JP2006019249A - 導電性パターンの形成方法、これを用いた電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法 - Google Patents

導電性パターンの形成方法、これを用いた電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 高抵抗部位を有する導電性パターンを、同じ工程を繰り返すことなく、より簡易に且つ材料を有効に用いて形成する。
【解決手段】 感光性樹脂からなる樹脂パターンに、金属錯体を含む溶液を吸収させた後、焼成して金属酸化物導電性膜を形成し、次いで、所望の領域を耐熱性ガス遮断層で覆った後、還元雰囲気下で焼成することにより、露出領域の金属酸化物を還元して低抵抗化する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電極や配線などの導電性パターンを形成する方法、及び、これを用いて必要な電極や配線の形成を行う、電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法に関する。
従来、電極や配線となる導電性パターンの形成方法としては、スクリーン印刷により導電性ペーストを所望のパターンに印刷し、乾燥・焼成して導電性パターンを形成する方法、転写による方法、導電性ペーストを全面に塗布し、乾燥・焼成して金属膜を形成し、フォトレジストなどのマスクで必要な箇所を覆い、それ以外の部分をエッチング処理して必要な導電性パターンを形成する方法、金属ペーストに感光性を付与し、必要箇所を露光した後、現像して導電性パターンを形成する方法(特許文献1参照)などが知られている。
特開平5−114504号公報
しかしながら、パターン内に高抵抗領域と低抵抗領域とを有する導電性パターンを形成する場合、前記の方法では、低抵抗領域を形成する工程と、高抵抗領域を形成する工程とをそれぞれの材料を用いて繰り返すしかなく、設備的負担が大きいという問題がある。また、前記の方法では、現像などにより除去され、使用されない材料が多く、効率が悪いという問題もあった。
本発明の課題は、高抵抗部位を有する導電性パターンであっても、同じ工程を繰り返すことなく、より簡易に且つ材料を有効に用いて形成することが可能な導電性パターンの製造方法を提供することにある。
さらに、本発明においては、該導電性パターンの製造方法を電極や配線の形成に用い、より安価に電子放出素子や電子源、画像表示装置を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明の第1は、部分的に高抵抗領域を含む導電性パターンの形成方法であって、感光性樹脂を用いて、樹脂パターンを形成する樹脂パターン形成工程と、上記樹脂パターンに金属成分を含む液体を吸収させる吸収工程と、上記金属成分を含む液体を吸収した樹脂パターンを焼成して金属酸化物の導電性膜を形成する焼成工程と、上記導電性膜の所望の領域をガス遮断層で覆い、真空或いは還元雰囲気下で、上記導電性膜を加熱して、上記所望の領域以外を還元する還元工程とを有することを特徴とする導電性パターンの形成方法である。
本発明の第2は、電極を備えた電子放出素子の製造方法であって、該電極を上記本発明第1の導電性パターンの形成方法により形成することを特徴とする。
本発明の第3は、電極を有する複数の電子放出素子と、該電子放出素子を駆動するための配線とを備えた電子源の製造方法であって、上記電極或いは配線の少なくとも一方を上記本発明第1の導電性パターンの形成方法により形成することを特徴とする。
本発明の第4は、電極を有する複数の電子放出素子と、該電子放出素子を駆動するための配線とを備えた電子源、及び、上記電子放出素子から放出された電子の照射によって発光する画像形成部材を有する画像表示装置の製造方法であって、上記電子源を上記本発明第3の電子源の製造方法により製造することを特徴とする。
本発明は以下の効果を奏するものである。
(1)導電性パターンの形成工程途中で、導電性パターンを構成する材料をほとんど除去することがないので、例えば電極や配線などの導電性パターンを形成するに際し、工程途中で除去される導電性パターン構成材料を最小限に抑制し、工程途中で除去される導電性パターン構成材料の回収再利用にかかる負荷を最小限に止めることができる。そして、この導電性パターンの形成方法を用いて電子放出素子、電子源、画像表示装置の製造を行えば、これらの製造時の上記負荷を大幅に軽減できる。
(2)上記と同じ理由から、必要最小量の金属成分によって導電性パターン及び高抵抗部位を形成できるので、大面積に亘って多数の電極や配線パターンを形成するときのコストを抑えることができる。
(3)本発明は、使用する感光性樹脂として水溶性の感光性樹脂を用い、さらに金属成分を含む液体を水系溶液とすることで、作業環境はもとより、自然環境に与える悪影響を最小限に抑えることができると共に、パターニングに強酸を使用する必要がなく、強酸による基板の腐食などによって精度が低下する心配なく所望の微細な導電性パターンを高精度で形成することができる。
(4)本発明によれば、パターン内に高抵抗領域と低抵抗領域とを有する導電性パターンを、従来よりも少ない工程数で形成することができ、この導電性パターンの形成方法を用いた電子放出素子、電子源、画像表示装置の製造において、製造効率を向上させることができる。
本発明の導電性パターンの形成方法は、感光性樹脂と、金属成分を含む液体とを用いることに特徴を有する。本発明によって形成する導電性パターンの代表例としては、電極や配線があり、さらには、電子放出素子や該電子放出素子を複数備えた電子源、さらには、この電子源を用いた画像表示装置の製造に好ましく適用される。
