JP3818623B2 - 半導体装置の組立方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バンプ接合方式で基板と接合する半導体装置の組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICチップの高集積化、高密度化とICパッケージの小型化という要求からフリップチップ実装方式が登場した。同実装方式はこれまでのワイヤーボンディングによる接続ではなく、ICチップ表面とプリント基板とを金属バンプで電気的に接続することで小型、薄型化を可能としている。しかしチップ、プリント配線基板、半田の熱膨張係数が異なるために冷熱衝撃試験時に熱ストレスが発生する。特にチップ中央から遠いコーナー近辺の金属バンプには局所的に熱ストレスが集中する。このため接合部位にクラックが生じ、回路の作動信頼性は大きく低下する。
【0003】
そこで、熱ストレスを緩和する目的から液状注入封止アンダーフィル材による封止が行われる。しかしこの方法はチップとプリント配線基板との隙間にアンダーフィル材を注入、硬化して封止する方法が採られるため工程が煩雑であり、コストもかかる。更にこのような半導体素子の場合は、ウェハー作製工程、ウェハー上への電気回路形成工程、個片化工程、バンプ形成工程、バンプ接合工程、アンダーフィル封止工程が必要であり、ここの工程は製造会社又は工場が異なる場合が多くデリバリーコストがかかってしまうという問題がある。
【0004】
そこで提案されたのがウェハーに電気回路を形成し、個片化せずバンプを形成した後個片化する方法が考え出された。この方法はウェハー製造から一環のラインでバンプ付半導体素子を作ることも可能であり、大幅に素子のコストが下がる可能性がある。しかしこの方法であっても信頼性を上げるためにはアンダーフィル方法による封止工程が必要であり、コストに反映してしまう問題が残っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はバンプ付半導体素子の前記の新しい組立工程の問題を解決するためになされたものである。その目的とするところは製造工程の大幅な短縮がはかれ、且つ信頼性に優れた半導体装置の組立方法を提供するに有る。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、1)電気的接合させるための半田バンプを有する多数個の半導体素子が形成されたウェハーに熱硬化性液状封止樹脂組成物を塗布する工程、2)該熱硬化性液状封止樹脂組成物をタックフリーにする工程、3)該ウェハーをダイシングし、半導体素子を個片化する工程、4)個片化した半導体素子と電気的な配線を有する基板とを電気的に接合し、該熱硬化性液状封止樹脂組成物を加熱流動させた後冷却する圧着工程からなる半導体装置の組立方法において、該熱硬化性液状封止樹脂組成物が2官能以上のエポキシ樹脂、フラックス作用を有する硬化剤、硬化促進剤からなり、該フラックス作用を有する硬化剤が、ジヒドロキシ安息香酸または/及びジヒドロキシナフトエ酸である半導体装置の組立方法である。更に好ましい形態としては、該熱硬化性液状封止樹脂組成物が、平均粒径が0.5μmから12μm、かつ最大粒径が50μm以下である球状無機フィラーを含み、該熱硬化性液状封止樹脂組成物を塗布する工程がスピンコート法により行われ、該エポキシ樹脂が固形のエポキシ樹脂である半導体装置の組立方法である。
以上
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明する。
まずウェハー上に電気回路が形成された多数個の半導体素子にバンプを形成した後、熱硬化性液状封止樹脂組成物を回路形成面のウェハー全体に塗布する。熱硬化性液状封止樹脂組成物を塗布する方法は印刷、ディスペンス、スピンコート、転写等従来から知られた方法を用いることができる。その中でスピンコート法が好ましい。これは膜厚を制御しやすく、バンプ上に残る樹脂組成物を極力少なくすることができ、接合時に接触不良を起こすことがないからである。
