JP3820507B2 - ビーム位置検出モニター - Google Patents
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Description
電子ビーム位置を検出するときは電子ビーム軌道に蛍光板を挿入し、これらの板に電子ビームが当たって光る様子を覗窓から観測する。CCDカメラなどを覗窓の外に設置して取得した画像を画像表示装置に表示させてもよい。なお、電子ビームの電流量によっては蛍光板を金属板に取り替えて測定しても良い。
なお、強いビームについて位置を知るためには、ビームの衝突後ある時間を措いてから残光を測定するなどの工夫が行われるが、正確な測定結果を得ることは難しかった。
図6はα電磁石におけるビーム調整を説明する図面である。電子銃から発射され加速された電子ビームは所定の角度を持ってα電磁石に入射する。電子ビームはα電磁石の磁界内で偏向してほぼ1回転し、α字形の軌跡をたどり所定の角度を持って次の加速管に向けて放出される。
電子ビームを40.71度の傾きをもってα電磁石の入り口線に入射させると、α形軌道中で一旦分離した電子ビームが再び集合して、同じ点から40.71度の傾きをもって射出する。
α電磁石の磁界中では電子ビーム中の速い成分が長い距離を飛翔し遅い成分が短い距離を飛翔するので、α電磁石の出口ではビーム中の位相分布が揃ったより質の良い電子ビームに変成されている。
このため、従来は入射管中に別途用意したビーム位置モニターを用いて位置を確認して調整している。特に入射角度を正確に測定するためには2基のビーム位置モニターを互いに離して設置し、両者の測定結果を用いて算出していた。
こうすると調整時等では蛍光面を用いて測定し、ビーム電流が大きくなって明瞭な像が得られなくなると、スクリーンを回転して裏面の金属面にビームが当たるようにして、正しいビーム位置を確認することができる。
真空用回転導入端子を用いることにより、容易にスクリーンを回転させて測定感度を変更することができるのみでなく、遠隔操作するための機構を付与することにより切り替え時にレーザ装置の運転を休止する必要がなくなるため、調整が極めて容易になる。
こうすることで、回転せず平行移動するだけで、異なる強度のビームについて測定ができる。
さらに、スクリーンのビーム中心照射位置を通る直線を挟んで一方に蛍光板を備え、他方に金属板を備えるようにしてもよい。
このように蛍光板とOTR板をビームの中心で分けることにより、スクリーンの位置を異なる位置に調整しないでも、同じ位置にセットすることにより異なる強度のビームについて測定ができ、測定装置が極めて簡易なものになる。
なお、スリットの裏面の中央部を通る直線を挟んで一方に蛍光板を備え、他方に金属板を備えるようにして、スクリーンを同じ位置に据えることにより異なる水準のビーム位置を測定することができる。
これらの材料は比較的容易に入手でき、しかも十分な蛍光を発生し、比較的強いOTR光を発生する。
改良されたビーム位置検出モニターのため、簡便にかつより正確にビーム位置とビーム形状の調整ができるため、立ち上がり時間の節約と精度の高い運転が可能となる自由電子レーザ装置が得られる。
図1は本発明のビーム位置検出モニターの1実施例を表す構成図、図2は本実施例に用いられるスクリーンの正面図と側面図、図3は本実施例に用いられる各種のスクリーンの側面図、図4は本発明のビーム位置検出モニターの第2の実施例を示す構成図である。
図1において、1はビームチャンバ、2はモニター取付用ノズル、3はスクリーン、4はスクリーン挿入用シリンダー、5はベローズ、6は回転導入端子、7は覗窓、8はCCDカメラ、9は電子ビームである。
スクリーン3は回転導入端子6により手動あるいは遠隔操作で180度回転することができる。
スクリーン3の表面に、図2(a)に示すように実寸が明らかになるようなターゲット模様を付して、電子ビームの中心位置やビーム輪郭の形状を正確に読みとれるようにしても良い。
図2(b)に示すように、スクリーン3の表面には電子に当たって蛍光を発生する酸化アルミニウムなどの蛍光板31が貼付されており、裏面には光学的遷移放射(OTR)現象を呈するアルミニウム金属などのOTR板32が貼付されている。
電子ビームが当たって発生する蛍光は十分強いので、電流値の小さい電子ビームが衝突する場合でも強く発光し感度よくビームの中心位置やビームの断面形状を検出することができる。