上記電子放出素子の例としては、電気的絶縁性の基板上に対向して形成した一対の素子電極に接続して導電性膜を形成した後、この導電性膜にフォーミングと称される通電処理を施し、導電性膜を局所的に破壊、変形もしくは変質させて、亀裂を含む電気的に高抵抗な箇所を形成したもので、その後、素子電極間に電圧を印加して、導電性膜面に平行な電流を流すと、上記亀裂を含む電気的に高抵抗な箇所(電子放出部)から電子放出を生じる現象を利用した表面伝導型の電子放出素子を挙げることができる。また、他の例としては、「FE型」と称される電界放出型の電子放出素子や、「MIM型」と称される金属/絶縁層/金属型の構成を有する電子放出素子を挙げることができる。
また、複数の電子放出素子と、該複数の電子放出素子を駆動するための配線とを備えた電子源としては、電子放出素子をX方向及びY方向に行列状に複数個配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の素子電極の一方をX方向の配線に共通に接続し、同じ列に配された複数の電子放出素子の素子電極の他方をY方向の配線に共通に接続した単純マトリクス配置が挙げられる。
さらに、画像表示装置としては、上記のような電子源と、この電子源の電子放出素子より放出された電子線の照射により発光する画像形成部材とを組み合わせたものを挙げることができる。画像形成部材として、電子によって可視光を発光する蛍光体を有するものを用いれば、テレビやコンピューターディスプレイとして用いられる表示パネルとすることができる。また、画像形成部材として、感光体ドラムを用い、電子線の照射によりこの感光体ドラムに形成される潜像をトナーを用いて現像できるようにすれば、コピー機やプリンターとすることができる。
以下、本発明で使用する材料(感光性樹脂、金属成分を含む液体)、本発明の導電性パターン形成方法、本発明の電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法の順に説明する。
(1)感光性樹脂
本発明で使用する感光性樹脂としては、これを用いて形成した樹脂パターンが、後述する金属成分を含む液体を吸収できるものであれば特に制限はなく、水溶性の感光性樹脂でも、溶剤溶解性の感光性樹脂でもよい。水溶性の感光性樹脂とは、後述する現像工程における現像を水もしくは水を50質量%以上含む現像剤で行うことができる感光性樹脂をいい、溶剤溶解性の感光性樹脂とは、現像工程における現像を有機溶剤もしくは有機溶剤を50質量%以上含む現像剤で行う感光性樹脂をいう。
感光性樹脂としては、樹脂構造中に感光基を有するタイプのものであっても、例えば環化ゴム−ビスアジド系レジストのように、樹脂に感光剤が混合されたタイプのものでもよい。いずれのタイプの感光性樹脂成分においても、光反応開始剤や光反応禁止剤を適宜混合しておくことができる。また、現像液に可溶な感光性樹脂塗膜が光照射によって現像液に不溶化するタイプ(ネガタイプ)であっても、現像液に不溶な感光性樹脂塗膜が光照射によって現像液に可溶化するタイプ(ポジタイプ)であってもよい。
本発明においては、上記のように一般の感光性樹脂を広く用いることができるが、後述する金属成分を含む液体中の成分と反応して、当該液体に沈殿成分やゲル化を生じさせにくい成分のものを選択することが好ましい。また、良好な作業環境を維持しやすいこと、廃棄物の自然に与える負荷が小さいことなどから、水溶性の感光性樹脂を用いることが好ましい。
さらに水溶性の感光性樹脂について説明すると、この水溶性の感光性樹脂としては、水を50質量%以上含有し、例えば乾燥速度を速めるためのメチルアルコールやエチルアルコールなどの低級アルコールを50質量%未満の範囲で加えた現像剤や感光性樹脂成分の溶解促進や安定性向上などを図るための成分を加えた現像剤を使用するものを用いることができる。但し、環境負荷を軽減する観点から、水の含有率が70質量%以上の現像剤で現像できるものが好ましく、さらに好ましくは水の含有率が90質量%以上の現像剤で現像できるものであり、水だけを現像剤として現像できるものが最も好ましい。この水溶性の感光性樹脂としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂やポリビニルピロリドン系樹脂などの水溶性の樹脂を用いたものを挙げることができる。
(2)金属成分を含む液体
本発明で用いる金属成分を含む液体は、焼成によって導電性膜を形成できるものであれば、有機溶剤を50質量%以上含む有機溶剤系溶媒を用いた有機溶剤系溶液でも、水を50質量%以上含む水系溶媒を用いた水系溶液でもよい。この金属成分を含む溶液としては、例えばルテニウム、パラジウム、ニッケル、銅などの有機溶剤溶解性または水溶性の有機化合物を、有機溶剤系溶媒または水系溶媒中に金属成分として溶解させたものを用いることができる。好ましくは、上記金属の錯体化合物が挙げられる。
本発明で用いる金属成分を含む液体としては、上記感光性樹脂と同様に、良好な作業環境を維持しやすいこと、廃棄物の自然に与える負荷が小さいことなどから、水系溶液であることが好ましい。この水溶液の水系溶媒としては、水を50質量%以上含有し、例えば乾燥速度を速めるためのメチルアルコールやエチルアルコールなどの低級アルコールを50質量%未満の範囲で加えたものや上述した金属有機化合物の溶解促進や安定性向上などを図るための成分を加えたものとすることができる。しかし、環境負荷を軽減する観点から、水の含有率が70質量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは水の含有率が90質量%以上であり、すべて水であることが最も好ましい。
