JP3824656B2 - ティシュ・ペーパー製品用の抗ウイルス性水分非含有低刺激性スキンローション - Google Patents
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- A61F2013/0296—Apparatus or processes for manufacturing adhesive dressings or bandages for making transdermal patches (chemical processes excluded)
Description
技術分野
本出願は、水を含まない抗ウイルス性ローション組成物に関する。当該ローション組成物は柔軟で滑らかな感触をティシュ・ペーパーに付与し、当該ローションを添加したペーパーと接触するある種のウイルス株を死滅させる能力をもつ。さらに、これら水を含まない抗ウイルス性ローションは皮膚に対して刺激が少ない。これらローションには水は意図的に添加されないので、張力および厚さ(カリパー)のようなペーパーの物理的特性を維持する利点がある。さらに、本出願はそのような抗ウイルス性無水ローション組成物で処理したティシュ・ペーパーに関する。
発明の背景
家庭内で風邪に関連する病原菌の拡散を防止することは困難であるがしかし当を得た仕事である。何時間もの生産的労働が風邪またはインフルエンザに感染した人々により損なわれる。さらに、風邪やインフルエンザに付随する不快を和らげるための薬に毎年多くの金銭が費やされる。家庭内で病原菌の拡散を防止または遅延させるために、スプレー、液体および石鹸が一般的病原菌の殺菌のために存在する。スプレーは、典型的には流し、浴槽、シャワーおよび手洗い並びにその周辺を清浄にするために用いられる。抗菌作用を有する硬質表面洗浄液は、床、調理台上部および他の硬質表面を清掃するために現在利用できる。さらに、皮膚および身体の洗浄に種々の抗菌石鹸を購入することができる。
風邪またはインフルエンザに罹患すると、その鼻汁は非常に高濃度のウイルス供給源である。化粧用ティシュで鼻をかんだ後、鼻汁のウイルスはそれと接触するまた別の人間に感染する可能性がある。ティシュの鼻汁の伝播は偶発的または非意図的な接触によるものであろう。
伝播シナリオの可能な例として、風邪をひいた者が鼻汁に汚染された化粧用ティシュをある種の硬質表面に偶発的に置き忘れたことを考えてみよう。この硬質表面は台所の調理台上部であるかもしれないし、バスルームの化粧台または単に家具であるかもしれない。また別の家族または仲間がこのティシュを取上げ投げ捨てた後、偶発的に汚染鼻汁と接触することになるかもしれない。ティシュの粘液とそのように接触した後、その者がそのウイルス疾患(すなわち風邪、インフルエンザ)に感染することは極めて可能なことである。
また別の伝播シナリオは、ウイルスを含む鼻汁で汚染された化粧用ティシュの廃棄を介するものである。家庭内の屑籠が高濃度の汚染ティシュを含む屑で一杯になった後、なんらかの態様で廃棄されねばならないことは明白である。家庭内のゴミを別のより大型の廃棄ユニットに移している間に、このゴミを移している者が汚染鼻汁と接触する可能性は高い。再びこの人間がウイルスと接触する危険性は高い。
化粧用ティシュが鼻汁で汚染された後、その他の多くのウイルス伝播態様シナリオが可能である。風邪およびインフルエンザ伝播の可能性を減少させるために、抗ウイルス性の水を含まない、本明細書で述べるローションで被覆されたティシュは、ライノウイルスおよびインフルエンザのようなウイルスを死滅させるであろう。ティシュ内のこれらウイルスの死滅は、風邪およびインフルエンザのような病気の伝播をおそらく減少させるであろう。数年前のキンバリークラーク社(Kimberly-Clarks)のアバート(Avert)化粧用ティシュ製品は有効量の殺菌剤を含有していたが、それら殺菌賦形剤中の陰イオン性界面活性剤は皮膚への刺激が強かったようである。周知のように、風邪およびインフルエンザに罹患している者は、典型的には鼻および唇に続く皮膚領域にただれおよび炎症をもつ。ティシュで水性の鼻汁をかんだ後、陰イオン性の界面活性剤は容易に溶解し、炎症を起こした皮膚領域に部分的に伝達される。これらの過敏な皮膚領域は陰イオン性界面活性剤によってより刺激を受けやすい。知られているように、鼻および唇周辺の過敏、炎症および発赤には幾つかの原因がある。第一の原因は勿論のこと、頻繁にティシュで鼻をかみ、鼻および周辺領域から鼻の放出物を拭き取らねばならないことである。そのような鼻かみおよび拭き取りによって生じる過敏および炎症の程度は次のものに比例する:(1)用いるティシュの表面の粗度;(2)鼻およびその周辺領域をティシュ・ペーパーに接触させる回数;(3)ティシュ・ペーパーに用いられた一切の添加剤の刺激誘発の可能性。したがって抗ウイルスローションに可能なかぎり刺激の少ない成分を用いることが必須である。実際、皮膚に有利な成分を用いることはより望ましいことである。
アバート(Avert)では皮膚に不利な反応の他に、その抗ウイルス製剤が皮膚に乾燥伝達される可能性が極めて少なかった。これは、部分的にはアバートの抗ウイルス組成物は、外側の2枚の紙葉に挟まれた第三のティシュ紙葉に添加されていたためであった。さらに、アバートの抗ウイルス組成物は結晶性個体から生成されていた。したがって、小分け箱からティシュを引き出した後、抗ウイルス組成物が指に伝達される可能性は少なかった。一方、本発明では、抗ウイルス性無水ローションは、ローション添加ティシュと接触する対象物間に単に圧力をかけることによって皮膚または物体に容易に伝達できる。したがって、皮膚または物体表面への伝達の可能性は高く、生物体または物体上のウイルスを死滅させることが可能である。
したがって、以下のようなローション添加ティシュ製品を提供することが望ましいであろう:(1)ティシュ内のライノウイルスおよびインフルエンザウイルスを死滅させる;(2)水分を含まない抗ウイルス性ローションを含み、皮膚または物体に伝達されて、ローション付着皮膚または物体部分と接触するウイルスを死滅させることができる;(3)製品の引張強さ、吸収性およびカリパーに悪影響を与えない;(4)皮膚への刺激が少ない;(5)柔らかく滑らかな感触を有する;(6)アルファヒドロキシ酸に付随する利点を皮膚に提供する;(7)無水ローションがローションの拡散を制限し、張力およびカリパーのような物理的特性の維持に役立つ;(8)天然油、例えばユーカリプトール、メントール、チモール、樟脳、レモン油、サリチル酸メチルおよびその混合物を場合によって含む;および、(9)パッケージングのために、特別な包装またはバリアーを必要としない。
発明の要旨
本発明は実質的に水分を含まないローション組成物に関する。当該ローション組成物は、周囲温度(すなわち20℃)では個体で、さらにティシュ・ペーパーに用いられたとき柔軟で滑らかなローション様感触を与える。本ローション組成物は以下を含む:
(A)クエン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸およびその混合物から成る群から選ばれるものを含む、室温で個体の約1から25%の抗ウイルス有機酸;
(B)抗ウイルス有機酸を溶解させる能力を有し、さらに約200から約900の範囲の分子量のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコールおよびその混合物から成る群から選ばれるものを含む、実質的に水を含まない約5から約25%の親水性溶媒、;
(C)石油系皮膚軟化剤、脂肪酸エステル皮膚軟化剤、脂肪アルコール皮膚軟化剤およびその混合物から成る群から選ばれるものを含む、20℃で可塑性または流動性粘稠性を有する約5から60%の皮膚軟化剤;
(D)C12−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、ソルビタンステアレート、ワックスおよびその混合物から成る群から選ばれるものを含む、抗ウイルスローション組成物で処理されたティシュ・ペーパー表面に皮膚軟化剤および他の成分を固定することができる、少なくとも約35℃の融点を有する約5から約50%の薬剤、さらに;
(E)好ましくはエトキシル化脂肪アルコールおよびエトキシル化ソルビタンモノ、ジ、およびトリアルキル誘導体並びにその混合物から選ばれる、少なくとも約4のHLB値を有し、皮膚への刺激性が少なく、疎水性皮膚軟化剤混合物に有機酸/溶媒混合物を乳化させ、ローション添加ティシュの充分な水吸収性を可能にする実質的に水を含まない約1から50%の非イオン性界面活性剤;および
(F)アロエ、ビタミンE、パンテノール、樟脳、チモール、メントール、ユーカリプトール(シネオール)、ゲラニオール、レモン油、サリチル酸メチルおよび丁子並びにその混合物から成る群から選ばれるものを含む、約0.1から約20%の任意の天然油、ビタミンまたは他の添加物。
本発明はさらにローション添加ティシュ・ペーパーに関する。この場合、当該ローション組成物は、乾燥ティシュ・ペーパーの重量で約2から30%の量でティシュ・ペーパーの少なくとも一表面に用いられる。例えば、2枚重ね化粧用ティシュ製品の場合、抗ウイルスローションは2枚の紙葉の外側面の各々に用いることができる。また別にはローション適用物品は、抗ウイルスローションが2枚の紙葉の各々の内側面に用いられるように改変できる。さらに、片面または両面に抗ウイルスローションを被覆した第三の紙葉は2枚の被覆又は非被覆ティシュ紙葉の間に挿入してもよい。前述の例のまた別の適用変更も用いることができる。
本発明のローション添加ティシュ・ペーパーは望ましい滑らかでローション様の感触を有する。抗ウイルス性有機酸がローションに添加されるので、ライノウイルスおよびインフルエンザウイルスのようなウイルスはティシュ内で死滅させることができる。有機クエン酸はアルファヒドロキシ酸タイプであるので、これらのタイプの酸に付随するいくつかまたは全ての皮膚に対する利点はユーザーに伝達できる。さらに、ローション内の他の化学物質は抗菌作用を提供することができる。これらの化学物質には、グリコール系溶媒、天然油および脂肪アルコール皮膚軟化剤が含まれる。当該ローションは実質的に水を含まず、より効果的なローションの乾燥伝達を可能にする。ローションへの水の意図的な添加は、張力およびカリパーのような物理的特性に有害であろう。水はティシュ・ウェブ全体へのローションの移動を促進する。これは繊維の脱結合をもたらし、ペーパー表面のローション濃度を低下させる。これによって張力およびカリパーの両方が損なわれ、したがって本明細書で述べるように無水ローション状態を維持することが有益である。さらに、水は微生物の増殖を促進する傾向があり、したがって本明細書で述べるように無水ローション状態を維持することが有利である。皮膚軟化剤はティシュ・ペーパーの表面に実質的に固定されているので、所望の柔軟なローション様感触を付与するためにより少ないローション組成物が要求される。結果として従来の鉱物油含有ローションによって生じた、ティシュの引張強さおよびカリパーに対する有害な影響を回避することができる。さらに、特別なバリアーまたは包装物質は、本発明のローション添加ティシュ製品のパッケージングには不要である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のローション組成物をティシュ・ペーパー・ウェブに適用する好ましい工程を示す模式図である。
図2は、本発明のローション組成物をティシュ・ペーパー・ウェブに適用するまた別の工程を示す模式図である。
発明の詳細な説明
本明細書で用いられるように、“含む”という用語は、種々の成分、内容物または工程が共に結合されて本発明の実施に用いられることを意味する。したがって、“含む”という用語は、一層限定的な用語、“本質的に〜から成る”および“〜から成る”を包含する。
本明細書で用いられる全ての百分率および割合はまた別に限定しないかぎり重量による。
A.ティシュ・ペーパー
本発明は、一般に通常のフェルト圧搾ティシュ・ペーパー;高密度型模様付き高体積ティシュ・ペーパー;および高体積非圧縮ティシュ・ペーパー(ただしこれらに限定されない)を含むティシュ・ペーパーについて有用である。ティシュ・ペーパーは均一構築物でも多層構築物でもよい。したがって、そのような形状から製造されたティシュ・ペーパー製品は1枚重ね構築物でもでも多重構築物でもよい。好ましくは、ティシュ・ペーパーは約10g/m2から約65g/m2の坪量、および約0.6g/cc以下の密度を有する。より好ましくは、坪量は約40g/m2以下で、さらに密度は約0.3g/cc以下であろう。最も好ましくは、密度は約0.4g/ccから約0.2g/ccであろう。ティシュ・ペーパーの密度の測定方法を述べた米国特許出願第5059282号明細書(Ampulskiら、1991年10月22日発行、13欄、61-67行)を参照されたい。(また別に特定されないかぎり、ペーパーに関する全ての量および重量は乾燥基準による。)
通常の圧縮ティシュ・ペーパーおよびそのようなペーパーを製造する方法は当該技術分野で周知である。そのようなペーパーは、典型的には抄紙完成紙料を多孔性形成ワイヤ(しばしば当該技術分野では長網ワイヤと呼ばれる)上に沈積させることによって製造される。いったん完成紙料が形成ワイヤ上に沈積されると、それはウェブと称される。ウェブは、圧縮しさらに高温で乾燥させることによって脱水される。前記の工程にしたがってウェブを製造する具体的な技術および装置は当該技術分野では周知である。典型的な工程では、低濃度パルプ完成紙料が加圧ヘッドボックスから提供される。ヘッドボックスは、長網ワイヤ上に薄いパルプ完成紙料の沈積物を送り込み湿潤ウェブを形成するために開口部を有する。続いてウェブは、真空脱水により約7%から約25%(総ウェブ重量を基準にして)の繊維濃度に脱水され、さらに圧搾操作により乾燥される。後者の工程では、ウェブは向き合う機械メンバー(例えば円筒ロール)によって生じる圧力に付される。続いてこの脱水ウェブをさらに圧搾し、当該技術分野ではヤンキー・ドライヤとして知られる蒸気ドラム装置によって乾燥される。圧力は、機械的手段(例えば向き合う円筒ドラムがウェブを押しつける)によってヤンキー・ドライヤで生じる。多くのヤンキー・ドライヤドラムを用いることができるが、それによって新たな圧力がドラム間に場合によって生じる。形成されたティシュ・ペーパー構造物は、以下では通常圧搾ティシュ・ペーパー構造物と称する。そのようなシートは、ウェブが湿っているときに全ウェブが実質的な機械的圧縮力を受け、さらに圧搾状態で乾燥されるので固く圧縮されていると考えられる。
高密度型模様付きティシュ・ペーパーは、比較的低い繊維密度をもつ比較的高体積領域および比較的高い繊維密度をもつ高密度帯列を有することを特徴とする。この高体積領域はまた別にはピロー部領域としての性状を有する。高密度帯はまた別にはナックル部と称される。高密度帯は高体積領域内に別々に離れて配置されるか、または当該高体積領域内で部分的もしくは全体的に互いに連結されている。型模様は非装飾的構成で形成してもよいが、またティシュ・ペーパーにおいて装飾的なデザインを提供してもよい。高密度型模様付きティシュ・ウェブの好ましい製造工程は、米国特許第3301746号(Sanfordら、1967年1月31日発行);米国特許第3974025号明細書(Ayers,1976年8月10日発行);米国特許第4191609号明細書(Trokhan,1980年3月4日発行)および米国特許第4637859号明細書(Trokhan,1987年1月20日発行)(これら全ては参照により本明細書に含まれる)に記載されている。
一般に、高密度型模様付きウェブは、好ましくは抄紙完成紙料を多孔性形成ワイヤ(例えば長網ワイヤ)上に沈積させて湿潤ウェブを形成し、続いて支持体列に向かって当該ウェブを並置させることによって調製される。ウェブを支持体列に向かって押しつけ、それによって支持体列と湿潤ウェブとの間の接触点に位置的に対応するウェブの場所に高密度帯が生じる。この操作中に圧縮されなかったウェブの残余部分は高体積領域と称される。この高体積領域は、流体圧力(例えば真空型装置またはブロースルー・ドライヤ)の利用によって、またはウェブを支持体列に向かって機械的に押しつけることによってさらに低密度化される。ウェブは、当該高体積領域を実質的に圧縮しないような態様で脱水され、さらに場合によっては予備乾燥される。これは好ましくは、流体圧力(例えば真空型装置またはブロースルー・ドライヤ)によって、また別にはウェブを支持体列に向かって機械的に押しつけることによって(この場合高体積領域は圧縮されない)達成される。脱水操作、場合によって予備乾燥操作および高密度帯の形成は一体化するか、または部分的に一体化して実施される処理工程の総数を減少させることができる。高密度帯の形成、脱水および場合によって予備乾燥に続いて、ウェブを完全に乾燥させるが、好ましくはなお機械的圧搾は避ける。好ましくは約8%から約55%のティシュ・ペーパー表面が、高体積領域の密度の少なくとも125%の相対密度を有する高密度ナックルを含む。
好ましくは支持体列は、圧力がかかったときに高密度帯の形成を促進する支持体列として作用するナックルの型模様を移し変える刻印担体ファブリックである。ナックルの型模様は先に述べた支持体列を構成する。適切な刻印担体ファブリックは、米国特許第3821068号明細書(Salvucciら、1974年5月21日発行);米国特許第3974025号明細書(Ayers,1976年8月10日発行);米国特許第3573164号明細書(Friedberg,1971年5月30日発行);米国特許第3473576号明細書(Amneus,1969年10月21日発行);米国特許第4239065号明細書(Trokhan,1980年12月16日発行)および米国特許第4528239号明細書(Trokhan,1985年7月9日発行)(これら全ての文献は参照により本明細書に含まれる)に開示されている。
好ましくは、完成紙料は、先ず最初に多孔性形成担体(例えば長網ワイヤ)上で湿潤ウェブを形成する。当該ウェブは脱水され、さらに刻印ファブリックに移される。また別には、完成紙料は、刻印ファブリックとしても機能する多孔性支持担体上に先ず初めに沈積させてもよい。いったんウェブが形成されると、これは脱水され、好ましくは熱によって約40%から約80%の選択繊維濃度に予備乾燥される。脱水は好ましくは吸引ボックスもしくは他の真空装置またはブロースルー・ドライヤを用いて実施される。刻印ファブリックのナックル刻印は、ウェブが完全に乾燥される前に上記で述べたようにウェブに押しつけられる。これを達成する方法の1つは機械的加圧の利用による。これは例えば、刻印ファブリックを支えるニップロールを乾燥ドラム(例えばヤンキー・ドライヤ)に向かって押しつけることによって実施される。この場合ウェブはニップロールと乾燥ドラムとの間に置かれる。また好ましくは、真空装置(例えば吸引ボックス)またはブロースルー・ドライヤによる流体圧を用いて完全に乾燥させる前に、ウェブは刻印ファブリックに対して成形される。流体圧は、最初の脱水時にひと続きの別々の工程でまたはそれらの合体工程で高密度帯の押印を誘発するために用いることができる。
非圧縮性で高密度型模様の無いティシュ・ペーパー構造物は、米国特許第3812000号明細書(Salvucciら、1974年5月21日発行)および米国特許第4208459号明細書(Becker,1980年6月17日発行)(これら全ての文献は参照により本明細書に含まれる)に記載されている。一般に、非圧縮性で高密度型模様の無いティシュ・ペーパー構造物は、抄紙完成紙料を多孔性形成ワイヤ(例えば長網ワイヤ)上に沈積させて湿潤ウェブを形成し、ウェブから水を抜き、ウェブが少なくとも約80%の繊維濃度をもつまで機械的圧縮を用いることなくさらに水を除去しウェブに皺付け加工を施すことによって調製される。水は、真空脱水および熱乾燥によってウェブから除去される。得られた構造物は柔軟であるが脆弱な、比較的非圧縮性繊維をもつ高体積シートである。結合物質は、好ましくは皺付け加工前にウェブの一部分に用いられる。
