JP3824036B2 - 脱酸素剤組成物 - Google Patents

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    • C09K15/04Anti-oxidant compositions; Compositions inhibiting chemical change containing organic compounds

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、漆器、仏像等の木製彫刻、板絵、木造建物、華角等の角、骨を利用した工芸品、絹・綿・麻等の織物や染織物、古本・古文書・和紙・書籍・典籍・文書・巻物等の紙製資料、油彩画・水彩画・日本画・書画等の絵画、琥珀、各種染料や顔料、昆虫や植物の標本、皮革、写真ネガフィルム・プリント写真・マイクロフィルム・スライド等の写真類、楽器の弦など、酸化により強度低下や変褪色を起こしたり、コクゾウ虫などの虫の被害を受けたりする有機物で構成される文化財を保存するために用いられる脱酸素剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機物で構成される文化財は、保存に際してできるだけ中湿度に保ち、かつ湿度変化が少ないことが望ましい。そのため、空調設備により機械的に温度を20℃〜25℃程度、相対湿度を30%RH〜50%RH程度に調湿した室内、庫内に保存することが一般的に行われている。また、調湿剤や調湿箱を用いて更に積極的に湿度を一定に保つ事も行われている。しかし、いずれにしても保存環境から酸素を除去している訳ではなく、酸素との反応による変色や脆弱化、黴などの微生物の繁殖により、その価値を喪失していたのが現実であった。また、殺虫のため臭化メチルを用いた薫蒸も行われているが、倉庫内にいつまでも臭化メチルの臭気がこもり作業者の健康への危惧が具体化している。
【0003】
また、有機物で構成される文化財の保存に、脱酸素剤を利用している場合もある。しかし、従来の脱酸素剤には、鉄や炭化鉄などの鉄粉とハロゲン化金属等の電解質からなる組成物、亜硫酸塩・チオ硫酸塩・第一鉄塩等の還元性の無機塩、ヒドロキノン・カテコール・レゾルシン・ピロガロール等のポリフェノール類や、グルコース等の還元性糖類、アスコルビン酸やエリソルビン酸等の還元性の多価アルコール、グリセリン等の還元剤が被酸化主剤として用いられるが、何れも酸素吸収反応に水分を必要とし、一般的には脱酸素剤組成物自身が水分を保有しており、密閉容器内の湿度を上昇させ、結果的に保存対象物に水分を与えるので好ましくない。また、脱酸素剤組成物自身が水分を保有していない場合は、密閉雰囲気から水分を奪ったり、酸素吸収速度が密閉雰囲気中の湿度に影響され遅くなるなど性能が不安定になるので好ましくない。
【0004】
また、中湿度に保ったまま酸素を除去する方法として、不飽和脂肪族化合物と酸素吸収を促進する物質からなる脱酸素剤と調湿剤からなる脱酸素剤組成物と共にガスバリア性のある袋に密封し、写真を保存する方法が特開平4−96060に、また古本、古文書、磁気テープ、医薬品を保存する方法が特開平4−100537に開示されている。しかし、これら公報の実施例に用いられている脱酸素剤組成物を用いると、本願比較例中にも示すように、ホルムアルデヒド等が脱酸素反応により発生していることが判明した。例えば、ホルムアルデヒドが存在すると、顔料の一種である密陀僧(一酸化鉛)は還元されて黄色から白色に変色するなど、脱酸素時に発生するホルムアルデヒド等は反応性であり、ある種の染料や顔料を変色させることがあるため、これら公報の脱酸素剤組成物は有機物で構成される文化財保存用の脱酸素剤としては極めて完成度の低いものであった。
【0005】
また、これらの公報には、脱酸素剤組成物中の吸着剤として、パーライト、活性炭、ゼオライトが例示されている。また、不飽和脂肪族化合物の酸素吸収により分解してくる物質を吸収するものとしてアミン化合物や酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウムなどの塩基性物質が例示されている。しかし、ホルムアルデヒドなどの反応性ガスを吸着するためにパーライトやゼオライトを用いても、中湿度雰囲気では吸着サイトをまず水の分子が覆ってしまうため、有効にこれら反応性ガスを吸着することはできない。また、活性炭は比較的中湿度雰囲気であっても有効に機能するが、ホルムアルデヒドの吸着量は少ないため、大量に必要となり好適でない。また、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウムでは、比較例にも示す通りこれら反応性ガスを有効に吸収することはできなかった。更にこれらの公報には塩基性物質としてアミン化合物が挙げてあるが、具体的にどのようなアミン化合物がよいか全く例示されておらず、アミン化合物を単にそのまま用いても効果がなかった。
【0006】
