JP3819118B2 - 樹脂製歯車 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転伝達精度が良く、高強度で、耐久性にも優れた樹脂製歯車に関する。
本発明の樹脂製歯車は、LBP(レーザープリンター)をはじめとするOA機器用樹脂歯車、VTRをはじめとする情報・家電分野、自動車分野等で好適に使用することが出来る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
歯車は長い歴史を持つ重要な機械要素であるが、近年樹脂製歯車が家電、事務機、自動車、精密機械の分野で頻繁に用いられている。金属に代り樹脂が使用されるようになった理由としては、軽量であること、錆びないこと、運転騒音が小さいこと、自己潤滑性があることという理由が挙げられる。また、低コストで大量生産に適していることなどが理由として考えられる。樹脂の中でも特に歯車に適した素材として、ポリオキシメチレン樹脂(ポリアセタール樹脂)、ポリアミド樹脂(ナイロン12、ナイロン6、ナイロン66等)、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が知られている。
歯車の素材に要求される性能としては、従来から高強度、低摩耗、低騒音が挙げられている。近年、特にプリンター等を中心として高精度、高強度が、また自動車分野での各種アクチュエーター用歯車等においては、高強度が要求される場合が多く、さらに、長期間の使用、熱的環境下での使用等におけるこれら特性の耐久性が要求される場合が多い。
しかしながら、現在提供されている樹脂製歯車は上記要求性能を全て満足するものものとは言えない。
即ち、ここでいう高精度とは、JIS B 1705やJGMA(日本歯車工業会)で規定されている歯車の寸法精度などのことであり、これによって、回転伝達精度を向上させる事が目的である。したがって、高精度歯車としては、流動性や金型の転写性の良好な材料が必要とされていた。しかしながら歯車が長期運転された場合、摩耗などによって初期のJIS 精度やJGMA精度は悪化してしまい、高精度歯車は回転伝達精度が良好という従来の関係が成立しないという問題があった。
また、高強度については、機械的強度に優れると共に耐久性も要求される。即ち、樹脂製歯車に要求される高強度とは、トルク伝達能力が大きく、かつ耐薬品性(特にグリス)及び耐熱劣化性等の環境耐性に優れ、長期にわたって、あらゆる条件下で安定して高いトルク伝達が可能である事を指すが、初期強度が高いものでも、実際の使用環境下で長期運転された場合、歯車の置かれた環境での温度変化、特にグリス等の薬品存在下での温度変化により強度が低下することが多い。
前記例示した樹脂の中でも、ポリオキシメチレン、特にポリオキシメチレンホモポリマーは機械的強度が高く、従来から優れた歯車としての強度を示していた。しかしながら、ポリオキシメチレンホモポリマーは、熱劣化、耐薬品性に劣るため、長期的な実使用環境下での耐久性に劣るという問題がある。また、一般的なポリオキシメチレンコポリマーは機械的強度がポリオキシメチレンホモポリマーに比べて低いという問題点がある。
これらの問題点を解決するために、例えばポリオキシメチレンコポリマーに強化用充填剤等の各種充填剤を配合する事も考えられるが、その効果には限界があり、又、一方の性質を改善しても、他方の特性を犠牲にすることが多く、更に摺動特性を悪化させることも多く、本質的な解決策とはいえない。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる課題に鑑み、樹脂製歯車の回転伝達精度の向上、トルク伝達能力の向上及び、これら特性の耐久性の向上について鋭意検討した結果、樹脂材料としてある特定の要件を満たすポリオキシメチレン共重合体を用い、且つ特定の摺動性改良剤を配合することにより、これらの課題が解決できることを見出し、本発明に至った。
即ち本発明は、オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、炭素数2のオキシエチレン基を0.75〜1.50重量%含有するポリオキシメチレン共重合体を主体とし、高級脂肪族エステルを 0.1 10 重量%(樹脂材料中)含有する樹脂材料からなる樹脂製歯車に関するものである。
【0004】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂製歯車は、ポリオキシメチレン共重合体を主体とする樹脂材料からなるものであり、かかるポリオキシメチレン共重合体がオキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、炭素数2以上のオキシアルキレン基を0.75〜1.50重量%含有する共重合体であることを特徴とする。