圧縮性で高密度型模様の無いティシュ構造物は、通常のティシュ構造物として当該技術分野では一般的に知られている。一般に、圧縮性で高密度型模様の無いティシュ構造物は、抄紙完成紙料を多孔性ワイヤ(例えば長網ワイヤ)上に沈積させてウェブを形成し、当該ウェブから水を抜き、ウェブが25−50%の濃度をもつまで均一な機械的圧縮の補助によりさらに水を除去し、熱乾燥装置(例えばヤンキー・ドライヤ)にウェブを移しさらにウェブに皺付け加工を施すことによって調製される。全体として、水は真空、機械的圧搾および熱による手段によってウェブから除去される。得られた構造物は、強靱で、一般的には単一密度を有するが体積、吸収性および柔軟性は極めて低い。
本発明に用いられる抄紙繊維は通常は木材パルプに由来する繊維を含む。他のセルロース系繊維状パルプ繊維(例えば綿リンター、バガスなど)も用いることができ、本発明の範囲内に包含される。合成繊維(例えばレーヨン、ポリエチレンおよびポリプロピレン繊維)もまた天然のセルロース系繊維と組み合わせて用いることができる。用いることができる代表的なポリエチレン繊維の1つはパルペックス(登録商標Pulpex)で、ハーキュリーズ社(Hercules,Inc.,デラウェア州、ウィルミントン)から入手できる。
利用可能な木材パルプには、ケミカルパルプ(例えばクラフト、亜硫酸および硫酸パルプ)とともにメカニカルパルプ(例えば砕木、熱機械処理パルプおよび化学的改変熱機械処理パルプ)が含まれる。しかしながら、ケミカルパルプから製造されるティシュ・シートには優れた柔軟性手触りが付与されるのでケミカルパルプが好ましい。落葉樹(以下ではまた“硬木”と称する)および針葉樹(以下ではまた“軟木”と称する)の両方に由来するパルプを用いることができる。本発明で有用なものはまたリサイクル・ペーパーに由来する繊維で、これらは、上記のカテゴリーのいずれかまたは全てとともに、本来の製紙を促進するために用いられる他の非繊維物質(例えば充填剤および粘着剤)を含む。
抄紙繊維の他に、ティシュ・ペーパー構造物を製造するために用いられる抄紙完成紙料は、それらに添加される他の成分または物質を含むことができる。これらは当該技術分野で既知であるか、または以下で開示されるであろう。所望される添加物の種類は、目的のティシュ・シートの具体的な最終用途に左右されるであろう。例えば、手洗い用ペーパー、ペーパータオル、化粧用ティシュおよび他の類似製品のような製品では、高い湿潤強度が望ましい属性である。したがって、“湿潤強力樹脂”として当該技術分野で知られている化学物質を抄紙完成紙料に添加することがしばしば所望される。
製紙分野で用いられる湿潤強力樹脂の種類に関する一般的な論述は、TAPPIモノグラフシリーズ29号(「紙、厚紙の湿潤強化(Wet Strength in Paper and Paperboard)」、Technical Association of the Pulp & Paper Industry刊、ニューヨーク(1965))で見出すことができる。最も有用な湿潤強力樹脂は一般に性状が陽イオン性であった。永久的湿潤強度を得るためには、陽イオン湿潤強力樹脂であるポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂が特に有用であることが分かった。そのような樹脂の適切な種類は米国特許第3700623号明細書(Kemin,1972年10月24日発行)および米国特許第3772076号明細書(Kemin,1973年11月13日発行)(両文献は参照により本明細書に含まれる)に記載されている。有用なポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂の市販供給源の1つはハーキュリーズ社(Hercules,Inc.,デラウェア州、ウィルミントン)で、登録商標KYMENE 557Hでそのような樹脂を市販している。
ポリアクリルアミド樹脂もまた湿潤強力樹脂として有用であることが分かった。これらの樹脂は米国特許第3556932号明細書(Cosciaら、1971年1月19日発行)および米国特許第3556933号明細書(Williamsら、1971年1月19日発行)(両文献は参照により本明細書に含まれる)に記載されている。ポリアクリルアミド樹脂の市販供給源の1つはアメリカン・サイアナミド社(American Cyanamid Co.,コネチカット州、スタンフォード)で、登録商標Parez 631NCでそのような樹脂を市販している。
本発明で利用できるまた別の水溶性陽イオン樹脂は、尿素ホルムアルデヒドおよびメラミンホルムアルデヒド樹脂である。これら多官能性樹脂のより一般的な官能基は、窒素含有基(例えばアミノ基および窒素に結合したメチオール基)である。ポリエチレンイミン型樹脂もまた本発明で有用であることが分かった。さらに、一時的湿潤強力樹脂(例えばCaldas10(ジャパンカーリット(Japan Carlit)製)およびCoBond1000(ナショナルスターチ・アンド・ケミカル社(National Starch & Chemical Co.)製)も本発明で用いることができる。化学的化合物(例えば上記で述べた湿潤強力樹脂および一時的湿潤強力樹脂)のパルプ完成紙料への添加は任意であり、本発明の実施に必然的ではないことは理解されよう。
湿潤強力添加剤の他に、当該技術分野で既知の乾燥強力添加剤およびリント制御添加剤を抄紙繊維に含有させることが望ましい。これに関しては、澱粉結合剤が特に適切であることが分かった。仕上がり最終ティシュ・ペーパー製品のリント発生を減少させることの他に、低レベルの澱粉結合剤はまた乾燥引張強度を適度に改善し、高レベルの澱粉を添加することによって生じるような硬さを与えることはない。典型的には澱粉結合剤は、ティシュ・ペーパーの重量で約0.01から約2%、好ましくは約0.1から約1%のレベルで保持される量で含まれる。
一般に、本発明のための適切な澱粉結合剤の特徴は水溶性および親水性である。もっとも適切な澱粉結合剤の範囲を限定しようとするわけではないが、代表的な澱粉結合剤にはトウモロコシ澱粉および馬鈴薯澱粉が含まれ、工業的にアミオカ澱粉として知られる含蝋トウモロコシ澱粉が特に好ましい。アミオカ澱粉は通常のトウモロコシ澱粉と異なり完全にアミロペクチンであるが、一方、通常のトウモロコシ澱粉はアミロペクチンとアミロースの両方を含んでいる。アミオカ澱粉の固有の種々の性状は下記の刊行物にさらに記載されている:「アミオカ−含蝋トウモロコシ由来澱粉(Amioca-The Starch From Waxy Corn)」、H.H.Schopmeyer,Food Industries刊、1945年11月、pp.106-108(Vol.pp.1476-1478)。
澱粉結合剤は顆粒形または分散形であるが、顆粒形が特に好ましい。澱粉結合剤は好ましくは十分に加熱して顆粒の膨潤を誘発する。より好ましくは、澱粉顆粒は例えば加熱によって澱粉顆粒の分散直前点まで膨潤させる。そのように高度に膨潤した澱粉顆粒は“完全加熱”と称される。一般に分散の状態は澱粉顆粒のサイズ、顆粒の結晶度および含有アミロース量によって変動する。完全加熱アミオカ澱粉は、例えば澱粉顆粒濃度が約4%の水性スラリーを約88℃(190°F)で約30から約40分加熱することによって調製できる。他の代表的な使用可能澱粉結合剤の例には、改変陽イオン性澱粉(例えばアミノ基および窒素に結合させたメチロール基を含む窒素含有基をもつように修飾されたもの)が含まれ、ナショナルスターチ・アンド・ケミカル社(ニュージャージ州、ブリッジウォーター)から入手できる。これは以前に湿潤および/または乾燥強度を高めるためのパルプ完成紙料添加剤として用いられた。
B.ローション組成物
本発明のローション組成物は、20℃(すなわち周囲温度)で固体かよりしばしば半固体である。“半固体”とは、当該ローション組成物が偽可塑性または可塑性流動体に典型的な流動性状を有することを意味する。ズレがかからない場合は、組成物は半固体の外観をもつが、ズリ速度が増すにつれ流動させることができる。これは、ローション組成物は主に固体成分を含むが、一方わずかの液体成分をも含むという事実によるものである。
ローションの室温での固体または半固体粘稠度は、高温溶融成分(例えば抗ウイルス有機酸、脂肪アルコール、ワックスおよび非イオン性エトキシル化界面活性剤)の添加のためである。ワセリンの高温溶融および高分子量アルカン部分はまた、これら抗ウイルスローションの融点を高めるために寄与する。有機酸(例えばクエン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸およびそれらの混合物)がこれらのローションに添加されるので、ティシュ上のローションと接触するウイルス(例えばライノウイルスおよびインフルエンザ)は死滅する。これらのローションで用いられる抗ウイルス有機酸のあるものは、アルファヒドロキシ酸類に由来する。したがって、これらのアルファヒドロキシ酸に付随する皮膚に対する利点が消費者に提供される。ローションに含まれる他の抗微生物剤は、また、病原菌を死滅させるローションの能力を補助することができる。これら追加される抗微生物剤には、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、脂肪アルコールおよびいくつかの天然油が含まれる。
周囲温度で固体または半固体であることによって、これらのローション組成物は、それらが用いられているティシュの内部に流入したり移動したりする傾向をもたない。このことは、柔軟さおよびローション様感触の利点を付与するために、より少ないローション組成物が必要とされることを意味する。このことはまた、引張強さの減少を生じる潜在的可能性がある、ティシュ・ペーパーの脱結合の機会の減少を意味する。
ティシュ・ペーパーに用いる場合、本発明のローション組成物は、ペーパー使用者に柔軟で滑らかなローション様感触を付与する。この特有の感触はまた“絹様”“つるつる”“スムース”などの特徴を有する。そのように滑らかなローション様感触は、例えば乾燥皮膚もしくは痔のような慢性疾患、または風邪もしくはアレルギーのようなより一過性の疾患のためにより鋭敏な皮膚を有する人々に特に有益である。皮膚へのローションの移動によって、アルファヒドロキシ酸を含むこれらのローションの皮膚への利点に関する潜在的な能力が提供される。さらに、ローションの皮膚への移動によって、これらの領域はウイルス感染から保護される可能性が生じる。
本発明のローションは実質的に水を含まない。実質的に水を含まないとは、これらの抗ウイルスローションに意図的に水が添加されないことを意味する。典型的には、本発明に用いられる内容物は、約5%以下の水、好ましくは約1.0%以下の水、より好ましくは約0.5%以下の水、最も好ましくは約0.1%以下の水を含む。これらローションの水を含まない性質は、より効率のよい皮膚へのローションの乾燥移動を可能にする。ローションへの水の意図的な添加は、例えば張力およびカリパーのような物理的特性に有害であろう。水は、ティシュ・ウェブ全体へのローションの移動を促進する。これは、繊維の脱結合およびペーパー表面のローション濃度の低下をもたらす。これによって、張力およびカリパーの両方が失われる。したがって、本明細書で述べるようにローションの無水状態を維持することは有益である。また、水が存在しないことによってローション成分のより高い表面濃度が達成されるので、より効果的な乾燥皮膚移動の蓋然性が高まる。さらに、水は微生物の増殖を促進する傾向を有する。したがって、本明細書で述べるようにローションを無水状態で維持することは有益である。
本発明のローション組成物は以下を含む:(1)抗ウイルス有機酸;(2)親水性溶媒;(3)皮膚軟化剤;(4)固定剤;(5)親水性界面活性剤;(6)例えば天然油、ビタミンまたはアロエのような他の任意成分。
1.抗ウイルス有機酸
これらのローション組成物の主要活性成分は1種以上の抗ウイルス有機酸である。本明細書で用いられるように、抗ウイルス有機酸は、例えばライノウイルスおよびインフルエンザのようなウイルスを死滅させることができる物質である。果実酸(例えばクエン酸)は、ウイルスを不活化/死滅させるために特に有用である。抗ウイルス活性を提供することの他に、アルファヒドロキシ類の酸に含まれるこれらの酸は、アルファヒドロキシ酸の使用に伴う皮膚に対する利点を提供する。クエン酸はアルファヒドロキシ酸である。二塩基酸のアジピン酸、グルタル酸およびそれらの混合物もまた、インフルエンザおよびライノウイルスを不活化するために有効であることが分かった。
その抗ウイルス特性の他に、固体の有機酸の使用はローションの硬化に寄与し、したがって繊維性ペーパー基質内へのローションの移動の防止に役立つ。これらの酸の高い融点もまた、ペーパー表面でより迅速にローションを凝固させることを可能にする。これはローションのより効果的な使用を可能にし、表面に留まることによってより効果的なウイルスの死滅とともにローション感触の改善が促進される。クエン酸並びにアジピン酸、グルタル酸、コハク酸およびそれらの混合物のような二塩基酸は、これらのローション組成物で特に有効な殺ウイルス剤である。他の潜在的に有用な酸には、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、サリチル酸およびグリコール酸が含まれる。これらの多くのものの混合物はまた抗ウイルス活性をもたらす可能性が大きいであろう。有機酸がどのようにして例えばライノウイルスおよびインフルエンザのようなウイルスを不活化するかについて多くの理論が存在する。ウイルス不活化についての可能なメカニズムの1つは、当該酸からウイルス構造内の多様な蛋白質の1つまたは全てのアミド窒素への陽子の供与である。この陽子付加は、蛋白質構造内の正味の陽性荷電をもたらす。これによって高分子量蛋白質分子の陽子付加アミド部分間に反発力が生じる。これはウイルス内の蛋白質構造のいくつかまたは全ての変性をもたらす。この蛋白質構造の変性または展開によってウイルスは不活化される。
有機酸によるまた別の可能な不活化メカニズムは、ウイルス構造内の蛋白質および他の分子の加水分解を介するものである。この酸触媒加水分解は、おそらく複雑なウイルス構造を作り上げている蛋白質のアミド官能性の切断を介して生じる。ウイルス構造の蛋白質のこの水解およびその結合破壊はウイルスを不活化し、ウイルスが身体内の健常な細胞に結合することができなくなる。その構造が脂質の殻で取り囲まれているインフルエンザのようなエンベロープを有するウイルスについても、当該酸はまたこの脂質層の加水分解によって不活化を引き起こす。
2.親水性溶媒
これらのローションのまた別の重要な組成物は、抗ウイルス有機酸の溶解を補助する親水性溶媒である。これらの溶媒は、例えばグリセリン、プロピレングリコールおよびヘキシレングリコールのようなグリコール型溶媒であろう。有機酸の溶解を可能にすることの他に、グリコール型溶媒の幾つかは抗菌的性状を有することが知られている。さらにまた、これらのグリコール型溶媒はローションの粘稠度を高め、したがって繊維性ペーパーネットワーク内へのローション成分の望ましくない移動を防止することができる。しかしながら特にこの用途にそれらを用いるのは、第一に抗ウイルス有機酸の溶解を補助するためである。
本発明のローション製剤で使用するために適切な他の溶媒は、分子量が約200から約900、より好ましくは300から約500の範囲のポリエチレングリコール型である。ポリエチレングリコールは既知の湿潤剤で、したがって、また湿潤性付与の利点を皮膚に提供することができる。
3.皮膚軟化剤
これらのローション組成物の他の活性成分は1種以上の皮膚軟化剤である。本明細書で用いられるように皮膚軟化剤は、皮膚を柔らかくし、滑らかにし、柔軟にし、被覆し、平滑にし、湿潤にしまたは清浄にする物質である。皮膚軟化剤は、典型的にはこれらの目的の幾つかを達成する、例えば皮膚を滑らかにし湿潤にしさらに平滑にする。本発明の目的のためには、これらの皮膚軟化剤は、20℃(すなわち周囲温度)で可塑性または流動性粘稠度を有する。この皮膚軟化剤の固有の粘稠度によって、ローション組成物が柔軟で滑らかなローション様感触を付与することを可能にする。
本発明で有用な皮膚軟化剤はまた実質的に水を含まない。“実質的に水を含まない”とは、水が意図的に当該皮膚軟化剤に添加されないことを意味する。皮膚軟化剤またはローションへの水の添加は、本発明のローション組成物の調製または使用に必要ではなく、新たな乾燥工程を必要とするかもしれない。実際、これらの抗ウイルスローションに水を添加することは望ましくなく、かつ不必要である。水の添加はローション中の微生物の増殖の可能性をもたらす。さらに、水はローションの融点を低下させ、ペーパー繊維基質内への他のローション成分の移動を助けるであろう。これはローション添加ペーパーの張力およびカリパーの特性に負の影響を与えるであろう。しかしながら、例えば周囲湿度の結果として取り込まれる皮膚軟化剤中の少量または微量の水は悪影響をもたらすことなく許容できる。典型的には、本発明で用いられる皮膚軟化剤は、約5%以下の水、好ましくは約1.0%以下の水、より好ましくは約0.5%以下の水、さらにもっとも好ましくは約0.1%以下の水を含む。
本発明で有用な皮膚軟化剤は、石油系、脂肪酸エステル型、脂肪アルコール型、ポリエチレングリコール類またはこれら皮膚軟化剤の混合物であろう。適切な石油系皮膚軟化剤には、16から32の炭素原子の鎖の長さを有する炭化水素または炭化水素の混合物が含まれる。このような長さの鎖を有する石油系炭化水素には、鉱物油(また“液体ワセリン”として知られる)およびワセリン(また“鉱物ワックス”、“石油ジェリー”および“鉱物ジェリー”として知られる)が含まれる。鉱物油は通常粘稠性の低い16から20の炭素原子を有する炭化水素の混合物を指す。ワセリンは通常16から32の炭素原子を有するより粘稠度の高い炭化水素の混合物を指す。ワセリンは、その格別な皮膚湿潤化の利点のために本発明のローション組成物に特に好ましい皮膚軟化剤である。
脂肪アルコールもまた、そのより高い融点、より結晶性の構造および格別な皮膚感触のために特に好ましい。脂肪アルコールの高い融点はローションの融点を高め、したがって繊維ネットワーク全体へのローションの移動を防止するのを助ける。脂肪アルコールの直線状構造はローションに結晶性の属性を与え、ペーパー基質表面でのより迅速な結晶化/凝固をもたらすであろう。したがって、ペーパー表面適用中にローションは固まって、より迅速にペーパー基質表面で凝固する。これによって当該表面でローションを濃縮させ、ローション付加ペーパー製品に優れた感触を与え、さらにまた有機酸抗ウイルス剤のより効果的な使用をもたらす。脂肪アルコールのヒドロキシル基もまたローションの抗微生物作用に寄与する。
適切な脂肪酸エステル型皮膚軟化剤には、C12−C28の脂肪酸、好ましくはC16−C22の飽和脂肪酸および短い鎖(C1−C8、好ましくはC1−C3)の一価アルコールに由来するものが含まれる。そのようなエステルの代表的な例には、メチルパルミテート、メチルステアレート、イソプロピルラウレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、エチルヘキシルパルミテート、およびそれらの混合物が含まれる。適切な脂肪酸エステル皮膚軟化剤はまた、より長い鎖の脂肪アルコール(C12−C28、好ましくはC12−C16)およびより短い鎖の脂肪酸(例えば乳酸)のエステルに由来することができる(例えばラウリルラクテートおよびセチルラクテート)。
石油系皮膚軟化剤、脂肪酸皮膚軟化剤および脂肪アルコール皮膚軟化剤の他に、本発明で有用な皮膚軟化剤は、少量(例えば全皮膚軟化剤の約10%まで)の他の通常の皮膚軟化剤を含むことができる。これらの他の通常の皮膚軟化剤には、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、スパームアセチまたは他のワックス、脂肪酸、およびその脂肪鎖に12から28の炭素原子をもつ脂肪アルコールエーテル(例えばステアリン酸、プロポキシル化脂肪アルコール);グリセリド、アセトグリセリド、およびC12−C28脂肪酸のエトキシル化グリセリド;ポリヒドロキシアルコールの他の脂肪エステル;ラノリンおよびその誘導体;シリコーン・ポリエーテル共重合体、および20℃の粘稠度が約5から約2000センチストークのポリシロキサン(例えば米国特許第5059282号明細書(Ampulskiら、1991年10月22日発行、この文献は参照により本明細書に含まれる)に開示されたようなもの)が含まれる。これら他の皮膚軟化剤は、本ローション組成物の固体または半固体特性が維持される態様で含まれるべきである。
