JP3818832B2 - はんだ付け方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を搭載したプリント配線板のような板状の被はんだ付けワークをSn―Zn系はんだ(錫―亜鉛系はんだ)の溶融はんだに接触させることで、この被はんだ付けワークの被はんだ付け部にSn―Zn系はんだの溶融はんだを供給してはんだ付けを行うはんだ付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品を搭載したプリント配線板のはんだ付けには、Sn―Pb系はんだ(錫―鉛系はんだ特には錫―鉛共晶はんだ)が使用されてきた。このはんだを使用したはんだ付け部は、電気的接続性にも機械的接続性にも優れていて、今日までに産業および生活のあらゆる分野に多くの電子機器を提供することを可能としてきた優れた生産材である。
【0003】
しかし、廃棄された電子機器に使用されているプリント配線板から、酸性雨等に促進されて鉛(Pb)が溶けだして地下水等を汚染し、その毒性が環境や人体に影響を与え環境負荷が大きいことが問題となっている。そのため、従来使用されていたSn―Pb系はんだに代わって鉛を使用しない鉛フリーはんだとその鉛フリーはんだを使用したはんだ付け技術の開発が進められている。
【0004】
鉛フリーはんだとして有力視されているはんだは、Sn―Ag―Cu(錫―銀―銅)系はんだやSn―Ag―Bi(錫―銀―ビスマス)系はんだ、Sn―Cu(錫―銅)系はんだである。しかし、これらのはんだはクリープ強度についてはSn―Pb系はんだよりも強いものの、リフトオフ現象を生じてはんだ付け不良を生じやすい問題も有している。
【0005】
また、融点(210℃〜220℃程度)が高く、従来のSn―Pb系はんだに比較してはんだ付け温度を250℃以上の高い温度ではんだ付けする必要があり、プリント配線板とそこに搭載されている電子部品に従来以上に熱ストレスを与える問題もある。さらに、これらのはんだは一般的に高価であり、銀の毒性についても懸念されている。
【0006】
他方で、Sn―Zn系はんだは、融点(190℃〜200℃程度)が低く、リフトオフ現象を生じることもなく、はんだ付け強度が大きく、安価である等々の特徴を有している。
【0007】
しかし、Znは活性であり大気中の酸素と結合して安定な酸化膜を形成するため、プリント配線板の被はんだ付けランド等の銅(Cu)に対する濡れ性が悪くなりやすく、プリント配線板を大量生産する際に、Sn―Zn系はんだを使用してフローはんだ付けを行う事例は無く、その使用は諦められていた。
【0008】
しかし、本発明者は、特願2000−113014号の特許出願にも説明されているように、プリント配線板の予備加熱工程における酸素濃度を1000ppm以下とし、また、溶融はんだとプリント配線板とを接触させるはんだ付け工程における酸素濃度を500ppm以下とすることで、Sn―Zn系はんだを使用して良好な濡れ性を得ることが可能となり、大量生産を目的としたプリント配線板のフローはんだ付けを行うことができることを見いだした。
【0009】
これは、―方でプリント配線板の被はんだ付けランド等の銅(Cu)表面の酸化を抑制し、他方で噴流するSn―Zn系はんだの酸化、すなわちこの被はんだ付けランドや被はんだ付け部品の被はんだ付け端子やリード線に接触するところのSn―Zn系はんだの噴流波表面に発生する酸化(特に亜鉛の酸化)を抑制し、このように酸化が抑制された両者を接触させることで良好な濡れ性のはんだ付けが行えるものである。
【0010】
図3を参照して、前記特願2000−113014号に記載した先願の技術を説明する。
【0011】
図3は、先願のはんだ付け装置を説明するための縦断面図である。なお、窒素ガス(N2 ガス)供給系はシンボル図で示してある。
【0012】
