JP3825650B2 - ポリマーの微粉末の製造法及びポリマーの微粉末 - Google Patents

ポリマーの微粉末の製造法及びポリマーの微粉末 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリマーの微粉末の製造法及びポリマーの微粉末に関し、特に化粧品用粉体などとして有用な、厚さが数ミクロンの鱗片状のポリマーの微粉末の製造法及びポリマーの微粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機物の微粉末は、無機物の微粉末に比較してより柔らかでソフト感が高い。また、球状の微粉末に比較して、鱗片状微粉末は展延性に優れる。球状の微粉末として、図8に示すように、約10ミクロン(以下μm)の直径を有するポリマーの微粉末が挙げられる。
一方、天然産出の鱗片状の無機微粉末は、人間の皮脂及び化粧品中に含まれる油剤などにより、微粉末の明度、彩度を低下させ易く、粉体の黒ずみいわゆる色ぐすみ現象の原因となり易い。
以上の理由から、化粧品等として用いるに好適な有機物、特にポリマーの微粉末の提供が望まれている。
【0003】
鱗片状のポリマーの微粉末の製造方法として、板や丸棒等を切削して微粉末を製造する方法、塗布方式によるフィルムの製造方法等によって得られたフィルムを液体窒素の存在下で冷凍粉砕する方法(特開昭57−78466号公報)、球状の合成樹脂粉末を、不活性溶媒中でガラスビーズを存在させて混合撹拌することで扁平にする方法(特開昭62−11704号公報)、ポリマー溶液の微小な液滴を平板上に滴下し、固化させる方法(特開昭63−11704号公報)、微粒子ポリマーの分散液を分散剤の凍結温度以下に冷却した後、ポリマーのガラス転移温度未満まで昇温する方法(特開平3−234734号公報)等が挙げられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記製造方法では、目的とする厚さの微粉末に切削することが困難であったり、均一な厚さを有する微粉末が得られ難かったり、また微粉末を製造するための薄膜が製造できても、基板から薄膜を剥離することが容易ではない等の理由により、化粧品等として用いるに好適な燐片状のポリマーの微粉末は容易には得られなかった。
【0005】
本発明は前記問題を解決するものであって、微粉末を製造するための薄膜の製造が容易で、しかも厚さが薄くて厚さの均一性に優れた鱗片状(板状)の微粉末が容易に得られるポリマーの微粉末の製造法及び、化粧品用粉体或いは色材等の工業用粉体などとして有用なポリマーの微粉末を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリマーの微粉末の製造法は、溶剤に可溶な線状ポリマーが有機溶剤に溶解されている重合体溶液を、常温で液体である液層の液面上に膜状に展開させ、脱溶剤して前記液層の上に薄膜を形成させ、この薄膜を粉砕する製造法である。
また、前記液層が水を含むことが好ましく、前記有機溶剤が水に対する溶解度が50以下であり、かつ常圧で180℃以下の沸点を有するケトン類又はエステル類の有機溶剤であることが好ましい。更に、前記線状ポリマーが、スチレン、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類からなる群より選ばれた単量体を重合した単独重合体又は前記単量体の少なくとも2種を共重合した共重合体であることが好ましい。
また、前記線状ポリマーの量が、液層の液面1m当たり0.1g〜50gとなるように重合体溶液を液層の上に展開させることが好ましい。
【0007】
