JP3824198B2 - 印画紙用支持体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工速度が大きく、かつ、押出し温度が低い場合であっても、基材と樹脂との接着が十分な強度となり、しかも白色度に優れた印画紙用支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印画紙用支持体の製造方法として、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂を押出機で加熱溶融し、紙等の基材上にフィルム状に押し出し、ニップローラ等で圧着して樹脂を基材にコーティングする押出しラミネート(押出しコーティングとも言う)が広く使用されている。この際、基材と樹脂の接着性を上げるために溶融樹脂の温度は280℃以上であることが必要とされている。また、コロナ処理、フレーム処理等の表面処理が基材に施されることが多かった。
【0003】
しかしながら、このような高温下では樹脂は劣化しやすく、ゲル(酸化劣化した樹脂)の発生、スジ等の発生頻度が極端に多くなるので、樹脂温度を低温にしてラミネートすることが望まれていた。また、経済性の観点から加工速度を増加させる必要があり、100m/min以上の高速加工することが望まれていた。
【0004】
ところが、溶融樹脂温度を低温にしたり、また、加工速度を高速化すると、基材と樹脂との接着力が小さくなるものであり、また、印画紙用支持体としては、白色度・平面性に優れた基材を使用しなければならないが、そのような基材は表面粗さが小さくアンカー効果に劣るため接着が悪いものであった。
【0005】
したがって、接着性を向上させる手段を採らなければならず、その接着性を向上させる手段としては、溶融層へのオゾン処理手段、基材への表面処理手段、溶融樹脂に接着性樹脂を添加する手段、基材側に接着性樹脂を用いた多層成型方法を用いる手段、基材へアンカーコート剤を塗布する手段等があったが、接着性樹脂は価格が高く、また、アンカーコート剤も乾燥負荷なども大きくコストが増加するものであった。
【0006】
また、樹脂を基材に押出しコーティングする際、基材と樹脂間の接着強度を向上させる手段は種々提案されており、例えば、特公昭61−42254号公報及び特開平3−263035号公報で提案されているように、オゾン処理を用いる方法、特公昭62−60970号公報で提案されているように、アンカーコートを用いる方法、特開平8−190171号公報で提案されているように、オゾン処理・コロナ処理・フレーム処理を組み合わせた方法などがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術では、接着性を十分に確保することができず、また、製造コストが大きくなるものであった。したがって、樹脂温度が低く、かつ高速加工であっても、安価に十分な接着性を得るようにできることが要望されていた。
【0008】
本発明は、以上の問題点を解決し、樹脂温度が200〜280℃の低温であり、かつ、100m/min以上の高速加工をする場合であっても、安価に十分な接着強度を得ることができる白色度・平面性に優れた印画紙用支持体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討し、白色度・平面性に優れた基材を用いるとともに、ポリオレフィン系樹脂に分子内不飽和結合を有する化合物を混合した樹脂組成物を用いることによって、接着性が向上することを見出し、さらに、上記樹脂組成物表面をオゾンガスで処理し、また、基材表面を活性化処理(コロナ処理、フレーム処理等)すると、接着性が格段に向上することを見出し、本発明を完成させたものである。
【0010】
本発明の印画紙用支持体は、白色度が75%以上で平面性Raが20μm以下の基材の少なくとも片面に、MIが2〜100であるポリオレフィン系樹脂と、1,2−ポリブタジエンとを含み、分子内不飽和結合の数が炭素原子1000個当り0.2個以上を有するポリオレフィン系樹脂組成物膜が設けられたものであって、該ポリオレフィン系樹脂組成物膜の表面が処理量5〜300mg/m でオゾン処理されるとともに、該基材の表面が処理量10〜80W/m ・分でコロナ処理されていることを特徴として構成されている。