すなわち、多数の電子部品(不図示)を搭載したプリント配線板1を搬送する搬送コンベアは、仰角搬送(仰角θl )の第1の搬送コンベア2と俯角搬送(俯角θ2 )の第2の搬送コンベア3とにより構成してあり、これらの搬送コンベア2,3を覆うようにトンネル状チャンバ4を設けてある。このトンネル状チャンバ4の縦断面は、図3にも示すように「へ」の字状に構成してあり、水平面から搬入口5の高さと搬出口6の高さが同じ高さになるように構成してある。
【0013】
第1および第2の搬送コンベア2,3は、図示しないがプリント配線板1の両側端部を保持する保持爪を備え、両側端部側に設けられ平行2条に構成されたコンベアフレームから成る。なお、幅の異なるプリント配線板1を保持できるように、通常は―方のコンベアフレームがプリント配線板1の幅方向に移動し調節できるように構成されている。図中の矢印Aはプリント配線板1の搬送方向を示している。
【0014】
また、第1の搬送コンベア2に沿ってトンネル状チャンバ4内に、プリント配線板1の予備加熱工程17を構成するプリヒータ7と、はんだ付け工程18を構成するはんだ槽8とが配設してある。
【0015】
予備加熱工程17のプリヒータ7は、予めフラックスが塗布されたプリント配線板1の予備加熱を行い、フラックスの前置的活性化とプリント配線板1および搭載電子部品に与えるヒートショックを軽減するために設けられている。
【0016】
また、はんだ付け工程18のはんだ槽8には図示しないヒータにより加熱されて溶融状態のSn―Zn系はんだ(Sn―9Znはんだ)が収容してあり、この溶融はんだ9を第1のポンプ10により第1の吹き口体12に送出して第1の噴流波13を形成する。また、第2のポンプ11により第2の吹き口体14に送出して第2の噴流波15を形成する。そして、これら噴流波13,15をプリント配線板1の下方側の面すなわち被はんだ付け部が存在する被はんだ付け面に接触させることによりこの被はんだ付け部に溶融はんだ9を供給し、はんだ付けを行う。
【0017】
また、プリヒータ7は、トンネル状チャンバ4内に設けられている。しかし、はんだ槽8は、トンネル状チャンバ4に開口4aを設けてこの開口4aから第1の噴流波13と第2の噴流波15とをトンネル状チャンバ4内に位置するように構成してある。なお、トンネル状チャンバ4の封止を維持するため、トンネル状チャンバ4に設けた開口4aにはスカート4bを設け、このスカート4bをはんだ槽8の溶融はんだ9中に浸漬して完全な封止を実現している。
【0018】
また、トンネル状チャンバ4内には、トンネルの長手方向すなわち搬送コンベア2,3の搬送方向Aに沿って、多数の板状部材すなわち抑止板16を設けてある。そしてこの抑止板16は、その板面が搬送コンベア2,3の搬送方向Aに対して直交するように設けてある。すなわち、この抑止板16によりトンネル状チャンバ4内にラビリンス流路を形成し、このトンネル状チャンバ4内に不要な雰囲気流動が生じないように構成してある。
【0019】
なお、この抑止板16は、トンネル状チャンバ4の上壁から搬送コンベア2,3に向けて下向きに設けられているとともに、トンネル状チャンバ4の下壁から搬送コンベア2,3に向けて上向きに設けられている。
【0020】
トンネル状チャンバ4内に不活性ガスであるN2 ガスを供給するノズル20は、搬送方向Aから見てはんだ槽8の後段側の抑止板16間に設けてあり、流量調節弁21および流量計22によってトンネル状チャンバ4の上方側からのN2 ガス供給流量と下方側からのN2 ガス供給流量とを調節できるように構成してある。N2 ガスは、ボンベやPSA方式のN2 ガス供給装置23から供給され、開閉弁24および不純物を除去するフィルタ25、目的とする供給圧力に調節する圧力制御弁26を介して前記流量調節弁21に供給される。圧力計27は圧力モニタ用である。
【0021】
2 ガス供給流量は、図示しない酸素濃度計によりトンネル状チャンバ4内の酸素濃度を測定し、例えば、プリント配線板1と溶融はんだ9の噴流波13,15とが接触する領域であるはんだ付け工程18の雰囲気をサンプリングして測定し、目的の酸素濃度になるように流量調節弁21を調節して設定する。
