JP3819222B2 - 遊技機のタンク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、遊技機のタンクであって、特に球がタンク本体から落ちることを防ぐ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図12は実用新案登録第2540102号公報で開示された遊技機のタンクを示す。タンク本体50は遊技機枠体51の前側横方向に片開き可能な前枠52の裏側に設けられ、島の球補給装置53側から供給される球を貯蔵する。タンク本体50の上部開口縁には多数の舌片54を有する球こぼれ防止部55が取付けられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例では、島には異なる種類のパチンコ機のような遊技機が取付けられる。どの種類の遊技機が取付けられても球を補給できるように、球補給装置53が島に大工仕事で取付けられる。このようなことから、球補給装置53の位置は或る1つの遊技機では中央に位置し、別の1つの遊技機では中央より片側に位置するというように、遊技機の種類が異なった場合に、遊技機に対する球補給装置53の位置が異なる。このため、側縁部側の舌片54では次のような問題が生じる。すなわち、図13に示すように、前枠52の開閉時において、舌片54が幅方向から球補給装置53に衝突することがある。横上開口縁(上開口を形成する側縁部)に設けられた舌片54は、広い幅D3が前枠52の前後方向に向けられ、薄い厚さt3が前枠52の左右方向に向けられる構造であるから、幅D3方向に撓みにくい。側縁部の舌片54が球補給装置と干渉した場合には、この舌片が球補給装置で撓みにくい方向に弾性変形されるので、前枠52を開閉するために大きな力が必要となる。又、舌片が撓みにくい方向に曲げられることから損傷を受け易い。
【0004】
そこで、本発明は、前枠の開閉力の小量化と舌片の耐久性の向上とが図れる遊技機のタンクを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る遊技機のタンクは、パチンコ店の島に対し前方横方向に片開き可能に取付けられる前枠の裏面には弾性の少ない硬質合成樹脂からなるタンク本体が設けられ、前枠が島に対し閉じられた状態において島の球補給装置から供給される球を貯蔵するための球貯留室をタンク本体が前枠の裏面から裏側に突出しかつ上側開放状に形成し、タンク本体の上部開口縁には弾性の有る軟質合成樹脂からなる球こぼれ防止部が設けられ、この球こぼれ防止部がタンク本体の上部開口縁に取付けられる基部と基部より上方に突出する多数の舌片とを有し、この多数の舌片が、タンク本体の上部開口縁におけるタンク本体を前枠の側から見た場合に特定される後側縁部とこれの一端より前枠の側に連なる側縁部とに対応して配置され、後側縁部に対応して配置される舌片は幅よりも薄い厚さがタンク本体を前枠の側から見た場合に特定される前後に向けられかつ厚さよりも広い幅がタンク本体を前枠の側から見た場合に特定される左右に向けられて互いに左右に所定の隙間を以って左右方向に配置され、側縁部に対応して配置される舌片は幅よりも薄い厚さがタンク本体を前枠の側から見た場合に特定される前後に向けられかつ厚さよりも広い幅がタンク本体を前枠の側から見た場合に特定される左右に向けられて互いに前後に所定の隙間を以って前後方向に配置されたことを特徴とする。よって、本発明に係る遊技機のタンクは、前枠が島に設置されて開閉される時に、島の球補給装置と舌片とが干渉した場合、舌片が容易に撓むことができ、前枠の開閉力の少量化と舌片の耐久性の向上とを図ることができる。又、本発明に係る遊技機のタンクにおいて、タンク本体が上部開口縁から外側に突出するフランジを備え、球こぼれ防止部の基部が下側から上側に窪む収容溝を備え、収容溝を形成する基部の外壁にはフランジ受部が設けられ、収容溝がタンク本体の上部開口縁に外嵌挿入されることで、フランジ受部がフランジの下側にもぐり込むか、または、タンク本体が球貯留室の側に位置する内側面から内側に突出する係合突起を備え、球こぼれ防止部の基部が下側から上側に窪む収容溝を備え、収容溝を形成する基部の内壁には嵌合孔が設けられ、収容溝がタンク本体の上部開口縁に外嵌挿入されることで、係合突起と嵌合孔とが互いに嵌まり込めば、球こぼれ防止部の基部がタンク本体の上部開口縁に適切に装着される。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1乃至図7は本発明の第1実施形態に係る遊技機のタンク1であって、図1はタンク1を示し、図2は舌片5;6と球補給装置9との衝突を示し、図3はタンク1と球こぼれ防止部3とを示し、図4は舌片5;6の構造及び球こぼれ防止部3とタンク本体2との組付構造を示し、図5はタンク1と球補給装置9との関係を示し、図6は前枠24の開閉を示し、図7は舌片6が倒された状態を示す。