具体的には、ホルムアルデヒド、又はその環状オリゴマーであるトリオキサンを主モノマーとし、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3 −ジオキソラン、1,3,5 −トリオキセパン、1,4 −ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール等の、少なくとも1つの炭素間結合を有する環状エーテル及び/又は環状アセタールの中から選ばれた一種以上をコモノマーとしてカチオン性触媒の存在下で共重合する事で得られるものである。
良好なコモノマー分散性を得るため、ポリマー中に連鎖移動を生じさせない1,3 −ジオキソラン及び/又は1,3,5 −トリオキセパンを使用する事が特に好ましい。本発明に用いるポリオキシメチレン共重合体におけるコモノマーの好ましい含有量は共重合体中に導入されたオキシアルキレン基単位として0.75〜1.50重量%であり、特に好ましくは0.80〜1.25重量%である。コモノマーの含有量が過少の場合は、熱あるいは薬品に対する共重合体の安定性が不十分で歯車の強度、精度等の諸特性の長期耐久性が劣るものとなり、過大の場合は強度、剛性が低下することと、歯車の回転伝達精度が低下する傾向を示し、いずれも本発明の目的を満足できないものとなり好ましくない。
また、本発明におけるポリオキシメチレン共重合体の分子量調節のために、必要ならば適当な連鎖移動剤が添加される。このような連鎖移動剤としては、メチラール、エチラール、ブチラール等が例示される。また、かかる連鎖移動剤の添加量としては、必要となる分子量に応じて0〜1000ppm の範囲で添加量が調整される。
【0005】
また、本発明で用いるポリオキシメチレン共重合体の製造における重合触媒としては、一般のカチオン活性触媒が使用される。このようなカチオン活性触媒としては、ルイス酸、殊にホウ素、スズ、チタン、リン、ひ素及びアンチモン等のハロゲン化物、例えば三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、及び五フッ化アンチモン、及びその錯体化合物又は塩の如き化合物、プロトン酸、例えばトリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸、プロトン酸のエステル、殊にパークロル酸と低級脂肪族アルコールとのエステル(例えばパークロル酸三級ブチルエステル)、プロトン酸の無水物、特にパークロル酸と低級脂肪族カルボン酸との混合無水物(特にアセチルパークロラート)、あるいはイソポリ酸、ヘテロポリ酸、(例えばリンモリブデン酸)、あるいはトリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルメチルヘキサフルオロアルゼナート、アセチルヘキサフルオロボラート等が挙げられる。中でも三フッ化ホウ素及び三フッ化ホウ素と有機化合物(例えばエーテル類)との配位化合物は最も一般的で適している。これらの触媒は一般的に原料モノマー及びコモノマーの総量に対し10〜300ppmが用いられる。
【0006】
本発明に用いるポリオキシメチレン共重合体は、従来公知のトリオキサンの共重合法と同様の設備と方法で行うことが出来る。即ち、バッチ式、連続式、いずれの方法も可能であり、又、溶融重合、溶液塊状重合等何れにてもよいが、液体モノマーを用い、重合の進行とともに固体粉塊状のポリマーを得る連続式塊状重合方法が工業的には一般的であり望ましい。この場合、必要に応じて不活性液体媒体を共存させることもできる。
重合装置としては、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混合機、2軸パドルタイプの連続混合機その他、これで規定されているトリオキサンの連続重合装置が使用可能で、密閉系であれば2段階以上に別れていてもよい。特に重合反応によって生成する固体重合物が微細な形態で得られるような粉砕機能を備えたものが好ましい。重合温度は一般に64〜120 ℃の温度範囲である。特にかかる温度範囲中、比較的低温で重合が行われることが好ましい。又、重合時間は触媒量と関係し、特に制限はないが、一般には、 0.5〜100 分の重合時間が選ばれる。所定の時間を経過し、重合機から排出される粗重合体は、次いでただちに失活剤と混合接触させて重合触媒の失活化を行う必要がある。失活剤としては、例えばトリエチルアミン、アリエタノールアミンなどアミン類やフッ化ナトリウム、フッ化カリウム等の無機アルカリ性物質等と混合した溶液が挙げられる。溶液としては、特に水溶液が好ましい。重合触媒の失活された共重合体は、更に要すれば洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥などを経て、又は、要すれば更に不安定末端部の分解除去等による末端安定化工程を経て、又、各種安定剤等の添加剤を加え溶融混練しペレット化して製品とする。
