JP3824389B2 - 自動車用空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和装置に係り、特に車室内の窓ガラスが曇ることを防止する機能を有する自動車用空気調和装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、自動車用空気調和装置(以降カーエアコンと記す)では、冷媒を、蒸発、圧縮、凝縮、膨脹と状態変化させながら空気を冷却する冷凍サイクルを有するものが一般的である。冷凍サイクルにおいて、冷媒の圧縮はコンプレッサによって行なわれる。コンプレッサが冷媒を吸入圧縮すると、吸入側にあるエバポレータ内の圧力が低下してエバポレータ内にある冷媒は、いっそう蒸発しやすい状態になる。
【0003】
エバポレータは、通過する空気の熱量をなるべく多く吸収するために低温となることが望ましいが、エバポレータの温度が0℃以下になると、放熱フィンの周りを通過する空気中の水分が氷結する。氷結した氷はフィンの周りに付着し、エバポレータを通過する空気の流れを妨げて、エバポレータにおける熱交換効率を低下させることにもなる。エバポレータでの熱交換の効率が低下すると、最悪の場合冷媒がエバポレータを液体の状態で通過してコンプレッサに吸入され、コンプレッサが破損する可能性もある。
【0004】
このようなことを防ぐために、カーエアコンには外気または吹出口での空気の温度を検出し、検出されたエバポレータの温度が所定の値以下になるとコンプレッサをオフして冷媒の圧縮を停止するよう構成されているものも多い。
【0005】
エバポレータ凍結防止のためのコンプレッサの停止は、エバポレータでの熱交換効率低下を防ぐ一方で、窓ガラスに曇りを発生させる原因ともなり得る。すなわち、カーエアコンが内気循環モード(RECモード)で運転されているときに、エバポレータでの熱交換が停止するとエバポレータ表面の温度が上昇し、エバポレータ表面に付着していた霜が溶けて水となり、空気と共に車室内に吹き出して車室内の湿度を上昇させる。車室内の湿度が高まると、外気温度と内気温度との差によっては窓ガラスに曇りが発生する可能性を生じる。
【0006】
ところで、カーエアコンには内気温度や外気温度、日射量等を検出し、検出した情報に基づいてユーザーの希望する温度を自動的に実現する、いわゆるオートエアコンと呼ばれるものがある。このようなオートエアコンでは、カーエアコンが、RECモードであってエバポレータ凍結防止のためにコンプレッサを停止したことを検出すると、自動的にカーエアコンを外気導入モード(FREモード)に切替えて室内に外気を導入し、窓ガラスが曇ることを防ぐよう構成されているものもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
窓ガラスの曇りを防止する構成を有するオートエアコンであっても、ユーザーが、RECモードをマニュアルによって設定(マニュアルRECモード)していた場合には、コンプレッサオフの検出によってマニュアルRECモードをキャンセルし、オートモードにすることが必要となる。このときカーエアコンの空気取入口は、FREモードに切り替えられて内気取入口、外気取入口を切替えるインテークドアのアクチュエータが駆動される。
【0008】
しかし、マニュアルRECモードの設定がなされているときにこれをキャンセルし、オートモードに切り替えてFREモードにするためにアクチュエータを駆動する処理は、オートモードから直接FREモードに切り替える処理に比べて時間がかかる。このため、マニュアルRECモード設定時にコンプレッサがオフすると数秒間カーエアコンは、コンプレッサがオフしてかつRECモードという状態になり、ごく短時間ではあっても車室内の窓ガラスに曇りが発生する虞がある。このような窓ガラスに発生する曇りの発生は、短時間とはいえ運転の視界を確保する観点から好ましいものではない。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて行なわれたものであって、エバポレータ凍結防止のためになされるコンプレッサの停止による窓ガラスの曇りをより完全に抑える自動車用空気調和装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動車用空気調和装置は、冷凍サイクルを有する自動車用空気調和装置であって、前記冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するコンプレッサの停止を指示するコンプレッサ停止指示手段と、コンプレッサ停止指示手段によってコンプレッサ停止が指示された場合に自動車の窓ガラスに窓曇りが発生するか否かを判定する窓曇判定手段と、窓曇判定手段によって窓曇りが発生すると判定されたとき、車室内に外気の導入を開始する外気導入手段および所定の時間を計時する外気導入計時手段と、前記冷凍サイクルにおいて冷媒を蒸発させるエバポレータの温度を検出するエバポレータ温度センサと、前記外気導入計時手段の計時終了後に前記コンプレッサを停止するとともに、エバポレータ温度センサが検出した前記エバポレータの温度が所定値未満の場合には、前記外気導入計時手段の計時を待たずにただちに前記コンプレッサを停止するコンプレッサ停止制御手段と、を有することを特徴とするものである。
