JP3822699B2 - 薄状媒体搬送機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタまたは証明書自動発行機などに使用される、例えば、用紙等の薄状媒体を搬送する薄状媒体搬送機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この薄状媒体搬送機構の一種としての用紙搬送機構においては、用紙の下方側に配置された下側ローラと、用紙の上方側に配置された上側ローラとを備え、用紙を挟んで両ローラが相互に当接した状態で、これら上側及び下側ローラを回転させることにより、用紙を搬送することができる。
しかしながら、従来の前記ローラを備えた用紙搬送機構を、図15に示されるような用紙を一時的に受け入れることができる用紙受け手段X1と、この用紙受け手段X1に対向配置され用紙を押圧できる用紙押さえ手段X2とを備えた新規な搬送機構に設置した場合、用紙を複数枚或いは複数部同時に搬送下流側に搬送するため、非搬送時に上側及び下側ローラX3、X4が相互に離間した状態で、上流側から搬送された用紙Y1を受け入れることが必要である(図15(a)参照)。
しかし、上側及び下側ローラX3、X4が相互に離間した状態で、上流側から搬送された用紙Y1を受け入れる場合(図15(b)参照)、先に受け入れられた用紙Y1に次に搬送される用紙Y1がただ単に重ねられるので(図15(c)参照)、これら用紙Y1の後端が揃わずに、用紙Y1後端が相互にずれた状態になる(図15(d)参照)。従って、これら用紙Y1をローラX3、X4で挟んで搬送させたのでは、搬送用紙Y1を複数枚或いは複数部同時に搬送方向下流側に整然と搬送することができないおそれがあった。
本発明は、上述した問題点を解決するために為されたものであり、例えば用紙等の薄状媒体を複数枚、或いは、複数部同時に搬送方向下流側に整然と搬送することができる薄状媒体搬送機構を提供することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
この目的を達成するために、請求項1記載の薄状媒体搬送機構によれば、搬送される複数の薄状媒体を受け入れることができる薄状媒体受け手段と、この薄状媒体受け手段の媒体搬送方向上流側に設けられ、薄状媒体の後端部を当接させて揃えるための媒体揃え手段と、前記薄状媒体を前記媒体搬送方向の上流側または下流側に搬送する薄状媒体搬送手段とを備え、更に、この薄状媒体受け手段に先に受け入れられた薄状媒体の後端部が、次に受け入れられた薄状媒体の後端部より下流側に位置する状態で、前記薄状媒体搬送手段がこれら薄状媒体を前記媒体揃え手段に当接するように上流側に搬送する搬送制御手段とを備え、この搬送制御手段は、前記薄状媒体受け手段に先に受け入れられた薄状媒体の後端部が、次に受け入れられた薄状媒体の後端部より搬送方向下流側に位置するように、次の薄状媒体の受け入れ前に、先に受け入れられた薄状媒体を前記薄状媒体搬送手段により下流側に搬送することを特徴とする。
それにより、媒体搬送方向上流側から薄状媒体が搬送されて薄状媒体受け手段に受け入れられ、次の薄状媒体が薄状媒体受け手段に受け入れられる際に、先の薄状媒体の後端部は、次の薄状媒体の後端部より下流側に位置するので、前記薄状媒体搬送手段がこれら薄状媒体を上流側に搬送させると、次の薄状媒体の後端部が媒体揃え手段に当接した後に、先の薄状媒体の後端部が媒体揃え手段に当接し、これら後端部を整然と揃えることができる。従って、薄状媒体を複数枚或いは複数部同時に媒体搬送方向の下流側に整然と搬送することができる。
それにより、上流側から搬送された薄状媒体が、薄状媒体受け手段に受け入れられ、搬送制御手段が、先の薄状媒体を下流側に搬送させてから、次の薄状媒体を薄状媒体受け手段に受け入れるので、先の薄状媒体の後端部は、次の薄状媒体の後端部より下流側に位置する。従って、前記薄状媒体搬送手段が、これら薄状媒体を上流側に搬送させると、次の薄状媒体の後端部が、媒体揃え手段に当接した後に先の薄状媒体の後端部が媒体揃え手段に当接し、これら後端部を整然と揃えることができる。
【0004】
また、請求項2記載の薄状媒体搬送機構によれば、請求項1に記載の薄状媒体搬送機構において、前記薄状媒体受け手段に対向するように配置される薄状媒体押さえ手段と、前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段を相互に当接または離間させる当接・離間手段とを備え、前記搬送制御手段は、前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段を相互に離間させ、薄状媒体受け手段に先に受け入れられた薄状媒体の後端部が、次に受け入れられた薄状媒体の後端部より下流側に位置する状態で、前記薄状媒体搬送手段がこれら薄状媒体を前記媒体揃え手段に当接するように上流側に搬送した後に、前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段を相互に当接させ、更にこれら薄状媒体を下流側に搬送させることを特徴とする。
それにより、当接・離間手段によって前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段が相互に離間した状態で、上流側から薄状媒体が搬送されて薄状媒体受け手段に受け入れられ、次の薄状媒体を薄状媒体受け手段に搬送する際に、先の薄状媒体の後端部は、次の薄状媒体の後端部より下流側に位置する。そのため、前記薄状媒体搬送手段が、これら薄状媒体を上流側に搬送させると、次の薄状媒体の後端部が媒体揃え手段に当接した後に、先の薄状媒体の後端部が媒体揃え手段に当接し、これら後端部を整然と揃えることができる。その後、当接・離間手段によって前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段が相互に当接した状態で、薄状媒体搬送手段は、薄状媒体押さえ手段と薄状媒体受け手段とに挟まれた薄状媒体を搬送方向下流側に搬送できる。従って、薄状媒体を複数枚、或いは複数部同時に媒体搬送方向の下流側に整然と搬送することができる。