本発明のポリマーの微粉末は、溶剤に可溶な線状ポリマーが有機溶剤に溶解されている重合体溶液を、常温で液体である液層の液面上に膜状に展開させ脱溶剤して前記液層の液面の平面性が転写されて平滑面を有する薄膜を前記液層の上に形成させ、この薄膜を粉砕することで製造されたものであって、形状は板状であり、その表面に前記の平滑面を有するとともに、厚さが0.1μm以上で50μm以下の範囲であるものである。また、前記線状ポリマーが、スチレン、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類からなる群より選ばれた単量体を重合した単独重合体又は前記単量体の少なくとも2種を共重合した共重合体であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明の製造方法の例を示す工程図である。本発明のポリマーの微粉末の製造法の例は、図3に示すように、ポリマーが有機溶剤に溶解されている重合体溶液を、常温で液体である液層の液面上に膜状に展開させ、脱溶剤して前記液層の上にポリマーの薄膜を形成させ、この薄膜を採取して乾燥し、乾燥物を粉砕する製造法である。
【0009】
前記ポリマーとして、溶剤に可溶な線状ポリマーが用いられる。
また、ポリマーとして、その側鎖に特長ある官能基をもつポリマーを選択し、またこれらのポリマーを組み合わせることにより、ポリマー本来の持つ性質、例えば、疎水性、親水性、造膜性、柔軟性、などの特長ある微粉末の製造が可能である。このようなポリマーとして、フッ素元素、珪素元素を含む官能基を側鎖としてもつポリマー、カルボキシル基、アミノ基、水酸基等の官能基を側鎖にもつポリマーが挙げられる。
【0010】
ポリマーとして、スチレン、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類からなる群より選ばれた単量体を重合した単独重合体又は前記単量体の少なくとも2種を共重合した共重合体を用いると、薄膜を製造し易いし、透明性に優れた微粉末が得られ易い。上記共重合体は、前述の官能基を側鎖に有してもよい。メタクリル酸エステル類の例は、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルであり、アクリル酸エステル類の例は、アクリル酸メチル、アククリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシルである。
前記単独重合体の例はポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルであり、共重合体の例はMS樹脂、メタクリル酸メチルとアクリル酸エステル類とを共重合した共重合体、メタクリル酸メチルとアクリル酸エステル類とメタクリル酸とを共重合した三元共重合体である。
【0011】
ポリマーとして、メタクリル酸メチル単位を50重量%以上含有するメタクリル樹脂を用いると、透明性、展延性、付着性等に優れた微粉末が得られ易い。
また、メタクリル酸メチル単位を75重量%〜99重量%含み、且つアクリル酸エステル類単位を1重量%〜25重量%含むメタクリル樹脂は、透明性に特に優れ、また有機溶剤に溶解し易いので、硬質なポリマーとして用いるに好ましい。しかもこのメタクリル樹脂の平均重合度が約600以上で1300以下であると、ポリマー濃度を高くしても重合体溶液の溶液粘度が低く、厚さの薄い薄膜、ひいては厚さの薄い微粉末が得られ易い。
【0012】
また、ポリマーとして、側鎖に水酸基をもつメタクリル樹脂、例えばメタクリル酸メチルとメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの少なくとも2種の単量体を共重合させた共重合体を用いると、吸湿性、親水性に優れた微粉末が得られる。
【0013】
ポリマーを溶解する有機溶剤は、(イ)常温(20℃)で液体であり、(ロ)ポリマーの良溶媒であり、(ハ)重合体溶液を液層の液面に浮上させるために重合体溶液の比重を小さくでき、即ちポリマーの比重を考慮して液層より小さい比重を有し、(ニ)重合体溶液を液層の液面上に浮上展開させるために、液層との相溶性が小さく、且つ(ホ)易揮発性であることが好ましい。更に、有機溶剤として、水に対する溶解度(20℃)が50以下、好ましくは2〜30で、常圧で180℃以下、好ましくは50℃以上、120℃以下の沸点を有するものを用いると、薄膜の製造が容易である。尚、水に対する溶解度とは、水100g中に溶解する有機溶剤のグラム数をいう。
