JP3818671B2 - 多重極子質量分光計の軸方向射出方法 - Google Patents

多重極子質量分光計の軸方向射出方法 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、軸方向射出を有する多重極子細長ロッド・イオントラップ型質量分光計に関する。
発明の背景
米国特許第2,939,952号に記述されている種類の通常のイオントラップは、一般に3つの電極、すなわちリング電極及び1対のエンドキャップから構成され、これらの電極に適切なRF及びDC電圧を印加することにより、そのリング電極とエンドキャップとの間の比較的小さな空間内に関心のある質量範囲内のイオンをトラップする3次元電界が確立される。この電極は、理論的に完全な3次元4重極子電界を作る双曲線形であってもよいし、あるいは4重極子電界に重畳される付加的多重極子電界を生じせしめてよりよい結果が得られるように、双曲線形からずれていてもよい。
通常イオントラップ型質量分光計は実質的に質量に依存しない仕方で満たされ、前記電極の1つまたはそれ以上に印加されるRF及びDC電圧を操作することにより質量に依存して空にされる。このイオントラップのイオン保持及び高速スキャン能力が、分析用質量分光計において有利である。そのトラップからイオンを射出し検出する時間が、トラップを満たすに必要な時間より短ければ、一般的なビーム型質量分光計に比べて高い分析効率を達成できる。この条件が満たされれば、むだになるイオンが非常に少なくなる。
しかしイオントラップ固有の欠点は、主として、トラップ空間が比較的小さく、また外部で生成されたイオンをトラップが受け入れることに対して非常に厳しいイオン・エネルギー上の束縛があるために、トラップへのイオン輸送は効率が通常、例えば1から10%と非常に低いことである。イオントラップの比較的小さな空間は、空間電荷効果が大きくなる前に受け入れ得るイオンの数も比較的少ないことを意味する。通常のイオントラップのトラップ・チャンバの半径方向の大きさを増加させれば、この限界は部分的には乗り越えられるが、分析上の実用性の低下及び/または費用の増加(例えば、質量範囲の縮小、供給電力の増大)という付加的な不利益がともなう。イオントラップ・チャンバの空間が小さいと、やはり高イオン密度における空間電荷効果のために、線型応答領域(すなわちダイナミックレンジ)が狭まる傾向がある。
さらなる問題は、従来のイオントラップが分析を行っているときには、それ以上のイオンが受けつけられないことである。このことは、エレクトロスプレイ(米国特許第4,861,988号に開示されている)、イオンスプレイ、またはコロナ放電のような最新のイオン源の多くに対して、トラップ充填時間が分析時間に比べて一般に短いために、無視できない障害となり得る。したがって、また本発明の譲受者に譲渡された米国特許第5,179,278号に記述されているように、分析時間内に多くのイオンがむだになり、デューティサイクルが比較的低くなる。
2次元RF4重極子がイオンを非常に効率よくトラップし保持できることが知られている。米国特許第5,179,278号に示されるように、従来のイオントラップ内にイオンを放出するためにイオンを2次元4重極子内に引き入れてトラップする場合がある。より一般的には、イオン分子反応を研究するためにイオンは与圧リニア・セルあるいは2次元RF4重極子内に引き入れられる。一般にそれらのイオンは分解4重極子のような質量有選択源からそのデバイスに入り、ある規定時間トラップされ、次いでその後の質量分析のため質量に依存することなく射出される。
米国特許第5,420,425号は、イオンを2次元RF4重極子にトラップし保持して、質量有選択不安定性の手法を用い、質量に依存してスキャンアウトし得ることを述べている。この特許によれば、開示されたデバイスは、トラップ・チャンバ空間の軸方向寸法を大きくすることにより、イオン感度、検出限界、及びダイナミックレンジを向上させるために考えられた。イオン射出のこの質量有選択不安定性モード(及び米国特許5,420,425号に記述されているその他の質量分析スキャンモード)では、トラップ・チャンバからデバイスの中心軸に対して直角方向、すなわち半径方向にイオンを射出しなければならない。
2次元RF4重極子からのイオンの半径方向への射出には、いくつかの欠点がある。欠点の1つは、半径方向射出では4重極子(またはさらに極数の多い多重極子)ロッドを通してまたはその間からイオンが放出されることである。このため、それらのイオンはRF電界が著しく不完全な空間領域を通過しなければならなくなる。RF電界が不完全である結果、正常な安定性図からの予測とは異なる点でイオンが射出されることになる。
2次元RF4重極子からの半径方向射出にはさらに、射出されたイオンプラグと大きさと通常のイオン検出器との整合がうまくとれなくなるという欠点がある。直線状あるいは曲線状のロッド構成においては、半径方向に射出されたイオンはデバイスの全長にわたって、すなわちロッド自体に相当する長さの矩形の断面積をもって存在する。ほとんどの従来のイオン検出器は比較的小さな(例えば2cm2未満)の円形受入アパーチャを有し、細長いイオン源とはうまく適合しない。
