JP3826152B2 - 電子源及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、撥水性の膜パターンから帯電防止膜を形成することができる帯電防止膜形成用組成物を用い、撥水性を有する、帯電防止膜の前駆体膜パターンを利用して、電子放出部が形成される素子膜を形成する工程を有する電子源の製造方法及び該電子源の製造方法を用いた画像表示装置の製造方法に関する。
従来、絶縁性の基板上に、一対の素子電極と、該素子電極間に跨って設けられた、電子放出部を有する素子膜とからなる電子放出素子を複数設けた電子源について、基板の表面が帯電すると、電子放出素子の電子放出特性が不安定となり、また電子放出素子の放電劣化を生じることから、上記素子電極と、電子放出部形成前の素子膜とを設けた基板上に、帯電防止膜の構成材料を含む帯電防止膜形成液を用いたスプレー塗布やラングミュアブロジェット法などにより被膜を形成し、これを焼成して帯電防止膜を形成しておくことが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、上記電子放出素子における素子膜を、該素子膜の前駆体の構成材料を水系媒体に溶解又は分散させた液体をインクジェット法などにより液滴として素子電極間に付与し焼成することで形成することが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平8−180801号公報 特開2002−358874号公報 特開2000−251665号公報
しかしながら、上記従来の帯電防止膜の製造方法は、素子膜を形成した後に帯電防止膜形成用の被膜を形成して焼成することが必要となるため、素子膜を形成するための焼成と、帯電防止膜を形成するための焼成の2度の焼成が必要となり、工程数が多くなり、製造コストが高くなる問題がある。
また、上記従来の素子膜の形成方法は、素子電極間に付与した前記液体が流れやすく、得られる素子膜の大きさと厚さが安定しにくく、この素子膜に電子放出部を形成することで得られる電子放出素子の特性が不安定になりやすい問題がある。
本発明は、所望の大きさと厚さの素子膜を再現性良く安定して得ることができるようにすることを目的とする。
また、本発明は、電子放出素子における電子放出部が形成される素子膜を、所望の大きさと厚さで再現性良く安定して得ることができるようにし、もって電子放出特性が均一で、しかも再現性の良い複数の電子放出素子を有する電子源を容易に製造できるようにすることを目的とする。
更に、本発明は、電子放出部を有する素子膜を備えた電子放出素子及び帯電防止膜を備える電子源の形成に際し、焼成回数を減らし、製造工程を簡略化すると共に、所望の大きさと厚さの素子膜を再現性良く安定して得ることができるようにし、電子放出特性の均一な、再現性の良い、複数の電子放出素子を有する電子源を容易に製造し得る方法及びこれを用いた画像表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
発明の第は、基体上に、複数の、電子放出部を有する素子膜、及び、前記複数の素子膜の周囲に配置された帯電防止膜とを有する電子源の製造方法であって、
金属と、感光性成分と、撥水性成分とを含有する膜を基体上に形成する工程と、
膜に露光と現像を施して、撥水性を有し、しかも開口部を有する、前記帯電防止膜の前駆体膜パターンを形成する工程と、
前記基体上の前記開口部に、前記素子膜の構成材料と水とを含有する液体を付与し、前記素子膜の前駆体膜パターンを形成する工程と、
前記帯電防止膜の前駆体膜パターンと前記素子膜の前駆体膜パターンとを焼成して、前記基体上に、前記帯電防止膜と前記素子膜とを形成する工程とを有することを特徴とする電子源の製造方法である。
更に本発明の第は、上記本発明の第に係る電子源の製造方法で製造した電子源を、該電子源からの電子の照射によって画像を表示する画像表示部材を有する基板とを対向して配置することを特徴とする画像表示装置の製造方法である。
本発明の帯電防止膜形成用組成物によれば、フォトレジストの手法を用いて、自由な膜パターンを形成することができるので、この膜パターンを焼成することで得られる帯電防止膜を任意の範囲及び形状で形成することができる。また、得られる膜パターンは、撥水性を有することから、素子膜の前駆体の構成材料を水系媒体に溶解又は分散させた液体を用いて素子膜の前駆体膜パターンを形成するに際し、該液体の塗布領域を規定する型として用いることができる。
本発明の電子源及び画像表示装置の製造方法によれば、撥水性の膜パターンで囲まれた領域に素子膜の前駆体を形成する液体を付与することで、付与された該液体を膜パターンで囲まれた領域に留めておくことができ、均一な大きさと厚みの素子膜を形成しやすく、この素子膜に電子放出部を形成することで得られる電子放出素子の特性を安定させやすい。また、焼成前の膜パターンで囲まれた領域に前記液体を付与した後に1回焼成を行えば帯電防止膜と素子膜を同時に形成することができ、素子膜の形成のための焼成と、帯電防止膜の形成のための焼成とを別々に行っていた従来に比して、焼成回数を減らすことができ、工程の簡略化によるコストダウンを図ることができるものである。
本発明の帯電防止膜形成用組成物(以下「組成物」という)は、後述するように、これを用いて得られる膜パターンを焼成することによって抵抗性の膜を形成するものであって、このような抵抗性の膜は、帯電を生じやすい基体上に配置されて、かかる基体表面の帯電防止膜として好ましく適用される。本発明の組成物における金属とは、例えば、錫、クロム、インジウム、タングステン、アルミニウム、銀、白金などが挙げられ、少なくとも後述する焼成後に金属酸化物、又は、金属酸化物と他の金属との混合物等を形成することで高抵抗な導電性薄膜を形成可能な物質である。