【0008】
塗布後に樹脂をタックフリー化する。その方法としては、乾燥機、真空乾燥機等既存の方法を用いることができる。またウェハー状態で電気的試験をする場合はこの後バンプについた樹脂を取り除くこともできる。その方法としては物理的研磨、プラズマなどによるアッシング、溶剤等により除去する方法等が挙げられる。
【0009】
次にウェハーをダイシングして素子を個片化する。
更に、塗布された素子を電気的配線を有する基板、例えば、プリント配線基板等に接合する。その方法は一般的にリフロー炉を通すことにより行われる。半田はフラックス作用を有する硬化剤により表面が活性化され、基板の金属端子と接合する。同時に液状封止樹脂組成物が溶融して封止も行われる。硬化が不十分な場合は接合後、ポストベ―クを行うこともできる。
【0010】
本発明で用いる熱硬化性液状封止樹脂組成物は、タックフリー化可能な樹脂組成物である。タックフリーとは、樹脂組成物を塗布した後低い温度で硬化を進めるか、単に乾燥機や真空乾燥機を用いて乾燥させることで実現できる。ここで用いられる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が使用できるがエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としてはエポキシ基が2官能以上のものであれば特に限定されないが、1)後工程で容易に溶融し封止が可能なこと、2)不純物特にイオン性不純物が少ないことであり、例えば、加水分解性塩素は1000ppm以下であること、3)タックフリーが可能なこと、が満たされていることが必須である。更にエポキシ当量が200以上で且つ固形であることが好ましい。エポキシ当量が200より小さいとタックフリー後の樹脂が脆く、ダイシング時に剥離、欠けが生じてしまうためである。
【0011】
次に半田バンプの場合、接合時に樹脂組成物中にフラックス作用を付与する必要がある。ここでフラックス作用とは半田の表面の酸化膜を還元し、基板と接合できる作用のことをいう。フラックス作用を有する化合物は一般に脂肪族カルボン酸が知られている。カルボン酸の中で硬化剤として作用するものは多官能カルボン酸の場合であるが、しかし多官能カルボン酸は官能基数が多いため液状樹脂組成物の粘度上昇が激しく、更にタックフリーにした後の作業性も劣るため本用途に使用することはできない。硬化剤として使用でき且つフラックス作用を示す化合物としては、ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシナフトエ酸が特に好適である。その中でもカルボン酸が結合した芳香環の炭素の隣接した炭素に水酸基が結合したものが水酸基のキレート効果によりカルボン酸のフラックスとしての活性度があり好ましい。
【0012】
本発明で用いる熱硬化性液状封止樹脂組成物は、半導体素子の封止用途として用いるため高い信頼性が必要である。特に耐水性、線膨張係数を被着体に近づけるために無機フィラーを添加することが好ましい。その形状は接合時に流動性が必要であるため球状が好ましい。更にその大きさは平均粒径が0.5μmから12μmの範囲で且つ最大粒径が50μm以下の球状フィラーであることが好ましい。平均粒径が0.5μm未満であるとバンプ接合時に溶融してB-ステ―ジ化された液状封止樹脂組成物の流動性が不足し、チップの外への樹脂組成物の浸み出し(フィレット)が不十分となり、接着性不足による信頼性の低下の恐れがある。また平均粒径が12μmを超えると液状封止樹脂組成物を塗布時にバンプ上にフィラーが残存した場合、後のバンプ接合時に接触不良を起こす恐れがある。
また最大粒径に関しては、一般にバンプの高さは100μm以下であるため少なくとも液状封止樹脂組成物の塗布厚みはそのバンプの高さ以下にしなければならない。最大粒径が50μmを超えると塗布厚みにばらつきが大きくなりバンプ接合時に接合不良を起こす恐れがある。