【0022】
さらに、必要があれば破線で示したように、予備加熱工程17のプリヒータ7近傍に同様にしてN2 ガスを供給する流量調節弁33,流量計32およびノズル31を設けるように構成し、このプリヒータ7近傍の雰囲気の酸素濃度を酸素濃度計で測定するように構成する。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
Sn―Zn系はんだを使用して良好な濡れ性のはんだ付けを行うためには、図3に示すようにそれを実現するためのはんだ付け装置が複雑で高価になる問題がある。すなわち、図3に示すように、極めて低い酸素濃度を予備加熱工程およびはんだ付け工程において安定に維持することができるようにするために、予備加熱工程およびはんだ付け工程を含めた長大なトンネル状チャンバを備えたはんだ付け装置が必要であり、そのためにはんだ付け装置が複雑で高価になる問題があった。
【0024】
本発明の目的は、簡単は構成のはんだ付け装置においてもSn―Zn系はんだを使用して良好なはんだ付けを行うことができるはんだ付け方法を確立することによって、プリント配線板等の被はんだ付けワークを安価に製造できるようにすることにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明のはんだ付け方法は、塩素を含有したロジン系フラックスを被はんだ付けワークに塗布して、数1000ppmオーダの酸素濃度雰囲気中でも、Sn―Zn系はんだを使用してはんだ付けを行えるように構成したところに特徴がある。
(1)低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中で亜鉛を3〜12%(重量%を表わす。以下同じ)含有したSn―Zn系はんだの溶融はんだの噴流波に被はんだ付けワークを接触させてその被はんだ付け部に前記Sn―Zn系はんだを供給してはんだ付けを行うはんだ付け方法であって、塩素の含有量が0.06%〜0.5%(重量%を表わす。以下同じ)のフラックスを予め前記被はんだ付けワークに塗布した後に前記Sn―Zn系はんだの溶融はんだの噴流波に接触させるようにしてはんだ付けを行うように構成する。
【0026】
Sn―Zn(錫―亜鉛)系はんだに含まれるZn(亜鉛)は、即座に大気中の酸素と結合して酸化亜鉛となり安定な酸化膜を形成する。そのため、被はんだ付けワークの被はんだ付け部に接触するSn―Zn系はんだの噴流波表面の酸化亜鉛が、プリント配線板の銅ランド等の被はんだ付け部にSn―Zn系はんだが濡れなくなる原因となっていた。そのため、低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中であっても、化学的に活性な性質のZnがこのはんだ付けの雰囲気中に存在する僅かな酸素と結合して酸化しやすく、被はんだ付けワークと接触する噴流波表面に酸化亜鉛層が形成されやすい。そのために、良好なはんだ濡れ性を得るためには、極めて濃度の低い低酸素濃度雰囲気を形成する必要があった。
【0027】
なお、ロジン系フラックスは、それに含まれる樹脂酸が酸化銅を容易に溶解して除去するので、プリント配線板の銅ランド等の酸化物を容易に除去できるが、他方の噴流波すなわちSn―Zn系はんだの表面に発生する酸化亜鉛は容易に溶解・除去することができない。
【0028】
しかし、塩素を0.06%以上含むフラックスを使用することにより、このフラックス中の塩素が酸化亜鉛を容易に溶解して除去し、プリント配線板の銅ランド等に対して良好な濡れ性を得ることができるようになる。そのため、従来よりも比較的酸素濃度が高い雰囲気中(例えば、酸素濃度が2000ppm以下の窒素ガス雰囲気中)でも良好な濡れ性を得ることができるようになる。
【0029】
なお、この塩素の含有量が0.5%を越えると、銅ランドや電子部品の端子やリード線等がはんだ付け後に腐食し易くなる。そのため、フラックスに含まれる塩素の含有量は0.06%〜0.5%程度の範囲が適切である。