特に、薄状媒体搬送機構は、当接・離間手段によって前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段が相互に離間した状態で、上流側から薄状媒体が搬送される度に、前記薄状媒体搬送手段による薄状媒体の前進・後退を繰り返えさせ、後退時に媒体揃え手段に当接させて整然と並べ、その後、当接・離間手段によって前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段が相互に当接した状態で、薄状媒体搬送手段が、薄状媒体押さえ手段と薄状媒体受け手段とに挟まれた薄状媒体を搬送方向下流側に搬送する制御手段を備えるのが好ましく、この場合、薄状媒体を複数枚、或いは複数部同時に媒体搬送方向の下流側に整然と搬送することができる。
【0005】
また、請求項3記載の薄状媒体搬送機構によれば、前記搬送制御手段は、前記薄状媒体受け手段に先の薄状媒体が受け入れられると、前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段を相互に当接させて、先の薄状媒体を前記薄状媒体搬送手段により下流側の所定位置まで搬送させ、更に前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段を相互に離間させた後に、前記薄状媒体受け手段に次の薄状媒体が受け入れられることによって、先の薄状媒体の後端部が次の薄状媒体の後端部より下流側に位置する状態にし、これら薄状媒体を前記薄状媒体搬送手段により上流側に搬送させて前記媒体揃え手段に当接させることを特徴とする。
【0006】
また、請求項4に記載の薄状媒体搬送機構によれば、前記薄状媒体搬送手段は前記薄状媒体押さえ手段に配設された複数の上側ローラと、前記薄状媒体受け手段に配設された複数の下側ローラとを備えるので、薄状媒体押さえ手段は前記薄状媒体受け手段によって受け入れられた薄状媒体を押圧することにより、薄状媒体のカールを防止できると共に、上側及び下側ローラが相互に当接された状態で、上側及び下側ローラを回転させることにより、カールの無い薄状媒体を確実に搬送することができる。尚、この場合、下側ローラは、摩擦係数の大きな素材からなっているのが望ましい。
【0007】
また、請求項5に記載の薄状媒体搬送機構によれば、証明書自動発行機内に取り付けられていることを特徴とする。それにより、次の薄状媒体(証明書)及び先の薄状媒体(証明書)の後端部が媒体揃え手段に当接し、これら後端部を整然と揃えることができるので、薄状媒体(証明書)を複数枚、或いは複数部同時に媒体搬送方向の下流側に整然と搬送することができる。従って、証明書自動発行機内の薄状媒体搬送機構において、薄状媒体(証明書)を複数枚、或いは複数部同時に媒体搬送方向の下流側に整然と搬送することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した薄状媒体搬送機構を備えた書類自動発行装置、具体的には、証明書自動発行機の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1に示す本実施の形態の証明書自動発行機1は、例えば、住所がある市役所等、該当する行政区画内に住む住民が、例えば住民票、戸籍謄本等の証明書の取得を希望する場合に利用できる機械であって、市役所の担当者に申請書を提出して取得するのではなく、利用者が証明書自動発行機1に対して所定操作を行えば、希望する証明書を自動的に発行することができる機械である。この証明書自動発行機1を利用すれば、市役所の担当者を増員しなくても、待ち時間が無く希望する証明書を取得できる他、休日又は時間外に証明書自動発行機1を稼働することも可能となる。但し、この証明書自動発行機1を利用できる者は、住民のプライバシー保護等の観点から、暗証番号(即ちユーザID識別コード)等の情報を記録する磁気テープを備えた磁気カード(若しくはICチップを備えたIDカード)などを所有する者(以下利用者ともいう)に限られる。
【0009】
この証明書自動発行機1の筐体1aの前面パネルには、証明書の発行を希望する利用者個々が所有する磁気カード若しくはIDカードを挿入するためのカード挿入口2aが設けられ、このカード挿入口2aの機械内部にはカードリーダ2(図11参照)が配設されている。このカード挿入口2a内側にはセンサ(図示せず)が設けられており、IDカードを検出して、次に述べるローラ部を駆動することができる。また、カード挿入口2aからカードリーダ2の位置まで、IDカードを搬送するためのローラ部(図示せず)が設けられており、このローラ部が駆動すると、IDカードをカードリーダ2まで搬送することができる。
そのカード挿入口2の側方には、例えば用紙切れ等のように証明書自動発行機1にトラブルが発生した際に、当該トラブルを解決する保守担当員を呼び出すための呼び出しボタン22が設けられている。その呼び出しボタン22の上方には、例えば、操作方法や案内等の表示される表示手段としてのCRT表示装置3が設けられており、そのCRT表示装置3の画面は、利用者が表示されている部分の一部に直接ふれることによって、所望の情報を入力することのできる入力手段としてのタッチパネル4になっている。
【0010】
そのタッチパネル4の側方には、手数料を支払うためのコイン投入口5a及び紙幣挿入口6aが形成されており、これらは硬貨を貯めることができるコインメック5及び紙幣を貯めることができるビルバリ6(いずれも図11参照)と連通している。これらのコイン投入口5a及び紙幣挿入口6aの下方には、釣り銭及びレシートを取り出すための取り出し口8が設けられている。また、取り出し口8の側方には、後述するレーザプリンタ11(図2、11参照)にて印刷された住民票、戸籍謄本等の証明書を排出する証明書排出口7が形成されている。
上述した呼び出しボタン22の下方には、車椅子を利用している人がこの証明書自動発行機1を利用する際、容易に操作できるように配慮したアシストバー42が設けられている。
更に、このアシストバー42の下方で筐体1aの一部には、車椅子の利用者が利用しやすくなるように、車椅子に乗車している人の膝から下が納まる程度の大きさの彫り込み43が形成されており、その掘り込み43の内側面には車椅子の一部が衝突した場合にショックを吸収するためのショック吸収シート44が設けられている。また、この証明書自動発行機1の高さは、車椅子の利用者でも楽に利用できるように、例えば130cmになるように構成されている。
また、上述したタッチパネルの上方には、この証明書自動発行機1が使用可能状態であるか使用不能状態にあるかを表示する操作表示器10が設けられている。
【0011】
次に、本実施の形態における証明書自動発行機1内部機構について、図2を参照して説明する。