さらには、得られる導電性パターンの膜質向上ならびに基板との密着性を向上させるために、例えばロジウム、ビスマス、バナジウム、クロム、錫、鉛、ケイ素などの単体または化合物が、前記金属成分を含む溶液に添加されていることが好ましい。
(3)導電性パターンの形成方法
本発明の導電性パターンの形成方法は、具体的には、以下の樹脂パターン形成工程(塗布工程、乾燥工程、露光工程、現像工程)、吸収工程、洗浄工程、焼成工程、還元工程を経て実施することができる。
塗布工程は、導電性パターンを形成すべき絶縁性の基板上に前述の感光性樹脂を塗布して塗膜を形成する工程である。この塗布は、各種印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷など)、スピンナー法、ディッピング法、スプレー法、スタンプ法、ローリング法、スリットコーター法、インクジェット法などを用いて行うことができる。
乾燥工程は、上記塗布工程において基板上に塗布した感光性樹脂塗膜中の溶媒を揮発させて塗膜を乾燥する工程である。この塗膜の乾燥は、室温下で行うこともできるが、乾燥時間を短縮するために加熱下で行うことが好ましい。加熱乾燥は、例えば無風オーブン、乾燥機、ホットプレートなどを用いて行うことができる。塗布した感光性樹脂の組成や塗布量などによっても相違するが、一般的には50〜100℃の温度下に1〜30分間置くことで行うことができる。
露光工程は、上記乾燥工程において乾燥された基板上の感光性樹脂塗膜を、所定の樹脂パターン(例えば所定の電極や配線の形状)に応じて露光する工程である。露光工程で光照射して露光する範囲は、使用する感光性樹脂がネガタイプであるかポジタイプであるかによって相違する。光照射によって現像液に不溶化するネガタイプの場合、樹脂パターンとして残すべき領域に光を照射して露光するが、光照射によって現像液に可溶化するポジタイプの場合、ネガタイプとは逆に、樹脂パターンとして残すべき領域以外の領域に光を照射して露光する。光照射領域と非照射領域の選択は通常のフォトレジストによるマスク形成における手法と同様にして行うことができる。
現像工程は、上記露光工程で露光された感光性樹脂塗膜について、所望の樹脂パターンとして残すべき領域以外の領域の感光性樹脂塗膜を除去する工程である。感光性樹脂がネガタイプの場合、光照射を受けていない感光性樹脂塗膜は現像液に可溶で、光照射を受けた露光部の感光性樹脂塗膜が現像液に不溶化するので、現像液に不溶化していない非光照射部の感光性樹脂塗膜を現像液で溶解除去することで現像を行うことができる。また、感光性樹脂がポジタイプの場合、光照射を受けていない感光性塗膜は現像液に対して不溶で、光照射を受けた露光部の感光性樹脂塗膜が現像液に可溶化するので、現像液に可溶化した光照射部の感光性樹脂塗膜を現像液で溶解除去することで現像を行うことができる。尚、水溶性の感光性樹脂を用いた場合、現像液としては、例えば水や通常の水溶性フォトレジストに用いられる現像液と同様のものを用いることができる。
吸収工程は、上記で形成した樹脂パターンに前記金属成分を含む溶液を吸収させる工程である。吸収は、形成した樹脂パターンを前記金属成分を含む液体と接触させることで行われる。具体的には、例えば前記金属成分を含む液体に浸漬させるディッピング法や、樹脂パターンに例えばスプレー法やスピンコート法で前記金属成分を含む液体を塗布する塗布法などで行うことができる。金属成分を含む液体を接触させるに先だって、例えば前記水系溶液を用いる場合に、前記水系溶媒を用いて樹脂パターンを膨潤させておくこともできる。
洗浄工程は、樹脂パターンに金属成分を含む液体を吸収させた後、該樹脂パターンに付着した余剰の該液体や、樹脂パターン以外の箇所に付着した余剰の該液体を除去・洗浄する工程である。この洗浄工程は、例えばエアーの吹き付けや振動などで上記余剰の液体を十分振り落とすことができる場合には省略することも可能であるが、不要な導電性材料の残留を確実に防止するために行うことが好ましい。この洗浄工程は、前記金属を含む液体中の溶媒と同様の洗浄液を用い、この洗浄液に前記樹脂パターンを形成した基板を浸漬する方法や、該洗浄液を前記樹脂パターンを形成した基板に吹き付けることなどによって行うことができる。この洗浄工程においては、前記金属成分を含む液体が若干除去されることになるが、その量は極めて微量であり、これを回収して再利用するとしても、従来に比して負荷を大幅に軽減することができる。
焼成工程は、上記現像工程及び吸収工程を経、必要に応じてさらに上記洗浄工程を経た樹脂パターンを(ネガタイプでは光照射部の感光性樹脂塗膜、ポジタイプでは非光照射部の感光性樹脂塗膜)を焼成し、樹脂パターン中の有機成分を分解除去し、樹脂パターンに吸収されている金属成分を含む液体中の金属成分の酸化物からなる導電性膜を形成する工程である。焼成は、樹脂パターンに含まれる有機成分の種類などによっても相違するが、通常400℃〜600℃の温度下に数分〜数十分置くことで行うことができる。焼成は、例えば熱風循環炉などで行うことができる。この焼成によって、基板上に、所定のパターン形状の金属酸化物の導電性膜が得られる。
還元工程は、焼成工程で形成された金属酸化物の導電性膜の一部を選択的に還元し、低抵抗化する工程である。上記工程で得られた金属酸化物の導電性膜中の、金属酸化物として残したい所望の領域を絶縁層等のガス遮断層で覆った後、真空もしくは還元雰囲気下(例えば2%水素/窒素雰囲気下など)で加熱することで、雰囲気暴露された部分が還元され、金属酸化物と同一金属の金属膜領域が形成される。金属膜領域においては、電気抵抗が低下し、光沢が生じる等の変化が見られるが、XPS等の分光的手法でも、表層及び基板近傍以外の領域で酸化物が大幅に減少する等、金属酸化物領域との差異を確認できる。