【0030】
ちなみに、塩素の含有量が0.5%以上では、はんだ付け後のプリント配線板を洗浄する必要が生じてくる。
(2)前記(1)のはんだ付け方法において、塩素の含有量が0.06%〜0.5%のロジン系フラックスを用い、これを予め前記被はんだ付けワークに塗布した後にSn―Zn系はんだの溶融はんだの噴流波に接触させるようにしてはんだ付けを行うように構成する。
【0031】
ロジン系フラックスはその樹脂酸が酸化銅を容易に溶解して除去する。そのため、被はんだ付けワーク例えばプリント配線板が予備加熱工程において加熱される際に発生する酸化を抑制することを目的としてこの予備加熱工程に低酸素濃度雰囲気を形成する必要がなくなる。すなわち、この予備加熱工程においてプリント配線板に塗布されたフラックスが前置的に活性化し、また、はんだ付け工程において溶融はんだに接触して完全に活性化し、その被はんだ付け部である銅ランド表面の酸化銅を除去することができるからである。
【0032】
また、塩素の含有量が0.06%〜0.5%のロジン系フラックスを被はんだ付けワークに塗布することにより、前記(1)で説明したように、このフラックス中の塩素が噴流波表面に形成される酸化亜鉛を容易に溶解して除去し、プリント配線板の銅ランド等に対して良好な濡れ性を得ることができるようになる。しかも、従来よりも比較的酸素濃度が高い雰囲気中(例えば、酸素濃度が2000ppm以下の窒素ガス雰囲気中)でも良好な濡れ性を得ることができるようになる。
【0033】
なお、前記(1)と同様に、ロジン系フラックスに含まれる塩素の含有量が0.5%を越えると、銅ランドや電子部品の端子やリード線等がはんだ付け後に腐食し易くなる。そのため、含まれる塩素の含有量は0.06%〜0.5%程度の範囲が適切である。
【0034】
このように、本発明のはんだ付け方法では、予備加熱工程を低酸素濃度の不活性ガス雰囲気に維持する必要がなくなる。すなわち、このフラックスを塗布した被はんだ付けワーク例えばプリント配線板を大気中において予備加熱することができるようになる。したがって、図3に示すような長大なトンネル状チャンバが不要となり、はんだ付け工程にのみ低酸素濃度の不活性ガス雰囲気を形成する簡易な手段を設けるだけで良好な濡れ性のはんだ付けを行うことができるようになる。
【0035】
もちろん、前記(1)のはんだ付け方法および(2)のはんだ付け方法は、図3に例示するはんだ付け装置を用いても実現できることは当然である。すなわち、予備加熱工程において、被はんだ付けワークの被はんだ付け部において不要な酸化を促進させることがないので、はんだ付け工程において良好なはんだ濡れ性を得て安定したはんだ付けができるからである。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明のはんだ付け方法は、次のような実施形態例において実施することができる。
(1)構成
図1を参照して,本発明にかかるはんだ付け方法の実施形態例を説明する。
【0037】
図1は、インライン接続されたフラックス塗布装置およびはんだ付け装置を示す縦断面図である。なお、N2 ガス供給系はシンボル図で示してある。
【0038】
図1において、はんだ付け装置50は、図3に示したトンネル状チャンバ4の前端部分および後端部分を切り落とした形状のショートフード40を用いて,これをはんだ付け工程18にのみ設け、このショートフード40内にN2 ガスを供給してこのはんだ付け工程18にのみ低酸素濃度のN2 ガス雰囲気を形成するように構成したはんだ付け装置である。このようなショートフード40は、酸素濃度の値をそれ程低下させなくても良い場合に使用される例が多く、主に民生用のプリント配線板1の生産に使用される例が多い。また、はんだ付け装置50も安価に製造することができる。
【0039】
そして、俯角θ2 の搬送コンベアは無いが、その他の構成は図3に示すはんだ付け装置と同様であり、N2 ガス供給系の基本的な構成も図3に示すはんだ付け装置と同様である。なお、はんだ槽8にはSn―Zn系はんだ(Sn−9Znはんだ)を収容してある。