電子ビーム位置を確認した後、スクリーン3をモニター取付用ノズル2の中に退避して運転を継続する。
蛍光板31やOTR板32にターゲット模様など位置確認用の印が付されている場合には、スクリーン3をビームチャンバー1に対して決められた位置に正確に挿入して固定すると、発光部分の光分布状況に基づいて電子ビームの走行位置が正しく把握できる。
なお、作業者が運転中の加速器装置に近寄ると放射線障害を受ける危険があるため、従来のようにエネルギー水準が変わってスクリーンを取り替える場合は加速器等の運転を停止する必要があった。
しかし、本実施例のビーム位置検出モニターでは回転導入端子6を利用することにより切り替えを作業者の手でなく遠隔操作で行えるため、加速器等の運転を停止しなくても済むようになった。
運転を中断しないため、一旦調整したビーム位置が狂うことも少なく、運転効率を上げる効果ももたらした。
図3(a)、(b)、(c)はスクリーンの別の形態を示す側面図である。
図3(a)は、蛍光板で形成した基板33の下側をOTR光を生じる金属板34で覆って形成したスクリーン、図3(b)は基板35の一方の表面を分割して一方に蛍光板36、他方にOTR板37を張り付けて形成したスクリーン、図3(c)は金属板38を基板として上側半分に蛍光板39を張り付けて形成したスクリーンを、それぞれ表示したものである。
さらに、2種類の発光板の突き合わせ部分を電子ビームの中心に合わせるようにすれば、電子ビームのエネルギーが変わっても測定時におけるスクリーン3の設定位置が変化しないため、操作が容易になる。
なお、図面では蛍光板とOTR板を上下の方向に並置したものを図示したが、上下方向に限らず、スクリーンの駆動軸を横切る方向に2種類の発光板が並んでいればよい。
図4において、11はα電磁石用チャンバ、12はビーム入射ノズル、13はビーム出射ノズル、14はスリット取付用ノズル、15はスクリーンを兼ねたビームスリット、16はスリット駆動装置、17はベローズ、18は覗窓、19はCCDカメラ、20は電子ビームの軌道である。
ビームスリット15の裏面、図中右側の面には、図3(a)、(b)、(c)に表示したと同じく、蛍光板とOTR板が並置されている。
電子ビームはα電磁石の磁界内でα字形の軌跡20をたどり、α字形軌道の頂点位置でビームスリット15によりエネルギー整形された上で、所定の角度を持ってビーム出射ノズル13から出射する。
出射される電子ビームのエネルギー分布状態は点線で描いたビームスリットの位置15’で決まる。ビームスリット15の位置はスリット駆動装置16により調整することができる。
電子ビームが正しい位置に入射していることを確認するため、ビームスリット15を電磁石の入り口線の位置まで移動して発光板が取り付けられている裏面に入射電子ビームが衝突するようにする。
このため、ビームスリット15の駆動装置16は従来装置におけるスリット駆動装置より長いストロークを有するものである必要がある。
2 モニター取付用ノズル
3 スクリーン
31、33、36、39 蛍光板
32、34、37、38 光学的遷移放射(OTR)板
35 基板
4 スクリーン挿入用シリンダー
5 ベローズ
6 回転導入端子
7 覗窓
8 CCDカメラ
9 電子ビーム
11 α電磁石用チャンバ
12 ビーム入射ノズル
13 ビーム出射ノズル
14 スリット取付用ノズル
15 ビームスリット
16 スリット駆動装置
17 ベローズ
18 覗窓
19 CCDカメラ
20 ビーム軌道
Claims (4)
- リニアック等の加速器に用いられるα電磁石中のビーム軌道においてエネルギーのずれた粒子ビームを除去するために用いられるスリットの裏面に入射ビームが衝突すると光を発生する材料を貼着して、ビームの入射位置まで移動させて発光位置を観察することによりビーム位置とビームサイズをモニターすることを特徴とするビーム位置検出モニター。
- 前記光を発生する材料が蛍光板と金属板であって、前記スリットの中央部を通る直線を挟んで一方に前記蛍光板を備え、他方に前記金属板を備えることを特徴とする請求項1記載のビーム位置検出モニター。
- 前記蛍光板の組成が酸化アルミニウムであり、前記金属板の組成がアルミニウムであることを特徴とする請求項2記載のビーム位置検出モニター。
- 請求項1から3のいずれかに記載のビーム位置検出モニターを備えた自由電子レーザ装置。
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