2次元RF4重極子からの、イオンの半径方向イオン射出に対する質量有選択不安定性にはさらに問題がある。このようなデバイスから半径方向に射出されたイオンは、特性立体角を有する発散空間プロファイルをもって外に出る。射出されたイオンの中にはロッドに当たり、失われるものがあるだろう。さらに、半径方向に射出されたイオンはトラップ構造から反対方向にも去って行くであろう。この手法あるいは同様の手法により不安定化されたイオンを全て収集するためには、多重イオン検出器が必要となる。検出器から離れる方向に射出されるか、あるいは電極の1つにであうイオンは失われ、従って測定されるイオン信号には寄与しない。従って、このデバイスの極めて高い保持能力にもかかわらず、通常はトラップされたイオンの内、ほんの少数だけが収集される。
発明の要約
従って、本発明の一態様における本発明の目的は、高注入効率及び細長いトラップ空間を有し、イオンがデバイスの主軸に沿って射出され、よって普通に用いられるイオン検出器と形状及び寸法上の整合がよくとれる、細長多重極子質量分光計を提供することである。
本発明の一態様において、本発明は、細長いロッド・セットを有し、このロッド・セットは入射端及び出射端並びに長さ方向の軸を有する、質量分光計の動作方法を提供し、この方法は:
(a)ロッド・セットの入射端内にイオンを入れ、
(b)このロッド・セットの出射端に近接する出射レンズに障壁電界を作り、ロッド・セットのロッド間にそのロッド・セットの少なくともこの出射端に近接するRF電界を作ることにより、ロッド・セット内にイオンの内少なくともいくらかをトラップし、
(c)RF及び障壁電界が、ロッド・セットの出射端に近接する引き出し領域で相互作用してフリンジ電界を作り、
(d)引き出し領域においてイオンにエネルギーを与えて、選ばれた質量−電荷比をもつイオンの少なくともいくらかを、障壁電界を通してロッド・セットから軸方向に質量選択的に射出させ、
(e)射出されたイオンの内少なくともいくらかをを検出する、
各工程を含む。
本発明のさらなる目的及び利点は、添付図面とともになされる以下の記述により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
図面において:
図1は、本発明が用いられる簡単な質量分析計装置の略図である。
図1aは、図1ロッド・セットの端面図であり、該ロッド・セットの電気的接続を示す。
図2は、図1の装置を一部改変した図である。
図3は、図1の装置の別の一部改変図である。
図4は、図1の装置のさらに別の一部改変図である。
図5は、図4の装置で得られた結果を示すグラフである。
図6は、図4の装置で得られた別の結果を示すグラフである。
図7は、出射レンズとして用いられるロッドの端面図である。
図8は、改変した出射レンズの平面図である。
望ましい実施の形態の詳細な説明
初めに図1を参照する。図1は、本発明が用いられる質量分析装置10を示す。装置10は、通常のイオン源14に試料を供給する試料源12(通常は、液体クロマトグラフのような液体試料源)を含む。イオン源14は、エレクトロスプレイ、イオンスプレイ、またはコロナ放電デバイス、あるいはその他の既知のいかなるイオン源であってよい。1989年8月29日にコーネル・リサーチ・ファウンデーション社(Cornell Research Foundation Inc.)に発行された、米国特許第4,861,988号に示された種類のイオンスプレイ・デバイスが適している。
イオン源14からのイオンは、アパーチャ・プレート18のアパーチャ16を通して導かれる。プレート18は、カーテンガス源20からカーテンガスが供給されるガスカーテン・チャンバ19の壁の1つになっている。このカーテンガスは、アルゴン、窒素あるいはその他の不活性ガスであり、上述の米国特許第4,861,988号に記述されている。次いでイオンはオリフィス・プレート24のオリフィス22を通過して、ポンプ28により約1Torrの圧力まで排気される初段真空チャンバ26に入る。
次いでイオンはスキマー(skimmer)・プレート32のスキマー・オリフィス30を通過して、ポンプ36により約2ミリTorrの圧力まで排気される主真空チャンバ34に入る。
主チャンバ34は、4本セットの通常の直線4重極子ロッド38を納める。ロッド38の寸法の代表値は、ロッド半径r=0.470cm、隣接ロッド間空隙r0=0.415cm、及び軸長l=20cmである。
出射レンズ42が、ロッド38の出射端40をすぎて約2mmの所に置かれる。レンズ42はアパーチャ44を有する単なるプレートで、イオンをアパーチャ44を通して通常の検出器46(例えば、質量分光計で通常用いられる種類のチャネル型電子増倍管)に進めさせる。
ロッド38は、このロッド38の全てにDCロッド・オフセットを印加し、またロッド38の相互間に通常の方法でRFを印加する主電源50に接続される。電源50はまた(図示されていない接続線により)イオン源14、アパーチャ及びオリフィス・プレート18及び24,スキマープレート32、及び出射レンズ42にも接続される。
例として、陽イオンに対しては、イオン源14は一般に+5,000ボルト、アパーチャ・プレート18は+1,000ボルト、オリフィス・プレート24は+250ボルト、スキマープレート32は接地(0ボルト)である。ロッド38に印加されるDCオフセットは−5ボルトである。イオンの飛行経路である、デバイスの軸は52で示される。
