JP3820681B2 - 筒内直接噴射式火花点火エンジン - Google Patents

筒内直接噴射式火花点火エンジン Download PDF

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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて燃焼室の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
点火プラグの近傍に燃料を集める混合気の成層化をはかるため、シリンダ内にインジェクタ(燃料噴射弁)を臨ませ、シリンダ内に直接燃料を噴射するようにした筒内直接噴射式火花点火エンジンがある。
【0003】
従来の筒内直接噴射式火花点火エンジンとして、例えば特開平6−81651号公報に開示しているように、吸気ポートをシリンダ壁に沿って直立させるものがある。
【0004】
直立した吸気ポートからシリンダ内に流入した吸気は、シリンダ壁に沿って下降した後、ピストン冠部に沿って旋回する逆タンブルを生起するようになっている。
【0005】
また、従来の筒内直接噴射式火花点火エンジンとして、例えば特開平8−35429号公報に開示されたものは、吸気ポートを渦巻き状に湾曲させている。
【0006】
渦巻き状に湾曲した吸気ポートからシリンダ内に流入した吸気は、シリンダに沿って旋回する強いスワールを生起するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の筒内直接噴射式火花点火エンジンにあっては、エンジンの高速域では吸入から点火までの時間が短くなるため、シリンダ内に生起される吸気旋回流によって燃料を点火プラグの近傍に集めることが難しい。このため、安定した成層燃焼性が確保される回転数域が狭まるという問題点があった。
【0008】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、成層燃焼領域を拡大することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンは、シリンダ内に吸気を導入し、タンブルを生起させる吸気ポートと、シリンダ内に燃料を噴射するインジェクタと、シリンダ内の混合気に点火する点火プラグと、シリンダ内から排気を排出する排気ポートと、ピストンの冠部に燃料噴霧を受けるように窪むキャビティと、吸気ポートからシリンダ内に流入する吸気にスワールを生起するスワール生起手段とを備え、インジェクタの燃料噴射時期を吸気行程とする均質燃焼領域と、インジェクタの燃料噴射時期を圧縮行程とする成層燃焼領域を設定した筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、インジェクタの燃料噴射方向を吸気ポートにおける吸気の流れ方向と略同一方向に設定し、前記成層燃焼領域にてエンジン回転数が所定値を超えて上昇するのに伴ってシリンダ内に生起されるスワールの勢力を弱め、タンブルの勢力を強める構成とした。
【0010】
請求項2に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンは、請求項1に記載の発明において、前記シリンダの中心線を含みクランクシャフトの回転中心軸と直交する平面をシリンダ中心面Cと定義し、インジェクタと2本の吸気ポートおよび点火プラグをシリンダ中心面Cについて略対称的に配置し、点火プラグをキャビティに対してインジェクタから最も離れた位置に臨ませ、スワール生起手段として一つの吸気ポートに吸気を集めるバタフライ式のコントロールバルブを備え、成層燃焼領域にてエンジン回転数が所定値を超えて上昇するのに伴ってコントロールバルブを全開してスワールの勢力を弱める構成とした。
【0011】
請求項3に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンは、請求項1または2に記載の発明において、前記成層燃焼領域にてコントロールバルブの開度をエンジン回転数が上昇するのに伴って次第に大きくする構成とした。
【0012】
請求項4に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンは、請求項1から3のいずれか一つに記載の発明において、前記インジェクタの燃料噴射圧を調節する手段を備え、成層燃焼領域にてコントロールバルブの開度が大きくなるのに伴って燃料噴射圧を高める構成とした。
【0013】
【発明の作用および効果】