【0014】
このような条件を満足する有機溶剤として、2〜8の炭素数を有するもの、好ましくは2〜8の炭素数を有するケトン類又はエステル類の溶剤が挙げられる。ケトン類とはケトン基を有するもので、その例は、メチルエチルケトン、ジエチルケトンであり、エステル類とエステル基を有するもので、その例は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルである。また、有機溶剤として、前記のケトン類及び/又はエステル類の2種類以上を混合して、水との相溶性を調整した混合溶剤を用いることができる。
【0015】
アセトン、ジアセトンアルコールは、メタクリル樹脂の良溶媒であるが、水への溶解度が無限大であり、重合体溶液中の溶媒が水に急速に溶け込むので、微粉末を製造するための薄膜の形成は容易ではない。
【0016】
重合体溶液は、例えばポリマー濃度が5重量%〜30重量%となるようにポリマーを有機溶剤に溶解することで製造できる。この重合体溶液は約5〜50パスカルセコンド(Pa・S)(約50〜500センチポイズ)の溶液粘度(20℃)を有することが好ましい。
なお、懸濁重合或いは乳化重合で製造されたビーズ(顆粒)或いは粉末形状のポリマーを用いると、ポリマーを有機溶剤に溶解し易い。
【0017】
本発明においては、重合体溶液を常温で液体である液層の液面上に膜状に展開させ、脱溶剤して前記液層の上に、ポリマーの薄膜を形成させる。
即ち、本発明においては、微粉末を得るための製膜型として、金属板やプラスチック板ではなく、液体の自由表面を利用した。従って、微粉末を製造するための薄膜の製造が容易であり、また薄膜の厚さを調整し易い。また、液体の液面上に、重合体溶液を滴下し、浮上展開させることにより、微粉末を得るための薄膜の上面、下面を平滑面とすることが極めて容易である。また、薄膜は液層から容易に分離できるので、薄膜の採取が容易である。
【0018】
薄膜の厚さ、ひいては微粉末の厚さは、液層の液面に滴下する重合体溶液の量、粘度などによって容易に調整できる。ポリマーの量が、液層の液面1m当たり0.1g〜50gとなるように重合体溶液を液層の上に展開させると、約0.1μm〜50μmの厚さを有する薄膜、微粉末が得られる。
【0019】
液層は常温(20℃)で液体であるもの、即ち常温で流動性を有するものから構成され、常温で自由表面を有する。液層として用いる液体は、重合体溶液よりも比重が大きく、好ましくは1以上の比重(20℃)を有し、且つポリマーを溶解する有機溶剤よりもポリマーに対してより貧溶媒であって、ポリマーを溶解しない性質を有することが好ましい。
【0020】
このような液体として、水、メタノール、エタノール等の炭素数1〜4のアルコール類、或いはアルコール類と水とを混合した水溶液が挙げられる。取り扱い易さ、コスト、薄膜の製造し易さ等の点から、水を70重量%以上、好ましくは90重量%以上含む液体を用いて液層を構成することが好ましい。また、水溶性の無機塩類を水に溶解した無機塩類水溶液は、比重を1以上に調整し易いので、液層として用いると薄膜を製造し易い。無機塩類の例は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウム塩、塩化カリウム等のカリウム塩である。無機塩類は、水100重量部に対して、約5〜50重量部の割合で用いることができる。
【0021】
液層の温度は、0℃から30℃の範囲であることが好ましい。特に10℃から25℃の範囲が薄膜の形成性も良く、また作業性も良いので好ましい。液層の温度が高くなると、溶媒の揮発が促進されて、液層上の重合体溶液の粘度が上昇して重合体溶液の展開が不十分となり、薄膜の膜厚も厚くなり易く、その上薄膜に皺を発生し易い。液層の温度が40℃を超えると、溶媒の揮発は一層激しくなり、50℃を越えると、ポリマーは発泡状態となり易くて薄膜状になり難く、ポリマーはポーラスな固まりとなり易い。
【0022】