【0007】
又、本発明で用いる上記ポリオキシメチレン共重合体には、各種安定剤が配合され、また所望により加工性改良剤を配合することができる。安定剤及び/又は加工性改良剤として使用される有機化合物としては、例えば、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6 −ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5 −ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5 −ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5 −トリメチル−2,4,6 −トリス(3,5 −ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−3−(4'−ヒドロキシ−3',5' −ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、4,4'−メチレンビス(2,6 −ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、3,9 −ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1 −ジメチルエチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5 〕ウンデカン、ジ−ステアリル−3,5 −ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5 −ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)等のヒンダードフェノール類に代表される酸化防止剤、ナイロン6・10、ナイロン6・66・610 、ポリアクリルアミド等のポリアミド、メラミン、ジシアンジアミド等及びホルムアルデヒドとの重縮合物に代表される含窒素化合物、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のステアリン酸の如き高級脂肪酸及び水酸基などの置換基を有する置換高級脂肪酸の塩等の金属含有化合物等に代表される耐熱安定剤、2−〔2−ヒドロキシ−3,5 −ビス−(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類に代表される紫外線吸収剤、又、4−アセトキシ−2,2,6,6 −テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6 −テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート等のヒンダードアミン類に代表される光安定剤、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の高級脂肪酸エステル類、エチレンビス(ステアリルアミド)等の高級脂肪酸アミドに代表される滑剤、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体などの可塑剤等から選ばれた一種以上である。これらの内、酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5 −ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3,5 −ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9 −ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)フロピオニルオキシ−〕−1,1 −ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5 〕ウンデカン等のヒンダードフェノール類、含窒素化合物として、メラミン、ジシアンジアミド等及びホルムアルデヒドとの重縮合物、金属含有化合物として、マグネシウム、カルシウムの高級脂肪酸及び置換高級脂肪酸の塩が好ましい化合物である。
本発明で用いるポリオキシメチレン共重合体を主体とする樹脂材料に、安定剤として添加される化合物の総量は、樹脂材料中、 0.1〜2.0 重量%が好ましく、特に好ましくは 0.1〜1.0 重量%である。
【0008】
