JP3820025B2 - 自動分注装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器内に収容された液体を別の容器に分取する自動分注装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療分野の臨床検査においては、患者から採血管により血液を採取しこれを遠心分離処理した後、その上澄みである血清を分取して各種の分析を行う。
従来の自動分注装置では、移動可能な分注ノズルにより供給元の容器内に収容された液体(検体)を吸引し、これを別の複数の容器に指示された量だけ吐出するという分注動作を行う。このとき用いるノズルは、検体間のコンタミネーション(汚染)を防止するためにディスポーザブルなプラスチック製の分注チップが用いられることが多い。
【0003】
そのノズルには配管チューブが連結されていて他方にポンプが接続され、このポンプの圧力により検体の吸引・吐出が行われる。このノズルとポンプ間の配管チューブにはこの管内の圧力を検出する圧力センサが配置され、ノズルが空気中から検体内に挿入された瞬間の圧力センサの出力変動に基づき行う液面検出から分注動作に関する各種の制御に用いられている。
【0004】
通常の臨床検査では、検体である血清の分注は血液を遠心分離したままの状態で行うことが多い。特に分析に必要な血清の量が不足している場合は、自動分注装置を用いた吸引時において、ノズル先端に粘性をもつ分離材等が詰まって閉塞状態を生じてしまうことがある。また、血清中に含まれる繊維状のフィブリン等を吸い込んでノズル内が閉塞状態になってしまう場合もある。この様な不具合に対しては、圧力センサによってこの閉塞状態を検出する方法が特開平6−27120号公報に提案されている。このような閉塞が発生した場合は、これ以上所定の分注ができないので該当する検体の分注動作を中止し、ノズル内に吸引したその検体を元の検体用チューブに戻してから当該ノズルを廃棄する動作を行う場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ノズル内に残留している検体を吸引時の高さのままで戻そうとすると、分離材等の影響でノズル内に残留している検体を完全には戻せないことがある。またノズルを水平移送するための高さまで戻して吐出動作をしても、その詰まりの状態により吐出方向が真下にいかず、その検体チューブの外部にその検体が飛散する危険性もある。
【0006】
また、上述のように検体の所謂「戻し動作」をしても完全な閉塞状態によってはそのノズル内に検体が残留した状態で、且つその配管チューブ内が陽圧(即ち、大気圧以上の圧力)の状態もあるので、このままそのノズルに対する廃棄動作を行うと、ノズルの廃棄位置への移動の途中でこの陽圧によりノズル内の検体が漏れ出てきて検体を周囲に撒き散らしてしまう危険性も起こり得る。
そこで本発明の目的は、分注動作中にノズルや配管に閉塞状態が生じた際、分注対象の液体を安全且つ速やかに戻し動作して処理できる自動分注装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様は、容器内の液体を吸引・吐出するノズルと、このノズルに連結された配管チューブと、前記ノズルと前記配管チューブに接続し加圧・減圧するポンプと、前記ノズルと前記ポンプの間の前記配管チューブに配設されこの配管チューブ内の圧力を検出する圧力センサと、この圧力センサからの圧力情報を参照しながら少なくとも前記ノズルおよび前記ポンプを駆動制御する制御部と、を具備する自動分注装置であって、前記制御部は、該液体の吸引中に前記ノズルの詰まりを検出した際に、前記ノズルを液面から一旦引き抜き、該液体の前記容器内における液面高さに対してあらかじめ設定した位置まで前記ノズルを上昇させて該液体を同一の前記容器内に戻すとともに、前記液体を戻した後には、前記配管チューブ内に生じた陽圧を解消して大気圧に戻してから前記ノズルの移送動作を行うように制御する。
【0008】
また、本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記制御部は、前記ノズルが吸引動作中においても、前記配管チューブ内における前記陰圧の発生を逐次監視する。
【0009】
(作用)
このような手段の本発明の自動分注装置により次のような作用を奏する。