よって、イオン源14からデバイスに引き入れられる注目するイオンは、ポテンシャル井戸を下り、ロッド38に入ることができる。ロッド38に印加された適合主RF電界内で安定なイオンは、バックグラウンド・ガスと数多く衝突して運動量を失いながらこのデバイスの長さを飛行する。しかしトラップDC電圧、代表値はDC−2ボルト、が出射レンズ42に印加される。スキマー32と出射レンズ42との間のイオン透過効率は通常非常に高く、100%に近い。主真空チャンバ34に入り、出射レンズ42に飛行するイオンは、バックグラウンド・ガスとの数多くの衝突によりバックグラウンド・ガスと熱平衡に達し、軸52方向の正味の速度はほとんどもたない。これらのイオンはまた、それらを半径方向に閉じ込める主RF電界からの力も受ける。印加されるRF電圧は一般に(質量スキャンを行わなければ)約450ボルト程度であり、周波数は約816kHz程度である。分解用DC電圧はロッド38に印加されない。
ロッド38に印加される電圧より高いDCオフセット電圧の印加により、出射レンズ42にDCトラップ電界が作り出されると、ロッド38に印加されたRF電界内で安定なイオンは効率よくトラップされる。
しかし出射レンズ42近傍の領域54にあるイオンは、出射レンズ42近くの主RF及びDC電界の終端部の性質により完全には4重極子型ではない電界を受ける。普通フリンジ電界と称されるその電界は、トラップされたイオンの半径方向及び軸方向の自由度を結合する傾向がある。このことは、イオンの運動に互いに直交しない半径方向及び軸方向成分があることを意味する。これは、イオンの運動の軸方向及び半径方向成分が結合していないか結合が極めて弱い、出射レンズ42及びフリンジ電界から遠く離れたロッド構造38の中央における状況と対照的である。
これらのフリンジ電界がトラップされたイオンの半径方向及び軸方向の自由度を結合させるため、適当な周波数をもつ低電圧の補助AC電界の出射レンズ42への印加により、イオンは、ロッド38で構成されたイオントラップからスキャンアウトされる(用いられる周波数の例は、本明細書で後に与えられる)。この補助AC電界は、説明のために主電源50の一部をなすように示される補助AC電源56により与えられる。
この補助AC電界は、出射レンズ42に供給されるトラップDC電圧に付加され、半径方向及び軸方向の固有イオン運動のいずれとも結合する。補助AC電界は、イオンが軸上で矢印58の向きに出て行けるように、出射レンズ42にある軸方向DCポテンシャル障壁を乗り越えるに十分にイオンを励起することが分かる。この出射レンズ42近傍の電界の偏りにより、半径方向の固有周波数における軸方向射出を可能にする、上述した軸方向及び半径方向のイオン運動の結合が得られる。このことは、上述の状況とは異なる、半径方向の固有運動の励起が一般に半径方向の射出を導き、軸方向の固有運動の励起が一般に軸方向の射出を導く、通常のイオントラップに存在する状況と対照的である。
従って、連続的な質量に依存する仕方でのイオン射出が、低電圧補助AC電界の周波数をスキャンすることにより達成される。補助AC電界の周波数が出射レンズ42近傍のあるイオンの半径方向固有周波数と一致すると、そのイオンはエネルギーを吸収し、前記半径方向−軸方向運動の結合により出射レンズ42に存在するポテンシャル障壁を横切ることができるようになる。このイオンが軸方向に外へ出ると、検出器46により検出される。そのイオンが射出された後、出射レンズ42近傍の領域54の上流にある他のイオンがエネルギー的にこの領域54に入れるようになり、引き続くAC周波数スキャンにより励起される。
出射レンズ42に印加される補助AC電圧の周波数をスキャンすることによるイオン射出は、細長いロッド構造38全体のトラップ空間を空にすることがないので望ましい。ロッド38での従来の質量有選択不安定性スキャンモードにおいては、ロッド38へのRF電圧がランプされ、イオンは小質量から大質量まで各イオンのq値が0.907に達するとロッド35の全長にわたって射出される。各質量有選択不安定性スキャン後、別の分析が行えるようになるまでにこのトラップ空間を再び満たすための時間が必要である。対照的に、上述のように補助AC電圧が出射レンズ42に印加されると、イオン射出は通常出射レンズ42近傍においてのみおこる。なぜならばここが軸方向及び半径方向のイオン運動の結合がおこるところであり、補助AC電圧が印加されるところであるからである。ロッド38の上流部60は引き続く分析のために他のイオンを保持する役目をする。出射レンズ42近傍の空間54を再びイオンで満たすのに必要な時間は、全トラップ空間を再び満たすのに必要な時間より常に短い。従って、むだになるイオンがほとんどない。
別法として、出射レンズ42に印加する補助AC電圧をスキャンする代わりに、後述するように、出射レンズ42に印加する補助AC電圧は固定しロッド38に印加する主RF電圧の振幅をスキャンすることができる。この方法はトラップ条件を変えるが、軸方向射出に必要なqは約0.2から0.3にすぎず、一方半径方向射出に必要なqは約0.8から0.907である。従って、後に説明するように、RF電圧が適切な振幅範囲でスキャンされるならば、おそらく非常に小質量のイオンを除き、半径方向射出により失われるイオンがあるとしても少ない。
