JP3816650B2 - 表面実装機の部品認識方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸着用ヘッドから所定距離隔てて配置された光学的測距手段を用い、吸着用ヘッドに吸着されている部品との距離の検出に基づいて部品位置を認識する表面実装機の部品認識方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、移動可能なヘッドユニットにノズルを有する吸着用ヘッドを搭載し、部品供給部のテープフィーダ等からIC等の小片状の電子部品を吸着して位置決めされているプリント基板上に移送し、プリント基板上の所定位置に装着するようにした表面実装機は一般に知られている。
【0003】
この種の表面実装機では、ノズルに対して部品中心がずれた状態で部品が吸着される場合があるため、通常は、吸着用ヘッドに設けられた部品認識装置によりノズルに対する部品の吸着位置を検出し、この検出結果に基づいて吸着用ヘッドの移動量等を補正して部品をプリント基板に装着するようにしている。
【0004】
このような部品認識装置として、例えば、特公平7−112118号公報に開示されるような装置が知られている。
【0005】
この装置は、光の照射部と受光部とを備えた光学式の測距センサを有し、吸着された部品をノズル軸回りに一回転させつつ部品とセンサとの距離を測定し、その測定結果に基づいて部品位置を認識するように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような部品認識装置による部品の認識は、通常、吸着用ヘッドのノズルによる部品の装着後、部品を吸着するまでの間に行うものであるから、より速やかに部品位置の認識を行える方が実装効率を高める上で好ましい。
【0007】
ところが、上記公報に開示されている従来の部品認識装置では、距離検出の際に部品を一回転させ、その間に部品全周に対して距離を測定して部品の位置を認識するため、認識における演算処理に時間がかかり、部品位置認識速度を高める上で改善の余地が残されている。
【0008】
また、部品を回転させながら距離を測定するため、振動等による部品の吸着ずれを誘発するといった懸念もあり、これを解決することも望まれる。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、部品認識での演算処理速度を高めて部品認識をより速やかに行うことができる表面実装機の部品認識方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、本発明は、光の照射部と受光部とを備えた光学式測距手段を、吸着ヘッドのノズルから所定距離隔てて配置し、該光学式測距手段からノズルに吸着された部品までの距離を測定して、該測定データに基づいて吸着ヘッドによる部品吸着位置を求める方法において、上記部品を静止させた状態でその一側方から光学式測距手段の照射光を照射しつつ、ノズル中心軸に直交する走査方向に上記照射光を走査させることにより部品の輪郭を表す二次元データを得、この二次元データにおいて部品角部に相当する3つの変曲点を検出することにより部品の二辺の位置を検出し、各辺の位置に基づいて部品吸着位置を求めるようにしたものである。
【0011】
この方法によれば、対象部品が矩形部品である場合に、その吸着位置を求めることができる。しかも、この方法では、ノズル中心軸に直交する走査方向に上記照射光を走査させるだけなので部品半周分、あるいはそれより少ない部分の距離の測定で部品吸着位置を認識することが可能となる。そのため、従来のように部品全周について距離の測定を行う方法に比べると採取データの数が大幅に削減される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
図1および図2は本発明に係る表面実装機の一例を示している。同図に示すように、表面実装機(以下、実装機と略す)の基台1上には、プリント基板搬送用のコンベア2が配置され、プリント基板3が上記コンベア2上を搬送され、所定の装着作業用位置で停止されるようになっている。上記コンベア2の前後側方には、それぞれ多数列のテープフィーダ4a等からなる部品供給部4が設けられている。