ローション組成物に含むことができる皮膚軟化剤の量は様々な因子(含まれる個々の皮膚軟化剤、所望のローション様利点、ローション組成物中の他の成分などといった因子を含む)によって左右される。ローション組成物は約5から約60%の皮膚軟化剤、より好ましくは約10から約40%の皮膚軟化剤を含むことができる。
4.固定剤
本発明のローション組成物の特に重要な成分は、ローション組成物が用いられるペーパー表面に皮膚軟化剤を固定することができる薬剤である。組成物中の皮膚軟化剤のいくつかは20℃で可塑性または流動性粘稠度を有するので、当該皮膚軟化剤は、穏やかなズレを受けても流動または移動する傾向がある。ティシュ・ペーパー・ウェブに(特に溶融または溶解状態で)適用したとき皮膚軟化剤は本来ペーパー表面に留まらないであろう。むしろ、皮膚軟化剤は移動してペーパー・ウェブの内部に流れ込む傾向を有するであろう。
ウェブ内への皮膚軟化剤の移動は、ペーパー繊維間で生じる通常の水素結合と干渉することによって望ましくないペーパーの脱結合を引き起こすであろう。通常これによってペーパーの引張強さの低下が生じる。これは、また、所望の滑らかなローション様感触という特性を得るために、はるかに大量の皮膚軟化剤が用いられなければならないことを意味する。皮膚軟化剤のレベルを増すことは、コストを増すだけでなく、ペーパーの脱結合問題を悪化させる。固定剤を使用しない場合カリパーもまた負の影響を受けるであろう。固定剤がなければ、ローションはペーパー表面にそれ自体を集結させるかわりに繊維ウェブ全体に移動する。液体皮膚軟化剤が用いられるような過酷な事例では、実際カリパーは減少する。
固定剤は、主としてローション組成物が適用されるティシュ・ペーパー・ウェブの表面に当該皮膚軟化剤を局在させることによって、皮膚軟化剤の移動または流動傾向を妨げる。これは、部分的には固定剤がティシュ・ペーパー・ウェブと水素結合を形成するという事実によると考えられている。この水素結合を介して固定剤はペーパー表面に局在できる。固定剤はまた皮膚軟化剤と混ざり合う(または適切な乳化剤の助けをかりて皮膚軟化剤に溶解する)ことができるので、固定剤は同様に皮膚軟化剤もペーパー表面に捕捉する。固定剤のより結晶性の強い構造によって固定化能は強化される。固定剤が構造的により強い結晶性を有する場合は、固定化分子はローションが凝固する核形成部位のシードを迅速に形成する傾向をもつであろう。より非晶質性の固定剤は、より結晶性の対応物質よりもはるかに緩徐な速度で凝固する傾向がある。
ペーパー表面に固定剤を“ロック”することもまた有益である、これは、ペーパー表面で迅速に結晶化(すなわち凝固)する固定剤を用いることによって達成できる。さらに、送風機またはファンなどによって処理ペーパーの外側を冷却することによって固定剤の結晶化を早めることができる。
皮膚軟化剤と混合する(または皮膚軟化剤に溶解させる)ことの他に、固定剤は少なくとも約35℃の融点をもつ必要がある。これによって固定剤自体が移動または流動傾向をもたないであろう。好ましい固定剤は少なくとも約40℃の融点をもつであろう。典型的には固定剤は約50°から約150℃の範囲の融点をもつであろう。
固定剤の粘度はまた、ローションがペーパーの内部に流入しないように可能なかぎり高くなければならない。残念ながら、高い粘度はまた、加工の問題をもたらすことなく使用することが困難なローション組成物を生じる。したがって、粘度は固定化剤をペーパー表面に局在させるために十分に高く、しかしながら加工問題を生じるほど高くないように釣合いをとることが必要である。固定化剤の適切な粘度は、60℃で測定した場合典型的には約5から約200センチポイズ、好ましくは約15から約100センチポイズの範囲である。
本発明で適切な固定剤は、C14−C22の脂肪アルコール、C12−C22の脂肪酸、ソルビタンステアレート、ワックスおよびその混合物から成る群から選ばれるものを含むことができる。好ましい固定剤にはC16−C18の脂肪アルコールが含まれ、最も好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびその混合物から成る群から選ばれるものが含まれる。セチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物が特に好ましい。他の好ましい固定剤には、C16−C18脂肪酸が含まれ、最も好ましくはセチル酸、ステアリル酸およびその混合物から選ばれる。セチル酸およびステアリル酸の混合物が特に好ましい。さらに好ましい他の固定剤にはパラフィン型ワックス、ソルビタンステアレートおよびその混合物が含まれる。好ましくは脂肪アルコールおよび脂肪酸は直線状である。
重要なことには、例えばC16−C18脂肪アルコールのようなこれら好ましい固定剤はローションの結晶化速度を高め、ローションを基質表面で迅速に結晶化させる。したがってより低レベルのローションを用いて優れたローション感触を配することができる。これらの液体がペーパー基質に流れるので、柔軟さを得るために伝統的には大量のローションが必要であった。
他の種類の固定剤は、上記の脂肪アルコール、脂肪酸、スルビタンステアレートおよびワックスと組み合わせて、またはそれらの代わりに用いてもよい。典型的には、これら他の種類の固定剤は少量で用いられるであろう(すなわち総固定剤の約10%まで)。しかしながら、これら他の種類の固定剤をより大量で(すなわち100%まで)用いることも本発明の範囲内である。これら他の種類の固定剤の例には、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル、ポリヒドロキシ脂肪酸アミドおよびその混合物が含まれる。固定剤として有用であるためには、エステルまたはアミドのポリヒドロキシ部分は少なくとも1つの遊離ヒドロキシ基をもたなければならない。これら遊離ヒドロキシ基は、ローション組成物が適用されるティシュ・ペーパー・ウェブのセルロース繊維と水素結合を介して共働架橋し、さらにアルコール、酸、エステルまたはアミドのヒドロキシ基と同じく水素結合を介してホモ架橋し、したがってローション・マトリックス中の他の成分を捕捉し固定すると考えられる。
さらにまた、例えば長鎖脂肪アルコールのような分子はそれら自身同じ方向を向き、互いに反応して薄膜構造を形成すると考えられる。この薄膜構造では、ヒドロキシル基および近くのアルコール分子のアルキル鎖は同じ方向を向き、互いに反応して系統だった構造を形成する。この“パッキング配列”では、アルコールのヒドロキシル基はセルロースの極性官能性(例えばヒドロキシまたはカルボニル)と水素結合を形成し、ペーパー表面でアルコールを“固定”する。アルコールは好ましい皮膚軟化剤と混ざり合うので、皮膚軟化剤の固着および/または固定が生じる。
好ましいエステルおよびアミドはポリヒドロキシ部分に3つ以上の遊離ヒドロキシ基を有し、典型的にはその特性として非イオン性であろう。ローション組成物が用いられるペーパー製品を使用する人々の皮膚過敏反応の可能性のために、これらエステルおよびアミドはまた、皮膚に対して比較的穏やかで刺激がないものでなければならない。
本発明で使用できる適切なポリヒドロキシ脂肪酸エステルは以下の式を有する:
式中、Rは、C5−C31のヒドロカルビル基、好ましくは直鎖C7−C19のアルキルもしくはアルケニル、より好ましくは直鎖C9−C17のアルキルもしくはアルケニル、最も好ましくは直鎖C11−C17のアルキルもしくはアルケニルまたはそれらの混合物で;Yは、少なくとも2つの遊離ヒドロキシルが直接連結されたヒドロカルビル鎖をもつポリヒドロキシヒドロカルビル部分であり、nは少なくとも1である。適切なY基は、ポリオール(例えばグリセロール、ペンタエリトリトール)、糖(例えばラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、蔗糖、ぶどう糖、キシロース、果糖、麦芽糖、乳糖、マンノースおよびエリスロース)、糖アルコール(例えばエリスリトール、キシリトール、マリトール、マンニトールおよびソルビトール)、および糖アルコールの無水物(例えばソルビタン)から由来することができる。
本発明で使用できる適切なポリヒドロキシ脂肪酸エステルの1部類にはある種のソルビタンエステル、好ましくはC16−C22飽和脂肪酸のエステルが含まれる。それらの典型的な製造態様のために、これらのソルビタンエステルは通常はモノ、ジ、トリなどのエステル混合物を含む。適切なソルビタンエステルの代表的な例には、ソルビタンパルミテート(例えばSPAN40)、ソルビタンステアレート(例えばSPAN60)およびソルビタンベヘネートが含まれる。これらは、これらソルビタンエステルのモノ、ジ、およびトリエステル形の1つ以上(例えばソルビタンモノ、ジおよびトリパルミテート;ソルビタンモノ、ジ、トリステアレート;ソルビタンモノ、ジおよびトリベヘネート)とともに混合牛脂脂肪酸ソルビタンモノ、ジおよびトリエステルを含む。種々のソルビタンエステルの混合物(例えばソルビタンパルミテートとソルビタンステアレート)もまた用いることができる。特に好ましいソルビタンエステルは、ソルビタンステアレート(典型的にはモノ、ジおよびトリエステルの混合物(プラスいくつかのテトラエステル)として)で、例えばSPAN60およびロンザ社(Lonza,Inc.)から商標名GLYCOMUL-Sとして販売されているソルビタンエステルである。これらのソルビタンエステルは典型的にはモノ、ジおよびトリエステルプラスいくつかのテトラエステルの混合物を含むが、これらの混合物中で通常はモノおよびジエステルが主要な種である。
本発明で使用できるまた別の部類の適切なポリヒドロキシ脂肪酸エステルにはある種のグリセリルモノエステル、好ましくはC16−C22飽和脂肪酸のグリセリルモノエステル(例えばグリセリルモノステアレート、グリセリルモノパルミテートおよびグリセリルモノベヘネート)が含まれる。再び繰り返せば、ソルビタンエステルと同様に、グリセリルモノエステル混合物は典型的にはいくつかのジおよびトリエステルを含むであろう。しかしながら、そのような混合物は、本発明で有用なグリセリルモノエステル種を主に含むはずである。
本発明で使用できるまた別の部類の適切なポリヒドロキシ脂肪酸エステルにはある種の蔗糖脂肪酸エステル、好ましくは蔗糖のC12−C22飽和脂肪酸エステルが含まれる。蔗糖のモノクローナルのエステルが特に好ましく、蔗糖モノステアレートおよび蔗糖モノラウレートが含まれる。
本発明で使用できる適切なポリヒドロキシ脂肪酸アミドは以下の式を有する:
式中、R1はH、C1−C4ヒドロカルビル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピルもしくはそれらの混合物で、好ましくはC1−C4アルキル、メトキシエチルもしくはメトキシプロピル、より好ましくはC1もしくはC2アルキルまたはメトキシプロピル、最も好ましくはC1アルキル(すなわちメチル)もしくはメトキシプロピルで;R2はC5−C31ヒドロカルビル基で、好ましくは直鎖C7−C19アルキルもしくはアルケニル、より好ましくは直鎖C9−C17アルキルもしくはアルケニル、最も好ましくは直鎖C11−C17アルキルもしくはアルケニルまたはそれらの混合物で;Zは、直接連結された少なくとも3つのヒドロキシルをもつ直線状ヒドロカルビル鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル部分である。米国特許第5174927号明細書(Honsa,1992年12月29日発行、この文献は参照により本明細書に含まれる)を参照された。当該明細書はこれらポリヒドロキシ脂肪酸アミドとともにその調製を開示する。
Z部分は、好ましくは還元アミノ化反応の還元糖、最も好ましくはグリセチルに由来するであろう。適切な還元糖にはぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、ガラクトース、マンノースおよびキシロースが含まれる。高デキストロースコーンシロップ、高果糖コーンシロップおよび高麦芽糖コーンシロップを、上記に挙げた個々の糖と同様に用いることができる。これらのコーンシロップからZ部分のための糖成分を得ることができる。
Z部分は好ましくは以下から成る群から選ばれる:−CH2−(CHOH)n−CH2OH、−CH(CH2OH)−〔(CHOH)n-1〕−CH2OH、−CH2OH−CH2−(CHOH)2(CHOR3)(CHOH)−CH2OH。式中nは3から5の整数で、R3はHまたは環状もしくは鎖式単糖類である。グリセチルが最も好ましく、この場合nは4で、具体的には−CH2−(CHOH)4−CH2OHである。
上記の式でR1は、例えばN−メチル、N−エチル、N−プロピル、N−イソプロピル、N−ブチル、N−2−ヒドロキシエチル、N−メトキシプロピルまたはN−2−ヒドロキシプロピルであろう。R2は、例えばココアミド、ステアロアミド、オレアミド、ラウロアミド、ミリストアミド、カプリコアミド、パルミトアミド、牛脂アミドなどを提供するように選択できる。Z部分は、1−デオキシグリシチル、2−デオキシフルクチチル、1−デオキシマルチチル、1−デオキシラクチチル、1−デオキシガラクチチル、1−デオキシマンニチル、1−デオキシマルトトリオチチルなどであろう。
最も好ましいポリヒドロキシ脂肪酸アミドは以下の一般式を有する:
式中、R1はメチルまたはメトキシプロピルで;R2はC11−C17の直鎖アルキルまたはアルケニル基である。これらには、N−ラウリル−N−メチルグルコアミド、N−ラウリル−N−メトキシプロピルグルコアミド、N−ココイル−N−メチルグルコアミド、N−ココイル−N−メトキシプロピルグルコアミド、N−パルミチル−N−メトキシプロピルグルコアミド、N−牛脂イル−N−メチルグルコアミドまたはN−牛脂イル−N−メトキシプロピルグルコアミドが含まれる。
先に特記したように、固定剤のあるものは、皮膚軟化剤での可溶化のために乳化剤を必要とする。これは特に、ある種のグルコアミド、例えばHLB値が少なくとも約7のN−アルキル−N−メトキシプロピルグルコアミドの場合である。適切な乳化剤には、典型的には約7より小さいHLB値をもつものが含まれる。これに関しては、先に述べたソルビタンエステル(約4.9以下のHLB値を有する)、例えばソルビタンステアレートが、これらグルコアミド固定剤をワセリンに可溶化させるために有用であることが分かった。他の適切な乳化剤には、ステアレス−2(steareth-2、式CH3(CH2)17(OCH2CH2)nOHに一致するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、式中nは平均の値2を有する)、ソルビタントリステアレート、イソソルビドラウレートおよびグリセリルモノステアレートが含まれる。乳化剤は、実質的に均質な混合物を得ることができるように皮膚軟化剤に固定剤を可溶化させるために十分な量で含まれる。例えば、通常は単一相混合物として溶融しないN−ココイル−N−メチルグルコアミドとワセリンの約1:1の混合物は、ステアレス−2とソルビタントリステアレートの1:1の混合物を乳化剤として20%添加するとき単一相混合物として溶融する。
ローション組成物に含まれるべき固定剤の量は、含まれる個々の皮膚軟化剤、含まれる個々の固定剤、皮膚軟化剤に固定剤を可溶化させるために乳化剤が必要とされるか否か、ローション組成物中の他の成分などといった種々の因子によって左右される。ローション組成物は約5から80%の固定剤を含むことができる。好ましくは、ローション組成物は約5から50%、最も好ましくは約10から約30%の固定剤を含むことができる。
5.親水性界面活性剤
多くの事例で、本発明のローション組成物は、手洗い用ティシュとして用いられるティシュ・ペーパー・ウェブに用いられるであろう。そのような場合、当該ローション組成物で処理されたペーパー・ウェブは十分な水和性を有することが極めて望ましい。本発明のローション組成物で用いられる個々の固定剤によって、親水性界面活性剤(または親水性界面活性剤混合物)の追加が水和性の改善に必要となる場合がある。例えば、ある種の固定剤(例えばN−ココイル−N−メトキシプロピルグルコアミド)は少なくとも約7のHLB値を有し、親水性界面活性剤の添加がなくとも十分な水和性を有する。他の固定剤(例えば約7より小さいHLB値を有するC16−C18脂肪アルコール)は、手洗い用ティシュとして用いられるペーパー・ウェブにローション組成物を用いる場合は、水和性改善のために親水性界面活性剤の添加を必要とするであろう。同様に、疎水性皮膚軟化剤(例えばワセリン)は親水性界面活性剤の添加を必要とするであろう。
適切な親水性界面活性剤は当該皮膚軟化剤および固定剤に混合でき、均質な混合物を形成できる。ローション組成物が用いられるペーパー製品を使用する人々の皮膚過敏反応の可能性のために、これら界面活性剤もまた、皮膚に対して比較的穏やかで刺激のないものでなければならない。典型的には、これら親水性界面活性剤は、皮膚に対して非刺激性であるだけでなく、ティシュ・ペーパーへの他の望ましくない影響(例えば引張強さの低下)を避けるために非イオン性である。
適切な非イオン性界面活性剤は、ティシュ・ペーパー・ウェブにローション組成物を適用した後実質的に非移動性で、さらに典型的には約4から約20、好ましくは約7から約20の範囲のHLB値を有するであろう。非移動性であるためには、これらの非イオン性界面活性剤は典型的には、ティシュ・ペーパー製品の貯蔵、輸送、流通および使用時に通常遭遇する温度よりも高い融点、例えば少なくとも約30℃を有するであろう。これに関しては、好ましくはこれら非イオン性界面活性剤は、先に述べた固定剤の融点と同様な融点を有するであろう。
本発明のローション組成物で使用できる適切な非イオン性界面活性剤には、アルキルグリコシド;米国特許第4011389号明細書(Langdonら、1977年3月8日発行)に記載されたアルキルグリコシドエーテル;アルキルポリエトキシル化エステル(例えばペゴスパース(Pegosperse)1000MS(ロンザ社(Fair Lawn,ニュージャージ州)より入手可能))、C12−C18脂肪酸のエトキシル化ソルビタンモノ、ジ、および/またはトリエステルで平均エトキシル化度が約2から約20、好ましくは約2から約10であるもの、例えばトゥイーン60(平均エトキシル化度が約20のステアリン酸のソルビタンエステル)およびトゥイーン61(平均エトキシル化度が約4のステアリン酸のソルビタンエステル)、および約1から約54モルのエチレンオキシドを含む脂肪族アルコールの縮合生成物が含まれる。脂肪族アルコールのアルキル鎖は典型的には直鎖(直線状)構造で、約8から約22の炭素原子を含む。特に好ましいものは、アルコール1モルにつき約2から約30モルのエチレンオキシドをもつ約11から約22の炭素原子を含むアルキル基を有するアルコールの縮合生成物である。そのようなエトキシル化アルコールの例には、アルコール1モルにつき7モルのエチレンオキシドを含むミリスチルアルコールの縮合生成物、約6モルのエチレンオキシドを含むココナッツアルコール(炭素原子の長さが10から14のアルキル鎖を有する脂肪アルコールの混合物)の縮合生成物が含まれる。以下を含む多数の適切なエトキシル化アルコールが市販ルートで入手できる:TERGITOL15-S-9(9モルのエチレンオキシドを含むC11−C15直線状アルコールの縮合生成物、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)より市販);KYROROB(9モルのエチレンオキシドを含むC13−C15直線状アルコールの縮合生成物、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Co.,)より市販);シェル・ケミカル社(Shell Chemical Co.,)から商標名NEODOLとして市販の界面活性剤、特にNEODOL25-12(12モルのエチレンオキシドを含むC12−C15直線状アルコールの縮合生成物)およびNEODOL23-6.5T(6.5モルのエチレンオキシドを含むC12−C13直線状アルコールの縮合生成物で、ある種の不純物を除去するために蒸留(抜頭)されたもの);およびバズフ社(BASF Corp.,)から市販されている商標名PLURAFACの界面活性剤、特にPLURAFACA-38(27モルのエチレンオキシドを含むC18直鎖アルコールの縮合生成物)。(ある種の親水性界面活性剤、特にエトキシル化アルコール(例えばNEODOL25-12)もまたアルキルエトキシレート皮膚軟化剤として機能することができる。)他の好ましいエトキシル化アルコール界面活性剤の例には、ICIのBrijクラスの界面活性剤およびその混合物が含まれ、Brij76(すなわちステアレス-10)およびBrij56(すなわちセチル(Cetyl)-10)が特に好ましい。また、セチルアルコールと、平均エトキシル化度が約10から約20のエトキシル化されたステアリルアルコールとの混合物もまた親水性界面活性剤として用いることができる。