【0011】
本発明の印画紙用支持体は、白色度が75%以上で平面性Raが20μm以下の基材の少なくとも片面に、MIが2〜100であるポリオレフィン系樹脂と、1,2−ポリブタジエンとを含み、分子内不飽和結合の数が炭素原子1000個当り0.2個以上を有するポリオレフィン系樹脂組成物膜が設けられたものであって、該ポリオレフィン系樹脂組成物膜の表面が処理量5〜300mg/m でオゾン処理されるとともに、該基材の表面が出力34614〜461527W/m、プラズマインデックス値が20〜95%でフレーム処理されていることを特徴として構成されている。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明においては、分子内不飽和結合を多く持つポリオレフィン系樹脂組成物を用いるもので、このような樹脂組成物を用いることにより、溶融膜面へのオゾン処理等の表面処理の効果が増大するものであり、溶融膜及び基材への表面処理とあいまって、樹脂温度200℃〜280℃、加工速度100m/min以上でも良好な接着が得られるものである。
【0013】
分子内不飽和結合の数は、ポリオレフィン系樹脂組成物全体中において、1000炭素原子当り0.2個以上であることが必要であり、好ましくは0.25個以上、より好ましくは0.45個以上である。分子内不飽和結合の数が0.2個未満であると接着性向上効果が小さい。
【0014】
分子内不飽和結合を有する化合物としては、具体的には、分子内に複数の不飽和結合を有する化合物、ポリブタジエン、好ましくは1,2−ポリブタジエン、ポリイソプレン、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三次元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アリル、エチレン−(メタ)アクリル酸ビニルなどから選択される少なくとも1種の化合物、オリゴマー又は重合体を挙げることができる。これらの中でも、1,2−ポリブタジエン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、ポリイソプレン、特に1,2−ポリブタジエンの共重合体が、取扱い、作業性等から好ましい。これらは一種のみならず二種以上を併用することができる。
【0015】
また、表面に凹凸があるような基材の場合は、樹脂の溶融粘度を下げることなどにより、樹脂がその凹凸に食い込むことによる効果(アンカー効果)を高めることも接着を向上させることに有効である。このため、本発明によるポリオレフィン系樹脂の粘度としては、MI値として2〜100の範囲にあることが好ましく、5〜90の範囲にあることがより好ましく、8〜80の範囲にあることが最も好ましい。MI値が2未満であると、アンカー効果が少なくなり、100を越えると粘度が低すぎるために押出加工上好ましくない。なお、MI値とは、熱可塑性樹脂の溶融時における流動性を表す尺度をいい、JIS K 7210に規定された押出型プラストメータを用いて、一定の温度及び圧力でオリフィスから熱可塑性樹脂を押出し、押出された量を10分当たりのグラム数に換算して表した数値を言う。
【0016】
画像を形成する媒体であるため、印画紙は白色度、平面性に優れていることが要求される。このため、使用する基材としても白色度、平面性に優れたものを使用することが必要であり、白色度としては、蛍光色を発光させる低波長の光を含む光源を用い、サンプルに当てたその光源の440nmでの反射光が75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。また、平面性としてはRaで20μm以下、より好ましくは10μm以下である。
【0017】
本発明に用いられる基材としては、天然パルプを主成分とする通常の天然パルプ紙、天然パルプと合成繊維とから成る混抄紙、合成繊維を主成分とする合成繊維紙、ポリスチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂フィルムを擬紙化した、所謂合成紙あるいは白色ポリエステルフィルム、白色発泡フィルムの何れでもよいが、印画紙用の基材としては、天然パルプ紙(以下、単に原紙という)が特に好ましく用いられる。
【0018】