請求項1によれば、液体の吸引中にノズルが詰まった場合にも、ノズル内に残留した液体を周囲に飛散させないで元の容器に戻せる。また仮に液体の戻し動作の後にそのノズル内に液体が残留していたとしても、滴下等で周囲や装置を汚すことが防げる。
【0010】
しかも、検体の戻し動作中に生じた閉塞に起因してノズルや配管内に生じた陽圧を解消できるので、周囲に噴出する事も起こらず、このノズルの廃棄動作等においても安全に廃棄し、交換することが可能となる。
請求項2の態様によれば、配管内の圧力を吸引中常にチェックしているので、閉塞が経度ですむ故に、速やかに戻し動作に移行でき、また完全な閉塞が防げると共に同一ノズルによる分注の再試行ができる可能性も高くなる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の自動分注装置についての複数の実施形態例およびそれらの変形例を挙げて詳しく説明する。
(第1実施形態例)
図1には本発明の一実施形態例による自動分注装置の配管図を示す。分注装置は、容器内の検体(不図示)の吸引・吐出を行うノズル1と、このノズル1に加圧または減圧を加えるポンプ3と、このポンプ3とノズル1とを連結する配管チューブ2とから基本的に構成されている。本発明の自動分注装置はさらに、配管チューブ2から成る配管経路上においてこの経路をノズル側とポンプ側に分ける三方弁10が配接され、ノズル1側の経路上にはその圧力を検知するための圧力センサ4が備えられている。
【0012】
また本実施形態例の自動分注装置は、これらノズル1、ポンプ3および三方弁10にさらに、それぞれを駆動するための駆動系(不図示)を介してこれらを制御する制御部50が電気的に接続され、圧力センサ4はノズル1側の圧力を示す検知信号をこの制御部50に送れるように電気的に接続されている。
【0013】
(作用効果1)
このように構成された本第1実施形態例の自動分注装置における特徴は、図示しない容器内の液体、例えば所定の検体の吸引動作中にノズル1の詰まりを圧力センサ4が検出した際に、制御部50はその容器内の液体の液面高さに対してあらかじめ設定した距離までノズル1を移動、例えば上昇させてその液体を安全に元の容器に戻すように制御することを特徴としている。
【0014】
図2( a) 〜( f) には、検体吸引の際のノズルの上下動作を示す。遠心分離によって容器内の液体は分離材層8を境にして上部の血清層7と底部の血球層9に別れる。ここで上述した構成の自動分注装置において、圧力センサ4はノズル1の先端が大気中から検体の血清層7に入ったときの圧力の変化により液面の検出を行う(図2( a) 200の状態)。この状態から所要の分注量分だけノズル1を下降させながら血清を吸引する。
【0015】
図2( b) 201に示すような血清の吸引動作完了まじかで、所要の分注量よりも検体チューブの血清量が少ない場合は、図2( c) 202に示す如くノズル1の先端が分離材層8に入り込むが、このとき、ノズル先端が粘性を有する分離材で詰まってしまうことが起こり得る。通常、血清吸引の場合よりも分離材を吸込んだ場合の方が配管チューブ2内は負圧が高くなるので、この状態における閉塞も圧力センサ4で検出することができる。
【0016】
このような状態になった場合は、元々所要の血清量の分注が続行できないし、ノズル先端( チップ) が詰まった状態では正確な吐出量を得ることもできないので、元あった検体チューブ内に吸引した血清を戻して分注を中断することになる。
しかし、図2( d) の203aに示すように、吸引していた時点でのノズル高さを保ったままノズル1内の血清を押し出すと、分離材にノズル1を突っ込んだ状態のままでは血清が検体チューブに確実には戻せない。
【0017】
また、図2( e) の203bに示すように、ノズル1を上点(即ちノズルを水平移送する高さ)に移送してからノズル1内の血清を吐出するとノズル先端の詰まりの状態によっては吐出が下方向に行かず破線矢印のように検体チューブ外に出てしまう危険性があるので、本発明の自動分注装置においては、図2( f) の203cに示すように、最初に液面を検出した高さよりも上の設定した高さにノズル1を上昇させて吐出するように制御部50がそれぞれの駆動系を同期制御する。この制御により、検体の戻しは確実に行われ、ノズル1内に残留している血清の所謂「戻し動作」の際に検体チューブ外へ検体を蒔くことが防止できる。
【0018】
