JP3823750B2 - 液晶装置及び電子機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロントライティングシステムを用いて構成される液晶装置に関する。また、本発明は、その液晶装置を用いて構成される電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話機、携帯電子端末機等といった各種の電子機器の表示部として液晶装置が広く用いられている。この液晶装置は、一般に、一対の基板によって挟持された液晶層を通過する光を画素毎に変調することによって一方の基板の表面に文字、数字等といった像を表示する。
【0003】
この液晶装置として、従来、太陽光、室内光等といった外部光を反射することによって液晶層に供給して表示を行う方式の反射型液晶装置が知られている。また、液晶層に関して観察側の反対側に照明装置、いわゆるバックライトを配設し、この照明装置からの光を用いて表示を行う方式の透過型液晶装置も知られている。さらに、これらの反射型及び透過型の機能を併せて有する構造の、いわゆる半透過反射型の液晶装置も知られている。
【0004】
この半透過反射型の液晶装置によれば、屋外等の外部光が当たる場所では照明装置を用いることなく反射型液晶装置として使用し、他方、外部光が少ない所では照明装置を点灯して透過型液晶装置として使用する。これにより、明るい場所及び暗い場所のいずれであっても明るい表示を行うことができる。
【0005】
しかしながら、半透過反射型の液晶装置は、これを反射型の表示形態で使用するとき、上記反射型液晶装置に比べて表示が暗くなるという問題があった。これは、従来の半透過反射型の液晶装置では、透過光を確保するために光反射層、例えばAl(アルミニウム)層を薄く形成したり、反射層に透光用の開口部を設けたりするために、反射表示時の明るさを犠牲にしているためである。
【0006】
また、半透過反射型の液晶装置は、これを透過型の表示形態で使用するとき、照明装置の光源から出る光を効率良く利用することができないという問題、すなわち光源エネルギの利用効率が低いという問題があった。
【0007】
半透過反射型の液晶装置に関する上記の問題点を解消する液晶装置として、従来、例えば特開平11−202799号公報に開示されているように、液晶パネルの前面側、すなわち観察側に照明装置を配置することによって、いわゆるフロントライトを構成し、このフロントライトから供給した光を液晶層の裏面で反射させた後、再び液晶層に供給する構造の液晶装置が提案されている。
【0008】
このフロントライト方式の液晶装置によれば、液晶パネルに付設する光反射層を薄く形成したり、あるいは開口を設けたりして半透過反射層に形成する必要がなくなり、フロントライトからの光の全部を液晶層に供給できるので、光源エネルギの利用効率を高くすることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のフロントライト方式の液晶装置では、液晶パネルの前方、すなわち観察側に透明な導光体を配置して液晶パネルに面状の光を供給するようにしており、しかも、液晶パネルの全面に均一な面状光を供給するために導光体の表面にプリズム等といった溝を形成する必要があった。
【0010】
このように導光体に溝を形成したとき、限られた特性の光線に関してはその光線を良好に液晶パネル方向へ導くことができるのであるが、その他の特性の光線に関しては良好な反射が得られなくて、良好な表示品質を得られないことがあった。例えば、導光体に形成した溝に対して所定の反射条件を満たさない光線は導光体の外に出てしまうことがあり、そのため、光源からの光の利用効率を低下させることがあった。また、導光体に形成した溝に対して所定の反射条件を満たさない光線は、導光体の外部の予期しない方向へ出てしまうことがあり、そのため、液晶装置の表示品質を低下させることがあった。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、溝を備えた導光体を液晶パネル等といった被照明体の前方に配置しなくてもフロントライト構造を実現できるようにして、被照明体の見え方に悪影響が出ないようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る液晶装置は、液晶層を有する液晶パネルと、該液晶パネルを観察側から照明するフロントライティングシステムと、を有する液晶装置において、前記フロントライティングシステムは、前記液晶パネルの観察側に配置されるとともに前記液晶パネルを覆い、光透過性を有するカバーと、前記カバーと前記液晶パネルの間に配置され、発光する光源と、該光源からの光を前記カバーへ向ける導光体と、を有し、前記光源から出射された光は、前記導光体に導入され、前記液晶パネルの前記導光体が配置される側の一辺に広がるように前記導光体を伝播して、前記カバーへ向けて出射され、前記カバーで反射されて前記液晶層に入射し、前記導光体は、当該導光体から出射する光を前記カバーへ向けて集光するレンズを光出射面に有することを特徴とする。
本発明に係る液晶装置において、前記導光体は、前記液晶パネルから離れる側の側辺部において前記光源を取り囲み、前記液晶パネルから離れる側の側辺端面が光反射面であり、前記液晶パネルに近い側の側辺端面は前記レンズを構成することを特徴とする。
本発明に係る液晶装置は、液晶層を有する液晶パネルと、該液晶パネルを観察側から照明するフロントライティングシステムと、を有する液晶装置において、前記フロントライティングシステムは、前記液晶パネルの観察側に配置されるとともに前記液晶パネルを覆い、光透過性を有するカバーと、前記カバーと前記液晶パネルの間に配置され、発光する光源と、該光源に対向してなる視界制御部材と、を有し、前記光源から出射された光は、前記視界制御部材に入射し、前記視界制御部材から前記カバーへ向かう方向へ出射され、前記カバーで反射されて前記液晶層に入射することを特徴とする。
本発明に係る液晶装置において、前記光源と前記視界制御部材との間に配置され、前記光源からの光を前記カバーに向けて集光するレンズを有することを特徴とする。