また、これらの技術では中湿度で使うため調湿剤を用いることが提案されているが、実際に調湿剤を用いるとその分だけ脱酸素剤組成物自身が大きくなり、調湿剤を使わずに済むならばその方が好ましい。被酸化主剤の担持体として、紙、不織布、パーライト、活性炭、ゼオライトが挙げてあるが、紙、不織布は、被酸化主剤を担持するとべたつくので実際的でない。また、活性炭に担持した場合、酸素との反応性が高すぎて、空気中で失活し易く、発熱が大きいなど、取り扱いに不便なので好ましくない。また、パーライトやゼオライトは、それ自身が水分吸収能力を有しており、密閉系内の湿度を変動させるため、やむなく調湿剤を使わざるを得なくなっていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガスバリア性の容器内に保存対象物と共に密閉することで、密閉容器内を保存対象物の有する水分と平衡になった中湿度雰囲気に保ち、その中湿度雰囲気下で、保存対象物に水分を与えたり、保存対象物から水分を奪う事がない脱酸素剤組成物を提供するものである。また、脱酸素反応に伴って発生するホルムアルデヒド等の反応性ガスは、有機物で構成される文化財に悪影響を与える可能性があるため、係る反応性ガスを吸収する能力をも併せ持つ脱酸素剤組成物を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、有機物で構成される文化財の保存に関し鋭意研究したところ、密閉系内の酸素を取り除くことは有機物で構成される文化財の保存に有効ではあるが、従来のような水分を吸放出させるような脱酸素剤では、中湿度雰囲気に保つことができず、有機物で構成された文化財に悪影響を与えるため、水分を吸放出しない有機系脱酸素剤を選定することが必要であり、更に、有機系脱酸素剤の酸素吸収反応に伴って発生するホルムアルデヒドは、有機物で構成される文化財と化学反応を起こし悪影響を与えるため、ホルムアルデヒド吸収剤を同時に用いることで、有機物で構成される文化財の保存に好適な脱酸素剤組成物が得られることを見出した。即ち、被酸化主剤が多孔性物質に含浸されてなる水分を吸放出しない有機系酸素吸収剤(A)と多孔性物質にアミン、チオールまたはスルホン酸の少なくとも1種を担持した水分を吸放出しないホルムアルデヒド吸収剤(B)からなることを特徴とし、前記被酸化主剤が、不飽和脂肪酸化合物および/または不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物であること、好ましくは前記多孔性物質が、200Å〜5000Åの平均細孔径を有する多孔性の珪酸塩であって、更に好ましくはその多孔性の珪酸塩が珪藻土、鹿沼土、セピオライトであることを見出した。
【0009】
また、脱酸素反応に伴って発生するホルムアルデヒドは、ゼオライト等の吸収剤によって乾燥時は十分に吸着されるが、有機物で構成される文化財が保存される中湿度域では、水の分子が妨害するため十分に吸着されない。中湿度雰囲気でもホルムアルデヒドを有効に吸収するには、ホルムアルデヒド吸収剤(B)が、相対湿度に関係なくこれらのガスに対する吸収能力を有し、多孔性物質にアミン、チオールまたはスルホン酸の少なくとも1種を担持したものであることを特徴とし、前記アミン、チオールまたはスルホン酸が、温度50℃で固体であることが好ましく、更に好ましくはアミン、チオールまたはスルホン酸がアミノ基及びスルホ基を分子中に共有する4B酸、メタニル酸、2B酸、ナフチオン酸、トビアス酸、スルファニル酸、C酸、G酸、J酸、ガンマ酸、H酸、R酸またはアミノ基及びメルカプト基を共有するシスティンの少なくとも1種であり、また、前記アミン、チオールまたはスルホン酸が、活性炭または200Å〜5000Åの平均細孔径を有する多孔性の珪酸塩に担持されていることが好ましく、更に好ましくはその多孔性の珪酸塩が珪藻土、鹿沼土、セピオライトであることを見出した。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる有機系酸素吸収剤(A)は、水分を吸放出することが無く、かつ、酸素の吸収に水分を必要とせず、相対湿度に依存することなく安定して酸素を吸収できるものであることが好ましい。なお、本文中における水分を吸放出しないとは、その物から水分が放出されたり、その物に水分が吸着したりすることが全くないという意味ではなく、例えば、20℃、40%RHの相対湿度を示す密閉容器内にその物を入れた場合に、その物の表面で水分が吸脱着しているが、平衡状態では密閉容器内の湿度は40%RH付近を保つという意味である。本発明に用いられる有機系酸素吸収剤(A)の被酸化主剤としては、不飽和脂肪酸化合物や不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物等の不飽和有機化合物、ポリアミドやポリオレフィンなどの熱可塑性重合物が例示され、一般に実用的な酸素吸収速度を得るため、遷移金属塩等の酸素吸収促進物質を含ませることが好ましい。中でも不飽和脂肪酸化合物や不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物を被酸化主剤とし、酸素吸収促進物質を含む酸素吸収剤が好ましい。
【0011】