図2は、証明書自動発行機1内部の用紙搬送路等を示す概略断面図である。この発行機1内の下方部には、レーザプリンタ11が設置されており、このプリンタ11上部には、該レーザプリンタ11によって印刷された証明書としての用紙Y1を発行機1外へ排出するための、上部排出口11aが形成されている。レーザプリンタ11の上面には、用紙ガイド54が形成されており、この用紙ガイド54は、前記上部排出口11aから排出された証明書を、搬送路下流側に搬送させることができる。
この用紙ガイド54の上方側には、証明書を搬送する搬送ユニット51が設置されている。この搬送ユニット51は、その内部に用紙ガイド55を設けており、用紙ガイド54から送り出された証明書は用紙ガイド55に沿って一方向(図2紙面右方)に搬送させることができる。また、搬送ユニット51内の用紙ガイド55の上方側には、幅揃えトレイ56が形成されており、用紙ガイド55から幅揃えトレイ56に向かう場合、搬送路はその搬送方向をほぼ180度Uターンさせて反対方向(図2紙面左方)に向かう。この搬送ユニット51側方(図2紙面左方)には、用紙排出ユニット71が配設されており、この用紙排出ユニット71は、前記証明書を証明書排出口7に向かって搬送させることができる。
【0012】
具体的には、搬送ユニット51の内部には、レーザプリンタ11の上面に沿うとともにその端部(図2紙面右端部)側で上方に向かう搬送路としての用紙ガイド55が形成されており、この用紙ガイド55の上側及び下側には、用紙ガイド54から送り出された証明書を搬送するための、送りローラ55a及び55bが複数個設置されている。それら送りローラ55a及び55b間には、証明書の重送を検出するための、光透過型等もしくは光反射型の重送検出センサHSが設けられている。
その用紙ガイド55の上方端部側(図2紙面右上方側)には、証明書の重送等の際にレーザプリンタ11の上面側に戻すように、搬送方向を180度Uターンさせる退避ガイド55cが分岐路の一つとして形成されており、切替バー55dの位置が切り替わることにより、重送した証明書は、退避部としての退避ガイド55cに搬送される。このように用紙搬送ユニット51において、重送した証明書を退避ガイド55cに搬送する理由は、このプリンタ11は複製(複写)防止用の改竄防止用紙に記録を行うので、証明書の重送により、未印刷の公的な用紙Y1を装置1外部に出さないようにするためである。
【0013】
また、用紙ガイド55は、前記退避ガイド55cとの分岐点の右上方側で、搬送方向をほぼ90度折り曲げて用紙排出ユニット71(図2紙面左方)側に向かっており、折り曲げられた用紙ガイド55の左方には、用紙ガイド55を通過した証明書の幅を揃えるための幅揃えトレイ56が形成されている。その幅揃えトレイ56の一端(図2紙面右端)側には、該幅揃えトレイ56上に載せられた証明書の後端を押し出すためのツメ57aが設けられ、具体的には、このツメ57aは押し出しガイド57に固定されて配置されている。その用紙排出ユニット71の上方には、幅揃えされた証明書を綴じるステープラ14と、このステープラ14の同列上に証明書に契印を押すことができる契印機15が設置されている。
また、該幅揃えトレイ56の一端(図2紙面右端)側には、前記ツメ57aに隣設して支軸56cが設けられており、この支軸56cは、幅揃えトレイ56を図2点線で示す上方位置と実線で示す下方位置との間を揺動させるための支点としての働きをする。そして、証明書が幅揃えトレイ56上に複数枚載せられた場合に、幅揃えトレイ56は、幅揃えトレイ56を点線で示す上方位置に移動し、幅揃えされた証明書をステープラ14に差し込んで綴じるとともに、差し込まれた証明書に契印機15が契印を押すことができる。
【0014】
その幅揃えトレイ56の他端(図2紙面左端)には、該幅揃えトレイ56上の証明書を、用紙排出ユニット71へ送り出すための送りローラ58a、58bが設置されている。そして、該送りローラ58a、58bの近傍には、排出トレイ確認センサ59が取り付けられており、このセンサ59の信号に基づいて、CPU13は用紙排出ユニット71の排出トレイ72上に証明書が送られたか否かを判断することができる。また、幅揃えトレイ56の途中には、複数枚の証明書の幅揃えを行う幅揃えツメ84が設置されている。
また、用紙排出ユニット71は、下方側に配置された複数(4個)の下側ローラ73と、上方側に配置された複数(4個)の上側ローラ74と、これらローラ73、74を支持するローラ軸73a,74aの片側先端部に固着されたプーリ73b、74b(図2紙面手前側)を回転させるタイミングベルト75、76、77と、このタイミングベルト75、76、77を回転させるステップモータ78とを備えている。尚、前記下側ローラ3、上側ローラ74は摩擦係数の大きなゴム等の材質より成っている。
それにより、証明書を介して上下一対のローラ73、74を相互に当接した状態で、ステップモータ78が駆動してタイミングベルト75、76、77を回転させると、これら下側及び上側ローラ73、74が回転することにより、証明書を証明書排出口7へ搬送する。尚、これらローラ73、74と証明書排出口7との間には、筐体1aの内側の上下方向に回収貯蔵部J6が設けられており、プライバシー保護等の観点から、この発行機1は証明書排出口7に残った証明書を、所定時間経過後に回収貯蔵部J6に回収するように構成されている。尚、この回収貯蔵部J6内の証明書は、保守担当員のみが取り出せるようになっている。
【0015】
次に、図11を参照して、証明書自動発行機1を含む証明書自動発行システムの電気的構成について説明する。
本実施の形態の証明書自動発行機1は、ホストコンピュータ31と接続された、CPU13の指令によって動作する。このCPU13は、上述したカードリーダ2と、CRT表示装置(CRTと略称する)3と、CRT表示装置3の画面に一体的に取り付けられているタッチパネル4と、前記コインメック5と、前記ビルバリ6と、時間を計測する際に利用するタイマ26と、保守担当員を呼び出すための呼び出しボタン22と、領収書用のレシートを印刷するためのレシートプリンタ(ジャーナルプリンタともいう)12と、操作方法等を音声にて説明するための発声装置16と、CPU13を制御して証明書自動発行機1を所定のプロセス通りに動作させ、証明書を発行するための動作プログラムを格納するハードディスク(HDD)17と、証明書自動発行機1を所定動作させるためのプログラムを記憶するROM50と、証明書自動発行機1から離れた位置にいる保守担当員の近くに設置され、証明書自動発行機1の稼働状況や呼び出しボタン22が押されたこと等を保守担当員に知らせるためのリモート操作パネル33と、証明書自動発行機1内の記録装置としてのレーザプリンタ11と、レーザプリンタ11で印刷された書類を搬送するための搬送ユニット51と、タッチパネル4から入力された書類が複数枚である場合にそれらの書類の端部を綴じるためのステープラ14と、それらの書類に契印を付すための契印機15と、書類を証明書排出口7まで搬送する用紙排出ユニット71と、証明書自動発行機1を所定のプロセス通りに動作させる動作プログラムがロードされるRAM49とが接続されている。証明書自動発行機1を動作させるプログラムは、ハードディスク17からRAM49に転送され、そのプログラムに基づいて証明書自動発行機1は動作するが、RAM49は、証明書自動発行機1を動作させる際に必要なデータ等を記憶することができる。また、CPU13は、薄状媒体の搬送を制御する搬送制御手段、先送り用制御手段として機能する。