重合体溶液は液層に注入される。液層は循環されることで流動していてもよいが、静止していることが好ましい。液層に重合体溶液を注入する方法として、(イ)滴下方法、(ロ)重合体溶液を液層の表面に噴霧する噴霧方法、(ハ)重合体溶液を液層の液面上に或いは液面下に連続的に注入する連続注入方法が挙げられる。これらのうち、滴下方法によれば、厚さが均一で厚さの薄い薄膜を製造し易い。
【0023】
図1、2は、本発明の製造方法の例を示す図である。滴下方法によれば、図2に示すように、重合体溶液4は液滴4aとして液層2の液面2aに滴下される。滴下された重合体溶液4は、液層2の液面2a上に浮上した状態で自由に四方八方に広がり、液層2の上に面積の大きい薄い膜を形成する。数分後、前記膜中の溶媒は揮発等に脱溶剤されて、図1に示すように、液層2の上に、ポリマーに富む薄膜3を形成する。この薄膜3の片面には液面2aの自由表面が転写され、他方の表面は有機溶剤の揮発等により形成されるので、薄膜3は表面光沢を有し、且つ透明なものとなり易い。この薄膜3は液層2から容易に分離でき、またべたつきを有さないので採取が容易である。
【0024】
採取した薄膜は、減圧濾過等により、水等の液体が除去され、乾燥され、粉砕工程等に回送される。
【0025】
得られた薄膜は、粉砕機により粉砕されて微粉末とされる。前記粉砕機の例は、ボールミル、衝撃微粉砕機、ジェット粉砕機である。
粉砕方法として、約−30℃以下、好ましくは約−70℃以下の沸点を有する液化気体等の冷却剤により薄膜を冷却しながら薄膜を破砕する冷凍粉砕が好ましい。前記冷却剤の例は、液化炭酸ガス、液体窒素である。液化炭酸ガス、好ましくは液体窒素等の冷却剤を薄膜に直接接触させて薄膜を冷却して破砕する冷凍粉砕によれば、粉砕時の剪断熱、摩擦熱等によっても薄膜は融着等を起こさない。従って、薄膜の厚さを損なうことなく薄膜を微粉末化できる。
【0026】
図4は、本発明の微粉末の例を拡大して示した斜視図である。本発明によれば、ポリマーが溶解されている重合体溶液4を、液体である液層2の液面2aの上に展開させて前記液層2の上に薄膜3を形成させ、この薄膜3を粉砕することで得られた鱗片状(板状)の微粉末6であって、その表面6aに前記液層2の液面2aの自由表面が転写され、厚さ(一個の微粉末の厚さのうちの最大厚さ)tが0.3μm以上で20μm以下の範囲であり、しかも、図中dで示す方向の長さである粒径(一個の微粉末の粒形のうちの最大粒径)dが1μm以上で70μm以下の範囲であるものを、その総量中、約90%以上含む微粉末6を得ることが可能である。また、前記厚さt及び粒径dを有するとともに、総量中、約70%以上が約4.0〜50のアスペクト比(d/t)を有する微粉末の製造が可能である。このような微粉末は化粧品用粉体として特に好適である。
尚、微粉末は、前記ポリマーとは形状は異なるが、前記ポリマーと同じ組成、平均重合度等を有する。
【0027】
本発明の微粉末は、柔らかでソフト感が高く、展延性に優れる。また、この微粉末は板状であるので、パウダー又はリキッド化粧品に配合された場合に、ころころと転がるいわゆるローリング効果を発現しないが、肌上では展延方向に配向され易い。このことが滑らかさ、いわゆる滑り性、感触の良さとして肌に感じられると同時に肌全体に均一に広がり、粉体の伸び、着きなどの化粧効果に優れる。また、本発明の微粉末は、人間の皮脂及び化粧品中に含まれる油剤などによっても、明度、彩度が低下し難く、粉体の黒ずみいわゆる色ぐすみ現象の原因とならない。更に、本発明の微粉末は屈折率も低く、純度も高く皮脂による色ぐすみ現象を起こしにくいため、透明感のあるナチュラルな化粧仕上がりと十分な化粧持ち効果を与える。その上、本発明の微粉末を用いた化粧品は、皮脂により化粧膜が濡れた場合でも粉体中の無機着色剤の明度、彩度の低下が起こりにくく、また濡れ色の鮮やかな発色効果を与える。
【0028】
本発明の微粉末は、通常化粧品に用いられる他の化粧品成分を必要に応じ適宜配合することができる。他の化粧品成分として、例えば無機粉末、有機粉末、無機着色顔料、有機顔料、パール顔料、天然色素、各種炭化水素、シリコン油、高級脂肪酸、高級アルコール、油性成分、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤などが挙げられる。
【0029】
また、前記の他の化粧品の成分のうち、無機顔料、有機顔料、有機紫外線吸収剤、無機紫外線散乱剤等の一種又は二種以上を含有させたポリマー粉末又はビーズを用いる方法、或いは重合体溶液と前記の他の化粧品の成分とが混合された溶液を用いて薄膜を製造し、この薄膜を粉砕する方法等、により着色された微粉末、もしくは紫外線カット等の性能を付与された微粉末の製造が可能である。このような微粉末は、化粧品の製造用原料として有用である。
【0030】
前記無機顔料として酸化チタン、酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄などが挙げられ、有機顔料として赤色202号、黄色401号、青色404号などが挙げられる。また、有機紫外線吸収剤としてPABA系、サルチル酸系、柱皮酸系、ベンゾフェノン系その他の紫外線吸収剤が挙げられ、無機紫外線散乱剤として微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛などが挙げられる。
【0031】
また、本発明のポリマーの微粉末には、化粧品の目的に応じて、適宜疎水化処理などの改質処理が施されてもよい。改質処理方法として、例えばシリコーン化合物による方法、界面活性剤による方法、レシチン、コラーゲン、パーフルオロ基含有化合物などによる方法などが挙げられる。
【0032】
【実施例】
以下の実施例において、特に断りのない限り%、部は重量%、重量部を意味する。
<試験例1>
単量体としてメタクリル酸メチルを93%、アクリル酸エチルを7%含み、その他に重合触媒等を含む重合性液を水に分散させ、次いで懸濁重合し、脱水、乾燥することでメタクリル樹脂のビーズ(以下、PMMA−Hという。)を得た。このPMMA−Hの平均重合度は850で、20℃での比重は、1.19であった。
なお、平均重合度は、PMMA−Hの希薄溶液の粘度を測定して固有粘度を求め、この固有粘度から粘度的平均分子量を求めることで算出した。
【0033】
上記のPMMA−Hの15部を酢酸エチルの85部に溶解して、ポリマー濃度が15%の重合体溶液(20℃における溶液粘度は100センチポイズ)を調整した。この重合体溶液の比重(20℃)は0.95(計算値)である。
【0034】
上記の重合体溶液を用いて、図1、2に示す方法で微粉末を製造するための薄膜を以下の通り製造した。
液層2を構成させる液体として、フィルターで濾過した水を用いた。液層(水層であって、深さ30cm。)2の表面1m当たり前記重合体溶液4(20℃)を10g(液面2aの1m当たりポリマー量は1.5g/m)の割合で、静止した液層2の液面2aの上に、容器5から滴下した。なお、重合液体4が一定高さから液面2aの上に落下するように、容器5の液面2aからの高さを調整した。また、重合液体4が一定速度で液面2aの上に落下するように容器5の移動速度を調整した。即ち、液面2aの上で左右方向に容器5を一定速度で移動させた。
【0035】
落下した重合体溶液4の液滴4aは、水面上に落下した油滴が水面上を広がるが如く、液面2a上に浮上した状態で四方八方に流動して広がることで、液面2aの上に展開された。そして、重合体溶液4は液面2aを被い、液面2aの上に薄い膜が形成された。約5分間放置したところ、前記膜中の酢酸エチルの一部は揮発し、また一部は水に移行して、図1に示すように、液層2の上に浮いた、木の葉状の薄膜3が形成された。この薄膜3の一部を液面2から分離して採取し、脱水乾燥して薄膜を得た。この薄膜は透明で、その両表面とも光沢有し、その表面には液面2aの平坦な平面性(液体の自由表面性)が転写されていた。この薄膜の膜厚をマイクロメターで測定したが、計測し難い程の薄さであった。
【0036】
前記薄膜3の残りを集め、集めた薄膜3を吸引濾過して脱水した。脱水物は薄膜3が集合したケーキ状のかたまりとして得られ、次いでこのかたまりを風乾した。この風乾物を液体窒素中に投入して機械的に粉砕することでポリマーの微粉末を得た。風乾物は粉砕の際に、約−150℃に冷却されたと推定される。