本発明で用いられる不飽和脂肪酸化合物は、炭素数が10以上で炭素間に2重結合を持つ不飽和脂肪酸、または、該不飽和脂肪酸の塩もしくはエステルである。該不飽和脂肪酸およびその脂肪酸の塩もしくはエステルには、置換基、例えば水酸基、ホルミル基等を有していても良い。また、不飽和脂肪酸化合物は必ずしも純物質である必要はなく、天然物のような混合物でもよい。不飽和脂肪酸化合物の例として、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、パリナリン酸、ダイマー酸またはリシノール酸等の不飽和脂肪酸、およびこれらのエステルを含有するアマニ油、大豆油、桐油、糠油、胡麻油、綿実油、菜種油、トール油等の油脂、エステル類、金属塩が挙げられる。また、不飽和脂肪酸として、植物油、動物油から得られる脂肪酸、例えば、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、桐油脂肪酸、糠油脂肪酸、胡麻油脂肪酸、綿実油脂肪酸、菜種油脂肪酸、トール油脂肪酸等も用いられる。
【0012】
また、本発明で用いられる不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物は、液状ブタジエンオリゴマー、液状イソプレンオリゴマー、液状アセチレンオリゴマー、液状スチレンブタジエン共重合体、液状アクリロニトリルブタジエン共重合体、液状クロロプレンオリゴマー、液状不飽和ポリエステル樹脂、天然ゴム等の液状オリゴマーが挙げられる。これらの液状オリゴマーは必ずしも単一物質である必要はなく、2種以上の混合物であっても良いし、共重合していても良い。また、その製造時に混入してくる溶媒等の少量の不純物は、常識的な範囲で許容される。また、本発明に用いられる不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物は、ハロゲン基、ヒドロキシル基、カルボニル基、エーテル基、カルボキシ基、エステル基などの不飽和基以外のその他置換基を持っていてもよい。例えば、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヒドロペルオキシ基、エポキシ基、オキソ基、ヒドロキシメチル基、アシル基、アミノ基、イミノ基、ニトリロ基、ニトロ基、ニトロソ基、アミド基、イミド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、ジアゾ基、アジド基、ヒドラジノ基、アゾ基、複素環基などの官能基により置換されていても良い。
【0013】
また、被酸化主剤の酸素吸収促進物質としては、有機化合物の酸化を促進する金属化合物やラジカル開始剤等を被酸化物質と混合して使用することが好ましい。金属化合物としては、Cu、Fe、Co、Ni、Cr、Mn等の遷移金属塩が好ましく、また、酸素吸収性能・安全性を考慮するとMn、Feの遷移金属塩がより好ましい。遷移金属塩として、例えば、硫酸塩・塩化物塩・硝酸塩等の無機塩、脂肪酸塩・アセチルアセトン金属塩等の有機塩、アルキル金属化合物等が好適に用いられる。また、ラジカル開始剤としては、カテコール類、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、過酸化ベンゾイル等の過酸化物があげられる。また、被酸化主剤が酸素吸収促進物質を兼ねる場合は、あえて別に酸素吸収促進物質を添加する必要はない。
【0014】
また、本発明に用いられる酸素吸収促進物質を含んだ被酸化主剤は、酸素吸収速度を促進し、かつ、取り扱い性を高めるため、多孔性物質に含浸する事が好ましい。一般的に、脱酸素剤の被酸化主剤を含浸するための多孔性物質は、被酸化主剤をできるだけ多く含浸できる含浸率の高い細孔容積の大きいものがよく、また、酸素吸収速度を速めるために適度な比表面積を有す必要がある。
また、本発明では、水分を吸収する多孔性物質の場合は、密閉容器内の保存環境から水分を吸収して湿度の低下を招いたり、保存対象物から水分を奪い、保存対象物の強度が低下したり剥離が生じるなどの物理的な変化を与えるので好ましくなく、多孔性物質でも水分を吸収しない性質を有する必要がある。多孔性物質の材質は種々あるが、通常安価に入手できる物は活性炭、骨炭等の活性炭類とゼオライト、シリカゲル、モルデナイト、活性白土等の珪酸塩である。活性炭は炭素を基本構成元素としているため一般に非極性で、疎水性表面であり、水分は吸着し難く、40%RH以下では水分をほとんど吸着しない。しかし、40%RH以上では毛管現象により吸着し始める。本発明における被酸化主剤の含浸担体として、活性炭は水分を吸着しないという点では優れているが、比表面積が数100m2/g以上と大きいため、酸素と反応して失活し易く、発熱性も大きいので、空気中での取り扱いに不便であるため好ましくない。
