JP4659395B2 - 質量分析装置及び質量分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、質量分析装置に関する。
以下の説明では、質量または質量数は、質量電荷比を意味し、質量範囲または質量数範囲は、質量電荷比の範囲を意味するものとする。
プロテオーム解析等に用いられる質量分析計において、リニアトラップに、高感度、高質量精度、MS分析等が求められている。従来における、リニアトラップを用いた質量分析について説明する(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
特許文献1に記載の従来例では、軸方向から入射されたイオン蓄積した後、必要に応じてイオン選択やイオン解離を行なう。その後、トラッピングRF電圧をスキャンすることにより、径方向に質量選択的にイオン排出する。この際、補助交流電圧を四重極ロッド電極に重畳することにより、質量分解能が向上することが記載されている。これにより、高感度な質量分析が可能である。
特許文献2に記載の従来例では、軸方向から入射されたイオン蓄積した後、必要に応じてイオン選択やイオン解離を行なう。その後、四重極ロッド電極に補助交流電圧を印加することにより、軸方向に質量選択的にイオン排出する。補助交流電圧の周波数又はトラッピングRF電圧の振幅値をスキャンすることにより、高感度な質量分析が可能である。
特許文献3に記載の従来例では、軸方向から入射されたイオン蓄積した後、必要に応じてイオン選択やイオン解離を行なう。四重極ロッド電極間には、羽電極が挿入されており、羽電極と四重極ロッド電極間のDCバイアスによって、リニアトラップ軸上に調和ポテンシャルが形成される。その後、羽電極間に補助交流電圧を印加することにより、軸方向に質量選択的にイオン排出する。DCバイアス又は補助交流電圧の周波数をスキャンすることにより、高感度な質量分析が可能である。
次に、従来技術のニュートラルロススキャン、プリカーサーイオンスキャンの測定方法について説明する。
四重極飛行時間型質量分析計(QqTOF)や三連四重極質量分析計(TripleQ)において、プレカーサーイオンスキャンを行う方法が、提案されている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1に記載の従来例では、後段でイオン検出質量範囲を固定して、前段の四重極質量フィルターの質量範囲をスキャンするプリカーサーイオンスキャンや、後段の検出質量範囲と前段の四重極フィルターの質量範囲の質量差を固定しながら、前段の四重極質量フィルターの質量範囲をスキャンするニュートラルロススキャンにより、ケミカルノイズが大量に存在するサンプルから特定修飾部位をもったイオン種のみをスクリーニングすることが可能になる。この手法は、例えば、多種多様なペプチド混合サンプルからリン酸化したペプチドイオン種の存在を確認すること等に利用されている。
従来技術のプリカーサーイオンスキャンやニュートラルロススキャンの極めて低いイオン利用効率(以下、Duty Cycleという)を高めるため、リニアトラップからの質量選択的なイオン排出方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。特許文献4に記載の従来例では、衝突室の前段に設置されたリニアトラップにイオンを蓄積し、その後、特定の質量(正確には特定の質量電荷比)範囲のみのイオンを、衝突室に導入してイオン解離を行なった後、TOF又は四重極質量フィルターによりイオンを検出することにより、ニュートラルロススキャンやプリカーサースキャンにおけるDuty Cycleが向上することが記載されている。
一方、イオントラップのスペースチャージの低減方法が、提案されている。特許文献5に記載の従来例の方法では、イオンの前段部に四重極フィルターを設置し、予め必要とされるイオン以外を排除する。これによりトラップ部に測定対象となる特定イオンのみが導入され、イオントラップのスペースチャージが緩和される。
また、スペースチャージの低減方法が、提案されている。特許文献6に記載の従来例の方法では、四重極イオントラップの前段部にリニアトラップを設置し、予め取得した質量スペクトル等の情報から必要とされるイオン以外を補助的な補助交流電圧の印加により排除する。これによりトラップ部には測定対象となる特定イオンのみが導入可能となり、イオントラップのスペースチャージが緩和される。
米国特許第5420425号
米国特許第6177668号 米国特許第5783824号 米国特許第6504148号 米国特許出願公開第2003/0071206号 米国特許第5179278号 Organic Mass Spectrometry, Vol28, 1135-1143,1993年
上述した特許文献1〜3に記載の何れの従来技術においても、リニアトラップは、イオンため込み容量(〜10個程度)が四重極イオントラップより大きく、比較的高いDuty Cycle(=イオンため込み時間/(全測定時間)、MS測定時)が実現可能である。現状の典型的なイオンため込み時間100ms、スキャン時間100msで、Duty Cycleは、50%程度である。