【0007】
図1を参照し、タンク1について説明する。タンク1は、タンク本体2と球こぼれ防止部3とを備える。タンク本体2はABSやポリカーボネート等の弾性が少ない硬質合成樹脂により上方に開口された箱状に形成される。球こぼれ防止部3はPETや塩化ビニール又はゴム等の軟質合成樹脂により形成されており、細長な基部4と基部4より上方に突出する多数の舌片5;6とを有する。球こぼれ防止部3は、この場合はゴム系のアロエ材料(ポリプロピレンとスチレンブタジエンゴムの混合材料等)を用いており、弾性に優れながらも成形時における収縮(変形)が少なく、温度による寸法変化が少ない。基部4がタンク本体2の上開口を形成する後側縁部7とこれの一端より前側に連なる右側縁部8とに装着される。その状態において、多数の舌片5;6は後側縁部7と右側縁部8とに配置される。後側縁部7に配置された多数の後縁部側舌片5は、幅D1よりも薄い厚さt1が前後に向けられ、厚さt1よりも広い幅D1が左右に向けられて、互いに左右に所定の隙間d1を以って左右方向に列状に配置される。右側縁部8に配置された多数の側縁部側舌片6は、幅D2よりも薄い厚さt2が前後に向けられ、厚さt2よりも広い幅D2が左右に向けられて、互いに前後に所定の隙間d2を以って前後方向に列状に配置される。
【0008】
タンク1が前枠24に取付けられた状態において前枠24が人為的に開閉される場合には、例えば、図2に示すように右側縁部側舌片6と球補給装置9とが矢印X方向で衝突すると、右側縁部側舌片6が実線示位置から点線示位置に撓む。
【0009】
図3に示すように、タンク本体2は後側縁部7と右側縁部8とに加えて、後側縁部7の他端より前側に連なる左側縁部10を有する。左側縁部10の上端は、右側縁部8及び後側縁部7の上端より上方に位置する。左側縁部10の上端と後側縁部7の上端とは左側が右側より徐々に高くなる斜面状の駆上り部11を経由して連なる。後側縁部7の上端と右側縁部8の上端とは平坦状に連なる。タンク本体2が板状のタンクベース12の裏面に図外の止ねじで裏側より締結されることにより、上側開放状の球貯留室13が形成される。球こぼれ防止部3は、後側縁部7と右側縁部8及び左側縁部10の上縁で形成されたタンク本体2の上部開口縁14と対応する形状に成形される。
【0010】
図4に示すように、側縁部側舌片6は、幅D2が基部4側の根元6aから上方の先端6bに行くに従って徐々に小さくなると共に厚さt2が根元6aから先端6bに行くに従って徐々に薄くなるような先細り形状である。後縁部側舌片5は側縁部側舌片6と同様な先細り形状であり、幅D2を厚さt1と読み替えて厚さt2を幅D1と読み替えれば形状が理解できるであろう。このような形状を舌片5;6が有するので、舌片5;6の高さを高くした場合であっても、球がタンク1に満杯に入った時に、舌片5;6の根元が折れ曲がって球がこぼれることはない。後縁部側舌片5と側縁部側舌片6とが連なる隅部における後縁部側舌片5と側縁部側舌片6との隙間、各後縁部側舌片5相互の隙間d1、各側縁部側舌片6相互の隙間d2は球の直径より小さく設定される。側縁部側舌片6の高さh2は後縁部側舌片5の高さと揃えられ、タンク本体2の左側縁部10に装着された球こぼれ防止部3の左側縁部22の上端より上側に突出する。
【0011】
基部4は、上壁15と、上壁15の外側縁より下側に突出する外壁16と、上壁15の内側縁より下側に突出する内壁17とを備える。上壁15と内壁17及び外壁16が下側から上側に窪む収容溝18を形成する。収容溝18は、基部4の底面全域に渡って形成され、右側縁部8及び左側縁部10の前端にも開口する。収容溝18は、右側縁部8と後側縁部7とが連なる隅部及び左側縁部10と後側縁部7とが連なる隅部においても、内壁17;外壁16の厚さがその他の直線部分と同様に型成形により形成される。隅部を薄肉ヒンジとして簡易な構造で構成してもよいが、この実施形態は隅部における内壁17;外壁16の肉厚をその他の直線部分における内壁17;外壁16の肉厚と同程度とすることにより隅部が強靭となり、外力が加えられても隅部が切断されたり破損されることは防止される。