【0014】
また、上記基台1の上方には、部品装着用のヘッドユニット5が装備され、このヘッドユニット5はX軸方向(コンベア2の方向)およびY軸方向(水平面上でX軸と直交する方向)に移動することができるようになっている。
【0015】
すなわち、上記基台1には、Y軸方向に延びる一対の固定レール7と、Y軸サーボモータ9により回転駆動されるボールねじ軸8とが配設され、上記固定レール7上にヘッドユニット支持部材11が配置されて、この支持部材11に設けられたナット部分12が上記ボールねじ軸8に螺合している。また、上記支持部材11には、X軸方向に延びるガイド部材13と、X軸サーボモータ15により駆動されるボールねじ軸14とが配設され、上記ガイド部材13にヘッドユニット5が移動可能に保持され、このヘッドユニット5に設けられたナット部分(図示せず)が上記ボールねじ軸14に螺合している。そして、Y軸サーボモータ9の作動によりボールねじ軸8が回転して上記支持部材11がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ15の作動によりボールねじ軸14が回転して、ヘッドユニット5が支持部材11に対してX軸方向に移動するようになっている。なお、上記Y軸サーボモータ9及びX軸サーボモータ15には、それぞれ駆動位置を検出するエンコーダ10,16が設けられている。
【0016】
また、上記ヘッドユニット5には吸着用ヘッド20が設けられている。この吸着用ヘッド20は、ヘッドユニット5のフレームに対して昇降及び回転が可能となっており、詳しく図示していないが、Z軸サーボモータ22を駆動源とする昇降駆動手段及びR軸サーボモータ24を駆動源とする回転駆動手段により駆動されるようになっている。吸着用ヘッド20の下端には部品吸着用のノズル21が設けられており、部品吸着時には図外の負圧供給手段からノズル21に負圧が供給されて、その負圧による吸引力で部品が吸着されるようになっている。
【0017】
さらに、ヘッドユニット5の下部には、上記ノズル21に吸着された部品の吸着状態を検出するための測距センサ30(光学式測距手段)が設けられている。
【0018】
この測距センサ30は、レーザ光の照射部と受光部とを上下に備え、このレーザ光により部品を一次元的に走査しながら対象物との距離を三角測距の原理により測定するように構成されたいわゆるレーザスキャニングセンサで、ノズル21から所定距離を隔て上記ヘッドユニット5のフレームに固定されている。
【0019】
測距センサ30には、図示を省略するが、レーザ発生源と、ここで発生したレーザ光を反射させて上記照射部を介して対象物に照射するミラーと、このミラーを揺動させる、例えばモータを駆動源とする揺動駆動機構と、受光部を介して入射される反射光を受光する位置検出素子と、投光及び受光用の各種レンズとが内蔵されており、上記レーザ発生源で発生したレーザ光をミラーで反射させて対象物に照射し、該対象物で反射した反射光を位置検出素子で受光するようになっている。そして、上記揺動駆動機構の作動により上記ミラーを揺動させることにより、レーザ光の照射光を変化させて部品を含む所定範囲にわたり一次元的に走査するように構成されている。
【0020】
上記測距センサ30は、図3に示すように、X軸方向の一方側から他方側に向かってレーザ光Lを照射し、吸着部品29が所定認識高さに配置されたときに部品29の側面にレーザ光Lを照射するように配置されている。そして、上記揺動駆動機構の作動により、レーザ光LをY軸方向に走査するようになっている。
【0021】
図4は上記実装機における制御系統の概略構成をブロック図で示している。この図において、実装機に装備される制御装置は、上記各サーボモータ等の各種回転軸の駆動を制御する軸制御装置41と、検出部である測距センサ30からの信号を受ける検出装置42と、これらを統括制御する上位コントローラ43とを備えている。
【0022】
上記軸制御装置41は、吸着用ヘッド20の制御のための手段として、R軸サーボモータ24の制御によって回転の制御を行う軸回転制御手段44と、Z軸サーボモータ22の制御によって昇降の制御を行う軸高さ制御手段45と、ノズル21への負圧供給の制御によって部品吸着の制御を行う吸着制御手段46とを含み、この他にY軸サーボモータ9及びX軸サーボモータ15の制御によってヘッドユニット5のX,Y方向の制御を行う手段(図示せず)等を含んでいる。