本発明に係る液晶装置は、液晶層を有する液晶パネルと、該液晶パネルを観察側から照明するフロントライティングシステムと、を有する液晶装置において、前記フロントライティングシステムは、前記液晶パネルの観察側に配置されるとともに前記液晶パネルを覆い、光透過性を有するカバーと、前記カバーと前記液晶パネルの間に配置され、発光する光源と、該光源に対向してなる偏光部材と、を有し、前記光源から出射された光は、前記偏光部材を透過し、前記カバーで反射されて前記液晶層に入射し、前記カバーは、当該カバーの前記液晶パネルと対向する面に対して平行な振動方向を持つ光を反射し、前記偏光部材は、光源から出た光のうち前記カバーの前記液晶パネルと対向する面に対して平行な振動方向を持つ光を通過させる偏光透過軸を有することを特徴とする。
本発明に係る液晶装置において、前記光源と前記偏光部材との間に配置され、前記光源からの光を前記カバーに向けて集光するレンズを有することを特徴とする。
本発明に係る液晶装置において、前記偏光部材は、振動方向が0°〜45°の角度で前記カバーに入射するように光を通過させることを特徴とする。
本発明に係る液晶装置において、前記偏光部材は、振動方向がほぼ0°の角度で前記カバーに入射するように光を通過させることを特徴とする。
本発明に係る液晶装置において、前記光源から出て前記カバーへ向かう光の該カバーに対する入射角度は、ほぼブリュースター角に設定されることを特徴とする。
本発明に係る液晶装置において、前記カバーの前記観察側の面に反射防止層を設けたことを特徴とする。
本発明に係る液晶装置において、前記カバーは、前記液晶パネルを損傷及び汚れから保護する保護カバーであることを特徴とする。
本発明の実施の形態に係るフロントライティングシステムは、被照明体を前方から照明するフロントライティングシステムにおいて、前記被照明体の前方を覆い光透過性を有するカバーと、発光する光源と、該光源からの光を前記カバーへ向ける光指向性制御手段とを有する。
【0013】
上記構成のフロントライティングシステムによれば、光源から出た光は光指向性制御手段の働きによってカバーへ向けられ、このカバーの内側表面で反射して被照明体を照明する。このように、カバーの内側表面を反射面として活用することにより、従来のフロントライト方式の液晶装置で用いられていた構成、すなわち、溝を備えた導光体を液晶パネルすなわち被照明体の前方の全面にわたって配置する構成、を用いる必要がなくなり、よって、被照明体を外部から見たときの表示品質を高めることができる。
【0014】
次に、上記構成のフロントライティングシステムにおいて、前記カバーの前方表面には反射防止層を設けることが望ましい。こうすれば、太陽光等といった外部光がカバーで反射することを防止でき、これにより、被照明体を外部から見たときの表示品質がカバーからの反射光によって悪くなることを防止できる。また、反射防止層を設けるのは、カバーの前方表面であって内側表面ではないので、枠状導光体から出てカバーの内側表面で反射して被照明体へ向かう光に悪影響が及ぶことはない。
【0015】
なお、反射防止層は、例えば、カバーの表面に酸化金属層を積層する等して屈折率に変化を持たせ、これにより、カバーに関する光の透過性を高めて反射を抑制することによって形成できる。より具体的には、反射防止層は、例えば、特開平9−96702号公報や特開平9−288202号公報等に開示されているような液状の組成物、例えば、アルミニウムエトキド、アルミニウムイソプロポキサイド、チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンイソプロポキサイド等といった金属アルコキシドをアセト酢酸メチルやアセチルアセトン等と共に有機溶媒で溶かした液状物、あるいは有機ケイ素化合物とコロイド状金属酸化物を所定の比率で有機溶媒に混合及び希釈した液状物にカバー素材を浸漬した後、所定の速度で引き上げ、その後、塗膜に乾燥及び焼成処理を施す工程を必要な回数だけ繰り返すことによって形成できる。
【0016】
次に、上記構成のフロントライティングシステムにおいて、前記光指向性制御手段は、前記光源からの光を前記カバーへ向けて集光するレンズを有することが望ましい。この構成によれば、カバーの光反射面へ多量の光を供給することができ、これにより、照明効率を高めることができる。
【0017】
次に、上記構成のフロントライティングシステムにおいて、前記光指向性制御手段は、前記光源からの光を導く導光体と、該導光体の光出射面に設けられて光を前記カバーへ向けて集光するレンズとを有することが望ましい。この構成によれば、導光体によって被照明体の全域に万遍なく均一に光を供給できると共に、レンズの働きによってカバーの光反射面へ多量の光を供給することにより、照明効率を高めることができる。
【0018】
次に、上記構成のフロントライティングシステムにおいて、前記光指向性制御手段は視界制御部材を有することが望ましい。ここで、視界制御部材とは、所定角度方向への光の出射を許容し、所定角度以外の方向への光の出射は遮断できる部材である。この視界制御部材は、例えば、図9(a)に示すように、2枚の透明な樹脂シート33,33によってブラインド樹脂シート34を挟持することによって形成できる。
【0019】
この構成によれば、視界制御部材の光出射方向をカバーの光反射面に向かう方向に一致させることにより、カバーの光反射面へ多量の光を供給することができ、それ故、照明効率を高めることができる。
【0020】
次に、上記構成のフロントライティングシステムにおいて、前記光指向性制御手段は、少なくとも、前記光源から出た光のうち前記カバーの光反射面に対して平行な振動方向を持つ光、すなわちカバーの光反射面に対する横偏光、すなわちカバーの光反射面に対するS偏光、を通過させる偏光透過軸を有する偏光部材を有することが望ましい。
【0021】
一般に、ガラスや透明樹脂等によって形成されたカバーに自然光を当てるとき、自然光のうちの縦偏光、すなわちP偏光はカバーを透過し、横偏光、すなわちS偏光はカバーで反射する。従って、上記構成の通りに、導光体から出射する光からS偏光を選択しP偏光を除去すれば、カバーを透過してしまう光を抑えることができ、このため、カバーを通して被照明体を外部から見たときの視認性を高めることができる。
【0022】
