JP3825975B2 - 防音カバー及びその取付方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、騒音源を覆って騒音を低減する防音カバー及びその取付方法に係り、特に、自動車のエンジンルーム内に使用される防音カバー及びその取付方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
騒音源となる機器・構造物、例えば、自動車のエンジンルームには、エンジンなどの機器類の、保護、振動低減、及び騒音低減などのために防音(遮音)カバーが用いられている。例えば、エンジンルーム用防音カバー(エンジントップカバー(ヘッドカバー)、エンジンサイドカバー等)は、その遮蔽効果により、ある程度の騒音を吸収・遮断することができると共に、耐水性、耐油性、及びある程度の耐熱性を有していることから、エンジン保護の役割を十分に果たすことができる。
【0003】
図8,図9に示すように、エンジンルーム用防音カバー81は、熱可塑性樹脂材82に樹脂層83などを貼り合わせたものを所望の形状に成形してなるものであり、機器・構造物の必要部分(図8ではヘッドカバー80の上面、図9ではシリンダブロック90の側面)を覆っている。カバー81は、ボルト・ビス類、クリップ類などの固定手段を用いて、機器・構造物80,90に固定・装着されている。一般的に、ボルトなどの固定手段を用いて、騒音源となる機器・構造物に防音カバーを直接取り付けると、その機器・構造物からの振動が、固定手段を介してカバーに伝達し、カバーの表面から音が放射(放散)されてしまう。したがって、この振動の伝達を遮断すべく、図10に示すように、固定部100における固定手段(図10ではボルト)103とカバー81の間にゴムなどの制振部材101を介在させ、これによって、機器・構造物80からカバー81に振動が伝達するのを遮断している。ここで、制振部材101の貫通穴104には、円筒状で、内周面にネジ溝が形成された螺合部材(カラー)102が設けられ、この螺合部材102に固定手段103が螺合されると共に、螺合部材102で固定手段103の軸力を受けている。
【0004】
近年、自動車から車外へ漏れる騒音を低減させる要求、および自動車の車内へ漏れ伝わる騒音および振動を低減させる要求が高まっていることから、エンジン音の更なる低減が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、エンジン音の更なる低減のためには、エンジンカバーによる音の吸収・遮断能力、即ち吸遮音性の向上と、振動の低減・減衰能力、即ち制振性の向上が求められる。
【0006】
しかし、従来のエンジンカバーは、ある程度の吸遮音性は有するものの、図10に示すように、エンジン(図10ではエンジンのヘッドカバー)からカバー81に振動が伝達するのを遮断することに主眼がおかれており、カバー自体の遮音性については、殆ど考慮されていなかった。
【0007】
また、カバー81に振動が伝達するのを遮断する制振部材101は、全ての固定部100の固定手段103とカバー81の間に介在・配置しなければ、その制振効果を最大限に発揮することができないことから、大幅なコスト上昇を招いていた。
【0008】
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、音の吸収・遮断および振動の低減・減衰に十分な効果を有する防音カバー及びその取付方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく本発明に係る防音カバーは、騒音源を覆って騒音を低減する防音カバーにおいて、上記騒音源側から、綿、化学繊維、及びガラスウールの混合材で形成された3Fフェルトを用いて構成した吸音層と、通気遮断層を交互に少なくとも1層ずつ積層すると共に、最上層の上記通気遮断層の表面に構造層を積層し、かつ、各層を一体に形成したものである。また、本発明に係る防音カバーは、騒音源を覆って騒音を低減する防音カバーにおいて、上記騒音源側から、綿、化学繊維、及びガラスウールの混合材で形成された3Fフェルトを用いて構成した吸音層と、通気遮断層を交互に少なくとも1層ずつ積層すると共に、最上層の上記通気遮断層の表面に構造層を積層し、上記吸音層の層厚 T1 を通気遮断層及び上記構造層の合計層厚 T2 の 3 倍以上に調整すると共に、各層を一体に形成したものである。
【0010】
