JP3824342B2 - 表層プリント配線板(slc)の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板に設けられる絶縁層に対する密着力に優れた導電性皮膜を有する表層プリント配線板(SLC)の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板は、エレクトロニクス機器の小型化、薄型化、軽量化の進展につれて、高密度の要求が厳しくなりつつある。高密度化するためには、ファインパターン化、ファインピッチ化、高多層化の方法がある。しかしながら、最近では低コスト化の要求が強く、できるだけ層数を増加せずに面密度を上げることが要求されるようになっている。そこで、表層プリント配線板(SLC)の製造方法の検討が提案されてきた。
今まで日本アイ・ビー・エム社から発表されているSLCの製造方法は、有機物からなるプリント配線板をベースとしてその上にビルドアップ用絶縁材料として感光性樹脂を使用し、各層に光学的に微細なバイアホールを形成したものである。
通常、基板にはガラスエポキシ積層板が使用されており、樹脂を塗布することによる絶縁層及び銅めっきによる導体層が逐次積層される。樹脂層に開けられた微小径のバイアホールにより、信号層間の電気的接続がなされる。現在、樹脂への銅めっきは、従来から行われているように、触媒を付与し、無電解銅めっき及び電気銅めっきを行う方法、又はアディティブ法により、無電解銅めっきする方法によって行われている。
【0003】
しかしながら、これらの従来の方法では、樹脂と銅めっきとの間に充分な密着性が得られていないのが現状である。
一方、ダイレクトプレーティング法は、無電解銅めっきを用いずに、パラジウム−スズコロイド、有機パラジウム、電導性ポリマー、及びカーボン等を設けることにより、樹脂表面に導電層を形成し、その層に直接電気銅めっきを行う方法である。日本においても1990年頃から実用化され初め、環境対策、廃棄物処理費の低減、プロセス管理及び自動化の容易さなどの観点から普及しつつある。しかしながら、現行のダイレクトプレーティング法は主にスルホール部の導電化処理に使用されており、SLCの製造に適用すると、樹脂層と銅回路との接合強度が劣り、必要な銅回路部以外に形成された導電性皮膜を充分に除去することが困難である。このため、現在検討されているダイレクトプレーティング法は、SLCの製造には適用されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、有機物からなるプリント配線板(回路板)をベースとして、その上にビルドアップ用絶縁材料としてエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を使用し、各層に光学的或いは物理的に微細なバイアホールを形成し、その樹脂上に密着力の優れた電導性皮膜を有する表層プリント配線板を製造する方法を提供することである。特に湿式法による比較的簡単な処理工程によって、作業環境や地球環境を汚染することなく、密着性に優れた電導性皮膜を樹脂上に有する表層プリント配線板を製造する方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を達成するために、鋭意検討した結果、(1)回路基板上に熱硬化性樹脂を塗布し、予備硬化させ、(2)予備硬化樹脂層を粗面化した後、前記樹脂層を完全に硬化させて、絶縁層を形成し、(3)その絶縁層の表面に酸性基を導入し、(4)その酸性基に、イオン交換反応によって金属イオンを吸着させ、次いで(5)金属イオンを吸着した酸性基を有する前記絶縁層の表面を、前記酸性基の還元反応によって導電性皮膜に変えことによって、絶縁層に対する密着力の優れた導電性皮膜を有する表層プリント配線板が得られることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明は、以下の発明に関するものである。
1.以下の工程:
(1)回路基板上に熱硬化性樹脂を塗布し、予備硬化させることによって予備硬化樹脂層を形成する工程、
(2)前記予備硬化樹脂層を粗面化した後、前記樹脂層を完全に硬化させて、絶縁層とする工程、
(3)前記絶縁層の表面に酸性基を導入する工程、
(4)前記酸性基に、イオン交換反応によって金属イオンを吸着させる工程、
(5)金属イオンを吸着した酸性基を有する前記絶縁層の表面を、前記酸性基の還元反応によって導電性皮膜に変える工程、
(6)前記導電性皮膜を電気銅めっきした後、マスクをパターン状に形成する工程、
(7)エッチングにより回路を形成する工程、次いで
(8)前記マスクを除去する工程、
を特徴とする、表層プリント配線板の製造方法、
2.以下の工程:
(1)回路基板上に熱硬化性樹脂を塗布し、予備硬化させることによって予備硬化樹脂層を形成する工程、
(2)予備硬化樹脂層を粗面化した後、前記樹脂層を完全に硬化させて、絶縁層とする工程、
(3)前記絶縁層の表面に酸性基を導入する工程、
(4)前記酸性基に、イオン交換反応によって金属イオンを吸着させる工程、
(5)金属イオンを吸着した酸性基を有する前記絶縁層の表面を、前記酸性基の金属イオンの還元反応によって導電性皮膜に変える工程、
(6)パターン状にマスクを形成した後、電気銅めっき及び金属レジストめっき層を施す工程、次いで
