JP3824694B2 - 可撓管の固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電線や光ファイバ等の線条体保護に使用される土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定具(支持手段)によって固定される構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電線や光ファイバ等の線条体保護に使用される土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設管は、大別して、図3(a)に示す剛性管11と図3(b)に示す可撓管(または、フレキシブル管ともいう)1に種別することができる。可撓管1は、ゴムや樹脂等の材質から成り、外形が螺旋形状または蛇腹形状を成したものもあり、その名のごとく可撓性を有し、剛性管11に比べ設置適用範囲が広いという利点がある。
従来、可撓管1の固定構造は、剛性管11に用いられている技術をそのまま適用する場合が多い。
【0003】
その一例を以下説明する。ただし、管を高さ方向に複数段固定する構造においてである。
まず、図3(a)に示すように剛性管11のみの場合、並列に並べられた複数の剛性管11の長手方向に一定間隔(例えば、約1〜3mの間隔)で剛性管11上に複数の角材形状の管台12(厚さ約100mm)が複数の剛性管に跨がって載せられている。その管台12にさらに別の剛性管11を載せて支持した構造となっている。このように、剛性管11は、その名のごとく剛性を有しているので、高さ方向に複数段、ある程度の厚さを有する角材等の管台12を挟んで重ね置きしても管の形状は保持され、上下の剛性管11相互に隙間が大きくできる。
一方、図3(b)に示すように、上述の剛性管11の場合と同一構造で剛性管11を可撓管1に単に置き換えただけの構造の場合、管台12が可撓管1の長手方向に一定間隔(例えば、約1〜3mの間隔)で配置されているので、管の径や剛性の度合いにもよるが、上段の可撓管1が支持されていない部分(ある管台12と別の管台12との間の部分)が可撓管1の自重等により下方向に撓む。この撓みがさらに大きくなると上段の可撓管1が支持されていない部分、特に中央部分の撓み量が大きく、下段の可撓管1に部分的に接触して支持されることもある。この撓みの度合いは、可撓管1の重量や長手方向の張力にもよるが、高さ方向の可撓管1相互の間隔、つまり、管台12の厚さに比例する場合が多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のように、比較的厚い管台12の支持による可撓管1の構造では、可撓管1の材質、断面2次モーメント、固定具の間隔、荷重、管内の収容物等にもよるが上段の可撓管1が管台12に支持されていない部分が下方向へ撓むため、例えば可撓管1内に電線、光ファイバやケーブルを引き入れる場合、撓んだ箇所の管内面と管内に引き入れるケーブル等の外面の接触摩擦が大きくなって、引き入れが困難になる。なお、可撓管1が長尺になると引き入れや引き出しが益々、困難になるといった問題があった。さらに、管内への引き入れ、引き出し作業が土砂の埋め戻し作業の後であれば(通常その場合が多い)、可撓管1の撓んだ箇所も当然、土砂に埋まっていまい、可撓管1は、そのまま撓んだ形状を保持されるので、土砂の埋め戻し作業前に比べ、引き入れ、引き出し作業が一層困難になるといった問題があった(土砂の埋め戻し作業前であれば、可撓管1の周囲には可撓管1の可撓性を妨げるものは存在しない。よって、管の可撓性の度合いにもよるが管内にある電線、光ファイバやケーブルの引き出し時、人手により、ある程度曲げて撓んだ箇所を直線状にある程度補正し、管内での収容物との接触摩擦を軽減することができる)。
【0005】
管台12の表面は、通常、平面を成しており、特に管を固定する構造を成していないため、可撓管1を管台12に載せた場合、転がり易く、土砂5の埋め戻しの際、振りかかる土砂5等の外力で可撓管1が曲がる、あるいは位置がずれることがあった。この場合、上述した問題の程度がさらに大きくなるといった問題があった。特に、可撓管1に光ファイバを収納する際、可撓管1が極端に曲がった部分がある場合、その曲がった部分に光ファイバ側面が当接し光ファイバが強い側圧を受け、マイクロベンド(波長に比べて無視できない半径の曲がりがあると、光は光ファイバから放射してしまい、光伝送損失となる。このような小さい曲がりをマイクロベンドという。)を生じ、光伝送損失が増加するといった問題があった。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、高さ方向において段重ねされる管において、可撓管を撓ませず設置固定できる可撓管の土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、板状の部材を用いる基板と管保持部からなる固定具により少なくとも1つの可撓管を含む複数の管を、断面概略C字状を成す曲げ弾性変形により開口部が開閉する各管保持部によって可撓管の外周をほぼ包む形状で、管保持部が管を独立して保持する固定構造で、可撓管が載置される面が剛性を有し、配置される管の長手方向に沿ってほぼ平滑な面であり、前記面上に、配置される可撓管の中で最下段に配置される可撓管が載置され、さらに前記管保持部が高さ方向に連接される固定具に可撓管が保持される土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定構造であって、前記管保持部が高さ方向に連接される固定具は、片面に管保持部が接続された2枚の基板を、一方を反転して重ねて固定してなり、可撓管を高さ方向に段重ねし、撓ませずに設置固定することを特徴とする土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定構造である。