しかし、リニアトラップといえどもイオン信号量の増加や長時間のイオン蓄積は、スペースチャージを引き起こすという課題を生じる。つまり、イオン源や差動排気部の改良により、今後イオンの導入量はますます向上し、スペースチャージを許容できるイオンため込み時間を短くする必要があるという課題を生じる。今後、イオン導入量が10倍になれば、スペースチャージを引き起こさないイオンため込み時間は10msとなり、Duty Cycleは9%にまで低下するという課題を生じる。また、今後、イオン導入量が100倍になれば、イオンため込み時間1msとなり、Duty Cycleは1%以下まで低下するという課題を生じる。また、現状でも分解能を通常より向上した高分解能モードが存在する。ここではスキャン速度をより低速かつイオントラップのため込み時間をより短く制限する必要があり、Duty Cycleが1%以下にまで低下するという課題は、既に顕在化している。
また、上述した非特許文献1に記載の従来技術では、プリカーサーイオンスキャン、ニュートラルロススキャン時におけるDuty Cycleが著しく低いことが課題であった。例えば、前段の四重極質量フィルターの通過質量幅を1amuで1000amuのスキャンを行う場合には、通過質量幅以外のイオンは利用していないため、Duty Cycleは1amu/1000amu=0.1%となる。
また、上述した特許文献4に記載の従来技術では、第1のリニアトラップに広い質量数範囲のイオンをトラップした後、順次特定質量イオンを後段の衝突室に導入する。この場合、上述した特許文献1〜3に記載の従来技術における課題と同様の課題が、より顕著になることを以下に説明する。
コリジョンセル内部のイオン通過時間は10ms程度を要する。クロストークを防止するため10ms/amu程度と低速のスキャン速度が、前段のリニアトラップでは一般的に用いられている。このため、1000amuのスキャンには10s要することになる。トラップへの典型的なイオン導入速度は10/sec程度であるから、10sの間に、トラップ内に10個程度のイオンがリニアトラップに導入される。このような大量のイオンがトラップ内に存在すると、イオンはスペースチャージを起こし、質量分解能は数10程度にまで低下する。
リニアトラップから排出される質量分解能が悪いと、質量分解能を維持するためには10個程度にイオントラップ内部の全イオン量を制限する必要があり、100msのイオンしか同時にイオントラップには蓄積できない。この結果、Duty Cycleは100ms/(100ms+10s)=1%程度となる。また、これ以外にもリニアトラップからの典型的な軸排出効率は20%程度であるから、特許文献4に記載の従来技術の効果は更に小さいといえる。以上の考察から、これ以上のDuty Cycleを達成するには、効率的なスペースチャージの低減が必要であることが示唆される。
また、上述した特許文献5、6に記載の従来技術には、何れも後段のイオントラップのスペースチャージの抑制方法が提案されている。しかし、何れも前段のフィルターを透過する質量数が、特定の質量範囲に固定されており、それに対応したイオンのみを前段部で選択することにより、イオントラップ内部のスペースチャージを低減している。これに対し、広い質量範囲をスキャンする方法に対しては、特許文献5、6に記載された従来の方法では、測定できる質量数範囲が限定されてしまうという課題を有する。
本発明の目的は、スペースチャージを効率的に抑制でき、高いDuty Cycleで広い質量数の範囲のスキャンを実現でき高感度な分析が可能な、リニアトラップを用いた質量分析装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の質量分析装置は、下記に示す特徴を有する。
本発明の質量分析装置の構成Aは、試料をイオン化してイオンを生成するイオン源と、前記イオンを輸送するイオン輸送部と、軸方向に形成されたポテンシャルによって、輸送された前記イオンを蓄積するリニアトラップ部と、前記リニアトラップ部に第1の質量数範囲の前記イオンを蓄積するタイミングと略同じタイミングで、前記第1の質量数範囲と異なる第2の質量数範囲の前記イオンを前記リニアトラップ部から排出する制御部とを有し、かつ、前記制御部は、(1)前記リニアトラップ部を構成する少なくとも1対のリニアトラップ電極間に補助的交流電圧を印加すること、(2)前記リニアトラップ部を構成する出口側端電極に補助的交流電圧を印加すること、(3)前記リニアトラップ部を構成する羽電極を有し、前記羽電極の間に補助的交流電圧を印加すること、の何れかの電圧印加によって、前記リニアトラップ部から前記イオンを質量選択的に排出する制御を行なうことを特徴とする。
本発明の質量分析装置の構成Bは、試料をイオン化してイオンを生成するイオン源と、前記イオンを輸送するイオン輸送部と、軸方向に形成されたポテンシャルによって、輸送された前記イオンを蓄積するリニアトラップ部と、前記リニアトラップ部より排出された前記イオンを、外部から内部に導入されるガス、光、又は電子等と反応させ、分解反応、解離反応、多価イオンの低価イオンへの変換反応等の反応行なう反応室と、前記反応室を通過して排出された前記反応室で生成された反応生成物の質量分析を行なう質量分析部と、前記リニアトラップ部に第1の質量数範囲の前記イオンを蓄積するタイミングと略同じタイミングで、前記第1の質量数範囲と異なる第2の質量数範囲の前記イオンを前記リニアトラップ部から排出する制御部とを有し、かつ、前記制御部は、(1)前記リニアトラップ部を構成する少なくとも1対のリニアトラップ電極間に補助的交流電圧を印加すること、(2)前記リニアトラップ部を構成する出口側端電極に補助的交流電圧を印加すること、(3)前記リニアトラップ部を構成する羽電極を有し、前記羽電極の間に補助的交流電圧を印加すること、の何れかの電圧印加によって、前記リニアトラップ部から前記イオンを質量選択的に排出する制御を行なうことを特徴とする。
