JP3816520B2 - 再締結可能な締結装置の為の雌部材、再締結可能な締結装置、及び使い捨て可能な吸収物品 - Google Patents

Description

発明の分野
この発明は、再締結可能な締結装置の為の雌部材、この雌部材を備えた再締結可能な締結装置、そして上記雌部材又は上記再締結可能な締結装置を備えた使い捨て可能な吸収物品に関係している。
発明の背景
フック及びループ形式の締結装置は、大変多くの分野において現在広く使用されている。このような再締結可能な締結装置は、衣服や使い捨て可能な吸収用品やこれらに類似の物品において特に役立っている。このような締結装置は、２つまたはそれ以上の物品の間や同じ物品の幾つかの表面の間の再締結可能な結合を創出することが望まれる時に使用される。ある適用においては、これらの再締結可能な締結装置は、従来のバックルやジッパーや釦やスナップや紐による締結装置や縫合の代わりにされている。
再締結可能な結合を創出する為に機械的な係合部材を使用する現在幅広く使用されている一般的な機械式締結装置は、商標名「ベルクロ」の名の下で販売されている。ベルクロ締結装置は、米国特許第２，７１７，４３７号明細書，米国特許第３，００９，２３５号明細書，米国特許第３，２６６，１１３号明細書，米国特許第３，５５０，８３７号明細書，米国特許第４，１６９，３０３号明細書，そして米国特許第４，９８４，３３９号明細書中に非常に詳しく記載されている。
ベルクロ締結装置は、２つの部材を使用している。雄部材と雌部材である。（雄部材はしばしばフックまたはもつれ部材として引用され、そして雌部材はしばしばループまたは着地領域部材として引用される。）雄部材は、弾性を有し立ち上がったフック形状の複数の要素を含んでいる。雌部材は、立ち上がった複数のループを表面に含んでいる織物から略成っている。雄部材とループ部材とが面と面を対向させた関係で締結装置を閉じるように相互に押しつけられた時には、フックがループにもつれて個々のフックとループとの間の複数の機械的な結合を形成している。これらの係合が創出された時には、雄部材と雌部材は通常の状態では一般的に決して係合が解除されない。これは、一度に全てのフックの係合状態を解除しようとする試みにより雄部材と雌部材を相互に分離させることが非常に困難であるからである。しかしながら、雄部材と雌部材に序々に引き剥がし力が負荷された時には、係合解除を容易に行うことが出来る。引き剥がし力の下では、フックが弾性材料により構成されているので、フックは容易に開いてループを解放する。
このような形式の締結装置は、使い捨て可能な衣服や使い捨て可能なおむつや使い捨て可能な包装やカートンやこれらに類似の物の如き使い捨て可能な物品において特に役立つことが発見されている。このような締結装置は確実な閉鎖手段を創出する。しかしながら、使い捨て可能な物品上におけるこのような型式の現存する締結装置の使用は、このような締結装置が比較的高価であるという事実の故に制限されている。このような締結装置が高価である主たる理由は、このような締結装置の製造コストが高いことである。これらの高い製造コストは、これらの締結装置のフック及びループ部材の両者に関係している。
従来のフック及びループ部材は典型的には、裏材から外方に延出している多数のループ状に編まれた織物を形成することにより形成される。ループは、追加の糸を含む基礎織物をループを形成するよう編むことにより、またはループを織物に編むことにより、創出することが出来る。このような締結装置の雄部材は典型的には、ループを切断してフックを形成することにより形成される。しかしながら、このような製造工程は比較的製造速度が遅いので、フック及びループの締結材料の製造を一般には高価にしてしまう。このような締結装置のフック及びループ部材はまた通常は同じ比較的高価な材料から形成されている。
従って、締結装置の為の雌部材の別の型式を形成する為の幾つかの試みがなされている。しかしながら、このような試みは一般的にたくさんの欠点を生じさせている。
１９７２年１０月３日にスタンプフ（Stumpf）に対し発行された米国特許第３，６９４，８６７号の明細書は、「嵩高」の編まれていない織物と合体された柔軟な接着剤の裏打ち層とを備えた雌部材を有した「分離可能な止め金」を開示している。しかしながら、スタンプフの特許に開示されているループ部材は：（１）繊維（fiber）が埋設されている開放模様接着剤を活性化させ；（２）この接着剤を実質的に連続している裏打ち層に合体させ；そして（３）繊維の部分を同時にループ状にして繊維が裏打ち層から外方に向かい延出した個々のループを形成するようにする；という工程を行うことによって準備される。この特許に記載されている雌部材は、繊維をループ形状に機械的に操作することを含む工程により形成されるという欠点にさらされている。従って、ここに記載されている雌部材は従来のループ部材よりも製造費用を非常に安くするとはとうてい思えない。