請求項1に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、成層燃焼領域では、吸気ポートを通ってシリンダ内に吸入された空気がピストンで圧縮された状態で、燃料がインジェクタから燃焼室に噴射され、点火プラグを介して燃料を着火燃焼させる。
【0014】
成層燃焼領域における低速域では、シリンダ内に強いスワールが生起される。このとき、インジェクタから噴射される燃料噴霧は、スワールによってキャビティ内に集められる。キャビティ内に集められた燃料噴霧は、ピストンが上死点に近づくのにしたがって、スワールとともにキャビティ内で旋回しながら点火プラグが近づき、混合気の成層化がはかれる。
【0015】
しかし、成層燃焼領域における高速域では、吸入から点火までの時間が短くなるため、シリンダ内に強いスワールを生起しても、スワールとともにキャビティ内で旋回する燃料噴霧が点火プラグに到達するのに必要な時間が足りず、点火前までに燃料を点火プラグの近傍に集めることが難しい。
【0016】
本発明はこれに対処して、成層燃焼領域における高速域でシリンダ内に生起されるスワールの勢力を弱めることにより、スワールを生起せず、吸気ポートからシリンダ内へと直進する吸気とともに燃料噴霧を短時間のうちに点火プラグの近傍に到達させ、混合気の成層化がはかれ、安定した成層燃焼が行われる。このため、成層燃焼性が確保される最高回転数を高められ、燃費の低減がはかれる。
【0017】
請求項2に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、インジェクタと2本の吸気ポートおよび点火プラグをシリンダ中心面Cについて略対称的に配置することにより、コントロールバルブが全開する成層燃焼領域における高速域において、各吸気ポートからシリンダ内へと直進する吸気とともに燃料噴霧を点火プラグの近傍に集められ、混合気の成層化がはかれる。
【0018】
請求項3に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、成層燃焼領域にてコントロールバルブの開度をエンジン回転数が上昇するのに伴って次第に大きくすることにより、加減速時にトルク段差が発生することを防止できる。
【0019】
請求項4に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、成層燃焼領域にてコントロールバルブの開度が大きくなるのに伴って燃料噴射圧を高めることにより、インジェクタから噴射された燃料噴霧が直進して点火プラグの近傍に到達する短時間のうちに、燃料噴霧の微粒化および気化が十分に行われ、着火が確実に行われる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1、図3に示すように、シリンダヘッドに形成された燃焼室天井壁20とピストン1の間に燃焼室3が画成される。ピストン1のシリンダ5における往復運動はコンロッド(図示せず)を介してクランクシャフト(図示せず)の連続回転運動に変換される。
【0022】
ペントルーフ型に傾斜する燃焼室天井壁20には2本に分岐する吸気ポート21と2本の排気ポート(図示せず)が互いに対向して開口している。すなわち、燃焼室天井壁20は、各吸気ポート21が開口する吸気ポート側傾斜面23と各排気ポートが開口する排気ポート側傾斜面24によって構成される。
【0023】
図1において、線分Oはシリンダ5の中心線である。点火プラグ4はシリンダ5の中心線Oと同軸上に配置され、各吸気バルブ7と各排気バルブの間に位置して燃焼室3に臨んでいる。点火プラグ4を挟むようにして2つの吸気バルブ7と2つの排気バルブ(図示せず)が互いに対向して設けられる。図1において、Iは吸気バルブ7の中心線であり、Eは排気バルブの中心線である。
【0024】
各吸気ポート21はシリンダ5の中心線に対して大きく傾斜して設けられる。このため、インテークマニホールド(図示せず)の取付け位置が高くなることを抑えられ、エンジンのコンパクト化がはかれる。また、シリンダヘッドの燃焼室壁のまわりに形成されるウォータジャケット(図示せず)の配置自由度が高くなり、エンジンの冷却性を高められる。
【0025】
燃焼室天井壁20にはその側部から燃焼室3に臨むインジェクタ(燃料噴射弁)6と、その中央部から燃焼室3に臨む点火プラグ4がそれぞれ設けられる。
【0026】
インジェクタ6が開弁するのに伴ってシリンダ5内に噴射される燃料は、各吸気バルブ7が開かれるのに伴って吸気ポート21から吸入される空気と混合する。シリンダ5内に形成された混合気はピストン1で圧縮された状態で点火プラグ4を介して燃料が着火燃焼する。燃焼したガスはピストン1を下降させてクランクシャフトを介して回転力を取り出した後、ピストン1が上昇する排気行程中に排気バルブ8が開かれるのに伴って各排気ポートから排出される。これらの各行程が連続して繰り返される。
