JP3820506B2 - 画像記録装置 - Google Patents
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Description
また、本発明の他の態様に係る画像記録装置は、印字媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の画像記録素子が配列されたフルライン型の記録ヘッドからなる印字手段と、前記記録ヘッド及び前記印字媒体のうち少なくとも一方を前記印字媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記記録ヘッドと前記印字媒体を相対移動させる搬送手段と、前記記録ヘッドによって前記印字媒体に記録された画像を読み取る複数のセンサが前記印字媒体の全幅に対応する長さにわたって配列された画像読取手段と、前記複数のセンサから得られる複数の読取画素データに基づき、各センサについて当該センサの読取画素データとその近隣センサから得られる読取画素データ及び本来記録されるべき画像から期待される期待読取データを用いて演算を行い、その演算結果に基づいて記録不良の画像記録素子を特定する不適切画像記録素子特定手段と、記録されるべき画像のデータから生成されるドットデータに基づいて前記期待読取データを作成する期待読取データ生成手段と、を備え、前記期待読取データ生成手段は、前記ドットデータにフィルタリング処理を施すフィルタ処理手段を含み、前記フィルタ処理手段は、ドットサイズの種類に対応した複数種類の係数を有するフィルタを用いて前記ドットデータにフィルタリング処理を施すフィルタ処理手段であって、前記ドットデータが示すドットサイズに応じて前記フィルタの係数が選択的に決定されるフィルタ処理手段であることを特徴とする。
図1は本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、インクの色ごとに設けられた複数の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録紙16を供給する給紙部18と、記録紙16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙16の平面性を保持しながら記録紙16を搬送する吸着ベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
本実施形態に係るインクジェット記録装置10における不適切ノズルの検出方法について説明する前に、まず、図9乃至図12を用いて、不適切ノズルの検出上問題となる技術課題について考察する。
以下、本インクジェット記録装置10における不適切ノズルの検出方法を説明する。
まず、ステップ1として、打滴指令のデータから各ノズルの中心位置で見込まれる1ライン分のセンサの読み取り期待値(各ノズル位置でのセンサ出力値はこのくらいになるはずだという予測値)を示すデータを作成する。これは、打滴指令のデータ(ドットデータ)がどういうデータであったかということから、この指令に従い正常に打滴が行われた場合に、センサの読み取り値がどうなるかという期待値を推定するためのデータ作りを行う工程である。この工程は、図20の期待読取データ生成部216で実施される。具体的には、下記の(1−1),(1−2)の処理を行う。
センサ(画素)の読み取り範囲に含まれる周辺の打滴ドットを含む打滴パターンに基づき、図15に示すようなフィルタを用いてフィルタリング処理を行う。図15にはノズル並び方向と紙搬送方向について5×5の画素範囲を演算対象とするフィルタが例示されている。各係数は、センサの読み取り範囲に含まれるドットの面積に基づいて決定される。すなわち、フィルタ中央の注目ノズルの面積寄与率(係数)は大きく、左右上下の周辺に行くほど面積寄与率(係数)は小さくなる。このデータは図20のフィルタパターン200に保持されており、フィルタ処理部201でフィルタリング処理が実施される。
次に、上記(1−1)で得られたフィルタリング処理後の値をセンサの読み取り値に換算するための変換を行う。CCDなどの光電変換センサは、光量に対してリニアな信号出力値が得られる(ガンマをかける場合でも、そのガンマ係数のかかったある値が得られる)。したがって、実際の打滴面積に対して、どういう読み取り値が返ってくるかを変換LUTによって換算する必要がある。この変換処理は、図20のテーブル変換部202で実施され、用いるルックアップテーブル(変換LUT)は実験的に決定される。