また、ノズル先端の詰まりの状態によっては、検体の戻し動作をしても血清が完全には吐出されず、あるいは全く吐出されずにノズル内に残留してしまうことがある。このような状態でノズル1を検体吸引位置からノズル廃棄位置に移送すると、検体チューブ2内は圧力が高くなった状態であるためノズル移送の途中でノズル内の血清が噴出してしまう可能性があるが、ノズル1の移送の前に三方弁10により配管チューブ2内を大気中に開放し(即ち、三方弁のノズル側弁101と大気側弁103を導通状態にし)圧力を大気圧状態に戻し、その後、ノズルの移送前に配管チューブ2を密閉状態(即ち、三方弁のノズル側弁101とポンプ側弁102を導通状態)に制御することにより、血清の噴出を防止することができる。
【0019】
以上のように制御された本発明の自動分注装置によれば、分注動作中にノズルに詰まりが発生してもノズル内に残留した検体を採血管等に戻す際に滴下や飛散が発生しない。また、検体の戻し動作の後にノズル内の検体が残留していたとしても周囲への滴下や飛散が発生せず、よって検体のコンタミネーションや装置内の検体による汚染事故も発生しない。
【0020】
(変形例1)
本実施形態例の自動分注装置による分注動作においては次のような同時制御を行ってもよい。例えば、
図2( a) が示す如くノズル1が液面に接して液面検知の直後に、血清層7を吸引するため所定距離だけノズル先端を液中に潜り込ませる下降動作を行う。
【0021】
また、図2( f) に示す如く一旦吸引した検体を同一容器内に戻す動作においては、分注の再試行を想定した場合は特に、その容器内へ元の状態に静かに戻す必要と共に、検体が容器内の側壁等に付着しないようにするため、ノズル先端をその検体が容器に在った高さよりも下から液面上昇に付随して徐々に上昇させながら吐出動作するように制御してもよい。
【0022】
(第2実施形態例)
図3には本発明の第2実施形態例による自動分注装置の配管図を示す。本第2実施形態例は、前述した第1実施形態例の構成に比べて、三方弁とその駆動系を含まない極めて単純な構成を成している。すなわち、検体の吸引・吐出を行うノズル1と、このノズル1に加圧または減圧を加えるポンプ3と、このポンプ3とノズル1とを連結する配管チューブ2を備え、この配管チューブ2の経路上にはその圧力を検知する圧力センサ4が設けられている。
またこの自動分注装置を構成するこれらノズル1およびポンプ3にはそれぞれを駆動する駆動系(不図示)を介し、これらを制御する制御部50が電気的に接続され、圧力センサ4は配管チューブ2およびノズル1の圧力を示す検知信号をこの制御部50に送れるように接続されている。
【0023】
本実施形態例は、構成要素を単純化すると共に、圧力センサ4が液体の吸引中にノズル1の詰まりを検出した際に、制御部50はノズル1内に一旦吸引した液体を元の容器に戻した後に、その配管チューブ2内の陽圧を解消するように制御してからノズル1の移送を行うように構成されていることを特徴とする。
【0024】
上述のような構成の自動分注装置は、図4に示すフローチャートの手順に従って次のように一連の分注動作を実行せる。まず動作開始と共に、圧力センサ4はノズル1の先端が大気中から検体の血清層7に入ったときの圧力の変化により液面の検出を行う(S10)。ポンプ3を駆動して所定の陰圧を配管チューブ内に生じさせ、所定の深さに挿入されたノズル1で検体の吸引を行う(S20)。
【0025】
ステップS30においては、この検体吸引時に圧力センサ4によってノズル1の詰まり、即ち閉塞が生じたか否かを判定する(S30)。詰まりが無い場合は、通常の分注動作(S90)を行った後、一連の処理を終了する。一方、ノズル1の閉塞を検出した場合は、その検体の「戻し動作」を行う。つまり、一旦ノズル内に吸引した検体を元の容器内に吐出する(S40)。
【0026】
検体の戻し動作の後、液面の高さからノズル1の先端を上昇させるが(S50)、このときステップS60において、配管チューブ2内の圧力を検知し(S60)、もしこの配管チューブ2内の圧力が陽圧である場合、特に大気圧より高い場合、この詰まりによって「検体の戻しが不完全である」と判断して、ポンプ3により配管チューブ2内の陽圧が大気圧まで下がって解消されるまで所定の吸引動作を行う(S70)。一方、これ以外はチューブ内が大気圧またはそれに近似な圧力であると判断してステップS80に進む。
【0027】
配管チューブ2内に陽圧が無い状態で、ステップS80においてそのノズル1の所定の廃棄動作または、再度このノズル1を使用しての分注動作をリトライ、即ち再試行するように動作し(S80)、所望により再び最初の処理ステップS10に戻って同様な処理動作を繰り返す。