【0027】
インジェクタ6は各吸気バルブ7の側方で、かつ各吸気バルブ7の間に位置して燃焼室3に臨んでいる。
【0028】
図4に示すように、ピストン1の冠部10には、その中央部にルーフ状に隆起する凸部31が形成されるとともに、皿状に窪むキャビティ11が形成される。キャビティ11は、シリンダ5の中心線Oと直交する平面状をしたキャビティ底面15と、キャビティ底面15の外周から逆円錐面状に拡がるキャビティ側壁16によって画成される。
【0029】
キャビティ底面15はシリンダ5の中心線Oに直交する水平線Lと平行な平面状に形成される。
【0030】
キャビティ側壁16はそのシリンダ5の中心線Oに対する傾斜角度が0°から45°の範囲となるように形成される。
【0031】
図3、図4において、シリンダ中心面Cはシリンダ5の中心線Oを含み図示しないクランクシャフトの回転中心軸と直交する平面である。キャビティ11をはじめピストン1と燃焼室天井壁20と各吸気ポート21および各排気ポートは、シリンダ中心面Cについて対称的に形成される。これにより、各吸気ポート21に均等に分流してシリンダ5内に流入する吸気流は、シリンダ5の中心線Oと直交する軸を中心に旋回するタンブルを生起する。
【0032】
キャビティ11はシリンダ5の中心線Oについてインジェクタ6側に偏心した円形の断面を持ち、インジェクタ6に近接するように配置される。
【0033】
シリンダ中心面C上に配置された点火プラグ4は、キャビティ11に対してインジェクタ6から最も離れた位置に対向するように臨む。
【0034】
ピストン1の冠部10は凸部31によって燃焼室天井壁20に沿って傾斜する。すなわち、凸部31は燃焼室天井壁20の吸気ポート側傾斜面23の下方に位置する吸気ポート側傾斜面35と、燃焼室天井壁20の排気ポート側傾斜面24の下方に位置する排気ポート側傾斜面36によって構成される。凸部31の突出端となる稜線33はシリンダ列方向に沿って延びている。これにより、ピストン1が上死点に到達するとき、ピストン1と燃焼室天井壁20の間に画成される燃焼室3の容積をキャビティ11に集中させて、高い圧縮比が得られる。
【0035】
凸部31の稜線33はシリンダ5の中心線Oと交わるシリンダ列方向の中心線に沿って形成され、シリンダ5の中心線O上に配置される点火プラグ4に近づけられる。これにより、点火プラグ4の近傍に位置するキャビティ側壁16の高さが確保され、後述するように、燃料噴霧を点火プラグ4の近傍に有効に集められる。
【0036】
キャビティ11は凸部31の稜線33の中央部を削除するようにして窪んでいる。凸部31が設けられることにより、キャビティ側壁16を点火プラグ4の近傍に位置するキャビティ側壁16の高さが確保され、後述するように、燃料噴霧を点火プラグ4の近傍に集めるようになっている。
【0037】
インジェクタ6の燃料噴射方向は各吸気ポート21を流れる吸気の流れ方向と略同一方向に設定される。インジェクタ6はシリンダ中心面C上に配置され、インジェクタ6の燃料噴霧の中心線Fがシリンダ中心面C上に配置される。
【0038】
インジェクタ6から噴射される燃料噴霧をその頂角が40°から80°の範囲にある円錐状に拡がる構成とし、ピストン1が下降する吸入行程で、インジェクタ6の噴口から噴射された燃料噴霧の大部分がキャビティ11内に納まるようになっている。
【0039】
インジェクタ6の燃料噴射方向はキャビティ11に対向し、点火プラグ4に対向しないように配置される。すなわち、インジェクタ6から噴射される燃料噴霧の中心線Fは水平線Lに対して所定角度θfをもって下向きに傾斜するように配置され、円錐状に拡がる燃料噴霧が点火プラグに当たらない構成とする。
【0040】
インジェクタ6はその開弁時期(燃料噴射時期)と開弁期間(燃料噴射量)がコントロールユニットにより運転状態に応じて制御される。
【0041】
コントロールユニットは、図示しない各センサによって検出された吸入空気量Qaとエンジン回転数Nとに基づいて基本噴射量Tpを次式で算出する。
【0042】
Tp=K・Qa/N ‥‥(1)
ただし、K;定数
そして、所定の均質燃焼領域で空燃比が理論空燃比を中心とした狭い範囲に収める一方、所定の成層燃焼領域で希薄混合気による成層燃焼を実現するための空燃比となるように最終的な燃料噴射量Tiを次式で算出して燃料噴射量をフィードバック制御する。
【0043】
Ti=Tp×α×COEF+Ts …(2)