ここで、ガス遮断層は、上記導電性膜の当該ガス遮断層にて覆われた領域と、上記還元工程時に上記導電性膜が配置される雰囲気との間での、酸素又は水素などのガスの移動を遮断できるものであれば良く、例えば、酸化鉛及びガラスフリットからなる絶縁部材などが用いられる。
以上の工程により、低抵抗の領域と高抵抗の領域とを有する導電性パターンを得ることができる。
同様の構成の導電性パターンは、スパッタ装置等で基板の全面に金属膜を形成し、フォトレジストなどのマスクで必要な箇所を覆い、それ以外の部分をエッチング処理して必要な導電性パターンを形成する方法でも作成可能であるが、エッチング時や現像時に多量の金属成分が除去されることから、これを回収して再利用するための手間及び設備的負担が大きく、本方法と比較して安価に作成することは難しい。
(4)電子放出素子、電子源及び画像表示装置の製造方法
上述した本発明の導電性パターンの形成方法を、電極や配線の形成工程に利用して、電極を備えた電子放出素子、複数の該電子放出素子とこれを駆動するための配線とを備えた電子源、さらにはこの電子源と該電子源の電子放出素子から放出された電子線の照射により発光する画像形成部材とを具備する画像表示装置の製造方法に好適に用いることができる。即ち、上記電子放出素子の製造に際しては、電極を本発明の方法で形成し、上記電子源または画像表示装置の製造に際しては、使用する電子放出素子の電極と配線の一方または両者を本発明の方法で形成することによって、製造工程中で除去される電極及び/または配線構成材料の量を大幅に少なくし、製造に際して除去物の処理にかかる手間を大幅に簡略化することが可能となる。
本発明の導電性パターンの形成方法を用いて製造する電極を有する電子放出素子としては、前述のように、例えば表面伝導型電子放出素子、電界放出型(FE型)電子放出素子、金属/絶縁層/金属型(MIM型)電子放出素子などの冷陰極素子が好ましく、これらの中でも、多数の電子放出素子の電極を本発明の方法で一度に形成しやすい表面伝導型電子放出素子が好ましい。また、本発明の方法によれば、複数の電子放出素子の素子電極の形成と同時に、各電子放出素子を駆動するために必要な配線をも形成することができ、複数の電子放出素子を備えた電子源の製造が容易となり、さらにこの電子源と、電子源を構成する電子放出素子からの電子線の照射により画像を形成する画像形成部材とを組み合わせることで製造される画像表示装置の製造時の負荷も大幅に軽減されるものである。
係る電子放出素子の電極としては、例えば、信号線側を高抵抗に、走査線側を低抵抗に設定して同時に形成することにより、駆動中に蓄積した電荷が放電する際に電子放出素子に与える影響を低減させることが可能となる。また、素子電極中に高抵抗領域と低抵抗領域を作り込むことも可能である。また、電子源においては、電子放出部形成部位を高抵抗に、それ以外の部位を低抵抗に形成することにより、電子放出部の形成位置を制御することが可能となる。
これら電子放出素子、電子源及び画像表示装置においては、素子電流(If)、放出電流(Ie)、電子放出効率(η=Ie/If)ならびにそれらの変動係数で、均一性の評価を行うことができる。
図1に、本発明による電子放出素子の構成例を示す。図中、(a)は平面模式図、(b)は(a)のA−A’断面模式図である。また、1は基板、2,3は素子電極であり、3aは低抵抗領域、3bは高抵抗領域である。4は導電性膜、5は電子放出部である。以下に、当該電子放出素子の製造工程の一例を説明する。
〔工程1〕
基板1を洗剤、純水及び有機溶剤により十分に洗浄後、前記した本発明の導電性パターンの形成方法により、素子電極2と低抵抗領域3a及び高抵抗領域3bを有する素子電極3とを形成する。
基板1としては、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少させたガラス、青板ガラス、青板ガラスにスパッタ法等によりSiO2を積層した積層体、アルミナ等のセラミックス及びSi基板等を用いることができる。
素子電極間隔Lは、数十nm〜数百μmであり、素子電極2,3の製法の基本となるフォトリソグラフィー技術、即ち、露光機の性能とエッチング方法等、及び、素子電極2,3間に印加する電圧により設定されるが、好ましくは、数μm〜数十μmである。
素子電極2,3の長さW、及び膜厚dは、電極の抵抗値、配線との結線、電子放出素子が多数配置される電子源の配置上の問題より適宜設計され、通常は、長さWは数μm〜数百μmであり、膜厚dは数nm〜数μmである。
〔工程2〕
素子電極2,3間を連絡する導電性膜4を形成する。本構成例においては、素子電極3に低抵抗領域3a及び高抵抗領域3bが形成されているため、駆動中に蓄積した電荷が放電する際に電子放出素子に与える影響を低減させることが可能となり、好ましい。
導電性膜4としては、良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが好ましい。その膜厚は、素子電極2,3へのステップカバレージ、素子電極2,3間の抵抗値及び後述するフォーミング条件等を考慮して適宜設定される。
導電性膜4の熱的安定性は電子放出特性の寿命を支配する場合があり、導電性膜4の材料としては、より高融点な材料を用いるのが望ましい。しかしながら、通常、導電性膜4の融点が高いほど後述する通電フォーミングのためにより大きな電力が必要となる。さらに、その結果得られる電子放出部の形態によって、電子放出し得る印加電圧(しきい値電圧)が上昇する等、電子放出特性に問題が生じる場合がある。
本発明においては、導電性膜4の材料として特に高融点のものを必要とはせず、比較的小さいフォーミング電力で良好な電子放出部が形成可能な材料・形態のものを選ぶことができる。