(7)前記マスクを剥離した後、エッチングにより回路を形成する工程、次いで(8)前記金属レジストめっき層を剥離する工程、
を特徴とする表層プリント配線板の製造方法、そして
3.以下の工程:
(1)回路基板上に熱硬化性樹脂を塗布し、予備硬化させることによって、予備硬化樹脂層を形成する工程、
(2)前記予備硬化樹脂層を粗面化した後、前記樹脂を完全に硬化させて、絶縁層とする工程、
(3)前記絶縁層に、回路パターンでソルダーマスクを設ける工程、
(4)前記ソルダーマスクの存在しない部分において、前記絶縁層の表面に酸性基を導入する工程、
(5)前記酸性基に、イオン交換反応によって金属イオンを吸着させる工程、
(6)金属イオンを吸着した酸性基を有する前記絶縁層の表面を、前記酸性基の金属イオンの還元反応によって導電性皮膜に変える工程、次いで
(7)前記導電性皮膜に無電解銅めっきにより回路を形成する工程、
を特徴とする表層プリント配線板の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明の方法は、既に、基板上に回路が構成されている回路板に適用される。本発明においては、回路基板に、まず、熱硬化性樹脂を塗布、被覆し、これを予備的に硬化させ、部分的に熱硬化性樹脂を硬化させる。
ここで使用される熱硬化性樹脂としては、後述する酸性基の導入を行うことができ、かつ適度の物性、例えば、強度や、腐食耐性等を有する絶縁性を有するものであれば、特に制限なく各種の熱硬化性樹脂を使用することができる。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、ベンゼン環等の芳香族環を内部に有する樹脂や、水酸基を有する樹脂等を好適に使用することができる。具体的には、このような熱硬化性樹脂には、例えば、エポキシ樹脂や、変性ポリイミド樹脂、ビニル樹脂や、フェノール樹脂等が好ましいものとして挙げられる。この内、特に、エポキシ樹脂及び変性ポリイミド樹脂が好適に使用することができる。
エポキシ樹脂は、一般に、エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA等の多価フェノールとから製造される。このようなエポキシ樹脂の製造方法は、既に公知であり、当業者には自明である。具体的には、ANSI/NEMA規格のG−10グレードや、FR−4グレードが好ましいものとして挙げられる。
【0007】
なお、上記エポキシ樹脂を他の樹脂、例えば、ポリイミド樹脂や、ポリイミド樹脂と混合して使用することもできる。また、樹脂には、ガラス繊維等の強化繊維を配合してもよい。
熱硬化性樹脂は、塗装の便宜上、溶媒等に溶解した溶液状態で使用され、回路基板の上に塗布され、予備硬化される。この予備硬化は、この後に行われる粗面化処理を効率良く行うのに必要な工程である。予備硬化を行うことなく、完全に硬化させてから粗面化しようとしても、粗面化することが実質的にできず、密着力に優れた導電性皮膜を有する表層プリント配線板を製造することができなくなる。
予備硬化の程度は、完全硬化に対して、約60〜95%程度、好ましくは75〜90%程度硬化させることが好ましい。具体的には、この硬化の程度は、鉛筆引っかき試験(JIS C 5012)によって評価することができる。通常、実際面では、熱処理温度及び時間を主に制御することによって、硬化の程度を調整することができる。例えば、エポキシ樹脂の場合には、予備硬化は、通常、120〜140℃、好ましくは125〜135℃において、5〜120分、好ましくは30〜90分で行われる。換言すれば、後述する完全硬化のための条件よりも緩やかな条件で行うことが必要である。勿論、予備硬化温度として、120℃以下を採用することはできるが、所望の硬化までに要する処理時間が長期化するので好ましくない。
【0008】
必要に応じて、上記予備硬化工程の後、下層の回路基板の電子回路等との電気的接続を行うため、従来のドリルによる穴明けや、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー等を使用した穴明けを行ってもよい。例えば、従来のドリルにより0.3mmφの穴明けは、例えば、以下の条件の下で行うことができる。
回転数(rpm) 60,000
送り速度(μm/rev.) 40
周速(m/min.) 100
ヒット数(hit/min.) 150
予備硬化した熱硬化性樹脂表面の粗面化は、樹脂表面と銅めっきとの密着力を向上させるために重要である。
粗面化は、一種のエッチング液に浸漬することによって行うことができる。粗面化しようとする熱硬化性樹脂の種類にもより、エッチング液の種類も異なり得る。このようなエッチング液としては、例えば、アルカリ性過マンガン酸溶液や、酸性過マンガン酸、硫酸溶液、クロム酸溶液等の各種溶液を使用することができる。粗面化の程度又は表面粗さは、エッチング液の濃度や、処理温度、時間等を調整することによって所望の程度とすることができる。例えば、アルカリ性過マンガン酸溶液を例とすると、水酸化ナトリウムの濃度を変えたり、処理温度を、通常50〜110℃、好ましくは100〜105℃の範囲内で変更したり、処理時間として、通常5分〜1時間、好ましくは15分〜20分間の範囲内で変更することによって、所望の程度の表面粗さを得ることができる。