【0023】
また、上記検出装置42は、走査制御手段47、形状検出手段48、記憶部49及び位置決め演算手段50を備えている。
【0024】
上記走査制御手段47は、部品認識の際に、レーザ光により部品を走査すべく上記測距センサ30の揺動駆動機構を制御する。また、上記形状検出手段48は、測距センサ30の測定データに基づいて部品の輪郭の一部を検出してこれを記憶部49に記憶する。そして、位置決め演算手段50により、上記部品の輪郭と部品の形状的特徴部分に基づき部品吸着位置が演算されるようになっている。
【0025】
次に、上記検出装置42及び軸制御装置41による部品認識時の処理を図6乃至図8を用いつつ図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0026】
まず、吸着用ヘッド20のノズル21により部品供給部4から部品が吸着されると、吸着用ヘッド20の昇降及び回転により吸着部品29が所定認識高さ位置に配置されるとともに、所定のノズル回転角度で保持される(ステップS1)。
【0027】
そして、測距センサ30からレーザ光Lが照射され、このレーザ光LがY軸方向に走査される。
【0028】
例えば、図6に示すような部品29(矩形部品)の吸着状態の場合、このようにレーザ光Lが走査されると、測距センサ側に位置する二側辺29a,29bでレーザ光Lが反射し、これ以外の部分ではレーザ光Lが部品29を透過する。そのため、部品29の側辺29a,29bの各位置と測距センサ30との距離が測定されることとなり、同図(図6の左側図)又は図7に示すような二次元データ、すなわち部品29の二側辺29a,29bにわたる部分に対応する輪郭が得られる。そして、この二次元データから、3つの変曲点Ta,Tb,Tc、すなわち部品29のコーナーが検出される(ステップS2)。
【0029】
ここで、3つの変曲点Ta,Tb,Tcが検出できない場合には、ステップS4に移行して吸着用ヘッド20を90°回転させた後、ステップS1に移行してレーザ光Lにより部品29を再度走査する。なお、変曲点が検出できない具体的な例としては、例えば、図8(a)に示すように、レーザ光照射方向に対する部品の傾きが小さくて変曲部分(変曲点Taの部分)が直線に近い場合や、変曲点(変曲点Ta)が測距センサ30による計測範囲外にある場合等が考えられる。
【0030】
ステップS2において変曲点Ta,Tb,Tcが検出されると、これから部品の側辺29a,29bに対応する二辺L1,L2の位置が検出され、さらに各辺L1,L2の中点P1,P2の位置が求められる。こうして中点P1を通って辺L2に平行な線分と中点P2を通って辺L1に平行な線分との交点、すなわち部品29の中心位置Oaが求められる。
【0031】
そして、得られた部品29の中心位置Oaと、既知のデータであるノズル中心位置Obとから部品吸着位置が求められる。この際、部品吸着位置がずれていると、つまり、部品29の中心位置Oaとノズル中心位置Obとがずれていると、そのずれ量が求められる。また、上記二辺L1,L2とX軸、あるいはY軸と平行な線分とが成す角度に基づいて、部品29のノズル軸回りのずれ量が求められる(ステップS3)。なお、ノズル中心位置Obは、測距センサ30とノズル21との設計上の理論位置としてもよい。また、測距センサ30によりノズル21との距離を測定し、これより得られる二次元形状に基づいて上記の部品吸着位置の認識と同様にしてノズル中心位置を求めるようにしてもよい。
【0032】
そして、部品29のプリント基板3への装着の際には、上記のようにして求められたずれ量に応じて装着位置の補正が行われる。
【0033】
以上のような実装機においては、ヘッドユニット5の吸着用ヘッド20で部品供給部4から部品29が吸着された後、ヘッドユニット5に装備された測距センサ30による走査に基づいて上記フローチャートに示すような部品認識の処理が行われる。この場合、部品29を静止させた状態でY軸方向にレーザ光Lを走査させるので、距離測定は部品半周分について行われることとなる。つまり、部品半周分の測定データで部品吸着位置を認識することができる。そのため、部品を回転させながらその全周にわたって距離測定を行う従来のこの種の装置に比べると、部品吸着位置の認識に必要なデータ数が大幅に削減されることとなる。従って、部品吸着位置の認識における演算処理速度を効果的に高めることができ、これにより部品吸着位置の認識をより速やかに行うことができる。