一方、珪酸塩は一般式xM2 O・ySiO2 で表され、活性炭よりも極性分子である水分を吸着し易い。そのため、温度、相対湿度の変化により、水分を吸着したり、逆に吸着している水分を放出したりするなどして、吸放出し得る水分量が多い場合は、密閉容器内の相対湿度を安定して中湿度域に保つことが難しくなる。水分子の分子径は2.8Åであり、多孔性の珪酸塩の細孔径がこれに近い例えば、ゼオライト(〜10Å)、シリカゲル(10Å〜200Å)、アルミナゲル(40Å〜400Å)、活性白土(20〜300Å)等では、吸湿力、吸湿量はそれぞれの組成、細孔構造を反映して異なるもののの、水分子が細孔に吸着して脱着し難くなるので水分吸収性能が備わってくる。そのため、本発明に用いられる酸素吸収促進物質を含んだ被酸化主剤は、多孔性の珪酸塩の中でも、ほとんど水分を吸着しない(20℃、40%RHでの吸湿率が5wt%以下)、いわゆるマクロポア(500Å以上)付近の200Å〜5000Åの平均細孔径を有する物に含浸させることが好ましい。これ以上平均細孔径が大きな場合は、被酸化主剤の含浸が十分でなく、浸み出しなどが生じてハンドリングに支障を生じる場合があり好ましくない。平均細孔径がこれ以下の場合は、いわゆるミクロポア(20Å以下)、メソポア(20Å〜500Å)の細孔が主要となり、水分を強く吸着する傾向が強くなり好ましくない。200Å〜5000Åの平均細孔径を有する多孔性の珪酸塩としては、珪藻土、クリストバライト、鹿沼土や味噌土やボラや軽石(浮石)等のアロフェン、セピオライト、多孔質ガラス等が例示されるが、中でも細孔容積が比較的大きく被酸化主剤を多く含浸できる珪藻土、鹿沼土、セピオライトが好ましい。また、強度を増し、被酸化主剤の含浸率に変化を与えることなく、ミクロポアをつぶして更に水分を吸収しなくなるので、これらを焼結温度以下の800℃程度で焼成したものが更に好ましい。
【0015】
本発明の酸素吸収剤で、不飽和脂肪酸化合物や不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物を被酸化主剤とした場合の各成分の割合は、被酸化主剤100重量部に対して酸素吸収促進剤は0.01〜40重量部、好ましくは0.05〜30重量部、更に好ましくは0.1〜10重量部の範囲である。担体となる多孔性物質は、被酸化主剤100重量部に対して1〜1000重量部、好ましくは10〜700重量部、更に好ましくは100〜400重量部である。
【0016】
本発明のホルムアルデヒド吸収剤(B)は、有機物で構成される文化財用の脱酸素剤として、有機系の酸素吸収剤を用いる場合の必須成分である。本発明者らは鋭意研究したところ、有機系の酸素吸収剤は、被酸化主剤である有機物の酸化反応を利用するが、その酸化反応に伴って被酸化主剤が分解し、多くの反応生成物の中にホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、酢酸等の低級アルデヒドや低級カルボン酸が生成することが判明した。これらは反応活性が高く、特にホルムアルデヒドは高い還元性を有するため、たとえ微量であっても有機物で構成される文化財の顔料成分などと反応してその価値を低減させるため、有機系の酸素吸収剤はホルムアルデヒド等に対する吸収能力を有する吸収剤とともに使用することが必要である。しかしながら、有機物で構成される文化財は中湿度域で保存されるため、この吸収剤は水分を吸放出せず、かつ、吸収性能が中湿度域でも影響されないことが必要である。典型的なガス吸収剤の一つであるゼオライトは、乾燥時はこれらホルムアルデヒド等に対する強い吸収能力を有するが、中湿度域では水分子が吸着サイトを占めてしまい、その吸収能力を奪ってしまう。それゆえ相対湿度に関係なく、C1 〜C12の低級アルデヒドガスを0.05ppm以下まで吸収でき、C1 〜C9 の低級カルボン酸ガスを0.05ppm以下まで吸収できる物質が必要である。係るホルムアルデヒド吸収剤(B)としては、多孔性物質にアミン、チオールまたはスルホン酸の少なくとも1種を担持してなるものが好ましい。
【0017】
アミン、チオールまたはスルホン酸が、本発明が実際に使用される常温付近で液体の場合は、固体に比べ蒸気圧が高く、密閉容器内に充満した係る物質が逆に保存対象物に悪影響を及ぼすおそれがあるので、係る物質は、温度50℃で、すなわち、常温付近で固体であることが好ましい。
【0018】
ここで、アミンとしては、尿素やチオ尿素やエチレン尿素等の尿素化合物、ヒドラジン化合物、ジシアンジアジド及びその酸塩、塩酸ヒドロキシアミンや硫酸ヒドロキシアミン等のヒドロキシアミン、リン酸グアニジンやスルファミン酸グアニジンや塩酸アミノグアニジン等のグアニジン塩、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、エタノールアミン等のアミノアルコール、アミノフェノール、フェニルエチルアミンやフェニルエタノールアミン等のフェニルアミン、ドーパミン等のカテコールアミン、セロトニン等のインドールアミン、2ーメチルイミダゾールや4ーメチルイミダゾール等のイミダゾール類、プトレッシン等のポリアミン、アミノ安息香酸、アミノベンゼン、アミノメチレン、メラミン、モルホリン、アニリン、フェニレンジアミン等が例示される。また、チオールとしては、アルキルメルカプタン、チオグリコール酸塩、チオグリセロール、チオサリチル酸、チオフェノール等が例示される。また、スルホン酸としては、スルフォラン、スルファミン酸、チオ硫酸塩、次亜塩素酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、フェノールスルホン酸、NW酸(4−ヒドロキシ−1−ナフタレンスルホン酸)等が例示される。
【0019】
