時制御Iが実行される。このときに実行される過渡時制御Iでは現在のスロットル開度が目標開度よりも大きい場合にはスロットル開度が第一の予め定められた値だけ小さくされ、一方、現在のスロットル開度が目標開度よりも小さいときにはスロットル開度が第一の予め定められた値だけ大きくされる。これによればルーチンがステップ103を通過するたびにスロットル開度が徐々に目標開度に近づけられる。
【0044】
ステップ101において可変吸気弁15aが開弁状態にあると判別されたときにはステップ106に進んで過渡時制御実行期間Δt2 を図9(B)に示したマップから機関回転数に基づいて読み込み、次いでステップ107において過渡時制御IIが実行される。過渡時制御IIでは有効カムが大きなカムから小さなカムに切換えられた場合にはスロットル開度が目標開度よりも大きくされ、有効カムが小さなカムから大きなカムに切換えられた場合にはスロットル開度が目標開度よりも小さくされる。次いでステップ108において開弁量が変更されてからの時間Δtがステップ106において読み込まれた期間Δt2 を越えた(Δt>Δt2 )か否かが判別される。
【0045】
ステップ108においてΔt>Δt2 であると判別されたときにはステップ105に進んで過渡時制御が終了せしめられる。一方、ステップ108においてΔt≦Δt2 であると判別されたときにはステップ107に進んで過渡時制御IIが実行される。このときに実行される過渡時制御IIでは現在のスロットル開度が目標開度よりも大きい場合にはスロットル開度が上記第一の予め定められた値よりも小さい第二の予め定められた値だけ小さくされ、一方、現在のスロットル開度が目標開度よりも小さい場合にはスロットル開度が第二の予め定められた値だけ大きくされる。これによればルーチンがステップ103を通過するたびにスロットル開度が徐々に目標開度に近づけられる。
【0046】
なお本発明は排気弁の開弁特性を変更することにより吸気量を変えることができるようにした内燃機関にも適用可能である。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば機関出力トルクの急激な変動、すなわちトルクショックの発生が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御装置を適用した内燃機関の全体図である。
【図2】機関本体の全体図である。
【図3】図1に示した内燃機関の吸気弁開閉弁特性制御機構を示した図である。
【図4】図3に示した吸気弁開閉弁特性制御機構を詳細に示した図である。
【図5】図3に示した吸気弁開閉弁特性制御機構を詳細に示した図である。
【図6】(A)は要求吸気量TGaを算出するためのマップを示し、(B)は要求燃料噴射量TQを算出するためのマップを示す。
【図7】本実施例の内燃機関の制御装置を説明するためのタイムチャートである。
【図8】本実施例の内燃機関の制御を実行するためのフローチャートである。
【図9】過渡時制御実行期間を算出するためのマップである。
【符号の説明】
1…機関本体
3…吸気弁
15a…可変吸気弁
15b…スロットル弁

Claims (5)

  1. 内燃機関の燃焼室内に開口する吸気口を開閉するための吸気弁と、燃焼室内に開口する排気口を開閉するための排気弁と、これら吸気弁および排気弁の一方の開弁特性を変えるための開弁特性変更機構とを具備し、機関運転要求に基づいて上記開弁特性変更機構により開弁特性を変えるようにした内燃機関の制御装置であって、吸気弁が開弁せしめられたときに燃焼室内へ吸入せしめられる空気の吸気特性を変えるための吸気特性変更手段を上記開弁特性変更機構とは別個に具備し、且つ機関出力トルクを変更することのできる機関出力トルク変更手段を上記開弁特性変更機構および吸気特性変更手段とは別個に具備し、上記開弁特性変更機構を作動させて開弁特性を変更したときに上記機関出力トルク変更手段を制御することによって機関出力トルクの変化を抑制する機関出力トルク変化抑制制御を実行するようにした内燃機関の制御装置において、前記機関出力トルク変化抑制制御を実行する期間を吸気特性変更手段の動作状態に応じて定まる期間とすることを特徴とする内燃機関の制御装置
  2. 上記機関出力トルク変化抑制制御において、機関出力トルクが要求トルクよりも大きくなることが予測された場合には機関出力トルク変更手段により機関出力トルクを減少させ、機関出力トルクが要求トルクよりも小さくなることが予測された場合には機関出力トルク変更手段により機関出力トルクを増大することにより機関出力トルクの変化を抑制するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置
  3. 内燃機関の燃焼室内に開口する吸気口を開閉するための吸気弁と、燃焼室内に開口する排気口を開閉するための排気弁と、これら吸気弁および排気弁の一方の開弁特性を変えるための開弁特性変更機構とを具備し、機関運転要求に基づいて上記開弁特性変更機構により開弁特性を変えるようにした内燃機関の制御装置であって、吸気弁が開弁せしめられたときに燃焼室内へ吸入せしめられる空気の吸気特性を変えるための吸気特性変更手段を上記開弁特性変更機構とは別個に具備し、且つ上記吸気特性変更手段よりも上流の吸気通路の流路断面積を制御するスロットル弁を上記開弁特性変更機構および吸気特性変更手段とは別個に具備し、上記開弁特性変更機構を作動させて開弁特性を変更したときに上記スロットル弁の開度を制御することによって機関出力トルクの変化を抑制する機関出力トルク変化抑制制御を実行するようにした内燃機関の制御装置において、前記機関出力トルク変化抑制制御を実行する期間を吸気特性変更手段の動作状態に応じて定まる期間とすることを特徴とする内燃機関の制御装置
  4. 上記機関出力トルク抑制制御において、機関出力トルクが要求トルクよりも大きくなることが予測された場合には上記スロットル弁の開度を小さくし、機関出力トルクが要求トルクよりも小さくなることが予測された場合には上記スロットル弁の開度を大きくすることにより機関出力トルクの変化を抑制するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の制御装置
  5. 内燃機関が複数の燃焼室を有し、これら燃焼室が複数の群に分割され、各燃焼室群に対応して吸気通路が接続され、上記吸気特性変更手段がこれら吸気通路を連通させたり遮断したりするための連通制御弁を具備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の制御装置
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