上記構成A又は構成Bにおいて、前記イオン輸送部は、前記第1の質量数範囲の前記イオンを選択する質量選択手段を有することを特徴とし、(1)前記リニアトラップ部は、前記第1の質量数範囲の前記イオンを前記第2の質量数範囲で質量選択的に排出すること(2)前記リニアトラップ部は、前記第1のイオン質量数範囲の変化に応じて、前記第2の質量数範囲を変化させること、(3)前記質量選択手段により前記イオン輸送部を透過する前記第1の質量数範囲の透過質量幅が、前記リニアトラップ部に導入される前記イオンの予め計測されたマススペクトル(質量分布)により設定(制御)されること、(4)前記質量選択手段が、四重極マスフィルターであること、(5)前記質量選択手段が、リニアトラップから構成され、前記イオン輸送部から質量選択的に前記イオンを排出すること、等に特徴を有する。
本発明の質量分析装置の構成Cは、試料をイオン化してイオンを生成するイオン源と、第1の質量数範囲の前記イオンを選択する質量選択手段と、軸方向に形成されたポテンシャルによって前記選択されたイオンを蓄積し、前記イオンを蓄積するタイミングと略同じタイミングで、前記第1の質量数範囲と異なる第2の質量数範囲で前記イオンを前記リニアトラップ部から質量選択的に排出するリニアトラップ部と、前記イオンを蓄積する制御および前記イオンを前記リニアトラップ部から質量選択的に排出する制御を行なう制御部とを有することを特徴とし、更に、前記制御部は、(1)前記リニアトラップ部を構成する少なくとも1対のリニアトラップ電極間に補助的交流電圧を印加すること、(2)前記リニアトラップ部を構成する出口側端電極に補助的交流電圧を印加すること、(3)前記リニアトラップ部を構成する羽電極を有し、前記羽電極の間に補助的交流電圧を印加すること、の何れかの電圧印加によって、前記リニアトラップ部から前記イオンを質量選択的に排出する制御を行なうこと、更にまた、前記質量選択手段は、四重極ロッド電極を具備する四重極フィルター部から構成されること、等を特徴とする。
本発明によれば、効率的にスペースチャージを抑制でき、広い質量数の範囲をスキャンする場合に、高いDuty Cycleを実現でき大幅な感度向上が可能なリニアトラップを用いる質量分析装置を実現できる。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1のリニアトラップ質量分析計の構成例を示す図である。図1の下部には、四重極フイルター及びリニアトラップのz軸の中心軸付近での各部の電位を示している。
図1において、試料をイオン化してイオンを生成するイオン源1としては、エレクトロスプレーイオン源、大気圧化学イオン源、大気圧光イオン源、大気圧マトリックス支援レーザ脱離光イオン源、マトリックス支援レーザ脱離光イオン源等の何れか1種類のイオン源が使用される。イオン源1で試料から生成されたイオンは、図示しない差動排気部、細孔2を通過して、四重極ロッド電極3よりなる四重極フイルターに導入される。
四重極ロッド電極3には、交互に逆位相の1MHz、数十V〜数kV程度のRF電圧が印加され、また、それらの間には数十V〜数kVのDC電圧が印加される。これらの電圧の印加により、特定の質量範囲のイオンが、四重極フイルターを通過することが可能となる。このような四重極フイルターを単独で質量分離に用いる場合には、透過質量幅を0.5amu〜3amu程度に設定する。
実施例1では、四重極フイルターに、数十amu〜数百amuの広い透過質量幅を設定する。このため、四重極フイルターが配置される領域のガス真空度は、3×10−2Torr〜10−6Torrと広い真空範囲で設定できる。また、この領域でイオン冷却を行うことにより、イオンのエネルギーが均一化し、後段のリニアトラップでのトラッピング効率が向上することは広く知られている。後段のリニアトラップでのトラッピング効率を向上させるためには、10−3Torr〜3×10−2Torr程度に設定するのが最も適切である。
四重極フィルターで選択された特定の質量範囲のイオンは、ゲート電極4、リニアトラップ入口側端電極5を通過し、リニアトラップ電極6で形成されるリニアトラップの四重極電界中へと導入される。リニアトラップ電極6で形成されるリニアトラップが配置される領域に、真空室の外部より適当な方法によりバッファーガスが導入され、真空度が所定の範囲の値に保持される。バッファーガスとしては、不活性のHe、Ar、N等が用いられる。Heをバッファーガスとして使用する場合には、真空度は10−2Torr〜10−4Torr程度に、Ar、Nをバッファーガスとして使用する場合には、真空度は3×10−3Torr〜3×10−5Torr程度に維持されている。
イオンは、リニアトラップが配置される領域で、バッファーガスとの衝突により冷却され、リニアトラップ電極6で形成される四重極電界の中心軸(リニアトラップの中心軸)上に収束する。リニアトラップ入口側端電極5及びリニアトラップ出口側端電極7には、リニアトラップ電極6のDCバイアスに対し5V〜30V程度のDCバイアスが印加される。
四重極電界の中心軸上のポテンシャル勾配、及び、リニアトラップ電極6の形成する径方向のポテンシャル勾配により、イオンはリニアトラップ内部に安定にトラップされる。対向する一対のリニアトラップ電極6間に、補助的交流電圧を印加することにより、イオンは、径方向にイオン軌道が拡大され、リニアトラップ内部から排出される。排出されたイオンは、検出器9により検出され、コントローラ(制御部)12のメモリに記録される。