【0012】
タンク本体2の上部開口全縁にはフランジ19が外側に突出する。タンク本体2の内側面には係合突起23が内側に突出する。係合突起23の上側面23aは突出するに従って徐々に下る斜面である。内壁17の上部は内外方向に貫通する嵌込孔20を有する。外壁16の内面にはフランジ受部22が内側に突出する。フランジ受部22の上側面22aは突出するに従って徐々に下る斜面である。嵌込孔20及びフランジ受部22は、右側縁部8と後側縁部7及び左側縁部10にも形成される。フランジ受部22が外壁16の内面から突出する形状であっても、球こぼれ防止部3が軟質合成樹脂で形成され、フランジ受部22の上側面22aが下り斜面であるので、球こぼれ防止部3がそれを形成する金型から引抜かれる際に、上側面22aが金型から斜めの外力を受け、フランジ受部22及び外壁16が圧縮される。そのため、球こぼれ防止部3が金型から引き抜き易くなる。球こぼれ防止部3がタンク本体2の上部開口縁14に取付けられる場合、フランジ19の上縁がフランジ受部22の下縁に接触し、上側面23aが内壁17の下縁に接触し、収容溝18がタンク本体2の上部開口縁14に外嵌挿入されるに従って、フランジ受部22がフランジ19の下側にもぐり込み、内壁17が上側面23aに接触して内側に広がるように撓み、係合突起23と嵌込孔20とが互いに嵌まり込む。これにより、球こぼれ防止部3が基部4の弾性作用下でタンク本体2の上部開口縁14に装着される。
【0013】
図5に示すように、タンク本体2とタンクベース12とからなる部品は前枠24の裏面に取付けられる。前枠24は額縁状の外枠25に枠ヒンジ26で前方横方向に片開き可能に取付けられる。外枠25は図外のパチンコ店の島に設置される。外枠25の上縁部には切欠部27が後側に形成される。切欠部27が島に設けられた球補給装置9を逃げることによって、外枠25と球補給装置9との干渉が防止される。
【0014】
図6に示すように、枠ヒンジ26のヒンジ点26Pは外枠25の前面より前側に位置すると共に前枠24の裏面より前側に位置する。前枠24が仮想線示位置から実線示位置へ枠ヒンジ26のヒンジ点26Pを中心として閉じられる際、タンク1が外枠25で囲まれた内部空間を通り、タンク1の大半の部分が外枠25より裏側に突出する。この前枠24が閉じられる過程では、ヒンジ点26Pがタンク1の前端より前側に位置するため、タンク1が球補給装置9から見ると左側から右側に食い込むように移動する。そのため、球こぼれ防止部3と球補給装置9とが前後方向で干渉する左右範囲が広くなる。
【0015】
図6の前枠24が仮想線示位置から実線示位置へと閉じられる過程において、図7に示すように、側縁部側舌片6が球補給装置9の前側面に衝突した場合、球補給装置9の前側面が側縁部側舌片6の先端6b側が前側になぎ倒される。このとき、側縁部側舌片6は、厚さt2で球補給装置9からの衝突力を受けて撓み易い方向である厚さt2方向に弾性変形されるので、前枠24は小さな力で開閉できる。又、側縁部側舌片6が撓み易い方向に曲げられることから損傷を受けにくくなり、側縁部側舌片6の耐久性が向上する。
【0016】
図8は本発明の第2実施形態を示す。タンク本体30の上部開口縁31が平坦状であり、基部32が平坦状の球こぼれ防止部33を使用し、球こぼれ防止部33の左側縁部34にも左縁部側舌片35が形成される。左縁部側舌片35の高さは、側縁部側舌片36の高さ及び後縁部側舌片37の高さと揃えられる。これらの高さを高くすれば、球貯留室38の容量が大きくなる。
【0017】
図9(a)は本発明の第3実施形態を示す。全ての舌片40の幅方向は右側が左側よりも前側に突出するような右前傾状に傾斜される。球こぼれ防止部3とヒンジ点26Pと球補給装置9との位置関係により、矢印X1方向で示す外力が舌片40に加えられた場合に舌片40が撓み易い。
【0018】
図9(b)は本発明の第4実施形態を示す。全ての舌片41の幅方向は左側が右側よりも前側に突出するような左前傾状に傾斜斜される。球こぼれ防止部3とヒンジ点26Pと球補給装置9との位置関係により、矢印X2方向で示す外力が舌片41に加えられた場合に舌片41が撓み易い。
【0019】
図9(c)は本発明の第5実施形態を示す。右前傾状の舌片42と左前傾状の舌片43とが隣接して向かい合うように交互に配置される。矢印X3方向で示す外力と矢印X3と交差する矢印X4方向で示す外力とがそれぞれ舌片42;43に個別に加わった場合に舌片42;43が撓み易い。