なお、配管チューブ内の圧力を吸引動作中に常に監視するように、例えばステップS30をステップS20と並行し、圧力監視が頻繁に行えるようにプログラムを変更してもよい。
【0028】
(作用効果2)
図5は、本発明の自動分注装置による分注動作に伴ない変化するノズル等の管内圧力を圧力センサが検知したものをグラフで表わしている。縦軸に管内圧力(但し、上が負圧、陰圧:−P、下が大気圧を含む陽圧:+P)、横軸に動作時間を示している。
最初の分注動作の開始時にセットされた状態では、配管およびノズル内は所謂「エアー( 大気圧) 」状態に等しい内圧が検知される。ノズルが下降して液面に接すると、このエアー状態から急に液体に代わる故に、t1で僅かに負圧が一時的に生じる。その後ポンプ出力を上げて吸引動作を継続的に行うが、t2近傍で詰まりが発生せずに正常に吸引動作が推移すると、破線が示すような変化で正常吸引を行った後、ノズルを上点に上げて吸引した検体を他の容器等に分注して元のエアー状態になる。
【0029】
一方、t2において詰まりが発生すると、実線30が示すように管内圧が急激に上昇してt3でピークに達する。この急激な圧力上昇により詰まり発生が認識されるので、これ以降は戻し動作に移行する。ポンプ出力を下げて吸引動作を中止し内圧を徐々に高めて詰まったものを元の容器に吐き出させる前述の戻し動作を行うが、もしt4近傍で吐出が完了しないと実線40が示すように管内には陽圧が発生する場合もある。圧力センサがこの状態を検出した場合は、陽圧を解消するようにポンプを僅かに減圧方向に駆動させ、大気圧に達したt5近傍でエアー状態に復帰させる。この場合、正常な検体戻しはできなかったと判断される。このように完全に正常復帰できない場合は、そのノズルは廃棄せざる負えないと判断して所定の廃棄位置に移送した後、陽圧の無くなった状態で新しいノズルに取り替えられる。
【0030】
このように制御部50は、管内圧の変化を逐次認識しながら管内の状態(例えば液面検知、正常吸引、閉塞発生等)を判断して適切に各駆動系を制御する。
したがって本第2実施形態例によれば、ノズル移送前にノズル1や配管チューブ2内に生じた陽圧を解消することにより、これ以上使用しないノズル1の廃棄動作等において検体を撒き散らして周囲を汚染することを防止することが可能となる。
【0031】
また、吸引中常に配管内の圧力がモニタされているので、発生する閉塞が軽度ですむので、速やかに戻し動作に移行でき正常に戻すことができる。また完全な閉塞状態が防げるので比較的簡単に復帰できる故に、同一ノズルによる分注の再試行ができる可能性を高め、運用の効率化と共に廃棄コストの削減も図れる。
【0032】
(変形例2)
本実施形態例の自動分注装置による分注動作においては次のような制御を行ってもよい。本実施形態例は陽圧を解消して安全に廃棄するためのものであるが、廃棄するとしてもできるだけその検体や内容物は元の容器に戻したい。そこで例えば、ノズル先端の閉塞部分に物理的に針状のものを使用して孔開けして完全に閉塞状態を解消させ、検体を戻す動作やノズル先端付近に付着した物質をその検体で洗い落として戻す動作を更に加えてもよい。
【0033】
(その他の変形例)
なお、例示した自動分注装置に係わる各部位の形状、寸法ならびに材質等は、必要に応じて種々の変更が可能であると共に、他との適宜な組合せも可能である。
また、本発明における自動分注装置と他の既存技術との組合せや、使用する液体および容器等は、例示した医療分野のものに限らず所望により適宜なものを用いることができる。本発明は前述の各例以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変形実施が可能である。
【0034】
本明細書中には以下の発明が含まれている。
[1] 容器内の液体を吸引・吐出するノズルと、このノズルに連結された配管チューブと、前記ノズルと前記配管チューブに接続し加圧・減圧するポンプと、前記ノズルと前記ポンプの間の前記配管チューブに配設されこの配管チューブ内の圧力を検出する圧力センサと、この圧力センサからの圧力情報を参照しながら少なくとも前記ノズルおよび前記ポンプを駆動制御する制御部と、を具備する自動分注装置であって、