【0016】
また、ホストコンピュータ31には、該当する行政区画内の全住民に関する住民票、戸籍謄本等を作成するための証明書用データを記憶するデータベース32が接続されており、ホストコンピュータ31は、IDカードより得たユーザID識別コード、及び、利用者が希望選択した例えば住民票、戸籍謄本等の証明書及び必要な部数等に関するデータに基づいてデータベース32を検索し、このベース32から必要な証明書作成用データを抽出して、証明書作成用データをCPU13へ送信することができる。また、リモート操作パネル33は、担当者の手元に備えられており、利用者が呼び出しボタン22を押したときや、或いは、証明書自動発行機1において、例えば用紙Y1が無くなった場合などに、それらをランプやチャイム等で担当者に知らせることができる。
【0017】
続いて、この証明書自動発行機1を利用者が使用する際の、証明書自動発行機1の主な動作について、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
証明書自動発行機1では、CPU13の制御の下、証明書の申請者、即ち利用者にカード挿入口2aにIDカードの挿入を促す画面がCRT表示装置3に表示されている。CPU13は、カード挿入口2aにIDカードが挿入(ステップ1)(以下ステップをSと略称する)されたかどうかを常に監視しているので、利用者がIDカードを証明書自動発行機1のカード挿入口2aに挿入すると、このカード挿入口2a内側に設けられているセンサ(図示せず)が、IDカードを検出する。そして、ローラ部が駆動してIDカードを搬送させ、入力部としてカードリーダ2にIDカードに記録されているユーザID識別コード等のデータの読みとりを指示する。
【0018】
カードリーダ2は、IDカードに記録されているデータを読み取り、その読み取ったデータをCPU13に転送する。CPU13は、挿入されたIDカードが証明書自動発行機1用の正しいカードであるかどうかを確認する(S2)。挿入されたカードが、例えば、証明書自動発行機1用の正しいカードでなく、カードリーダ2が正しく読み取りできなければ(S2・NO)、カード挿入口2aからIDカードを排出する(S3)と共に、その旨をCRT表示装置3の画面に表示する(S4)。
一方、挿入されたカードが、証明書自動発行機1用のIDカードであって、カードリーダ2が正しく読み取りできれば(S2・YES)、CPU13は、暗証番号の入力を促す画面をCRT表示装置3に表示するとともに、発声装置16へその旨の信号を送って、発声装置16に「暗証番号を入力して下さい」と発声させる(S5)。それにより、利用者がCRT表示装置3の画面に表示されている数字入力用のタッチパネル4を順番に触れて、暗証番号を入力すると、CPU13は暗証番号のデータとしてRAM49に記憶することができる(S6)。そして、CPU13はIDカードに記録されている利用者のユーザID識別コードと、入力された暗証番号のデータとの両方をホストコンピュータ31に伝送する。ホストコンピュータ31は、CPU13から伝送されたユーザID識別コードのデータと暗証番号のデータとを照合して正否を判断する(S7)。ユーザID識別コードのデータに対して、暗証番号のデータが正しくなければ(S8・NO)、その旨をCPU13へ伝送し、再度正しい暗証番号の入力を促す画面をCRT表示装置3に表示させる(S5)と共に、上述した如く、利用者に暗証番号を再入力させる(S6)。そして、暗証番号が正しければ(S8・YES)、その旨をCPU13に伝える。
【0019】
次にCPU13は、証明書の選択を促す画面をCRT表示装置3に表示するとともに、発声装置16へその旨の信号を送って、発声装置16に「必要な証明書を選んで下さい」と発声させる(S10)。利用者は、CRT表示装置3における必要な証明書名が表示されている部分のタッチパネル4を触れることにより、必要な証明書名を選択する(S11・YES)。次に、CPU13は、必要な部数の選択を促す画面を、CRT表示装置3に表示するとともに、発声装置16へその旨の信号を送って、発声装置16に「必要な部数を選んで下さい」と発声させる(S12)。利用者は、CRT表示装置3の画面に表示されている部数入力用のタッチパネル4を触れることにより、必要な部数を選択し、CPU13はそのデータをRAM49に記憶することができる(S13・YES)。すると、CPU13は利用者の選択した証明書の料金を計算し、料金をコイン投入口5a及び紙幣挿入口6aに投入することを促す画面を、CRT表示装置3に表示するとともに、発声装置16へその旨の信号を送って、発声装置16に「料金は○○円です。お支払下さい」と発声させる(S14)。
利用者は料金をコイン投入口5aもしくは紙幣挿入口6aに投入すると、CPU13は所定の料金が徴収されたことを確認する(S15・YES)。その場合利用者が料金の支払いとして硬貨を使うのであれば、その硬貨をコイン投入口5aから投入し、硬貨はコインメック5に入る。また、紙幣を使うのであれば、紙幣は紙幣挿入口6aから投入され、ビルバリ6に入る。このとき必要に応じて、つり銭としての硬貨がコインメック5から払い出されて取り出し口8内部に置かれたり、或いは、つり札がビルバリ6から払い出されて、紙幣挿入口6aから排出される。また、領収書としてのレシートは、ジャーナルプリンタ12によって印字され、取り出し口8から排出される。CPU13は、カードリーダ2のカード搬送機構に命令し、カード挿入口2aからIDカードを排出させる。そして、CPU13は、IDカードがカード挿入口2aから取り出されたことを検知すると、証明書作成中である旨を知らせる画面をCRT表示装置3に表示するとともに、発声装置16へその旨の信号を送って、発声装置16に「ただ今、証明書を作成中です。しばらくお待ち下さい」と発声させる(S17)。