ラインセンサ120とノズル列の位置ズレは、ノズル列方向及び紙搬送方向にそれぞれ最大で100μm程度は存在し得るものと想定される。ステップ2は、ノズル列方向のズレを補正する工程である。なお、通常、ラインセンサはヘッドの比較的近傍に配置されるので、画素(センサ)とノズルの相対的な位置関係は一度の読み取り期間中は略一定である。したがって、読み取り期間について一定の補正を行うものとする。具体的には、以下に示す(2−1)〜(2−4)の処理を行う。
図20の位置関係把握部205でノズル位置を特定する。上記(2−2)で求められた画像両端のセンサ番号とノズル番号の組を(S0 , N0 ),(Sm , Nm )とすれば、i番目のセンサの位置をノズル位置(番号)に換算すると、そのノズル位置(番号)Pi は、次式で表すことができる。
Pi =( Nm −N0 )/(Sm −S0 )×(i−S0 )+N0 …(1)
2−4.センサ位置での読み取り期待値の算出
図20のセンサ読取期待値算出部206で、式(1)から求まるノズル位置Pi を挟む両隣の(二つの)ノズル番号の読み取り期待値で重み付け平均(距離の逆数で重み付け)を算出し、i番目のセンサ読み取り期待値Ei を求める。
センサ番号i番目の読み取り値Di と上記〔ステップ2〕で求めた期待値Ei を使って、まず、不適切ノズルをラフに特定する。ここで、Di をノズル位置のデータに変換しないのは、周波数の高い不適切データを補間操作により鈍らせるのを回避するためである。具体的には、以下に示す(3−1)〜(3−3)の工程によって不適切ノズルをラフに特定する。
1ラインのみデータでは当該1ラインがどのノズルによって打滴されたものであるかを正確に特定することが困難であるため、まず、紙搬送方向にi番目のデータを積分(平均化)する。これにより、ノイズなどの読み取りエラーも平均化され、ノズルの不適切による微小なデータ値変化を検出することができる。読み取りデータが図13で説明したテストパターンのようなベタ画像であれば、ベタの範囲から読み取り位置が外れない限り、紙搬送方向の位置ズレはほとんど問題とならない。この積分は、読み取り値については図20の積分演算部203で、期待値についてはセンサ読取期待値積分演算部207でそれぞれ実施される。
次に、不適切ノズル候補のピックアップが図20の不適切画像記録素子位置候補特定部208で実施される。隣接する二つのノズル(i番目,i−1番目)について、次式(2),(3)に従って読み取り値の差分(正規化された差分) と期待値の差分(正規化された差分) を求め、これらを比較する。
[数3] ΔEsi=(Esi−Es(i-1))/(Esi+Es(i-1)) …(3)
式(2)で求めた読み取り値の差分ΔDsiと式(3)で求めた期待値の差分ΔEsiの差が所定の閾値を越えていれば、不適切ノズルが近傍に存在する候補としてその番号「i」を登録する。このときの判定基準となる閾値は、実際に不適切ノズルの打滴パターンを読み取ったデータから実験的に決定すればよい。
ある1つのノズルの欠陥は、その対応する位置の近隣にある複数のセンサの読み取り値に影響を及ぼすので、上記(3−2)で不適切ノズル候補として登録される「i」の周辺(「i+1」や「i−1」など)も不適切ノズル候補として抽出され得る。しかし、これらはある共通の(1つの)ノズル欠陥に起因するものであるため、「i」の周辺に不適切ノズル候補が存在する場合には、重複を避けるために、これらをまとめて「i」で代表させるものとする。
図20の画像記録素子状態判定部210で、不適切ノズルの特定と不適切レベルの判定を行う。このステップ4では、上記ステップ3で検出された不適切ノズルの候補について、実際にどの位置のノズルが不適切であり、また、どのように不適切であるのかを特定する処理を行う。
[2] 吐出量1/2(ただし、打滴位置のズレ無し)
[3] 1ノズル右に位置ズレ(図12実線で例示)
[4] 1ノズル左に位置ズレ(図12実線の左右対称)
[5] 1ノズル右に位置ズレで吐出量1/2(図12点線で例示)
[6] 1ノズル左に位置ズレで吐出量1/2(図12点線の左右対称)
[7] 不適切なし
以下に述べる(4−1),(4−2)の操作をPi 付近の近傍ノズルについて上記[1] 〜[7] のパターンで行うループを回し、最も評価値がマッチしたものを、不適切ノズル番号とパターンの組み合わせでピックアップする。
上記(4−1)で求めた期待センサ出力値のEsiを用いて、不適切ノズル候補の位置の周辺についてパターンの幅にわたって次式の絶対値を算出し、算出された値を評価値とする。
評価値=|Σ{(Dsj−Esj)−(Dsi−Esi)}| …(4)