【0013】
本発明で用いる無機フィラーの種類は、窒化アルミ、アルミナ、シリカなどがあるが、熱放散性とコストの面からシリカ粒子が好ましく、低放射線性であればより好ましい。形状は球状、破砕状、フレーク状等があるが、フィラーの高充填化により線膨張係数の低減化が図られる為球状であることが必要である。球状無機フィラーの添加量は、全組成物に対して10〜80重量%が望ましい。10重量%未満だと耐湿性や硬化物の線膨張係数が大きくなり、80重量%を越えると結果として得られる組成物の粘度が高くなり過ぎ、流動特性が悪化するため好ましくない。
【0014】
エポキシ樹脂が固形である場合には、溶剤でエポキシ樹脂を溶解する。溶剤はエポキシ樹脂を溶解できるものであれば特に限定されない。しかし、タックフリー化するとき残存残存溶剤を極力少なくするために沸点は150℃以下のものが好ましい。溶剤の例としてはケトン、エステル、アルコール、エーテル、アミド、ラクトン等がある。
【0015】
また、ダイシング時の剥離、欠けを防ぐため本発明で用いる液状封止樹脂組成物に可塑性ポリマーを添加することもできる。
【0016】
本発明で用いる熱硬化性液状封止樹脂組成物の製造方法は、例えば、エポキシ樹脂(固形の場合は溶剤で溶解させる)、フラックス作用を有する硬化剤、その他の添加剤を秤量し、ロール混練等により均一に分散させ、さらに脱泡して作製する。
尚、半導体素子の製作、半田バンプの形成方法、その他本発明以外の工程の半導体装置の製作は従来の公知の方法を用いることができる。
【0017】
また液状封止樹脂組成物には、前記の必須成分の他に必要に応じて他の樹脂や反応を促進するための触媒、希釈剤、顔料、カップリング剤、難燃剤、レベリング剤、消泡剤等の添加物を用いても差し支えない。
【0018】
【実施例】
<実施例1>
ビスフェノールAエポキシ樹脂(エポキシ当量250)70重量部を溶剤として30重量部のメチルイソブチルケトンに溶解させたワニス100重量部、フラックス作用を有する硬化剤として2,5ジヒドロキシ安息香酸15重量部、硬化促進剤として2-フェニル-4-エチルイミダゾ―ル 0.5重量部、フィラーとして球状シリカ(平均粒径0.8μm、最大粒径20μm)80重量部を秤量し3本ロールにて混練・分散後、真空脱泡処理を行い液状封止樹脂組成物を作製した。作製した液状封止樹脂組成物を、高さ50μmの半田バンプが形成されたウェハー(直径6インチ、厚み350μm)にドロッピングし、スピンコーターを用いて均一にウェハー上に樹脂組成物を塗布した。その後5torrで真空乾燥を1時間行いタックフリー化を行った。最終的な塗布厚みは35μmになるように制御した。次にダイシングソ―を用いてウェハーを素子毎に個片化した(チップサイズ6x6mm)。カット面付近にタックフリー化した液状封止樹脂組成物層に剥離、クラックは見られなかった。次に最高温度220℃、最低温度183℃で60秒のIRリフロ―炉に通し有機基板に素子を仮圧着した。半田ボールの基板への接合と同時に行うことができた。更にポストベ―クとして150℃、1時間硬化させた。樹脂は素子の外側まで流動しフィレットが形成されていた。また硬化物中のボイドは見られなかった。
更に、タックフリー化した後1ヶ月常温にて保存したものを同様に接合を行い、初期と同様に樹脂組成物封止と接合を同時に行うことができた。接続は断面研磨により光学顕微鏡により接合状態を観察した。
【0019】
<実施例2>
フェノ―ルノボラックとジシクロペンタジエンの重付加物をグリシジル化したエポキシ樹脂(エポキシ当量264、EXA-7200)70重量部を溶剤として30重量部のメチルイソブチルケトンに溶解させたワニス100重量部、フラックス作用を有する硬化剤として2,5ジヒドロキシ安息香酸14重量部、硬化促進剤として2-フェニル-4-エチルイミダゾ―ル 0.5重量部、フィラーとして球状シリカ(平均粒径0.8μm、最大粒径20μm)80重量部を秤量し3本ロールにて混練・分散後、真空脱泡処理を行い液状封止樹脂組成物を作製し、この樹脂を用いて実施例1と同様に評価を行った。