【0020】
また、CPU13は、ホストコンピュータ31に証明書を発行するために必要な証明書作成用データを要求する。ホストコンピュータ31は、IDカードより得たユーザID識別コード及び利用者が選択した住民票、戸籍謄本等の証明書作成用データに基づいて、データベース32を検索してデータベース32から必要な証明書作成用データを抽出して、CPU13へ送信する。CPU13はホストコンピュータ31から転送されたデータをレーザプリンタ11へ送り、印字させる(S18)。このとき、レーザプリンタ11により印字された証明書は、ステープラ14により端部を綴じられると共に契印機15により契印を付されて、証明書排出口7より排出される(S19)。また発声装置16へその旨の信号を送って、発声装置16に「証明書ができました。おとり下さい。レシートとカードもお忘れないようご注意下さい。」と発声させる。
そしてCPU13は、証明書排出口7に差し出された証明書が利用者によって取られたかどうかを検知し、証明書が取られたことを検知すると(S20・YES)、CRT表示装置3に証明書自動発行機1の操作が終了した旨の画面を表示する(S21)。その後しばらくしてから、初期画面としてカードの挿入を促す画面をCRT表示装置3に表示して、上述の動作を繰り返す。
またCPU13は、証明書排出口7に差し出された証明書が所定時間を過ぎても利用者が証明書を取らないことを検知すると(S20・NO)、CPU13は証明書排出口7に差し出されている証明書を発行機1内部に回収して(S22)、回収貯蔵部J6に収納する。
【0021】
次に、図3から図10を参照して薄状媒体搬送機構としての用紙排出ユニット71の構成について詳細に説明する。尚、図3は、用紙排出ユニット71を証明書排出口7側から見た状態を拡大して示す正面図である。図4は、図3の用紙排出ユニット71の左側側面図であり、用紙受け手段としての排出トレイ72に対して用紙押さえ手段としての用紙押さえ板79が当接した状態(鎖線)と、排出トレイ72に対して用紙押さえ板79が離間した状態(二点鎖線)とを示している。
図5は、図3の用紙排出ユニット71の右側側面図であり、排出トレイ72に対して用紙押さえ板79が当接した状態(鎖線)と、排出トレイ72に対して用紙押さえ板79が離間した状態(二点鎖線)とを示している。図6は、図3の用紙排出ユニット71の右側側面図であり、排出トレイ72に対して用紙押さえ板79が当接した状態での薄状媒体搬送機構を理解し易いように示している。
図7、8は、図3におけるA−A断面を示し、図7は、排出トレイ72と用紙押さえ板79とが当接した状態を概略的に示し、図8は、排出トレイ72と用紙押さえ板79とが離間した状態を概略的に示している。図9は、図5のB−B断面を示し、当接・離間機構の概略構成を示す図である。図10は、用紙排出ユニット71の用紙押さえ板の一部を拡大して示す斜視図である。
【0022】
図3、9に示すように、用紙排出ユニット71は、相互に一定距離だけ離れた左右のフレーム71b、71cと、これらフレーム71b、71c間に設けられた薄状媒体受け手段としての排出トレイ72と、この排出トレイ72の上方側に配置される用紙押さえ板79とを備えている。そして、この排出トレイ72には、幅揃えトレイ56から送り出された証明書を載せることができ、薄状媒体押さえ手段としての用紙押さえ板79は、上方側からその証明書を押さえつけることができる。
前記用紙押さえ板79には、図4、6に示すように、複数の前記上側ローラ74が配設されており、具体的には、上側ローラ74は、用紙押さえ板79により支持されている。そして、用紙押さえ板79は、図10に明示されるように、証明書より少なくとも大きい用紙押さえ板本体部79aと、この用紙押さえ板本体部79aの左右の位置に連接された証明書搬送方向に延びる左右2枚の側板部79bとを備えている。そして、前記本体部79aは、上側ローラ74を収納する穿設孔79cを左右方向に複数個(2個)、及び、証明書搬送方向に複数個(4個)(図10では2個のみ図示)の所定間隔を置いて配設しているとともに、各側板部79bは、ローラ軸74aを回動可能に固定する貫通孔79dを備えている。
それにより、上側ローラ74の一部が前記穿設孔79c内に収納されるとともに、ローラ軸74aが左右の側板部79bの貫通孔79d内にそれぞれ貫通して、その貫通したローラ軸74aの片側(図6側)先端部にプーリ74b、反対側(図4側)先端部に抜け止め(図示せず)をそれぞれ取り付けると、用紙押さえ板79と上側ローラ74とは一体的に移動可能となる。また、上述した如く、各上側ローラ74の片側(図6側)先端部には、図2、3に示されるように、プーリ74bがそれぞれ取り付けられ、該プーリ74bには、複数のテンションローラ36を介して、4つの上側ローラ74が同期して回転できるように、ベルト76が掛けられている。
【0023】
その用紙押さえ板79及び上側ローラ74は、図5、6に示されるように、用紙排出ユニット71によって、斜め上下方向に移動可能に下方側から支持されている。具体的には、用紙排出ユニット71の両フレーム71b、71c上方側には、斜め上下方向に延びる複数の案内溝71fが、前記ローラ軸74aの両先端部をそれぞれ斜め上下方向に案内移動できるように支持している。従って、これら上側ローラ74及び用紙押さえ板79は、前記フレーム71b、71cによって下方側からそれぞれ支持されている。
そして、用紙押さえ板79は、排出トレイ72の底板部72bとほぼ平行状態を保ったまま、その自重によって証明書を挟むように構成されている。それにより、用紙受け手段としての排出トレイ72に貯められた証明書に対して、用紙押さえ手段としての用紙押さえ板79が上方側から押さえることによって、証明書のカールを防止できる。もっとも、薄状媒体押さえ手段は、上記用紙押さえ板79以外の構成からなっていてもよい。尚、用紙押さえ板本体79aは、図6に示されるように、送りローラ58a、58b側(搬送方向上流側)に設けられた上方折曲部79cと、用紙押さえ板79の証明書排出口7側(搬送方向下流側)に設けられた上方折曲部79dとを備えている。
【0024】
一方、前記排出トレイ72が、本発明の薄状媒体受け手段を構成するが、この排出トレイ72は、具体的には、証明書及び用紙押さえ板79の大きさより少なくとも大きい底板部72bと、この底板部72bの送りローラ58a、58b(搬送方向上流)側に設けられ、複数枚或いは複数部の証明書を整然と揃えることができる媒体揃え手段であるL字形状の用紙揃え部72cと、証明書の送りを円滑にするように底板部72bの証明書排出口7側に設けられた下方折曲部72dとを備えている。