【0011】
以上のように構成することにより、コンプレッサの停止が指示されて、かつ自動車に窓曇りが発生すると判定された場合には外気を導入し、所定の時間が経過してからコンプレッサを停止するよう制御することができる。よってコンプレッサ停止がなされるまでに外気導入のためのアクチュエータを駆動する充分な時間を確保することができて、完全に外気が導入できる状態になってからコンプレッサがオフされるので、一瞬でも自動車の窓ガラスに曇りが発生することを防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施の形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明のカーエアコン1の全体構成を説明する図である。図示したカーエアコン1は、機械的構成である空気調和実行部100と、空気調和実行部を制御する制御部200とに大別される。
【0014】
空気調和実行部100は、カーエアコン1に空気を取り入れるインテークユニット2、取り入れられた空気を冷却するクーラユニット4、クーラユニット4から流れてきた空気を加熱するヒータユニット6とよりなる。インテークユニット2には、外気を取り入れる外気取入口3、内気を取り入れる内気取入口8が開口されており、外気取入口3、内気取入口8はインテークドア5によって選択的に切り替えられている。またインテークユニット2にはモータMによって回転するファンFが備えられていて、ファンFが回転すると外気取入口3または内気取入口8から空気がインテークユニット2に取り込まれる。
【0015】
インテークユニット2で取り込まれた空気は、クーラユニット4に流れ込む。クーラユニット4にはエバポレータ7が設けられている。エバポレータ7はカーエアコン1の冷凍サイクル(一部のみ図示)における蒸発器で、図示しない膨脹弁によって減圧された気液混合の冷媒を導き入れて、空気と熱交換させることにより冷媒を蒸発させている。蒸発、気化した冷媒は、エバポレータ7から出てコンプレッサ10に吸入され、コンプレッサで圧縮されて再び液体となり、冷凍サイクルを循環する。
【0016】
なお本実施の形態のエバポレータ7には、エバポレータ7を通過した直後の空気の温度を検出するエバポレータ温度センサ9が設けられている。
【0017】
クーラユニット4で冷却された空気はヒータユニット6に流れ込み、ベント吹出口17、デフ吹出口19、フット吹出口15のいずれかから車室内に吹き出される。
【0018】
以上説明した空気調和実行部100を制御する制御部200は、外気の温度を検出する外気温度センサ21、内気の温度を検出する内気温度センサ22、日射量を検出する日射量センサ23、エバポレータ温度センサ9と接続するマイコン20と、マイコン20に所望の空気調和条件を設定すると共に空気調和の状態をユーザーに表示する操作パネル30とを有している。
【0019】
本実施の形態のカーエアコン1は、外気温度センサ21、内気温度センサ22、日射量センサ23などの検出値に基づいてユーザーが希望する空気調和の条件を自動的に実現するオートエアコンであって、マイコン20は、このための処理の制御と共用される構成である。マイコン20は、操作パネル30から入力された空気調和の条件にしたがって、インテークドア5を駆動するインテークドアアクチュエータ5aをはじめミックスドアアクチュエータ11a、ベントドア18、デフドア12、フットドア13をそれぞれ駆動するアクチュエータ18a、12a、13aを制御している。またコンプレッサ10にオン、オフの指示を入力し、コンプレッサ10からもオン、オフの信号が入力されるようコンプレッサ10とも接続されている。
【0020】
図2は、図1で説明した制御部200で行なわれる本実施の形態の信号の授受を説明する図である。
【0021】
本実施の形態のカーエアコン1は、冷凍サイクルを有する自動車用空気調和装置であって、これを制御する制御部200は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するコンプレッサ10の停止を指示するコンプレッサ停止指示手段であり、コンプレッサ10の停止が指示された場合に自動車の窓ガラスに窓曇りが発生するか否かを判定する窓曇判定手段であり、窓曇りが発生すると判定された場合、車室内に外気の導入を開始する外気導入手段および所定の時間を計時する外気導入計時手段であり、また計時終了後にコンプレッサを停止するコンプレッサ停止制御手段であるマイコン20を有するものである。