以上の構成によれば、吸音層で、従来の防音カバーと同等又はそれ以上の音の吸収が達成され、かつ、通気遮断層で、音が遮断されることから、エンジン音の低減を図ることができる。
【0011】
また、構造層は、内層側の形状保持層と外層側の表面保護層の二層構造であることが好ましい。
【0012】
また、最下層の吸音層の騒音源側面に不織布層を形成してもよい。
【0013】
また、吸音層は、3Fフェルトを用いたフェルト材又は不織布材の単層体、或いはそれらの単層体の複合層体であることが好ましい。
【0014】
また、吸音層は、3Fフェルトを用いたフェルト材又は不織布材の単層体と合成樹脂フォーム材の単層体との複合層体であることが好ましい。
【0015】
また、通気遮断層は、ゴム材、アスファルト材、又は樹脂フィルムの単層体、或いはそれらの単層体の複合層体であることが好ましい。
【0016】
また、形状保持層は、吸音層と同じ単層体或いは複合層体に、加熱・加圧成形を施したものであることが好ましい。
【0017】
また、表面保護層は、吸音層と同じ単層体或いは複合層体に、樹脂含浸処理又は樹脂被覆処理と、加熱処理を施したものであることが好ましい。
【0020】
本発明に係る防音カバーの取付方法は、上記構成の防音カバーを騒音源に取付ける取付方法において、上記防音カバーを固定手段を用いて上記騒音源に取り付ける際、防音カバーの固定手段取付部の部分の吸音層を、予め騒音源側に凸状に形成しておき、吸音層の各凸状部のみを騒音源に直接接触させると共に、上記固定手段で防音カバーの各凸状部を騒音源に取り付け、固定するものである。
【0021】
以上の方法によれば、防音カバーにおける吸音層に凸状部を形成し、各凸状部のみを騒音源に直接接触させて固定するため、固定手段取付部にゴムなどの制振部材を設ける必要がなく、取付コストの削減を図ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適一実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0023】
本発明に係る防音カバーをエンジン用ヘッドカバー上面に取り付けた状態を示す断面図を図1に、本発明に係る防音カバーをシリンダブロック側面に取り付けた状態を示す断面図を図2に示す。ここで、図1(b)は、図1(a)の要部Aの拡大図である。
【0024】
図1(a),(b)に示すように、本発明に係る防音カバー11は、騒音源(図1ではエンジン用ヘッドカバー10の上面)側から、吸音層1、通気遮断層2、構造層5の順に積層したものである。また、構造層5は、内層側の形状保持層3と外層側の表面保護層4の二層構造となっている。さらに、最下層の吸音層1の騒音源10側の面、即ち防音カバー11の裏面(図1(b)では下面)には、要求される撥水性、撥油性、及び見栄え等に応じて、適宜、不織布層6が積層形成される。
【0025】
ここで、図1(b)の防音カバー11は、吸音層1と通気遮断層2を1層ずつ積層しているが、吸音層1a,1b,…と通気遮断層2a,2b,…を交互に二層以上積層したもの、例えば、図2に示す防音カバー21のように、吸音層1a、通気遮断層2a、吸音層1b、通気遮断層2b、構造層5の順に積層したものであってもよい。
【0026】
吸音層1は、綿、化学繊維、及びガラスウールの混合材で形成された3Fフェルトを用いたフェルト材又は不織布材の単層体、或いはそれらの単層体の複合層体で構成される。また、吸音層1は、3Fフェルトを用いたフェルト材又は不織布材の単層体と、合成樹脂フォーム材の単層体の複合層体で構成される。好ましくは、吸音層1は、3Fフェルトを用いたフェルト材の単層体、或いはそれらの単層体の複合層体で構成される。ここで、吸音層1は、嵩高で、通気性を有することから、少なくとも吸音性に優れた材料で構成する必要がある。フェルト材は、天然繊維や化学繊維などを原料とした織布又は不織布を一旦解繊し、嵩高に加工してなるものである。ここで、“解繊”とは、布状のものを糸状又は繊維状とする工程を指している。また、フェルト材として、解繊工程を経て形成したものだけではなく、既存のものを使用してもよいことは言うまでもない。
【0027】
フェルト材としては、フェルト(3Fフェルト)の表面に熱硬化性樹脂、例えば、フェノール樹脂を散布すると共に、加熱により繊維間を固着させたレジンフェルト、および繊維表面に、先端が釣針状の多数の針(ニードル)を刺すことにより繊維を相互に絡ませて固めたニードルフェルトが挙げられ、特に熱成形が可能なレジンフェルトが好ましい。また、不織布材としては、不織布(3Fフェルト)の繊維間をバインダー樹脂で固着したものが挙げられる。さらに、合成樹脂フォーム材としては、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリエチレンフォーム、塩化ビニルフォーム、酢酸ビニルフォーム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フォームなどが挙げられる。