上記本発明に使用されるアミン、チオールまたはスルホン酸の中でも、アミノ基及びスルホ基を分子中に共有する4B酸(2−アミノ−5−メチルベンゼンスルホン酸)、メタニル酸(m−アミノベンゼンスルホン酸)、2B酸(4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸)、ナフチオン酸(1−ナフチルアミン−4−スルホン酸)、トビアス酸(2−アミノナフタレン−1−スルホン酸)、スルファニル酸(4−アミノベンゼンスルホン酸)、C酸(3−アミノ−6−クロロトルエン−4−スルホン酸)、G酸(7−ヒドロキシナフタレンスルホン酸)、J酸(2−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸)、ガンマ酸(6−アミノ−4−ヒドロキシ−2−ナフタレンスルホン酸)、H酸(4−アミノ−5−ヒドロキシ2,7−ナフタレンスルホン酸)、R酸(2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸)、スルファミン酸グアニジン、またはアミノ基及びメルカプト基を分子中に共有するシステインが低級アルデヒドまたは低級カルボン酸吸収能力が高く、より好ましい。
【0020】
本発明に用いられるホルムアルデヒド吸収剤(B)について、吸収速度を速くして、かつ、取り扱い性を向上させるため、アミン、チオールまたはスルホン酸は、多孔性物質に担持することが好ましい。多孔性物質は、アミン、チオールまたはスルホン酸などを担持することを考慮すると、低級アルデヒド等の対象ガスとの接触面積をできるだけ大きくとれる比表面積の大きいもの、100m2 /g以上が好ましく、活性炭、活性炭素繊維、骨炭、モレキュラーシービングカーボン等の活性炭類、多孔フィルム、シリカゲル、多孔質ガラス、アルミナ、ゼオライト、モルデナイトやエリオナイト等の天然ゼオライト、パーライト、活性白土等の粘土鉱物が例示される。
しかし、本発明の保存対象である有機物で構成される文化財は、中湿度雰囲気で保存する必要があるため、これらの中でもできる限り水分を吸収しない多孔性物質が好ましい。このため、アミン、チオールまたはスルホン酸を担持させるための多孔性物質として、上述した200Å〜5000Åの平均細孔径を有する多孔性の珪酸塩に含浸させることが好ましく、200Å〜5000Åの平均細孔径を有する多孔性の珪酸塩としては、珪藻土、クリストバライト、鹿沼土や味噌土やボラや軽石(浮石)等のアロフェン、セピオライト、多孔質ガラス等が例示される。
また、アミン、チオールまたはスルホン酸を担持させるための多孔性物質としては、上述した有機系酸素吸収剤(A)の場合と異なり、酸素との反応性が高すぎるため、失活や発熱をしてハンドリングし難いことを考慮しなくて良いため、活性炭、活性炭素繊維、骨炭、モレキュラーシービングカーボン等の活性炭類も用いることができる。活性炭類は、疎水性表面であり、水分は吸着し難く、40%RH以下では水分をほとんど吸着しないからである。40%RH以上では毛管現象により吸着し始めるものの、保存対象物や、密閉容器のサイズに比べれば、使用する活性炭の量は僅かで済む場合もあり、実用上、中湿度域を超えない範囲で十分使い得る。
【0021】
担持方法としては一般的な方法で良く、例えば、これらの物質が固体の場合は水溶液にして、また水にほとんど溶けない場合はメタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒に溶解させた後に、多孔性物質に含浸して混合し、物質の分解温度、気化温度、融解温度以下の好ましくは50〜100℃程度で、乾燥して担持する。これらの物質が液体の場合は、そのままの状態で、あるいは有機溶媒で希釈して多孔性物質に直接含浸して混合し担持する。また、一旦個々の物質を粉砕混合し、水やアルコール等の有機溶媒と共に混練した後に成形、焼成しても良い。
【0022】
ホルムアルデヒド吸収剤(B)の使用量は、脱酸素反応に伴って発生する係るガスの量によって変わるが、被酸化主剤100重量部に対して、0.01〜1000重量部、好ましくは0.1〜700重量部、更に好ましくは1〜400重量部である。また、被担持物であるアミン、チオールまたはスルホン酸と担体である多孔性物質の量比は、担体100重量部に対して、被担持物が0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部である。
【0023】
また、本発明の脱酸素剤組成物には、炭酸ガス吸収剤を添加することが好ましい。有機系酸素吸収剤は、脱酸素反応に伴い炭酸ガスを発生し、雰囲気が中湿度域であるため、炭酸として悪影響を与えるため、炭酸ガス吸収剤を併用するのは実際的な対応である。炭酸ガス吸収剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、消石灰等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物が例示される。
【0024】