金属は、金属微粒子として、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等の液媒体中に分散されたり、金属化合物として前記液媒体中に溶解されたりする。例えば、酸化スズと酸化インジウム微粒子をエタノール、イソプロパノール、ブタノールの混合液である液媒体に分散させたものが挙げられる。
また、液媒体中に溶解させておく場合には、特に焼成時の熱によって酸化金属を生じさせるインジウム化合物や錫化合物が好適に用いられる。例えば、ギ酸インジウム、酢酸インジウム、シュウ酸インジウム、硝酸インジウム、塩化インジウム、硫酸インジウムなどのインジウムの有機塩又は無機塩、及びそれらの水和物、インジウムメトキシド、インジウムエトキシド、インジウムプロポキシド、インジウムブトキシド等のインジウムアルコキシド、及びこれらの化合物と、α−又はβ−ジケトン類、α−又はβ−ケトン酸類、上記ケトン酸類のエステル類、α−又はβ−アミノアルコールなどとのキレート化物などのインジウム化合物や、ギ酸錫、酢酸錫、シュウ酸錫、硝酸錫、塩化錫、臭化錫、フッ化錫、ヨウ化錫等の錫の有機塩又は無機塩、及びそれらの水和物、錫メトキシド、錫エトキシド、錫プロポキシド、錫ブトキシドなどの錫アルコキシド、及びこれらの化合物と、α−又はβ−ジケトン類、α−又はβ−ケトン酸類、上記ケトン酸類のエステル類、α−又はβ−アミノアルコールなどとのキレート化物などが挙げられる。特に、錫に有機物が配位したキレート化合物は本発明において好適に用いられる。
本発明の組成物における感光性成分としては、汎用されている光崩壊型(現像液に不溶な塗膜が光照射によって現像液に可溶化するタイプ)又は光硬化型(現像液に可溶な塗膜が光照射によって現像液に不溶化するタイプ)の感光性樹脂が用いられる。また、感光性成分として用いる感光性樹脂は、樹脂構造中に感光基を有するタイプのものであっても、例えば環化ゴム−ビスアジド系レジストのように、樹脂に感光剤が混合されたタイプのものでもよい。いずれのタイプの感光性樹脂を用いる場合でも、その他の感光性成分として、光反応開始剤や光反応禁止剤を適宜混合しておくことができる。
感光性樹脂としては、例えば、ポリメチルビニルケトン、ポリビニルフェニルケトン、ポリスルホン、p−ジアゾジフェニルアミン・パラホルムアルデヒド縮重合物などのジアゾニウム塩類、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホン酸イソブチルエステルなどのキノンジアジド類、ポリメチルメタクリレト、ポリフェニルメチルシラン、ポリメチルイソプロペニルケトンなどの公知の光崩壊型レジストが挙げられる。更に、グルー、カゼイン、セラック、ポリビニルアルコールなどに重クロム酸アンモニウムを混合したもの、ポリビニルアルコールとジアゾ樹脂との混合系、ポリケイ皮酸ビニル系、環化ゴム−アジド系、(メタ)アクリルモノマー又は(メタ)アクリルオリゴマーを単独あるいは両者を含有する樹脂系が挙げられる。これらの感光性樹脂は、本発明の組成物を塗布乾燥させて形成した膜に感光性を付与し、フォトレジストの手法によって容易に任意の形状の膜パターンを得ることができるようにすると共に、バインダー機能及び塗工適性を与える作用をなす。
上記の感光性樹脂の使用量は、本発明の組成物100重量部当たり1〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部の割合で使用することが好ましい。感光性樹脂の使用量が不足すると、後述する膜パターンを形成しにくくなる。また、感光性樹脂の使用量が多すぎると、後述する焼成によって得られる抵抗膜、例えば、上述の帯電防止膜の膜質が悪化し、所望の電気的特性が得にくくなりやすい。
本発明の組成物は、後述する現像後の膜パターンが撥水性を呈するもので、撥水性成分を含有することが好ましい。この撥水性成分は、前記感光性成分の一つとして内在されている場合でも、得られる膜パターンの撥水性を調整するために外添することもできる。
上記撥水性成分としては、シランカップリング剤やポリシロキサンなどが用いられる。具体的には、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤や、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、メチルスチリル変性ポリシロキサンなどが用いられる。特にジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、トリメチルエトキシシランなどを好適に用いることができる。
本発明の組成物における上記シランカップリング剤やポリシロキサンなどの撥水性成分の含有量は、本発明の組成物100重量部当たり1〜30重量部であることが好ましい。撥水性成分の含有量が不足すると、得られる膜パターン表面の水に対する接触角が小さく、後述する素子膜の前駆体膜パターンを形成するための液体の拡散抑制作用が不十分となりやすい。また、撥水性成分の含有量が多すぎると、得られる膜パターンの膜質が悪化し、抵抗膜、例えば、上述の帯電防止膜の膜質が悪化して、所望の電気的特性が得られない等の問題が生じてしまう。
本発明の組成物は、得られる膜パターンが、後述する素子膜の前駆体膜パターンを形成するための液体の適度な拡散抑制作用を奏するよう、表面の水に対する接触角が20度以上の膜パターンを形成するものであることが好ましく、表面の水に対する接触角が40度以上の膜パターンを形成するものであることがより好ましい。また、後述する素子膜の前駆体膜パターンを形成するための液体を、前記組成物の膜パターンで囲まれた、基体上の領域に良好に付設するためには、膜パターン表面の水に対する接触角が、前記基体表面の水に対する接触角の2倍以上となるように制御することが好ましい。