【0022】
すなわちマイコン20は、外気温度センサ21、内気温度センサ22、エバポレータ温度センサ7からそれぞれ検出された情報を伝える信号を入力し、コンプレッサ10、操作パネル30からは動作状態を伝える信号を入力すると共にコンプレッサ10、インテークドアアクチュエータ5aには動作を指示する信号を出力している。マイコン20には外気温度センサ21、内気温度センサ22、エバポレータ温度センサ9が検出した温度を演算処理するCPU27と、CPU27で行う演算処理に用いるコンプレッサ停止データ25a、エバポレータ温度凍結データ25b、窓ガラス曇り発生データ25cを記憶するメモリ25、所定の時間を計時するをタイマ29を有している。
【0023】
コンプレッサ停止データ25aには、エバポレータ7が凍結する虞があるとしてコンプレッサ10を停止する判定の基準となる外気の温度データ、エバポレータ温度凍結データ25bは窓ガラスの曇りに優先してコンプレッサ10を停止させる必要があると判定するエバポレータ7の温度データ、また窓ガラス曇り発生データ25cは、外気温度センサ21、内気温度センサ22によってそれぞれ検出された外気温度と内気温度との差分から、コンプレッサ10を停止した場合に自動車の窓ガラスが曇るか否かを判定する基準の差分温度データである。
【0024】
マイコン20では、先ず外気温度センサ21が検出した外気の温度をコンプレッサ停止データと照合し、この値がコンプレッサ停止データ25aの外気温度データ以下であればコンプレッサを停止するよう判定する。本実施の形態では、この外気温データの値を、−2℃程度とした。
【0025】
また外気温度センサ21と内気温度センサ22との温度の差分を算出し、この値を窓ガラス曇り発生データに照合する。外気温度センサ21と内気温度センサ22との温度の差分が、窓ガラス曇り発生データの差分温度データ以上であれば、コンプレッサ10を停止することによって窓ガラスに曇りが発生すると判定し、操作パネル30にマニュアルRECモードが設定されているか否かを調べ、設定されていた場合には、マニュアルRECモードをキャンセルし、インテークドアアクチュエータ5aに指示して空気の取入口を外気取入口するよう駆動させる。
【0026】
また本実施の形態では、このときマニュアルRECモードのキャンセル、外気取入口への切替えと共にタイマ29で所定の時間の計時を開始し、この計時が終了した後にコンプレッサ10をオフするよう制御している。タイマ29によって計時される所定の時間には、マニュアルRECモードをキャンセルした後にインテークドアアクチュエータ5aが、インテークドア5を駆動してFREモードに切替えるのに必要と思われる時間が設定されている。
【0027】
よって、コンプレッサ10を停止させた時点でインテークドア5は完全に外気取入口3を開口させており、わずかな時間でもカーエアコン1は、コンプレッサ10が停止して、かつ外気導入がなされないといった状態になることがない。
【0028】
図3は、以上説明したコンプレッサオフによる窓ガラスの曇り発生防止にかかる処理を説明するフローチャートである。
【0029】
本実施の形態のフローチャートは、カーエアコン1がオンすることで開始する(S1)。カーエアコン1がオンすると、先ずカーエアコン1の設定が、マニュアルモードであるか否かを判断し(S2)、オートモードに設定されてる場合にはオートモードにおいてエバポレータ7凍結防止のためのコンプレッサ10停止に伴う窓ガラス曇り防止の制御を行うオートモードサブルーチンに入る(S13)。一方、ステップ2での判断の結果、カーエアコン1がマニュアルモードであった場合には、さらにカーエアコン1がRECモードに設定されているか判断し(S3)、この結果RECモードの設定がなされていれば、カーエアコン1がマニュアルRECモードに設定されていることになる。
【0030】
次に、コンプレッサ10を、オン状態からオフ状態にする指示が入力されたか否か判断する(S4)。このコンプレッサのオフ、またはオンの指示は、エバポレータの凍結防止処理を制御する別のフローチャートで示される処理によって出力されるものである。
【0031】
コンプレッサ10のオフが指示されると、例えば前述した外気温度と内気温度との差分を、窓ガラス曇り発生データ25cと比較する方法によって、コンプレッサ10を停止した場合に窓ガラスが曇るか否かを判定する(S5)。この判定の結果、窓ガラスに曇りが発生すると判定されるた場合には(S6)、マニュアルモードで設定されていたRECモードをキャンセルしてFREモードに切替える(S7)。
【0032】
次に、エバポレータ温度センサ9が検出するエバポレータ温度であるTE が、1℃以上であるか判断する(S8)。TE が1℃以上であれば、ただちにタイマ29で計時を開始し(S9)、タイマ29によって計時される時間TW がTに達した後に(S10)コンプレッサ10をオフする(S11)。なお本実施の形態では、この時間Tをおよそ10〜12秒とした。