前記制御部は、該液体の吸引中に前記ノズルの詰まりを検出した際に、該液体の前記容器内における液面高さに対してあらかじめ設定した位置まで前記ノズルを移動して該液体を前記容器に戻すように制御することを特徴とする自動分注装置。
【0035】
[2] 容器内の液体を吸引・吐出するノズルと、このノズルに連結された配管チューブと、前記ノズルと前記配管チューブに接続し加圧・減圧するポンプと、前記ノズルと前記ポンプの間の前記配管チューブに配設され前記配管チューブ内の圧力を検出する圧力センサと、この圧力センサからの圧力情報を参照しながら少なくとも前記ノズルおよび前記ポンプを駆動制御する制御部と、を具備する自動分注装置であって、
前記制御部は、該液体の吸引中に前記ノズルの詰まりを検出した際、該液体を戻した後には、前記配管チューブ内に生じた陽圧を解消して大気圧に戻してから前記ノズルの移送動作を行うように制御する自動分注装置。
【0036】
[3] 前記制御部は、前記ノズルを液面から一旦引き抜き、あらかじめ設定された設定距離まで上昇させて、該液体を同一の前記容器内に戻すことを特徴とする[1]に記載の自動分注装置。
[4] 前記制御部は、前記ノズルが吸引動作中においても、前記配管チューブ内における前記陰圧の発生を逐次監視することを特徴とする[2]に記載の自動分注装置。
【0037】
【発明の効果】
以上、複数の実施形態例および変形例に基づく説明の如く、本発明の自動分注装置によれば次のような効果が得られる。
本発明の自動分注装置によれば、例えば医療現場において検体吸引の途中でノズルが分離材や検体内に含まれるフィブリン等により詰まっても、ノズル内に残っている血清等を検体チューブの外に撒き散らしたり飛散させて他の検体とコンタミネーションを起こしたりその分注装置内を検体で汚染するようなことを未然に防止することができる。
【0038】
したがって本発明によれば、分注動作中にノズルや配管に閉塞状態が生じた際でも、適宜な戻し動作により分注対象の検体を安全且つ速やかに処理することのできる自動分注装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態例としての自動分注装置の構成を模式的に示す概要構成図。
【図2】 図2は本発明の実施形態例の自動分注装置による検体吸引時のノズルの上下動作を示し、
( a) は液面検出時の動作を示す図、
( b) は血清吸引時の動作を示す図、
( c) は分離材検出時の動作を示す図、
( d) 〜( f) は検体戻し位置における動作を示す図。
【図3】 同じく本発明の第2実施形態例としての自動分注装置の構成を模式的に示す概要構成図。
【図4】 本発明の自動分注装置の分注動作手順を示すフローチャート。
【図5】 本発明の自動分注装置における分注動作に伴なう管内圧力の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
1…分注ノズル、
2…配管チューブ、
3…ポンプ、
4…圧力センサ、
7…血清層、
8…分離材層、
9…血球層、
10…三方弁、
50…制御部、
101…ポンプ側の弁、
101…ノズル側の弁、
101…大気側の弁、
200…液面検出時の状態、
201…血清吸引時の状態、
202…分離材検出時の状態、
203a〜203c…検体戻し位置、
S10〜S90…分注過程における処理ステップ。
Claims (2)
- 容器内の液体を吸引・吐出するノズルと、このノズルに連結された配管チューブと、前記ノズルと前記配管チューブに接続し加圧・減圧するポンプと、前記ノズルと前記ポンプの間の前記配管チューブに配設されこの配管チューブ内の圧力を検出する圧力センサと、この圧力センサからの圧力情報を参照しながら少なくとも前記ノズルおよび前記ポンプを駆動制御する制御部と、を具備する自動分注装置であって、
前記制御部は、該液体の吸引中に前記ノズルの詰まりを検出した際に、前記ノズルを液面から一旦引き抜き、該液体の前記容器内における液面高さに対してあらかじめ設定した位置まで前記ノズルを上昇させて該液体を同一の前記容器内に戻すとともに、
前記液体を戻した後には、前記配管チューブ内に生じた陽圧を解消して大気圧に戻してから前記ノズルの移送動作を行うように制御することを特徴とする自動分注装置。 - 前記制御部は、
前記ノズルが吸引動作中においても、前記配管チューブ内における前記陰圧の発生を逐次監視することを特徴とする、請求項1に記載の自動分注装置。
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