【0009】
表面粗さの程度は、例えば三次元表面形態測定装置又は表面粗さ計によって評価することができる。表面粗さは、三次元表面形態測定装置で測定して、通常、5〜15μm 、好ましくは8〜13μm 、特に好ましくは9〜12μm である。粗面化処理を行った、予備硬化された熱硬化性樹脂は、次いで、完全に硬化する。硬化条件は、使用する樹脂の種類により異なるが、例えば、エポキシ樹脂の場合は、150℃以上の温度、好ましくは150〜180℃、特に好ましくは150〜160℃において、1時間以上、好ましくは1〜3時間、特に好ましくは1〜1.5時間、熱処理することによって完全に硬化させることができる。熱硬化性樹脂の物性を低下させないためには、より低温でかつより短時間で熱処理することが好ましい。
なお、完全硬化の条件は、使用する樹脂の種類によって異なるので、予備試験等で予め確認しておけば充分である。
完全に硬化した熱硬化性樹脂の層からなる絶縁層には、次いで、その表面に酸性基を導入する。本発明の方法で有効に使用しえる酸性基の例としては、スルホン酸基、カルボキシル基、フェノール性水酸基等を挙げることができ、好ましい酸性基としてはスルホン酸基、カルボキシル基等であり、特に好ましい酸性基としてはスルホン酸基である。
【0010】
酸性基を導入する方法は特に限定的でなく、各種の方法が可能であり、使用する樹脂と酸性基の種類とに応じて、適宜、公知の導入方法を採用することができる。
例えば、スルホン酸基の導入に当たっては、公知のスルホン化反応を採用することができる。スルホン化剤としては、公知の各種スルホン化剤を用いることができ、例えば、硫酸、発煙硫酸、三酸化イオウ、クロロ硫酸塩化スルフリル等を挙げることができる。これらのスルホン化剤のうちで、硫酸を用いる場合の製造方法について説明すると、絶縁層を硫酸水溶液に浸漬することによって行うことができる。スルホン化反応に用いる硫酸濃度は、一般に70〜90重量%程度、好ましくは75〜85重量%程度が好ましい。硫酸濃度が70重量%未満では、スルホン化に時間がかかるので好ましくなく、一方、90重量%を上回ると、樹脂の溶解、劣化が生じやすいので好ましくない。スルホン化の処理温度は、スルホン化しようとする樹脂の種類にもよるが、一般に50〜100℃程度、好ましくは60〜80℃程度とすればよい。処理時間は、スルホン化の程度によって変わりうるが、一般に1〜60分程度とすればよい。
【0011】
スルホン酸基の導入量については、スルホン化剤の濃度、処理温度、処理時間等を変えることによって調整することができる。後述する金属の吸着量、ひいては、最終的に得られる導電性皮膜の厚みは、このスルホン酸基の導入量に大きく依存すると言える。
一方、酸性基としてカルボキシル基、フェノール性水酸基等の導入は、使用する樹脂の種類に応じて、適当な公知の反応を使用することによって行うことができる。例えば、カルボキシル基を導入する場合には、カルボキシル化剤として、例えば、70〜100重量%程度、好ましくは80〜90重量%程度の酢酸を使用してカルボキシル化反応を行えばよい。反応温度については、スルホン化の場合と同程度の温度とすればよい。
酸性基導入工程が終了した場合には、後の工程を効率良く行うために、得られた酸性基を有する絶縁層を水洗することが好ましい。
絶縁層表面に導入された酸性基には、イオン交換反応によって、金属を吸着させることができる。このイオン交換反応は、酸性基を有する絶縁層を金属イオン含有液中に浸漬することによって行うことができる。
【0012】
金属イオン含有液に含まれる金属イオンとしては、その後の還元剤工程によって金属層を形成した場合に、それらの金属層が電導性となるものであれば、特に制限なく使用することができる。具体的には、このような金属イオンとしては、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、金、銀等、又はその混合物が好ましいものとして挙げられる。
金属イオンは、一般に金属塩として金属イオン含有液に配合される。例えば、銅イオンの場合には、硫酸銅や、塩化銅、硝酸銅、酢酸銅、塩基性炭酸銅等の形で配合される。その他の金属イオンについても、その塩の形態は、当業者には自明である。
金属イオン含有液における金属イオンの濃度は、通常、0.01〜1モル/リットルであり、好ましくは0.03〜0.1モル/リットルである。
金属イオン含有液は、一般的には、水溶液として使用される。但し、使用する金属イオンによって、媒体がメタノール等の有機媒体である有機溶液であってもよい。なお、必要に応じて、金属イオン含有液には、pHを維持するための安定剤や、更には金属イオンの沈殿防止のための錯化剤等を配合することができる。なお、酸性基と金属イオンとの反応により、金属イオン含有液のpHは徐々に低下するので、金属イオンを水酸化物の形態で補充する場合には、金属イオン含有液のpHを、弱酸性〜中性、具体的にはpH2〜6程度、好ましくは3〜4程度に調整することが適当である。
【0013】
導電性皮膜が合金や金属酸化物の混合物等の複数の金属成分を含有する形態である場合には、最終形成物における金属成分のモル比に対応するモル比で金属イオンを含有する溶液とすればよく、その場合には、それらの複数の金属イオンの合計濃度が上記した範囲となるようにすればよい。