【0028】
通気遮断層2は、ゴム材、アスファルト材、又は樹脂フィルムの単層体、或いはそれらの単層体の複合層体、好ましくは比重が大きく、かつ、成形が容易なゴム材の単層体、或いはそれらの単層体の複合層体で形成されるものであり、少なくとも通気性を遮断でき、成形が可能な材料で構成する必要がある。
【0029】
ゴム材としては、合成ゴム、天然ゴム、加硫ゴム、又は再生ゴムが挙げられ、好ましくは合成ゴム、例えば、ブチルゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム等が挙げられ、特に好ましくは面重量が高く、耐油性に優れたアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)が挙げられる。また、アスファルト材としては、ストレートアスファルト、プローンアスファルト、セミプローンアスファルト等の石油アスファルトの他、天然アスファルトも適用可能である。さらに、樹脂フィルムとしては、従来公知の各種の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を薄膜状に加工したものが挙げられる。
【0030】
形状保持層3は、3Fフェルトを用いたフェルト材又は不織布材、好ましくは吸音層1と同じ単層体或いは複合層体に、加熱・加圧成形を施したもので形成される。
【0031】
表面保護層4は、3Fフェルトを用いた不織布材又はフェルト材、好ましくは吸音層1と同じ単層体或いは複合層体、特に好ましくは成形性が良好で、吸音層1と同じ単層体或いは複合層体に、樹脂含浸処理又は樹脂被覆処理と、加熱処理を施したもので形成され、耐熱性、耐水性、および耐油性を付与したものである。含浸又は被覆させる樹脂としては、従来公知の溶剤系樹脂、水系樹脂、エマルジョン樹脂等が挙げられ、例えば、フェノール樹脂が挙げられる。また、表面保護層4及び不織布層6の不織布としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、『PET』と示す)が挙げられる。
【0032】
不織布層6は、3Fフェルトを用いた不織布材で形成される。
【0033】
以上に示した各層1〜4,6をそれぞれ形成した後、不織布層6、吸音層1、通気遮断層2、及び構造層(形状保持層3及び表面保護層4)5の順に積層し、真空成形により各層1〜4,6を一体に形成することで、本発明に係る防音カバー11が得られる。この真空成形の際、通気遮断層2により、吸音層1が圧縮されるのが防止され、これによって、吸音層1の吸音・遮音性が確保される。
【0034】
本発明に係る防音カバー11においては、非圧縮層である吸音層1の層厚T1を、通気遮断層2及び構造層5の合計層厚T2の3倍以上、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍前後と厚くすることで、優れた吸音・遮音性および高い剛性が得られる。その結果、エンジンから発生する騒音を大きく低減することができ、自動車の車外および車内に漏れる騒音を小さくするができる。ここで、吸音層1の層厚T1を厚くする分、吸音層1を構成するフェルト材(又は不織布材)のフェルト(又は不織布)の目付け量(単位:g/m2 )を小さくして重量増を抑える。
【0035】
また、吸音層のフェルト材を構成するフェルトとして、代表的なものに、綿のみで形成した1Fフェルトがあり、その中でも、繊維径の小さな綿を用いた1Fフェルトが特に優れた吸音性を有している。しかし、綿は天然繊維であることから、その繊維径が産地によって大きく異なり、安定した吸音性が得られない。また、繊維径の小さな綿は高級綿であり、非常に高価である。
【0036】