原紙に対する添加薬品としては、アルキルケテンダイマーの他、クレー、タルク、炭酸カルシウム、尿素樹脂微粒子等の充填剤、ロジン、高級脂肪酸塩、パラフィンワックス、アルケニルコハク酸等のサイズ剤、ポリアクリルアミド等の紙力増強剤、硫酸バンド等の定着剤などを添加したものが用いられる。その他、必要に応じて、染料、蛍光染料、スライムコントロール剤、消泡剤等が添加される。
【0019】
また、必要に応じて以下の柔軟化剤を添加することができる。柔軟化剤に関しては、例えば新・紙加工便覧(紙薬タイム社編),554〜555頁(1980年発行)に記載があるが、特に分子量200以上のものが好ましい。この柔軟化剤は、炭素数10以上の疎水性基を有し、又、セルロースと自己定着するアミン塩又は第4級アンモニウム塩となっている。
【0020】
柔軟化剤の具体例としては、無水マレイン酸共重合物とポリアルキレンポリアミンとの反応生成物、高級脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとの反応生成物、ウレタンアルコールとアルキル化剤との反応生成物、高級脂肪酸の4級アンモニウム塩等が挙げられるが、特に無水マレイン酸共重合物とポリアルキレンポリアミンとの反応生成物、ウレタンアルコールとアルキル化剤との反応生成物が好ましい。
【0021】
パルプ表面に、ゼラチン、スターチ、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの変性物等の皮膜形成性ポリマーにより、表面サイズ処理することもできる。この場合のポリビニルアルコールの変性物としては、カルボキシル基変性物、シラノール変性物及びアクリルアミドとの共重合物等が挙げられる。また皮膜形成ポリマーの塗布量は、0.1〜5.0g/m2、好ましくは0.5〜2.0g/m2に調製される。更に、上記皮膜形成性ポリマーには、必要に応じて帯電防止剤、蛍光増白剤、顔料、消泡剤などを添加することができる。
【0022】
原紙は、上述したパルプ及び必要に応じて添加した充填剤、サイズ剤、紙力補強剤、定着剤等の添加剤を含有したパルプスラリーから、長網抄紙機等の抄紙機により抄紙し、乾燥し、巻き取って製造される。この乾燥の前後のいずれかにおいて、前記表面サイズ処理が行われ、又、乾燥後から巻き取りの間にカレンダー処理が行われる。
【0023】
上記のカレンダー処理は、表面サイズ処理を乾燥後に行う場合には、表面サイズ処理の前後のいずれにおいても実施することができるが、各種処理を実行した最終の仕上げ工程でカレンダー処理を実施することが好ましい。カレンダー処理に使用する金属ロールや弾性ロールは、通常の紙の製造に用いられる公知のものが使用される。本発明の印画紙用支持体に用いられる原紙は、上述したカレンダー処理によって、最終的に、50〜250μmの膜厚に調製される。原紙の密度は、0.8〜1.3g/m3、好ましくは1.0〜1.2g/m3である。
【0024】
白色度向上のためには、充填剤として一般に酸化チタンを用いる。
【0025】
酸化チタンの形態は、アナターゼ型であってもルチル型であっても良いが、白色度を優先する場合にはアナターゼ型を使用することが好ましく、鮮鋭度を優先する場合にはルチル型を使用することが好ましい。また、白色度及び精鋭度の双方を考慮して、アナターゼ型とルチル型とをブレンドして用いても良いし、酸化チタン含有層を2層として、一方の層にアナターゼ型酸化チタンを添加し、他方の層にルチル型酸化チタンを添加しても良い。
【0026】
酸化チタンの平均粒子サイズは0.1〜0.4μmの範囲であることが好ましい。その平均粒子サイズが0.1μm未満となると、樹脂層中に均一に混合分散することが困難となり、逆に、0.4μmを超えると、十分な白色度が得られない上樹脂層表面に突起が生じ、画質に悪影響を及ぼす。このような形態及び平均粒子サイズを有する酸化チタンとしては、例えば、チタン工業株式会社製の商品名KA−10やKA−20、石原産業株式会社製の商品名A−220、PF−656、PF−654、PF−671、PF−715、CR−63などが挙げられる。
【0027】