さらに別法として、ロッド38に印加する主RF電圧あるいは出射レンズ42に印加する補助AC電圧をスキャンする代わりに、既述の仕方でイオンを軸方向に射出させる変動フリンジ電界を作るために、(図1で点線の接続57で示されているように)補足すなわち補助AC双極性電圧をロッド38に印加し、スキャンしてもい。よく知られているように、双極性電圧は図1aに示すとおり、ロッド38の対向対の間に通常印加される。
あるいは、上記3つの(すなわち、出射レンズ42に印加される補助AC電界をスキャンする、出射レンズ42には一定の補助AC電圧を印加しながらロッド・セット38に印加されるRF電圧をスキャンする、及びレンズ42に印加される補助AC電圧及び前記ロッド38に印加されるRF電圧に加えてロッド・セット38に補助AC電圧を印加する)手法の内の2つまたは全ての組合せも、出射レンズ42に存在するDCポテンシャル障壁を通して、質量に依存して軸方向にイオンを射出するために用いることができる。
図示されているデバイスは、ロッド38に印加された主RF封じ込め電界に入るイオンがそのイオン自体のもつ残留運動量により出射レンズ42に向かって輸送され最終的に軸方向に射出される、連続モードで動作してもよい。よって、出射レンズ42近傍の引き出し空間に到達したイオンは、バックグラウンドガスとの数多くの衝突によりあらかじめ調整され、従来のほとんどのイオントラップで必要とされるような冷却時間(及びそれにともなう遅延)をとる必要性が排除される。イオンが領域60に入ると同時に、イオンは既述の質量に依存する仕方で領域54から軸方向に射出される。
出射レンズ42近傍の引き出し空間54は極めて小さいことに注意しなければならない。この出射レンズ42は標準的にはロッド38の終端の非常に近くに、例えば(既述したように)ロッド終端から例えば2mmにおかれる。出射レンズ42からロッド38の間の空間へのフリンジ電界の侵入は非常に小さく、一般に0.5mmから1.0mm程度と考えられ、よって空間すなわち領域54の大きさは、はっきりと示すため、図1では誇張されている。
さらに別法として、4本のロッド38の全てに印加されるDCオフセット(前記例では−5ボルト)を、射出レンズ42に印加されるACと同じ周波数で変調することもできる。この場合、DCオフセットを変調することは、フリンジ領域にAC電界を作り出すという点で、出射レンズ42にAC電圧を印加することと等価であるから、出射レンズ42にはACは必要としない。もちろんDCポテンシャル障壁は出射レンズ42に印加されたままである。DCオフセットの変調の振幅は、そうでなければ出射レンズ42に印加されるはずのAC電圧の振幅と同じである。すなわち、軸方向に射出されるイオン信号を最適化するように設定される。次いで、イオンを順次DC変調により作り出されるAC電界と共鳴させるようにRF振幅がスキャンされるか、あるいは出射レンズ42近傍のフリンジ電界内にあるイオンの半径方向固有周波数に変調周波数が合致するときに、前述と同じく、このイオンがエネルギーを吸収し軸方向に射出されて検出されるように前記変調の周波数がスキャンされる。ロッド・オフセットは、そうしなければその変調がイオン注入を妨害するので、イオンがロッド38内に注入されトラップされるまでは変調されず、従ってこの過程はバッチ・プロセスである。これは、(出射レンズ42に印加されるAC電界はイオン注入に影響しないので)イオンが領域60に入ると同時にイオンが引き出し領域54から出射することができる、ACが出射レンズ42に与えられるときには可能な連続プロセスとは対照的である。
連続モード動作においては、所望の質量−電荷比をもつイオンがロッド38に注入され、これに沿って出射レンズ42まで飛行する時間より、イオン射出時間が短い場合に最も効率が高くなる。イオン射出過程は数10ミリ秒を必要とする。イオンがロッド38の一端から他端まで飛行するの必要な時間は、そのロッド38自体の長さ、それらのイオンの初期エネルギー、及び真空チャンバ34内の圧力に依存する。前記端から端までの通過時間が優越する場合もあるが、ほとんどの場合出射レンズ42近傍の領域54からそれらイオンを引き出すのに必要な時間がより重要である。よってイオンが引き出し領域54に到着するのに必要な時間と、射出過程自体がおこる時間との間が最適に整合するようにイオンの軸方向エネルギーを操作することが望ましい。さらに出射レンズ42近傍のイオン濃度を、目的に応じてこの領域の局所電荷密度を低下させるかあるいは増加させるように制御できると有益である。
イオンがロッド38の一端から他端まで飛行するに必要な時間とそれらイオンを射出するに必要な時間とを整合させる方法の1つは、ロッド38に沿って軸方向電界を印加することである。この種の軸方向電界をかける方法は、“軸方向電界を有する分光計”という名称の、1995年8月5日に出願され、本出願の譲受者に譲渡された、同時係属出願の特許出願番号08/514,372に記述されている。出射レンズ42方向に印加される軸方向電界は、イオンをロッド38領域のレンズ42近傍、すなわちデバイスのイオンが引き出される空間54に集中させるのに役立つ。反対方向に印加される軸方向電界は、引き出し空間54からイオンを減らすのに役立ち、これが望ましい場合もある。