なお、コントローラ(制御部)12は、ゲート電極4、リニアトラップ入口側端電極5、リニアトラップ出口側端電極7、イオンストップ電極8(検出器9へのイオンの導入を制御する電極)の各電極に印加する電圧の制御、及び、電源(四重極ロッド電極3に印加する電圧を発生する四重極ロッド電極用電源10、リニアトラップ電極6に印加する電圧を発生するリニアトラップ用電源11)の制御を行ない、質量分析装置の動作シーケンスを制御する。
以上説明した構成と類似の形態として、リニアトラップ入口側端電極5、リニアトラップ出口側端電極7とリニアトラップ電極6の間に、補助的な四重極ロッド電極(図示せず)を挿入する場合もあるが、この時は補助的な四重極ロッド電極とリニアトラップ電極間にDCバイアスを印加して、イオンをトラップする。
実施例1では、質量分析装置の動作シーケンスを以下に説明する方法で制御する。従来技術との差を明確化するために、まず、従来技術における装置の動作シーケンス(正イオン測定時を例にとる)について説明する。
図2は、従来技術の装置における正イオン測定時の測定シーケンスの例を説明する図である。
従来技術の装置では、イオン強度に応じてイオンを数ms〜数百msトラップする。イオン蓄積時には、ゲート電極4に、四重極ロッド電極3のオフセット電位に対し0V〜数十V負の直流バイアスを印加し、イオンストップ電極8に、四重極ロッド電極3のオフセット電位に対し数V〜数十V正の直流バイアスを印加する。これにより、検出器9へイオンを導入をさせないようにして、イオンをイオントラップ内部へ入射させて蓄積可能となる。
一方、イオンの質量選択的排出時(即ち、スキャン時)には、トラップ内部にイオンが入射しないように、ゲート電極4に、四重極ロッド電極3のオフセット電位に対し数V〜数十V正の直流バイアスを印加し、更に、リニアトラップ電極6への補助交流電圧の印加のもとで、トラッピングRF電圧をその振幅値が時間と共に増大するようにリニアトラップ電極6へ印加してスキャンし、検出器9へイオンが導入されるように、イオンストップ電極8に、出口側端電極7に対し数V〜数十V負の直流バイアスを印加する。
以上のように従来技術の装置では、イオンのトラップ及びスキャン時に、ゲート電極4に印加する電圧によりイオンのトラップ(蓄積)、イオンの質量選択的排出(スキャン)の制御を行っていた。
図3は、本発明の実施例1における正イオン測定時の測定シーケンスの例を説明する図である。
実施例1における測定シーケンスでは、イオンのトラップ(蓄積)及びスキャンの時間的な区分はない。イオンのスキャン時にも、ゲート電極4を低い電圧(四重極ロッド電極3のオフセット電位に対し0V〜数十V負の直流バイアス)に設定してイオンのトラップ(蓄積)を行っている。
時間と共に増大するDC電圧(前段QフイルターDC電圧)と、トラッピングRF電圧をその振幅値が時間と共に増大するように変化するRF電圧(前段QフイルターRF電圧)とを、四重極ロッド電極3に印加することにより、数十amu〜数百amuの質量幅(この範囲を第1の質量数範囲(M)と定義する)のイオンのみが、リニアトラップに入射される。四重極ロッド電極3へのDC電圧及びRF電圧の印加と同時に、リニアトラップ電極6への補助交流電圧の印加のもとで、リニアトラップ電極6へトラッピングRF電圧をその振幅値が時間と共に増大するように印加してスキャンし、検出器9へイオンが導入されるように、イオンストップ電極8に、四重極ロッド電極3のオフセット電位に対し数V〜数十V正の直流バイアスを印加して、イオンが軸方向に排出されないように防止する。
このようにして、リニアトラップ用電源11から適当なRF電圧及び補助的な交流電圧が、リニアトラップ電極6に供給され、以下に説明するように、0.2amu〜3amu程度の質量幅(この範囲を第2の質量数範囲(M)と定義する)のイオンを排出する。以下、具体的な供給電圧について述べる。先に説明したように、四重極ロッド用電源10及び9リニアトラップ用電源11は、コントラローラ12により制御される。
図1に示す四重極ロッド電極3には、一本おきに電圧、VQ(t)sinΩQt+UQ(t)、−VQ(t)cosΩQt−UQ(t)(なお、これら電圧の式ではDCバイアス成分は省略している)が四重極ロッド用電源10から供給される。また、リニアトラップ電極6には、各々電圧、VL(t)cosΩLt+VS(t)cosωSt、−VL(t)cosΩLt、VL(t)cosΩLt−VS(t)cosωSt、−VL(t)cosΩLt(なお、これら電圧の式ではDCバイアス成分は省略している)がリニアトラップ用電源11から供給される。ここで、tを時間変数とし、VQ、UQ、ΩQ、VL、ΩL、VS、ωSはそれぞれ、四重極RF電圧振幅、四重極DC電圧、四重極RF角周波数、トラップRF電圧振幅、トラップRF角周波数、補助交流電圧振幅、補助交流角周波数である。
図4は、本発明の実施例1において、上記の制御の結果達成される、第1の質量数範囲(M)(取り込みイオンの質量範囲)、及び、第2の質量数範囲(M)(排出イオンの質量範囲)の時間変化の一例を示す図である。図4の縦軸は質量数(正確には質量電荷比)、横軸は測定時間を示す。図中、横方向の矢印は、質量数m(以下、正確には質量電荷比m/eを意味する)、m(以下、正確には質量電荷比m/eを意味する)に対するイオンため込み(蓄積)時間を示し、縦方向の矢印の範囲は、ある時間tにおけるトラップ(蓄積)される第1の質量数範囲(M(t))、白丸は、第2の質量数範囲(M(t))を示す。