ただし、αは空燃比フィードバック補正係数、COEFは冷却水温度補正係数、および成層燃焼のための補正係数等をパラメータとした各種補正係数の和、Tsは無効噴射パルス幅である。
【0044】
コントロールユニットは演算された燃料噴射量Tiに対応するパルス信号をインジェクタ6の駆動回路(図示せず)に出力し、後述するようにインジェクタ6の燃料噴射制御を行う。
【0045】
図示しないフューエルタンクに貯溜された燃料は、燃料ポンプを介して吸い上げられ、燃料ポンプから吐出される高圧燃料は蓄圧室へと送られ、蓄圧室から各気筒のインジェクタへと圧送される。燃料ポンプから蓄圧室に送られる余剰燃料はプレッシャレギュレータ(燃料噴射圧調節手段)を介してフューエルタンクへと戻される。コントロールユニットはプレッシャレギュレータの設定圧を調節し、後述するように運転条件に応じてインジェクタ14の燃料噴射圧を制御する。
【0046】
スワール生起手段として、一方の吸気ポート21からシリンダ5内に導入される吸気量を調節するコントロールバルブ26が設けられる。
【0047】
吸気通路には各吸気ポート21の分岐点より上流側にコントロールバルブ26が介装される。バタフライ式のコントロールバルブ26は回転軸27を介して回動する。
【0048】
図2に示すように、半円盤状をしたコントロールバルブ26は半円形の切欠き部28を有する。切欠き部28は、コントロールバルブ26の閉弁位置で一方の吸気ポート21より他方の吸気ポート21に大きく対峙するように回転軸27と同方向にオフセットして開口される。これにより、コントロールバルブ26は図1に示すようにその全閉時に一方の吸気ポート21を通ってシリンダ5に吸入される吸気流を絞り、他方の吸気ポート21からシリンダ5に流入する吸気量の割合を増やし、シリンダ5に図4において白抜き矢印で示すように反時計回り方向に旋回する旋回流を生起するようになっている。コントロールバルブ26は図5に示すようにその全開時に各吸気ポート21に吸気を均等に分流し、シリンダ5内において燃焼室天井壁20の排気ポート側傾斜面24とこれに連接するシリンダ5の壁面に沿って下降して旋回するタンブルを生起するようになっている。
【0049】
各吸気ポート21の通路中心線Pがシリンダ5の中心線Oに直交する水平線Lに対して為す吸気ポート流入角度θiは、0°から90°の間で任意に設定される。
【0050】
シリンダ5に生起される旋回流はシリンダ5の中心線Oに対して所定角度をもって傾斜する軸を中心に旋回し、シリンダ5の中心線Oを中心に旋回するスワールの成分と、シリンダ5の中心線Oと直交する軸を中心に旋回するタンブルの成分を有する。
【0051】
本実施形態では、スワール比を略3以上に設定し、スワール比をタンブル比の略1.5倍以上に設定する。ここで、スワール比とタンブル比はクランクシャフトが1回転する間における各旋回流の回転数と定義する。
【0052】
コントロールバルブ26の回転軸27にアクチューエータ(図示せず)が連結される。アクチュエータの作動を制御するコントロールユニットは予め設定されたマップに基づいてエンジンの負荷および回転数が所定値以下の成層燃焼領域ではコントロールバルブ26を閉弁し、成層燃焼領域以外ではコントロールバルブ26を開弁する。
【0053】
コントロールユニットは、予め設定されたマップに基づいてエンジンの負荷および回転数が所定値以下の成層燃焼領域で、シリンダ5に供給される混合気の空燃比を理論空燃比より希薄側に制御する。エンジンの負荷または回転数が所定値を超えて上昇する均質燃焼領域で、シリンダ5に供給される混合気の空燃比を理論空燃比またはリッチ側に制御する。
【0054】
インジェクタ6の開弁時期である燃料噴射時期は、成層燃焼領域でピストン1が上昇する圧縮行程の後半に設定され、均質燃焼領域でピストン1が下降する吸気行程に設定されている。
【0055】
コントロールバルブ26は、均質燃焼領域でタンブルを生起する一方、成層燃焼領域の低中速域で全閉されてスワールを生起し、成層燃焼領域の高速域で全開されてタンブルを生起する。すなわち、成層燃焼領域におけるコントロールバルブ26の開度は、図6に示すように、低中速域で全閉に設定され、エンジン回転数が所定値N2を超えて上昇する高速域で全開に設定される。これにより、成層燃焼領域において、低中速域でスワールが生起され、高速域でタンブルが生起される。
【0056】
成層燃焼領域における燃料噴射圧は、図6に示すように、低中速域でP1に調節され、エンジン回転数が所定値N2を超えて上昇する高速域でP1より高いP2に調節される。インジェクタ4の燃料噴射圧は前述したようにプレッシャレギュレータを介して調節される。
【0057】