金属イオンを含有する溶液で樹脂表面を処理する方法は、特に限定的でないが、通常は酸性基を導入した樹脂を金属イオン含有液に浸漬すればよく、この処理によって樹脂表面の酸性基に金属イオンが化学的に吸着される。浸漬処理は、例えば、20〜80℃程度、好ましくは25〜60℃程度の温度において、例えば、1〜10分程度、好ましくは3〜5分程度行えばよい。
金属イオン含有液への浸漬は、例えば、20〜80℃、好ましくは40〜60℃において、例えば、1〜10分、好ましくは3〜5分行えばよい。
また、後の工程を効率良く行うために、上記工程の後に水洗処理することが好ましい。
金属イオンの吸着処理を行った後、酸性基を有する絶縁層の表面層を導電性皮膜に変えるために、還元処理を行う。この還元処理は、上記吸着処理により酸性基に化学的に吸着された金属イオンを還元して金属化する処理である。従って、この処理の目的に反しない限り、各種の還元方法を使用することができる。
【0014】
酸性基の金属塩を還元するのに使用される還元剤としては、このような金属塩を還元して、金属を析出させることができるものであれば、特に制限なく使用することができる。このような還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウムや、ジメチルアミンボラン(DMAB)、トリメチルアミンボラン(TMAB)、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、及びその誘導体、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、次亜燐酸ナトリウム等の次亜燐酸塩等を挙げることができる。
還元剤は、通常溶液の形で使用される。還元剤の量は、通常、0.1〜10g/リットル、好ましくは0.3〜3g/リットルである。還元温度は、一般に、20〜50℃、好ましくは25〜30℃であり、時間は、1〜10分、好ましくは3〜5分で十分である。
また、還元剤として、セレン尿素、亜砒酸等を用いることも可能であり、これらの還元剤を用いる場合には、酸性基に化学的に吸着された金属イオンが還元されると同時に、還元剤中の金属成分、例えば、セレン尿素を用いた場合にはSe、亜砒酸を用いた場合には、Asが還元された金属成分と合金を形成することができる。また、セレン尿素、亜砒酸等の還元剤を併用することもできる。特に、セレン尿素を用いる場合には、他の還元剤を共存させることによって、還元剤溶液中でのセレン尿素の安定性を向上させることができる。
【0015】
更に、上記した還元剤を含有する水溶液を用いる還元処理では、充分な金属化が困難な場合には、より還元性の強い還元剤を含む有機溶剤溶液を用いて還元処理を行うこともできる。このような有機溶剤溶液として使用することのできる還元剤の例としては、金属Li、Na、K(溶剤:液体アンモニア、アミン類等)、トリアルキルアルミニウム(溶剤:ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン等)、トリ−n−ブチルスズ等の水素化スズ化合物(溶剤:ヘキサン、トルエン、テトラヒドロフラン等)、LiAlH4 (溶剤:エーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン等)、ヒドロシラン(溶剤:エーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン等)等を挙げることができる。これらの還元剤の有機溶剤溶液を用いて還元処理を行う場合には、還元すべき金属塩の種類に応じて、充分な金属化が行われるように、適宜、還元剤濃度、還元条件等を決めればよい。
なお、後の工程を効率良く行うために、水洗処理を行ってもよい。また、後の電気銅めっき処理の予備処理として、公知の酸浸漬処理及び水洗処理を行ってもよい。
このようにして形成した導電性皮膜には、電気銅めっきする。電気銅めっきは、公知の電気銅めっき処理を採用することができる。例えば、ピロリン酸銅めっき浴や、硫酸銅めっき浴等による電気銅めっきが使用できる。電気銅めっきにおける条件には、特別な変更は特に必要ではなく、従来の使用条件をほぼそのまま適用できる。例えば、硫酸銅めっきの使用条件を示せば、以下の条件を挙げることができる。
【0016】
電気銅めっきによって形成される電気銅めっき層の厚みは、通常、2〜100μm 、好ましくは5〜30μm である。
電気銅めっきを行った後、更には、必要に応じて、水洗、防錆処理、水洗処理等を行った後、通常、乾燥し、電気回路を形成するための予備処理として、マスクをパターン状に設ける。マスクとしては、例えばエッチングレジスト又はインクが使用できる。エッチングレジストとしては、用途に応じて、ポジ型でも、ネガ型でも随時採用することができる。
【0017】
エッチングレジスト又はインキの塗布、イメージング処理(露光、現像等)は、従来使用されている技術をそのまま用いることができる。なお、エッチングレジストとしては、通常ドライフィルムが汎用されている。
エッチングに使用されるエッチング液としては、従来からこのような用途に使用されるエッチング液であれば、特に制限されず、各種のエッチング液を使用することができる。このようなエッチング液としては、例えば、塩化第二銅、塩化第二鉄、過硫酸塩類、過酸化水素水/硫酸、銅塩類/アンモニア等からなるアルカリエッチャントなどが挙げられる。所望のファインパターンを得ることができる限り、各種のエッチング液が使用できる。