次に、上記構成のフロントライティングシステムにおいて、前記偏光部材は、振動方向が0°〜45°の角度で前記カバーの光反射面に入射するように光を通過させることが望ましい。ここで、振動方向が0°の角度でカバーの光反射面に入射する場合とは、とりもなおさず、カバーの光反射面に対して平行な振動方向を持つ光、すなわちS偏光がカバーの光反射面に入射するということである。従って、振動方向が0°〜45°の角度でカバーの光反射面に入射する場合には、カバーを透過する光成分も含まれることになるが、カバーに自然光が入射する場合に比べて、より一層高い視認性を得ることができる。
【0023】
次に、上記構成のフロントライティングシステムにおいて、前記偏光部材は、振動方向がほぼ0°の角度で前記カバーの光反射面に入射するように光を通過させることが望ましい。この構成によれば、カバーの光反射面にはそれに対して平行な振動方向を持つ光、すなわちS偏光、だけがそのカバーの光反射面に入射することになり、それ故、被照明体に関する視認性をより一層高くできる。
【0024】
なお、「ほぼ0°」というのは、正確に0°の場合はもとより、部品の製作誤差や部品の組み立て誤差等に起因して0°からわずかにずれる場合も含む意味である。
【0025】
次に、上記構成のフロントライティングシステムにおいて、前記光指向性制御手段は、前記光源から出た光のうち前記カバーの光反射面に対して平行な振動方向を持つ光を通過させる偏光透過軸を有する偏光部材を有し、さらに前記光源から出て前記カバーへ向かう光の該カバーの光反射面に対する入射角度は、ほぼブリュースター角に設定されることが望ましい。
【0026】
ここで、ブリュースター角とは、図12において、屈折率がn1である透光性の媒体M1から屈折率がn2である透明な媒体M2の表面に自然光を入射したとき、反射光が入射面に垂直な電場ベクトルを持つ直線偏光成分(すなわち、S偏光)だけになる入射角度θのことである。このブリュースター角θで透明媒体M2に入射した自然光は、電場ベクトルの振動方向が入射面に平行な成分は完全に透過し、さらに、反射光と屈折光(すなわち、透過光)の成す角度は直角になる。一般に、ブリュースター角θは、
tanθ=n2/n1
によって特定される。
【0027】
より具体的に考えれば、図12において、光源Sからの光は透明媒体M1である空気層を通って、透明媒体M2であるカバーに角度θで入射する。ここで、例えば空気層M1の屈折率を“1”とし、カバーM2の屈折率を“1.5”と仮定すると、tanθ=1.5となり、θ=56.3°になる。
【0028】
つまり、出射光分布の最大となる方向をθ=56.3°の角度となるようにカバーM2に向けて光を出射すると、カバーM2への反射面入射面に対して平行な偏光方向(すなわち、S偏光成分)の光のみを反射し、カバーへの入射面に対して垂直な偏光方向(すなわち、P偏光成分)の光は透過する。
【0029】
本発明のように、光源からの光を偏光部材を通すことによってS偏光を選択し、さらにその偏光をブリュースター角θでカバーの反射面へ入射させれば、その入射光のほとんど全てをカバーで反射させることができ、カバーの外部へ透過光が出ることを確実に防止できる。そして、このような透過光の防止により、被照明体をカバーを通して見たときの視認性を高めることができる。
【0030】
なお、実験によれば、カバーの反射面におけるP偏光の反射は、ブリュースター角θの前後20°の角度範囲においても無くなることが分かっている。従って、カバーを透過する光の発生を防止するという効果は、カバーへの入射光の入射角度をブリュースター角θの前後20°程度の角度範囲に設定する場合にも同様に得ることができる。
【0031】
次に、上記構成のフロントライティングシステムにおいて、前記カバーは前記被照明体を損傷及び汚れから保護するカバーであることが望ましい。この構成によれば、このカバーをそのまま電子機器の表面に設けるカバーとすることができる。
【0032】
(2)次に、本発明に係る液晶装置は、液晶層を有する液晶パネルと、該液晶パネルを前方から照明するフロントライティングシステムとを有する液晶装置において、前記フロントライティングシステムは、前記被照明体の前方を覆い光透過性を有するカバーと、発光する光源と、該光源からの光を前記カバーへ向ける光指向性制御手段とを有することを特徴とする。
【0033】
上記構成の液晶装置によれば、その中に含まれるフロントライティングシステムにおいて、光源から出た光は光指向性制御手段の働きによってカバーへ向けられ、このカバーの内側表面で反射して被照明体を照明する。このように、カバーの内側表面を反射面として活用することにより、従来のフロントライト方式の液晶装置で用いられていた構成、すなわち、溝を備えた導光体を液晶パネルすなわち被照明体の前方の全面にわたって配置する構成、を用いる必要がなくなり、よって、被照明体を外部から見たときの表示品質を高めることができる。
【0034】
次に、上記(2)項に記載した液晶装置において、前記フロントライティングシステムは、上記(1)項に記載したフロントライティングシステムによって構成されることが望ましい。
【0035】
次に、上記(2)項に記載した液晶装置において、前記液晶装置は、前記フロントライティングシステムと対向する面に偏光部材を有し、前記光指向性制御手段は、前記光源から出た光のうち前記カバーの光反射面に対して平行な振動方向を持つ光を通過させる偏光透過軸を有する偏光部材を有し、前記液晶装置に含まれる前記偏光部材の偏光透過軸は前記光指向性制御手段に含まれる前記偏光部材を通過した光を通過できる角度に設定されることが望ましい。
【0036】
この構成によれば、カバーで反射して液晶装置へ向かう光は液晶装置側の偏光部材によってその進行を妨げられることなく該偏光部材を通過し、これにより、液晶装置へ多量の光を供給できる。
【0037】
(3)次に、本発明に係る電子機器は、液晶層を有する液晶パネルと、該液晶パネルを前方から照明するフロントライティングシステムと、前記液晶パネルを収容する筐体とを有する電子機器において、前記フロントライティングシステムは、前記被照明体の前方を覆い光透過性を有するカバーと、発光する光源と、該光源からの光を前記カバーへ向ける光指向性制御手段とを有し、前記カバーは前記筐体に支持されることを特徴とする。
【0038】