【0020】
<実施例3>
実施例1においてフラックス作用を有する硬化剤として1,4ジヒドロキシナフトエ酸15重量部とした以外は実施例1と同様に液状封止樹脂を調製し同様の試験を行った。
【0021】
<比較例1>
実施例の硬化剤の代わりにフェノ―ルノボラック(水酸基等量105)29重量部とした以外は実施例1と同様に液状封止樹脂組成物を作成し同様の評価を行った。
【0022】
<比較例2>
実施例の硬化剤の代わりにメチルヘキサヒドロフタル酸無水物45重量部とした以外は実施例1と同様に液状封止樹脂組成物を作製し同様の評価を行った。
【0023】
<評価方法>
ダイシング性:実施例に示したウェハーをダイシングしたときのタックフリー化した樹脂組成物層の状態
接続性1:液状封止樹脂をタックフリー化した直後にダイシング−接続を行ったときの半田接合性(光学顕微鏡による断面観察)
接続性2:液状封止樹脂をタックフリー化した後に常温、1ヶ月保管し、ダイシング-接続を行ったときの半田接合性(光学顕微鏡による断面観察)
フィレット形成性1:液状封止樹脂をタックフリー化した直後にダイシング−接続を行ったときの素子外部に封止樹脂が流動しすべての側面が封止されているかどうか目視で判定した。
フィレット形成性2:液状封止樹脂をタックフリー化した後常温、1ヶ月保管しダイシング−接続を行ったときの素子外部に封止樹脂が流動しすべての側面が封止されているかどうか目視で判定した。
ボイド1:タックフリー化した直後液状封止樹脂を硬化した後ボイドの発生を超音波探傷装置で観察した。
ボイド2:タックフリー化した後常温、1ヶ月保管しダイシング−接続を行ったときの液状封止樹脂中のボイドの発生を超音波探傷装置で観察した。
【0024】
評価結果を表1に示す。
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明の組立方法に従うと従来の個片素子をアンダーフィル材で充填する方法に比べ一度でアンダーフィル材を塗布できるため製造工程を大幅に短縮化することができ、また、ウェハー工程の一環としてウェハー上への樹脂形成も可能となる。更に実施例で示されたように本発明のタックフリー化した樹脂組成物は従来の硬化剤を用いた場合に比べ半田接合と樹脂封止が同時に行える。また途中工程での長期保存も可能となため工業的メリットは大きい。
Claims (4)
- 1)電気的接合させるための半田バンプを有する多数個の半導体素子が形成されたウェハーに熱硬化性液状封止樹脂組成物を塗布する工程、2)該熱硬化性液状封止樹脂組成物をタックフリーにする工程、3)該ウェハーをダイシングし、半導体素子を個片化する工程、4)個片化した半導体素子と電気的な配線を有する基板とを電気的に接合し、該熱硬化性液状封止樹脂組成物を加熱流動させた後冷却する圧着工程からなる半導体装置の組立方法において、該熱硬化性液状封止樹脂組成物が2官能以上のエポキシ樹脂、フラックス作用を有する硬化剤、硬化促進剤からなり、該フラックス作用を有する硬化剤が、ジヒドロキシ安息香酸または/及びジヒドロキシナフトエ酸であることを特徴とする半導体装置の組立方法。
- 該熱硬化性液状封止樹脂組成物が、平均粒径が0.5μmから12μm、かつ最大粒径が50μm以下である球状無機フィラーを含む請求項1記載の半導体装置の組立方法。
- 該熱硬化性液状封止樹脂組成物を塗布する工程がスピンコート法により行われる請求項1記載の半導体装置の組立方法。
- 該熱硬化性液状封止樹脂組成物のエポキシ樹脂が固形エポキシ樹脂である請求項1記載の半導体装置の組立方法
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