なお、エッチング処理の後、次の工程の効率を高めるために、水洗処理することが好ましい。
エッチングレジスト又はインキ等のマスクの剥離には、一般に3〜4%NaOH溶液が用いられている。使用温度は、40〜50℃、スプレー装置によると1〜2分で剥離可能である。また、最近では、アミン系ドライフィルム剥離剤等が市販されており、これも使用可能である。
【0018】
なお、マスクの除去処理の後、清浄化のために、水洗処理することが好ましく、最後に、乾燥処理され、表層プリント配線板が得られる。
本発明の別の表層プリント配線板の方法(パターンめっき法)としては、上記のように、(1)回路基板上に熱硬化性樹脂を塗布し、予備硬化させて予備硬化樹脂層を形成し、(2)その予備硬化樹脂層を粗面化した後、その樹脂層を完全に硬化させて、絶縁層を形成し、(3)その絶縁層の表面に酸性基を導入し、(4)その酸性基を、イオン交換反応によって金属イオンを吸着させ、(5)金属イオンを吸着させた酸性基を還元して、絶縁層の表面に導電性皮膜を形成させた後、(6)パターン状でエッチングレジストや、インキ等のマスクを形成し、電気銅めっき及び金属レジストめっき層を形成させ、(7)そのレジストや、インキ等のマスクを剥離した後、エッチングにより回路を形成し、次いで、(8)形成した金属めっき層を剥離する方法がある。マスクの厚みは、通常、20〜100μm 、好ましくは25〜30μm である。
上記工程(1)〜(5)までの工程は、上記の通りである。
上記工程(6)においては、絶縁層の表面に設けられた導電性皮膜には、ドライフィルムや、インキ等をパターン状で塗工し、イメージング処理(露光、現像等)することによって、マスクをパターン状で設ける。このようなマスクの形成方法は、公知であり、各種の材料及び条件が適宜採用することができる。
【0019】
なお、後の工程の効率を改善するために、酸性脱脂剤による処理及び水洗処理することが好ましい。ここで使用される酸性脱脂剤は、公知であり、例えば、日本リーロナール社製ロナクリーンPC−590等を使用することができる。
マスクを設けていない導電性皮膜の部分には、電気銅めっき層及び金属レジストめっき層が設けられる。電気銅めっき層の形成方法は、上記の通りである。電気銅めっき層の厚みは、通常、2〜100μm 、好ましくは5〜30μm である。なお、上記のように、電気銅めっき処理の後、水洗処理してもよい。また、次の金属レジストめっき処理の前処理として、酸浸漬処理してもよい。酸浸漬処理に使用される酸としては、例えば、硫酸や、ほうフッ化水素酸、有機酸等が挙げられる。この酸浸漬処理の後、更に、水洗処理することが好ましい。
金属レジストめっき層に使用される金属としては、錫や、錫−鉛合金及びその他の錫合金、ニッケル合金等が挙げられる。
金属レジストめっき層を形成した後、後の工程の効率を改善するために、水洗処理することが好ましく、更に、乾燥してもよい。
これらの処理の後、エッチングすることによって、マスク及び導電性皮膜を除去する。ここで使用されるエッチング液は、従来より公知のものを使用することができる。例えば、エッチング液としては、銅塩類/アンモニアのアルカリエッチャント等が好ましい。
【0020】
最後に、銅表面を露出するために、金属レジストめっき層を剥離する。この剥離処理は、例えば、硝酸系又はほうフッ化水素酸系、フッ化アンモン等の水溶液に浸漬することによって行うことができる。
更に別の態様の表層プリント配線板の製造方法(アディティブ法)としては、(1)回路基板上に熱硬化性樹脂を塗布し、予備硬化させることによって、予備硬化樹脂層を形成する工程、(2)前記予備硬化樹脂層を粗面化した後、前記樹脂を完全に硬化させて、絶縁層を形成する工程、(3)前記絶縁層に、回路パターンでソルダーマスクを設ける工程、(4)前記ソルダーマスクの存在しない部分において、前記絶縁層の表面に酸性基を導入する工程、(5)前記酸性基に、イオン交換反応によって金属イオンを吸着させる工程、(6)金属イオンを吸着した酸性基を有する前記絶縁層の表面を、前記酸性基の金属イオンの還元反応によって導電性皮膜に変える工程、次いで、(7)前記導電性皮膜に無電解銅めっきにより回路を形成する工程からなる方法が挙げられる。
この方法における工程(1)及び(2)は、初めに説明したパネルめっき法の場合と同様である。
【0021】
工程(3)においては、ソルダーマスクは、はんだ付の際のファインライン間のはんだブリッジによるショート防止、部品の足との接続信頼性の向上等の各種役割を有する。このソルダーマスクは、通常、メラミン樹脂系、エポキシ樹脂系、イミド樹脂系、アクリル樹脂系等から構成される。このソルダーマスクの厚みは、通常、20〜100μm 、好ましくは25〜30μm である。
続いて、ソルダーマスクの存在しない絶縁層には、既に述べたような導電性皮膜形成工程が適用され、導電性皮膜が形成される。
最後に、形成した導電性皮膜に、無電気銅めっきを施すことにより、表層プリント配線板が製造される。
無電気銅めっき方法は、既に公知であり、従来の無電気銅めっき方法をそのまま適用することができる。例えば、無電気銅めっき条件として、以下の条件を例示することができる。