該排出トレイ72の底板部72bの下方には、下側ローラ73が、証明書搬送方向に沿って所定距離毎に4列設置されており、具体的には、図10に示す用紙押さえ部79と同様に、底板部本体72bは、下側ローラ73を収納する穿設孔(図示せず)を左右方向に複数個(2個)、及び、証明書搬送方向に複数個(4個)の所定間隔を置いて配設している。そして、下側ローラ73のローラ軸73aの両端部が、フレーム71b、71cの貫通孔を介して貫通した状態で、その貫通したローラ軸73aの片側(図6側)先端部にプーリ73b、反対側(図4側)先端部に抜け止め(図示せず)をそれぞれ取り付けることができる。そして、各下側ローラ73の上方には、上側ローラ74がそれぞれ接触可能に設置されており、下側ローラ73と上側ローラ74とが圧接した状態で、これら下側ローラ73及び上側ローラ74は所定方向に回転できるように構成されているので、証明書搬送方向に用紙送りできるようになっている。
【0025】
前記フレーム71b内側の下方には、図3、6に示されるように、証明書を搬送するための動力源であるステップモータ78が固着されており、このステップモータ78の回転軸78bが、フレーム71bの貫通孔(図示せず)を介して、フレーム71bの外側に突き出ている。そして、回転軸78bの先端側には、駆動ギヤ78dが取り付けられ、この駆動ギヤ78dは、ステップモータ78の上方で、フレーム71b外側の軸27dに回転自在に支持されているプーリギヤ27の大径部27bと噛合する。
そのプーリギヤ27は、その大径部27bの内側に小径部27cを備えており、この小径部27cと4個の下側ローラ73のプーリ73bには、複数のテンションローラ29を介して、ベルト75が掛けられている(図5参照)。そのため、プーリギヤ27の小径部27cの回転に基づいて、ベルト75が回転すると、それら4個のプーリ73bは同期して時計回り或いは反時計回りに回転する。
また、図6に示されるように、前記プーリギヤ27の大径部27bとプーリギヤ39の大径部39bとは噛合しており、リンク材LK1により相互に連結支持されている。ゆえに、プーリギヤ39は、プーリギヤ27の遊星ギヤとして構成される。更に、プーリギヤ39と、用紙押さえ部79の証明書の挿入方向側から3番目に位置する上側ローラ74の軸74aとの間には、リンク材LK2が回動可能に取り付けられており、このリンク材LK2により支持された上側プーリ74bとプーリギヤ39の外側の小径部39cには、ベルト77が掛けられる(図3参照)。
【0026】
よって、ステップモータ78の回転に基づいて、駆動ギヤ78d、プーリギヤ27、プーリギヤ39、ベルト77、リンク材LK2で支持された上側ローラ74のプーリ74b、ベルト76が回転し、4個のプーリ74bは同期して時計回り或いは反時計回りに回転する。また、上述した如くプーリギヤ39がプーリギヤ27の遊星ギヤとなるように構成されているのは、用紙押さえ板79が上下に移動するにも関わらず、プーリギヤ39がタイミングベルト77を緊張させた状態に保ちプーリギヤ27の外周を適宜移動して、ステップモータ78の回転軸78bの回転を、上側ローラ74用のプーリ74bに正確且つ確実に伝達するためである。
そして、ステップモータ78の回転軸78bが、時計回りに回転駆動すると、プーリギヤ27がそれに伴って反時計回りに回転し、該プーリギヤ27の小径部27cに噛合したベルト75も反時計回りに回転し、該ベルト75に接続されているプーリ73bも反時計回りに回転する。その結果、プーリ73bに接続されている下側ローラ73も反時計回りに回転する。
また、プーリギヤ27が反時計回りに回転するのに伴って、該プーリギヤ27の大径部27bに噛合したプーリギヤ39が時計回りに回転し、このプーリギヤ39の小径部39cに噛合したベルト77も時計回りに回転し、該ベルト77に接続されているプーリ74bも時計回りに回転し、該プーリ74bに噛合したベルト76も時計回りに回転する。その結果、プーリ74bに接続されている上側ローラ74も時計回りに回転する。ゆえに、証明書を図6左方向に搬送させることができる。同様に、ステップモータ78の回転軸78bが反時計回りに回転駆動すると、証明書を図6右方向に搬送させることができる。もっとも、駆動手段としてのモータは、必ずしもステップモータ78に限定される訳ではなく、その他のモータなどであってもよい。
【0027】
また、用紙排出ユニット71の両側のフレーム71b、71cの内側には、図7、8、9に明示すように、証明書搬送方向に延びる各作動板19が摺動可能に取り付けられており、この作動板19は、証明書搬送方向に図4の鎖線及び仮想線で明示する如く移動できるように、次のように構成されている。すなわち、両側のフレーム71b、71cの内側には、前方及び後方の2個のリンク18の下側腕部18bの基端側18dが、それぞれ回動可能に取り付けられているのに対し、リンク18の上側腕部18cの基端側18eが、複数の上側ローラ74の内の証明書搬送方向の両側に位置する上側ローラ74のローラ軸74aに連結されている。
そして、リンク18の下側腕部18bの上方基端側と、上側腕部18cの下方基端側とが回動自在に結合されており、その結合部分18fが、作動板19の作動片19aによって図7の右方側に押圧されると、下側腕部18bと上側腕部18cとが相互に立った状態になるのに対し(図4の仮想線、図8)、その結合部分18fが、前記作動片19aによって図7の右方側に押圧されない場合、下側腕部18bと上側腕部18cとが相互に倒れた状態になる(図4鎖線)。
【0028】
具体的には、前記作動板19の下部には、図7、8に示されるように、この作動板19を証明書搬送方向に移動させるために、ラック部19bが形成されている。この作動板19のラック部19bの下方には、ギヤ20が噛合するよう配置され、このギヤ20が両側の作動板19を同期して証明書搬送方向に移動させるため、前記ユニット71のフレーム71b、71c間にギヤ軸24が掛け渡され(図9参照)、このギヤ軸24は、ギヤ20と一体的に回動できるように固定している。従って、結合部分18fが前記作動片19aによって押圧または離間することにより、リンク18の下側腕部18bと上側腕部18cとが相互に立った状態になったり、或いは倒れた状態になったりする。
【0029】