図3に示すように、前段QフイルターDC電圧と、前段QフイルターRF電圧とを四重極ロッド電極3に印加し、補助交流電圧とトラッピングRF電圧とをリニアトラップ電極6へ印加することにより、数10amu〜300amu程度の第1の質量数範囲(M)のイオンのみがリニアトラップに入射され、0.2amu〜3amu程度の第2の質量数範囲(M)のイオンがスキャンされ、リニアトラップから排出される。
図4に示すように、第1及び第2の質量数範囲M(t)、M(t)は時間tと共に変動している。また、質量数mに応じて、(例えば、m、m)に応じて、イオンのため込み時間が、図4の斜線部で示すように、各々異なるタイミングに設定される。これにより、効果的にスペースチャージを抑制し、Duty Cycleの向上が可能となることについて、以下説明する。
実施例1では、スペースチャージを抑制する上で、従来技術では得られない、異なる2つの効果が達成できる。ここで簡単のため、質量数mをもつイオン強度と質量数mの関係を表わす質量数対イオン強度の分布が一様分布であり、第1の質量数範囲(透過質量範囲)の質量数ΔLが一定、スキャン速度が一定であるモデルを考える。
図5は、本発明の実施例1における、イオントラップ内の総電荷量Cと時間の関係例を示す図である。図5の横軸は、測定時間を、全測定時間を1として示している。
図5の(b)に示す従来技術では、スキャン時に取り込んだイオンが時間(測定時間)とともに単調減少する。スペースチャージの限界は最初の電荷量で決まってしまうため、結果として検出時間の後半部分では、スペースチャージに余裕がある状態が続いている。
一方、実施例1では、図5の(a)に示すように、ほぼ全測定時間において、トラップ内部の総電荷量が一定であるため、より多くのイオンをトラップ内部に蓄積可能であることが理解できる。ここでのモデルでは、測定時間又は検出時間、質量選択的に排出するイオンの質量数に対して、スペースチャージの限界が同じであると仮定しているが、実際には、質量選択的に排出するイオンの質量数が大きくなると、リニアトラップのRF電圧の振幅増加に伴う擬似ポテンシャルの増加のため、トラップに許容されるイオン量は大きくなる。このため、ここでのモデルで算出される効果は更に大きくなる。
次に、前段の四重極フィルターで質量選択を行う効果について考察する。ここで、ため込み(蓄積)可能なイオン量をC、イオン流れをI、全スキャン時間をT、第1の選択幅をΔL、全イオン幅をLとして、k=T/Cとおく。従来技術では、Duty Cycleは、スペースチャージの限界量までイオンをため込んだ場合に最大となるため、(数1)、(数2)で表わされる。kは、スペースチャージの指数である。
Duty Cycle=(Trapping Time)/(Total Time)
=(C/I)/{(C/I)+T} ………(数1)
Duty Cycle≦1/(1+k) ………(数2)
指数kは、スキャン時間が長いほど、イオントラップへのイオン導入量が大きいほど、又は、ため込み可能なイオン量が小さいほど、大きな値になる。現状の通常スキャンモードでは、T=100ms、I=10個/秒、C=10個程度であり、k=1となり、Duty Cycleは50%程度確保され大きな問題とならない。しかし、通常より高分解能を得るためには、トラップイオン量を抑制すること、低速なスキャンが必要とされる。このため、T0=1s、C=10程度となり、k=100となって、イオンのDuty Cycleは、1%程度にまで低下することになる。今後、イオン源や差動排気部等が改良されていくことが期待されており、通常測定モードにおけるkも増加傾向である。
次に、実施例1におけるDuty Cycleを導出する。実施例1におけるリニアトラップ内部の総イオン量Qは(数3)で表される。
Q=(T/2)(ΔL/L) ………(数3)
電荷量Qをため込み可能なイオン量C以下とするには、(数4)の条件が必要であり、実施例1でのDuty Cycleは、(数5)で表される。(数5)に(数4)を代入することにより、実施例1のDuty Cycleとして(数6)が導出される。
(ΔL/L)≦(2/k)1/2 ………(数4)
Duty Cycle=(ΔL/L)T/{(ΔL/L)T+T
=(ΔL/L)/{1+(ΔL/L)} ………(数5)
Duty Cycle≦1/{1+(k/2)1/2} ………(数6)
図6は、従来技術と実施例1における、Duty Cycleのkに対する依存性の例を示す図である。図6において、従来技術、実施例1におけるのDuty Cycleはそれぞれ、(数2)、(数6)で求めている。
図6から、k=100において、従来技術ではDuty Cycleが1%であるのに対し、実施例1では12%程度が得られる。実施例1では、kが大きくなると、従来技術に比較して大幅な感度向上効果があること明らかである。
(実施例2)
図7は、本発明の実施例2のリニアトラップ質量分析計の構成例を示す図である。図7の下部には、四重極フイルター及びリニアトラップのz軸の中心軸付近での各部の電位を示している。実施例2は、軸方向にイオンを質量選択的に排出している点が異なる。このため、イオンストップ電極8の電圧はリニアトラップ終端電極電位より低く設定される。
バッファーガスとして、不活性のHe、Ar、N等が用いられ、リニアトラップ内部の圧力が、Heの場合10−2Torr〜10−4Torr程度、Ar,N2の場合、3×10−3Torr〜3×10−5Torr程度、に維持されている。イオンは、バッファーガスとの衝突により冷却されリニアトラップの中心軸上に収束する。
リニアトラップ入口側端電極5及びリニアトラップ出口側端電極7は、リニアトラップ電極6のDCバイアスに対し3V〜5V程度のDCバイアスを有する。ニアトラップの中心軸上のポテンシャル勾配、及び、リニアトラップ四重極電界の形成する径方向のポテンシャル勾配により、イオンは、リニアトラップ内部に安定にトラップされる。