処理組成
成分 量
硫酸銅 10g/リットル
ロッシェル塩 40g/リットル
ホルマリン 10g/リットル
水酸化ナトリウム 10g/リットル
α,α′−ジピリジル 10ppm
硫化ソーダ 10ppm
めっき処理条件
浴温度 30℃
浴負荷 2dm2/L
処理時間 15min
エアーによる攪拌
(pHは12.5)
無電気銅めっき処理の後、必要に応じて、水洗処理してもよく、更に、通常、乾燥処理される。
【0022】
【実施例】
以下、参考例、実施例及び比較例を参照することにより、本発明について更に詳細に説明する。
実施例1
表面に電子回路を形成した50mm×100mm(板厚:1.6mm)の回路基板(補強材としてのガラスクロスを8層介在させ、圧縮したエポキシ樹脂(FR-4型)からなる)の回路面に、エポキシ樹脂(FR-4型)溶液を、完全硬化後の厚みが100μm となるように、塗工し、乾燥した後、硬化温度を130℃、140℃、150℃と変化させてそれぞれ1時間予備硬化させた。
次いで、以下の工程によって、導電性皮膜を形成した。
(1)予備硬化したエポキシ樹脂層を、NaOH濃度の異なる0.2M KMnO4 /NaOH水溶液(100℃)に所定時間浸漬することにより粗面化した。この時の粗面化の程度は、三次元表面形態測定装置で測定して、9.5μm であった。
(2)150℃で1時間加熱することにより、樹脂層を完全に硬化して絶縁層を形成した。
(3)85重量%の硫酸溶液により70℃で5分間スルホン化することによって絶縁層の表面にスルホン酸基を導入した。
(4)室温で1分間水洗して表面を清浄化した。
(5)絶縁層表面を0.05モル/リットルの硫酸銅溶液(pH4に維持)に50℃で3分間浸漬することにより、銅イオンをスルホン酸基に吸着させた。
(6)室温で1分間水洗した。
(7)3g/リットルの水素化ホウ素ナトリウム溶液に室温で1分間基板を浸漬して、銅皮膜を形成させ、次いで室温で1分間水洗した。
(8)この銅皮膜を室温で1分間10%硫酸溶液により活性化し、次いで、酸性硫酸銅めっき浴において陰極電流密度2A/dm2 により、厚さ30μmの電気銅めっきを銅被膜上に形成した。
(9)得られた銅皮膜に、幅1cmの素地に達するスリットを入れ、90°剥離(peel) 強度を測定した。
【0023】
その結果を図1及び図2に示した。0.2M KMnO4 /4M NaOH水溶液(100℃)により粗面化した場合、130℃及び140℃で予備硬化した試料では、処理時間の増大にともなって剥離強度が増大したことが認められ、また、処理時間20分において極大値を示した。特に130℃で予備硬化した試料では、20分の粗面化において剥離強度1kgf/cmに達した。しかしながら、150℃で完全硬化した試料では、KMnO4 処理に伴う粗面化がほとんど認められず、剥離強度は極めて低い値を示した。また、NaOH濃度の剥離強度に及ぼす影響についても、NaOH濃度4Mにおいて極大値を示した。
実施例2(パネルめっき/テンティング法)
実施例1で使用した回路基板から、以下の工程により、表層プリント配線板を調製した。
基板の回路面に、実施例1と同様に、液状エポキシ樹脂の塗布(乾燥後の膜厚100μm)し、130℃、1時間で予備硬化し、ドリルにより、直径0.3mmの穴を開けた。次いで、予備硬化したエポキシ樹脂層を0.2M KMnO4 /4MNaOH溶液により、100℃、20分間粗面化し、次いで水洗し、90℃で10分間乾燥した。この時の粗面化の程度は三次元表面形態測定装置により評価して、9.5μm であった。次に、エポキシ樹脂層を150℃、1時間で完全に硬化した後、14M硫酸溶液により、60℃で15分間、絶縁層表面をスルホン化して、スルホン酸基を表面に導入した。次いで、基板を、0.05MCuSO4 ・5H2 O溶液に、室温で3分間浸漬することにより、スルホン酸基をスルホン酸銅塩に変換した後、水洗し、0.03MNaBH4 で、25℃で30分間還元することにより、銅被膜を形成した。この銅被膜の厚みは、0.09μm であった。次いで、水洗し、更に10%硫酸により室温で1分間、酸浸漬した後、更に水洗し、硫酸銅めっき処理を行った。硫酸銅めっき処理条件は以下の通りであった。
【0024】
銅めっき浴組成
成分 量
硫酸銅 75g/リットル
硫酸 190g/リットル
塩素イオン 50ppm
添加剤 若干
(pHは、1以下)
電気銅めっき処理後、室温で1分間水洗し、得られた銅皮膜表面の酸化(変色)防止のために、メルテックス社製エンテックCu−56により、室温で20秒間処理した。次いで、室温で1分間水洗し、乾燥した。
得られた基板に対して、JIS C 6481に従って銅皮膜に幅1cmの素地に達するスリットを入れ、90°剥離強度を測定した結果、1.0kgf/cmであった。
次いで、スロットコーターを使用して、ポジ型ドライフィルムを塗工し、次にイメージング処理を行った後、アルカリ(メルテックス社製エープロセス)でエッチングし、水洗、次いでドライフィルムを剥離した後、水洗し、最後に乾燥することによって表層プリント配線板(SLC)を得た。
【0025】
得られた表層プリント配線板に対して、JIS C 6481に従って銅皮膜に幅1cmの素地に達するスリットを入れ、90°剥離強度を測定した結果、その値は、1.0kgf/cmであった。