上記各成分を溶解又は分散させる、本発明の組成物における液媒体としては、例えば、水、有機溶剤、あるいはこれらの混合物を用いることができる。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのエーテル類、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のヘテロ化合物類、ジメチルスルフォキシドなどの硫黄化合物、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド化合物類、トルエン、キシレンなどの芳香族類などが挙げられる。
液媒体の種類及び組成については、使用する金属、感光性成分、更には撥水性成分などの種類に従って適宜選択することができる。例えば、使用する金属がインジウムや錫などの金属塩の形態を有し、感光性成分が水溶性樹脂である場合には、液媒体として水又は水と有機溶剤との混合物を使用し、必要に応じて塩類を中和して金属塩を水酸化物としておくことが好ましい。一方、使用する金属の形態が、がインジウムや錫のアルコキシドなどのような有機金属化合物であり、感光性成分が有機溶剤可溶性樹脂である場合には、液媒体として有機溶剤又は有機溶剤と水との混合物を使用し、必要に応じて有機金属化合物を加水分解して水酸化物としておくことが好ましい。このように、中和あるいは加水分解を行った場合には、金属成分は水酸化物又は酸化物の状態となり、微粒子の分散液(ゾルあるいはコロイド)となる。
上記の液媒体の使用量は、使用する導電性物質又はその前駆体、感光性成分の種類、更には撥水性成分などによって適宜設定することができ、一般的には溶解又は分散される固形分が1〜30wt%の割合になる量で使用することが好ましい。液媒体の使用量が不足すると、塗膜の塗工性が低下しやすく、液媒体の使用量が多すぎると、得られる抵抗性の膜、例えば、帯電防止膜の膜厚が薄くなり、膜欠損を生じやすくなる。
また、本発明の組成物には、必要に応じて、更に増感剤などの添加剤を加えることもできる。
次に、本発明の電子源の製造方法を図1〜図8に基づいて説明する。
図1〜図6は、電子源の製造方法の一例を示す説明図で、図1は素子電極を形成した基板の平面模式図、図2は、図1の基板に更にY方向配線を形成した基板の平面模式図、図3は、図2の基板に更にX方向配線を形成した基板の平面模式図、図4は、図3の基板に更に、第1の金属と、感光性成分と、撥水性成分とを含有する感光性膜を形成した基板の平面模式図、図5は、図4の基板の感光性膜を現像して帯電防止膜の前駆体膜パターンを形成した基板の平面模式図、図6は、図5の基板の帯電防止膜の前駆体膜パターンで囲まれた素子膜形成領域に素子膜の前駆体膜パターンを形成する液体を付与した状態の基板の平面模式図、図7は、本発明の電子源の製造方法によって得られる電子源における1つの電子放出素子周りの基本構成の一例を示す断面模式図、図8は、図7の平面模式図である。
まず、図1に示されるように、基板1上に対をなす素子電極2,3を形成する。素子電極2,3の形成個数は特に制限はないが、後述する画像表示装置に用いる電子源の製造に際しては、マトリクス駆動される複数の電子放出素子を得るべく、複数対の素子電極2,3を形成する。
基板1としては、例えば石英ガラス、Naなどの不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、SiO2を表面に形成したガラス板、アルミナなどのセラミックス板などが用いられる。
基板1の大きさ及びその厚みは、その上に設置される電子放出素子の個数、個々の電子放出素子の設計形状、更には基板1が画像形成装置の真空容器の一部を構成する場合には、耐大気圧構造などの力学的条件などに基づいて適宜設定することができる。
素子電極2,3の材料としては、一般的な導電材料を用いることができる。例えばNi、Cr、Au、Mo、Pt、Ti、Al、Cu、Pdなどの金属又は合金、Pd、As、Ag、Au、RuO2、Pd−Agなどの金属又は金属酸化物とガラスなどから構成される印刷導体、ITOなどの透明導電体などを用いることができる。形成手法としては、一般的なスパッタリングなどの成膜法とフォトリソグラフィー・エッチング技術の組み合わせ、オフセット印刷やスクリーン印刷などの印刷法などを材料に応じて選択することができる。
また、市販のPtなどの金属粒子を含有したペーストを用いることができ、これをオフセット印刷などの印刷法で印刷して焼成することで素子電極2,3を形成することができる。より精密なパターンを得る目的で、Ptなどを含有する感光性ペーストを、スクリーン印刷などの印刷法で塗布し、フォトマスクを用いて露光、現像して焼成する方法でも形成可能である。
素子電極2,3の膜厚は、好ましくは数百Åから数μmの範囲が適当である。素子電極2,3間の間隔、素子電極2,3の長さ、素子電極2,3の形状などは、電子源の利用形態などに応じて設計されるが、素子電極2,3間の間隔は、一般に数千Åから1mmであり、好ましくは素子電極2,3間に印加する電圧などを考慮して1μmから100μmの範囲である。また、素子電極2,3の長さ(対向方向に対する直角方向の長さ)は、素子電極2,3の抵抗値や電子放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲であることが好ましい。
次に、図2に示されるように、共通配線として用いられるY方向配線4(下配線)を一方の各素子電極3(又は2)と電気的接続をもって形成する。Y方向配線4の形成は、前記素子電極2,3と同様の方法で形成することができるが、一般的には導電性ペースト(例えば銀ペースト)を用いた印刷手法で印刷した後焼成することで形成することができる。