この構成の電子機器によれば、その中に含まれるフロントライティングシステムにおいて、光源から出た光は光指向性制御手段の働きによってカバーへ向けられ、このカバーの内側表面で反射して被照明体を照明する。このように、カバーの内側表面を反射面として活用することにより、従来のフロントライト方式の液晶装置で用いられていた構成、すなわち、溝を備えた導光体を液晶パネルすなわち被照明体の前方の全面にわたって配置する構成、を用いる必要がなくなり、よって、被照明体を外部から見たときの表示品質を高めることができる。
【0039】
また、導光体からの光を液晶パネルに向けて反射する機能を奏するカバーが電子機器の筐体に支持されたカバー、すなわち電子機器の外装カバーであるので、電子機器の部品点数を増加させることもなく、電子機器の組み立て厚さを増加させることもない。
【0040】
次に、上記(3)項に記載した電子機器において、前記フロントライティングシステムは、上記(1)項に記載したフロントライティングシステムによって構成されることが望ましい。
【0041】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るフロントライティングシステムを被照明体としての液晶パネルを照明する場合を例に挙げて説明する。図1は本発明に係るフロントライティングシステムを用いた液晶装置の一実施形態を示している。ここに示す液晶装置1は、被照明体としての液晶パネル2と、この液晶パネル2を前方、すなわち図1の上方、すなわち観察側から照明するフロントライティングシステム3とを有する。
【0042】
液晶パネル2は、互いに対向して配置されていて枠状のシール材6によって周囲が貼り合わされた一対の基板4a及び4bを有する。第1基板4aは図2に示すように基材7aを有し、その基材7aの液晶側表面、すなわち第2基板4bに対向する面には、光反射膜8が設けられ、その上に絶縁膜9が設けられ、その上に第1電極11aが設けられ、その上に配向膜12aが設けられる。第1電極11aは、走査電極又は信号電極のいずれか一方として作用する。
【0043】
第1基板4aに対向する第2基板4bは基材7bを有し、その基材7bの液晶側表面、すなわち第1基板4aに対向する面には第2電極11bが設けられ、その上に配向膜12bが設けられる。また、基材7bの外側表面には偏光板13が、例えば貼着によって装着される。
【0044】
なお、第1基板4a及び第2基板4bの双方又は一方の内面又は外面には、上記以外の他の光学素子、例えば、液晶パネル2に対して入射及び出射する光を拡散して均一にする光拡散板や、電極11a,11b等の上に積層されて表面を滑らかにするオーバーコート層や、カラー表示を実現するために設けられるカラーフィルタや、液晶層を通過した光の偏光特性を再変調することにより無彩色化や視覚特性の改善等を行う位相差板等を設けることもできる。
【0045】
基材7a及び7bは、例えば、ガラス等といった硬質な光透過性材料や、プラスチック等といった可撓性を有する光透過性材料等によって所定形状、例えば、長方形の板状や、正方形状の板状に形成される。また、光反射膜8はAl(アルミニウム)等といった金属材料によって形成される。また、第1電極11a及び第2電極11bは、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)等といった透明電極材料によって形成される。また、配向膜12a及び12bは、例えば、ポリイミド系樹脂によって形成される。これらの配向膜12a及び12bにはラビング処理等といった配向処理が施され、この配向処理により液晶分子の基板表面にける配向が決められる。
【0046】
第1電極11aは、図1に示すように、複数の直線パターンを互いに平行に配列することによって、いわゆるストライプ状に形成される。一方、第2電極11bは上記第1電極11aに交差するように複数の直線パターンを互いに平行に配列することによって、やはりストライプ状に形成される。これらの電極11aと電極11bとが液晶層を介在させてドットマトリクス状に交差する複数の点が、像を表示するための画素を形成する。そして、それら複数の画素によって区画形成される領域が、文字、数字等といった像を表示する表示領域となる。
【0047】
なお、図1では、第1電極11a及び第2電極11bを分かり易く示すために、それらを実際よりも大きな間隔を空けて描いてある。しかしながら実際には、それらの電極は非常に狭い間隔で多数本、形成される。
【0048】
以上のようにして形成された第1基板4a及び第2基板4bのいずれか一方の液晶側表面には、図2に示すように、複数のスペーサ14が分散され、さらにいずれか一方の基板の液晶側表面にシール材6が、例えば、印刷によって図1に示すように枠状、すなわち環状に設けられる。また、そのシール材6の適所に液晶注入口6aが形成される。
【0049】
両基板4a及び4bの間にはスペーサ14によって保持される均一な寸法の間隙、いわゆるセルギャップが形成され、液晶注入口6aを通してそのセルギャップ内に液晶Lが注入され、その注入の完了後、液晶注入口6aが樹脂等によって封止される。
【0050】
図1において、第1基板4aは第2基板4bの外側であってさらにシール材6の外側に張り出す基板張出し部4cを有する。そして、第1基板4a上の第1電極11aはその基板張出し部4cへ直接に延び出て配線16aとなっている。また、基板張出し部4cの辺端部には外部回路との間で制御信号、クロック信号、表示信号等といった各種信号や液晶駆動電圧及びIC電源電圧を入力するための外部接続端子17aが形成される。
【0051】
第2基板4bは、第1基板4aの外側であってさらにシール材6の外側へ張り出す基板張出し部4dを有する。そして、第2基板4b上の第2電極11bはその基板張出し部4dへ直接に延び出て配線16bとなっている。また、基板張出し部4dの辺端部には外部回路との間で制御信号、クロック信号、表示信号等といった各種信号や液晶駆動電圧及びIC電源電圧を入力するための外部接続端子17bが形成される。
【0052】
各電極11a,11b、それらにつながる配線16a,16b及び外部接続端子17a,17bは、いずれも、実際には狭い間隔で多数本がそれぞれの基板4a及び4bの表面に形成されるが、図1及びこれから説明する各図では構造を分かり易く示すために実際の間隔よりも広い間隔でそれらの電極等を模式的に図示し、さらに一部の電極の図示は省略してある。また、電極11a及び11bは、直線状に形成されることに限られず、適宜の文字、図形等といったパターンとして形成されることもある。
【0053】
