JP3825595B2 - 自動車の視覚的確認装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の後部座席の様子を確認するミラーからなる視覚的確認装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種視覚的確認装置の一つとして、例えば、米国特許第4,824,159号公報に示すものが存する。
該従来の視覚的確認装置は、自動車の後部座席の様子を確認するミラー装置として開発されたもので、自動車天井側にミラーを格納する格納空間を画成して、当該格納空間の開口部にミラーを回動可能に支承すると共に、ミラーが格納空間から開放方向に回動した状態では、ミラー面を利用者の視線にあわせて角度調節できる構成となっている。
【0003】
この為、従来の視覚的確認装置の下で、ミラーを見る必要が生じた場合には、ミラーを自動車天井の格納空間から開放方向に回動して、利用者側の視線にあった位置に角度調節すれば、利用者は自動車の後部座席の様子を確認することが可能となり、又、ミラーを見る必要がない場合には、逆に、自動車天井の格納空間内へミラーを回動すれば、ミラーの存在が邪魔になることはない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の視覚的確認装置にあっては、利用者は自分の視線にあった位置にミラーを角度付けすることにより、自動車の後部座席の様子を広角に亘って確認することが可能となる訳であるが、ミラーの使用に際しては、その都度、ミラーを自分の視線にあった位置に角度調節しなければならないので、使用上、煩雑な操作が要求されることは否めなかった。
【0005】
又、利用者に対して角度付けされた状態でミラーを設置すると、今度は、ミラーを格納した時に、ミラーの取付角度が不自然な角度に固定されることとなるので、見映えが悪化してしまう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、斯かる従来の視覚的確認装置が抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載の発明は、格納空間を画成したケースと、該ケースに回動可能に支承されてケースの格納空間内に格納される視覚的確認手段とを備え、視覚的確認手段を開放方向へ回動すると、当該視覚的確認手段がケースから外部に現れる自動車の視覚的確認装置であって、視覚的確認手段はミラーであり、ミラーの一側を上記格納空間の開口部に回動可能に枢着し、ミラーの他側をリンクの一端部に回動可能に連結する一方、当該リンクの他端部をミラーの一側が開口部に枢着された位置よりも水平方向に偏位した開口部の個所に回動可能に枢着して、ミラーの格納時は、ミラーをケースの格納空間内へ回動し、ミラーの開放時は、ミラーを開放方向へ回動することにより、ミラーが利用者に対して自動車の後部座席側の様子を確認できる角度となる構成を採用した。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1を前提として、リンクに対しては、その回動途中のある一点を境に逆向きの付勢力を付与するトーションスプリングを装着する構成を採用した。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する好適な実施の形態に基づいて詳述すれば、該実施の形態に係る自動車の視覚的確認装置も、従来と同様に、自動車の後部座席の様子を確認するミラー装置として開発されたもので、図1に示す如く、自動車の運転席と助手席の間の前方天井側に固定されるケース1と、該ケース1に回動可能に支承されてケース1の開口部を開閉するリッド2と、該リッド2の裏面側に設けられる視覚的確認手段たるミラー3とを備えるものであるが、特徴とするところは、以下の構成を採用した点にある。
【0010】
まず、ケース1は、ミラー3の格納空間を画成する底壁4の両側に一対の軸受孔部5a・5bを形成するものであるが、一方の軸受孔部5aは、格納空間の開口部の後端寄りに形成されて、後述するリッド2に直に設けられたピボット形状の軸部7を支持し、他方の軸受孔部5bは、該一方の軸受孔部5aから水平方向に偏位した開口部の中間寄りに形成されて、後述するリンク9の他端部9bに設けられたピボット形状の軸部10を支持する構成となっている。
【0011】
尚、各ピボット形状の軸部7・10は、最終的には、対応する軸受孔部5a・5bに一旦嵌合させてから、ケース1側にネジ止めされる横U字状を呈する板ばね6で摺動可能に支持されることとなるが、当該板ばね6は、図示する如く、その上片側に長半球状の凹部6aを形成し、下片側に半球状の凹部6bを形成して、該凹部6a・6bで各軸部7・10の球形先端部を弾持する構成となっているので、凹部6aと凹部6bの位置関係に精度が要求されることなく、且つ、各軸部7・10の球形先端部を上下方向から容易に弾持できることとなる。
【0012】
リッド2は、裏面側にミラー3を設けて、その対向する両側の内、一側に上記一方の軸受孔部5aに支持される先端が球形のピボット形状を呈する軸部7を一体に突設し、他側にリンク9の一端部9aを回動可能にネジ止めで連結するボス部8を突設して、該ボス部8にリンク9の一端部9aをネジ止めしながら、リンク9の他端部9bを後述する軸部10を介して上記他方の軸受孔部5bに支持すれば、当該リンク9の回動で、リッド2は、ケース1の開口部を閉塞する不使用状態と、ケース1の開口部を開放してミラー3を外部に現わす使用状態とに移動できる構成となっている。
【0013】