この酸化チタンとしては、その活性を抑えて黄変を防止するため、一般に、その表面を含水酸化アルミニウム、含水酸化珪素等の無機物質で表面処理したもの、多価アルコール、多価アミン、金属石鹸、アルキルチタネート、ポリシロキサン等の有機物質で表面処理したもの、及び無機物質・有機物質の処理剤を併用して表面処理したもの等を使用することができる。こられの処理剤は、無機物質にあっては、酸化チタンに対して0.2〜2.0重量%、有機物質にあっては、0.1〜1.0重量%の範囲で使用することが好ましい。
【0028】
酸化チタンは、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エチル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸等を分散助剤として用い、2本ロール、3本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で耐水性樹脂中に練り込まれる。得られた酸化チタン含有耐水性樹脂は、ペレット形状に形成され酸化チタンのマスターバッチとして用いられる。
【0029】
マスターバッチペレット中の酸化チタン濃度は、経済性や分散性等の観点から、一般に30〜75重量%程度であることが好ましく、特に35〜70重量%であることが好ましい。分散助剤は、酸化チタン量に対して、一般に0.5〜10重量%程度であることが好ましい。マスターバッチペレット中の酸化チタン濃度が30重量%未満となると、希釈倍率が小さくなり不経済となる。逆に75重量%を超えると分散性が劣ったり、曲げたときにひび割れが生じやすくなる。
【0030】
本発明に使用するブルーイング剤としては、一般に知られる群青、コバルトブルー、酸化燐酸コバルト、キナクリドン系顔料等とそれらの混合物が挙げられる。本発明において使用するブルーイング剤の粒子径は、解像力を向上させる観点から、0.05〜5μmの範囲であることが好ましく、特に好ましくは、0.1〜3μmである。
【0031】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物層におけるブルーイング剤の含有量は、好ましくは0〜0.56重量%、更に好ましくは0.05〜0.4重量%、最も好ましくは0.07〜0.30重量%である。0.56重量%を越えると、解像力(シャープネスという)は向上するものの、画像が青味を帯びるので商品価値が低下する。下層側に用いる場合には、0.05〜0.60重量%であることが好ましく、特に0.07〜0.45重量%であることが好ましく、0.10〜0.30重量%であることが最も好ましい。0.05重量%未満であると、低周波数CTF値が下がり、解像力を向上させる効果が小さくなる。
【0032】
ブルーイング剤は、2本ロール、3本ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機で樹脂中に練り込まれる。得られたブルーイング剤含有樹脂はペレット形状に成形され、ブルーイング剤のマスターバッチとして用いられる。マスターバッチペレット中のブルーイング剤の濃度は、1〜30重量%程度であることが、経済性や分散性等の観点から好ましい。ブルーイング剤のマスターバッチペレットを成形する際に、酸化チタンを一緒に練り込むこともでき、またブルーイング剤の分散を助けるために、低分子量の耐水性樹脂、高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸等の分散助剤を用いることができる。
【0033】
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物層中には、酸化防止剤を含有させることもできる。その含有量は、樹脂量に対して50〜1,000ppm程度であることが、写真性に悪影響を与えず樹脂の劣化を防止することができる観点から好ましい。こうして作製された酸化チタン及び/又はブルーイング剤を含有するマスターバッチペレットは、樹脂を用いて適宜希釈し、塗布用に供される。
【0034】
充填剤の添加量は5〜45重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0035】