また、本発明で用いる樹脂材料には、その目的に応じて摺動性改良剤を配合する事が出来る。適切な摺動性改良剤の配合によって、更なる回転伝達精度の向上が期待できる。摺動性改良剤の配合量としては、樹脂材料中 0.1〜10重量%が好ましい。0.1 重量%未満では、摺動性改良剤の配合に伴う回転伝達精度の向上は期待できず、また、10重量%を超えて配合されると成形性や摩擦摩耗特性及び機械的強度の極端な悪化を招き、好ましくない。特に好ましくは 0.5〜5重量%である。
ここでいう摺動性改良剤とはポリオキシメチレン共重合体の摩擦摩耗特性を改善する潤滑油等を指し、より具体的にはシリコーン系オイル、α−オレフィンオリゴマー、アルキル置換ジフェニルエーテル、高級脂肪族エステル、高級脂肪族アミドより成る群より選ばれる少なくとも1種以上を基材とした潤滑油である。
以下、各々の潤滑油について詳細に説明する。
シリコーンオイルとしては(1) の構造で示されるポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンが代表として好ましく用いられる。
【0009】
【化1】
Figure 0003819118
【0010】
(ここで、 Rはメチル基であるが、その一部がアルキル基、フェニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化フェニル基、ポリアルキレングリコール等であっても良い。)
また、ジメチルシロキサンのメチル基の一部が、クロロフェニル基に代表されるハロゲン化フェニル基、C8以上のアルキル基、ポリエチレングリコールに代表されるアルキレングリコール、C8以上の脂肪族カルボン酸の誘導体である高級脂肪族エステル基、トリフルオロメチル基に代表されるハロゲン化アルキル基などの各種置換基に代替された変性ポリオルガノシロキサンについても使用可能である。
本発明において、かかるシリコーンは、動粘度(25℃)が 100〜10万cSt の範囲のものが好ましく使用される。
【0011】
α−オレフィンオリゴマーは、主にC6〜C20 のα−オレフィンを単独、もしくはエチレンとC3〜C20 のα−オレフィンを共重合した構造を有する脂肪族炭化水素である。本発明においては、数平均分子量が 400〜4000のエチレン・α−オレフィンコオリゴマーが好ましく使用される。
【0012】
アルキル置換ジフェニルエーテルは、下記式(2) で示される如くジフェニルエーテルのフェニル基に、C12 以上のアルキル基、エステル基及びアシル基から選ばれた少なくとも1種の置換基が導入されている化合物を示す。特に分子量の規定はなく、いずれの置換ジフェニルエーテルも好ましく使用される。
【0013】
【化2】
Figure 0003819118
【0014】
(R1は、2〜6位及び2'〜6'位の一部もしくは全部に導入されたアルキル基、エステル基、又はアシル基であり、p及びqはそれぞれ0〜5の整数である。但し、pとqが同時に0であることはない)
かかる置換ジフェニルエーテルの置換基としてのアルキル基は、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などの直鎖アルキル基、及び下記式(3) で示される分岐アルキル基等が挙げられる。
【0015】
【化3】
Figure 0003819118
【0016】
また、エステル基(QOCO- 又はQCOO- )としては、ドデシロキシカルボニル基、テトラデシロキシカルボニル基、ヘキサデシロキシカルボニル基、オクタデシロキシカルボニル基、ラウロイルオキシ基、ミリストイルオキシ基、パルミトルオキシ基、ステアロイルオキシ基等があげられる。また、アシル基としては、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基等があげられる。さらには、かかるエステル基やアシル基中の脂肪族炭化水素鎖が分岐構造を有する、例えば、イソステアリルアルコールやイソステアリン酸等の誘導体であっても良い。
かかる置換ジフェニルエーテルの効果は、置換基の位置に何ら限定されることはなく、いずれの置換ジフェニルエーテルも好ましく用いられるが、合成上好ましくは、2、4、6、2'、4'、6'位の何れか一部もしくは全部に置換基を有する置換ジフェニルエーテルであり、特に好ましくは、4、4'位の2置換体である。
【0017】