【0033】
一方ステップ8の判断で、TEが1℃未満であった場合にはエバポレータ7がごく短時間のうちに凍結する虞があると考えられることから、窓曇りの発生防止に優先してただちにコンプレッサを停止する(S11)。
【0034】
以上の処理が成された後に、カーエアコン1がオフされたか判断し(S12)、カーエアコン1がオフされていない場合にはステップ2に戻り、またオフされた場合にはすべての処理を終了する。
【0035】
以上述べたように、本実施の形態では、カーエアコン1がマニュアルRECモードで運転しているとき、エバポレータ7の凍結防止のためにコンプレッサの停止が指示されて、かつ自動車に窓曇りが発生すると判定された場合には外気を導入し、所定の時間が経過してからコンプレッサ10を停止するよう制御している。
【0036】
よって、マニュアルRECキャンセルからオートモードによるFREモードへの切換えに比較的時間がかかっても、完全にFREモードへの切り替えが完了してからコンプレッサがオフされるので、一瞬でも自動車の窓ガラスに曇りが発生することを防止することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では窓ガラスに曇りが生じることを、外気温度と内気温度との差を使って判定したが、本発明はこのような例に限定されるものでなく、例えば湿度センサを設けてこの値と外気の温度とを考慮して窓曇りを判定するようにすることも考えられる。
【0038】
【発明の効果】
本発明の自動車用空気調和装置は、カーエアコンをマニュアルRECで運転しているときに、コンプレッサの停止が指示されて、かつ自動車に窓曇りが発生すると判定されると、外気を導入後、所定の時間が経過してからコンプレッサを停止するよう制御することにより、一瞬でも自動車の窓ガラスに曇りが発生することを防止して、エバポレータ凍結防止のためになされるコンプレッサの停止による窓ガラスの曇りをより完全に抑える自動車用空気調和装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態のカーエアコン全体の構成を説明する図である。
【図2】 図1の制御部における信号の授受を説明する図である。
【図3】 本発明の一実施の形態のコンプレッサオフによる窓ガラスの曇り発生防止にかかる処理を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…カーエアコン(自動車用空気調和装置)
5…インテークドア(外気導入手段)
5a…インテークドアアクチュエータ(外気導入手段)
7…エバポレータ
9…エバポレータ温度検出センサ
10…コンプレッサ
20…マイコン(コンプレッサ停止指示手段、窓曇判定手段、外気導入手段、コンプレッサ停止制御手段)
21…外気温度センサ(窓曇判定手段)
22…内気温度センサ(窓曇判定手段)
29…タイマ(外気導入計時手段)と、
Claims (1)
- 冷凍サイクルを有する自動車用空気調和装置(1)であって、
前記冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するコンプレッサ(10)の停止を指示するコンプレッサ停止指示手段(20)と、
当該コンプレッサ停止指示手段(20)によってコンプレッサ(10)の停止が指示された場合に自動車の窓ガラスに窓曇りが発生するか否かを判定する窓曇判定手段(20,21,22)と、
当該窓曇判定手段(20)によって窓曇りが発生すると判定された場合、車室内に外気の導入を開始する外気導入手段(5,5a,20)および所定の時間を計時する外気導入計時手段(29)と、
前記冷凍サイクルにおいて冷媒を蒸発させるエバポレータ(7)の温度を検出するエバポレータ温度センサ(9)と、
前記外気導入計時手段(29)の計時終了後に前記コンプレッサ(10)を停止するとともに、エバポレータ温度センサ(9)が検出した前記エバポレータの温度が所定値未満の場合には、前記外気導入計時手段(29)の計時を待たずにただちに前記コンプレッサ(10)を停止するコンプレッサ停止制御手段(20)と、
を有することを特徴とする自動車用空気調和装置。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (1)
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1997
- 1997-08-05 JP JP21069497A patent/JP3824389B2/ja not_active Expired - Fee Related
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