尚、この微粉末は、メタクリル酸メチル単位を93%、アクリル酸エチル単位を7%含有し、平均重合度が850のポリマーからなる。
【0037】
得られた微粉末の電子顕微鏡写真を図5に示す。図5から、微粉末は平滑な表面を有し、鱗片状であることが判る。図5には、数個の微粉末が撮影されているが、図5のほぼ中央に位置する微粉末は、約1.0μmの厚さt、約27μmの粒径dを有し、アスペクト比(d/t)が約27の粉末であることが判る。
また、微粉末の電子顕微鏡写真から、微粉末の厚さは約1μm〜2μmの範囲にあった。
【0038】
また、薄膜3の表面の平滑性と、薄膜3の膜厚の均一性は、そのまま微粉末6においても維持され、薄膜3の広がり方向のみが粉砕により実質的に破断されたことが、電子顕微鏡写真から確認された。
【0039】
前記微粉末の粒径dを島津製作所社製のレーザー回折式粒度分布装置(型式SALD−1100)を用いて測定した。その結果、微粉末の全ては、1.40μm〜59μmの範囲に粒径dを有し、微粉末の約88%が4.8μm〜43μmの範囲に粒径dを有することが判った。このことは図6からも伺える。そして、微粉末の約88%が、約4.8〜43のアスペクト比(d/t)を有していた。また、微粉末の約23%が17μm〜23μmの粒径dを有することが判った。このことは、図7からも伺える。
尚、図6は横軸が粒径(μm)、縦軸を積分分布率(容積%)としたグラフで、図7は横軸は粒径(μm)、縦軸を粒径分布率(容積%)としたグラフである。
【0040】
得られた微粉末を指先につけ、肌上で延ばすと、微粉末は均一に広がり、また滑り性もよく、透明感にも優れた。即ち、微粉末はファンデーション、口紅、アイ製品、サンスクリーン製品等の化粧品を製造するための粉体として好適であった。
【0041】
試験例1における重合体溶液の組成、液層の組成、製膜状況、微粉末の厚さ等を表1に示す。
【0042】
<試験例2〜12>
ポリマーの種類、溶剤の種類、組成、ポリマーの濃度、液層の組成、温度などを変えて、試験例1と同様にして微粉末を製造し、得られた微粉末の厚さt等を測定した。その結果を表1に示す。
【0043】
表1において、PMMA−H等は次を意味する。
ポリマーについて
PMMA−H;メタクリル酸メチル単位が93wt%、アクリル酸エチル単位が7wt%からなる共重合体で、平均重合度が850であるメタクリル樹脂。
PMMA−G;メタクリル酸メチル単位が88wt%、アクリル酸メチル単位が12wt%からなる共重合体で、平均重合度が1250であるメタクリル樹脂。
PMMA−R;メタクリル酸メチル単位が98wt%、アクリル酸メチル単位が2wt%からなる共重合体で、平均重合度が1350であるメタクリル樹脂。
MS;メタクリル酸メチル単位が25wt%、スチレン単位が75wt%からなるMS樹脂。
【0044】
溶剤について
EAc;酢酸エチルであって、20℃での比重は0.90で、沸点は76.8℃(1気圧)で、水に対する20℃での溶解度は8.7である。
MEK;メチルエチルケトンであって、20℃での比重は0.81で、沸点は79.6℃(1気圧)で、水に対する20℃での溶解度は26.8である。
DAA;ジアセトンアルコールであって、20℃での比重は0.94で、沸点は167.9℃(1気圧)で、水に対する20℃での溶解度は無限大である。
【0045】
比重;溶剤とポリマーの比重から計算した重合体溶液の20℃における計算値。
液層の温度;試験例8の液層の温度は50℃で、試験例10の液層の温度は
30℃で、その他の試験例における液層の温度は20℃である。
液層の種類;試験例10の液層は、水80wt%とエタノール(Eth)20wt%とからなる水溶液であって、他の試験例は水のみからなる。
微粉末の厚さ;微粉末6の厚さtであって、電子顕微鏡を用いて測定した。
【0046】
【表1】
Figure 0003825650
【0047】
表1から次のことが判る。