高級脂肪族エステルとしては、炭素数16以上の脂肪酸と炭素数16以上の脂肪族アルコールから成るエステルが好ましく使用される。かかる脂肪族エステルを構成するC16 以上の一価の飽和脂肪酸としては、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セチロン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、セトレイン酸、エルカ酸等が挙げられる。また、C16 以上の一価の飽和脂肪族アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エルシルアルコール、ヘキシルデシルアルコール、オクチルドデシルアルコール等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、グリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビタン等が挙げられる。アルコールの一部が脂肪酸でエステル化され、ヒドロキシ基が大部分残留した部分エステルは、とりわけブリードアウトが激しく、成形品外観を悪化させる傾向があるが、導電性、摺動特性及び成形性を損なうものではなく、使用可能である。かかるカルボン酸とアルコールから成る脂肪族エステルのうち、価格、入手(合成及び精度)の容易性、摩擦摩耗特性の点から特に好ましくは、ステアリルステアレート、ベヘニルベヘネート、エチレングリコールジステアレート、トリメチロールプロパントリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジステアリルアジペート、ジステアリルフタレートなどである。
【0018】
高級脂肪族アミドとしては、C16 以上の脂肪族カルボン酸と、脂肪族アミンもしくは脂肪族ジアミンよりなる脂肪族アミド化合物が用いられる。かかる脂肪族アミドを構成するカルボン酸としてはパルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セチロン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、セトレイン酸、エルカ酸等が挙げられる。また、(ジ)アミンとしては、アンモニア、エチレンジアミン等が挙げられる。かかるアミド化合物の例としては、ステアロイルアミド、エルカ酸アミド、エチレンビスステアロイルアミド等が挙げられ、特にこれに限定されるものではない。
【0019】
本発明で使用する樹脂材料は、同一材料同士でのスラスト式摩擦摩耗試験において 0.3以下の摩擦係数を示すものが好ましい。
摩擦係数の測定法については、一般的な摩擦摩耗試験方法によるものであれば特に測定法は問わないが、本発明ではスラスト式摩擦摩耗試験による方法を採用した。本発明では、スラスト式摩擦摩耗試験において、同材質の円筒試験片(内径20mm、外径25.5mm)を接触面積2cm2 、面圧0.06MP、滑り線速度15cm/s、運転時間24時間で運転させた際の摩擦係数が0.3 以下となる樹脂材料が特に好ましく用いられる。摩擦係数が0.3 を越えて大きくなると、歯車としての回転伝達精度が劣るものとなることがある。特に好ましい樹脂材料は、上記測定法による摩擦係数が0.20以下のものである。
【0020】
尚、ポリオキシメチレン樹脂組成物の摩擦摩耗特性の改良の効果は、グリスをはじめとする潤滑剤を歯車として成形されたポリオキシメチレン樹脂組成物に塗布する、いわゆる外部潤滑の手法によっても得られる。外部潤滑に用いられる潤滑剤としては、一般に市販されるグリス、その他の潤滑剤が適用でき、ポリオキシメチレン樹脂組成物の摩擦係数を 0.3以下に出来るものであれば、その種類にこだわるものではない。
【0021】
更に、本発明で使用する樹脂材料中には、曲げ弾性率向上の目的でガラス繊維、その他の無機フィラーをはじめとする充填剤/強化剤を配合する事により、歯車の回転伝達精度、トルク伝達能力の向上が期待できる。配合量としては、かかる樹脂材料中20重量%以下である事が好ましい。配合量が20重量%を超えて多くなると、ポリオキシメチレンが本来有する摩擦摩耗特性を悪化させるだけでなく、歯車とした場合の回転伝達精度も悪化する傾向にある。したがって、更に好ましくは10重量%以下である。かかる充填剤としては、一般的なガラス繊維やチタン酸カリウムウィスカー、タルクをはじめとする無機フィラー等であり、その繊維長や直径、形状などは特に規定されない。また、ポリオキシメチレン樹脂との親和性を向上させるなどの目的でかかる充填剤に表面処理その他を施すことも特に規定されない。
【0022】
次に、本発明の組成物の調製は、従来の樹脂材料の調製方法として一般に用いられる公知の方法により容易に調製される。例えば、各成分を混和した後、1軸又は2軸の押出機により練り込み押出ししてペレットを調製し、しかる後、成形する方法、一旦組成の異なるペレットを所定量混合(希釈)して成形に供し、成形後に目的組成の成形品を得る方法など、何れも使用出来る。また、かかる材料の調製において、基体であるポリオキシメチレン樹脂の一部又は全部を粉砕し、これとその他の成分を混合した後、押出し等を行う事は添加物の分散性をよくする上で好ましい方法である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1〜4、比較例1〜2