本発明の有機系酸素吸収剤(A)とホルムアルデヒド吸収剤(B)は、単一剤として個々に、あるいは両者の混合物として、適宜、粉末、顆粒、錠剤やシート状などにして用いられる。本発明の脱酸素剤組成物は、保存対象物に直接触れるのは好ましくなく、通常は紙、不織布またはプラスチック等を基材とする通気性包材に包装して使用され、同一包装体として、また各々別の包装体として使用しても良い。包装体の形態は必ずしも限定されず、目的に応じて、例えば、小袋、シート、ブリスター包装体などが挙げられる。包装体の包装材料はできる限り水分を吸放出しないものが好ましい。また、防塵対策として、上記包装体を酸素、無機ガス、炭酸ガス及び有機ガス透過性に支障を来さず、かつ包装体から発生するダストを外部に放出させない無塵包材で更に覆い、二重包装体とすることも可能である。しかし、包装体自体に防塵対策が施されている場合には、改めて無塵包材で覆う必要はない。
【0025】
本発明の脱酸素剤組成物は、保存対象の有機物で構成される文化財と共に、できるだけガスバリア性の高い密閉容器に入れて保管することが実際的な対応である。ここでいう気密性の高い容器とは、プラスチック容器、フィルム袋、金属容器、ガラス容器であり、ガスバリア性としては、25℃、60%RHにおける水蒸気透過度が10cc/m2・Day・ atm 以下であり、かつ、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が1g/m2・ Day 以下であることが好ましい。この中でも特にガスバリア性のフィルム袋が好ましく、アルミニウム箔等の金属箔をラミネートしたフィルムや、酸化珪素や酸化アルミニウム等を蒸着したラミネートフィルム等が例示される。
【0026】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示し、さらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
被酸化主剤として大豆油90gを90℃の水400mlと共に10%水酸化ナトリウム水溶液230gに加え、けん化し、大豆油脂肪酸ナトリウムの水溶液を得た。この溶液に塩化第二鉄の10%水溶液270gを加え、水層を分離、油層を500mlの湯で3回洗浄することにより大豆油脂肪酸鉄90gを得た。この1gを珪藻土(平均細孔径1000Å)2.0gに含浸し、混合して有機系酸素吸収剤(A)を調製した。 次に、70℃の15重量%スルファニル酸ナトリウム水溶液1.0gを800℃で焼成したセピオライト2.0gに含浸、混合した後120℃で乾燥し、ホルムアルデヒド吸収剤(B)を調製した。
上記有機系酸素吸収剤(A)3.0gとホルムアルデヒド吸収剤(B)2.15gを通気性包装材料(紙/開孔ポリエチレン 内寸45mm×100mm)の小袋に充填した後、小袋の周囲をヒートシールして包装体を製造した。この包装体を20℃、40%RHの空気500mlと共にセラミックス蒸着フィルムラミネ−トプラスチックフィルム袋(三菱ガス化学(株)製ガスバリヤ袋、商品名「PTS」、サイズ220mm×300mm、以下「セラミックス蒸着プラスチックスフィルム袋」という)に封入し、この袋を20℃、40%RHの雰囲気で保存し、2週間後のセラミックス蒸着プラスチックスフィルム袋中の酸素濃度、及び相対湿度をガスクロにて分析し、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、酢酸の濃度を市販のガス検知管にて分析した。その結果を表1に示す。相対湿度は初期値を維持したままで酸素濃度は0.1%以下まで下がり、かつ、ホルムアルデヒド等も検出下限以下であった。なお、表1中ホルムアルデヒド濃度がN.D.とは検出下限0.05ppm以下、アセトアルデヒド濃度がN.D.とは0.2ppm以下、酢酸濃度がN.D.とは0.05ppm以下を意味する。
【0027】
<実施例2〜16>
実施例1の有機系酸素吸収剤(A)の被酸化主剤、促進物質、被酸化主剤含浸用多孔性物質、及びホルムアルデヒド吸収剤(B)の担持する物質、及びこの担持用多孔性物質を表1〜表3記載の物質に変えて実施例1と同様にして行った結果を表1〜表3に示す。何れも相対湿度は初期値を維持したままで酸素濃度は0.1%以下まで下がり、かつ、ホルムアルデヒド等も検出下限以下であった。
なお、実施例2において、セピオライト(平均細孔径250Å)は800℃焼成品を使用した。
実施例3において、LPIとは液状ポリイソプレンオリゴマーのことであり、クリストバライト(平均細孔径330Å)は800℃焼成品を使用した。
実施例4において、トール油脂肪酸/LPIが0.6g/0.4gとは、トール油脂肪酸と液状ポリイソプレンオリゴマーの混合物(重量比6:4)のことであり、鹿沼土(平均細孔径2000Å)は800℃焼成品を使用した。
実施例5において、LPBとは液状ポリブタジエンオリゴマーのことであり、多孔質ガラス(平均細孔径1000Å)は市販品を使用した。 実施例6において、味噌土(平均細孔径1000Å)は800℃焼成品を使用した。
実施例7〜10において、システイン、モルホリン、アニリン、1−チオグリセロールは常温で液体で臭気があるので、それぞれ0.15gを市販の粒状活性炭、骨炭、活性炭素繊維、粉末活性炭2.0gに直接含浸し調製した。その他は実施例1と同様である。
実施例11において、アセトアニリドは水に難溶なので15重量%エタノール溶液にして含浸し調製した。その他は実施例1と同様である。 実施例12は実施例1と同様にして調製した。