更に、得られた表層プリント配線板に対して、MIL−P−55110Dの耐熱試験を行った結果、密着不良(フクレ等)の発生は認められなかった。
実施例3(パターンめっき法)
実施例1で使用した回路基板を使用して、以下の工程により、SLCを作製した。
基板の回路面に、実施例1と同様に、液状エポキシ樹脂の塗布(乾燥後の膜厚100μm)し、130℃、1時間で予備硬化し、ドリルにより、直径0.3mmの穴を開けた。次いで、予備硬化したエポキシ樹脂層を0.2M KMnO4 /4MNaOH溶液により、100℃、20分間粗面化し、次いで水洗し、90℃で10分間乾燥した。この時の粗面化の程度は9.5μm であった。次に、エポキシ樹脂層を150℃、1時間で完全に硬化した後、14M硫酸溶液により、60℃で15分間、絶縁層表面をスルホン化して、スルホン酸基を表面に導入した。次いで、基板を、0.05MCuSO4 ・5H2 O溶液に、室温で3分間浸漬することにより、スルホン酸基をスルホン酸銅塩に変換した後、水洗し、0.03MNaBH4 で、25℃で30分間還元することにより、銅被膜を形成した。この銅被膜の厚みは、0.09μm であった。
【0026】
水洗及び乾燥後、銅被膜の上に、ネガ型ドライフィルムを塗工し、イメージング(露光、現像)処理することによって、マスクを形成した。次いで、基板を酸性脱脂剤(日本リーロナール社製ロナクリーンPC−590)で処理し、水洗し、10%硫酸により室温で1分間酸浸漬し、水洗した後、実施例1の場合と同様の硫酸銅めっき処理を行った。
得られた銅被膜を有する基板に対して、JIS C 6481に従って銅皮膜に幅1cmの素地に達するスリットを入れ、90°剥離強度を測定した結果、1.0kgf/cmであった。
次に、基板を水洗し、10%硫酸により室温で1分間酸浸漬した後、再び水洗し、日本リーロナール社製ロナスタンECにより、すずのレジストめっき層を形成した。この時のレジストめっき層の厚みは、10μm であった。
次いで、基板は水洗し、乾燥した後、ドライフィルムを剥離し、水洗し、次いでアルカリエッチングし、更に、水洗及び乾燥して、表層プリント配線板を製造した。
得られた表層プリント配線板は、MIL−P−55110Dの耐熱試験を行った結果、密着不良(フクレ等)の発生は認められなかった。
実施例4(アディティブ法)
実施例1で使用した回路基板を使用して、以下の工程により、SLCを作製した。
基板の回路面に、実施例1と同様に、液状エポキシ樹脂の塗布(乾燥後の膜厚100μm)し、130℃、1時間で予備硬化し、ドリルにより、直径0.3mmの穴を開けた。次いで、予備硬化したエポキシ樹脂層を0.2M KMnO4 /4MNaOH溶液により、100℃、20分間粗面化し、次いで水洗し、90℃で10分間乾燥した。この時の粗面化の程度は9.5μm であった。次に、エポキシ樹脂層を150℃、1時間で完全に硬化した。パターン状にソルダーマスクを塗工し、ソルダーマスクの設けられていない部分の絶縁層の表面に、実施例1と同様にして、スルホン化、銅イオンの吸着、還元処理を行い、絶縁層表面に銅被膜を形成した。この時の銅被膜の厚みは、0.09μm であった。
【0027】
次いで、得られた銅被膜の上には、無電気銅めっきを行った。その条件は、上記の通りである。
処理組成
成分 量
硫酸銅 10g/リットル
ロッシェル塩 40g/リットル
ホルマリン 10g/リットル
水酸化ナトリウム 10g/リットル
α,α′−ジピリジル 10ppm
硫化ソーダ 10ppm
めっき処理条件
次いで、水洗及び乾燥することによって、表層プリント配線板を製造した。
得られた表層プリント配線板に対して、JIS C 6481に従って銅皮膜に幅1cmの素地に達するスリットを入れ、90°剥離強度を測定した結果、1.0kgf/cmであった。また、MIL−P−55110Dの耐熱試験を行った結果、密着不良(フクレ等)の発生は認められなかった。
比較例1(パネルめっき方法)
実施例1で使用した回路基板を使用して、以下の工程により、SLCを作製した。
【0028】
基板の回路面に、実施例1と同様に、液状エポキシ樹脂の塗布(乾燥後の膜厚100μm)し、130℃、30時間で予備硬化し、ドリルにより、直径0.3mmの穴を開けた。次いで、硬化樹脂に対して、ベルト研磨した後、0.2M KMnO4 /4M NaOH溶液により、85℃、5分間粗面化し、次いで水洗した。この時の粗面化の程度は6.0μm であった。次に、150℃で1時間熱処理することにより、樹脂を完全に硬化させ、絶縁層を形成した。次に、絶縁層をクリーナーコンディショナー(組成:トリエタノールアミン15g/l、モノエタノールアミン20g/l)により、洗浄/調整し、水洗した後、Pd−Snコロイド溶液に基板を浸漬することにより、触媒を付与し、次いで、水洗し、更に、銅と置換することにより、Snを除去して、密着の増進を図った。
得られた基板を、次いで、10%硫酸により、室温で1分間、酸浸漬し、水洗した後、実施例2と同様にして、硫酸銅めっき、水洗、防錆処理、水洗、乾燥、ドライフィルムイメージング(露光、現像)処理、アルカリエッチング、水洗、ドライフィルム剥離、水洗、そして乾燥することにより表層プリント配線板を製造した。
【0029】