使用したポリオキシメチレン樹脂組成物は本文に示す方法でペレットとして得られる。これをポリオキシメチレンとして通常の条件で射出成形し、歯車を得た。歯車の諸元、歯車耐久性及び耐久性の試験方法は以下の通りである。
*歯車諸元:モジュール 1.0 歯数54 標準歯形 平歯車 歯幅10mm
*回転伝達精度試験機
小野測器製歯車疲労試験機に同社製のロータリーエンコーダー、歯数補正機を組合わせ、一対の歯車の軸の回転遅れを検出し、遅れを電圧に換算する。これを同社製FFTアナラーザーで周波数分析し、歯車の噛み合い1次成分に相当する情報を抽出、積算して得られた角度遅れを回転伝達精度とした。試験は、上記歯車を同材質同士で噛み合わせ、回転数100rpm、トルク 0.8N・mで運転した際の回転伝達精度を角度誤差として検出した。
*歯車疲労試験
同材質の歯車同士を噛み合わせて、室温にて歯車疲労試験を行った。回転数300rpmとし、負荷トルクを10〜15N・mの範囲で負荷した。この際得られた各材料毎の許容負荷トルク対寿命運転回数曲線から106 回繰り返し運転した際の許容負荷トルクを求めた。
また、上記歯車に、グリス(協同油脂(株)製、マルテンプPSNo.2)を塗布し、恒温槽内で 120℃で一ヶ月放置した(以下、エージングという)後、これを取り出し、同材質の歯車同士を噛み合わせて、同様の歯車疲労試験を行った。
*摩擦係数
鈴木式摩擦摩耗試験機を用い、同材料からなる円筒状試験片同士を摺動させた時の摩擦係数を測定した。
【0024】
代表的な組成と評価結果を表1にまとめた。実施例1はアルキレンオキサイドの添加量の影響を比較例1,2と比較している。アルキレンオキサイドとしてはジオキソランを用いた。これらの樹脂組成物は摺動改良剤、その他の充填剤は添加していない。アルキレンオキサイドの添加量が0.75重量%の実施例1は、アルキレンオキサイドを 2.5重量%含有する比較例1(従来のコポリマー)及びアルキレンオキサイドを含有しない比較例2(ホモポリマー)に比べ、優れた歯車耐久性を有していることがわかる。歯車の耐久性を示す許容伝達トルクは、エージングしない状態とした状態での変化が極めて小さく、長期間の使用でも強度の低下が少ない。この際の回転伝達精度も比較例1、2に比べて優れている。比較例1もエージング前後の許容トルクの変化は小さいが、許容トルク自体が小さいという問題がある。また、比較例2のホモポリマーでは許容トルクはエージング後で大きく低下してしまう。
また、実施例2は実施例1にさらに強化充填剤としてチタン酸カリウムウィスカーを5重量%添加したものである。これによって、エージング前後で耐久性の変化が少なく、かつエージング前の許容伝達トルクも従来のホモポリマー以上となっている。この際の回転伝達精度も非常に優れている。
【0025】
実施例3はアルキレンオキサイドの添加量を 1.5重量%としたものであるが、実施例1の場合と同様、歯車耐久性、回転伝達精度ともにバランスが良い事がわかる。
【0026】
実施例4は実施例1の材料を元に、摺動性改良剤を添加している。摺動性を改良した材料は優れた回転伝達精度を発揮し、さらに歯車耐久性も従来のコポリマー、ホモポリマー(比較例1、2)より優れている。
【0027】
以上のように、本発明によるポリオキシメチレン樹脂は、歯車耐久性及び回転伝達精度においてバランスよく優れた性能を発揮する。一方、従来のポリオキシメチレン樹脂コポリマーはエージング前後での歯車耐久性に変化が小さいものの、伝達できるトルク自体が小さいことと回転伝達精度に劣る。また、従来のホモポリマーは回転伝達精度は良いものの、エージング後の歯車耐久性劣化が激しく実用的ではない。
【0028】
【表1】
Figure 0003819118
【0029】
注)エージングはグリス(協同油脂製、マルテンプTA、No.2)を塗布して 120℃、1ヶ月放置した。

Claims (3)

  1. オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、炭素数2のオキシエチレン基を0.75〜1.50重量%含有するポリオキシメチレン共重合体を主体とし、高級脂肪族エステルを0.1〜10重量%(樹脂材料中)含有する樹脂材料からなる樹脂製歯車。
  2. 樹脂材料が無機フィラーを 0.1〜20重量%(樹脂材料中)含むものである請求項1記載の樹脂製歯車。
  3. 樹脂材料が、同一樹脂材料同士のスラスト式摩擦摩耗試験において0.3以下の摩擦係数を示すものである請求項1又は2記載の樹脂製歯車。
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