【0040】
一方、はんだ付け装置50の搬入口5側には、フラックス塗布装置51がインラインで設けてある。このフラックス塗布装置51は、噴霧型のフラックス塗布装置であり、フラックスタンク42に収容されたフラックス(塩素の含有量が0.06%〜0.5%のロジン系フラックス)43を噴霧ノズル44から噴霧し、搬送コンベア2で搬送されるプリント配線板1の下方側の面すなわち被はんだ付け面にフラックス43を塗着させて塗布する仕組みである。
【0041】
そして、噴霧ノズル44から噴霧されてプリント配線板1に塗着しなかったフラックス43は、排気ファン45に接続されたフード46に案内されて吸い込まれ、この排気ファン45の前段に設けたフィルタ47により捕捉し除去し、清浄な雰囲気を排気する仕組みである。
【0042】
なお、図1において、図3で用いた符号と同一の符号の説明は省略してある。
(2)作動
フラックス塗布装置51において、矢印A方向に搬送されたプリント配線板1は、その下方側の面すなわち被はんだ付け面に塩素の含有量が0.06%〜0.5%のロジン系フラックス43が塗布され、続いてはんだ付け装置50の搬入口5に搬送される。
【0043】
前記フラックス43が塗布されたプリント配線板1は、搬送コンベア2により仰角θ1 で矢印A方向に搬送され、予備加熱工程17においてプリヒータ7によりその被はんだ付け部の温度が約110℃程度に予備加熱され、塗布されたフラックス43の前置的活性化を行うとともに次工程のはんだ付け工程18において発生するプリント配線板1およびその搭載電子部品(不図示)に対するヒートショクを緩和する。
【0044】
続いて、プリント配線板1ははんだ付け工程18に搬送され、このプリント配線板1の下方側の面すなわち被はんだ付け面を、温度が例えば約240℃程度の第1の噴流波13および第2の噴流波15に接触させ、その被はんだ付け部に溶融はんだ9を供給してはんだ付けを行う。この噴流波13,15との接触により、プリント配線板1に塗布されているフラックス43が完全に活性化し、被はんだ付け部の酸化物の除去が行われて直ちに酸化表面を持たないプリント配線板1の被はんだ付け部と酸化表面を持たないSn―Zn系はんだの溶融はんだ9が接触し、良好なはんだ濡れ性が得られる。そしてその後、搬出口6から搬出されてはんだ付けが完了する。
【0045】
プリント配線板1に塗布したフラックス43は、塩素の含有量が0.06%〜0.5%のロジン系フラックスである。このロジン系フラックス43はその樹脂酸が酸化銅を容易に溶解して除去し、このプリント配線板1の銅ランド等の被はんだ付け部表面の酸化物を除去する。
【0046】
したがって、プリント配線板1の予備加熱工程17を大気中で行うことができる。すなわち、この予備加熱工程17においてプリント配線板1に塗布されたフラックス43が前置的に活性化し、また、はんだ付け工程18において溶融はんだ9に接触して完全に活性化し、その被はんだ付け部である銅ランド表面の酸化銅を除去することができるからである。
【0047】
また、塩素の含有量が0.06%〜0.5%のロジン系フラックス43を被はんだ付けワークに塗布することにより、このフラックス43中の塩素がプリント配線板1に接触するSn―Zn系はんだの噴流波13,15の表面に発生する酸化亜鉛を容易に溶解して除去する。したがって、溶融したSn―Zn系はんだは、プリント配線板1の銅ランド等に対して良好な濡れ性を得ることができるようになる。そのため、従来よりも比較的酸素濃度が高い例えば2000ppm程度の窒素ガス雰囲気中でも良好な濡れ性を得ることができるようになる。
【0048】