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂組成物膜となる溶融膜に表面処理を施すとともに、基材にも表面処理を施すことが接着性を向上させるので好ましい。この溶融膜への表面処理としては、オゾン処理、コロナ処理、酸素リッチなガスの吹き付け処理等があり、基材への表面処理としては、コロナ処理、フレーム処理、アンカーコート処理、プラズマ処理、グロー放電処理等がある。
【0036】
溶融膜に施すオゾン処理は、そのオゾン処理量が、5〜300mg/m2 であることが好ましい。オゾン処理量が5mg/m2 未満であると、オゾン処理効果はほとんど見られず、300mg/m2 を越えると、オゾン飛散量が多くなり作業環境上好ましくない。また、前記溶融膜へのコロナ処理、酸素リッチなガス吹き付けなど溶融膜表面の酸化を促す手段であれば目的は達成できる。この時、ESCAによる酸化度は0.005から0.05の値を示した。
【0037】
基材に施すコロナ処理は、そのコロナ処理量が、10〜80W/m2・分であることが好ましい。10W/m2・分未満であると、コロナ処理による接着向上効果が小さく、80W/m2・分を越えると、処理量が大きすぎるため基材に小さな穴が開くなどの欠陥が生じる。
【0038】
基材に施すフレーム処理は、その出力が34614〜461527W/mであることが好ましい。出力が34614W/m未満であると、処理効果が小さく、461527W/mを越えると基材のダメージが大きくなり過ぎる。また、プラズマインデックス値が20〜95であることが好ましい。プラズマインデックス値が20未満又は95を越えると処理効果が小さくなるものである。なお、プラズマインデックス値とは、空気/ガス混合比をいう。
【0039】
本発明の印画紙用支持体を製造することができる押出しラミネート装置の一例を図1及び図2に示す。
【0040】
図1は押出しラミネート装置のラミネート部分の概略図、図2は押出しラミネート装置のオゾンを吹き付ける部分の概略図である。
【0041】
図1において、1は冷却ローラで、この冷却ローラ1に隣接してニップローラ2及びバックアップローラ3が連続して設けられている。ニップローラ2の上方にはポリオレフィン系樹脂組成物の溶融樹脂の押出しダイ4が設けられており、ニップローラ2の反対側には剥離ローラ5が設けられている。また、バックアップローラ3の側方にはコロナ処理ローラ6が設けられており、この上方にコロナ処理機7が設けられている。これらのコロナ処理ローラ6、ニップローラ2、冷却ローラ1及び剥離ローラ5で基材8の走行路が設定されている。
【0042】
以上のような押出しラミネート装置においては、基材8を図中左から右へ走行させつつ、ダイ4から溶融樹脂フィルム9を基材8上へ吐出し、この溶融樹脂フィルム9は冷却ローラ1とニップローラ2間でニップされ、この圧力等により溶融樹脂フィルム9は基材8上に強固に接着される。そして、冷却ローラ1により冷却・固化される。
【0043】
なお、基材8は、溶融樹脂フィルム9のラミネートの直前において、コロナ処理機7により、コロナ処理が施されている。また、必要に応じて、図2に示すように、オゾン吹き付けノズル10を設け、溶融樹脂フィルム9のラミネートの直前にオゾン処理を施してもよい。
【0044】
【実施例】
[実施例1〜9、比較例1〜3、6、7]
厚み175μm、幅300mm、白色度90%、表面性Ra5μmの原紙の表面に、低密度ポリエチレン系樹脂組成物に酸化チタンを10wt%、群青を0.07wt%、蛍光増白剤を0.001wt%混ぜて30μmの厚さとなるようにラミネートした。溶融樹脂の温度は250℃とした。
【0045】
[比較例4]
厚み175μm、幅300mm、白色度50%、表面性Ra5μmの原紙を用いた他は、実施例と同一である。
【0046】
[比較例5]
厚み175μm、幅300mm、白色度90%、表面性Ra30μmの原紙を用いた他は、実施例と同一である。
【0047】
[実施例及び比較例に用いた低密度ポリエチレン系樹脂組成物]
実施例及び比較例に用いた低密度ポリエチレン系樹脂組成物は、MI値20、密度0.92g/cm3のLDPEに以下に記載するような分子内不飽和結合数となるように、1,2−ポリブタジエンを添加した3種類である。
樹脂A 分子内不飽和結合数/1000炭素原子:0.3
樹脂B 分子内不飽和結合数/1000炭素原子:5.0
樹脂C 分子内不飽和結合数/1000炭素原子:0.0
【0048】
[接着評価方法]