上記Y方向配線4の形成後、図3に示されるように、Y方向配線と交差する方向に層間絶縁層5を形成し、この層間絶縁層5上に沿って、他方の各素子電極2(又は3)と電気的接続をもって、信号配線として用いられるX方向配線6(上配線)を形成する。X方向配線6と素子電極2(又は3)の接続は、各素子電極2(又は3)上の部分の層間絶縁層5にコンタクトホール(図示されていない)を設けておき、X方向配線6を、このコンタクトホールを介して各素子電極2(又は3)に接続された状態で形成することで行うことができる。
層間絶縁層5は、例えばPdOを主成分としてガラスバインダーを混合したペーストをスクリーン印刷などの印刷法で印刷した後、焼成することで形成することができる。また、X方向配線6の形成は、Y方向配線4と同様にして行うことができる。
次に、本発明の組成物を、上記素子電極2,3、Y方向配線4、層間絶縁層5及びX方向配線6を形成した基板1の面全面に塗布し、乾燥させることで、図4に示される、第1の金属と、感光性成分と、撥水性成分とを含有する感光性塗膜7を形成する。
本発明の組成物の塗布は、素子電極2,3の形成後、Y方向配線4からX方向配線6までの形成前に行ってもよいが、これらの形成後に行うと、露出する基板1の表面だけでなく、通常X方向配線6の左右に露出する層間絶縁層5上にも容易に感光性塗膜7を形成でき、これによって、層間絶縁層5の露出部分をも後述する帯電防止膜11(図6〜図8参照)で覆うことができるので好ましい。
本発明の組成物の基板1への塗布は、例えばスピンコート法、ロールコート法、ディップコート法、ダイコート方法、ビードコート方法、スプレーコート法などで行うことができる。本発明の組成物の塗布量は、得ようとする帯電防止膜11(図6〜図8参照)の膜厚や抵抗値に応じて調整することができる。また、基板1への本発明の組成物の塗布後は、少なくとも塗布面を加熱し、迅速に塗膜を乾燥させて感光性塗膜7とすることが好ましい。
感光性塗膜7は、光崩壊性又は光硬化性を利用してパターニングすることができる塗膜で、この感光性塗膜7の所望の箇所を露光し、現像することで、図5に示されるように、素子膜12(図6〜図8参照)の形成領域の感光性塗膜7を除去して開口部8を形成し、各素子膜12の形成領域を囲む帯電防止膜の前駆体膜パターン(以下「第1の膜パターン」という)9を形成する。開口部8は、対をなす素子電極2,3間に跨って、該素子電極2,3の対向側の一部とその付近の基板1面がそれぞれ露出されるように形成される。
上記露光及び現像は、感光性塗膜7上に所定のパターンを有するフォトマスク(図示されていない)を設置し、このフォトマスクを介して、感光性塗膜7が光崩壊型である場合には各素子膜12(図6〜図8参照)の形成領域に対応する部分、感光性塗膜7が光硬化型である場合には各素子膜12の形成領域に対応する部分以外の部分に紫外線を照射して露光し、次いで、現像液を用いて、露光によって崩壊した箇所又は露光後も未硬化の箇所を除去して開口部8を形成することで行われる。現像液は、感光性成分として使用する感光性樹脂の種類などに応じて選択される。例えば光崩壊型の感光性樹脂を用いた場合の現像液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイト、ジエタノールアミンなどの有機アルカリ、又は炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機アルカリの水溶液を用いることができ、光硬化型の感光性樹脂を用いた場合には、本発明の組成物に用いる液媒体と同じ液体を用いることができる。
開口部8の形状は、図面上は円形となっているが、正方形、長方形、楕円形などの他の形状とすることもできる。
露光及び現像を経て形成された第1の膜パターン9は、撥水性を呈する。この第1の膜パターン9は、前述のように、後述する素子膜の前駆体膜パターン(以下「第2の膜パターン」という)を形成する液体(以下「素子膜形成液」という)10(図6参照)の適度な拡散抑制作用を奏するよう、表面の水に対する接触角が20度以上であることが好ましく、表面の水に対する接触角が40度以上であることがより好ましい。
上記のようにして第1の膜パターン9を形成した後、図6に示されるように、各素子膜12の形成領域に形成された開口部8内に、第2の膜パターンの構成材料を水系媒体に溶解又は分散させた液体10、即ち、第2の金属と水とを含有する液体10を、各開口部8内に露出している素子電極2,3部分の上に被さるように付与する。
上記第2の膜パターンの構成材料としては、例えば、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pbなどの金属、PdO、SnO2、In23、PbO、Sb23などの酸化物、HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、GbB4などの硼化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、WCなどの炭化物、TiN、ZrN、HfNなどの窒化物などが挙げられ、これらの中でもPdが好ましい。また、上記水系媒体とは、水を50wt%以上含有する溶媒又は分散媒で、50wt%未満の範囲で、例えば乾燥速度を速めるためのメチルアルコールやエチルアルコールなどの低級アルコールや上記述した金属有機化合物の溶解促進や安定性向上などを図るための成分を加えたものとすることができる。しかし、環境負荷を軽減する観点から、水の含有率が70wt%以上であることが好ましく、更に好ましくは水の含有率が80wt%以上である。
素子膜形成液10は、上記水系媒体に上記金属などを溶解又は分散させたもので、例えば上記金属を含む有機金属の水溶液を用いることができる。具体的には、例えば、酢酸パラジウム−エタノールアミン錯体(PA−ME)、酢酸パラジウム−ジエタノール錯体(PA−DE)、酢酸パラジウム−トリエタノールアミン錯体(PA−TE)、酢酸パラジウム−ブチルエタノールアミン錯体(PA−BE)、酢酸パラジウム−ジメチルエタノールアミン錯体(PA−DME)などのエタノールアミン錯体を含んだ水溶液が挙げられる。