リンク9は、特に、リッド2の他側側の開閉動を促すものであるが、その他端部9bに先端が球形のピボット形状を呈する軸部10を突設して、該軸部10を上記一方の軸受孔部5aから水平方向に偏位した他方の軸受孔部5bに支持することにより、リッド2の一側側の軸部7を中心にして、リッド2の他側側をリンク9の回動と連動してその回動軌跡上を揺動させる構成となっている。従って、ケース1自体を不自然な角度に固定しなくとも、その不使用時には、リッド2でケース1の開口部を確実に閉塞して、ミラー3をケース1の格納空間内に格納でき、その使用時には、リッド2の裏面側に設けられているミラー3が、利用者例えば運転者側に対して自動的に角度付けされて外部に現れることとなる。
【0014】
又、このリンク9には、その回動途中にあるデッドポイントを境に逆向きの付勢力を付与するトーションスプリング11を装着することにより、リッド2が閉塞方向へ回動する場合には、デッドポイントを境に、リッド2に閉塞方向への付勢力が付与され、リッド2が開放方向へ回動する場合には、デッドポイントを境に、リッド2に開放方向への付勢力が付与されるので、リッド2の確実な閉塞状態と開放状態とが保障できることとなる。
【0015】
依って、実際の使用に際しては、ケース1を運転席と助手席の間の前方天井側に固定する状態を得て、リッド2を回動して、ケース1の開口部をトーションスプリング11の付勢力を借りて閉塞すれば、図2・図3に示す如く、リンク9の回動を伴って、ミラー3がケース1の底壁4により画成される格納空間内に格納されるので、これにより、ミラー3の存在が邪魔となることは決してない。しかも、ケース1自体も、運転席と助手席の中間に位置するものであるから、ケース1の存在自体も邪魔になることはない。
【0016】
そして、斯かる格納状態において、運転者が後部座席側の幼児の様子などを確認したい場合には、リッド2に付設されている把手12を操作して、リッド2を開放方向へ回動すると、図4乃至図7に示す如く、リッド2の一側側に設けられている軸部7を中心として、リッド2の他側側がリンク9の回動軌跡上を連動して揺動するので、これにより、図8にも示す如く、ミラー3は運転者側に対して自動的に角度付けされて外部に現れることとなる。従って、ケース1並びにミラー3を自動車天井に対して不自然な角度をもって固定しなくとも、運転者は自動車の後部座席側の様子を広角に見渡すことが可能となる訳である。尚、運転者が後部座席を確認する場合には、正対姿勢から約26°に角度付けされることが好ましいので、リンク9の寸法や他方の軸受孔部5bの形成位置等をそのように設定するものとする。
【0018】
【発明の効果】
以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、請求項1の下では、視覚的確認手段たるミラーを開放方向へ回動すると、リンクの回動で、ミラーの他側側がリンクの回動軌跡上を揺動して開放状態となるので、これに起因して、ミラーが利用者側に対して自動的に角度付けされて外部に現れて、利用者が自動車の後部座席側の様子を広角に確認できる。従って、従来のように、使用の都度、ミラーを利用者の視線にあった位置に角度調節する必要が全くなくなるので、その使用性が大いに向上する。又、ケースを不自然な角度をもって固定しなくとも良いので、見映えが悪化する恐れもない。
【0019】
請求項2の下では、これに加えて、ミラーが格納方向へ回動する場合には、ある一点を境に、ミラーに格納方向への付勢力が付与され、ミラーが開放方向へ回動する場合には、ある一点を境に、ミラーに開放方向への付勢力が付与されるので、これにより、ミラーの確実な格納状態と開放状態とが保障できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動車の視覚的確認装置を分解して示す斜視図である。
【図2】ミラーをケースの格納空間内に格納した状態を示す断面図である。
【図3】ミラーをケースの格納空間内に格納した状態を示す底面図である。
【図4】ミラーが開放方向へ回動する途中の状態を示す断面図である。
【図5】ミラーが開放方向へ回動する途中の状態を示す底面図である。
【図6】ミラーが開放方向へ回動した状態を示す断面図である。
【図7】ミラーが開放方向へ回動した状態を示す底面図である。
【図8】ミラーが開放方向へ回動した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ケース
2 リッド
3 ミラー(視覚的確認手段)
4 底壁
5a 一方の軸受孔部
5b 他方の軸受孔部
6 板ばね
6a 板ばねの長半球状の凹部
6b 板ばねの半球状の凹部
7 リッド側の軸部
8 ボス部
9 リンク
9a リンクの一端部
9b リンクの他端部
10 リンク側の軸部
11 トーションスプリング
12 把手

Claims (2)

  1. 格納空間を画成したケースと、該ケースに回動可能に支承されてケースの格納空間内に格納される視覚的確認手段とを備え、視覚的確認手段を開放方向へ回動すると、当該視覚的確認手段がケースから外部に現れる自動車の視覚的確認装置であって、視覚的確認手段はミラーであり、ミラーの一側を上記格納空間の開口部に回動可能に枢着し、ミラーの他側をリンクの一端部に回動可能に連結する一方、当該リンクの他端部をミラーの一側が開口部に枢着された位置よりも水平方向に偏位した開口部の個所に回動可能に枢着して、ミラーの格納時は、ミラーをケースの格納空間内へ回動し、ミラーの開放時は、ミラーを開放方向へ回動することにより、ミラーが利用者に対して自動車の後部座席側の様子を確認できる角度となることを特徴とする自動車の視覚的確認装置。
  2. リンクに対しては、その回動途中のある一点を境に逆向きの付勢力を付与するトーションスプリングを装着したことを特徴とする請求項1記載の自動車の視覚的確認装置。
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