このため、本発明に係る防音カバー11においては、フェルトとして、綿、化学繊維、及びガラスウールを混合して形成した3Fフェルトを用いている。3Fフェルトは、1Fフェルトと略同等の吸音性を有していると共に、天然繊維の比率が1Fフェルトよりも少ないことから、吸音性がより安定している。また、3Fフェルトは、特にガラスウールが入っている分、1Fフェルトよりも剛性が高くなっており、この剛性はガラスウールの混合比を適宜調整することで自在に調整できる。さらに、3Fフェルトは、化学繊維及びガラスウールが入っているため、湿度や熱の影響による剛性低下の割合が1Fフェルトよりも小さく、その結果、形状変形、例えば、垂れ下がり等を防ぐことができる。また、この3Fフェルトを用いた吸音層1及び形状保持層3は、防音カバー11を保持できる程の剛性レベルまでとはいかないが、ある程度の剛性を有していることから、吸音層1及び形状保持層3の振動減衰を向上させることができる。
【0037】
さらに、通気遮断層2の構成材として、密度の大きいもの、例えば、NBRを用い、かつ、その層厚を、例えば、2〜4mmとすることで、通気遮断層2の重量を大きくとることができる。この通気遮断層2、吸音層1、および形状保持層3のそれぞれが、重量層として作用することで、優れた遮音性能を顕現することができる。その結果、エンジン振動がカバー11に伝達しても、カバー11の通気遮断層2および形状保持層3において振動が大幅に低減・減衰される。また、その制振能力によって、カバー11自体から放射(放散)される固体二次放射(放散)音が大幅に小さくなる。これによって、自動車の車内に伝達される振動・騒音を低減することができる。
【0038】
また、表面保護層4は、不織布材(又はフェルト材)の単層体或いは複合層体に熱硬化性樹脂を含浸(又は被覆)させていることから、表面保護層4に液体、例えば油や水が染み込むことがない。このため、本発明に係る防音カバー11は、油(エンジンオイル、ギアオイル)や水に晒されるエンジンカバーに適用することができる。
【0039】
次に、本発明に係る防音カバーの取付方法について添付図面を用いて説明する。
【0040】
本発明に係る防音カバー11は、その高い吸遮音性によりエンジン音を吸収・遮断するものである。そこで、第1の形態に係る防音カバーの取付方法は、本発明に係るカバー11をエンジン等の騒音源、例えば、図1に示したヘッドカバー10の上面に取り付ける際、吸音層1の外周縁部12をヘッドカバー10に密着させるように取り付ける。また、この取り付けの際、ヘッドカバー10と吸音層1の間に空間Sを設けて取り付けを行う。
【0041】
カバー11における吸音層1の外周縁部12を、ヘッドカバー10に密着させて取り付けることで、カバー11による遮蔽(シール)で、ヘッドカバー10とカバー11の隙間からのエンジン音の漏れが少なくなる。また、空間Sを設けてカバー11を取り付けることで、ヘッドカバー10上面の振動がカバー11に伝達するのを最小限に抑えることができる。さらに、今度はカバー11自体により、音の吸収・遮断及び振動の低減・減衰を行い、エンジン音の更なる低減を図っている。
【0042】
ここで、カバー11における吸音層1の外周縁部12とヘッドカバー10の密着性が、カバー11による遮蔽性に影響を及ぼすことから、カバー11の成形時に、この密着性が良好となるように、精度良く成形することが望ましい。よって、カバー11の吸音層1は、熱成形が可能なレジンフェルトを用いることが好ましく、それによって、吸音層1の外周縁部12とヘッドカバー10との密着性が更に良好となり、延いては、ヘッドカバー10とカバー11の隙間からのエンジン音の漏れが更に少なくなる。
【0043】
第2の形態に係る防音カバーの取付方法の取り付け構造の断面図を図3に示す。ここで、図1,図2と同様の部材には同じ符号を付している。
【0044】
次に、第2の形態に係る防音カバーの取り付け方法は、図3に示すように、本発明に係るカバー11の、ヘッドカバー(騒音源)10の固定部30及びその周辺部と対向する部分を、ヘッドカバー側(図3では下側)に凸状に形成し、この凸状部31の貫通穴32に、円筒状で、内周面にネジ溝が形成された螺合部材(カラー)33を設け、この螺合部材33に、固定手段(図3ではボルト)34を螺合させ、螺合部材33で固定手段34の軸力を受けるようにしている。
【0045】
本発明に係るカバー11は、吸音・遮音性と共に制振性にも優れていることから、このようにヘッドカバー10と直接接触させた状態で固定しても、振動を大幅に低減・減衰でき、カバー11自体から放射(放散)される固体二次放射音を大幅に小さくすることができる。その結果、図10に示した従来の防音カバー81のように、固定部100にゴムなどの制振部材101を介在させる必要がないことから、カバー11の取付コストを大幅に削減できる。
【0046】