本発明で使用できる別の種類の適切な界面活性剤には、エアゾール(Aerosol)OT(アメリカン・サイアナミド社(American Cyanamid Co.)から市販されているナトリウムスルホコハク酸のジオクチルエステル)が含まれる。
本発明で使用できるまた別の種類の適切な界面活性剤には、シリコーン共重合体、例えばジェネラル・エレクトリック社(General Electric)SF1188(ポリジメチルシロキサンおよびポリオキシアルキレンエーテルの共重合体)およびGeneral Electric SF1228(シリコーンポリエーテル共重合体)が含まれる。これらのシリコーン界面活性剤は、上記で考察した他の種類の親水性界面活性剤と組み合わせて用いることができる。これらのシリコーン界面活性剤は、ローション組成物の重量の0.1%、より好ましくは約0.25から約1.0%の濃度で有効であることが分かった。
所望レベルまでローション組成物の水和性を高めるために必要とされる親水性界面活性剤の量は、用いられる固定剤のHLB値およびレベル、用いられる界面活性剤のHLB値などといった因子によって左右される。ローション組成物は、その水和性特性を高める必要がある場合は、約1から約50%の親水性界面活性剤を含むことができる。好ましくは、ローション組成物は約5から約25%の非イオン性界面活性剤を含むことができる。
皮膚への低刺激性を維持することはローション付加ティシュ製品の製造において重要な要素であるので、非イオン性界面活性剤の使用が好ましい。非イオン性界面活性剤は、荷電された界面活性剤よりも皮膚に対して刺激が少ないからである。これは、全ての荷電された界面活性剤は皮膚に刺激性であるということではない。しかしながら、一般的ルールとして、殆んどの荷電界面活性剤は皮膚に刺激性を有する。これらの抗ウイルスローションで用いられる非イオン性界面活性剤はいくつかの重要な機能を果たす。重要な機能の1つは、親水性酸/溶媒混合物が疎水性皮膚軟化剤と混合することを可能にすることである。これによって、親水性成分を含む疎水性成分の安定な混合物が許容される。
ローションの安定性の提供の他に、当該界面活性剤はまた、ローション付加ペーパーが水および鼻汁を相応な速度で吸収することを可能にする。界面活性剤がローションに加えられていなければ、ローション付加ペーパー製品はいくつかの事例では水および鼻汁をはじき、消費者にマイナスの反応を引き起こすであろう。
本発明のローション付加ティシュ・ペーパーにとって、その親水性によって反映される吸収性および/または水和性を有することは重要である。ティシュ・ペーパーの親水性は、一般に水に濡れることができるティシュ・ペーパーの性質と称される。ティシュ・ペーパーの親水性は、乾燥ティシュ・ペーパーが完全に水に濡れるために必要な時間を決定することによってある程度定量することができる。この時間は“水和”(または“沈降”)時間と称される。水和時間のための定常的で反復可能な検査を提供するために、以下の工程を水和時間決定のために用いることができる:最初に、ペーパー・サンプル(TAPPI方法T402で指定されたようにペーパー・サンプルの検査のための周囲の条件は23±1℃および50±2%RHである)、(約6.4cm×7.6cm(2.5インチ×3.0インチ))を8シートの厚さの束の条件づけしたペーパー・シートから切り出す;第二に、この切り出した8シートの厚さのペーパー・サンプルを23+1℃の蒸留水2500mlの表面に置き、サンプルの一番下のシートが水に触れたとき同時にタイマーをスタートさせる;第三に、ペーパー・サンプルの水和が完了したとき(すなわちサンプルの一番上のシートが完全に水和したとき)にタイマーを停止させ読み取る。完全な水和は目で観察する。
ティシュ・ペーパーの好ましい親水性はその最終用途によって左右される。種々の用途に用いられるティシュ・ペーパー(例えば手洗い用ペーパー)にとって、便器の水洗時の詰まりを防止するために比較的短時間で完全に水和することが望ましい。典型的には、水和時間は4分以下、好ましくは90秒以下、より好ましくは30秒以下、最も好ましくは水和時間は10秒以下である。
勿論ティシュ・ペーパーの親水性は製造後直ちに決定できる。しかしながら、疎水性の実質的増加がティシュ・ペーパー製造後最初の2週間の間に(すなわちペーパーが製造されてから2週間熟成された後)発生することがある。したがって、上記の水和時間は好ましくは当該2週間の終了時に測定される。したがって、室温で2週間の熟成期間の終了時に測定された水和時間を“2週時水和時間”と称する。
高温溶融非イオン性界面活性剤は、また、ローションの硬化に寄与し、したがってローションをペーパー表面に閉じ込めるために役立つ。抗ウイルス活性に関して重要なことには、界面活性剤は、エンベロープを有する種類のウイルスの脂質外殻層の可溶化を促進する作用を有する。この脂質外殻層の可溶化は、抗ウイルス酸がウイルス構造内に浸透しこれを不活化する能力を強化する。
6.他の任意の成分
ローション組成物は、この種類の皮膚軟化剤、クリームおよびローションに典型的に存在する他の任意の成分を含むことができる。これら任意の成分には、水、粘稠性改変剤、香料、殺菌剤および他の抗菌剤、医薬活性物質、薄膜形成剤、ビタミン(例えばビタミンE)、防臭剤、不透明化剤、収斂剤、溶媒などが含まれる。さらに、例えばセルロース誘導体、蛋白質およびレシチンのような安定剤を添加して、ローション組成物の保存期間を延長させることができる。これらの物質の全てはそのような製剤の添加物として当該技術分野で周知で、本発明のローション組成物に適切な量で用いることができる。さらに、天然油(例えば樟脳、チモール、メントール、ユーカリプトール(シネオール)、ゲラニオール、レモン油、サリチル酸メチル、丁子および他の同様な物質を用いて医薬効果をもつ香りを付与してもよい。さらに、これら天然油の多くはまた抗ウイルス特性を有する。
C.ローション組成物によるティシュ・ペーパーの処理
本発明のローション付加ペーパー製品の調製では、ローション組成物はティシュ・ペーパー・ウェブの少なくとも1つの面に適用される。溶融または液状粘稠度をもつ潤滑物質を均等に分布させる多様な適用方法のいずれも用いることができる。適切な方法には、噴霧、印刷(例えばフレキソグラフ印刷法)、被覆(例えばグラビアコーティング)、押出し、またはこれらの適用技術の組み合わせが含まれる。後者では、例えばローション組成物は回転表面(例えばカレンダーロール)に噴霧され、当該回転表面は続いて組成物をペーパー・ウェブの表面に移す。ローション組成物はティシュ・ペーパー・ウェブの片面または両面に用いることができる。好ましくはローション組成物はペーパー・ウェブの両面に用いられる。
ティシュ・ペーパー・ウェブにローション組成物を適用する態様は、当該ウェブがローション組成物で飽和されないようなものでなければならない。ウェブがローション組成物で飽和される場合、ペーパーの脱結合が発生し、したがってペーパーの引張強さの低下をもたらす大きな可能性がある。さらにまた、ペーパー・ウェブの飽和は、本発明のローション組成物によって得られる柔軟さおよびローション様感触のためには必要ではない。特に適切な適用方法では、ローション組成物は主にペーパー・ウェブの片面または両面に適用されるであろう。
ローション組成物は、ウェブが乾燥した後でティシュ・ペーパー・ウェブに適用できる(すなわち“乾燥ウェブ”添加法)。ローション組成物は、ティシュ・ペーパー・ウェブの重量に対して約2から約30%の量で適用される。好ましくはローション組成物は、ティシュ・ペーパー・ウェブの重量で約5から約20%の量で、最も好ましくはウェブの重量で約10から約16%で適用される。そのような比較的低レベルのローション組成物は、ティシュ・ペーパーに所望の柔軟さおよびローション様感触を付与し、しかも吸収性、水和性および特に強度が実質的に影響を受けるほどティシュ・ペーパーを飽和させないためにも適切である。
ローション組成物はまた、ティシュ・ペーパー・ウェブの表面に不均一に適用してもよい。“不均一”とは、ローション組成物の量、分布パターンなどがペーパー表面全体で変動することを意味する。例えば、ティシュ・ペーパー・ウェブのある部分はより多量のまたはより少量(ローション組成物を一切含まない表面を含む)のローション組成物を有することができる。
ローション組成物は、ティシュ・ペーパーを乾燥させた後いつでもティシュ・ペーパーに適用することができる。例えば、ローション組成物は、ヤンキー・ドライヤからティシュ・ペーパーを剥がし取った後(しかしカレンダー処理の前、すなわちカレンダーロールを通す前)にティシュ・ペーパー・ウェブに適用できる。ローション組成物はまた、そのようなカレンダーロールを通した後、親ロールに巻き上げる前にペーパー・ウェブに適用できる。通常は、親ロールから巻き戻してさらにより小さな仕上がりペーパー製品ロールに巻き上げる前にローション組成物をティシュ・ペーパーに適用するのが好ましい。
ローション組成物は、典型的にはその溶融物からティシュ・ペーパー・ウェブに適用される。ローション組成物は周囲温度より極めて高い温度で溶融するので、通常は加熱コーティングとしてティシュ・ペーパー・ウェブに適用される。典型的には、ローション組成物は、ティシュ・ペーパー・ウェブに適用する前に約35°から約100℃、好ましくは40°から約90℃の範囲の温度に加熱される。溶融ローション組成物がいったんティシュ・ペーパー・ウェブに適用されると、ローション組成物を冷却し、凝固させて凝固コーティングまたは凝固フィルムをペーパー表面に形成する。
本発明のローション組成物をティシュ・ペーパー・ウェブに適用する場合、グラビアコーティングおよび押出しコーティング法が好ましい。図1は、グラビアコーティングを含むそのような好ましい方法の1つを示す。図1を参照すれば、乾燥ティシュ・ウェブ1は親ティシュ・ロール2から巻き戻され(矢印2aによって示した方向で回転)、回転ロール4の周りを進む。回転ロール4から、ウェブ1はオフセット−グラビアコーティング・ステーション6に進み、続いてここでローション組成物はウェブの両面に適用される。ステーション6を出た後、ウェブ1は3で示されるようにローション付加ウェブとなる。続いてローション付加ウェブ3は回転ロール8の周りを進み、さらにローション付加親ロール10(矢印10aで示した方向で回転)に巻き上げられる。
ステーション6は、1対の連結オフセット−グラビア・プレス12および14を含む。プレス12は下部グラビア・シリンダ16および上部オフセット・シリンダ18から成り、同様にプレス14は下部グラビア・シリンダ20および上部オフセット・シリンダ22から成る。グラビア・シリンダ16および20は各々固有の食刻セルパターンおよびサイズをもち、さらに各々はクロム染料配置表面を有し、一方、オフセット・シリンダ18および22は各々平滑なポリウレタンゴム面を有する。グラビア・ロールのセル容積のサイズは、所望の被覆重量、ラインの速度、およびローションの粘度によって変わる。グラビアおよびオフセット・シリンダは両方ともローションを溶融したまま保持するために加熱される。これらのグラビアおよびオフセット・シリンダは、それぞれ矢印16a、18a、20aおよび22aで示した方向で回転する。図1に示すように、オフセット・シリンダ18および22は真っ直ぐに向き合い互いに平行で、ウェブ1が通過する挟まれた領域(23)を提供する。
ファウンテン・トレー24および26はそれぞれグラビア・シリンダ16および20の下に配置される。熱い溶融(例えば65℃)ローション組成物は、これら加熱トレー24および26の各々にポンプで送られ、それぞれ30および32の矢印で示すように溶融ローション組成物の貯蔵容器を提供する。グラビア・シリンダ16および20が矢印16aおよび20aで示す方向で貯蔵容器30および32の中を回転するとき、それらは一定量の溶融ローション組成物を取り出す。グラビア・シリンダ16および20の各々の過剰なローションは、続いてドクターブレード34および36によってそれぞれ除去される。
加熱グラビア・シリンダ・セル16および20に残存するローション組成物は、続いて加熱オフセット・シリンダ18および22(矢印18aおよび22bで示すように反対方向に回転)へ、それぞれの対応するシリンダ対の間の挟まれた領域38および40を通って移される。続いてオフセット・シリンダ18および22に移されたローション組成物は、ウェブ1の両面に同時に移される。ウェブ1に移されるローション組成物の量は以下によって制御できる:(1)オフセット・シリンダ18および22の間の挟まれた領域23の幅を調整する;および/または(2)グラビア/オフセット・シリンダ対16/18および20/22の間の挟まれた領域38および40の幅を調整する。
図2は、スロット押出しコーティングを含むまた別の好ましい方法を示す。図2を参照すれば、乾燥ティシュ・ウェブ101は親ティシュ・ロール102(矢印102aで示す方向で回転)から巻き戻され、続いて回転ロール104の周りを進む。回転ロール104からウェブ101はスロット押出しコーティング・ステーション106へ進む。ステーション106でローション組成物は続いてウェブの両面に適用される。ステーション106を出た後、ウェブ101は103で示すローション付加ウェブになる。ローション付加ウェブ103は、続いてローション付加ティシュ親ロール110(矢印110aで示す方向で回転)に巻き上げられる。
ステーション106は、間隔をあけて配置された1対のスロット押出し機112および114を含む。押出し機112は細長いスロット116およびウェブ接触面118を有し、押出し機114も同様に細長いスロット120およびウェブ接触面122を有する。図2に示すように、押出し機112および114は、面118がウェブ101の一方の面と接触し、面122がウェブ101のもう一方の側と接触するような方向で配置される。熱い溶融(例えば65℃)ローション組成物は押出し機112および114の各々にポンプで送られ、続いてそれぞれスロット116および120を通って押し出される。
ウェブ101が押出し機112の加熱面118の上を通過しスロット116に達するとき、スロット116から押し出された溶融ローション組成物は、面118と接触するウェブ101の側面に塗布される。同様に、ウェブ101が押出し機114の加熱面122の上を通過しスロット120に達するとき、スロット120から押し出された溶融ローション組成物は、面122と接触するウェブ101の側面に塗布される。ウェブ101に移されるローション組成物の量は以下によって制御される:(1)溶融ローション組成物がスロット116および122から押し出される速度;および/または(2)面118および122と接触中にウェブ101が移動する速度。
本発明のローション付加ティシュ・ペーパーの調製の具体的な説明
以下は、本発明のローション組成物によるティシュ・ペーパーの処理の具体的な説明である。
実施例1
A.ローション組成物Aの調製
水を含まないローション組成物Aは、まず以下の成分を共に混合することによって製造される:プロピレングリコール、セテアレス10およびクエン酸。クエン酸が溶解するまでこの混合物を60から90℃に加熱し混合する。クエン酸が溶解した後、主にセチルアルコールとステアリルアルコールの混合物から成る脂肪アルコールを添加し、60から90℃の温度で混合する。これらの脂肪アルコールが溶解した後、ワセリンを添加して60から90℃の温度で混合する。ワセリンは、組成物全体が相として安定し透明になるまで混合する。これら成分の重量%は下記の表Iに示す。
B.高温溶融噴霧によるローション付加ティシュの調製
ローションAを高温溶融噴霧ガンPAM600Sスプレーマチック(パム・ファースニング・テクノロジー社(PAM Fastening Technology,Inc.)製)に入れ、〜90℃の温度で操作する。30.5cm×30.5cm(12インチ×12インチ)のティシュ・ペーパー基質シートの各面に所望のローションレベルで噴霧被覆する。各面に噴霧した後、続いて70℃の対流オーブンに30秒ローション付加ティシュ・ペーパーを入れて揮発性成分を除去し、ペーパー繊維上へのより均等なコーティングを担保する。
実施例2
A.ローション組成物Bの調製
水を含まないローション組成物Bは、まず以下の成分を共に混合することによって製造される:プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300(PEG-300)、セテアレス10並びにアジピン酸、グルタル酸およびコハク酸の混合物(AGS酸)。アジピン酸、グルタル酸およびコハク酸が全て溶解するまで、この混合物を60から90℃に加熱し混合する。酸が溶解した後、主にセチルアルコールとステアリルアルコールの混合物から成る脂肪アルコールを添加し、60から90℃の温度で混合する。これらの脂肪アルコールが溶解した後、ワセリンを添加して60から90℃の温度で混合する。ワセリンは、組成物全体が相として安定し透明になるまで混合する。これら成分の重量%は下記の表IIに示す。
B.高温溶融噴霧によるローション付加ティシュの調製
溶融ローションBを高温溶融噴霧ガンPAM600Sスプレーマチックに入れ、90℃の温度で操作する。30.5cm×30.5cm(12インチ×12インチ)のティシュ・ペーパー基質シートの各面に所望のローションレベルで噴霧被覆する。各面に噴霧した後、ローション付加ティシュ・ペーパーを70℃の対流オーブンに30秒入れて揮発性成分を除去し、ペーパー繊維上へのより均等なコーティングを担保する。
本出願は、水を含まない抗ウイルス性ローション組成物に関する。当該ローション組成物は柔軟で滑らかな感触をティシュ・ペーパーに付与し、当該ローションを添加したペーパーと接触するある種のウイルス株を死滅させる能力をもつ。さらに、これら水を含まない抗ウイルス性ローションは皮膚に対して刺激が少ない。これらローションには水は意図的に添加されないので、張力および厚さ(カリパー)のようなペーパーの物理的特性を維持する利点がある。さらに、本出願はそのような抗ウイルス性無水ローション組成物で処理したティシュ・ペーパーに関する。
発明の背景
家庭内で風邪に関連する病原菌の拡散を防止することは困難であるがしかし当を得た仕事である。何時間もの生産的労働が風邪またはインフルエンザに感染した人々により損なわれる。さらに、風邪やインフルエンザに付随する不快を和らげるための薬に毎年多くの金銭が費やされる。家庭内で病原菌の拡散を防止または遅延させるために、スプレー、液体および石鹸が一般的病原菌の殺菌のために存在する。スプレーは、典型的には流し、浴槽、シャワーおよび手洗い並びにその周辺を清浄にするために用いられる。抗菌作用を有する硬質表面洗浄液は、床、調理台上部および他の硬質表面を清掃するために現在利用できる。さらに、皮膚および身体の洗浄に種々の抗菌石鹸を購入することができる。
風邪またはインフルエンザに罹患すると、その鼻汁は非常に高濃度のウイルス供給源である。化粧用ティシュで鼻をかんだ後、鼻汁のウイルスはそれと接触するまた別の人間に感染する可能性がある。ティシュの鼻汁の伝播は偶発的または非意図的な接触によるものであろう。
伝播シナリオの可能な例として、風邪をひいた者が鼻汁に汚染された化粧用ティシュをある種の硬質表面に偶発的に置き忘れたことを考えてみよう。この硬質表面は台所の調理台上部であるかもしれないし、バスルームの化粧台または単に家具であるかもしれない。また別の家族または仲間がこのティシュを取上げ投げ捨てた後、偶発的に汚染鼻汁と接触することになるかもしれない。ティシュの粘液とそのように接触した後、その者がそのウイルス疾患(すなわち風邪、インフルエンザ)に感染することは極めて可能なことである。