なお、硫酸銅めっき後に乾燥し、JIS C 6481に従って銅皮膜に幅1cmの素地に達するスリットを入れ、90°剥離強度を測定した結果、0.5kgf/cmであった。また、ドライフィルムイメージング後、エッチングして回路を形成した基板に対して、MIL−P−55110Dの耐熱試験を行った結果、密着不良(フクレ等)が発生した。
比較例2(パターンめっき法)
実施例1で使用した回路基板を使用して、以下の工程により、SLCを作製した。
基板の回路面に、実施例1と同様に、液状エポキシ樹脂の塗布(乾燥後の膜厚100μm)し、135℃で1時間で予備硬化し、ドリルにより、直径0.3mmの穴を開けた。次いで、予備硬化したエポキシ樹脂層を0.2M KMnO4 /4MNaOH溶液により、85℃で10分間粗面化し、水洗及び乾燥した。この時の粗面化の程度は7μm であった。次に、150℃で1時間熱処理することにより樹脂を完全に硬化させた。
次に、絶縁層をクリーナーコンディショナー(組成:トリエタノールアミン15g/l、モノエタノールアミン20g/l)により、洗浄/調整し、水洗した後、Pd−Snコロイド溶液に基板を浸漬することにより、触媒を付与し、次いで、水洗し、更に、銅と置換することにより、Snを除去して、密着の増進を図った。
【0030】
次に、実施例4と同様の条件で無電気銅めっき処理を行い、水洗及び乾燥し、無電解銅被膜の上に、ネガ型ドライフィルムを塗工し、イメージング(露光、現像)処理することによって、マスクを形成した。次いで、基板を酸性脱脂剤(日本リーロナール社製ロナクリーンPC−590)で処理し、水洗し、10%硫酸により室温で1分間酸浸漬し、水洗した後、実施例3の場合と同様の硫酸銅めっき処理を行った。
得られた銅被膜を有する基板に対して、JIS C 6481に従って銅皮膜に幅1cmの素地に達するスリットを入れ、90°剥離強度を測定した結果、0.4kgf/cmであった。
次に、基板を水洗し、10%硫酸により室温で1分間酸浸漬した後、再び水洗し、日本リーロナール社製ロナスタンECにより、すずのレジストめっき層を形成した。この時のレジストめっき層の厚みは、10μm であった。
次いで、基板は水洗し、乾燥した後、ドライフィルムを剥離し、水洗し、次いでアルカリエッチングし、更に、水洗及び乾燥して、表層プリント配線板を製造した。
【0031】
得られた表層プリント配線板は、MIL−P−55110Dの耐熱試験を行った結果、密着不良(フクレ等)が発生した。
【0032】
【発明の効果】
本発明では、回路基板に熱硬化性樹脂を塗工し、予備硬化、粗面化、完全硬化、酸性基導入、イオン交換、還元処理を行うことにより、回路基板の上に、熱硬化性樹脂の絶縁層を介して、導電性皮膜を形成することができる。この導電性皮膜は、絶縁層に対する密着力が非常に大きく、優れた表層プリント配線板が製造できる。樹脂上への銅めっきは、従来、触媒付与、無電解銅めっき、そして電気銅めっきプロセス、又はアディティブ法による無電解銅めっき方法が採用されていたが、これらの方法では、密着力の優れた導電性皮膜を絶縁層との間で形成することは困難であった。通常、従来法では、90°剥離強度は0.3〜0.5kgf/cm程度であった。これに対して、本発明の方法によって得られた導電性皮膜を有する表層プリント配線板では、導電性皮膜の絶縁層に対する密着力は、剥離強度として、1.0kgf/cm以上であり、実用上大変に優れている。
また、本発明ではパラジウムのような高価な金属を使用せず、高い電導性を有する電導性皮膜を樹脂表面に形成することができる。例えば、パラジウム−スズコロイド系のダイレクトプレーティング又はそれを触媒とする無電解銅めっきを使用するような場合は、後のエッチング工程において必要な回路部以外に吸着したパラジウム残渣を完全に除去することが比較的困難である。そのため、パラジウム残渣の影響により、回路間の絶縁性が劣化すると言った問題があった。これに対して、本発明の方法では、このような回路間の絶縁性を劣化させる残存物がなく、大変に優れた方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】粗面化と、剥離強度との関係を示す図である。
【図2】NaOH濃度と、剥離強度との関係を示す図である。
Claims (4)
- 以下の工程:
(1)回路基板上に熱硬化性樹脂を塗布し、加熱により予備硬化させることによって予備硬化樹脂層を形成する工程、
(2)前記予備硬化樹脂層を粗面化した後、前記樹脂層を完全に硬化させて、絶縁層とする工程、
(3)前記絶縁層上に、スルホン化剤によりスルホン酸基又はカルボキシル化剤によりカルボキシル基を導入する工程、
(4)前記スルホン酸基又はカルボキシル基に、イオン交換反応によって金属イオンを吸着させる工程、
(5)スルホン酸基又はカルボキシル基に吸着した金属イオンを還元反応によって導電性皮膜に変える工程、
を特徴とする、表層プリント配線板の製造方法。 - 更に工程(5)の後に電気銅メッキにより回路を形成する工程を有する請求項1記載の方法。
- 工程(1)の予備硬化を120〜140℃の温度で行う請求項1の方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の方法で製造された表層プリント配線板。
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