前記開口部8内への素子膜形成液10の付与は、不必要な箇所への素子膜形成液10の付着を防止しやすいことから、インクジェット装置によって素子膜形成液10を液滴として吐出付与するインクジェット法により行うことが好ましいが、第1の膜パターン9が、表面に付着した素子膜形成液10を除去しやすい撥水性を有する場合には、スピンコート法やディッピング法などで行うこともできる。また、第1の膜パターン9が撥水性を有し、しかも素子膜12の形成領域である開口部8を囲んでいることから、この開口部8に付与された素子膜形成液10の流出による拡散を抑制することができ、素子膜形成液10を開口部8内に納めた状態で付与することができる。特にインクジェット法による場合、インクジェット装置により液滴として素子膜形成液10を付与する領域以外が撥水性を有しているため、水系媒体を用いた素子膜形成液10の付与精度マージンを大きくすることが可能であり、電子源の作製歩留まりやコストの面で有利となる。
上記第1の膜パターン9の作用は、第1の膜パターン9表面の水に対する接触角が、上記開口部8から露出している基板1表面の水に対する接触角より大きくなるほど得やすいことから、第1の膜パターン9の表面の接触角が基板1の表面接触角の2倍以上であることが好ましい。
上記のようにして素子膜形成液10を素子膜12の形成領域である開口部8に付与した後、焼成を行って、前記第1の膜パターン9及び素子膜形成液10の塗膜中の残留媒体及び有機成分を除去し、これらに含まれる金属及び/又は金属酸化物を生成させることで、前記第1の膜パターン9から帯電防止膜11を形成すると共に、素子膜形成液10の塗膜(第2の膜パターン)から素子膜12を形成することができる。従って、帯電防止膜11と素子膜12の一括焼成が可能となり、プロセス上及びコスト的にも有益である。
形成される帯電防止膜11は、基板1などの絶縁性箇所の帯電を防止すると共に、この帯電防止膜11を介して素子電極2,3間に生じるリーク電流を抑制することができるよう、表面抵抗値が1×109〜1×1013Ω/cm2であることが好ましく、5×109〜×1012Ω/cm2であることがより好ましい。帯電防止膜11の表面抵抗値が1×109Ω/cm2より低いと、リーク電流による電子放出特性への悪影響が生じやすくなり、逆に表面抵抗値が1×1013Ω/cm2より大きいと、絶縁性箇所の帯電防止能が不十分となりやすい。
また、素子膜12は、各素子電極2,3間に跨る状態で形成される。素子膜12の膜厚は、素子電極2,3へのステップカバレージ、素子電極2,3間の抵抗値、及び後述するフォーミング処理条件などを考慮して適宜設定されるが、好ましくは数Åから数千Åであり、特に好ましくは10Åから500Åの範囲である。
素子膜12の抵抗値は、後述するフォーミング処理前の状態〔電子放出部13(図7及び図8参照)の形成前の状態〕では、フォーミング処理を行いやすくするために、ある程度の大きさであることが好ましく、具体的には1×103Ω/□〜1×107Ω/□であることが好ましい。この反面、フォーミング処理後(電子放出部13を形成した後)の素子膜12は、素子電極2,3を介して電子放出部13に十分な電圧を印加できるよう、低抵抗であることが好ましいことから、素子膜12は、1×103Ω/□〜1×107Ω/□以下のシート抵抗値を持つ金属酸化物の薄膜として形成し、フォーミング処理後に還元して、より低抵抗な金属薄膜とすることが好ましい。従って、最終的な状態での素子膜12の抵抗値の下限は特に限定されない。なお、ここでいう素子膜12の抵抗値とは、電子放出部13を含まない領域で測定されるシート抵抗値を意味している。
以上のようにして、基板1上に、素子電極2,3、Y方向配線4、層間絶縁層5、X方向配線6、帯電防止膜11及び素子膜12を形成した後、フォーミング処理を施して、素子膜12に図7及び図8に示される電子放出部13を形成し、更に好ましくは活性化処理を施して電子源とする。
上記のようにして得られる電子源は、図7び図8に示されるように、基板1上に設けられた一対の素子電極2,3と、この素子電極2,3間に跨って設けられた、電子放出部13を有する素子膜12とによって電子放出素子が形成されており、この電子放出素子における電子放出部13を有する素子膜12上を除く基板1上が帯電防止膜11によって覆われたものとなる。
次に、上記フォーミング処理及び活性化処理について説明する。
フォーミング処理は、素子膜12に図7及び図8に示される電子放出部13を形成するための通電処理で、所定の真空度のもとで、素子電極2,3間に不図示の電源より通電し、素子膜12に構造の変化した間隙(亀裂)を形成することで行うことができる。この隙間が電子放出部13で、フォーミング処理の後に素子電極2,3間に電圧を印加すると、この間隙の領域から電子が放出される。なお、所定の電圧下では、このフォーミング処理により形成した間隙付近からも電子放出が起こるが、この状態ではまだ電子放出効率が非常に低いものである。活性化処理は、電子放出効率を向上させるための処理で、これについては後述する。
フォーミング処理のための電圧波形の例を図9に示す。電圧波形は、特にパルス波形が好ましい。これには、パルス波高値を定電圧としたパルスを連続的に印加する図9(a)に示した手法と、パルス波高値を増加させながらパルスを印加する図9(b)に示した手法がある。
まず、パルス波高値を定電圧とした場合について図9(a)で説明する。図9(a)におけるT1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔である。通常、T1は1μ秒〜10m秒、T2は10μ秒〜100m秒の範囲で設定される。三角波の波高値(フォーミング処理時のピーク電圧)は、電子放出素子の形態に応じて適宜選択される。このような条件のもと、例えば、数秒から数十分間電圧を印加する。パルス波形は、三角波に限定されるものではなく、矩形波等の所望の波形を採用することができる。