すなわち、低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中であっても、化学的に活性な性質のZnがこの雰囲気中に存在する僅かな酸素と結合して酸化し、被はんだ付けワークと接触する噴流波13,15の表面に酸化亜鉛層を形成しているのである。そして、この酸化亜鉛層を塩素の含有量が0.06%〜0.5%のロジン系フラックスを使用することにより溶解除去できるので、酸素濃度が幾分高いN2 ガス雰囲気中でも良好な濡れ性を得ることができるのである。
【0049】
ところで、このショートフード40はその長さが短く直線状(「へ」の字状ではない)であり、その簡易で安価な構成により低酸素濃度のN2 ガス雰囲気を形成することを目的としているので、大気がこのショートフード40内のはんだ付け工程18に侵入し易く、このはんだ付け工程18の酸素濃度を図3に示すはんだ付け装置のように極めて低くすることは難しい。しかし、本発明のはんだ付け方法を用いることにより、酸素濃度が2000ppm以下程度のN2 ガス雰囲気中でも、良好なはんだ濡れ性を得ることができる。
【0050】
なお、ロジン系フラックス43に含まれる塩素の含有量が0.5%を越えると、銅ランドや電子部品の端子やリード線等がはんだ付け後に腐食し易くなる。そのため、含まれる塩素の含有量は0.06%〜0.5%程度の範囲が適切である。ちなみに、0.5%以上では、はんだ付け後の洗浄が必要となってくる。
【0051】
このように、塩素の含有量が0.06%〜0.5%のロジン系フラックス43を予めプリント配線板1に塗布しておくことにより、予備加熱工程17を低酸素濃度の不活性ガス雰囲気に維持する必要がなくなる。すなわち、大気中において予備加熱することができるようになる。したがって、図3に示すような長大なトンネル状チャンバ4が不要となり、図1に示すように、はんだ付け工程18にのみショートフード40を設けるだけの簡易で安価な手段を設けるだけでも良好な濡れ性のはんだ付けを行うことができるようになる。
【0052】
ちなみに、ショートフード40の技術例としては、特開平10−258357号公報の技術がある。
【0053】
【実施例】
図1に示すようなショートフード40を備え、はんだ付け工程のみに低酸素濃度のN2 ガス雰囲気を形成するはんだ付け装置を使用して、はんだ付けを行った。プリント配線板1に塗布したフラックス43は塩素を含有したロジン系フラックスである。また、はんだ付けに使用したプリント配線板1は、表面実装部品を搭載した被はんだ付けランド数790箇所の試験用プリント配線板である。
【0054】
図2を参照して,はんだ付け工程における酸素濃度と不濡れ数との関係およびロジン系フラックス中の塩素の含有量と不濡れ数との関係を説明する。
【0055】
図2は、本発明にかかるはんだ付け方法の実施例を説明するための図表であり、図2(a)ははんだ付け雰囲気中の酸素濃度に対する不濡れ数を表す図表で、プリント配線板に塗布したフラックスは塩素の含有量が0.06%のロジン系フラックスである。また、図2(b)はフラックス中の塩素の含有量に対する不濡れ数を表す図表で、はんだ付け工程の酸素濃度は2000ppmである。
【0056】
図2(a)に示すように、はんだ付け工程18の酸素濃度が2000ppm以下になると不濡れ数が0になり、良好な濡れ性のはんだ付けを行えることがわかる。また、図2(b)に示すように、プリント配線板に塗布したフラックスの塩素の含有量を0.06%以上とすることにより不濡れ数が0になり、良好な濡れ性のはんだ付けを行えることがわかる。
【0057】
従来においては、例えば「エレクトロニクスのはんだ付け」(総合電子出版社昭和51年1月20日 第1版)の第81頁〜第97頁に、特には第92頁の図3.49に説明されているように、塩素の含有量が増加するとはんだの濡れ広がりが良好になることが知られていた。
【0058】
しかし、Sn―Zn系はんだを使用してフローはんだ付けを実用化した本発明のはんだ付け方法においては、従来不可能とされていたSn―Zn系はんだを使用したフローはんだ付けを行うことが可能となり、良好な濡れ性を得るために特別の作用が存在している。
【0059】