この評価値は、絶対値の基準を「i」の位置として、相対的な差分の絶対値をパターンの幅にわたって計算している。図9及び図12で説明した例によれば、「パターンの幅」は、中心位置を含む周辺の7点(又は5点)を意味しており、この7点(又は5点)がjに相当する。
上記したステップ4における不適切ノズルの特定と不適切レベル判定の結果に基づき、必要に応じて補正制御を図20の補正部214で行う。補正は、周辺のノズルの吐出量又は吐出頻度を変更することにより実施される。具体的には、各パターン [1]〜[7] に対応してそれぞれ補正方法が補正パターン215に登録されている。各パターンに関連付けされた補正処理の内容は次のとおりである。
〔履歴制御についての説明〕
上述したステップ1〜5の方法によれば、比較的高精度に不適切ノズルの特定が可能であるが、紙搬送方向のデータを積分するなどしてもムラの検出精度には一定の限界があり、不適切ノズルの検出や補正を誤る可能性を完全に排除することはできない。濃度0.01以下の僅かな筋でムラになる上、センサとノズルの位置関係の特定に誤差を生じる場合もあり得る。
上記の説明では、図8のような色別のテストパターンによる画像を読み取る場合を述べたが、本発明の実施に際しては、テストパターンを利用する態様に限らず、実技の画像を利用することも可能である。
Claims (11)
- 印字媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の画像記録素子が配列されたフルライン型の記録ヘッドからなる印字手段と、
前記記録ヘッド及び前記印字媒体のうち少なくとも一方を前記印字媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記記録ヘッドと前記印字媒体を相対移動させる搬送手段と、
前記記録ヘッドによって前記印字媒体に記録された画像を読み取る複数のセンサが前記印字媒体の全幅に対応する長さにわたって配列された画像読取手段と、
前記複数のセンサから得られる複数の読取画素データに基づき、各センサについて当該センサの読取画素データとその近隣センサから得られる読取画素データ及び本来記録されるべき画像から期待される期待読取データを用いて、近隣のセンサから得られるデータ値の変化を評価する演算を行い、その演算結果に基づいて記録不良の画像記録素子の特定と前記記録不良の画像記録素子の不良状態を特定する不適切画像記録素子特定手段と、
記録されるべき画像のデータから生成されるドットデータに基づいて前記期待読取データを作成する期待読取データ生成手段と、
を備え、
前記期待読取データ生成手段は、前記ドットデータにフィルタリング処理を施すフィルタ処理手段を含み、
前記フィルタ処理手段は、ドットサイズの種類に対応した複数種類の係数を有するフィルタを用いて前記ドットデータにフィルタリング処理を施すフィルタ処理手段であって、
前記ドットデータが示すドットサイズに応じて前記フィルタの係数が選択的に決定されるフィルタ処理手段であることを特徴とする画像記録装置。 - 印字媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の画像記録素子が配列されたフルライン型の記録ヘッドからなる印字手段と、
前記記録ヘッド及び前記印字媒体のうち少なくとも一方を前記印字媒体の幅方向と略直交する方向に搬送して前記記録ヘッドと前記印字媒体を相対移動させる搬送手段と、
前記記録ヘッドによって前記印字媒体に記録された画像を読み取る複数のセンサが前記印字媒体の全幅に対応する長さにわたって配列された画像読取手段と、
前記複数のセンサから得られる複数の読取画素データに基づき、各センサについて当該センサの読取画素データとその近隣センサから得られる読取画素データ及び本来記録されるべき画像から期待される期待読取データを用いて演算を行い、その演算結果に基づいて記録不良の画像記録素子を特定する不適切画像記録素子特定手段と、
記録されるべき画像のデータから生成されるドットデータに基づいて前記期待読取データを作成する期待読取データ生成手段と、
を備え、
前記期待読取データ生成手段は、前記ドットデータにフィルタリング処理を施すフィルタ処理手段を含み、
前記フィルタ処理手段は、ドットサイズの種類に対応した複数種類の係数を有するフィルタを用いて前記ドットデータにフィルタリング処理を施すフィルタ処理手段であって、
前記ドットデータが示すドットサイズに応じて前記フィルタの係数が選択的に決定されるフィルタ処理手段であることを特徴とする画像記録装置。 - 前記不適切画像記録素子特定手段は、前記読取画素データに基づく実測データと前記期待読取データとの比較を行う演算処理を実施することを特徴とする請求項1又は2記載の画像記録装置。