また別の伝播シナリオは、ウイルスを含む鼻汁で汚染された化粧用ティシュの廃棄を介するものである。家庭内の屑籠が高濃度の汚染ティシュを含む屑で一杯になった後、なんらかの態様で廃棄されねばならないことは明白である。家庭内のゴミを別のより大型の廃棄ユニットに移している間に、このゴミを移している者が汚染鼻汁と接触する可能性は高い。再びこの人間がウイルスと接触する危険性は高い。
化粧用ティシュが鼻汁で汚染された後、その他の多くのウイルス伝播態様シナリオが可能である。風邪およびインフルエンザ伝播の可能性を減少させるために、抗ウイルス性の水を含まない、本明細書で述べるローションで被覆されたティシュは、ライノウイルスおよびインフルエンザのようなウイルスを死滅させるであろう。ティシュ内のこれらウイルスの死滅は、風邪およびインフルエンザのような病気の伝播をおそらく減少させるであろう。数年前のキンバリークラーク社(Kimberly-Clarks)のアバート(Avert)化粧用ティシュ製品は有効量の殺菌剤を含有していたが、それら殺菌賦形剤中の陰イオン性界面活性剤は皮膚への刺激が強かったようである。周知のように、風邪およびインフルエンザに罹患している者は、典型的には鼻および唇に続く皮膚領域にただれおよび炎症をもつ。ティシュで水性の鼻汁をかんだ後、陰イオン性の界面活性剤は容易に溶解し、炎症を起こした皮膚領域に部分的に伝達される。これらの過敏な皮膚領域は陰イオン性界面活性剤によってより刺激を受けやすい。知られているように、鼻および唇周辺の過敏、炎症および発赤には幾つかの原因がある。第一の原因は勿論のこと、頻繁にティシュで鼻をかみ、鼻および周辺領域から鼻の放出物を拭き取らねばならないことである。そのような鼻かみおよび拭き取りによって生じる過敏および炎症の程度は次のものに比例する:(1)用いるティシュの表面の粗度;(2)鼻およびその周辺領域をティシュ・ペーパーに接触させる回数;(3)ティシュ・ペーパーに用いられた一切の添加剤の刺激誘発の可能性。したがって抗ウイルスローションに可能なかぎり刺激の少ない成分を用いることが必須である。実際、皮膚に有利な成分を用いることはより望ましいことである。
アバート(Avert)では皮膚に不利な反応の他に、その抗ウイルス製剤が皮膚に乾燥伝達される可能性が極めて少なかった。これは、部分的にはアバートの抗ウイルス組成物は、外側の2枚の紙葉に挟まれた第三のティシュ紙葉に添加されていたためであった。さらに、アバートの抗ウイルス組成物は結晶性個体から生成されていた。したがって、小分け箱からティシュを引き出した後、抗ウイルス組成物が指に伝達される可能性は少なかった。一方、本発明では、抗ウイルス性無水ローションは、ローション添加ティシュと接触する対象物間に単に圧力をかけることによって皮膚または物体に容易に伝達できる。したがって、皮膚または物体表面への伝達の可能性は高く、生物体または物体上のウイルスを死滅させることが可能である。
したがって、以下のようなローション添加ティシュ製品を提供することが望ましいであろう:(1)ティシュ内のライノウイルスおよびインフルエンザウイルスを死滅させる;(2)水分を含まない抗ウイルス性ローションを含み、皮膚または物体に伝達されて、ローション付着皮膚または物体部分と接触するウイルスを死滅させることができる;(3)製品の引張強さ、吸収性およびカリパーに悪影響を与えない;(4)皮膚への刺激が少ない;(5)柔らかく滑らかな感触を有する;(6)アルファヒドロキシ酸に付随する利点を皮膚に提供する;(7)無水ローションがローションの拡散を制限し、張力およびカリパーのような物理的特性の維持に役立つ;(8)天然油、例えばユーカリプトール、メントール、チモール、樟脳、レモン油、サリチル酸メチルおよびその混合物を場合によって含む;および、(9)パッケージングのために、特別な包装またはバリアーを必要としない。
発明の要旨
本発明は実質的に水分を含まないローション組成物に関する。当該ローション組成物は、周囲温度(すなわち20℃)では個体で、さらにティシュ・ペーパーに用いられたとき柔軟で滑らかなローション様感触を与える。本ローション組成物は以下を含む:
(A)クエン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸およびその混合物から成る群から選ばれるものを含む、室温で個体の約1から25%の抗ウイルス有機酸;
(B)抗ウイルス有機酸を溶解させる能力を有し、さらに約200から約900の範囲の分子量のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコールおよびその混合物から成る群から選ばれるものを含む、実質的に水を含まない約5から約25%の親水性溶媒、;
(C)石油系皮膚軟化剤、脂肪酸エステル皮膚軟化剤、脂肪アルコール皮膚軟化剤およびその混合物から成る群から選ばれるものを含む、20℃で可塑性または流動性粘稠性を有する約5から60%の皮膚軟化剤;
(D)C12−C22脂肪アルコール、C12−C22脂肪酸、ソルビタンステアレート、ワックスおよびその混合物から成る群から選ばれるものを含む、抗ウイルスローション組成物で処理されたティシュ・ペーパー表面に皮膚軟化剤および他の成分を固定することができる、少なくとも約35℃の融点を有する約5から約50%の薬剤、さらに;
(E)好ましくはエトキシル化脂肪アルコールおよびエトキシル化ソルビタンモノ、ジ、およびトリアルキル誘導体並びにその混合物から選ばれる、少なくとも約4のHLB値を有し、皮膚への刺激性が少なく、疎水性皮膚軟化剤混合物に有機酸/溶媒混合物を乳化させ、ローション添加ティシュの充分な水吸収性を可能にする実質的に水を含まない約1から50%の非イオン性界面活性剤;および
(F)アロエ、ビタミンE、パンテノール、樟脳、チモール、メントール、ユーカリプトール(シネオール)、ゲラニオール、レモン油、サリチル酸メチルおよび丁子並びにその混合物から成る群から選ばれるものを含む、約0.1から約20%の任意の天然油、ビタミンまたは他の添加物。
本発明はさらにローション添加ティシュ・ペーパーに関する。この場合、当該ローション組成物は、乾燥ティシュ・ペーパーの重量で約2から30%の量でティシュ・ペーパーの少なくとも一表面に用いられる。例えば、2枚重ね化粧用ティシュ製品の場合、抗ウイルスローションは2枚の紙葉の外側面の各々に用いることができる。また別にはローション適用物品は、抗ウイルスローションが2枚の紙葉の各々の内側面に用いられるように改変できる。さらに、片面または両面に抗ウイルスローションを被覆した第三の紙葉は2枚の被覆又は非被覆ティシュ紙葉の間に挿入してもよい。前述の例のまた別の適用変更も用いることができる。
本発明のローション添加ティシュ・ペーパーは望ましい滑らかでローション様の感触を有する。抗ウイルス性有機酸がローションに添加されるので、ライノウイルスおよびインフルエンザウイルスのようなウイルスはティシュ内で死滅させることができる。有機クエン酸はアルファヒドロキシ酸タイプであるので、これらのタイプの酸に付随するいくつかまたは全ての皮膚に対する利点はユーザーに伝達できる。さらに、ローション内の他の化学物質は抗菌作用を提供することができる。これらの化学物質には、グリコール系溶媒、天然油および脂肪アルコール皮膚軟化剤が含まれる。当該ローションは実質的に水を含まず、より効果的なローションの乾燥伝達を可能にする。ローションへの水の意図的な添加は、張力およびカリパーのような物理的特性に有害であろう。水はティシュ・ウェブ全体へのローションの移動を促進する。これは繊維の脱結合をもたらし、ペーパー表面のローション濃度を低下させる。これによって張力およびカリパーの両方が損なわれ、したがって本明細書で述べるように無水ローション状態を維持することが有益である。さらに、水は微生物の増殖を促進する傾向があり、したがって本明細書で述べるように無水ローション状態を維持することが有利である。皮膚軟化剤はティシュ・ペーパーの表面に実質的に固定されているので、所望の柔軟なローション様感触を付与するためにより少ないローション組成物が要求される。結果として従来の鉱物油含有ローションによって生じた、ティシュの引張強さおよびカリパーに対する有害な影響を回避することができる。さらに、特別なバリアーまたは包装物質は、本発明のローション添加ティシュ製品のパッケージングには不要である。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のローション組成物をティシュ・ペーパー・ウェブに適用する好ましい工程を示す模式図である。
図2は、本発明のローション組成物をティシュ・ペーパー・ウェブに適用するまた別の工程を示す模式図である。
発明の詳細な説明
本明細書で用いられるように、“含む”という用語は、種々の成分、内容物または工程が共に結合されて本発明の実施に用いられることを意味する。したがって、“含む”という用語は、一層限定的な用語、“本質的に〜から成る”および“〜から成る”を包含する。
本明細書で用いられる全ての百分率および割合はまた別に限定しないかぎり重量による。
A.ティシュ・ペーパー
本発明は、一般に通常のフェルト圧搾ティシュ・ペーパー;高密度型模様付き高体積ティシュ・ペーパー;および高体積非圧縮ティシュ・ペーパー(ただしこれらに限定されない)を含むティシュ・ペーパーについて有用である。ティシュ・ペーパーは均一構築物でも多層構築物でもよい。したがって、そのような形状から製造されたティシュ・ペーパー製品は1枚重ね構築物でもでも多重構築物でもよい。好ましくは、ティシュ・ペーパーは約10g/m2から約65g/m2の坪量、および約0.6g/cc以下の密度を有する。より好ましくは、坪量は約40g/m2以下で、さらに密度は約0.3g/cc以下であろう。最も好ましくは、密度は約0.4g/ccから約0.2g/ccであろう。ティシュ・ペーパーの密度の測定方法を述べた米国特許出願第5059282号明細書(Ampulskiら、1991年10月22日発行、13欄、61-67行)を参照されたい。(また別に特定されないかぎり、ペーパーに関する全ての量および重量は乾燥基準による。)
通常の圧縮ティシュ・ペーパーおよびそのようなペーパーを製造する方法は当該技術分野で周知である。そのようなペーパーは、典型的には抄紙完成紙料を多孔性形成ワイヤ(しばしば当該技術分野では長網ワイヤと呼ばれる)上に沈積させることによって製造される。いったん完成紙料が形成ワイヤ上に沈積されると、それはウェブと称される。ウェブは、圧縮しさらに高温で乾燥させることによって脱水される。前記の工程にしたがってウェブを製造する具体的な技術および装置は当該技術分野では周知である。典型的な工程では、低濃度パルプ完成紙料が加圧ヘッドボックスから提供される。ヘッドボックスは、長網ワイヤ上に薄いパルプ完成紙料の沈積物を送り込み湿潤ウェブを形成するために開口部を有する。続いてウェブは、真空脱水により約7%から約25%(総ウェブ重量を基準にして)の繊維濃度に脱水され、さらに圧搾操作により乾燥される。後者の工程では、ウェブは向き合う機械メンバー(例えば円筒ロール)によって生じる圧力に付される。続いてこの脱水ウェブをさらに圧搾し、当該技術分野ではヤンキー・ドライヤとして知られる蒸気ドラム装置によって乾燥される。圧力は、機械的手段(例えば向き合う円筒ドラムがウェブを押しつける)によってヤンキー・ドライヤで生じる。多くのヤンキー・ドライヤドラムを用いることができるが、それによって新たな圧力がドラム間に場合によって生じる。形成されたティシュ・ペーパー構造物は、以下では通常圧搾ティシュ・ペーパー構造物と称する。そのようなシートは、ウェブが湿っているときに全ウェブが実質的な機械的圧縮力を受け、さらに圧搾状態で乾燥されるので固く圧縮されていると考えられる。
高密度型模様付きティシュ・ペーパーは、比較的低い繊維密度をもつ比較的高体積領域および比較的高い繊維密度をもつ高密度帯列を有することを特徴とする。この高体積領域はまた別にはピロー部領域としての性状を有する。高密度帯はまた別にはナックル部と称される。高密度帯は高体積領域内に別々に離れて配置されるか、または当該高体積領域内で部分的もしくは全体的に互いに連結されている。型模様は非装飾的構成で形成してもよいが、またティシュ・ペーパーにおいて装飾的なデザインを提供してもよい。高密度型模様付きティシュ・ウェブの好ましい製造工程は、米国特許第3301746号(Sanfordら、1967年1月31日発行);米国特許第3974025号明細書(Ayers,1976年8月10日発行);米国特許第4191609号明細書(Trokhan,1980年3月4日発行)および米国特許第4637859号明細書(Trokhan,1987年1月20日発行)(これら全ては参照により本明細書に含まれる)に記載されている。
一般に、高密度型模様付きウェブは、好ましくは抄紙完成紙料を多孔性形成ワイヤ(例えば長網ワイヤ)上に沈積させて湿潤ウェブを形成し、続いて支持体列に向かって当該ウェブを並置させることによって調製される。ウェブを支持体列に向かって押しつけ、それによって支持体列と湿潤ウェブとの間の接触点に位置的に対応するウェブの場所に高密度帯が生じる。この操作中に圧縮されなかったウェブの残余部分は高体積領域と称される。この高体積領域は、流体圧力(例えば真空型装置またはブロースルー・ドライヤ)の利用によって、またはウェブを支持体列に向かって機械的に押しつけることによってさらに低密度化される。ウェブは、当該高体積領域を実質的に圧縮しないような態様で脱水され、さらに場合によっては予備乾燥される。これは好ましくは、流体圧力(例えば真空型装置またはブロースルー・ドライヤ)によって、また別にはウェブを支持体列に向かって機械的に押しつけることによって(この場合高体積領域は圧縮されない)達成される。脱水操作、場合によって予備乾燥操作および高密度帯の形成は一体化するか、または部分的に一体化して実施される処理工程の総数を減少させることができる。高密度帯の形成、脱水および場合によって予備乾燥に続いて、ウェブを完全に乾燥させるが、好ましくはなお機械的圧搾は避ける。好ましくは約8%から約55%のティシュ・ペーパー表面が、高体積領域の密度の少なくとも125%の相対密度を有する高密度ナックルを含む。
好ましくは支持体列は、圧力がかかったときに高密度帯の形成を促進する支持体列として作用するナックルの型模様を移し変える刻印担体ファブリックである。ナックルの型模様は先に述べた支持体列を構成する。適切な刻印担体ファブリックは、米国特許第3821068号明細書(Salvucciら、1974年5月21日発行);米国特許第3974025号明細書(Ayers,1976年8月10日発行);米国特許第3573164号明細書(Friedberg,1971年5月30日発行);米国特許第3473576号明細書(Amneus,1969年10月21日発行);米国特許第4239065号明細書(Trokhan,1980年12月16日発行)および米国特許第4528239号明細書(Trokhan,1985年7月9日発行)(これら全ての文献は参照により本明細書に含まれる)に開示されている。
好ましくは、完成紙料は、先ず最初に多孔性形成担体(例えば長網ワイヤ)上で湿潤ウェブを形成する。当該ウェブは脱水され、さらに刻印ファブリックに移される。また別には、完成紙料は、刻印ファブリックとしても機能する多孔性支持担体上に先ず初めに沈積させてもよい。いったんウェブが形成されると、これは脱水され、好ましくは熱によって約40%から約80%の選択繊維濃度に予備乾燥される。脱水は好ましくは吸引ボックスもしくは他の真空装置またはブロースルー・ドライヤを用いて実施される。刻印ファブリックのナックル刻印は、ウェブが完全に乾燥される前に上記で述べたようにウェブに押しつけられる。これを達成する方法の1つは機械的加圧の利用による。これは例えば、刻印ファブリックを支えるニップロールを乾燥ドラム(例えばヤンキー・ドライヤ)に向かって押しつけることによって実施される。この場合ウェブはニップロールと乾燥ドラムとの間に置かれる。また好ましくは、真空装置(例えば吸引ボックス)またはブロースルー・ドライヤによる流体圧を用いて完全に乾燥させる前に、ウェブは刻印ファブリックに対して成形される。流体圧は、最初の脱水時にひと続きの別々の工程でまたはそれらの合体工程で高密度帯の押印を誘発するために用いることができる。
非圧縮性で高密度型模様の無いティシュ・ペーパー構造物は、米国特許第3812000号明細書(Salvucciら、1974年5月21日発行)および米国特許第4208459号明細書(Becker,1980年6月17日発行)(これら全ての文献は参照により本明細書に含まれる)に記載されている。一般に、非圧縮性で高密度型模様の無いティシュ・ペーパー構造物は、抄紙完成紙料を多孔性形成ワイヤ(例えば長網ワイヤ)上に沈積させて湿潤ウェブを形成し、ウェブから水を抜き、ウェブが少なくとも約80%の繊維濃度をもつまで機械的圧縮を用いることなくさらに水を除去しウェブに皺付け加工を施すことによって調製される。水は、真空脱水および熱乾燥によってウェブから除去される。得られた構造物は柔軟であるが脆弱な、比較的非圧縮性繊維をもつ高体積シートである。結合物質は、好ましくは皺付け加工前にウェブの一部分に用いられる。
圧縮性で高密度型模様の無いティシュ構造物は、通常のティシュ構造物として当該技術分野では一般的に知られている。一般に、圧縮性で高密度型模様の無いティシュ構造物は、抄紙完成紙料を多孔性ワイヤ(例えば長網ワイヤ)上に沈積させてウェブを形成し、当該ウェブから水を抜き、ウェブが25−50%の濃度をもつまで均一な機械的圧縮の補助によりさらに水を除去し、熱乾燥装置(例えばヤンキー・ドライヤ)にウェブを移しさらにウェブに皺付け加工を施すことによって調製される。全体として、水は真空、機械的圧搾および熱による手段によってウェブから除去される。得られた構造物は、強靱で、一般的には単一密度を有するが体積、吸収性および柔軟性は極めて低い。
本発明に用いられる抄紙繊維は通常は木材パルプに由来する繊維を含む。他のセルロース系繊維状パルプ繊維(例えば綿リンター、バガスなど)も用いることができ、本発明の範囲内に包含される。合成繊維(例えばレーヨン、ポリエチレンおよびポリプロピレン繊維)もまた天然のセルロース系繊維と組み合わせて用いることができる。用いることができる代表的なポリエチレン繊維の1つはパルペックス(登録商標Pulpex)で、ハーキュリーズ社(Hercules,Inc.,デラウェア州、ウィルミントン)から入手できる。
利用可能な木材パルプには、ケミカルパルプ(例えばクラフト、亜硫酸および硫酸パルプ)とともにメカニカルパルプ(例えば砕木、熱機械処理パルプおよび化学的改変熱機械処理パルプ)が含まれる。しかしながら、ケミカルパルプから製造されるティシュ・シートには優れた柔軟性手触りが付与されるのでケミカルパルプが好ましい。落葉樹(以下ではまた“硬木”と称する)および針葉樹(以下ではまた“軟木”と称する)の両方に由来するパルプを用いることができる。本発明で有用なものはまたリサイクル・ペーパーに由来する繊維で、これらは、上記のカテゴリーのいずれかまたは全てとともに、本来の製紙を促進するために用いられる他の非繊維物質(例えば充填剤および粘着剤)を含む。
抄紙繊維の他に、ティシュ・ペーパー構造物を製造するために用いられる抄紙完成紙料は、それらに添加される他の成分または物質を含むことができる。これらは当該技術分野で既知であるか、または以下で開示されるであろう。所望される添加物の種類は、目的のティシュ・シートの具体的な最終用途に左右されるであろう。例えば、手洗い用ペーパー、ペーパータオル、化粧用ティシュおよび他の類似製品のような製品では、高い湿潤強度が望ましい属性である。したがって、“湿潤強力樹脂”として当該技術分野で知られている化学物質を抄紙完成紙料に添加することがしばしば所望される。