図1において、基板張出し部4cに液晶駆動用IC18aが実装され、この液晶駆動用IC18aの入出力バンプが配線16a及び端子17aに接続する。また、基板張出し部4dに液晶駆動用IC18bが実装され、この液晶駆動用IC18bの入出力バンプが配線16b及び端子17bに接続する。
【0054】
図1において、フロントライティングシステム3は被照明体である液晶パネル2をその前方、すなわち観察側から照明する装置であり、液晶パネル2を損傷、汚れ等から保護するカバー19と、このカバー19と液晶パネル2との間に配置される発光ユニット22とを有する。発光ユニット22は1つあるいは複数個設けられるが、本実施形態では3個設けられている。
【0055】
図2に示すように、カバー19は液晶パネル2に対して空間を隔てて設けられ、その空間内へ光を出射するように発光ユニット22が配置される。また、カバー19の外面、すなわち液晶パネル2と反対側の面であって、少なくとも液晶パネル2に対応する領域には、反射防止層23が設けられる。なお、反射防止層はカバー19の内面には設けられない。
【0056】
カバー19は透明ガラス、透明プラスチック等といった光透過性の材料によって形成されており、例えば、液晶パネル2を1つの構成要素として用いる電子機器、例えば携帯電話機の筐体によって支持されて液晶パネル2の前方位置に配置される。また、カバー19は、図示しない支持枠によって電子機器の筐体とは無関係に液晶パネル2と一体になるように設けることもできる。
【0057】
上記反射防止層23は、例えば、アルミニウムエトキド、アルミニウムイソプロポキサイド、チタンメトキサイド、チタンエトキサイド、チタンイソプロポキサイド等といった金属アルコキシドをアセト酢酸メチルやアセチルアセトン等と共に有機溶媒で溶かした液状物、あるいは有機ケイ素化合物とコロイド状金属酸化物を所定の比率で有機溶媒に混合及び希釈した液状物にカバー素材を浸漬した後、所定の速度で引き上げ、その後、塗膜に乾燥及び焼成処理を施す工程を必要な回数だけ繰り返すことによって形成できる。
【0058】
発光ユニット22は、図2に示すように、光源としてのLED(Light Emitting Diode)発光素子24と、LED発光素子24を包囲するパッケージ27と、パッケージ27の内面に設けられてLED発光素子24のまわりに配置される光反射層26と、パッケージ27の前端に設けられたレンズ28とを有する。LED発光素子24は通電によって発光し、その光は直接に又は光反射層26によって反射してレンズ28に集められ、さらに該レンズ28を通ってカバー19の裏面、すなわち図2の下面、すなわち光反射面へ供給される。
【0059】
本実施形態では、LED発光素子24からの光をカバー19へ向けるための光指向性制御手段が、LED発光ユニットとしてLED発光素子24と一体化されたレンズ28によって実現されている。
【0060】
レンズ28から出た光は、液晶パネル2の周辺部において液晶層Lに直接に供給されたり、あるいは、カバー19の内面で反射した後に液晶パネル2内の液晶層Lに供給されたりする。このように、カバー19からの反射光を有効に活用することにより、液晶パネル2の表示面の全面に導光体を設けることなく、液晶パネル2の前方から液晶パネル2の内部の液晶層Lへ光を供給することができる。こうして液晶層Lへ供給された光は図2において内面光反射膜8で反射し、再度、液晶層Lを通過して外部の観察側へ進行する。
【0061】
図1において、液晶駆動用IC18a及び液晶駆動用IC18bによって第1電極11a又は第2電極11bのいずれか一方に走査電圧を順次に印加し、さらにそれらの電極の他方に表示画像に基づいて信号電圧を印加することにより、両電圧によって選択された各画素部分の液晶の配向を制御してそこを通過する光を変調し、この光を偏光板13に供給することにより、第2基板4bの外側に文字、数字等といった像を表示する。
【0062】
従来のフロントライティングシステムでは、表面に溝を備えた導光体を液晶パネル2の表示面の全面にわたって配置し、その導光体によって光を液晶パネル2へ面状に導くようにしたので、液晶パネル2の表示を外部から導光体を通して観察したとき、その導光体の存在により光が無駄に消費されたり、表示の品質が損なわれたりすることがあった。これに対し、本実施形態では、液晶パネル2の前面、すなわち観察側面に導光体が存在しないので、液晶パネル2の表示品質が低下することを確実に防止できる。
【0063】
なお、本実施形態では、カバー19の観察側表面に反射防止層23を設けたので、外部からカバー19を介して液晶パネル2の表示を観察したとき、カバー19からの反射光によって表示が見え難くなることを防止できる。また、反射防止層はカバー19の内側表面には設けないので、枠状導光体21の内側側面から出射した光がカバー19で反射することは良好に維持される。
【0064】
(第2実施形態)
図3及び図4は、本発明に係る液晶装置の他の実施形態を示している。この実施形態において、図1に示した実施形態の場合と同じ部材は同じ符号を用いて示すことにして、その部材の説明は省略する。
【0065】
この実施形態に係る液晶装置1が図1に示した先の実施形態に係る液晶装置1と異なる点は、液晶パネル2の1辺に対応して発光ユニット22を設けることに代えて、液晶パネル2の対向する2辺に対応して発光ユニット22を設けたことである。この構成の液晶装置によれば、液晶パネル2の2辺方向から光を供給できるので、強度が強く且つ平面内で均一な光を液晶パネル2へ供給することができる。
【0066】
(第3実施形態)
図5及び図6は、本発明に係る液晶装置のさらに他の実施形態を示している。この実施形態において、図1に示した実施形態の場合と同じ部材は同じ符号を用いて示すことにして、その部材の説明は省略する。
【0067】
この実施形態に係る液晶装置1が図1に示した先の実施形態に係る液晶装置1と異なる点は、発光ユニット22のまわりに導光体21を配設したことである。この導光体21は、液晶パネル2から離れる側の側辺部において発光ユニット22を取り囲み、さらに、液晶パネル2から離れる側の側辺端面(図5では斜線によって示している)は光反射面となっており、さらに液晶パネル2に近い側の側辺端面はレンズ21aを構成している。
【0068】