電極の形状寸法の一部改変により軸方向電界を与えるためには、上に示した同時係属出願の特許出願番号08/514,372に述べられているようないくつかの方法をとることができる。そうした構成には、ロッドにテーパーを付けること、1対のロッドはデバイスの一端で中心線に近づけもう1対のロッドはそのデバイスの他端で中心線に近づけること、あるいはロッドを軸方向に分割し連続する分節に異なるDCオフセットを印加することがある。その出願の開示及び図面は、参照として本出願に含まれる。
用い得る代表的な電極形状の1つが図2に描かれ、プライム符号(’)付きの参照番号は図1の要素に対応する要素を示す。ここでは、ロッド38’が分節38−1’から38−6’に分けられ、負で絶対値が増加していくDCオフセットV1からV6が連続する分節38−1’から38−6’に印加される。この構成により、前記出願に記述されたような軸方向電界が得られる。その構成は、イオンを出射レンズ42’近くの空間に強く集中させ、軸方向及び半径方向のイオン運動の結合を強める。
望むならば、上述の同時係属出願に記述されているように、軸方向電界を振動させることもできる。この振動電界により、出射レンズ42近くの空間にトラップされたイオンの軸方向射出を強めることができる。またその振動電界は、この出願に記述されているように、ロッド構造内の平衡位置まわりにトラップされているイオン集団を振動させることによるイオン解離にも用いることができる。
既述のシステムは端面開放型3次元イオントラップと考えることができ、その開放端は統合された(前記イオン源14より供給される)高効率イオン注入デバイスである。出射レンズ42近傍にあるイオンは、半径方向及び軸方向成分を含む3次元トラップ電界をうける。半径方向には、それらのイオンは直線ロッド38に印加される主RF電界により封じ込められる。軸方向には、それらイオンは出射レンズ42のDCポテンシャルによりそのデバイスの出射端に封じ込められ、軸方向に印加される電界による(またはスキマー32による)ポテンシャル勾配によりデバイスの入射端に封じ込められる。それらイオンはまたある程度、トラップ領域の上流側の電荷密度蓄積により生じる電界により、そのトラップ領域すなわち空間54に封じ込められる。従って、実際のトラップ空間54の大きさは軸方向、すなわちZ方向で変動し得ることが分かる。
望むならば、出射レンズ42のDCポテンシャル障壁は維持するが、この出射レンズにAC電界を与えず、ロッド38にDCオフセットの変調を与えず、またそのロッド38に双極子AC電界を与えずに、イオンを質量に依存して射出するようにロッド38のRFをスキャンすることができる。この場合には、ロッド38の下流端にあるフリンジ電界内のイオンは軸方向に出て行き検出されるが、そのロッド38の間にあるイオン(領域60にあるイオン)のほとんどは半径方向に出て行きむだになる。そのむだ分は図2に示すようにロッド38を分割し、最後部の分節セット38−6’を非常に短くし(例えば1cm未満)、さらに分節38−6’のみで射出用RFをスキャンすることにより低減できる。この方法では、ロッド38−6’の間にあるイオンは、検出のため、より高い比率で質量に依存して軸方向に射出される。
従来のイオン源からのイオンの多くは、ほとんどまたは全く分析の役にたたないことが多い。そのようなイオンの例は、小質量の溶媒及びクラスターイオンである。これらのイオンは、最適な性能を費やしながら単に前記イオントラップ内の総体電荷密度を高めるはたらきをするだけである。既述の直線イオントラップからそのような不要なイオンを排除するために種々の方法が用いられる。そのような方法の1つは、電源50からの主RF電圧を、注目する検体はロッド構造38内で安定であるが、それら不要イオンは不安定であるレベルにすることである。例えば不要イオンが質量−電荷比範囲10から100にあり、注目するイオンは質量−電荷比範囲100から1,000にあれば、主RF電圧を最高最低振幅(以下、p−pと略称する)214ボルトにすればよい。
前記イオントラップから不要イオンを排除するもう1つの方法は、ロッド38の対向対の間に別の補助AC電圧を印加し、それら不要イオンを共鳴させてロッド・セット38から半径方向に射出することである。既述したように、この手法はよく知られている。本手法では、電圧は主RF電圧レベルの約10%に等しく周波数は主RFよりかなり低い補助AC電圧が、一般にロッド38の対向対の間に印加される。適当な振幅と周波数をもつ補助AC電圧をスキャンして、不要イオンを半径方向に共鳴させて射出してもよい。
共鳴射出を用いたイオン射出は、ラングミュア(Langmuir)の米国特許第3,334,225号、サイカ(Syka)等の米国再発行特許第34,000号、及びケリー(Kelley)の米国特許第5、381、007号に開示され、また本出願の譲受者に譲渡されたダグラス(Douglas)の米国特許第5,179,278号にも開示されている。
不要イオンを除去するまた別の手法は、ロッド38の対向対に低DC電圧を印加してこのロッド38を低分解能質量分光計としてはたらかせることである。印加されるDCの大きさは、AC及びDCの組み合せが、関心が持たれていない前記小質量範囲にあるイオンのみを射出するような大きさである。