実施例2では、イオン排出の特性のため、リニアトラップ電極6のDCバイアス電圧を、実施例1よりも低めにしか印加できない特徴がある。この場合、リニアトラップへのイオン入射エネルギーに広がりがあると、イオンがトラップされず検出器9にノイズとして到達する恐れがある。実施例2では、前段の四重極フィルターにおけるエネルギー収束が重要であり、このために四重極フィルターが配置される領域の圧力を、10−3Torr〜3×10−2Torrに保持することが望ましい。
リニアトラップ電極6又はリニアトラップ出口側端電極7に補助的交流電圧を印加する。共鳴したイオンは、リニアトラップ出口側端電極7が形成するフリンジングフィールドにより、ニアトラップの中心軸方向に質量選択的に排出される。排出されたイオンは検出器9により検出され、コントローラ12に記録される。
実施例2においても、図3で示した測定シーケンスとほぼ同様な制御が行われる。結果として、図4に示すように、第1の質量数範囲及び第2の質量数範囲が設定される。実施例2においても、実施例1に関して説明したのと同様な理由により、従来技術よりも格段に高いDuty Cycleを得ることが可能である。
(実施例3)
図8は、本発明の実施例3のリニアトラップ質量分析計の構成例を示す図である。図8の下部には、四重極フイルター及びリニアトラップのz軸の中心軸付近での各部の電位を示している。羽電極16を挿入し、リニアトラップ電極15に対して直流バイアスを印加することにより、軸上に調和ポテンシャルを形成することが可能である。
実施例3の構成は、図7に示す実施例2のリニアトラップ電極6に換えて、リニアトラップ電極15を配置し、羽電極16をリニアトラップ電極15の間に挿入した構成とし、リニアトラップ電極15に電圧を供給するリニアトラップ電源13、羽電極16に電圧を供給する羽電極用電源14を設けている。リニアトラップ電極15が配置される領域にバッファーガスを導入する構成、リニアトラップ内部の圧力条件は、実施例2と同じである。
羽電極16は、軸上に長さの異なる電極がリニアトラップ電極に挿入されるように配置される。
羽電極16にリニアトラップ電極15に対して、数V〜数十VのDCバイアスを印加することにより、リニアトラップの中心軸方向に調和ポテンシャルが形成される。電極形状の詳細については、先述した特許文献3の従来例に記載されている。羽電極16間に、補助交流電圧を印加することにより共鳴したイオンは、リニアトラップの中心軸方向に加速され、質量選択的に排出される。イオンの共鳴周波数は、イオンの質量の平方根に反比例するため、特定イオンのみの排出が可能である。排出されたイオンは、検出器9により検出され、コントローラ12に記録される。
実施例3では、装置の各部の動作は、図3で示した測定シーケンスとほぼ同様な方法により制御される。結果として、図4に示すように、第1の質量数範囲及び第2の質量数範囲が設定されるような制御が可能である。実施例3においても、実施例1に関して説明したのと同様な理由により、従来技術よりも格段に高いDuty Cycleを得ることが可能である。
(実施例4)
図9は、本発明の実施例4のリニアトラップ質量分析計の構成例を示す図である。図9は、三連四重極質量分析計を用いる例である。図9の下部には、四重極フイルター、リニアトラップ及び四重極ロッド電極17のz軸の中心軸付近での各部の電位を示している。
図9に示す構成は、イオン源1で形成されたイオンが、四重極フィルターからリニアトラップに導入されるまでは、図7に示す実施例2の構成と略同じである。なお、図9に示す構成で、イオン源1で形成されたイオンが、四重極フィルターからリニアトラップまでの構成を、図8に示す実施例3の構成と同じとしても良い。
図9に示すリニアトラップからリニアトラップの中心軸方向に質量選択的に排出されたイオンは、四重極ロッド電極17が設置された衝突室23に導入され、イオン分解等が行われ、次に、四重極ロッド電極18により形成される電場中に導入される。
衝突室23は、その入口側の衝突室入口側端電極がイオンストップ電極8により構成され、その入り口側が衝突室出口側端電極24で構成されている。四重極ロッド電極17に電圧を供給する四重極ロッド電極用電源25、衝突室出口側端電極24に印加する電圧、四重極ロッド電極18に電圧を供給する四重極ロッド電極用電源26は、コントローラ12により制御される。
通常、衝突室23は、図示しないガス導入系により導入される、1mTorr〜100mTorr程度の不活性ガスで満たされるが、この不活性ガスに反応性ガス等を添加して、特定の反応を進行させることも可能である。衝突室23をイオンが通過するためには、数ms〜数十msの通過時間が必要である。リニアトラップから質量選択的に排出されたイオンのクロストークを防ぐため、数ms/amu〜数十ms/amuの遅いスキャン速度が用いられる。例えば、10ms/amuで1000amuスキャンした場合、T=10sとなる。I=10、C=10であるから、k=100となる。