製紙分野で用いられる湿潤強力樹脂の種類に関する一般的な論述は、TAPPIモノグラフシリーズ29号(「紙、厚紙の湿潤強化(Wet Strength in Paper and Paperboard)」、Technical Association of the Pulp & Paper Industry刊、ニューヨーク(1965))で見出すことができる。最も有用な湿潤強力樹脂は一般に性状が陽イオン性であった。永久的湿潤強度を得るためには、陽イオン湿潤強力樹脂であるポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂が特に有用であることが分かった。そのような樹脂の適切な種類は米国特許第3700623号明細書(Kemin,1972年10月24日発行)および米国特許第3772076号明細書(Kemin,1973年11月13日発行)(両文献は参照により本明細書に含まれる)に記載されている。有用なポリアミド−エピクロロヒドリン樹脂の市販供給源の1つはハーキュリーズ社(Hercules,Inc.,デラウェア州、ウィルミントン)で、登録商標KYMENE 557Hでそのような樹脂を市販している。
ポリアクリルアミド樹脂もまた湿潤強力樹脂として有用であることが分かった。これらの樹脂は米国特許第3556932号明細書(Cosciaら、1971年1月19日発行)および米国特許第3556933号明細書(Williamsら、1971年1月19日発行)(両文献は参照により本明細書に含まれる)に記載されている。ポリアクリルアミド樹脂の市販供給源の1つはアメリカン・サイアナミド社(American Cyanamid Co.,コネチカット州、スタンフォード)で、登録商標Parez 631NCでそのような樹脂を市販している。
本発明で利用できるまた別の水溶性陽イオン樹脂は、尿素ホルムアルデヒドおよびメラミンホルムアルデヒド樹脂である。これら多官能性樹脂のより一般的な官能基は、窒素含有基(例えばアミノ基および窒素に結合したメチオール基)である。ポリエチレンイミン型樹脂もまた本発明で有用であることが分かった。さらに、一時的湿潤強力樹脂(例えばCaldas10(ジャパンカーリット(Japan Carlit)製)およびCoBond1000(ナショナルスターチ・アンド・ケミカル社(National Starch & Chemical Co.)製)も本発明で用いることができる。化学的化合物(例えば上記で述べた湿潤強力樹脂および一時的湿潤強力樹脂)のパルプ完成紙料への添加は任意であり、本発明の実施に必然的ではないことは理解されよう。
湿潤強力添加剤の他に、当該技術分野で既知の乾燥強力添加剤およびリント制御添加剤を抄紙繊維に含有させることが望ましい。これに関しては、澱粉結合剤が特に適切であることが分かった。仕上がり最終ティシュ・ペーパー製品のリント発生を減少させることの他に、低レベルの澱粉結合剤はまた乾燥引張強度を適度に改善し、高レベルの澱粉を添加することによって生じるような硬さを与えることはない。典型的には澱粉結合剤は、ティシュ・ペーパーの重量で約0.01から約2%、好ましくは約0.1から約1%のレベルで保持される量で含まれる。
一般に、本発明のための適切な澱粉結合剤の特徴は水溶性および親水性である。もっとも適切な澱粉結合剤の範囲を限定しようとするわけではないが、代表的な澱粉結合剤にはトウモロコシ澱粉および馬鈴薯澱粉が含まれ、工業的にアミオカ澱粉として知られる含蝋トウモロコシ澱粉が特に好ましい。アミオカ澱粉は通常のトウモロコシ澱粉と異なり完全にアミロペクチンであるが、一方、通常のトウモロコシ澱粉はアミロペクチンとアミロースの両方を含んでいる。アミオカ澱粉の固有の種々の性状は下記の刊行物にさらに記載されている:「アミオカ−含蝋トウモロコシ由来澱粉(Amioca-The Starch From Waxy Corn)」、H.H.Schopmeyer,Food Industries刊、1945年11月、pp.106-108(Vol.pp.1476-1478)。
澱粉結合剤は顆粒形または分散形であるが、顆粒形が特に好ましい。澱粉結合剤は好ましくは十分に加熱して顆粒の膨潤を誘発する。より好ましくは、澱粉顆粒は例えば加熱によって澱粉顆粒の分散直前点まで膨潤させる。そのように高度に膨潤した澱粉顆粒は“完全加熱”と称される。一般に分散の状態は澱粉顆粒のサイズ、顆粒の結晶度および含有アミロース量によって変動する。完全加熱アミオカ澱粉は、例えば澱粉顆粒濃度が約4%の水性スラリーを約88℃(190°F)で約30から約40分加熱することによって調製できる。他の代表的な使用可能澱粉結合剤の例には、改変陽イオン性澱粉(例えばアミノ基および窒素に結合させたメチロール基を含む窒素含有基をもつように修飾されたもの)が含まれ、ナショナルスターチ・アンド・ケミカル社(ニュージャージ州、ブリッジウォーター)から入手できる。これは以前に湿潤および/または乾燥強度を高めるためのパルプ完成紙料添加剤として用いられた。
B.ローション組成物
本発明のローション組成物は、20℃(すなわち周囲温度)で固体かよりしばしば半固体である。“半固体”とは、当該ローション組成物が偽可塑性または可塑性流動体に典型的な流動性状を有することを意味する。ズレがかからない場合は、組成物は半固体の外観をもつが、ズリ速度が増すにつれ流動させることができる。これは、ローション組成物は主に固体成分を含むが、一方わずかの液体成分をも含むという事実によるものである。
ローションの室温での固体または半固体粘稠度は、高温溶融成分(例えば抗ウイルス有機酸、脂肪アルコール、ワックスおよび非イオン性エトキシル化界面活性剤)の添加のためである。ワセリンの高温溶融および高分子量アルカン部分はまた、これら抗ウイルスローションの融点を高めるために寄与する。有機酸(例えばクエン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸およびそれらの混合物)がこれらのローションに添加されるので、ティシュ上のローションと接触するウイルス(例えばライノウイルスおよびインフルエンザ)は死滅する。これらのローションで用いられる抗ウイルス有機酸のあるものは、アルファヒドロキシ酸類に由来する。したがって、これらのアルファヒドロキシ酸に付随する皮膚に対する利点が消費者に提供される。ローションに含まれる他の抗微生物剤は、また、病原菌を死滅させるローションの能力を補助することができる。これら追加される抗微生物剤には、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、脂肪アルコールおよびいくつかの天然油が含まれる。
周囲温度で固体または半固体であることによって、これらのローション組成物は、それらが用いられているティシュの内部に流入したり移動したりする傾向をもたない。このことは、柔軟さおよびローション様感触の利点を付与するために、より少ないローション組成物が必要とされることを意味する。このことはまた、引張強さの減少を生じる潜在的可能性がある、ティシュ・ペーパーの脱結合の機会の減少を意味する。
ティシュ・ペーパーに用いる場合、本発明のローション組成物は、ペーパー使用者に柔軟で滑らかなローション様感触を付与する。この特有の感触はまた“絹様”“つるつる”“スムース”などの特徴を有する。そのように滑らかなローション様感触は、例えば乾燥皮膚もしくは痔のような慢性疾患、または風邪もしくはアレルギーのようなより一過性の疾患のためにより鋭敏な皮膚を有する人々に特に有益である。皮膚へのローションの移動によって、アルファヒドロキシ酸を含むこれらのローションの皮膚への利点に関する潜在的な能力が提供される。さらに、ローションの皮膚への移動によって、これらの領域はウイルス感染から保護される可能性が生じる。
本発明のローションは実質的に水を含まない。実質的に水を含まないとは、これらの抗ウイルスローションに意図的に水が添加されないことを意味する。典型的には、本発明に用いられる内容物は、約5%以下の水、好ましくは約1.0%以下の水、より好ましくは約0.5%以下の水、最も好ましくは約0.1%以下の水を含む。これらローションの水を含まない性質は、より効率のよい皮膚へのローションの乾燥移動を可能にする。ローションへの水の意図的な添加は、例えば張力およびカリパーのような物理的特性に有害であろう。水は、ティシュ・ウェブ全体へのローションの移動を促進する。これは、繊維の脱結合およびペーパー表面のローション濃度の低下をもたらす。これによって、張力およびカリパーの両方が失われる。したがって、本明細書で述べるようにローションの無水状態を維持することは有益である。また、水が存在しないことによってローション成分のより高い表面濃度が達成されるので、より効果的な乾燥皮膚移動の蓋然性が高まる。さらに、水は微生物の増殖を促進する傾向を有する。したがって、本明細書で述べるようにローションを無水状態で維持することは有益である。
本発明のローション組成物は以下を含む:(1)抗ウイルス有機酸;(2)親水性溶媒;(3)皮膚軟化剤;(4)固定剤;(5)親水性界面活性剤;(6)例えば天然油、ビタミンまたはアロエのような他の任意成分。
1.抗ウイルス有機酸
これらのローション組成物の主要活性成分は1種以上の抗ウイルス有機酸である。本明細書で用いられるように、抗ウイルス有機酸は、例えばライノウイルスおよびインフルエンザのようなウイルスを死滅させることができる物質である。果実酸(例えばクエン酸)は、ウイルスを不活化/死滅させるために特に有用である。抗ウイルス活性を提供することの他に、アルファヒドロキシ類の酸に含まれるこれらの酸は、アルファヒドロキシ酸の使用に伴う皮膚に対する利点を提供する。クエン酸はアルファヒドロキシ酸である。二塩基酸のアジピン酸、グルタル酸およびそれらの混合物もまた、インフルエンザおよびライノウイルスを不活化するために有効であることが分かった。
その抗ウイルス特性の他に、固体の有機酸の使用はローションの硬化に寄与し、したがって繊維性ペーパー基質内へのローションの移動の防止に役立つ。これらの酸の高い融点もまた、ペーパー表面でより迅速にローションを凝固させることを可能にする。これはローションのより効果的な使用を可能にし、表面に留まることによってより効果的なウイルスの死滅とともにローション感触の改善が促進される。クエン酸並びにアジピン酸、グルタル酸、コハク酸およびそれらの混合物のような二塩基酸は、これらのローション組成物で特に有効な殺ウイルス剤である。他の潜在的に有用な酸には、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、サリチル酸およびグリコール酸が含まれる。これらの多くのものの混合物はまた抗ウイルス活性をもたらす可能性が大きいであろう。有機酸がどのようにして例えばライノウイルスおよびインフルエンザのようなウイルスを不活化するかについて多くの理論が存在する。ウイルス不活化についての可能なメカニズムの1つは、当該酸からウイルス構造内の多様な蛋白質の1つまたは全てのアミド窒素への陽子の供与である。この陽子付加は、蛋白質構造内の正味の陽性荷電をもたらす。これによって高分子量蛋白質分子の陽子付加アミド部分間に反発力が生じる。これはウイルス内の蛋白質構造のいくつかまたは全ての変性をもたらす。この蛋白質構造の変性または展開によってウイルスは不活化される。
有機酸によるまた別の可能な不活化メカニズムは、ウイルス構造内の蛋白質および他の分子の加水分解を介するものである。この酸触媒加水分解は、おそらく複雑なウイルス構造を作り上げている蛋白質のアミド官能性の切断を介して生じる。ウイルス構造の蛋白質のこの水解およびその結合破壊はウイルスを不活化し、ウイルスが身体内の健常な細胞に結合することができなくなる。その構造が脂質の殻で取り囲まれているインフルエンザのようなエンベロープを有するウイルスについても、当該酸はまたこの脂質層の加水分解によって不活化を引き起こす。
2.親水性溶媒
これらのローションのまた別の重要な組成物は、抗ウイルス有機酸の溶解を補助する親水性溶媒である。これらの溶媒は、例えばグリセリン、プロピレングリコールおよびヘキシレングリコールのようなグリコール型溶媒であろう。有機酸の溶解を可能にすることの他に、グリコール型溶媒の幾つかは抗菌的性状を有することが知られている。さらにまた、これらのグリコール型溶媒はローションの粘稠度を高め、したがって繊維性ペーパーネットワーク内へのローション成分の望ましくない移動を防止することができる。しかしながら特にこの用途にそれらを用いるのは、第一に抗ウイルス有機酸の溶解を補助するためである。
本発明のローション製剤で使用するために適切な他の溶媒は、分子量が約200から約900、より好ましくは300から約500の範囲のポリエチレングリコール型である。ポリエチレングリコールは既知の湿潤剤で、したがって、また湿潤性付与の利点を皮膚に提供することができる。
3.皮膚軟化剤
これらのローション組成物の他の活性成分は1種以上の皮膚軟化剤である。本明細書で用いられるように皮膚軟化剤は、皮膚を柔らかくし、滑らかにし、柔軟にし、被覆し、平滑にし、湿潤にしまたは清浄にする物質である。皮膚軟化剤は、典型的にはこれらの目的の幾つかを達成する、例えば皮膚を滑らかにし湿潤にしさらに平滑にする。本発明の目的のためには、これらの皮膚軟化剤は、20℃(すなわち周囲温度)で可塑性または流動性粘稠度を有する。この皮膚軟化剤の固有の粘稠度によって、ローション組成物が柔軟で滑らかなローション様感触を付与することを可能にする。
本発明で有用な皮膚軟化剤はまた実質的に水を含まない。“実質的に水を含まない”とは、水が意図的に当該皮膚軟化剤に添加されないことを意味する。皮膚軟化剤またはローションへの水の添加は、本発明のローション組成物の調製または使用に必要ではなく、新たな乾燥工程を必要とするかもしれない。実際、これらの抗ウイルスローションに水を添加することは望ましくなく、かつ不必要である。水の添加はローション中の微生物の増殖の可能性をもたらす。さらに、水はローションの融点を低下させ、ペーパー繊維基質内への他のローション成分の移動を助けるであろう。これはローション添加ペーパーの張力およびカリパーの特性に負の影響を与えるであろう。しかしながら、例えば周囲湿度の結果として取り込まれる皮膚軟化剤中の少量または微量の水は悪影響をもたらすことなく許容できる。典型的には、本発明で用いられる皮膚軟化剤は、約5%以下の水、好ましくは約1.0%以下の水、より好ましくは約0.5%以下の水、さらにもっとも好ましくは約0.1%以下の水を含む。
本発明で有用な皮膚軟化剤は、石油系、脂肪酸エステル型、脂肪アルコール型、ポリエチレングリコール類またはこれら皮膚軟化剤の混合物であろう。適切な石油系皮膚軟化剤には、16から32の炭素原子の鎖の長さを有する炭化水素または炭化水素の混合物が含まれる。このような長さの鎖を有する石油系炭化水素には、鉱物油(また“液体ワセリン”として知られる)およびワセリン(また“鉱物ワックス”、“石油ジェリー”および“鉱物ジェリー”として知られる)が含まれる。鉱物油は通常粘稠性の低い16から20の炭素原子を有する炭化水素の混合物を指す。ワセリンは通常16から32の炭素原子を有するより粘稠度の高い炭化水素の混合物を指す。ワセリンは、その格別な皮膚湿潤化の利点のために本発明のローション組成物に特に好ましい皮膚軟化剤である。
脂肪アルコールもまた、そのより高い融点、より結晶性の構造および格別な皮膚感触のために特に好ましい。脂肪アルコールの高い融点はローションの融点を高め、したがって繊維ネットワーク全体へのローションの移動を防止するのを助ける。脂肪アルコールの直線状構造はローションに結晶性の属性を与え、ペーパー基質表面でのより迅速な結晶化/凝固をもたらすであろう。したがって、ペーパー表面適用中にローションは固まって、より迅速にペーパー基質表面で凝固する。これによって当該表面でローションを濃縮させ、ローション付加ペーパー製品に優れた感触を与え、さらにまた有機酸抗ウイルス剤のより効果的な使用をもたらす。脂肪アルコールのヒドロキシル基もまたローションの抗微生物作用に寄与する。
適切な脂肪酸エステル型皮膚軟化剤には、C12−C28の脂肪酸、好ましくはC16−C22の飽和脂肪酸および短い鎖(C1−C8、好ましくはC1−C3)の一価アルコールに由来するものが含まれる。そのようなエステルの代表的な例には、メチルパルミテート、メチルステアレート、イソプロピルラウレート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、エチルヘキシルパルミテート、およびそれらの混合物が含まれる。適切な脂肪酸エステル皮膚軟化剤はまた、より長い鎖の脂肪アルコール(C12−C28、好ましくはC12−C16)およびより短い鎖の脂肪酸(例えば乳酸)のエステルに由来することができる(例えばラウリルラクテートおよびセチルラクテート)。
石油系皮膚軟化剤、脂肪酸皮膚軟化剤および脂肪アルコール皮膚軟化剤の他に、本発明で有用な皮膚軟化剤は、少量(例えば全皮膚軟化剤の約10%まで)の他の通常の皮膚軟化剤を含むことができる。これらの他の通常の皮膚軟化剤には、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、スパームアセチまたは他のワックス、脂肪酸、およびその脂肪鎖に12から28の炭素原子をもつ脂肪アルコールエーテル(例えばステアリン酸、プロポキシル化脂肪アルコール);グリセリド、アセトグリセリド、およびC12−C28脂肪酸のエトキシル化グリセリド;ポリヒドロキシアルコールの他の脂肪エステル;ラノリンおよびその誘導体;シリコーン・ポリエーテル共重合体、および20℃の粘稠度が約5から約2000センチストークのポリシロキサン(例えば米国特許第5059282号明細書(Ampulskiら、1991年10月22日発行、この文献は参照により本明細書に含まれる)に開示されたようなもの)が含まれる。これら他の皮膚軟化剤は、本ローション組成物の固体または半固体特性が維持される態様で含まれるべきである。
ローション組成物に含むことができる皮膚軟化剤の量は様々な因子(含まれる個々の皮膚軟化剤、所望のローション様利点、ローション組成物中の他の成分などといった因子を含む)によって左右される。ローション組成物は約5から約60%の皮膚軟化剤、より好ましくは約10から約40%の皮膚軟化剤を含むことができる。
4.固定剤
本発明のローション組成物の特に重要な成分は、ローション組成物が用いられるペーパー表面に皮膚軟化剤を固定することができる薬剤である。組成物中の皮膚軟化剤のいくつかは20℃で可塑性または流動性粘稠度を有するので、当該皮膚軟化剤は、穏やかなズレを受けても流動または移動する傾向がある。ティシュ・ペーパー・ウェブに(特に溶融または溶解状態で)適用したとき皮膚軟化剤は本来ペーパー表面に留まらないであろう。むしろ、皮膚軟化剤は移動してペーパー・ウェブの内部に流れ込む傾向を有するであろう。
ウェブ内への皮膚軟化剤の移動は、ペーパー繊維間で生じる通常の水素結合と干渉することによって望ましくないペーパーの脱結合を引き起こすであろう。通常これによってペーパーの引張強さの低下が生じる。これは、また、所望の滑らかなローション様感触という特性を得るために、はるかに大量の皮膚軟化剤が用いられなければならないことを意味する。皮膚軟化剤のレベルを増すことは、コストを増すだけでなく、ペーパーの脱結合問題を悪化させる。固定剤を使用しない場合カリパーもまた負の影響を受けるであろう。固定剤がなければ、ローションはペーパー表面にそれ自体を集結させるかわりに繊維ウェブ全体に移動する。液体皮膚軟化剤が用いられるような過酷な事例では、実際カリパーは減少する。
固定剤は、主としてローション組成物が適用されるティシュ・ペーパー・ウェブの表面に当該皮膚軟化剤を局在させることによって、皮膚軟化剤の移動または流動傾向を妨げる。これは、部分的には固定剤がティシュ・ペーパー・ウェブと水素結合を形成するという事実によると考えられている。この水素結合を介して固定剤はペーパー表面に局在できる。固定剤はまた皮膚軟化剤と混ざり合う(または適切な乳化剤の助けをかりて皮膚軟化剤に溶解する)ことができるので、固定剤は同様に皮膚軟化剤もペーパー表面に捕捉する。固定剤のより結晶性の強い構造によって固定化能は強化される。固定剤が構造的により強い結晶性を有する場合は、固定化分子はローションが凝固する核形成部位のシードを迅速に形成する傾向をもつであろう。より非晶質性の固定剤は、より結晶性の対応物質よりもはるかに緩徐な速度で凝固する傾向がある。