次に、パルス波高値を増加させながら電圧パルスを印加する場合について図9(b)で説明する。図9(b)におけるT1及びT2は、図9(a)に示したのと同様とすることができる。三角波の波高値(フォーミング処理時のピーク電圧)は、例えば0.1Vステップ程度づつ、増加させることができる。
フォーミング処理は、パルス電圧印加中の素子電極2,3間に流れる電流(素子電流)を測定して抵抗値を求めて、例えば1MΩ以上の抵抗を示した時に終了させることができる。
先に述べたように、この状態では電子発生効率は非常に低いものである。よって電子放出効率を上げるために、活性化と呼ばれる処理を行うことが望ましい。
この活性化処理は、有機化合物が存在する適当な真空度のもとで、パルス電圧を素子電極2,3間に繰り返し印加することによって行うことができる。そして炭素原子を含むガスを導入し、それに由来する炭素あるいは炭素化合物を、前記電子放出部13近傍にカーボン膜として堆積させる。
本工程の一例を説明すると、例えばカーボン源としてトルニトリルを用い、スローリークバルブを通して真空空間内に導入し、1.3×10-4Pa程度を維持する。導入するトルニトリルの圧力は、真空装置の形状や真空装置に使用している部材などによって若干影響されるが、1×10-5Pa〜1×10-2Pa程度が好適である。
図10に、活性化処理で用いられる電圧印加の好ましい一例を示す。印加する最大電圧値は、10〜20Vの範囲で適宜選択される。
図10(a)において、T1は電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。また、図10(b)に於いて、T1及びT1´はそれぞれ電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、T1>T1´、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。
活性化処理は、電子放出素子に対向してアノード電極を設け、素子電極2,3間に電圧を印加しながら、電子放出部13から電子ビームとして放出される放出電流を測定し、これがほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブを閉めて終了することができる。
次に、上記のようにして得た電子原基板を用いて画像表示を行う画像形成装置の構成例について図11で説明する。なお、図11において帯電防止膜は省略されている。
上記のようにして製造した電子源は、図11に示される画像形成装置においては、リアプレート140として配置されている。このリアプレート140と相対向して、ガラスなどの透明な絶縁性の基板141の内面に蛍光膜142とメタルバック143などが形成されたフェースプレート144が設けられている。145は支持枠であり、リアプレート140、支持枠145及びフェースプレート144はフリットガラスなどで封着されており、パネル状の密閉容器を構成している。
上記リアプレート140、支持枠145及びフェースプレート144で囲まれた空間は真空雰囲気とされる。この真空雰囲気の形成は、リアプレート140又はフェイスプレート144に排気管を設けておき、内部を真空排気した後、排気管を封止することでも行うことができるが、支持枠145を介して行われるリアプレート140とフェースプレート144の封着を真空チャンバー中で行うことで、真空雰囲気の形成を容易化することができる。
画像の表示は、上記の画像形成装置に電子放出素子を駆動するための駆動回路を接続すし、Y方向配線4及びX方向配線6を介して所望の素子電極2,3間に電圧を印加し、電子放出部13から電子を発生させると共に、高圧端子146からアノード電極であるメタルバック143に高電圧を印加して電子ビームを加速し、蛍光膜142に衝突させることで行うことができる。
フェースプレート144とリアプレート140間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を持つ大面積のパネル状密閉容器を構成することができる。
一対の素子電極2,3間に跨って、電子放出部13を有する素子膜12を設けた電子放出素子は、表面伝導型電子放出素子と称されるもので、この表面伝導型電子放出素子の基本的特性によれば、電子放出部13からの放出電子は、しきい値電圧以上では対向する素子電極2,3間に印加するパルス状電圧の波高値と幅によって制御され、その中間値によっても電流量が制御されるので、中間調表示が可能になる。また、本例のように多数の電子放出素子を配置した場合においては、各ラインの走査線信号によって選択ラインを決め、各情報信号ラインを通じて個々の電子放出素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、任意の電子放出素子に適宜電圧を印加することが可能となり、任意の電子放出素子をONすることができる。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
実施例1
〔素子電極の形成:図1〕
基板1として、アルカリ成分が少ない「PD−200」(旭硝子(株)製)の2.8mm厚ガラスを用い、更にこの上にナトリウムブロック層としてSiO2膜100nmを塗付焼成したものを用いた。
この基板1上に、スパッタ法によって、まず下引き層としてチタニウム(厚さ5nm)、その上に白金(厚さ40nm)を成膜した後、フォトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングという一連のフォトリソグラフィー法によってパターニングして素子電極2,3を形成した(図3参照)。なお、本実施例では、素子電極2,3間の間隔を10μm、素子電極2,3の両者の対向方向に対する直角方向の長さを100μmとした。
〔Y方向配線の形成:図2〕