また、2個のギヤ20の一方は、フレーム71c内側に取り付けられた駆動源となるモータ21の駆動ギヤ21bと噛合している。尚、作動板19の移動方向を規制するため、作動板19には、その長手方向に長溝19cが複数個(3個)形成され、この各長溝内19c内にフレーム71b、71cから突き出るピン19dが填り込んで摺動するようになっている。それにより、各作動板19の下部に形成されているラック部19bはギヤ20と噛合し、更にこのギヤ20がモータ21の駆動ギヤ21bと噛合しているので、モータ21の駆動ギヤ21bが時計回り方向または反時計回り方向に回転することにより、駆動力が駆動ギヤ21b、ギヤ20等を介してラック部19bに伝達され、作動板19は、証明書搬送方向に図4の鎖線及び仮想線のように移動できる。
そして、リンク18の上側腕部18cの他端側は、それぞれ証明書搬送方向の入り口側から1番目、4番目の上側ローラ74におけるローラ軸74aの外側に回動可能に取り付けられている。ゆえに、モータ21の駆動ギヤ21bが反時計方向に回転すると、ギヤ20は時計方向に回転し、作動板19が図4の右方向へ移動すると、作動片19aによってリンク18を右方向へ押圧し、下側腕部18bと上側腕部18cとは、相互に立った状態になる(図4仮想線、図8)。すると、用紙押さえ板79は排出トレイ72から上昇し、図4の仮想線で記載された状態になって、用紙搬送ユニット51から搬送される証明書を用紙排出ユニット71内へ挿入するための空間を作る。従って、これらモータ21、リンク18、作動板19等が、本発明における当接・離間手段を構成する。
【0030】
次に、本実施の形態の特徴部分である用紙Y1(薄状媒体)の後端を整然と揃える制御について図13、14を参照して説明する。尚、図13、14は、図3に示される用紙排出ユニット71のC−C断面を概略的に示す図を利用して、用紙Y1の後端(この場合用紙Y1が同サイズであるので、用紙Y1の先端といってもよい。)を揃える段階の変化を示す動作説明図である。
すなわち、CPU13(薄状媒体搬送制御手段)は、排出トレイ72(薄状媒体受け手段)及び用紙押さえ板79(薄状媒体押さえ手段)を相互に当接・離間させるリンク18等(当接・離間手段)が、排出トレイ72(薄状媒体受け手段)及び用紙押さえ板79(薄状媒体押さえ手段)を相互に離間させ、排出トレイ72(薄状媒体受け手段)に先に受け入れられた用紙Y1(薄状媒体)の後端部が、次に受け入れられた用紙Y1(薄状媒体)の後端部より下流側に位置する状態で、前記ローラ73、74(薄状媒体搬送手段)がこれら用紙Y1(薄状媒体)を前記用紙揃え部72c(媒体揃え手段)に当接するように上流側に搬送した後に、前記排出トレイ72(薄状媒体受け手段)及び用紙押さえ板79(薄状媒体押さえ手段)を相互に当接させ、更にこれら用紙Y1(薄状媒体)を下流側に搬送させる制御を行う。
【0031】
具体的には、証明書自動発行機1の利用者により複数部の証明書が選択された場合、用紙排出ユニット71は、前段の用紙搬送ユニット51から証明書を受け取るべく用紙押さえ板79を上方に移動させて排出トレイ72と用紙押さえ板79の間に空間を作り、用紙搬送ユニット51から証明書が送られてくるのを待つ(図13(A))。そして、まず1部目の証明書Y1が用紙搬送ユニット51から用紙排出ユニット71の排出トレイ72に送られて(図13(B))、排出トレイ72に全て納まると(図13(C))、リンク18等からなる当接・離間機構により用紙押さえ部79が下がり、排出トレイ72と用紙押さえ部79とで証明書を挟み込む(図13(D))。
そして、ステップモータ78が時計方向に回転し、上側及び下側ローラ74、73が矢印方向である用紙搬送方向に回転し、用紙搬送ユニット51から2部目以降に送られてくる証明書の先端に、排出トレイ72内にある1部目の証明書の先端が追い越されない位置まで搬送する(図13(C))。
すなわち、CPU13(先送り用制御手段)は、排出トレイ72(薄状媒体受け手段)に先に受け入れられた用紙Y1(薄状媒体)の後端部が、次に受け入れられた用紙Y1(薄状媒体)の後端部より搬送方向下流側に位置するように、次の用紙Y1(薄状媒体)の受け入れ前に、先に受け入れられた用紙Y1(薄状媒体)を下流側に搬送する。
【0032】
再び、当接・離間機構によって用紙押さえ部79が上方に移動し、2部目の証明書の受け入れ態勢を作る(図14(A))。この時、下側ローラ73の摩擦係数が大きいために、排出トレイ72が搬送方向に対して上るように斜めに設定されていても、排出トレイ72上の証明書は移動せずに静止している
2部目の証明書が用紙搬送ユニット51から送られてきて、排出トレイ72に納まると、1部目の証明書はそのままの状態を保つが、2部目の証明書は紙と紙の摩擦係数が小さいため排出トレイ72の用紙揃え部72cに当接した状態となる(図14(B))。
そして、排出トレイ72上の証明書を整然と揃えるため、用紙押さえ部79は上方のままで、排出トレイ72上の証明書をフリーの状態にしておき、ステップモータ78が反時計方向に回転して、排出トレイ72上の証明書を用紙搬送方向と反対側の用紙揃え部72c側へ移動させて、用紙揃え部72cに当接させ排出トレイ72上の1部目と2部目の証明書のズレを修正する(図14(C))。
そして、図14(D)の動作と同様に、ステップモータ78が時計方向に回転し、上側及び下側ローラ74、73が矢印方向である用紙搬送方向に回転し、用紙搬送ユニット51から次に送られてくる証明書の先端に、排出トレイ72内にある証明書の先端が追い越されない位置まで搬送する(図14(D))。以下証明書自動発行機1の利用者により選択された部数分だけ同じ動作を繰り返す。
最後の1部が排出トレイ72に納まり、全ての部数が整然と揃えられたら、ステップモータ78は時計方向に回転し、証明書を証明書排出口7から発行する。
【0033】
尚、本発明を具体化した一実施の形態として証明書自動発行機1について説明したが、本発明の薄状媒体搬送機構は、必ずしもこの実施の形態に限定されることなく、例えば、複写機、ファクシミリ装置、印刷機、プリンタなどに用いてもよい。また、用紙押さえ板79を上下動させる機構は、ラック、ギヤなどでなく、例えばカム機構を用いても良い。また、薄状媒体は、カード、書類や切符など薄上であれば、いかなるものであってもよい。
また、排出トレイ72に先に受け入れられた用紙Y1の後端部が、次に受け入れられた用紙Y1の後端部より搬送方向下流側に位置するように、次の用紙Y1の受け入れ前に、先に受け入れられた用紙Y1を下流側に搬送する態様は、先に受け入れられた用紙Y1の後端部が、次に受け入れられた用紙Y1の後端部より搬送方向下流側に位置するように、用紙Y1の搬送速度等を適宜調整すれば、必ずしも採用しなくてもよい。
【0034】