上記条件を満たす材料の例として、Ni、Au、PdO、Pd、Pt等の導電材料をRs(シート抵抗)が1×102〜1×107Ω/□の抵抗値を示す膜厚で形成したものが好ましく用いられる。尚Rsは、厚さがt、幅がwで長さがlの薄膜の長さ方向に測定した抵抗Rを、R=Rs(l/w)とおいたときに現れる値で、抵抗率をρとすればRs=ρ/tである。上記抵抗値を示す膜厚はおよそ5nm〜50nmの範囲にある。この膜厚範囲において、それぞれの材料の薄膜は微粒子膜の形態を有していることが好ましい。
微粒子の粒径は、数Å〜数百nmの範囲、好ましくは、1nm〜20nmの範囲である。
さらに、先に例示した材料の中でも、PdOは、有機Pd化合物の大気中焼成により容易に薄膜形成できること、半導体であるため比較的電気伝導度が低く上記範囲の抵抗値Rsを得るための膜厚のプロセスマージンが広いこと、導電性膜4に間隙5を形成した後等に、容易に還元して金属Pdとすることができるので膜抵抗を低減し得ること、等から好適な材料である。しかしながら、本発明の効果はPdOに限られることなく、また、上記例示した材料に限られるものではない。
導電性膜4の具体的な形成方法としては、例えば、基板1上に設けられた素子電極2と素子電極3との間に、有機金属溶液を塗布して乾燥することにより、有機金属膜を形成する。尚、有機金属溶液とは、前記導電性膜材料のPd、Ni、Au、Pt等の金属を主元素とする有機金属化合物の溶液である。この後、有機金属膜を加熱焼成処理し、リフトオフ、エッチング等によりパターニングし、導電性膜4を形成する。また、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法、分散塗布法、ディッピング法、スピンナー法、インクジェット法等によって形成することも可能である。図1にはインクジェット法により、導電性膜材料を含む溶液を付与して形成した例を示した。
〔工程3〕
続いてフォーミングと呼ばれる通電処理を行う。具体的には、素子電極2,3間に不図示の電源によりパルス状電圧或いは昇電圧の印加により行うと、導電性膜4の一部に間隙5が形成される。
尚、フォーミング処理以降の電気的処理は、適当な真空装置内で行う。
〔工程4〕
フォーミングが終了した素子に活性化処理を施す。活性化処理は、炭素化合物ガスを含む雰囲気の適当な真空度のもとで、素子電極2,3間に電圧を印加することで行い、この処理により、雰囲気中に存在する炭素化合物から、炭素及び/または炭素化合物を主成分とするカーボン膜(不図示)が導電性膜4上に堆積し、素子電流If、放出電流Ieが、著しく変化するようになる。
ここで、炭素及び/または炭素化合物とは、例えばグラファイト(いわゆるHOPG,PG,GCを包含するものであり、HOPGはほぼ完全なグラファイトの結晶構造、PGは結晶粒が20nm程度で結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒が2nm程度になり結晶構造の乱れがさらに大きくなったものを指す。)、及び非晶質カーボン(アモルファスカーボン及び、アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混合物を指す)である。
活性化工程に用いる適当な炭素化合物としては、アルカン、アルケン、アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類、フェノール、カルボン酸、スルホン酸等の有機酸類等を挙げることができ、具体的には、メタン、エタン、プロパンなどCn2n+2で表される飽和炭化水素、エチレン、プロピレンなどCn2n等の組成式で表される不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミン、エチルアミン、フェノール、ベンゾニトリル、トルニトリル、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等或いはこれらの混合物を使用できる。
〔工程5〕
上記のようにして作製した電子放出素子に、好ましくは、安定化工程を行う。この工程は、真空容器内の炭素化合物を排気する工程である。真空容器内の炭素化合物は極力排除することが望ましいが、炭素化合物の分圧としては1×10-8Pa以下が好ましい。また、他のガスをも含めた圧力は、1×10-6Pa以下が好ましく、さらに1×10-7Pa以下が特に好ましい。真空容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用しないものを用いる。具体的には、ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げることができる。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着した炭素化合物分子を排気しやすくする。このときの加熱条件は、150〜350℃、好ましくは200℃以上でできるだけ長時間行うのが望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の配置などの諸条件により適宜選ばれる条件により行う。
安定化工程を行った後の雰囲気は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ましいが、これに限るものではなく、炭素化合物が十分除去されていれば、圧力自体は多少上昇しても十分安定な特性を維持することができる。
このような真空雰囲気を採用することにより、新たな炭素或いは炭素化合物の堆積を抑制できるので本発明の炭素を有する膜の形状が維持され、結果として素子電流If,放出電流Ieが安定する。