本実施形態の液晶装置1では、発光ユニット22内のLED発光素子24から出た光は発光ユニット22内のレンズ28を通った後、導光体21の内部へ導入され、該導光体21の内部を伝播することにより液晶パネル2の一辺の全域へ広がるように進行する。そして、導光体21の内部を伝播した光は、出射端のレンズ21aを通過することによりカバー19の方向へ向けて出射する。
【0069】
このように、本実施形態の液晶装置1によれば、導光体21及びそのレンズ21aにより、平面的に均一で且つ強度の強い光を液晶パネル2に供給することができる。
【0070】
(第4実施形態)
図7及び図8は、本発明に係る液晶装置のさらに他の実施形態を示している。この実施形態において、図1に示した実施形態の場合と同じ部材は同じ符号を用いて示すことにして、その部材の説明は省略する。
【0071】
この実施形態に係る液晶装置1が図1に示した先の実施形態に係る液晶装置1と異なる点は、3個の発光ユニット22のそれぞれの光出射面の前に視界制御部材32を配置したことである。
【0072】
今、一般的な視界制御部材は、例えば図9(a)に符号Pで示すように、2枚の透明なPET(Polyethylene Terephthalate)シート33,33の間にブラインド樹脂シート34が挟持された構造を有する。なお、ブラインド樹脂シート34は透過光制御部材として機能する。
【0073】
上記ブラインド樹脂シート34の内部には、遮光性の樹脂から成る遮光板34aがブラインド樹脂シート34の表面に直角に且つ互いに平行になるように複数枚設けられている。これらの遮光板34aによって、法線B上の点Aからの視角θが、ほぼ−45°〜45°までの範囲であれば、上記視界制御部材Pのヘイズ率が10%以下となるように、また、視角θが−45°よりも小さいか、あるいは45°よりも大きくなる範囲であれば、視界制御部材Pのヘイズ率が70%以上となるように、透過光が制御される。
【0074】
なお、ヘイズ率とは、物体を透過する平行光線と拡散光線とから成る全透過光線に対する拡散光線の透過率を示す指標である。すなわち、
ヘイズ率(%)=(拡散光線透過率/全光線透過率)×100
で表される。従って、ヘイズ率が小さいほど、その物体の透明度が大きくなる。以上のことから、視界制御部材Pは、法線B上の点Aからの視角がθ=0°から所定角度まではヘイズ率が小さくなるように形成されることで視界を透明とし、視角θが所定角度以上のときにはヘイズ率が大きくなるように形成されることで視界を不透明とするようになっている。
【0075】
図9(b)は視界制御部材Pの光透過特性を示している。なお、同図に示すグラフにおける横軸は、図9(a)に示す視界制御部材Pの法線B上の点Aからの視角θを表す。図9(b)から明らかなように、視界制御部材Pは、視角θがほぼ−45°〜45°の範囲での光のヘイズ率が10%以下の透明領域となり、視角θが−45°よりも小さい範囲、あるいは45°よりも大きくなる範囲での光のヘイズ率が70%以上の不透明領域となるように形成されている。
【0076】
つまり、視界制御部材Pは、正面方向には透明性を有し、斜め方向には不透明性を有するような光透過特性を示すことがわかる。すなわち、上記の視界制御部材Pは、発光面に対して主として法線方向からの視界を透明に、そして法線に対して斜め方向からの視界を不透明に制御するようになっている。また、遮光板34aの角度設定に応じて透明方向を希望の方向に設定することもできる。
【0077】
図8に示す本実施形態においては、視界制御部材32の光透過特性がカバー19を向く方向に関して透明でそれ以外の方向に関して不透明となるように設定されている。この結果、図8に示すように、発光ユニット22のレンズ28からでて視界制御部材32に供給された光はカバー19へ向かう方向へは出射するが、それ以外の方向へは出射しないように制御される。これにより、本実施形態によれば、発光ユニット22の光出射面から出る光を、発光ユニット22から離れたカバー19の中央部分へと効率良く導くことができ、そのため、液晶パネル2の周辺部分に限られず液晶パネル2の全面へ光を均一に供給することができる。
【0078】
(第6実施形態)
図10は、本発明に係る液晶装置のさらに他の実施形態を示している。この実施形態において、図1に示した実施形態の場合と同じ部材は同じ符号を用いて示すことにして、その部材の説明は省略する。
【0079】
この実施形態に係る液晶装置1が図1に示した先の実施形態に係る液晶装置1と異なる点は、3個の発光ユニット22のそれぞれの光出射面の前に偏光部材としての偏光板36を配置したことである。偏光板36は、発光ユニット22から出た光のうちカバー19の光反射面に対して平行な振動方向を持つ光、すなわちS偏光を含む光を通過させるような偏光透過軸を有している。つまり、この偏光板36を用いる場合には、カバーの光反射面にS偏光を含む光が入射する。
【0080】
また、望ましくは、偏光板36は、振動方向が0°〜45°の角度でカバー19の光反射面に入射するような光を通過させるような偏光透過軸を有するように配置される。また、より望ましくは、偏光板36は、振動方向がほぼ0°の角度でカバーの光反射面に入射するような光を通過させるような偏光透過軸を有するように配置される。振動方向が0°の角度でカバーの光反射面に入射するというのは、とりもなおさず、カバーの光反射面にS偏光が入射することである。
【0081】
一般に、ガラス等といった透光性部材に光が入射するとき、その透光性部材の光反射面に対して平行な振動方向を持つ光、すなわちS偏光はその透光性部材で反射する傾向にあり、一方、透光性部材の光反射面に対して垂直な振動方向を持つ光、すなわちP偏光はその透光性部材を透過する傾向にある。
【0082】
上記のように、発光ユニット22の光出射面に偏光板36を設ければ、発光ユニット22から出てカバー19へ向かう光は、カバー19の光反射面に対してS偏光となる成分を主に含むようになるので、その出射光の多くの部分はカバー19で反射して液晶パネル2へ向かうことになり、カバー19を透過して外部へ進行する光は少なくなる。この結果、外部からカバー19を通して液晶パネル2の表示を見た場合、カバー19を透過する光によって視認性が損なわれることを防止できる。
【0083】
特に、振動方向がカバー19の光反射面に対して0°〜45°の角度となるような偏光を偏光板36によって選択してカバー19へ入射させれば、カバー19で反射して液晶パネル2へ供給される光をより多くでき、さらにカバー19を透過する光をより一層少なくできる。