ペーパー表面に固定剤を“ロック”することもまた有益である、これは、ペーパー表面で迅速に結晶化(すなわち凝固)する固定剤を用いることによって達成できる。さらに、送風機またはファンなどによって処理ペーパーの外側を冷却することによって固定剤の結晶化を早めることができる。
皮膚軟化剤と混合する(または皮膚軟化剤に溶解させる)ことの他に、固定剤は少なくとも約35℃の融点をもつ必要がある。これによって固定剤自体が移動または流動傾向をもたないであろう。好ましい固定剤は少なくとも約40℃の融点をもつであろう。典型的には固定剤は約50°から約150℃の範囲の融点をもつであろう。
固定剤の粘度はまた、ローションがペーパーの内部に流入しないように可能なかぎり高くなければならない。残念ながら、高い粘度はまた、加工の問題をもたらすことなく使用することが困難なローション組成物を生じる。したがって、粘度は固定化剤をペーパー表面に局在させるために十分に高く、しかしながら加工問題を生じるほど高くないように釣合いをとることが必要である。固定化剤の適切な粘度は、60℃で測定した場合典型的には約5から約200センチポイズ、好ましくは約15から約100センチポイズの範囲である。
本発明で適切な固定剤は、C14−C22の脂肪アルコール、C12−C22の脂肪酸、ソルビタンステアレート、ワックスおよびその混合物から成る群から選ばれるものを含むことができる。好ましい固定剤にはC16−C18の脂肪アルコールが含まれ、最も好ましくはセチルアルコール、ステアリルアルコールおよびその混合物から成る群から選ばれるものが含まれる。セチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物が特に好ましい。他の好ましい固定剤には、C16−C18脂肪酸が含まれ、最も好ましくはセチル酸、ステアリル酸およびその混合物から選ばれる。セチル酸およびステアリル酸の混合物が特に好ましい。さらに好ましい他の固定剤にはパラフィン型ワックス、ソルビタンステアレートおよびその混合物が含まれる。好ましくは脂肪アルコールおよび脂肪酸は直線状である。
重要なことには、例えばC16−C18脂肪アルコールのようなこれら好ましい固定剤はローションの結晶化速度を高め、ローションを基質表面で迅速に結晶化させる。したがってより低レベルのローションを用いて優れたローション感触を配することができる。これらの液体がペーパー基質に流れるので、柔軟さを得るために伝統的には大量のローションが必要であった。
他の種類の固定剤は、上記の脂肪アルコール、脂肪酸、スルビタンステアレートおよびワックスと組み合わせて、またはそれらの代わりに用いてもよい。典型的には、これら他の種類の固定剤は少量で用いられるであろう(すなわち総固定剤の約10%まで)。しかしながら、これら他の種類の固定剤をより大量で(すなわち100%まで)用いることも本発明の範囲内である。これら他の種類の固定剤の例には、ポリヒドロキシ脂肪酸エステル、ポリヒドロキシ脂肪酸アミドおよびその混合物が含まれる。固定剤として有用であるためには、エステルまたはアミドのポリヒドロキシ部分は少なくとも1つの遊離ヒドロキシ基をもたなければならない。これら遊離ヒドロキシ基は、ローション組成物が適用されるティシュ・ペーパー・ウェブのセルロース繊維と水素結合を介して共働架橋し、さらにアルコール、酸、エステルまたはアミドのヒドロキシ基と同じく水素結合を介してホモ架橋し、したがってローション・マトリックス中の他の成分を捕捉し固定すると考えられる。
さらにまた、例えば長鎖脂肪アルコールのような分子はそれら自身同じ方向を向き、互いに反応して薄膜構造を形成すると考えられる。この薄膜構造では、ヒドロキシル基および近くのアルコール分子のアルキル鎖は同じ方向を向き、互いに反応して系統だった構造を形成する。この“パッキング配列”では、アルコールのヒドロキシル基はセルロースの極性官能性(例えばヒドロキシまたはカルボニル)と水素結合を形成し、ペーパー表面でアルコールを“固定”する。アルコールは好ましい皮膚軟化剤と混ざり合うので、皮膚軟化剤の固着および/または固定が生じる。
好ましいエステルおよびアミドはポリヒドロキシ部分に3つ以上の遊離ヒドロキシ基を有し、典型的にはその特性として非イオン性であろう。ローション組成物が用いられるペーパー製品を使用する人々の皮膚過敏反応の可能性のために、これらエステルおよびアミドはまた、皮膚に対して比較的穏やかで刺激がないものでなければならない。
本発明で使用できる適切なポリヒドロキシ脂肪酸エステルは以下の式を有する:
式中、Rは、C5−C31のヒドロカルビル基、好ましくは直鎖C7−C19のアルキルもしくはアルケニル、より好ましくは直鎖C9−C17のアルキルもしくはアルケニル、最も好ましくは直鎖C11−C17のアルキルもしくはアルケニルまたはそれらの混合物で;Yは、少なくとも2つの遊離ヒドロキシルが直接連結されたヒドロカルビル鎖をもつポリヒドロキシヒドロカルビル部分であり、nは少なくとも1である。適切なY基は、ポリオール(例えばグリセロール、ペンタエリトリトール)、糖(例えばラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、蔗糖、ぶどう糖、キシロース、果糖、麦芽糖、乳糖、マンノースおよびエリスロース)、糖アルコール(例えばエリスリトール、キシリトール、マリトール、マンニトールおよびソルビトール)、および糖アルコールの無水物(例えばソルビタン)から由来することができる。
本発明で使用できる適切なポリヒドロキシ脂肪酸エステルの1部類にはある種のソルビタンエステル、好ましくはC16−C22飽和脂肪酸のエステルが含まれる。それらの典型的な製造態様のために、これらのソルビタンエステルは通常はモノ、ジ、トリなどのエステル混合物を含む。適切なソルビタンエステルの代表的な例には、ソルビタンパルミテート(例えばSPAN40)、ソルビタンステアレート(例えばSPAN60)およびソルビタンベヘネートが含まれる。これらは、これらソルビタンエステルのモノ、ジ、およびトリエステル形の1つ以上(例えばソルビタンモノ、ジおよびトリパルミテート;ソルビタンモノ、ジ、トリステアレート;ソルビタンモノ、ジおよびトリベヘネート)とともに混合牛脂脂肪酸ソルビタンモノ、ジおよびトリエステルを含む。種々のソルビタンエステルの混合物(例えばソルビタンパルミテートとソルビタンステアレート)もまた用いることができる。特に好ましいソルビタンエステルは、ソルビタンステアレート(典型的にはモノ、ジおよびトリエステルの混合物(プラスいくつかのテトラエステル)として)で、例えばSPAN60およびロンザ社(Lonza,Inc.)から商標名GLYCOMUL-Sとして販売されているソルビタンエステルである。これらのソルビタンエステルは典型的にはモノ、ジおよびトリエステルプラスいくつかのテトラエステルの混合物を含むが、これらの混合物中で通常はモノおよびジエステルが主要な種である。
本発明で使用できるまた別の部類の適切なポリヒドロキシ脂肪酸エステルにはある種のグリセリルモノエステル、好ましくはC16−C22飽和脂肪酸のグリセリルモノエステル(例えばグリセリルモノステアレート、グリセリルモノパルミテートおよびグリセリルモノベヘネート)が含まれる。再び繰り返せば、ソルビタンエステルと同様に、グリセリルモノエステル混合物は典型的にはいくつかのジおよびトリエステルを含むであろう。しかしながら、そのような混合物は、本発明で有用なグリセリルモノエステル種を主に含むはずである。
本発明で使用できるまた別の部類の適切なポリヒドロキシ脂肪酸エステルにはある種の蔗糖脂肪酸エステル、好ましくは蔗糖のC12−C22飽和脂肪酸エステルが含まれる。蔗糖のモノクローナルのエステルが特に好ましく、蔗糖モノステアレートおよび蔗糖モノラウレートが含まれる。
本発明で使用できる適切なポリヒドロキシ脂肪酸アミドは以下の式を有する:
式中、R1はH、C1−C4ヒドロカルビル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、メトキシエチル、メトキシプロピルもしくはそれらの混合物で、好ましくはC1−C4アルキル、メトキシエチルもしくはメトキシプロピル、より好ましくはC1もしくはC2アルキルまたはメトキシプロピル、最も好ましくはC1アルキル(すなわちメチル)もしくはメトキシプロピルで;R2はC5−C31ヒドロカルビル基で、好ましくは直鎖C7−C19アルキルもしくはアルケニル、より好ましくは直鎖C9−C17アルキルもしくはアルケニル、最も好ましくは直鎖C11−C17アルキルもしくはアルケニルまたはそれらの混合物で;Zは、直接連結された少なくとも3つのヒドロキシルをもつ直線状ヒドロカルビル鎖を有するポリヒドロキシヒドロカルビル部分である。米国特許第5174927号明細書(Honsa,1992年12月29日発行、この文献は参照により本明細書に含まれる)を参照された。当該明細書はこれらポリヒドロキシ脂肪酸アミドとともにその調製を開示する。
Z部分は、好ましくは還元アミノ化反応の還元糖、最も好ましくはグリセチルに由来するであろう。適切な還元糖にはぶどう糖、果糖、麦芽糖、乳糖、ガラクトース、マンノースおよびキシロースが含まれる。高デキストロースコーンシロップ、高果糖コーンシロップおよび高麦芽糖コーンシロップを、上記に挙げた個々の糖と同様に用いることができる。これらのコーンシロップからZ部分のための糖成分を得ることができる。
Z部分は好ましくは以下から成る群から選ばれる:−CH2−(CHOH)n−CH2OH、−CH(CH2OH)−〔(CHOH)n-1〕−CH2OH、−CH2OH−CH2−(CHOH)2(CHOR3)(CHOH)−CH2OH。式中nは3から5の整数で、R3はHまたは環状もしくは鎖式単糖類である。グリセチルが最も好ましく、この場合nは4で、具体的には−CH2−(CHOH)4−CH2OHである。
上記の式でR1は、例えばN−メチル、N−エチル、N−プロピル、N−イソプロピル、N−ブチル、N−2−ヒドロキシエチル、N−メトキシプロピルまたはN−2−ヒドロキシプロピルであろう。R2は、例えばココアミド、ステアロアミド、オレアミド、ラウロアミド、ミリストアミド、カプリコアミド、パルミトアミド、牛脂アミドなどを提供するように選択できる。Z部分は、1−デオキシグリシチル、2−デオキシフルクチチル、1−デオキシマルチチル、1−デオキシラクチチル、1−デオキシガラクチチル、1−デオキシマンニチル、1−デオキシマルトトリオチチルなどであろう。
最も好ましいポリヒドロキシ脂肪酸アミドは以下の一般式を有する:
式中、R1はメチルまたはメトキシプロピルで;R2はC11−C17の直鎖アルキルまたはアルケニル基である。これらには、N−ラウリル−N−メチルグルコアミド、N−ラウリル−N−メトキシプロピルグルコアミド、N−ココイル−N−メチルグルコアミド、N−ココイル−N−メトキシプロピルグルコアミド、N−パルミチル−N−メトキシプロピルグルコアミド、N−牛脂イル−N−メチルグルコアミドまたはN−牛脂イル−N−メトキシプロピルグルコアミドが含まれる。
先に特記したように、固定剤のあるものは、皮膚軟化剤での可溶化のために乳化剤を必要とする。これは特に、ある種のグルコアミド、例えばHLB値が少なくとも約7のN−アルキル−N−メトキシプロピルグルコアミドの場合である。適切な乳化剤には、典型的には約7より小さいHLB値をもつものが含まれる。これに関しては、先に述べたソルビタンエステル(約4.9以下のHLB値を有する)、例えばソルビタンステアレートが、これらグルコアミド固定剤をワセリンに可溶化させるために有用であることが分かった。他の適切な乳化剤には、ステアレス−2(steareth-2、式CH3(CH2)17(OCH2CH2)nOHに一致するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、式中nは平均の値2を有する)、ソルビタントリステアレート、イソソルビドラウレートおよびグリセリルモノステアレートが含まれる。乳化剤は、実質的に均質な混合物を得ることができるように皮膚軟化剤に固定剤を可溶化させるために十分な量で含まれる。例えば、通常は単一相混合物として溶融しないN−ココイル−N−メチルグルコアミドとワセリンの約1:1の混合物は、ステアレス−2とソルビタントリステアレートの1:1の混合物を乳化剤として20%添加するとき単一相混合物として溶融する。
ローション組成物に含まれるべき固定剤の量は、含まれる個々の皮膚軟化剤、含まれる個々の固定剤、皮膚軟化剤に固定剤を可溶化させるために乳化剤が必要とされるか否か、ローション組成物中の他の成分などといった種々の因子によって左右される。ローション組成物は約5から80%の固定剤を含むことができる。好ましくは、ローション組成物は約5から50%、最も好ましくは約10から約30%の固定剤を含むことができる。
5.親水性界面活性剤
多くの事例で、本発明のローション組成物は、手洗い用ティシュとして用いられるティシュ・ペーパー・ウェブに用いられるであろう。そのような場合、当該ローション組成物で処理されたペーパー・ウェブは十分な水和性を有することが極めて望ましい。本発明のローション組成物で用いられる個々の固定剤によって、親水性界面活性剤(または親水性界面活性剤混合物)の追加が水和性の改善に必要となる場合がある。例えば、ある種の固定剤(例えばN−ココイル−N−メトキシプロピルグルコアミド)は少なくとも約7のHLB値を有し、親水性界面活性剤の添加がなくとも十分な水和性を有する。他の固定剤(例えば約7より小さいHLB値を有するC16−C18脂肪アルコール)は、手洗い用ティシュとして用いられるペーパー・ウェブにローション組成物を用いる場合は、水和性改善のために親水性界面活性剤の添加を必要とするであろう。同様に、疎水性皮膚軟化剤(例えばワセリン)は親水性界面活性剤の添加を必要とするであろう。
適切な親水性界面活性剤は当該皮膚軟化剤および固定剤に混合でき、均質な混合物を形成できる。ローション組成物が用いられるペーパー製品を使用する人々の皮膚過敏反応の可能性のために、これら界面活性剤もまた、皮膚に対して比較的穏やかで刺激のないものでなければならない。典型的には、これら親水性界面活性剤は、皮膚に対して非刺激性であるだけでなく、ティシュ・ペーパーへの他の望ましくない影響(例えば引張強さの低下)を避けるために非イオン性である。
適切な非イオン性界面活性剤は、ティシュ・ペーパー・ウェブにローション組成物を適用した後実質的に非移動性で、さらに典型的には約4から約20、好ましくは約7から約20の範囲のHLB値を有するであろう。非移動性であるためには、これらの非イオン性界面活性剤は典型的には、ティシュ・ペーパー製品の貯蔵、輸送、流通および使用時に通常遭遇する温度よりも高い融点、例えば少なくとも約30℃を有するであろう。これに関しては、好ましくはこれら非イオン性界面活性剤は、先に述べた固定剤の融点と同様な融点を有するであろう。
本発明のローション組成物で使用できる適切な非イオン性界面活性剤には、アルキルグリコシド;米国特許第4011389号明細書(Langdonら、1977年3月8日発行)に記載されたアルキルグリコシドエーテル;アルキルポリエトキシル化エステル(例えばペゴスパース(Pegosperse)1000MS(ロンザ社(Fair Lawn,ニュージャージ州)より入手可能))、C12−C18脂肪酸のエトキシル化ソルビタンモノ、ジ、および/またはトリエステルで平均エトキシル化度が約2から約20、好ましくは約2から約10であるもの、例えばトゥイーン60(平均エトキシル化度が約20のステアリン酸のソルビタンエステル)およびトゥイーン61(平均エトキシル化度が約4のステアリン酸のソルビタンエステル)、および約1から約54モルのエチレンオキシドを含む脂肪族アルコールの縮合生成物が含まれる。脂肪族アルコールのアルキル鎖は典型的には直鎖(直線状)構造で、約8から約22の炭素原子を含む。特に好ましいものは、アルコール1モルにつき約2から約30モルのエチレンオキシドをもつ約11から約22の炭素原子を含むアルキル基を有するアルコールの縮合生成物である。そのようなエトキシル化アルコールの例には、アルコール1モルにつき7モルのエチレンオキシドを含むミリスチルアルコールの縮合生成物、約6モルのエチレンオキシドを含むココナッツアルコール(炭素原子の長さが10から14のアルキル鎖を有する脂肪アルコールの混合物)の縮合生成物が含まれる。以下を含む多数の適切なエトキシル化アルコールが市販ルートで入手できる:TERGITOL15-S-9(9モルのエチレンオキシドを含むC11−C15直線状アルコールの縮合生成物、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)より市販);KYROROB(9モルのエチレンオキシドを含むC13−C15直線状アルコールの縮合生成物、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Co.,)より市販);シェル・ケミカル社(Shell Chemical Co.,)から商標名NEODOLとして市販の界面活性剤、特にNEODOL25-12(12モルのエチレンオキシドを含むC12−C15直線状アルコールの縮合生成物)およびNEODOL23-6.5T(6.5モルのエチレンオキシドを含むC12−C13直線状アルコールの縮合生成物で、ある種の不純物を除去するために蒸留(抜頭)されたもの);およびバズフ社(BASF Corp.,)から市販されている商標名PLURAFACの界面活性剤、特にPLURAFACA-38(27モルのエチレンオキシドを含むC18直鎖アルコールの縮合生成物)。(ある種の親水性界面活性剤、特にエトキシル化アルコール(例えばNEODOL25-12)もまたアルキルエトキシレート皮膚軟化剤として機能することができる。)他の好ましいエトキシル化アルコール界面活性剤の例には、ICIのBrijクラスの界面活性剤およびその混合物が含まれ、Brij76(すなわちステアレス-10)およびBrij56(すなわちセチル(Cetyl)-10)が特に好ましい。また、セチルアルコールと、平均エトキシル化度が約10から約20のエトキシル化されたステアリルアルコールとの混合物もまた親水性界面活性剤として用いることができる。
本発明で使用できる別の種類の適切な界面活性剤には、エアゾール(Aerosol)OT(アメリカン・サイアナミド社(American Cyanamid Co.)から市販されているナトリウムスルホコハク酸のジオクチルエステル)が含まれる。
本発明で使用できるまた別の種類の適切な界面活性剤には、シリコーン共重合体、例えばジェネラル・エレクトリック社(General Electric)SF1188(ポリジメチルシロキサンおよびポリオキシアルキレンエーテルの共重合体)およびGeneral Electric SF1228(シリコーンポリエーテル共重合体)が含まれる。これらのシリコーン界面活性剤は、上記で考察した他の種類の親水性界面活性剤と組み合わせて用いることができる。これらのシリコーン界面活性剤は、ローション組成物の重量の0.1%、より好ましくは約0.25から約1.0%の濃度で有効であることが分かった。
所望レベルまでローション組成物の水和性を高めるために必要とされる親水性界面活性剤の量は、用いられる固定剤のHLB値およびレベル、用いられる界面活性剤のHLB値などといった因子によって左右される。ローション組成物は、その水和性特性を高める必要がある場合は、約1から約50%の親水性界面活性剤を含むことができる。好ましくは、ローション組成物は約5から約25%の非イオン性界面活性剤を含むことができる。
皮膚への低刺激性を維持することはローション付加ティシュ製品の製造において重要な要素であるので、非イオン性界面活性剤の使用が好ましい。非イオン性界面活性剤は、荷電された界面活性剤よりも皮膚に対して刺激が少ないからである。これは、全ての荷電された界面活性剤は皮膚に刺激性であるということではない。しかしながら、一般的ルールとして、殆んどの荷電界面活性剤は皮膚に刺激性を有する。これらの抗ウイルスローションで用いられる非イオン性界面活性剤はいくつかの重要な機能を果たす。重要な機能の1つは、親水性酸/溶媒混合物が疎水性皮膚軟化剤と混合することを可能にすることである。これによって、親水性成分を含む疎水性成分の安定な混合物が許容される。