先述した特許文献4に記載の従来技術では、実施例1で述べたkの値が大きくなり、1%以下のDuty Cycleしか得られない。これに対して、実施例4では、先に説明した実施例1と同様に12%のDuty Cycleが得られる。実施例4では、スキャン時間が長い場合に用いるのに極めて適している。衝突室23で分解されたイオンは、四重極ロッド電極17の中心軸上に収束した後、四重極ロッド電極18よりなる四重極フィルター(四重極質量分析計として作用する)に導入される。この四重極フィルターでは、特定の質量数のイオンを通過させることにより、プリカーサースキャンや、ニュートラルロススキャンをできる。また、別の図面として図示しないが、四重極フィルターとして作用させる四重極ロッド電極18の代わりにリ、ニアトラップ、四重極イオントラップ等を設置することも可能であり、この場合にも実施例1で訓述した効果は同様に発揮される。
(実施例5)
図10は、本発明の実施例5のリニアトラップ質量分析計の構成例を示す図である。図10は、図9に示す、四重極フィルターとして作用させる四重極ロッド電極18、検出器9の代わりに、飛行時間型質量分析計(加速電極19、リフレクトロン20、検出器(MCP)21から構成される)を用いる例である。図10の下部には、四重極フイルター、リニアトラップ及び四重極ロッド電極17のz軸の中心軸付近での各部の電位を示している。
図10に示す構成は、イオン源1で形成されたイオンが、四重極フィルターからリニアトラップに導入されるまでは、図7に示す実施例2の構成と略同じである。なお、図10に示す構成で、イオン源1で形成されたイオンが、四重極フィルターからリニアトラップまでの構成を、図8に示す実施例3の構成と同じとしても良い。
リニアトラップからリニアトラップの中心軸方向に排出されたイオンは、四重極ロッド電極17が設置された衝突室23に導入され、イオン分解等が行われる。通常、衝突室23は1mTorr〜100mTorr程度の不活性ガスで満たされているが、不活性ガスに反応性ガス等を添加して、特定の反応を進行させることも可能である。衝突室23をイオンが通過するため、数ms〜数十msの通過時間が必要である。リニアトラップから質量選択的に排出されたイオンのクロストークを防ぐため、数ms/amu〜数十ms/amuの遅いスキャン速度が用いられる。例えば、10ms/amuで1000amuスキャンした場合、T=10sとなる。I=10、C=10であるから、k=100となる。
先述した特許文献4に記載の従来技術では、実施例1で述べたkの値が、〜100以上大きくなり、1%以下のDuty Cycleしか得られない。これに対して、実施例5では、実施例1で述べたのと同様に、12%のDuty Cycleが得られる。
実施例5は、このようにスキャン時間が長い場合に用いるのに極めて適している。衝突室23で分解されたイオンは、四重極ロッド電極17で形成される電場の中心軸上に収束された後、飛行時間型質量分析計に導入される。
イオンは、加速部用電源26によって制御される加速部19において、四重極ロッド電極17で形成される電場の中心軸の直交方向に加速され、リフレクトロン20により反射された後、MCP等からなる検出器21で検出され、データはコントローラ12に送られメモリに記憶される。別の図面として図示しないが、図10においてリフレクトロン20を設置しないタイプやマルチ反射型リフレクトロン等も使用できるがあるが、この場合にも実施例1で訓述した効果は同様に発揮される。
また、図示していないが、図10のTOF部の代わりにフーリエ変換型イオンサイクロトロン質量分析装置(FT−ICRMS)を設置した場合でも、実施例1で述べた効果は同様に発揮される。
(実施例6)
図11は、本発明の実施例6における測定のフローチャートの例を示す図である。
実施例1から実施例5では、リニアトラップへ導入されるイオンに関して、質量数対イオン強度(M(t)対I(t))の分布が一様分布であると仮定したが、実際にはこれらは不均一になる。そこで、実施例6では、実施例1から実施例5の測定(本測定)に先立って、プレスキャン(予備的測定)を行ない、質量(マス)スペクトルを計測して、実際に、図11の左側の図に示すように、質量数対イオン強度(M(t)対I(t))の分布(即ち、マススペクトルプロファイル)を取得する。プレスキャンは、さほどの分解能、感度が要求されないため、高速のスキャン速度を用いればよい。
プレスキャンの結果から取得したマススペクトルプロファイルを使用して、質量数(即ち、スキャン時間t)に対するイオン信号量のデータに基づき、質量数(即ち、スキャン時間t)により、リニアトラップに導入されるイオンの第1の質量数範囲の質量数幅ΔLを変化させる。即ち、図11の右側の図に示すように、質量数対イオン強度(M(t)対I(t))の分布の値が大きいtでは、質量数幅ΔL(t)を狭く、逆に質量数対イオン強度の分布の値が小さいtでは、質量数幅ΔL(t)を広く、設定して決定する。
このような質量数幅ΔL(t)の決定により、リニアトラップ内部の総イオン量をほぼ一定に保てる。また、スペースチャージが許容される総イオン量は、RF電圧や共鳴周波数によっても若干の相違があるため、これらの情報を質量数幅ΔL(t)にフィードバック制御して、許容総電荷量CをRF電圧の関数とすることも可能である。また、特に、プレスキャンを用いなくても、事前に計測されたデータからマススペクトルプロファイルを求めて、上記と同様にして、質量数幅ΔL(t)を設定して決定することも可能である。
以上説明した実施例1から実施例5では、リニアトラップの前段部に四重極フィルターを設置したが、前段部に設置する四重極フィルターの代わりに、質量選択的にイオンの排出が可能なリニアトラップを設置しても同様の効果がある。また、上記の前段部に四重極フィルターやリニアトラップを設置しなくとも、リニアトラップ内部の補助交流電圧の印加等の制御により、リニアトラップへのイオンの導入を防ぐ方法もある。この方法はコスト的に有利であるが、パラメーターの設定が煩雑になるデメリットもある。