【0084】
また特に、振動方向がカバー19の光反射面に対してほぼ0°の角度、すなわちほぼ平行になるような偏光を偏光板36によって選択してカバー19へ入射させれば、より一層多くの光をカバー19によって反射して液晶パネル2へ供給でき、さらにカバー19を透過する光をより一層少なくできる。
【0085】
(第7実施形態)
図10に示したように偏光板36を用いる構成のフロントライティングシステム3及び液晶装置1に関しては、図11に示すように、発光ユニット22から出てカバー19の光反射面へ入射する光の入射角度をブリュースター角θに設定することが望ましい。
【0086】
ブリュースター角は、図12に関連して既に説明したように、反射光が入射面に垂直な電場ベクトルを持つ直線偏光成分(すなわち、S偏光)だけになる入射角度θのことであるので、光の入射角度をブリュースター角θに設定するという構成と、偏光板36によってS偏光成分を選択するという構成とを併せて採用すれば、カバー19における反射効率をより一層高めると共にカバー19を透過する光をより一層低減できることになり、それ故、液晶装置1の表示品質をより一層向上できる。
【0087】
(第8実施形態)
図13は、本発明に係る電子機器の一実施形態である携帯電話機を示している。ここに示した携帯電話機50は、アンテナ51、スピーカ52、キースイッチ53、マイクロホン54等といった各種構成要素を、外装ケース56に格納することによって構成される。外装ケース56の内部には、表示装置として作用する液晶装置60及び制御回路基板57が収納される。
【0088】
液晶装置60は図の上部面が表示面となっており、その表示面に対向する部分の外装ケース56には、液晶装置60を保護すると共に表示面の視界を確保するための透明なカバー58が設けられる。液晶装置60は、例えば図1に示す液晶装置1であってカバー19を除いた部分によって構成でき、さらにカバー58は図1に示すカバー19によって構成できる。
【0089】
図13において、カバー58はその平面形状が正方形又は長方形に形成される。そしてこのカバー58は、ゴムや軟質の合成樹脂等によって同じく正方形又は長方形の枠状に形成された支持部材59によって支持されて外装ケース56と一体になっている。図1に示す液晶装置1であってカバー19を除いた部分が図12の外装ケース56の内部の所定位置に装着されたときに、図2に示すように、カバー19が液晶パネル2の表示面に対向する位置に所定の空間を隔てて位置決めされるようになっている。
【0090】
図13に示す携帯電話機50では、キースイッチ53及びマイクロホン54を通して入力される信号や、アンテナ51によって受信した受信データ等が制御回路基板57の制御回路に入力される。そしてその制御回路は、入力した各種のデータに基づいて液晶装置60の表示面内に数字、文字、図形等といった像を表示し、さらにアンテナ51から送信データを送信する。
【0091】
図14は、図13に示す携帯電話機、あるいはその他の電子機器に用いられる電気制御系の一実施形態を示している。ここに示した電気制御系は、表示情報出力源80、表示情報処理回路81、電源回路82、タイミングジェネレータ83、そして表示装置としての液晶装置84を有する。また、液晶装置84は液晶パネル85及び駆動回路86を有する。液晶装置84は、例えば図1に示した液晶装置1を用いて構成できる。
【0092】
表示情報出力源80は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等といったメモリ、各種ディスク等といったストレージユニット、デジタル画像信号を同調出力する同調回路等を備え、タイミングジェネレータ83によって生成された各種のクロック信号に基づいて、所定フォーマットの画像信号等といった表示情報を表示情報処理回路81に供給する。
【0093】
表示情報処理回路81は、シリアル−パラレル変換回路や、増幅・反転回路、ローテーション回路、ガンマ補正回路、クランプ回路等といった周知の各種回路を備え、入力した表示情報の処理を実行して、その画像信号をクロック信号CLKと共に駆動回路86へ供給する。駆動回路86は走査線駆動回路、データ線駆動回路、検査回路等を含んで構成される。また、電源回路82は各構成要素に所定の電圧を供給する。
【0094】
本実施形態の電子機器によれば、図2において発光ユニット22の光出射面から出た光が、図13の外装ケース56に支持されたカバー58の内面で反射して図2の液晶パネル2へ供給され、これにより、被照明体としての液晶パネル2をその前方から照明するフロントライト構造が実現される。
【0095】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0096】
例えば、図1に示す実施形態では単純マトリクス方式の液晶装置に本発明を適用したが、本発明は、TFD(Thin Film Diode)等といった2端子型スイッチング素子をアクティブ素子として用いる構造のアクティブマトリクス方式の液晶装置や、TFT(Thin Film Transistor)等といった3端子型スイッチング素子をアクティブ素子として用いる構造のアクティブマトリクス方式の液晶装置等にも適用できる。
【0097】
また、本発明に係る電子機器は、図13に示した携帯電話機に限られず、その他の任意の電子機器、例えば携帯情報端末機、デジタルカメラ等とすることもできる。
【0098】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るフロントライティングシステムによれば、光源から出た光は光指向性制御手段の働きによってカバーへ向けられ、このカバーの内側表面で反射して被照明体を照明する。このように、カバーの内側表面を反射面として活用することにより、従来のフロントライト方式の液晶装置で用いられていた構成、すなわち、溝を備えた導光体を液晶パネルすなわち被照明体の前方の全面にわたって配置する構成、を用いる必要がなくなり、よって、被照明体を外部から見たときの表示品質を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフロントライティングシステムの一実施形態及び本発明に係る液晶装置の一実施形態を分解状態で示す斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線に従って液晶装置の断面構造を示す断面図である。