最後に、注目するイオンのみがロッド構造28内で安定であり保持されるように、濾過雑音電界をロッド38への印加することにより、不要イオンをそのロッド38から排除できる。このような濾過雑音電界の使用は、1967年8月1日に発行されたラングミュアの米国特許第3,334,225号、及び1995年1月10日に発行されたケリーの米国特許第5,381,007号に開示されている。
ほとんどのイオントラップの欠点の1つは、既述したように、分析を行っている間はイオンをさらに受け入れることができないことである。このため、連続イオン源を用いる場合、そのイオン源で生成されるイオンの多く、あるいは事実上ほとんどが分析されずむだになるので、デューティサイクルが低下し、総合感度が低下する。ダグラスの米国特許第5,179,278号は、多重極入口システムが、イオントラップが分析を行っている間に、イオン源からイオンを受け入れ保持することにより、上述の問題を軽減できると述べている。この手法は、デューティサイクルを増大させることにより総合システム感度を劇的に高める。図3は、上記原理を用いるデバイスを示している。
図3のデバイスにおいて、2重プライム符号(”)の付いた参照番号は図1の要素と対応する要素を示し、ロッド38”は3つのロッド・セット38a,38b及び38cに分割されている。ロッド38aは連続イオン源14”からのイオンをプリトラップするために用いられる。ロッド38bは、このロッド38bのDCオフセットを変えることにより、イオンを反射するか通過させることのできるRFロッドミラーとして用いられる。ロッド38c及びレンズ42”は、ロッド38bを通ってこのロッド38cに注入されるイオンの分析のため、前述の端面開放型イオントラップとしてはたらく。
動作時には、ロッド・セット38aのRF及びDC電圧は注目する質量範囲内のイオンを受け入れるように設定され,一方ロッド・セット38bのAC及びDC電圧はイオンを反射するように設定される結果、ロッド・セット38aにイオン集団が蓄積される(この動作はまさに、米国特許第5,179,278号のロッド・セット44についての記述そのものである)。あらかじめ定められた時間の後、ロッド・セット38aの蓄積イオンがロッド・セット38bを通ってロッド・セット38cに通過できるように、ロッド・セット38bの電圧が変えられる。ロッド・セット38cに印加されるRF電圧及びDCオフセット電圧、並びにレンズ42”に印加されるAC及びDC電圧は、ロッド・セット38cが図1に関連して述べた軸方向射出を有するイオントラップとして動作するように設定される。よってイオンは、検出器46”での検出のため、前述したようにロッド・セット38cから質量に依存した仕方で軸方向に射出される。
ロッド・セット38cで質量分析が行われている間、ロッド・セット38bの電圧はイオン反射モードに戻り、イオン源14”からさらに入ってくるイオンはロッド・セット38aに保持される。本構成の利点は、イオンがロッド・セット38cで分析されている間、連続源14”からのイオンは引き続く分析のためにプリトラップ領域、すなわちロッド・セット38aに蓄積され、失われないことである。米国特許第5,179,278号に述べられているように、デバイスの分析領域を満たすに十分なイオンを収集するための時間、プリトラップ領域をからにするための時間、及び分析を行うための時間を適切に最適化することにより、非常に高いデューティサイクル、従って高い総合感度が得られる。もちろん図1の構成であっても、引き出し領域54からイオンが射出されている間に前記ロッド38の前記領域60にイオンが収集される結果、ロッド38及びレンズ42により構成されるイオントラップがイオンをスキャンアウトしている間にいくらかのイオンを収集できる。しかし図3のバージョンによれば、より大きな空間が利用できるので、より多くのイオンを保持できる。さらに不要イオンを排除するために、ロッド・セット38aのロッド対の間にいくらかのDCをうまい具合に印加でき、よってロッド・セット38cにおける空間電荷効果を低減できる。
例として、(質量−電荷比が609の)レセルピン0.1μM(マイクロ・モル)を既知のイオンスプレー源(図示せず)を用いて、カナダ国、オンタリオ州コンコルド(Concord)のMDSヘルス・グループ社(MDS Health Group Limited)のサイエックス部(Sciex Division)で製造された通常の質量分光計、モデルAPI300に導入した。このモデルAPI300のイオン光学的行路の簡略化した線図を図4に示す。図4において、ガスカーテン入口プレートは70で示され、ガスカーテン出口プレートは72で示され、スキマープレートは74で示され、4つのロッド・セットがQ0,Q1,Q2及びQ3で示されており、ロッド・セットQ0及びQ1の間にオリフィス板IQ1、Q1及びQ2の間にIQ2、またQ2及びQ3の間にIQ3がある。出射レンズは76で示され、検出器(チャンネル型電子増倍管)は78で示されている。