本発明に係る防音カバー11は、最大の音源であるエンジン本体に装着することが最も効果的であるが、エンジンルーム内にあり、音源・振動源となる他の機器類、例えば、ジェネレータ、アクチュエータ等にも装着することで、エンジン音の更なる低減を図ることができる。
【0047】
【実施例】
本発明の理解に供するため、以下に実施例を記載する。言うまでもなく、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
吸音層、通気遮断層、形状保持層、及び表面保護層という積層構造の防音カバーを作製した。ここで、吸音層は、面重量が1200g/m2 、層厚が10mmのフェノール樹脂による3Fレジンフェルト層である。通気遮断層は、面重量が2600g/m2 、層厚が3mmのNBRゴム層である。形状保持層は、面重量が 600g/m2 、層厚が0.5mmのフェノール樹脂による3Fレジンフェルト層である。表面保護層は、面重量が 130g/m2 のPET不織布にフェノール樹脂を約 130g/m2 含浸させたものである。
(比較例1)
図8に示した熱可塑性樹脂材に樹脂層を貼り合わせた構造の防音カバーを作製した。ここで、熱可塑性樹脂材は、厚さ15mmのウレタンフォーム材であり、樹脂層は、層厚が1.5mmのナイロン層である。
【0048】
実施例1及び比較例1の各カバーを、実際にヘッドカバー上面に装着すると共に、エンジンを駆動させ、エンジン音の測定を行った。ここで、測定時のエンジンの回転数は、アイドリング状態の720rpm、また、音の測定位置は、ヘッドカバー表面から上に1mの位置の、エンジン中央部とした。
【0049】
図4に示すように、実施例1の防音カバーは、比較例1の防音カバーと比べ、全周波数域(O.A)で約1.5dB(A)ほど、測定された音レベルが小さくなっていた。
(実施例2)
吸音層、通気遮断層、吸音層、通気遮断層、形状保持層、及び表面保護層という積層構造の防音カバーを作製した。ここで、各層の材質及び層厚は、実施例1と同様とした。
(比較例2)
熱可塑性樹脂材の厚さが20mmである以外は、比較例1と同様にして防音カバーを作製した。
【0050】
実施例2及び比較例2の各カバーを、実際にシリンダブロック側面に装着すると共に、エンジンを駆動させ、エンジン音の測定を行った。ここで、測定時のエンジンの回転数は、アイドリング状態の720rpm、また、音の測定位置は、クランク軸高さにおけるシリンダブロック中央部で、シリンダブロック右側表面から1mの位置とした。
【0051】
図5に示すように、実施例2の防音カバーは、比較例2の防音カバーと比べ、全周波数域(O.A)で約1dB(A)ほど、測定された音レベルが小さくなっていた。
【0052】
すなわち、本発明に係る防音カバーである実施例1,2のカバーは、従来の防音カバーである比較例1,2のカバーと比べ、音の吸収・遮断性に優れていることがわかる。
【0053】
次に、実施例1の防音カバーを用いて、図3に示した取り付け構造(ボルト直締め構造)を、比較例1の防音カバーを用いて、図10に示した取り付け構造(ゴムによる浮かし締め構造)を作製する。各取り付け構造について、振動伝達特性の評価を行った。
【0054】
ここで、振動伝達特性の評価は、図6に示すシェーカー試験機60を用いて行った。シェーカー試験機60は、主に、シェーカー61と、アルミ板62を固定するフレーム63と、アルミ板62にボルト64を介して固定される試料(防音カバー)65で構成される。フレーム63はゴムバンド66を介して鋼板フレーム67に固定され、アルミ板62の下面および防音カバー65の上面には、それぞれ加速度検知センサ68,69が設けられる。シェーカー61の振動が、連結部70を介してフレーム63及びフレーム63に固定されたアルミ板62に伝達され、更にこのアルミ板62の振動がボルト64を介して試料65に伝達されるようになっている。
【0055】
実施例1のカバーを用いたボルト直締め構造および比較例1のカバーを用いたゴムによる浮かし締め構造の振動伝達特性を図7に示す。横軸は周波数(Hz)、縦軸は(試料加速度/アルミ板加速度(dB))を、また、実線がボルト直締め構造を、破線が浮かし締め構造を示している。
【0056】
図7に示すように、ボルト直締め構造および浮かし締め構造のどちらの構造においても、ほぼ同等の振動伝達特性が得られた。つまり、本発明に係る防音カバーは、振動の低減・減少能力、即ち制振性に優れていることから、ボルト直締め構造であっても、従来のゴムによる浮かし締め構造の防音カバーと略同等の制振性が得られ、その結果、従来と略同等の制振性を維持したまま、製造コスト、特に取付コストの大幅な削減を図ることができる。