本発明による電子放出素子を用いてなる電子源において、電子放出素子の配列については、特に限定されないが、m本のX方向配線の上に、n本のY方向配線を層間絶縁層を介して設置し、電子放出素子の一対の素子電極にそれぞれ、X方向配線、Y方向配線を接続した配列形態、いわゆる単純マトリクス配置が好ましく適用される。以下に、この単純マトリクス配置について詳述する。
表面伝導型電子放出素子からの放出電子は、しきい値電圧以上では、対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と幅で制御できる。一方、しきい値電圧以下では、殆ど放出されない。この特性によれば、多数の電子放出素子を配置した場合でも、個々の素子に、上記パルス状電圧を適宜印加すれば、入力信号に応じて、表面伝導型電子放出素子を選択し、その電子放出量が制御できることとなる。
以下、この原理に基づき構成した電子源の一例の平面模式図を、図8に示す。図8中、11は基板、12はX方向配線、13はY方向配線、51は層間絶縁層である。
図8において、複数本のX方向配線12及びY方向配線13はそれぞれ所望のパターンとした導電性金属等からなり、多数の電子放出素子にほぼ均等な電圧が供給される様に、材料、膜厚、配線幅が設定される。これらX方向配線12とY方向配線13との間には層間絶縁層51が設置され、電気的に分離されて、マトリクス配線を構成する。
本発明の電子源の製造方法においては、素子電極2,3、X方向配線12、Y方向配線13のいずれか、或いは2以上を本発明の導電性パターンの形成方法により形成する。具体的には、例えば、X方向配線12と素子電極3とを一方を他方より高抵抗に設定して同一工程で形成することができる。
層間絶縁層51は、真空蒸着法、印刷法、スパッタ法等で形成されたSiO2等であり、X方向配線12を形成した絶縁性の基板11の全面或いは一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配線12とY方向配線13の交差部の電位差に耐え得るように、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線12とY方向配線13は、それぞれ外部端子として引き出されている。
前記X方向配線12には、X方向に配列する電子放出素子14の行を、入力信号に応じて走査するための走査信号を印加する不図示の走査信号印加手段が電気的に接続され、一方、Y方向配線13には、Y方向に配列する電子放出素子14の各列を、入力信号に応じて変調するための変調信号を印加する不図示の変調信号発生手段が電気的に接続される。
さらに、各電子放出素子14に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される走査信号と変調信号の差電圧として供給されるものである。
図2に、図8の電子源を用いてなる画像表示装置の表示パネルの一例を模式的に示す。図2は、当該表示パネルの一部を便宜上欠いた状態の斜視図であり、図中、21は複数の電子放出素子14を形成した電子源基板11を固定したリアプレート、26はガラス基板23の内面に蛍光膜24とメタルバック25等が形成されたフェースプレートである。22は支持枠であり、リアプレート21、支持枠22及びフェースプレート26をフリットガラスを塗布し、大気中或いは窒素中で400〜500℃で10分以上焼成することで封着して外囲器27を構成する。
外囲器27は、上述の如く、フェースプレート26、支持枠22、リアプレート21で構成したが、リアプレート21は主に電子源基板11の強度を補強する目的で設けられるため、基板11自体で十分な強度を持つ場合は別体のリアプレート21は不要であり、基板11に直接支持枠22を封着し、フェースプレート21、支持枠22及び基体11で外囲器27を構成してもよい。
一方、フェースプレート26、リアプレート21間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器27を構成することもできる。
また、蛍光膜24の内面側には、通常メタルバック25が設けられる。メタルバック25の目的は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート26側へ鏡面反射することにより輝度を向上させること、電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させること、外囲器27内で発生した負イオンの衝突によるダメージから蛍光体を保護すること等である。メタルバック25は、蛍光膜24作製後、蛍光膜24の内面側表面の平滑化処理(通常、フィルミングと呼ばれる。)を行い、その後Alを真空蒸着等で堆積することで作製できる。
フェースプレート26には、さらに蛍光膜24の導電性を高めるため、蛍光膜24の外面側に透明電極(不図示)を設けてもよい。
前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないため、十分な位置合わせを行う必要がある。
外囲器27は、不図示の排気管を通じ、1.3×10-5Pa程度の真空度にした後、封止が行われる。また、外囲器27の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行う場合もある。これは、外囲器27の封止を行う直前或いは封止後に、抵抗加熱或いは高周波加熱等の加熱法により、外囲器27内の所定の位置に配置されたゲッター(不図示)を加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、例えば1.3×10-3Pa〜1.3×10-5Paの真空度を維持するものである。