実施例13において、90℃の2.5重量%メラミン水溶液5gを珪藻土5.0gに含浸し調製した。その他は実施例1と同様である。
実施例14において、25℃の15重量%チオサリチル酸アセトン溶液を珪藻土1.0gに含浸し調製した。その他は実施例1と同様である。
実施例15において、スルフォランは常温で液体であるので、そのまま珪藻土1.0gに含浸し調製した。その他は実施例1と同様である。 実施例16は実施例1と同様にして調製した。
【0028】
<実施例17>
炭酸ガス吸収剤として新たに消石灰を0.5g添加した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。相対湿度は初期値を維持したままで酸素濃度は0.1%以下まで下がり、かつ、ホルムアルデヒド等も検出下限以下であった。
【0029】
<実施例18>
炭酸ガス吸収剤として新たに消石灰を0.5g、その他添加物質として粒状活性炭を0.5g添加した以外は実施例1と同様にして行った。結果を表3に示す。相対湿度は初期値を維持したままで酸素濃度は0.1%以下まで下がり、かつ、ホルムアルデヒド等も検出下限以下であった。
【0030】
<比較例1>
100メッシュの還元鉄粉1.0gと粉末活性炭1.0gの混合物に25℃で20重量%塩化ナトリウム水溶液1.2gを添加して混合した物を、実施例1と同様にして包装体を製造し、セラミックス蒸着プラスチックフィルム袋に封入して保存して、2週間後のセラミックス蒸着プラスチックフィルム袋中の酸素濃度及び相対湿度を分析した。その結果を表4に示す。酸素濃度は0.1%以下まで下がったが、相対湿度は初期値40%RHから75%RHまで上昇した。
【0031】
<比較例2>
100メッシュの還元鉄粉1.0gと粉末活性炭1.0gの混合物を用いた他は比較例1と同様にして行った。その結果を表4に示す。酸素濃度は21%から15%までしか下がらず、相対湿度は初期値40%RHから15%RHまで下がった。
【0032】
<比較例3〜5>
実施例1の有機系酸素吸収剤(A)の含浸担体を珪藻土から表4記載の物質に変え、ホルムアルデヒド吸収剤(B)を添加しない以外は実施例1と同様にして包装体を製造し、セラミックス蒸着プラスチックフィルム袋に封入して保存して、2週間後のセラミックス蒸着プラスチックフィルム袋中の酸素濃度、及び相対湿度をガスクロにて分析し、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、酢酸の濃度を市販のガス検知管にて分析した。その結果を表4に示す。
比較例3で含浸担体として生石灰(20〜48メッシュ、多孔性物質ではなく細孔はない)を3.0g用いた場合、酸素濃度は0.1%以下まで下がったが、相対湿度は初期値40%RHから3%RHまで下がり、また、ホルムアルデヒドが5ppm、アセトアルデヒドが500ppm、酢酸が6ppm検出された。
比較例4で含浸担体としてゼオライト(天然モルデナイト、20〜48メッシュ)を3.0g用いた場合、酸素濃度は0.1%以下まで下がったが、相対湿度は初期値40%RHから20%RHまで下がり、また、ホルムアルデヒドが5ppm、アセトアルデヒドが500ppm、酢酸が6ppm検出された。
比較例5で含浸担体として粒状活性炭(やし殻活性炭、20〜48メッシュ)を3.0g用いた場合、空気中で含浸途中で酸素を吸収して発熱し酸素吸収能力を失い、酸素濃度が18%までしか下がらなかった。
【0033】
<比較例6>
実施例1の有機系酸素吸収剤(A)の含浸担体を珪藻土から生石灰(20〜48メッシュ、多孔性物質ではなく細孔はない)3.0gに変え、ホルムアルデヒド吸収剤(B)を添加せず、調湿剤としてグリセリン0.46g、水0.04gの混合物をシリカゲル1.5gに含浸させた物を添加した以外は実施例1と同様にして包装体を製造し、セラミックス蒸着プラスチックフィルム袋に封入して保存して、2週間後のセラミックス蒸着プラスチックフィルム袋中の酸素濃度、及び相対湿度をガスクロにて分析し、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、酢酸の濃度を市販のガス検知管にて分析した。その結果を表4に示す。酸素濃度は0.1%以下まで下がり、相対湿度は初期値とほぼ同じ35%RHを維持したが、ホルムアルデヒドが5ppm、アセトアルデヒドが500ppm、酢酸が6ppm検出された。
【0034】
<比較例7〜12>
実施例1の有機系酸素吸収剤(A)の含浸担体を生石灰(20〜48メッシュ、多孔性物質ではなく細孔はない)3.0gに変え、ホルムアルデヒド吸収剤(B)として表5記載の物質を添加し、比較例6と同様に調湿剤としてグリセリン0.46g、水0.04gの混合物をシリカゲル1.5gに含浸させた物を添加した以外は実施例1と同様にして包装体を製造し、セラミックス蒸着プラスチックフィルム袋に封入して保存して、2週間後のセラミックス蒸着プラスチックフィルム袋中の酸素濃度、及び相対湿度をガスクロにて分析し、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、酢酸の濃度を市販のガス検知管にて分析した。その結果を表5に示す。