図4の例においては、チャンバ80の圧力は2.2Torr、チャンバ82は8ミリTorr、また真空チャンバ84の残りの部分は2×10-5Torrであった。印加DC電圧は、スキマープレート80では接地され;Q0では−5ボルトDC;IQ1では−7ボルトDC;Q1では−10ボルト;IQ2では−20ボルト;Q2では−7ボルトDC;(出射レンズ42と等価なものとしてはたらく)IQ3では−3ボルトDC;Q3では−15ボルトDC,また最終出射プレート76では0ボルトであった。分解用DC電圧は全て前記4重極子から取り除いた。
通常は衝突セルであるQ2は、イオンをトラップするように構成され、またセル圧力は1×10-3Torrであった。さらに、補助AC電圧を出射レンズIQ3に印加した。補助AC電源は、主RF周波数の9分の1の周波数で100ボルトp−pを作ることができ、主RF周波数にフェーズロックされた(主RF周波数は816kHzであり、従って補助AC電圧の周波数は91.67kHzであった。)。
補助AC電圧は47ボルトp−pに保ち、その周波数は実験の間91.67kHzに一定に保った。またロッドQ2に印加したRF電圧を質量スペクトルを得るためにスキャンした。RF電圧の振幅をスキャンするとトラップ条件が変化し、また非常に小質量のイオンを射出するが、上述の条件の下では前記デバイスのqが非常に低いので、ロッド・セットQ2にトラップされた関心のあるイオンは(本実験が極めて小質量のイオンに注目しない限り)普通は射出されない。
本実験における作業手順は、
(a)イオンの短パルスを、IQ1の前記DCレンズ電圧を(イオンを停止させる)+20ボルトから(イオン通過のための)−7ボルトに変えることにより、Q0からQ2内に通過させた(Q1は本実験の間イオン管として以外何の機能も果たさない)。
(b)次いで、ロッドQ2に印加したRFを代表的には924ボルトP−Pから960ボルトp−pにランプすることにより、Q2にトラップされたイオンを軸方向にスキャンアウトした。
(c)次いで、ロッドQ2に印加したRFを非常に低い電圧、代表的には20ボルトp−pまで下げることにより、残留イオンを全て取り出してQ2を空にした。
(d)次いで、この手順を繰り返した。
本手法を用いて得られた代表的なスペクトルを図5に示す。図5では質量529.929にピーク100が示されている。このスペクトルは質量校正をしていないので、報告された質量529.929のピークは誤りであって、正しくは609であった。
この質量校正オフセットに対して手で補正した前記ピークの半値幅は0.42AMUであることが分かるであろう。この値からM/Z609におけるM/ΔM分解値として約1450が得られ、これは非常に高い分解能である。ここに示された実験においては、ゆっくりと、本例では毎秒78AMUのスキャン速度でスキャンすることにより、十分な分解能が最もよく得られた。しかし最適化すれば、スキャン速度をもっと高くできると考えられる。
図4の装置で行った別の実験では、以下の条件下で解離を行った。
(a)レンズIQ3にトラップDC2ボルトを印加した。
(b)レンズIQ3にAC62ボルト(p−p)、91.67kHzを印加した。
(c)Q1を分解モード(RF及びDCを印加)に設定し、選択した親イオン、すなわちm/z587のレニン基質テトラ・デカペプチド(M+3H)3+のみが通過できるようにした。
(d)Q3をRFのみに設定した(分解用DCは取り除いた)。
(e)Q2をヘリウムで1×10-3Torrに与圧した。
実験手順は、
1.レンズIQ1の電圧を20ボルトから−7ボルトに変えることにより、m/z587イオンのパルスをQ0からQ2に通過させた。
2.RFロッド電圧を50ms間、897.8ボルトp−pに設定することによりQ2内のイオンを励起した。これは励起ステップであった。Q2内で(IQ3に)印加したAC電界と共鳴しているイオンを励起し(パワーを吸収させ)、イオンの運動エネルギーを増加させて、トラップから射出するか、あるいはバックグラウンドガスとの衝突により解離した。
3.50msの励起ステップの後直ちに、Q2のRFロッド電圧を800ボルトp−pから1,422ボルトp−pにスキャンすることにより、Q2内のイオンを軸方向にスキャンアウトした。このステップは、単に励起ステップ後に、トラップ内に残っているイオンの“スナップショット”をとっただけであった。得られたイオンを図6にピーク104,106,108で示す。質量スペクトルはやはり校正されておらず、補正されて示されている。ピーク104はm/z587の(3価の)親イオンであり、一方解離イオン、m/z697及びm/z587は106及び108に示される(これらは2価にすぎないので、m/z比はより大きくなっている)。
よって、前述の直線トラップ内で衝突解離が容易におこり、それら解離イオンが検出及び分析のために質量に依存する仕方で軸方向にスキャンされることが分かるであろう。
本発明を4重極子ロッド構造に関して述べてきたが、他の多重極子ロッド構成、例えば8重極子及び6重極子を用いてもよい。さらに、出射レンズ42をアパーチャをもつプレートとして述べてきたが、他の出射レンズ構成、例えば図7に102で示されるA及びB極102a,102bをもつようなRFのみの短いロッド列を用いてもよい。ここで前記A及びB極102a,102bのロッド・オフセットは、射出すべきイオンの共鳴周波数と共振させられ、出射レンズ42に印加された補助AC電界により達成されたような軸方向射出を生じさせる。