【0020】
図10は本発明の第6実施形態を示す。a図は球こぼれ防止部3の右側縁部8が右前傾状の舌片44を有する。b図は右側縁部8が左前傾状の舌片45を有する。c図は右側縁部8に右前傾状の舌片46と左前傾状の舌片47とが隣接して向かい合うように交互に配置される。
【0021】
図11は本発明の第7実施形態を示す。a図は球こぼれ防止部3の基部4が左縁要素48と右縁要素49と後縁要素50とよりなる複数の直線要素48〜50に分割される。b図は基部4が折曲状の左後縁要素51と右縁要素49とに分割される。c図は基部4が折曲状の右後縁要素52と左縁要素48とに分割される。d図は基部が折曲状の左側要素53と折曲状の右側要素54とに分割される。左側・右側要素53;54は対象形状でもよく、各要素53;54を成形する型の基部4に相当する部分が同一形状となる。このように基部4を複数の要素に分割し、球補給装置9の形状や位置つまり島環境に応じて、幅方向が左右に向けられた舌片や右前傾状又は左前傾状の舌片を部分的に交換して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態のタンクを示す模式図。
【図2】 同第1実施形態の舌片と球補給装置との干渉を示す模式図。
【図3】 同第1実施形態のタンクの外観を示す斜視図。
【図4】 同第1実施形態の球こぼれ防止部とタンク本体とを示す斜視図。
【図5】 同第1実施形態の外観を示す斜視図。
【図6】 同第1実施形態のタンクと球補給装置との干渉を示す平面図。
【図7】 同第1実施形態の舌片と球補給装置との干渉状態を示す模式図。
【図8】 本発明の第2実施形態を示す斜視図。
【図9】 本発明の第3乃至第5実施形態を示す平面図。
【図10】 本発明の第6実施形態を示す平面図。
【図11】 本発明の第7実施形態を示す平面図。
【図12】 従来例の全体構造を示す模式図。
【図13】 従来例の球こぼれ防止部を示す平面図。
【符号の説明】
1 タンク
2 タンク本体
3 球こぼれ防止部
5 後縁部側舌片
6 側縁部側舌片
6a 根元
6b 先端
8 右側縁部
14 上部開口縁
24 前枠
D1;D2 幅
t1;t2 厚さ
Claims (3)
- パチンコ店の島に対し前方横方向に片開き可能に取付けられる前枠の裏面には弾性の少ない硬質合成樹脂からなるタンク本体が設けられ、前枠が島に対し閉じられた状態において島の球補給装置から供給される球を貯蔵するための球貯留室をタンク本体が前枠の裏面から裏側に突出しかつ上側開放状に形成し、タンク本体の上部開口縁には弾性の有る軟質合成樹脂からなる球こぼれ防止部が設けられ、この球こぼれ防止部がタンク本体の上部開口縁に取付けられる基部と基部より上方に突出する多数の舌片とを有し、この多数の舌片が、タンク本体の上部開口縁におけるタンク本体を前枠の側から見た場合に特定される後側縁部とこれの一端より前枠の側に連なる側縁部とに対応して配置され、後側縁部に対応して配置される舌片は幅よりも薄い厚さがタンク本体を前枠の側から見た場合に特定される前後に向けられかつ厚さよりも広い幅がタンク本体を前枠の側から見た場合に特定される左右に向けられて互いに左右に所定の隙間を以って左右方向に配置され、側縁部に対応して配置される舌片は幅よりも薄い厚さがタンク本体を前枠の側から見た場合に特定される前後に向けられかつ厚さよりも広い幅がタンク本体を前枠の側から見た場合に特定される左右に向けられて互いに前後に所定の隙間を以って前後方向に配置されたことを特徴とする遊技機のタンク。
- タンク本体が上部開口縁から外側に突出するフランジを備え、球こぼれ防止部の基部が下側から上側に窪む収容溝を備え、収容溝を形成する基部の外壁にはフランジ受部が設けられ、収容溝がタンク本体の上部開口縁に外嵌挿入されることで、フランジ受部がフランジの下側にもぐり込むことを特徴とする請求項1記載の遊技機のタンク。
- タンク本体が球貯留室の側に位置する内側面から内側に突出する係合突起を備え、球こぼれ防止部の基部が下側から上側に窪む収容溝を備え、収容溝を形成する基部の内壁には嵌合孔が設けられ、収容溝がタンク本体の上部開口縁に外嵌挿入されることで、係合突起と嵌合孔とが互いに嵌まり込むことを特徴とする請求項1記載の遊技機のタンク。
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