【0034】
また、従来装置では、部品を回転させながら距離測定を行うので、回転慣性や振動による吸着ずれ等の懸念があり、これを抑制するためには低速で回転等の処理を行う必要があるが、上記の実装機によれば、部品29を静止させた状態でレーザ光Lによる走査を行うので、高速で走査しても振動による吸着ズレ等の心配は一切ない。そのため、より精度よく、しかも短時間で部品位置を認識することが可能となる。
【0035】
なお、上記実装機では、測距センサとして、レーザ光を走査可能とする走査手段、つまりミラー及びその揺動駆動機構を内蔵した測距センサ30(レーザスキャニングセンサ)を用いているが、例えば、このような機構を内蔵していない測距センサを用いるようにしてもよい。この場合には、走査手段として、測距センサ自体をY軸方向に移動させる機構を設けるか、あるいは測距センサ自体をZ軸回りに揺動させる機構を設けてレーザ光を走査させるようにすればよい。
【0036】
また、上記の説明では、矩形の部品29を用いた場合を例に挙げて部品吸着位置の認識を行う方法について説明しているが、勿論、矩形以外の形状を有する部品の認識を行うことも可能である。この場合も、測距センサ30による距離測定により部品輪郭を示す二次元データを得、このデータとその部品の形状的特徴部分とに基づいて部品吸着位置を求めるようにすればよい。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、矩形部品を静止させた状態で、ノズル中心軸に直交する走査方向に光学式測距手段の照射光を走査させることにより得られる二次元データ、つまり部品半周分、あるいはそれ以下の部分の輪郭の形状的特徴から部品吸着位置を求めるようにしたので、従来のように部品全周に対して距離の測定を行う方法に比べると採取データの数が大幅に削減される。従って、部品吸着位置の認識における演算処理速度を効果的に高めることができ、これにより部品吸着位置の認識をより速やかに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の装置が具備される実装機の一例を示す概略平面図である。
【図2】 同概略正面図である。
【図3】 測距センサと吸着部品との相対的は配置を示す平面模式図である。
【図4】 制御系統を示すブロック図である。
【図5】 部品認識の処理を示すフローチャートである。
【図6】 測距と測距データ(二次元データ)との関係を説明する概念図である。
【図7】 部品位置認識の手順を説明する図(測距データ)である。
【図8】 (a),(b)は、測距データから変曲点を検出できない例を示す図(測距データ)である。
【符号の説明】
5 ヘッドユニット
20 吸着用ヘッド
21 ノズル
29 部品
30 測距センサ
41 軸制御装置
42 検出装置
43 上位コントローラ
44 軸回転制御手段
45 軸高さ制御手段
46 吸着制御手段
47 走査制御手段
48 形状検出手段
49 記憶部
50 位置決め演算手段
Claims (1)
- 光の照射部と受光部とを備えた光学式測距手段を、吸着ヘッドのノズルから所定距離隔てて配置し、該光学式測距手段からノズルに吸着された部品までの距離を測定して、該測定データに基づいて吸着ヘッドによる部品吸着位置を求める方法において、上記部品を静止させた状態でその一側方から光学式測距手段の照射光を照射しつつ、ノズル中心軸に直交する走査方向に上記照射光を走査させることにより部品の輪郭を表す二次元データを得、この二次元データにおいて部品角部に相当する3つの変曲点を検出することにより部品の二辺の位置を検出し、各辺の位置に基づいて部品吸着位置を求めることを特徴とする表面実装機の部品認識方法。
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1997
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