以上のように構成され、次に作用について説明する。
【0058】
各吸気バルブ7が開かれるのに伴って各吸気ポート21からシリンダ5内に空気が吸入される。均質燃焼領域ではピストン1が下降する吸入行程でインジェクタ6が開弁し、成層燃焼領域ではピストン1が上昇する圧縮行程の後半にインジェクタ6が開弁し、インジェクタ6から燃料噴霧が燃焼室3に噴射される。
【0059】
各吸気ポート21を通ってシリンダ5内に吸入された空気がピストン1で圧縮された状態で、点火プラグ4を介して燃料を着火燃焼させる。燃焼したガスはピストン1を下降させてクランクシャフトを介して回転力を取り出した後、ピストン1が上昇する排気行程中に排気バルブ8が開かれるのに伴って各排気ポートから排出される。これらの各行程が連続して繰り返される。
【0060】
エンジンの負荷または回転数が所定値を超えて上昇する均質燃焼領域で、コントロールバルブ26が全開し、吸気は2本の吸気ポート21に略均等に分流してシリンダ5内に吸入される。したがって、ポート面積が拡大してエンジンの吸気充填効率を高められる。
【0061】
均質燃焼領域では、各吸気ポート21を通ってシリンダ5内に流入する吸気流が互いに衝突し、シリンダ5内に生起されるスワールの勢力は弱まるが、シリンダ5に供給される混合気の空燃比が理論空燃比またはリッチ側に調節され、ピストン1が下降する吸入行程でインジェクタ6から燃料が噴射されることにより、ピストン1が上昇して点火時期を迎えるまでに燃焼室3に均質な混合気が形成され、着火が確実に行われるとともに、火炎の伝播が促される。
【0062】
エンジンの負荷が所定値以下の成層燃焼領域で、エンジン回転数が所定値N2以下の低中速域において、コントロールバルブ26が閉弁し、各吸気バルブ7が開かれるのに伴って吸気の大部分が一方の吸気ポート21を通ってシリンダ5内に吸入され、シリンダ5およびキャビティ11の側面16に沿って旋回するスワールが生起される。
【0063】
ピストン1が上昇する圧縮行程の後半にインジェクタ6から噴射された燃料噴霧は、その大部分がキャビティ11内に向かい、スワールによってキャビティ11内で旋回する。キャビティ11内に集められた燃料噴霧は、ピストン1によって加熱され、その微粒化および気化が進み、高濃度の混合気がキャビティ11内に溜まる。ピストン1が上死点に近づくのにしたがって、キャビティ11内の高濃度の混合気に点火プラグ4が近づき、混合気の成層化がはかれ、着火が確実に行われる。
【0064】
インジェクタ6から噴射される燃料は、ピストン1の冠部10に窪むキャビティ11に拡がることにより、ピストン1の冠部10に当たって点火プラグ4に跳ね返ることが抑えられ、点火プラグ4に液状燃料が直接的に付着して失火が起きることを回避できる。
【0065】
しかし、成層燃焼領域におけるエンジンの高速域では、吸入から点火までの時間が短くなるため、シリンダ5内に強いスワールを生起しても、スワールとともにキャビティ11内で旋回する燃料噴霧が点火プラグ4に近づくのに必要な時間が足りず、点火前に確実に燃料を点火プラグ4の近傍に集めることが難しい。
【0066】
本発明はこれに対処して、成層燃焼領域におけるエンジンの高速域でコントロールバルブ26を全開する。これにより、吸気は2本の吸気ポート21に略均等に分流してシリンダ5内に吸入される。シリンダ5に流入する吸気は各吸気ポート21から直進し、燃料噴霧を吸入から点火までの短時間のうちに点火プラグ4の近傍に到達させ、混合気の成層化がはかれる。
【0067】
この成層燃焼領域の高速域において、コントロールバルブ26が全開されるのに伴って燃料噴射圧がP1からP2へと高められる。燃料噴射圧が高められることにより、燃料噴霧が短時間のうちに点火プラグ4の近傍に到達するのにもかかわらず、燃料噴霧の微粒化および気化が促進され、着火が確実に行われる。
【0068】
この結果、成層燃焼性が確保される最高回転数を高められる。成層燃焼領域でシリンダ5に供給される混合気の空燃比を希薄化することにより、エンジンのポンピング損失を低減し、燃費の低減がはかれる。また、冷間時において燃料噴射量を増やす必要がなく、エミッションを改善することができる。
【0069】
また、各吸気ポート2が直線状に延びるため、全開出力運転時における出力が損なわれない。また、コントロールバルブ26の開閉により運転条件に応じた流動場を供給できる。例えば、成層燃焼と均質燃焼の切換時に同一空燃比で運転が可能となるため、この切換時にトルク段差を解消することができる。
【0070】