基材と樹脂との接着は下記の方法で評価した。
サンプルを15mmの幅で裁断し、基材(紙)と樹脂膜を注意深く剥がし、剥がれ方により次の3段階で評価した。
○:樹脂膜に紙が強固に一体化し、樹脂の糸引きもない。
△:それほど丁寧でなくとも剥離可能
×:容易に剥がれる
△のレベルで実用上問題の無いレベルである。
【0049】
[結果]
結果を表1に記載する。
【0050】
【表1】
Figure 0003824198
【0051】
なお、印画紙用支持体としての白色度は、80以上が必要であり、また、印画紙には様々な面積のものが用いられるが、平面性が悪いと見た目が悪くなり、特に光沢面においては表面粗さが2μm以下であることが必要である。
【0052】
以上の結果より、以下に記載することが確認された。
【0053】
実施例3と実施例6と実施例9との比較により、末端のビニル基が多い樹脂ほど基材と樹脂との接着は良化することが分かる。
【0054】
比較例1、2、3に示すように、分子内不飽和結合の無い樹脂組成物(分子内不飽和結合を有する化合物を添加しない樹脂組成物)を用いると、実施例1、4と同一条件又は好条件で加工したにもかかわらず、接着は不十分であった。
【0055】
実施例4と比較例4との比較結果より、白色度の低い原紙を用いると十分な白色度を得ることができなかった。
【0056】
実施例4と比較例5との比較結果より、表面粗さの大きい原紙を用いると十分な表面粗さを得ることができなかった。
【0057】
実施例4と比較例6との比較結果より、基材にコロナ処理を施すことにより、接着性が向上したことが分かる。
【0058】
実施例4と比較例7との比較結果より、溶融膜にオゾン処理を施すことにより、接着性が向上したことが分かる。
【0059】
なお、温度320℃で加工した場合には、同じ白色度を得るのに群青は0.08%、蛍光増白剤は0.0012%必要であった。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、低温・高速加工においても製造コストを上昇させること無く、基材と樹脂膜との接着が十分で白色度・平面性に優れた印画紙用支持体を得ることができる。また、樹脂の押出し温度を低くすることができるので、樹脂の酸化を防止することができ、その結果、樹脂の酸化による黄色味が強くなることを防止できる。さらに、黄色味を弱くすることができるので、色味調整剤(蛍光増白剤、群青等)の添加量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による印画紙用支持体を製造することができる押出しラミネート装置の一例のラミネート部分の概略図
【図2】 本発明による印画紙用支持体を製造することができる押出しラミネート装置の一例のオゾンを吹き付ける部分の概略図である。
【符号の説明】
1 冷却ローラ
2 ニップローラ
3 バックアップローラ
4 押出しダイ
5 剥離ローラ
6 コロナ処理ローラ
7 コロナ処理機
8 基材
9 溶融樹脂フィルム
10 オゾン吹き付けノズル

Claims (2)

  1. 白色度が75%以上で平面性Raが20μm以下の基材の少なくとも片面に、MIが2〜100であるポリオレフィン系樹脂と、1,2−ポリブタジエンとを含み、分子内不飽和結合の数が炭素原子1000個当り0.2個以上を有するポリオレフィン系樹脂組成物膜が設けられたものであって、該ポリオレフィン系樹脂組成物膜の表面が処理量5〜300mg/m でオゾン処理されるとともに、該基材の表面が処理量10〜80W/m ・分でコロナ処理されていることを特徴とする印画紙用支持体。
  2. 白色度が75%以上で平面性Raが20μm以下の基材の少なくとも片面に、MIが2〜100であるポリオレフィン系樹脂と、1,2−ポリブタジエンとを含み、分子内不飽和結合の数が炭素原子1000個当り0.2個以上を有するポリオレフィン系樹脂組成物膜が設けられたものであって、該ポリオレフィン系樹脂組成物膜の表面が処理量5〜300mg/m でオゾン処理されるとともに、該基材の表面が出力34614〜461527W/m、プラズマインデックス値が20〜95%でフレーム処理されていることを特徴とする印画紙用支持体。
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