ローションの安定性の提供の他に、当該界面活性剤はまた、ローション付加ペーパーが水および鼻汁を相応な速度で吸収することを可能にする。界面活性剤がローションに加えられていなければ、ローション付加ペーパー製品はいくつかの事例では水および鼻汁をはじき、消費者にマイナスの反応を引き起こすであろう。
本発明のローション付加ティシュ・ペーパーにとって、その親水性によって反映される吸収性および/または水和性を有することは重要である。ティシュ・ペーパーの親水性は、一般に水に濡れることができるティシュ・ペーパーの性質と称される。ティシュ・ペーパーの親水性は、乾燥ティシュ・ペーパーが完全に水に濡れるために必要な時間を決定することによってある程度定量することができる。この時間は“水和”(または“沈降”)時間と称される。水和時間のための定常的で反復可能な検査を提供するために、以下の工程を水和時間決定のために用いることができる:最初に、ペーパー・サンプル(TAPPI方法T402で指定されたようにペーパー・サンプルの検査のための周囲の条件は23±1℃および50±2%RHである)、(約6.4cm×7.6cm(2.5インチ×3.0インチ))を8シートの厚さの束の条件づけしたペーパー・シートから切り出す;第二に、この切り出した8シートの厚さのペーパー・サンプルを23+1℃の蒸留水2500mlの表面に置き、サンプルの一番下のシートが水に触れたとき同時にタイマーをスタートさせる;第三に、ペーパー・サンプルの水和が完了したとき(すなわちサンプルの一番上のシートが完全に水和したとき)にタイマーを停止させ読み取る。完全な水和は目で観察する。
ティシュ・ペーパーの好ましい親水性はその最終用途によって左右される。種々の用途に用いられるティシュ・ペーパー(例えば手洗い用ペーパー)にとって、便器の水洗時の詰まりを防止するために比較的短時間で完全に水和することが望ましい。典型的には、水和時間は4分以下、好ましくは90秒以下、より好ましくは30秒以下、最も好ましくは水和時間は10秒以下である。
勿論ティシュ・ペーパーの親水性は製造後直ちに決定できる。しかしながら、疎水性の実質的増加がティシュ・ペーパー製造後最初の2週間の間に(すなわちペーパーが製造されてから2週間熟成された後)発生することがある。したがって、上記の水和時間は好ましくは当該2週間の終了時に測定される。したがって、室温で2週間の熟成期間の終了時に測定された水和時間を“2週時水和時間”と称する。
高温溶融非イオン性界面活性剤は、また、ローションの硬化に寄与し、したがってローションをペーパー表面に閉じ込めるために役立つ。抗ウイルス活性に関して重要なことには、界面活性剤は、エンベロープを有する種類のウイルスの脂質外殻層の可溶化を促進する作用を有する。この脂質外殻層の可溶化は、抗ウイルス酸がウイルス構造内に浸透しこれを不活化する能力を強化する。
6.他の任意の成分
ローション組成物は、この種類の皮膚軟化剤、クリームおよびローションに典型的に存在する他の任意の成分を含むことができる。これら任意の成分には、水、粘稠性改変剤、香料、殺菌剤および他の抗菌剤、医薬活性物質、薄膜形成剤、ビタミン(例えばビタミンE)、防臭剤、不透明化剤、収斂剤、溶媒などが含まれる。さらに、例えばセルロース誘導体、蛋白質およびレシチンのような安定剤を添加して、ローション組成物の保存期間を延長させることができる。これらの物質の全てはそのような製剤の添加物として当該技術分野で周知で、本発明のローション組成物に適切な量で用いることができる。さらに、天然油(例えば樟脳、チモール、メントール、ユーカリプトール(シネオール)、ゲラニオール、レモン油、サリチル酸メチル、丁子および他の同様な物質を用いて医薬効果をもつ香りを付与してもよい。さらに、これら天然油の多くはまた抗ウイルス特性を有する。
C.ローション組成物によるティシュ・ペーパーの処理
本発明のローション付加ペーパー製品の調製では、ローション組成物はティシュ・ペーパー・ウェブの少なくとも1つの面に適用される。溶融または液状粘稠度をもつ潤滑物質を均等に分布させる多様な適用方法のいずれも用いることができる。適切な方法には、噴霧、印刷(例えばフレキソグラフ印刷法)、被覆(例えばグラビアコーティング)、押出し、またはこれらの適用技術の組み合わせが含まれる。後者では、例えばローション組成物は回転表面(例えばカレンダーロール)に噴霧され、当該回転表面は続いて組成物をペーパー・ウェブの表面に移す。ローション組成物はティシュ・ペーパー・ウェブの片面または両面に用いることができる。好ましくはローション組成物はペーパー・ウェブの両面に用いられる。
ティシュ・ペーパー・ウェブにローション組成物を適用する態様は、当該ウェブがローション組成物で飽和されないようなものでなければならない。ウェブがローション組成物で飽和される場合、ペーパーの脱結合が発生し、したがってペーパーの引張強さの低下をもたらす大きな可能性がある。さらにまた、ペーパー・ウェブの飽和は、本発明のローション組成物によって得られる柔軟さおよびローション様感触のためには必要ではない。特に適切な適用方法では、ローション組成物は主にペーパー・ウェブの片面または両面に適用されるであろう。
ローション組成物は、ウェブが乾燥した後でティシュ・ペーパー・ウェブに適用できる(すなわち“乾燥ウェブ”添加法)。ローション組成物は、ティシュ・ペーパー・ウェブの重量に対して約2から約30%の量で適用される。好ましくはローション組成物は、ティシュ・ペーパー・ウェブの重量で約5から約20%の量で、最も好ましくはウェブの重量で約10から約16%で適用される。そのような比較的低レベルのローション組成物は、ティシュ・ペーパーに所望の柔軟さおよびローション様感触を付与し、しかも吸収性、水和性および特に強度が実質的に影響を受けるほどティシュ・ペーパーを飽和させないためにも適切である。
ローション組成物はまた、ティシュ・ペーパー・ウェブの表面に不均一に適用してもよい。“不均一”とは、ローション組成物の量、分布パターンなどがペーパー表面全体で変動することを意味する。例えば、ティシュ・ペーパー・ウェブのある部分はより多量のまたはより少量(ローション組成物を一切含まない表面を含む)のローション組成物を有することができる。
ローション組成物は、ティシュ・ペーパーを乾燥させた後いつでもティシュ・ペーパーに適用することができる。例えば、ローション組成物は、ヤンキー・ドライヤからティシュ・ペーパーを剥がし取った後(しかしカレンダー処理の前、すなわちカレンダーロールを通す前)にティシュ・ペーパー・ウェブに適用できる。ローション組成物はまた、そのようなカレンダーロールを通した後、親ロールに巻き上げる前にペーパー・ウェブに適用できる。通常は、親ロールから巻き戻してさらにより小さな仕上がりペーパー製品ロールに巻き上げる前にローション組成物をティシュ・ペーパーに適用するのが好ましい。
ローション組成物は、典型的にはその溶融物からティシュ・ペーパー・ウェブに適用される。ローション組成物は周囲温度より極めて高い温度で溶融するので、通常は加熱コーティングとしてティシュ・ペーパー・ウェブに適用される。典型的には、ローション組成物は、ティシュ・ペーパー・ウェブに適用する前に約35°から約100℃、好ましくは40°から約90℃の範囲の温度に加熱される。溶融ローション組成物がいったんティシュ・ペーパー・ウェブに適用されると、ローション組成物を冷却し、凝固させて凝固コーティングまたは凝固フィルムをペーパー表面に形成する。
本発明のローション組成物をティシュ・ペーパー・ウェブに適用する場合、グラビアコーティングおよび押出しコーティング法が好ましい。図1は、グラビアコーティングを含むそのような好ましい方法の1つを示す。図1を参照すれば、乾燥ティシュ・ウェブ1は親ティシュ・ロール2から巻き戻され(矢印2aによって示した方向で回転)、回転ロール4の周りを進む。回転ロール4から、ウェブ1はオフセット−グラビアコーティング・ステーション6に進み、続いてここでローション組成物はウェブの両面に適用される。ステーション6を出た後、ウェブ1は3で示されるようにローション付加ウェブとなる。続いてローション付加ウェブ3は回転ロール8の周りを進み、さらにローション付加親ロール10(矢印10aで示した方向で回転)に巻き上げられる。
ステーション6は、1対の連結オフセット−グラビア・プレス12および14を含む。プレス12は下部グラビア・シリンダ16および上部オフセット・シリンダ18から成り、同様にプレス14は下部グラビア・シリンダ20および上部オフセット・シリンダ22から成る。グラビア・シリンダ16および20は各々固有の食刻セルパターンおよびサイズをもち、さらに各々はクロム染料配置表面を有し、一方、オフセット・シリンダ18および22は各々平滑なポリウレタンゴム面を有する。グラビア・ロールのセル容積のサイズは、所望の被覆重量、ラインの速度、およびローションの粘度によって変わる。グラビアおよびオフセット・シリンダは両方ともローションを溶融したまま保持するために加熱される。これらのグラビアおよびオフセット・シリンダは、それぞれ矢印16a、18a、20aおよび22aで示した方向で回転する。図1に示すように、オフセット・シリンダ18および22は真っ直ぐに向き合い互いに平行で、ウェブ1が通過する挟まれた領域(23)を提供する。
ファウンテン・トレー24および26はそれぞれグラビア・シリンダ16および20の下に配置される。熱い溶融(例えば65℃)ローション組成物は、これら加熱トレー24および26の各々にポンプで送られ、それぞれ30および32の矢印で示すように溶融ローション組成物の貯蔵容器を提供する。グラビア・シリンダ16および20が矢印16aおよび20aで示す方向で貯蔵容器30および32の中を回転するとき、それらは一定量の溶融ローション組成物を取り出す。グラビア・シリンダ16および20の各々の過剰なローションは、続いてドクターブレード34および36によってそれぞれ除去される。
加熱グラビア・シリンダ・セル16および20に残存するローション組成物は、続いて加熱オフセット・シリンダ18および22(矢印18aおよび22bで示すように反対方向に回転)へ、それぞれの対応するシリンダ対の間の挟まれた領域38および40を通って移される。続いてオフセット・シリンダ18および22に移されたローション組成物は、ウェブ1の両面に同時に移される。ウェブ1に移されるローション組成物の量は以下によって制御できる:(1)オフセット・シリンダ18および22の間の挟まれた領域23の幅を調整する;および/または(2)グラビア/オフセット・シリンダ対16/18および20/22の間の挟まれた領域38および40の幅を調整する。
図2は、スロット押出しコーティングを含むまた別の好ましい方法を示す。図2を参照すれば、乾燥ティシュ・ウェブ101は親ティシュ・ロール102(矢印102aで示す方向で回転)から巻き戻され、続いて回転ロール104の周りを進む。回転ロール104からウェブ101はスロット押出しコーティング・ステーション106へ進む。ステーション106でローション組成物は続いてウェブの両面に適用される。ステーション106を出た後、ウェブ101は103で示すローション付加ウェブになる。ローション付加ウェブ103は、続いてローション付加ティシュ親ロール110(矢印110aで示す方向で回転)に巻き上げられる。
ステーション106は、間隔をあけて配置された1対のスロット押出し機112および114を含む。押出し機112は細長いスロット116およびウェブ接触面118を有し、押出し機114も同様に細長いスロット120およびウェブ接触面122を有する。図2に示すように、押出し機112および114は、面118がウェブ101の一方の面と接触し、面122がウェブ101のもう一方の側と接触するような方向で配置される。熱い溶融(例えば65℃)ローション組成物は押出し機112および114の各々にポンプで送られ、続いてそれぞれスロット116および120を通って押し出される。
ウェブ101が押出し機112の加熱面118の上を通過しスロット116に達するとき、スロット116から押し出された溶融ローション組成物は、面118と接触するウェブ101の側面に塗布される。同様に、ウェブ101が押出し機114の加熱面122の上を通過しスロット120に達するとき、スロット120から押し出された溶融ローション組成物は、面122と接触するウェブ101の側面に塗布される。ウェブ101に移されるローション組成物の量は以下によって制御される:(1)溶融ローション組成物がスロット116および122から押し出される速度;および/または(2)面118および122と接触中にウェブ101が移動する速度。
本発明のローション付加ティシュ・ペーパーの調製の具体的な説明
以下は、本発明のローション組成物によるティシュ・ペーパーの処理の具体的な説明である。
実施例1
A.ローション組成物Aの調製
水を含まないローション組成物Aは、まず以下の成分を共に混合することによって製造される:プロピレングリコール、セテアレス10およびクエン酸。クエン酸が溶解するまでこの混合物を60から90℃に加熱し混合する。クエン酸が溶解した後、主にセチルアルコールとステアリルアルコールの混合物から成る脂肪アルコールを添加し、60から90℃の温度で混合する。これらの脂肪アルコールが溶解した後、ワセリンを添加して60から90℃の温度で混合する。ワセリンは、組成物全体が相として安定し透明になるまで混合する。これら成分の重量%は下記の表Iに示す。
B.高温溶融噴霧によるローション付加ティシュの調製
ローションAを高温溶融噴霧ガンPAM600Sスプレーマチック(パム・ファースニング・テクノロジー社(PAM Fastening Technology,Inc.)製)に入れ、〜90℃の温度で操作する。30.5cm×30.5cm(12インチ×12インチ)のティシュ・ペーパー基質シートの各面に所望のローションレベルで噴霧被覆する。各面に噴霧した後、続いて70℃の対流オーブンに30秒ローション付加ティシュ・ペーパーを入れて揮発性成分を除去し、ペーパー繊維上へのより均等なコーティングを担保する。
実施例2
A.ローション組成物Bの調製
水を含まないローション組成物Bは、まず以下の成分を共に混合することによって製造される:プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300(PEG-300)、セテアレス10並びにアジピン酸、グルタル酸およびコハク酸の混合物(AGS酸)。アジピン酸、グルタル酸およびコハク酸が全て溶解するまで、この混合物を60から90℃に加熱し混合する。酸が溶解した後、主にセチルアルコールとステアリルアルコールの混合物から成る脂肪アルコールを添加し、60から90℃の温度で混合する。これらの脂肪アルコールが溶解した後、ワセリンを添加して60から90℃の温度で混合する。ワセリンは、組成物全体が相として安定し透明になるまで混合する。これら成分の重量%は下記の表IIに示す。
B.高温溶融噴霧によるローション付加ティシュの調製
溶融ローションBを高温溶融噴霧ガンPAM600Sスプレーマチックに入れ、90℃の温度で操作する。30.5cm×30.5cm(12インチ×12インチ)のティシュ・ペーパー基質シートの各面に所望のローションレベルで噴霧被覆する。各面に噴霧した後、ローション付加ティシュ・ペーパーを70℃の対流オーブンに30秒入れて揮発性成分を除去し、ペーパー繊維上へのより均等なコーティングを担保する。
Claims (20)
- 下記(A)−(F)を含む20℃で半固体または固体の抗ウイルスローション組成物を、乾燥ティシュ・ペーパーの2から30重量%の量で少なくともその一方の面に適用したローション付加ティシュ・ペーパー:
(A)クエン酸、アジピン酸、グルタル酸、コハク酸およびその混合物から成る群から選ばれるものを含む、室温で固体である、該抗ウイルスローションと接触するライノウイルスおよびインフルエンザウイルスのようなウイルスを死滅させることができる1から25%の有機酸;
(B)グリセリン、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、および分子量が200から900の範囲のポリエチレングリコール、並びにそれらの混合物から成る群から選ばれるものを含む、室温で液体または固体のいずれかである、有機酸の溶解を補助することができる5から25%の親水性溶媒;
(C)石油系皮膚軟化剤、脂肪酸エステル皮膚軟化剤、脂肪アルコール皮膚軟化剤、およびそれらの混合物から成る群から選ばれるものを含む、20℃で可塑性または流動性粘稠度を有する、5から60%の実質的に水を含まない皮膚軟化剤;
(D)C12−C22の脂肪アルコール、C12−C22の脂肪酸、ソルビタンステアレート、ワックスおよびそれらの混合物から成る群から選ばれるものを含む、少なくとも35℃の融点をもつ、ティシュ・ペーパーの表面に該皮膚軟化剤を固定することができる5から50%の薬剤;
(E)HLB値が少なくとも4である、1から50%の非イオン性界面活性剤;および
(F)必要により、アロエ、ビタミンE、パンテノール、樟脳、チモール、ユーカリプトール、ゲラニオール、レモン油、サリチル酸メチル、丁子およびそれらの混合物から成る群から選ばれるものを含む、0.1%から20%の天然油、ビタミン、または他の添加物。 - 前記ティシュ・ペーパーの少なくとも1方の面に前記ローション組成物が5から25重量%適用された請求項1のローション付加ペーパー。
- 前記ローション組成物が抗ウイルス有機酸を5から25%含む請求項1のローション付加ペーパー。
- 前記抗ウイルス有機酸がクエン酸である請求項3のローション付加ペーパー。
- 前記抗ウイルス有機酸がアジピン酸、グルタル酸およびコハク酸の混合物である請求項3のローション付加ペーパー。
- 前記ローション組成物がプロピレングリコールおよび300から500の分子量を有するポリエチレングリコール並びにその混合物から成る群から選ばれる親水性溶媒を5から20%含む請求項1のローション付加ペーパー。
- 前記親水性溶媒がプロピレングリコールである請求項6のローション付加ペーパー。
- 前記皮膚軟化剤が5%以下の水を含有し、さらに鉱物油、ワセリンおよびそれらの混合物から成る群から選ばれる石油系皮膚軟化剤を含む請求項1のローション付加ペーパー。
- 前記ローション組成物がワセリンから成る皮膚軟化剤を10から40%含む請求項8のローション付加ペーパー。
- 前記固定剤が少なくとも40℃の融点をもつ請求項1のローション付加ペーパー。
- 前記固定剤がC14−C22の脂肪アルコールを含む請求項10のローシ
ョン付加ペーパー。 - 前記固定剤がC16−C18の脂肪アルコールを含む請求項11のローション付加ペーパー。
- 前記ローション組成物がセチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物を含む固定剤を10から30%含む請求項12のローション付加ペーパー。
- 前記非イオン性界面活性剤が10から22の炭素原子のアルキル鎖を有し、さらに1から30の範囲の平均エトキシル化度を有するエトキシル化アルコールを含む請求項1のローション付加ペーパー。
- 前記エトキシル化アルコールがアルキル鎖の長さが12から22炭素原子であり、さらに7から13の範囲の平均エトキシル化度を有する請求項14のローション付加ペーパー。
- 前記非イオン性界面活性剤がアルキル鎖の長さが16から18炭素原子であり、さらに7から13の範囲の平均エトキシル化度を有するエトキシル化アルコールを5から25%含む請求項15のローション付加ペーパー。
- 前記非イオン性界面活性剤が平均エトキシル化度10にエトキシル化されたセチルアルコールおよびステアリルアルコールの混合物から成るエトキシル化アルコールを5から25%含む請求項16のローション付加ペーパー。
- 前記親水性溶媒がプロピレングリコールおよび分子量が300から500のポリエチレングリコール並びにそれらの混合物から成る群から選ばれる請求項8のローション付加ペーパー。
- 前記固定剤がC16−C18の脂肪アルコールを含む請求項18のローション付加ペーパー。
- 前記ローション組成物がアロエおよびビタミンEを含有する請求項1のローション付加ペーパー。
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