共通配線としてのY方向配線(下配線)4は、一方の素子電極3に接して、かつそれらを連結するようにライン状のパターンで形成した。材料にはAgフォトぺーストインキを用い、スクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露光し現像した。この後、480℃前後の温度で焼成してY方向配線4を形成した。このY方向配線4の厚さは約10μm、幅は約50μmである。なお、終端部は配線取り出し電極として使うために、線幅をより大きくした。
〔層間絶縁層の形成:図3〕
先に形成したY方向配線4と、次に形成するX方向配線6間を絶縁するために、層間絶縁層5を形成した。層間絶縁層5は、次に形成するX方向配線6と、先に形成したY方向配線4との交差部を覆い、かつX方向配線6と素子電極2との電気的接続が可能なように、各素子電極2に対応した箇所に接続部となるにコンタクトホール(図示されていない)を開けて形成した。
具体的には、PbOを主成分とする感光性のガラスペーストをスクリーン印刷した後、露光−現像した。これを4回繰り返し、最後に480℃前後の温度で焼成した。この層間絶縁層5の厚みは、全体で約30μmであり、幅は150μmである。
〔X方向配線の形成:図3〕
先に形成した帯状の層間絶縁層5の上に、Agぺーストインキをスクリーン印刷した後乾燥させ、この上に再度同様なことを行い、2度塗りしてから、480℃前後の温度で焼成してX方向配線(上配線)6を形成した。X方向配線6は、層間絶縁層5を挟んでY方向配線4と交差しており、層間絶縁層5に設けたコンタクトホール部分で素子電極2と接続されている。
このX方向配線6は電気駆動時は走査電極として作用するもので、厚さは約15μmである。また、図示していないが、外部駆動回路への引出し端子もこれと同様の方法で形成した。
〔第1の膜パターンの形成:図4、図5〕
紫外線崩壊型の感光性樹脂と、錫化合物にカルボン酸が配位したキレート錯体との混合物を調合し、そこへ20wt%のジアセトキシジメチルシランを添加後、十分にクリーニングした上記基体1にスピンコートにて塗布した。ホットプレートで120℃にて3分乾燥して感光性塗膜7を形成し、ネガフォトマスクを用い、光源を超高圧水銀ランプ(照度:8.0W/cm2)にてプロキシ露光を20秒行った後、水酸化テトラメチルアンモニウム(0.3wt%)で1分間現像し、水洗、乾燥(120℃、3分)後、10μm×30μmの開口部8のある、錫含有の第1の膜パターン9を得た。この第1の膜パターン9の膜厚は115nmであった。また、膜パターン9の表面と、開口部8から露出している基板1表面の水に対する接触角をそれぞれ30点ずつ測定したところ、第1の膜パターン9上の接触角の平均は75度、バラツキは6%、基板1上の接触角の平均は6度、バラツキは5%であった。
〔素子膜形成液の付与:図6〕
次に、第1の膜パターン9の開口部8に素子膜形成液10を付与した。
本実施例では、素子膜12としてパラジウム膜を得る目的で、先ず水85:イソプロピルアルコール(IPA)15からなる水溶液に、パラジウム−プロリン錯体を0.47wt%の濃度で溶解し、この他若干の添加剤を加えた有機パラジウム含有溶液(素子膜形成液10)を得た。この素子膜形成液10の液滴を、液滴付与手段として、ピエゾ素子を用いたインクジェット装置を用い、第1の膜パターン9の開口部8内をめがけて液滴として付与した。この時、素子膜形成液10であるパラジウム化合物溶液は、第1の膜パターン9ではじかれ、開口部8から露出している基板1の表面上に選択的に付与することができた。
〔帯電防止膜及び素子膜の形成:図6〕
上記素子膜形成液10を付与した基板1を、大気雰囲気下、380℃のオーブン中で60分加熱して、パラジウム化合物を基板1上で分解堆積させた素子膜12と、その周囲に第1の膜パターン9の焼成から得た酸化錫からなる帯電防止膜11とを同時に形成することができた。酸化パラジウムからなる素子膜12の厚みは最大で10nmであり、酸化錫からなる帯電防止膜11の厚さは28nmであった。別のガラス板上に28nmの厚さの酸化錫からなる帯電防止膜を形成し、真空中でシート抵抗を測定したところ、2×1010Ω/□であった。
以上のようにして、素子電極2,3、Y方向配線4、層間絶縁層5、X方向配線6、帯電防止膜11及び電子放出部13(図7及び図8参照)形成前の素子膜12を形成した基板1について、前述のフォーミング処理及び活性化処理を施したところ、リーク電流が無い、良好な電子放出特性を有する電子源を得ることができた。得られた電子源の素子電極2,3間に12Vの電圧を印加したときの放出電流を測定したところ、平均0.5μA、電子放出効率は平均0.14%であった。また、電子放出素子間の均一性もよく、各電子放出素子間での放出電流のばらつきは4.8%と良好であった。
実施例2
実施例1と同様にして、素子電極2,3の形成からX方向配線6の形成までを行った後、以下のようにして、第1の膜パターン9の形成から帯電防止膜11及び素子膜12の形成までを行った。
実施例1の、第1の膜パターン9の形成において、紫外線硬化型の感光性樹脂と、アンチモンを5mol%ドーピングした錫化合物にカルボン酸が配位したキレート錯体の混合物に、トリメチルエトキシシランを25%を添加した後、十分にクリーニングした基体1にスピンコートにて成膜した。ホットプレートで120℃にて3分乾燥し、感光性塗膜7を形成し、ポジフォトマスクを用い、光源を超高圧水銀ランプ(照度:8.0mW/cm2)にてプロキシ露光を10秒行った後、水酸化テトラメチルアンモニウム(0.3wt%)で2分間現像し、水洗、乾燥(120℃、3分)後、直径70μmの円形の開口部8のある、アンチモンドープの錫化合物を含む第1の膜パターン9を得た。この第1の膜パターン9の膜厚は28nmであった。また、第1の膜パターン9の表面と、開口部8から露出している基板1表面の水に対する接触角をそれぞれ30点ずつ測定したところ、第1の膜パターン9上の接触角の平均は62度、バラツキは5%、基板1上の接触角の平均は5度、バラツキは4%であった。