以上説明したことから明らかなように、搬送される複数の用紙Y1(薄状媒体)を受け入れることができる排出トレイ72(薄状媒体受け手段)と、この排出トレイ72(薄状媒体受け手段)の媒体搬送方向上流側に設けられ、用紙Y1(薄状媒体)の後端部を当接させて揃えるための用紙揃え部72c(媒体揃え手段)と、前記用紙Y1(薄状媒体)を前記媒体搬送方向の上流側または下流側に搬送するローラ73、74(薄状媒体搬送手段)とを備え、更に、この排出トレイ72(薄状媒体受け手段)に先に受け入れられた用紙Y1(薄状媒体)の後端部が、次に受け入れられた用紙Y1(薄状媒体)の後端部より下流側に位置する状態で、前記ローラ73、74(薄状媒体搬送手段)がこれら用紙Y1(薄状媒体)を前記用紙揃え部72c(媒体揃え手段)に当接するように上流側に搬送するCPU13(搬送制御手段)とを備えるので、当接・離間機構によって排出トレイ72及び用紙押さえ板79が相互に離間した状態で、上流側の用紙搬送ユニット51から証明書が搬送される度に、用紙搬送機構によって証明書が前進・後退を繰り返し、後退時に排出トレイ72の用紙揃え部72cに当接させて整然と並べることができる。そして、当接・離間機構によって排出トレイ72及び用紙押さえ板79が相互に当接して証明書を挟み込み、用紙搬送機構によって搬送方向下流側に整然と搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を具体化した実施の形態の証明書自動発行機の外観を示す概略図である。
【図2】 本実施の形態における証明書自動発行機の用紙送り経路の構成を示す概略断面図である。
【図3】 本実施の形態の用紙送り経路における用紙排出ユニットの構成を示す拡大正面図である。
【図4】 本実施の形態の用紙送り経路における用紙排出ユニットの構成を拡大して示す左側側面図である。
【図5】 本実施の形態の用紙送り経路における用紙排出ユニットの構成を拡大して示す右側側面図である。
【図6】 図5における用紙排出ユニットの薄状媒体搬送機構を拡大して示す概略説明図である。
【図7】 排出トレイと用紙押さえ板とが当接した状態において、図3における用紙排出ユニットのA−A断面を概略的に示す図である。
【図8】 排出トレイと用紙押さえ板とが離間した状態において、図3における用紙排出ユニットのA−A断面を概略的に示す図である。
【図9】 図5における用紙排出ユニットのB−B断面図であり、当接・離間手段の概略構成を示す図である。
【図10】 本実施の形態の用紙送り経路における用紙排出ユニットの用紙押さえ板の一部を拡大して示す斜視図である。
【図11】 本実施の形態における証明書自動発行機及びこの発行機を含むシステムの電気的構成を示すブロック図である。
【図12】 本実施の形態における証明書自動発行機の動作を示すフローチャートである。
【図13】 用紙を揃える段階の変化を示す動作説明図である。
【図14】 用紙を揃える段階の変化を示す動作説明図であって、図13の動作の続きを示す図である。
【図15】 用紙の搬送を示す動作説明図である。
【符号の説明】
13 CPU
18 リンク
19 作動板
20 ギヤ
21 モータ
Y1 用紙
51 用紙搬送ユニット
71 用紙排出ユニット
72 排出トレイ
72c 用紙揃え部
73 下側ローラ
74 上側ローラ
78 ステップモータ
79 用紙押さえ板
Claims (5)
- 搬送される複数の薄状媒体を受け入れることができる薄状媒体受け手段と、
この薄状媒体受け手段の媒体搬送方向上流側に設けられ、薄状媒体の後端部を当接させて揃えるための媒体揃え手段と、
前記薄状媒体を前記媒体搬送方向の上流側または下流側に搬送する薄状媒体搬送手段とを備え、更に、
この薄状媒体受け手段に先に受け入れられた薄状媒体の後端部が、次に受け入れられた薄状媒体の後端部より下流側に位置する状態で、前記薄状媒体搬送手段がこれら薄状媒体を前記媒体揃え手段に当接するように上流側に搬送する搬送制御手段とを備え、
この搬送制御手段は、前記薄状媒体受け手段に先に受け入れられた薄状媒体の後端部が、次に受け入れられた薄状媒体の後端部より搬送方向下流側に位置するように、次の薄状媒体の受け入れ前に、先に受け入れられた薄状媒体を前記薄状媒体搬送手段により下流側に搬送することを特徴とする薄状媒体搬送機構。 - 請求項1に記載の薄状媒体搬送機構において、
前記薄状媒体受け手段に対向するように配置される薄状媒体押さえ手段と、
前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段を相互に当接または離間させる当接・離間手段とを備え、
前記搬送制御手段は、前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段を相互に離間させ、薄状媒体受け手段に先に受け入れられた薄状媒体の後端部が、次に受け入れられた薄状媒体の後端部より下流側に位置する状態で、前記薄状媒体搬送手段がこれら薄状媒体を前記媒体揃え手段に当接するように上流側に搬送した後に、前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段を相互に当接させ、更にこれら薄状媒体を下流側に搬送させることを特徴とする薄状媒体搬送機構。 - 請求項2に記載の薄状媒体搬送機構において、
前記搬送制御手段は、前記薄状媒体受け手段に先の薄状媒体が受け入れられると、前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段を相互に当接させて、先の薄状媒体を前記薄状媒体搬送手段により下流側の所定位置まで搬送させ、更に前記薄状媒体受け手段及び薄状媒体押さえ手段を相互に離間させた後に、前記薄状媒体受け手段に次の薄状媒体が受け入れられることによって、先の薄状媒体の後端部が次の薄状媒体の後端部より下流側に位置する状態にし、これら薄状媒体を前記薄状媒体搬送手段により上流側に搬送させて前記媒体揃え手段に当接させることを特徴とする薄状媒体搬送機構。 - 請求項1〜3のいずれかの一に記載の薄状媒体搬送機構において、
前記薄状媒体搬送手段は前記薄状媒体押さえ手段に配設された複数の上側ローラと、前記薄状媒体受け手段に配設された複数の下側ローラとを備えることを特徴とする薄状媒体搬送機構。 - 請求項1〜4のいずれかの一に記載の薄状媒体搬送機構において、
証明書自動発行機内に取り付けられていることを特徴とする薄状媒体搬送機構。
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