試験例1〜6、試験例12から、重合体溶液の溶媒が、酢酸エチル(EAc)、メチルエチルケトン(MEK)、或いはこれらの混合溶媒であると、厚さtが小さい微粉末が得られ易いことが判る。
また、試験例1〜5から、ポリマーとしてPMMA−Hを用いると、厚さtが1μm以上で、10μm以下の微粉末が得られ易いことが判る。
また、試験例3と試験例4の比較から、ポリマー濃度が15wt%と低くて、粘度の低い重合体溶液を用いると、厚さtが小さい微粉末が得られ易いことが判る。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、極めて薄い鱗片状のポリマーの微粉末の製造が容易である。また、本発明の微粉末は、化粧品を製造するための粉体、色材、水性インキ等を製造するための工業用粉体などとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造方法の例で、薄膜を形成した状態を示す図である。
【図2】 本発明の製造方法の例で、液滴を滴下させた状態を示す図である。
【図3】 本発明の製造方法の例を示す工程図である。
【図4】 本発明の微粉末の例を拡大して示す斜視図である。
【図5】 本発明の微粉末の例を示す電子顕微鏡写真である。
【図6】 本発明の微粉末の粒径分布の測定結果の例を示すグラフである。
【図7】 本発明の微粉末の粒径範囲と粒径分布の測定結果の例を示すグラフである。
【図8】 従来例の微粉末の例を示す電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 製膜槽
2 液層
2a 液面
3 薄膜
4 重合体溶液
4a 液滴
5 容器
6 微粉末
6a 表面
d 粒径
t 厚さ

Claims (7)

  1. 溶剤に可溶な線状ポリマーが有機溶剤に溶解されている重合体溶液を、常温で液体である液層の液面上に膜状に展開させ、脱溶剤して前記液層の上に薄膜を形成させ、この薄膜を粉砕することを特徴とするポリマーの微粉末の製造法。
  2. 前記液層が、水を含むことを特徴とする請求項1記載のポリマーの微粉末の製造法。
  3. 有機溶剤が、水に対する溶解度が50以下であり、かつ常圧で180℃以下の沸点を有するケトン類又はエステル類の有機溶剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリマーの微粉末の製造法。
  4. 線状ポリマーが、スチレン、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類からなる群より選ばれた単量体を重合した単独重合体又は前記単量体の少なくとも2種を共重合した共重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリマーの微粉末の製造法。
  5. 線状ポリマーの量が、液層の液面1m当たり0.1g〜50gとなるように重合体溶液を液層の上に展開させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリマーの微粉末の製造法。
  6. 溶剤に可溶な線状ポリマーが有機溶剤に溶解されている重合体溶液を、常温で液体である液層の液面上に膜状に展開させ脱溶剤して前記液層の液面の平面性が転写されて平滑面を有する薄膜を前記液層の上に形成させ、この薄膜を粉砕することで製造されたポリマーの微粉末であって、形状は板状であり、その表面に前記の平滑面を有するとともに、厚さが0.1ミクロン以上で50ミクロン以下の範囲であるポリマーの微粉末。
  7. 線状ポリマーが、スチレン、メタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類からなる群より選ばれた単量体を重合した単独重合体又は前記単量体の少なくとも2種を共重合した共重合体であることを特徴とする請求項6に記載のポリマーの微粉末。
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