次に、実施例1と同様にして、ピエゾ素子を用いたインクジェット装置を用い、実施例1と同様の素子膜形成液10を、前記第1の膜パターン9の開口部8内をめがけて液滴として付与した。この時、素子膜形成液10であるパラジウム化合物溶液は、第1の膜パターン9ではじかれ、開口部8から露出している基板1の表面上に選択的に付与することができた。
上記素子膜形成液10を付与した基板1を、大気雰囲気下、380℃のオーブン中で60分加熱して、パラジウム化合物を基板1上で分解堆積させた素子膜12と、その周囲に第1の膜パターン9の焼成から得たアンチモンドープの酸化錫からなる帯電防止膜11とを同時に形成することができた。酸化パラジウムからなる素子膜12の厚みは最大で8nmであり、アンチモンドープの酸化錫からなる帯電防止膜11の厚さは6nmであった。別のガラス板上に8nmの厚さのアンチモンドープの酸化錫からなる帯電防止膜を形成し、真空中でシート抵抗を測定したところ、5×1012Ω/□であった。
以上のようにして、素子電極2,3、Y方向配線4、層間絶縁層5、X方向配線6、帯電防止膜11及び電子放出部13(図7及び図8参照)形成前の素子膜12を形成した基板1について、前述のフォーミング処理及び活性化処理を施したところ、リーク電流が無い、良好な電子放出特性を有する電子源を得ることができた。得られた電子源の素子電極2,3間に12Vの電圧を印加したときの放出電流を測定したところ、平均0.6μA、電子放出効率は平均0.15%であった。また、電子放出素子間の均一性もよく、各電子放出素子間での放出電流のばらつきは5.0%と良好であった。
本発明の電子源の製造方法の一例を示す説明図で、素子電極を形成した基板の平面模式図である。 図1の基板に更にY方向配線を形成した基板の平面模式図である。 図2の基板に更にX方向配線を形成した基板の平面模式図である。 図3の基板に更に本発明の組成物の感光性塗膜を形成した基板の平面模式図である。 図4の基板の感光性塗膜を現像して帯電防止膜の前駆体膜パターンを形成した基板の平面模式図である。 図5の基板の帯電防止膜の前駆体膜パターンで囲まれた素子膜形成領域に素子膜の前駆体膜パターンを形成する液体を付与した状態の基板の平面模式図である。 本発明の電子源の製造方法によって得られる電子源における1つの電子放出素子周りの基本構成の一例を示す断面模式図である。 図7の平面模式図である。 フォーミング処理の電圧波形の例を示す図である。 活性化処理の電圧波形の例を示す図である。 本発明によって得られる電子源を用いた画像表示装置の一構成例を模式的に示す斜視図である。
符号の説明
1 基板
2,3 素子電極
4 Y方向配線(下配線)
5 層間絶縁層
6 X方向配線(上配線)
7 感光性塗膜
8 開口部
9 帯電防止膜の前駆体膜パターン(第1の膜パターン)
10 素子膜の前駆体膜パターンを形成する液体(素子膜形成液)
11 帯電防止膜
12 素子膜
13 電子放出部
140 リアプレート
141 基板
142 蛍光膜
143 メタルバック
144 フェースプレート
145 支持枠
146 高圧端子

Claims (7)

  1. 基体上に、複数の、電子放出部を有する素子膜、及び、前記複数の素子膜の周囲に配置された帯電防止膜とを有する電子源の製造方法であって、
    金属と、感光性成分と、撥水性成分とを含有する膜を基体上に形成する工程と、
    該膜に露光と現像を施して、撥水性を有し、しかも開口部を有する、前記帯電防止膜の前駆体膜パターンを形成する工程と、
    前記基体上の前記開口部に、前記素子膜の構成材料と水とを含有する液体を付与し、前記素子膜の前駆体膜パターンを形成する工程と、
    前記帯電防止膜の前駆体膜パターンと前記素子膜の前駆体膜パターンとを焼成して、前記基体上に、前記帯電防止膜と前記素子膜とを形成する工程とを有することを特徴とする電子源の製造方法。
  2. 金属と、感光性成分と、撥水性成分とを含有する膜を基体上に形成する工程が、金属と、感光性成分と、撥水性成分とを含む溶解液又は分散液を基体上に塗布し乾燥させる工程であることを特徴とする請求項1に記載の電子源の製造方法。
  3. 前記金属が、金属微粒子又は金属化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子源の製造方法。
  4. 金属と、感光性成分と、撥水性成分とを含有する膜を基体上に形成する工程が、錫化合物にカルボン酸が配位したキレート錯体と、紫外線崩壊型又は紫外線硬化型の感光性樹脂と、ジアセトキシジメチルシラン又はトリメチルエトキシシランとを含む溶解液又は分散液を基体上に塗布し乾燥させる工程であることを特徴とする請求項1に記載の電子源の製造方法。
  5. 前記帯電防止膜の前駆体膜パターン表面の水に対する接触角が、前記基体表面の水に対する接触角の2倍以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子源の製造方法。
  6. 前記素子膜の構成材料と水とを含有する液体の付与は、インクジェット法により行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子源の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子源の製造方法で製造した電子源を、該電子源からの電子の照射によって画像を表示する画像表示部材を有する基板とを対向して配置することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
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