以上説明した実施例2から実施例5では、ガスを導入する衝突室を使用しているが、ガスに換えて、光を照射して光解離を行なう構成、電子線を照射して電子反応解離を行なう構成、としてもよいことは言うまでもない。
以上詳述したように、本発明の質量分析装置によれば、効率的にスペースチャージを抑制でき、広い質量数の範囲を高いDuty Cycleでスキャンでき、高感度の分析が可能な、リニアトラップを用いた質量分析装置が実現できる。
本発明の実施例1のリニアトラップ質量分析装置の構成例を示す図。 従来技術の装置における正イオン測定時の測定シーケンスの例を説明する図。 本発明の実施例1における測定シーケンスの例を説明する図。 本発明の実施例1において、取り込みイオンの質量範囲および排出イオンの質量範囲の時間変化の一例を示す図。 本発明の実施例1における、イオントラップ内の総電荷量と時間の関係例を示す図。 実施例1と従来技術における、Duty Cycleのkに対する依存性の例を示す図。 本発明の実施例2のリニアトラップ質量分析装置の構成例を示す図。 本発明の実施例3のリニアトラップ質量分析装置の構成例を示す図。 本発明の実施例4のリニアトラップ質量分析装置の構成例を示す図。 本発明の実施例5のリニアトラップ質量分析装置の構成例を示す図。 本発明の実施例6における測定のフローチャートの例を示す図。
符号の説明
1…イオン源、2…細孔、3、17、18…四重極ロッド電極、4…ゲート電極、5…リニアトラップ入口側端電極、6、15…リニアトラップ電極、7…リニアトラップ出口側端電極、8…イオンストップ電極、9、21…検出器、10、25…四重極ロッド電極用電源、11…リニアトラップ用電源、12…コントローラ、13…リニアトラップ電源、14…羽電極用電源、16…羽電極、19…加速部、20…リフレクトロン、23…衝突室、24…衝突室出口側端電極、26…加速部用電源。

Claims (10)

  1. 試料をイオン化してイオンを生成するイオン源と、
    前記イオンを輸送するイオン輸送部と、
    軸方向に形成されたポテンシャルによって、輸送された前記イオンを蓄積するリニアトラップ部と、
    前記イオン輸送部と、前記リニアトラップ部の制御を行う制御部とを備え、
    前記制御部は、前記リニアトラップ部に第1の質量数範囲の前記イオンを蓄積するタイミングと略同じタイミングで、前記第1の質量数範囲と異なる第2の質量数範囲の前記イオンを前記リニアトラップ部から排出する制御を行い、
    前記イオン輸送部は、前記第1の質量数範囲の前記イオンを選択する質量選択手段を有し、前記リニアトラップ部は、前記第1のイオン質量数範囲の変化に応じて、前記第2の質量数範囲を変化させることを特徴とする質量分析装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記制御部は、(1)前記リニアトラップ部を構成する少なくとも1対のリニアトラップ電極間に補助的交流電圧を印加すること、(2)前記リニアトラップ部を構成する出口端電極に補助的交流電圧を印加すること、(3)前記リニアトラップ部を構成する羽電極を有し、前記羽電極の間に補助的交流電圧を印加すること、の何れかの電圧印加によって、前記リニアトラップ部から前記イオンを質量選択的に排出する制御を行うことを特徴とする質量分析装置。
  3. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記質量選択手段により前記イオン輸送部を透過する前記第1の質量数範囲の透過質量幅が、前記リニアトラップ部に導入される前記イオンの予め計測されたマススペクトルにより設定されることを特徴とする質量分析装置。
  4. 請求項1に記載の質量分析装置において、前記質量選択手段が、四重極マスフィルターであることを特徴とする質量分析装置。
  5. 請求項1記載の質量分析装置において、前記質量選択手段が、リニアトラップから構成されることを特徴とする質量分析装置。
  6. 請求項1記載の質量分析装置において、前記第2の質量数範囲は、前記第1の質量数範囲よりも狭いことを特徴とする質量分析装置。
  7. 請求項1記載の質量分析装置において、前記第1の質量数範囲は、数10〜数100amuであり、前記第2の質量数範囲は、0.2〜3amuであることを特徴とする質量分析装置。
  8. 請求項1記載の質量分析装置において、前記制御部は、前記リニアトラップ部のトラップRF電圧に応じてリニアトラップ部の蓄積イオン量を変化させることを特徴とする質量分析装置。
  9. 請求項1記載の質量分析装置において、さらに、前記リニアトラップ部から排出されたイオンの反応室と、前記反応室で生成された反応物の分析を行う質量分析部とを有することを特徴とする質量分析装置。
  10. 試料をイオン化する工程と、
    第1の質量数範囲の前記イオンを選択して輸送する工程と、
    輸送された前記第1の質量数範囲のイオンをリニアラップ部に導入して軸方向に形成されたポテンシャルにより蓄積する工程と、
    前記リニアトラップ部に前記第1の質量数範囲のイオンを蓄積するタイミングと略同じタイミングで、前記第1の質量数範囲と異なる第2の質量数範囲の前記イオンを、前記リニアトラップ部から排出する工程と、
    前記第1の質量数範囲の変化に応じて前記第2の質量数範囲は変化され、排出された前記イオンを質量分析する工程とを有することを特徴とする質量分析方法。
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