真線ロッド・セットについて述べ図示してきたが、望ましければ、曲がったロッド・セットを用いてもよい。さらに、穴の開けられたプレートあるいは短いロッド・セットの形で出射レンズを示したが、他の形の出射レンズを用いてもよい。例えば図8に示すように、出射レンズはくさび形の分節110−1,110−2,110−3,110−4及びアパーチャ112を有する分割されたプレートでもよい。これにより結果を最適化するために各分節に異なる電界を印加できるが、一方レンズ110の上流の真空チャンバ部から出て行くガスの量は制限されたままである。
望ましい実施の形態を述べてきたが,本発明の目的の範囲内で種々の変更がなされ得ること、及びそのような変更は全て付随する請求の範囲に含まれると考えていることは認められるであろう。

Claims (16)

  1. 入射端及び出射端並に長さ方向の軸を備えた細長いロッド・セットを有する
    質量分光計の動作方法において、前記方法が、
    (a)前記ロッド・セットの前記入射端内にイオンを入れ、
    (b)前記ロッド・セットの前記出射端に隣接する出射レンズに障壁電界を作り、さらに前記ロッド・セットの少なくとも前記出射レンズに隣接する前記ロッド・セットの前記ロッドの間にRF電界を作り、前記RF電界及び前記障壁電界が相互作用することにより、前記ロッド・セット内に前記イオンの少なくとも若干をトラップし、
    前記ロッド・セットの前記出射端に隣接する領域にあるイオンにエネルギーを与えて、選ばれた質量−電荷比を有するイオンの内少なくとも若干を前記ロッド・セットから前記障壁電界を通して質量選択的に軸方向に射出し、
    )前記軸方向に射出されたイオンの少なくとも若干を検出する、
    各工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記障壁電界がDC電界であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方
    法。
  3. 補助AC電圧を前記出射レンズに印加することを特徴とする請求の範囲第2
    項記載の方法。
  4. 前記工程()において、前記補助AC電圧の周波数をスキャンすることを
    特徴とする請求の範囲第3項記載の方法。
  5. DCオフセット電圧を前記ロッドに印加し、前記工程()において前記D
    Cオフセット電圧を選ばれたイオンを励起するための周波数に変調して、前記障壁電界を通して前記選ばれたイオンを軸方向に質量に依存して射出することを特徴とする請求の範囲第1項または第2項記載の方法。
  6. 前記工程()において、前記RF電界をスキャンすることを特徴とする請
    求の範囲第1項,第2項または第3項記載の方法。
  7. 前記工程()において、前記RF電界の振幅をスキャンすることを特徴と
    する請求の範囲1,2または3記載の方法。
  8. 前記工程()において、前記ロッド・セットの前記ロッドの間に補足AC
    電圧を印加することを特徴とする請求の範囲第1項,第2項または第3項記載の方法。
  9. 前記工程()において、前記ロッド・セットの前記ロッドの間に補足AC
    電圧を印加し、前記補足AC電圧をスキャンすることを特徴とする請求の範囲第1項,第2項または第3項記載の方法。
  10. 前記補助AC電圧が前記RF電界の周波数及び位相と同期し、フェーズロッ
    クした周波数を有することを特徴とする請求の範囲第3項または第4項記載の方法。
  11. 前記ロッド・セットの前記軸に沿って軸方向電界を印加する工程を含むこと
    を特徴とする請求の範囲第1項,第2項または第3項記載の方法。
  12. 前記ロッド・セットの前記ロッドの間に、イオンの衝突集束及び冷却のため
    に、低圧ガスを供給する工程を含むことを特徴とする請求の範囲第1項,第2項または第3項記載の方法。
  13. イオン源から前記イオンを供給し、前記第1の既述のロッド・セットと前記
    イオン源との間に第2のロッド・セットを与え、前記第2のロッド・セット内にイオンをプリトラップし、前記第1の既述のロッド・セットからの軸方向射出及び前記射出に引き続く検出のために前記第2のロッド・セットから前記第1の既述のロッド・セット内にイオンを選択的に入れる工程を含むことを特徴とする請求の範囲第1項,第2項または第3項記載の方法。
  14. イオンの前記軸方向射出工程の前に、注目する選ばれた質量範囲にはないイ
    オンの少なくとも若干を前記ロッド・セットから半径方向に射出する工程を含むことを特徴とする請求の範囲第1項,第2項または第3項記載の方法。
  15. 前記イオンを軸方向に射出する前に、前記イオンの内少なくとも若干を解離
    させるために、前記イオンを励起する工程を含むことを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
  16. 前記イオンに軸方向電界を印加し前記軸方向電界を振動させることにより、
    前記イオンを励起することを特徴とする請求の範囲第15項記載の方法。
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