以上により完成した画像表示装置において、各電子放出素子14には、容器外端子よりX方向配線12及びY方向配線13に電圧を印加することにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、メタルバック25或いは透明電極(不図示)に数kV以上の高圧を印加し、電子ビームを加速し、蛍光膜24に衝突させ、励起・発光させることで画像を表示するものである。
尚、以上述べた構成は、表示等に用いられる好適な画像表示装置を作製する上で必要な概略構成であり、例えば各部材の材料等、詳細な部分は上述内容に限られるものではなく、画像表示装置の用途に適するよう適宜選択する。
本発明による電子放出素子の基本的特性によれば、電子放出部からの放出電子は、しきい値電圧以上では対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と幅によって制御され、その中間値によっても電流量が制御され、もって中間調表示が可能になる。
また多数の電子放出素子を配置した場合においては、各ラインの走査線信号によって選択ラインを決め、各情報信号ラインを通じて個々の素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、任意の素子に適宜電圧を印加する事が可能となり、各素子をONすることができる。
また中間調を有する入力信号に応じて電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳しく説明するが、この実施例は本発明を限定するものではない。
(実施例1)
感光性樹脂として、メタクリル酸−メチルメタクリル酸−エチルアクリレート−n−ブチルアクリレート−アゾビスイソブチロニトリル重合体の塗液を、ガラス基板(縦75mm×横75mm×厚さ2.8mm)にロールコーターで全面に塗布し、ホットプレートで45℃にて2分間乾燥した。次いでネガフォトマスクを用い、光源を超高圧水銀ランプ(照度:8.0mW/cm2)にて、基板とマスクをコンタクトさせ、露光時間2秒で露光した。次いで、現像液として純水を用い、ディッピングで30秒間処理し、膜厚が1.35μmの樹脂パターンを得た。
この樹脂パターン形成基板を純水中に30秒浸漬した後、トリス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム(II)塩化物水溶液(ルテニウム含有量1質量%)に60秒浸漬した。
次いで基板を引き上げ、流水で5秒間洗浄し、樹脂パターン間のRu錯体溶液を洗浄し、エアーを吹き付けて水切りをし、80℃のホットプレートで3分乾燥した。
その後、熱風循環炉にて500℃で30分間焼成し、電極間距離20μm、幅60μm、長さ120μm、厚み25nmの酸化ルテニウム電極を形成した。
この電極の中央部分に耐熱性ガス遮断層として酸化鉛及びガラスフリットからなる絶縁層をスクリーン印刷と現像により幅60μm、厚み30μmで形成した。
次いで、真空焼成炉において400℃で30分間真空雰囲気で加熱した。電極が露出している部分は酸化ルテニウムが還元されて金属ルテニウムとなり、絶縁層と電極が重なっている部分は還元されずに酸化ルテニウムのままであった。金属ルテニウム部分のシート抵抗値は、35Ω/□であり、酸化ルテニウム部分のシート抵抗値は、185Ω/□であった。
(実施例2)
金属化合物溶液をテトラアンミンパラジウム(II)酢酸塩溶液(パラジウム含有量1質量%)にした以外は、実施例1と同様にして電極を製造した。金属パラジウム部分のシート抵抗値は、30Ω/□であり、酸化パラジウム部分のシート抵抗値は、4.5kΩ/□であった。
(実施例3)
本発明の導電性パターンの形成方法を用いて、複数の表面伝導型の電子放出素子を製造すると共に、この複数の表面伝導型の電子放出素子を駆動するための配線を形成して電子源を製造し、さらにこの電子源を用いて画像表示装置を製造した。以下、図2〜図8に基づいて製造手順を説明する。
〔工程1〕
300mm×300mm×厚さ2.8mmのガラス製の基板11上に、素子電極2,3を実施例1と同様な手法で酸化ルテニウム電極を形成した(図3)。
本実施例においては、幅60μm、長さ480μmの素子電極3と、幅120μm、長さ200μmの素子電極2とを電極間ギャップ20μmで対向させたものとした。また、素子電極2,3間のピッチは、横方向300μm、縦方向650μmとし、素子電極対数720×240としてマトリクス形状に配置した。素子電極対の形成と同時に1cm×1cmの酸化ルテニウム膜パターンを形成し、そのシート抵抗を測定したところ、180Ω/□であった。
〔工程2〕
各列の素子電極対の一方の素子電極3を接続するX方向配線12のパターンを銀配線ペーストを用いてスクリーン印刷法で付設した(図4)。次に、厚さ20μmの層間絶縁層51をスクリーン印刷法により付設した(図5)上に、さらに各行の素子電極対の他方の素子電極2を接続するY方向配線13のパターンをX方向配線12と同様にして付設し(図6)、焼成を行ってX方向配線12とY方向配線13とした。
〔工程3〕
X方向配線12とY方向配線13を形成した基板1を真空焼成炉にて、400℃で30分間真空雰囲気で加熱した。この時点での前記酸化ルテニウム膜パターンのシート抵抗を、前述のパターンを利用して測定したところ、酸化ルテニウムがルテニウムに還元されることで低抵抗化し、35Ω/□となっていた。電極の層間絶縁層51に覆われた部分は酸化ルテニウムのままで還元されず、180Ω/□を保っていた。
〔工程4〕
ポリビニルアルコールを0.05質量%濃度、2−プロパノールを15質量%濃度、エチレングリコールを1質量%濃度で溶解した水溶液に、酢酸パラジウム−モノエタノールアミン錯体をパラジウムが約0.15質量%濃度となるように溶解して淡黄色水溶液を得た。