【0008】
可撓管が載置される面(例えば、整地した地面、剛性管の外面、そして剛性板の表面等)が剛性を有し、配置される管の長手方向に沿ってほぼ平滑な面に形成されているため、重力等による地中埋設する可撓管の下方への撓みは無く、直線状に形状を保持することができる。また、固定具の管保持部が断面概略C字状を成して可撓管の外周をほぼ包む形状であることにより、管保持部への管の脱着がワンタッチで行うことができ脱着作業が容易である。なお、管保持部が高さ方向に複数連接されている固定具に管を固定するため、管を高さ方向に複数段重ねて配置することができるのは言うまでもない。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の可撓管の固定構造において、2枚の基板を係止穴と係止片を係止することにより固定することを特徴とする土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定構造である。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1ないし2のいずれかに記載の可撓管の固定構造において、板状部材にその長手に沿った段差などの補強構造を設けたことを特徴とする土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定構造である。
【0011】
【実施例】
以下、本発明を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定構造の一実施例を示す。
【0012】
図1に示すように、この土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管1の固定構造は、可撓管1が高さ方向に複数段重ねて地中2に設けられた地中溝6の下面6aに設置され、土砂5により埋設固定される点で、従来のものと同じである。よって、この点についての説明は省略する。
【0013】
図1に示すように、土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定具3は、曲げ弾性を有する断面概略C字状の2つの管保持部3aの開口部3cが反対を向き、管保持部3aの底部(開口部3cと向き合う部分)が相互に重なるような位置に、基板3bが挟み込まれるように配置されている。なお、基板3bと管保持部3aの底部は、リべットまたは溶接等により接続されている。なお、図1に、管保持部3aが横方向に2つ並べられている例を示しているが1つあるいは、3つ以上並べられていても構わない。
【0014】
管保持部3aは、可撓管1を開口部3cに押し込んだり、引き抜いたりすると曲げ弾性変形により、開口部3cが開閉するので可撓管1の着脱が容易である。
また、管保持部3aがC字状リングのように可撓管1の外周をほぼ包む形状で、可撓管1と管保持部3a接触面積が大きなものであれば、両者の摩擦による固定力が大きくなる。
このように、管保持部3aにより、複数の可撓管1は、固定具3に保持されるので、土砂5の埋め戻しに際しても、設置箇所がずれることなく埋設することができる。
【0015】
また、基板3bは、単板でもよいが、図1に示すように、基板3bの厚み方向の中央部を中心に上下2枚の基板3dが重なって固定されたものでもよい。この例を図2を用いて以下詳細に説明する。図2(b)に示すように、基板3dの片面には、管保持部3aの底部が接続されている。なお、接続箇所7は、図2(a)および図2(b)に示すような位置で、リベットまたは溶接等で接続される。前記片面の反対側の面には、基板3dの一部を舌片状に打ち抜き、そして曲げ加工等で少なくとも端部が外側に突出した形状を成す係止片8が1箇所設けられている。また、同一面には、係止片8が挿入可能な形状を成す係止穴9が2つ隣接して1箇所に設けられている。なお、係止片8と係止穴9の設置箇所は、図2(c)に示すように同一形状の別の基板3dを重ね合わせたときに、双方の係止片8と係止穴9が互いに結合する箇所であればよく、設置数は、いくつでもよく、限定するものではない。
上述した2枚1組の基板3dは、以下に示すように結合される。
まず、係止片8が突出している面同志を双方の係止穴9に係止片8が挿入するように重ね合わせる。次に、基板3dをスライドさせることで、もう1つの係止穴9から双方の係止片8の先端に形成された突起部8aを突出させる。以上により、図2に示す土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定具3は、2つを1つに合体して、図1に示すような固定具3にすることもできる。このような固定具3は、2つを1つに合体して使用する、あるいは合体しないで単体で使用するというように、固定具3の適用範囲が拡がるので好ましい。
【0016】