なお、この実施例は、図1においてプリント配線板1の搬送仰角θ1 を5°、プリント配線板1の搬送速度VA を0.8m/min、プリント配線板1の予備加熱温度TP を110℃、Sn―9Znはんだの温度TH を240℃、に設定して行った。
【0060】
なお、フラックス43中の塩素の含有量を大きくする程、はんだ付け工程18における酸素濃度を高くしても濡れ性の良いはんだ付けを行うことができるが、フラックス43中の塩素の含有率を大きくする程、はんだ付け後においてプリント配線板1やその搭載部品の腐食の進行が著しく速くなり、洗浄を行わなければ、その信頼性を著しく低下させる。そのため、フラックス43に含まれる塩素の含有量は実用的には0.5%が限界である。また、塩素の含有量が0.5%のロジン系フラックスを使用した場合と、塩素の含有量が0.06%のロジン系フラックス43を使用した場合において、不濡れ数に与える酸素濃度の有意差は殆ど認められなかった。
【0061】
【発明の効果】
以上のように本発明のはんだ付け方法によれば、フローはんだ付けは困難ときれていたSn―Zn系はんだを使用して、はんだ付け工程にのみ低酸素濃度の不活性ガス雰囲気を形成するだけで良好な濡れ性のはんだ付けを行うことができるようになる。しかも、著しく低い濃度の酸素濃度を維持する必要もない。また、はんだ付け後の被はんだ付けワークの信頼性を損なうこともない。
【0062】
したがって、はんだ付け工程のみに低酸素濃度の不活性ガス雰囲気を形成するショートフードのような簡易な構成の装置をはんだ付け装置に設けて、濡れ性が良好で信頼性の高いはんだ付けを行うことができるようになる。しかも、他の鉛フリーはんだのようにリフトオフ現象を生じることもなく、Sn―Zn系はんだは安価である。
【0063】
その結果、環境負荷や人体に対する毒性の心配がないSn―Zn系はんだを使用して、品質が高く信頼性の高いプリント配線板ひいては電子装置を安価に製造することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インライン接続されたフラックス塗布装置およびはんだ付け装置を示す縦断面図である。
【図2】本発明にかかるはんだ付け方法の実施例を説明するための図表である。
【図3】先願のはんだ付け装置を説明するための縦断面図である。
【符号の説明】
1 被はんだ付けワーク(プリント配線板)
2 第1の搬送コンベア
4a 開口
4b スカート
5 搬入口
6 搬出口
7 プリヒータ
8 はんだ槽
9 溶融はんだ
10 第1のポンプ
11 第2のポンプ
12 第1の吹き口体
13 第1の噴流波
14 第2の吹き口体
15 第2の噴流波
16 抑止板
17 予備加熱工程
18 はんだ付け工程
20 ノズル(ガス供給口体)
21 流量調節弁
22 流量計
23 N2 ガス供給装置
24 開閉弁
25 フィルタ
26 圧力制御弁
27 圧力計
40 ショートフード
42 フラックスタンク
43 フラックス(ロジン系フラックス)
44 噴霧ノズル
45 排気ファン
46 フード
47 フィルタ
50 はんだ付け装置
51 フラックス塗布装置

Claims (2)

  1. 低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中で亜鉛を3〜12%含有したSn―Zn系はんだの溶融はんだの噴流波に被はんだ付けワークを接触させてその被はんだ付け部に前記Sn―Zn系はんだを供給してはんだ付けを行うはんだ付け方法であって、
    塩素の含有量が0.06%〜0.5%のフラックスを予め前記被はんだ付けワークに塗布した後に前記Sn―Zn系はんだの溶融はんだの噴流波に接触させることを特徴とするはんだ付け方法。
  2. 前記フラックスは、塩素の含有量が0.06%〜0.5%のロジン系フラックスであることを特徴とする請求項1記載のはんだ付け方法。
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