他の実施形態として、成層燃焼領域におけるコントロールバルブ26の開度は、図7に示すように、エンジン回転数が所定値N1以下の低速域で全閉に設定され、エンジン回転数が所定値N1を超えかつ所定値N2以下の中速域でエンジン回転数が上昇するのに伴って漸次大きく設定され、エンジン回転数が所定値N2を超えて上昇する高速域で全開に設定される。これにより、成層燃焼領域において、低速域で強いスワールが生起され、中速域でスワールの勢力がエンジン回転数が上昇するのに伴って次第に小さくなり、高速域で強いタンブルが生起される。
【0071】
成層燃焼領域における燃料噴射圧は、図7に示すように、コントロールバルブ26が全閉される低速域でP1に調節され、エンジン回転数が所定値N1を超えかつ所定値N2以下の中速域でエンジン回転数が上昇するのに伴って漸次高く設定され、コントロールバルブ26が全開する高速域でP2に調節される。すなわち、エンジンの中速域では、コントロールバルブ26が開弁するのに伴って燃料噴射圧が次第に高められる。インジェクタ4の燃料噴射圧は前述したようにプレッシャレギュレータを介して調節される。
【0072】
この場合、成層燃焼領域にてコントロールバルブ26の開度をエンジン回転数が上昇するのに伴って次第に大きくすることにより、加減速時にトルク段差が発生することを防止できる。また、濃混合気を点火プラグ4の近傍へと有効に集められ、燃焼性が確保される希薄空燃比の限界値を拡大し、燃費の低減がはかれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すエンジンの概略断面図。
【図2】同じく吸気ポートの断面図。
【図3】同じく燃焼室天井壁の概略平面図。
【図4】同じくピストンの概略平面図。
【図5】同じくエンジン回転数に対するコントロールバルブ開度と燃料噴射圧の関係を示す特性図。
【図6】同じくコントロールバルブの全開時を示すエンジンの概略断面図。
【図7】他の実施形態におけるエンジン回転数に対するコントロールバルブ開度と燃料噴射圧の関係を示す特性図。
【符号の説明】
1 ピストン
3 燃焼室
4 点火プラグ
5 シリンダ
6 インジェクタ
10 ピストン冠部
11 キャビティ
21 吸気ポート
26 コントロールバルブ
28 切欠き部

Claims (4)

  1. シリンダ内に吸気を導入し、タンブルを生起させる吸気ポートと、
    シリンダ内に燃料を噴射するインジェクタと、
    シリンダ内の混合気に点火する点火プラグと、
    シリンダ内から排気を排出する排気ポートと、
    ピストンの冠部に燃料噴霧を受けるように窪むキャビティと、
    吸気ポートからシリンダ内に流入する吸気にスワールを生起するスワール生起手段とを備え、
    インジェクタの燃料噴射時期を吸気行程とする均質燃焼領域と、
    インジェクタの燃料噴射時期を圧縮行程とする成層燃焼領域を設定した筒内直接噴射式火花点火エンジンにおいて、
    インジェクタの燃料噴射方向を吸気ポートにおける吸気の流れ方向と略同一方向に設定し、
    前記成層燃焼領域にてエンジン回転数が所定値を超えて上昇するのに伴ってシリンダ内に生起されるスワールの勢力を弱め、タンブルの勢力を強める構成としたことを特徴とする筒内直接噴射式火花点火エンジン。
  2. 前記シリンダの中心線を含みクランクシャフトの回転中心軸と直交する平面をシリンダ中心面Cと定義し、
    インジェクタと2本の吸気ポートおよび点火プラグをシリンダ中心面Cについて略対称的に配置し、
    点火プラグをキャビティに対してインジェクタから最も離れた位置に臨ませ、
    スワール生起手段として一つの吸気ポートに吸気を集めるバタフライ式のコントロールバルブを備え、
    成層燃焼領域にてエンジン回転数が所定値を超えて上昇するのに伴ってコントロールバルブを全開してスワールの勢力を弱める構成としたことを特徴とする請求項1に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジン。
  3. 前記成層燃焼領域にてコントロールバルブの開度をエンジン回転数が上昇するのに伴って次第に大きくする構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の筒内直接噴射式火花点火エンジン。
  4. 前記インジェクタの燃料噴射圧を調節する手段を備え、
    成層燃焼領域にてコントロールバルブの開度が大きくなるのに伴って燃料噴射圧を高める構成としたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の筒内直接噴射式火花点火エンジン。
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