- 前記記録ヘッドに対する前記印字媒体の相対移動方向について所定の長さ以上の幅を持つ単位で前記相対移動方向に前記読取画素データを積分する積分演算手段と、
前記積分演算手段で求めた積分データから前記相対移動方向と略直交する主走査方向についての少なくとも2箇所についてその近傍の画像特性値を前記期待読取データの積分値の画像特性値と比較し、前記2箇所に対応するセンサの位置と前記期待読取データの位置関係を特定する画像位置特定手段と、
前記画像位置特定手段により見出された前記2箇所に対応するセンサ位置と画像記録素子位置との対応付けを行い、各センサ位置と画像記録素子位置の対応関係を把握する位置関係把握手段と、
前記位置関係把握手段で把握された前記各センサ位置と画像記録素子位置の対応関係に基づいて、補間演算により各センサ位置でのセンサ読み取り期待値を求めるセンサ読取期待値算出手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像記録装置。 - 各センサから得られる読取画素データを前記相対移動方向に積分して得られる積分値と、前記センサ読取期待値算出手段により求められたセンサ読み取り期待値を前記相対移動方向に積分して得られる積分値とを利用して、不適切画像記録素子の概略位置を特定する不適切画像記録素子候補特定手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
- 想定した不良状態の不適切画像記録素子を含む場合の記録画像から期待される期待読取データと、前記複数のセンサから得られた読取画素データとを比較することにより、不適切画像記録素子の状態を判定する画像記録素子状態判定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像記録装置。
- 前記不適切画像記録素子特定手段による不適切画像記録素子の特定結果に基づいて画像記録動作の補正を行う補正手段と、前記不適切画像記録素子特定手段による不適切画像記録素子の特定結果又は前記不適切画像記録素子候補特定手段によって特定した結果に基づいて前記記録ヘッドのクリーニングを行うクリーニング手段と、のうち少なくとも一方の手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の画像記録装置。
- 前記不適切画像記録素子特定手段による不適切画像記録素子の特定結果に基づいて画像記録動作の補正を行う補正手段と、
少なくとも前回の不適切画像記録素子の特定情報及び画像記録動作の補正の情報を記憶する履歴情報記憶手段と、
前記履歴情報記憶手段に記憶した情報と補正後の画像を前記画像読取手段で読み取って得られた情報から次回の補正内容を決定する履歴制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像記録装置。 - 前記印字手段は、少なくともシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を印字可能な記録ヘッドを備える一方、
前記画像読取手段は、赤(R)光、緑(G)光及び青(B)光を分光して読取可能なRGBセンサ列で構成されており、
前記印字手段により各色が重なり合って記録された同一の画像区間を前記RGBセンサ列で読み取り、
C、M、Yの色順序で不適切画像記録素子を特定する処理を実施し、先行する色の処理において不適切画像記録素子と判定された個所を除去して後続の処理を行うことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像記録装置。 - 前記印字手段は、黒(K)の色を印字可能な記録ヘッドを備えており、
K、C、M、Yの色順序で不適切画像記録素子を特定する処理を実施し、先行する色の処理において不適切画像記録素子と判定された個所を除去して後続の処理を行うことを特徴とする請求項9記載の画像記録装置。 - 前記不適切画像記録素子特定手段は、不適切画像記録素子を含む近傍の複数の不適切画像記録素子候補を抽出する処理と、前記複数の不適切画像記録素子候補の中から記録不良の画像記録素子の特定と前記記録不良の画像記録素子の不良状態の特定を行う処理と、を行うことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像記録装置。
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