比較例7でホルムアルデヒド吸収剤(B)として粒状活性炭(やし殻活性炭、20〜48メッシュ)2.0gを用いた場合、酸素濃度は0.1%以下まで下がり、相対湿度は初期値とほぼ同じ35%RHを維持したが、ホルムアルデヒドが3ppm、アセトアルデヒドが50ppm、酢酸が5ppm検出された。
比較例8でホルムアルデヒド吸収剤(B)としてゼオライト(天然モルデナイト、20〜48メッシュ)2.0gを用いた場合、酸素濃度は0.1%以下まで下がり、相対湿度は初期値とほぼ同じ35%RHを維持したが、ホルムアルデヒドが5ppm、アセトアルデヒドが500ppm、酢酸が6ppm検出された。
比較例9でホルムアルデヒド吸収剤(B)として酸化マグネシウム(20〜48メッシュ)2.0gを用いた場合、酸素濃度は0.1%以下まで下がり、相対湿度は初期値とほぼ同じ35%RHを維持したが、ホルムアルデヒドが5ppm、アセトアルデヒドが500ppm、酢酸が6ppm検出された。
比較例10でホルムアルデヒド吸収剤(B)として生石灰(20〜48メッシュ)2.0gを用いた場合、酸素濃度は0.1%以下まで下がり、相対湿度は初期値とほぼ同じ35%RHを維持したが、ホルムアルデヒドが5ppm、アセトアルデヒドが500ppm、酢酸が6ppm検出された。
比較例11でホルムアルデヒド吸収剤(B)として消石灰(20〜48メッシュ)2.0gを用いた場合、酸素濃度は0.1%以下まで下がり、相対湿度は初期値とほぼ同じ35%RHを維持したが、ホルムアルデヒドが5ppm、アセトアルデヒドが500ppm、酢酸が6ppm検出された。
比較例12でホルムアルデヒド吸収剤(B)としてアミンの一種であるメラミン(48〜100メッシュ)2.0gを用いた場合、酸素濃度は0.1%以下まで下がり、相対湿度は初期値とほぼ同じ35%RHを維持したが、ホルムアルデヒドが5ppm、アセトアルデヒドが500ppm、酢酸が6ppm検出された。
【0035】
<比較例13>
実施例1のホルムアルデヒド吸収剤(B)を添加しなかった以外は実施例1と同様にして包装体を製造し、セラミックス蒸着プラスチックフィルム袋に封入して保存して、2週間後のセラミックス蒸着プラスチックフィルム袋中の酸素濃度、及び相対湿度をガスクロにて分析し、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、酢酸の濃度を市販のガス検知管にて分析した。その結果を表5に示す。酸素濃度は0.1%以下まで下がり、相対湿度は初期値の40%RHを維持したが、ホルムアルデヒドが5ppm、アセトアルデヒドが500ppm、酢酸が6ppm検出された。
【0036】
【表1】
Figure 0003824036
【0037】
【表2】
Figure 0003824036
【0038】
【表3】
Figure 0003824036
【0039】
【表4】
Figure 0003824036
【0040】
【表5】
Figure 0003824036
【0041】
【発明の効果】
有機物で構成される文化財を、水分を吸放出しない有機系酸素吸収剤(A)とホルムアルデヒド吸収剤(B)からなる脱酸素剤組成物と共にガスバリア性容器内に密閉することで密閉容器内を中湿度雰囲気に保ち、かつ、脱酸素反応に伴って発生するホルムアルデヒドを吸収しながら保存対象物に水分を与えたり、水分を奪ったりする事なく安定して酸素を吸収することで、中湿度雰囲気を保つ必要のある有機物で構成される文化財を、中湿度、低酸素、低ホルムアルデヒド雰囲気で保存することができる。

Claims (9)

  1. 被酸化主剤を多孔性物質に含浸してなる水分を吸放出しない有機系酸素吸収剤(A)と多孔性物質にアミン、チオールまたはスルホン酸の少なくとも1種を担持した水分を吸放出しないホルムアルデヒド吸収剤(B)からなることを特徴とする脱酸素剤組成物。
  2. 前記被酸化主剤が、不飽和脂肪酸化合物および/または不飽和基を有する鎖状炭化水素重合物である請求項1記載の脱酸素剤組成物。
  3. 前記Aの多孔性物質が、200Å〜5000Åの平均細孔径を有する多孔性の珪酸塩である請求項1記載の脱酸素剤組成物。
  4. 前記多孔性の珪酸塩が、珪藻土、鹿沼土、セピオライトの少なくとも1種である請求項3記載の脱酸素剤組成物。
  5. 前記アミン、チオールまたはスルホン酸が、温度50℃で固体である請求項記載の脱酸素剤組成物。
  6. 前記アミン、チオールまたはスルホン酸が、アミノ基及びスルホ基を分子中に共有する4B酸、メタニル酸、2B酸、ナフチオン酸、トビアス酸、スルファニル酸、C酸、G酸、J酸、ガンマ酸、H酸、R酸、アミノ基及びメルカプト基を共有するシスティンの少なくとも1種である請求項記載の脱酸素剤組成物。
  7. 前記Bの多孔性物質が、200Å〜5000Åの平均細孔径を有する多孔性の珪酸塩である請求項記載の脱酸素剤組成物。
  8. 前記多孔性の珪酸塩が、珪藻土、鹿沼土、セピオライトの少なくとも1種である請求項記載の脱酸素剤組成物。
  9. 前記Bの多孔性物質が、活性炭である請求項記載の脱酸素剤組成物。」
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