上記水溶液の液滴を、インクジェット法によって、各素子電極対を成す素子電極2,3上から、当該素子電極2,3に跨り、且つ電極ギャップ内に付設されるよう、同じ箇所に4回付与した(ドット径=約100μm)。
上記水溶液の液滴を付設した基板11を350℃の焼成炉にて30分間焼成し、各素子電極対間に、素子電極2,3間を連絡するパラジウム薄膜14を形成した(図7)後、当該基板11をリアプレート21に固定した。
〔工程5〕
前記基板11とは別のガラス製の基板23の内面に蛍光膜24とメタルバック25が形成されたフェースプレート26と、上記リアプレート21を向き合わせ、支持枠22を介して封着して外囲器27を構成した。支持枠22には予め通排気に使用される給排気管を接着した。
〔工程6〕
給排気管を介して外囲器内を1.3×10-5Paまで排気後、各X方向配線12に連なるX方向端子Dox1〜Doxnと、各Y方向配線3に連なるY方向端子Doy1〜Doymを用い、各列の素子電極対間に電圧を加え、素子電極2,3間のパラジウム薄膜4に数十μmの亀裂部を発生させるフォーミングをライン毎に行い、表面伝導型電子放出素子を形成した(図8)。
外囲器27内を1.3×10-5Paまで排気後、外囲器27内が1.3×10-2Paとなるまでベンゾニトリルを給排気管から導入し、上記フォーミングと同様にして、各素子電極対間にパルス電圧を供給し、上記パラジウム薄膜14の亀裂部にカーボンを堆積させる活性化を行った。パルス電圧は各ラインに対して25分間印加した。
〔工程8〕
給排気管より外囲器27内の排気を充分に行った後、250℃で3時間外囲器27全体を加熱しながらさらに排気し、最後にゲッタをフラッシュし、給排気管を封止した。
このようにして図2に示されるような表示パネルを製造し、不図示の走査回路・制御回路・変調回路・直流電圧源などからなる駆動回路を接続し、パネル状の画像表示装置を製造した。
X方向端子Dox1〜DoxnとY方向端子Doy1〜Doymを通じて、各表面伝導型電子放出素子に時分割で所定電圧を印加し、高電圧端子Hvを通じてメタルバック25に高電圧を印加することによって、任意のマトリクス画像パターンを良好な画像品質で表示することができた。
(実施例4)
工程3を省略し、工程8における加熱温度を400℃にした以外は、実施例3と同様にして画像表示装置を製造した。任意のマトリクス画像パターンを良好な画像品質で表示することができた。
本発明による電子放出素子の一例の構成を示す模式図である。 本発明による画像表示装置の一例の表示パネルの構成を示す模式図である。 本発明による電子源の製造工程図である。 本発明による電子源の製造工程図である。 本発明による電子源の製造工程図である。 本発明による電子源の製造工程図である。 本発明による電子源の製造工程図である。 本発明による電子源の一例の構成を示す模式図である。
符号の説明
1 基板
2,3 素子電極
3a 低抵抗領域
3b 高抵抗領域
4 導電性膜
5 電子放出部
6 耐熱性ガス遮断層
11 電子源基板
12 X方向配線
13 Y方向配線
14 電子放出素子
21 リアプレート
22 支持枠
23 ガラス基板
24 蛍光膜
25 メタルバック
26 フェースプレート
27 外囲器
51 層間絶縁層

Claims (8)

  1. 部分的に高抵抗領域を含む導電性パターンの形成方法であって、
    感光性樹脂を用いて、樹脂パターンを形成する樹脂パターン形成工程と、
    上記樹脂パターンに金属成分を含む液体を吸収させる吸収工程と、
    上記金属成分を含む液体を吸収した樹脂パターンを焼成して金属酸化物の導電性膜を形成する焼成工程と、
    上記導電性膜の所望の領域をガス遮断層で覆い、真空或いは還元雰囲気下で、上記導電性膜を加熱して、上記所望の領域以外を還元する還元工程とを有することを特徴とする導電性パターンの形成方法。
  2. 前記感光性樹脂が、水溶性である請求項1に記載の導電性パターンの形成方法。
  3. 前記金属成分を含む液体が、水溶性の金属有機化合物を水系溶媒成分に溶解させた水系溶液である請求項1または2に記載の導電性パターンの形成方法。
  4. 前記金属有機化合物が、ルテニウム、パラジウム、ニッケル、銅の少なくとも1種の錯体化合物である請求項3に記載の導電性パターンの形成方法。
  5. 前記金属成分を含む液体に、ロジウム、ビスマス、バナジウム、クロム、錫、鉛、ケイ素、及びこれらの化合物から選択される少なくとも1種が添加されている請求項1乃至4のいずれかに記載の導電性パターンの形成方法。
  6. 電極を備えた電子放出素子の製造方法であって、該電極を請求項1乃至5のいずれかに記載の導電性パターンの形成方法により形成することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  7. 電極を有する複数の電子放出素子と、該電子放出素子を駆動するための配線とを備えた電子源の製造方法であって、上記電極或いは配線の少なくとも一方を請求項1乃至5のいずれかに記載の導電性パターンの形成方法により形成することを特徴とする電子源の製造方法。
  8. 電極を有する複数の電子放出素子と、該電子放出素子を駆動するための配線とを備えた電子源、及び、上記電子放出素子から放出された電子の照射によって発光する画像形成部材を有する画像表示装置の製造方法であって、上記電子源を請求項7に記載の電子源の製造方法により製造することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
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