図2に示すように基板3dを重ね合わせてない状態の固定具3、つまり基板3d単体で片面のみに複数の管保持部3aが形成された固定具3としても利用可能となる。ただし、この場合の土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定具3は、管保持部3aが高さ方向で一段のみのものとなる。この場合、可撓管1を固定した該固定具3を、地面に直接設けてもよいが、既に配置され、並列に並ぶ複数の可撓管1の上に跨がって段重ねすることもできる(図示せず)。
【0017】
なお、土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定具3は、管保持部3aと基板3bを共に設計で許される範囲で、できるだけ薄い板で形成されている。そのため、上下に隣接する可撓管1相互の間隔が小さく形成されている。
【0018】
以上実施例として種々前述した全ての土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定具3は、可撓管1の長手方向に対して一定の間隔(例えば、約1〜3mの間隔)で複数箇所設置されると安定するので好ましい。なお、図1および図2に示した管は、全て可撓管1であるが、剛性管と可撓管1が混在した構造であってもよい。また、土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定具3は、少なくとも管保持部3aが板状のばね鋼材を加工したものが好ましい。なお、土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定具3に板状の部材を用いる際、図2に示すように、部材の長手方向に沿った段差を面上に設けるなど、補強構造にすると部材の肉厚をできるだけ最小にすることができるので好ましい。また、この固定具3の主要箇所の概略寸法の1例を図2に示す記号を用いて次に示す。
厚さ(t):約1.5 mm、幅(W):約50mm、内径(d):約130 mm。
もちろん、この寸法は、1例であって、その他の寸法でもよく、限定するものではない。また、部材は、信頼性が十分確保されるものであれば何でもよく、例えば、プラスチックで一体成形されたものは、加工性に優れているので大量生産に好適で、コスト低減化等の量産効果を生む。
【0019】
【発明の効果】
以上、説明した如く、請求項1の発明の効果は、土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管が複数段固定される際、可撓管が固定されていても可撓管を撓ませずに配置固定されるので、ケーブル等を可撓管に収容する際、スムーズに引き入れることができる土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定構造を提供することができる点にある。
さらに、請求項1の発明は、土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定具の管保持部が断面概略C字状を成す管保持部が高さ方向に少なくとも1つ以上形成される固定具に可撓管が保持されることにより、各管がそれぞれ独立した固定構造となり、例えば1つの管が固定具から外れた際、他の管も外れるというような事態を避けることができる。なお、管保持部への管の脱着がそれぞれワンタッチで行うことができ脱着作業が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定具の上半分を示す(a)平面図、(b)正面図、(c)下面図である。
【図3】従来技術を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 地中埋設可撓管
2 地中
3 地中埋設可撓管の固定具
3a 管保持部
3c 開口部
Claims (3)
- 板状の部材を用いる基板と管保持部からなる固定具により少なくとも1つの可撓管を含む複数の管を、断面概略C字状を成す曲げ弾性変形により開口部が開閉する各管保持部によって可撓管の外周をほぼ包む形状で、管保持部が管を独立して保持する固定構造で、可撓管が載置される面が剛性を有し、配置される管の長手方向に沿ってほぼ平滑な面であり、前記面上に、配置される可撓管の中で最下段に配置される可撓管が載置され、さらに前記管保持部が高さ方向に連接される固定具に可撓管が保持される土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定構造であって、
前記管保持部が高さ方向に連接される固定具は、片面に管保持部が接続された2枚の基板を、一方を反転して重ねて固定してなり、可撓管を高さ方向に段重ねし、撓ませずに設置固定することを特徴とする土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定構造。 - 請求項1に記載の可撓管の固定構造において、2枚の基板を係止穴と係止片を係止することにより固定することを特徴とする土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定構造。
- 請求項1ないし2のいずれかに記載の可撓管の固定構造において、板状部材にその長手に沿った段差などの補強構造を設けたことを特徴とする土砂を掘り起こして埋め戻しを行う地中埋設可撓管の固定構造。
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