【図3】本発明に係るフロントライティングシステムの他の実施形態を分解状態で示す斜視図である。
【図4】図3におけるIV−IV線に従って液晶装置の断面構造を示す断面図である。
【図5】本発明に係るフロントライティングシステムのさらに他の実施形態を分解状態で示す斜視図である。
【図6】図5におけるVI−VI線に従って液晶装置の断面構造を示す断面図である。
【図7】本発明に係るフロントライティングシステムのさらに他の実施形態を分解状態で示す斜視図である。
【図8】図7におけるIIX−IIX線に従って液晶装置の断面構造を示す断面図である。
【図9】図7のフロントライティングシステムで用いる主要な光学要素を説明するための図である。
【図10】本発明に係るフロントライティングシステムのさらに他の実施形態を分解状態で示す斜視図である。
【図11】図10におけるXI−XI線に従って液晶装置の断面構造を示す断面図である。
【図12】図11のフロントライティングシステムで用いる主要な光学要素の角度配置を説明するための図である。
【図13】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す斜視図である。
【図14】図13の電子機器又はその他の電子機器で用いられる電気制御系の一実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 液晶装置
2 液晶パネル
3 フロントライティングシステム
4a,4b 基板
4c,4d 基板張出し部
7a,7b 基材
8 光反射膜
11a,11b 電極
13 偏光板
19 カバー
21 導光体
21a レンズ(光指向性制御手段)
22 発光ユニット
23 反射防止層
24 LED発光素子(光源)
28 レンズ(光指向性制御手段)
32 視界制御部材(光指向性制御手段)
33 PETシート
34 ブラインド樹脂シート
34a 遮光板
36 偏光板
50 携帯電話機(電子機器)
L 液晶
θ ブリュースター角

Claims (12)

  1. 液晶層を有する液晶パネルと、該液晶パネルを観察側から照明するフロントライティングシステムと、を有する液晶装置において、
    前記フロントライティングシステムは、前記液晶パネルの観察側に配置されるとともに前記液晶パネルを覆い、光透過性を有するカバーと、前記カバーと前記液晶パネルの間に配置され、発光する光源と、該光源からの光を前記カバーへ向ける導光体と、を有し、
    前記光源から出射された光は、前記導光体に導入され、前記液晶パネルの前記導光体が配置される側の一辺に広がるように前記導光体を伝播して、前記カバーへ向けて出射され、前記カバーで反射されて前記液晶層に入射し、
    前記導光体は、当該導光体から出射する光を前記カバーへ向けて集光するレンズを光出射面に有することを特徴とする液晶装置。
  2. 請求項1において、前記導光体は、前記液晶パネルから離れる側の側辺部において前記光源を取り囲み、前記液晶パネルから離れる側の側辺端面が光反射面であり、前記液晶パネルに近い側の側辺端面は前記レンズを構成することを特徴とする液晶装置。
  3. 液晶層を有する液晶パネルと、該液晶パネルを観察側から照明するフロントライティングシステムと、を有する液晶装置において、
    前記フロントライティングシステムは、前記液晶パネルの観察側に配置されるとともに前記液晶パネルを覆い、光透過性を有するカバーと、前記カバーと前記液晶パネルの間に配置され、発光する光源と、該光源に対向してなる視界制御部材と、を有し、
    前記光源から出射された光は、前記視界制御部材に入射し、前記視界制御部材から前記カバーへ向かう方向へ出射され、前記カバーで反射されて前記液晶層に入射することを特徴とする液晶装置。
  4. 請求項3において、前記光源と前記視界制御部材との間に配置され、前記光源からの光を前記カバーに向けて集光するレンズを有することを特徴とする液晶装置。
  5. 液晶層を有する液晶パネルと、該液晶パネルを観察側から照明するフロントライティングシステムと、を有する液晶装置において、
    前記フロントライティングシステムは、前記液晶パネルの観察側に配置されるとともに前記液晶パネルを覆い、光透過性を有するカバーと、前記カバーと前記液晶パネルの間に配置され、発光する光源と、該光源に対向してなる偏光部材と、を有し、
    前記光源から出射された光は、前記偏光部材を透過し、前記カバーで反射されて前記液晶層に入射し、
    前記カバーは、当該カバーの前記液晶パネルと対向する面に対して平行な振動方向を持つ光を反射し、
    前記偏光部材は、光源から出た光のうち前記カバーの前記液晶パネルと対向する面に対して平行な振動方向を持つ光を通過させる偏光透過軸を有することを特徴とする液晶装置。
  6. 請求項5において、前記光源と前記偏光部材との間に配置され、前記光源からの光を前記カバーに向けて集光するレンズを有することを特徴とする液晶装置。
  7. 請求項5又は請求項6において、前記偏光部材は、振動方向が0°〜45°の角度で前記カバーに入射するように光を通過させることを特徴とする液晶装置。
  8. 請求項5又は6において、前記偏光部材は、振動方向がほぼ0°の角度で前記カバーに入射するように光を通過させることを特徴とする液晶装置。
  9. 請求項5から請求項8の少なくともいずれか1つにおいて、前記光源から出て前記カバーへ向かう光の該カバーに対する入射角度は、ほぼブリュースター角に設定されることを特徴とする液晶装置。
  10. 請求項1から請求項9の少なくともいずれか1つにおいて、前記カバーの前記観察側の面に反射防止層を設けたことを特徴とする液晶装置。
  11. 請求項1から請求項10の少なくともいずれか1つにおいて、前記カバーは、前記液晶パネルを損傷及び汚れから保護する保護カバーであることを特徴とする液晶装置。
  12. 請求項1から請求項11の少なくとも1つに記載の液晶装置を有することを特徴とする電子機器。
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