【0057】
以上、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、他にも種々のものが想定されることは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、従来と同等又はそれ以上の吸遮音性を有し、かつ、良好な制振性を有する防音カバーを得ることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防音カバーをエンジン用ヘッドカバー上面に取り付けた状態を示す断面図である。図1(b)は図1(a)の要部Aの拡大図である。
【図2】本発明に係る防音カバーをシリンダブロック側面に取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】第2の形態に係る防音カバーの取付方法の取り付け構造を示す断面図である。
【図4】実施例1及び比較例1の各カバーの吸遮音性を示す図である。
【図5】実施例2及び比較例2の各カバーの吸遮音性を示す図である。
【図6】シェーカー試験機の概略図である。
【図7】実施例1のカバーを用いたボルト直締め構造および比較例1のカバーを用いたゴムによる浮かし締め構造の振動伝達性を示す図である。
【図8】従来の防音カバーをエンジン用ヘッドカバー上面に取り付けた状態を示す断面図である。図8(b)は図8(a)の要部Bの拡大図である。
【図9】従来の防音カバーをシリンダブロック側面に取り付けた状態を示す断面図である。
【図10】従来の防音カバーと騒音源の取り付け構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 吸音層
2 通気遮断層
3 形状保持層
4 表面保護層
5 構造層
6 不織布層
10 ヘッドカバー(騒音源)
11 防音カバー
12 外周縁部
20 シリンダブロック(騒音源)
Claims (10)
- 騒音源を覆って騒音を低減する防音カバーにおいて、
上記騒音源側から、綿、化学繊維、及びガラスウールの混合材で形成された3Fフェルトを用いて構成した吸音層と、通気遮断層を交互に少なくとも1層ずつ積層すると共に、最上層の上記通気遮断層の表面に構造層を積層し、かつ、各層を一体に形成したことを特徴とする防音カバー。 - 騒音源を覆って騒音を低減する防音カバーにおいて、
上記騒音源側から、綿、化学繊維、及びガラスウールの混合材で形成された3Fフェルトを用いて構成した吸音層と、通気遮断層を交互に少なくとも1層ずつ積層すると共に、最上層の上記通気遮断層の表面に構造層を積層し、
上記吸音層の層厚 T1 を通気遮断層及び上記構造層の合計層厚 T2 の 3 倍以上に調整すると共に、各層を一体に形成したことを特徴とする防音カバー。 - 上記構造層が、内層側の形状保持層と外層側の表面保護層の二層構造である請求項1又は2記載の防音カバー。
- 最下層の上記吸音層の騒音源側面に不織布層を形成した請求項1から3いずれか1つに記載の防音カバー。
- 上記吸音層が、上記3Fフェルトを用いたフェルト材又は不織布材の単層体、或いはそれらの単層体の複合層体である請求項1から4いずれか1つに記載の防音カバー。
- 上記吸音層が、上記3Fフェルトを用いたフェルト材又は不織布材の単層体と合成樹脂フォーム材の単層体との複合層体である請求項1から4いずれか1つに記載の防音カバー。
- 上記通気遮断層が、ゴム材、アスファルト材、又は樹脂フィルムの単層体、或いはそれらの単層体の複合層体である請求項1から6いずれか1つに記載の防音カバー。
- 上記形状保持層が、上記単層体或いは複合層体に、加熱・加圧成形を施したものである請求項3又は6いずれか1つに記載の防音カバー。
- 上記表面保護層が、上記単層体或いは複合層体に、樹脂含浸処理又は樹脂被覆処理と、加熱処理を施したものである請求項3又は6いずれか1つに記載の防音カバー。
- 上記請求項1から9いずれかに記載の防音カバーを騒音源に取付ける取付方法において、
上記防音カバーを固定手段を用いて上記騒音源に取り付ける際、
防音カバーを構成する吸音層の固定手段取付部を、予め騒音源側に凸状に形成しておき、
吸音層の各凸状部のみを騒音源に直接接触させると共に、上記固定手段で防音カバーの各凸状部を騒音源に取り付け、固定することを特徴とする防音カバーの取付方法。
Priority Applications (1)
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