１９８８年８月２日にオットその他（Ott，et al．）に対し発行された米国特許第４，７６１，３１８号の明細書は、形成と基盤への取り付けとの両者を、基盤への固定の為の縫製や圧力感知接着剤の如きいかなる追加の工程も必要とすることなく、同時に実行することが出来るループ状締結装置を開示している。しかしながら、オットのループ状締結装置は熱可塑性樹脂の層に固着された多数のループを有している繊維（fibrous）構造を備えている。従って、この特許に記載されている工程は、繊維構造を裏打ち部材に接着する為に熱を適用しなければならないという決定にさらされている。
１９７３年１月９日にリビッヒその他（Ribich，et al．）に対して発行された米国特許第３，７０８，８３３号の明細書は、裏打ち層に対して固定された網状のウレタン発泡体を備えた雌部材を有している再締結可能な締結装置を開示している。リビッヒその他の特許に開示されている雌部材は、発泡体が従来の雄部材のフックが貫通するのに十分な開口を有していないという欠点にさらされている。さらに網状のウレタン発泡体は一般的に、締結装置に力が適用された時に、このようなフックを保持するのに十分な強さを有していない。さらに、網状の発泡体を製造する工程は比較的高価な工程である。
１９９１年７月１６日にノエルその他（Noel，et al．）に対して発行された米国特許第５，０３２，１２２号の明細書は、方向付け可能な材料の裏打ち部材と裏打ち部材から延出している多数の繊維（fibrous）要素とを有したループ状の締結材料を開示している。繊維は、裏打ち部材が寸法が安定していない状態にある間に、裏打ち部材に固定される。裏打ち部材は次にその寸法が安定した状態に変化させられ、これによりループ状の材料の捕獲領域を形成するよう繊維要素を剪断する。
ノエルの特許は許容可能な低いコストのループ状の締結材料を開示しているとはいうものの、より安価なループ状の締結材料やこのような材料を製造する為の方法が依然として研究され続けている。
この発明の目的は、再締結可能なフック及びループ形式の締結装置の為の改良された着地領域部材を創出することである。
この発明のさらなる目的は、ユニークな溝付きの雌部材を有した再締結可能な締結装置を創出することである。
この発明のまたさらなる目的は、強い保持を達成するとともに弾性的に伸びることが可能な雌部材を有している再締結可能な締結装置を創出することである。この発明のさらなる目的は、構造的に弾性状のフィルム（Structural Elastic-Like Film:SELF）ウェッブを備えた、フック及びループ形式の締結装置の為の雌部材を創出することである。
この発明のもう１つの目的は、弾性的な個々のフックを有し市場で入手可能な雄部材及び現在使用されている雄部材よりも壊れやすいフックを伴ったより安い雄部材の両者とともに使用出来る、締結装置の為の雌部材を創出することであるい。
この発明のこれらの及び他の目的は、以下の記載を参照して考え添付の図面を考慮した時により容易に明らかになる。
発明の概要
この発明に従った再締結可能な締結装置の為の雌部材は：自身の少なくとも１つの軸に沿って適用された軸方向伸びに対応して弾性状行動を発揮し、実質的に同じ材料構造で形成された第１及び第２の領域を有し伸びが可能な編目状構造を含んでおり、第１の領域は上記適用された軸方向の伸びに対して第１の弾性状抵抗力を創出し、第２の領域はさらに適用される軸方向の伸びに対して第２の抵抗力を創出し、これにより第１の弾性状抵抗力と合わせて第１の弾性状抵抗力よりも大きな総合抵抗力を創出し、第２の領域は複数の立ち上げられたリブ状要素を有している、基礎ウェッブと；基礎ウェッブに固定されることにより、対応する雄締結部材のフックともつれることが出来るよう上記リブ状要素により支持される複数のフィラメントと；を備えていることを特徴としている。
この発明に従った再締結可能な締結装置は：ａ）フックを備えている雄部材と；そして、ｂ）自身の少なくとも１つの軸に沿って適用された軸方向伸びに対応して弾性状行動を発揮し、実質的に同じ材料構造で形成された第１及び第２の領域を有し伸びが可能な網目状構造を含んでおり、第１の領域は上記適用された軸方向の伸びに対して第１の弾性状抵抗力を創出し、第２の領域はさらに適用される軸方向の伸びに対して第２の抵抗力を創出し、これにより第１の弾性状抵抗力と合わせて第１の弾性状抵抗力よりも大きな総合抵抗力を創出し、第２の領域は複数の立ち上げられたリブ状要素を有している、基礎ウェッブと、基礎ウェッブに固定されることにより、上記雄締結部材のフックともつれることが出来るよう上記リブ状要素により支持される複数のフィラメントと、を備えている雌部材と；を備えていることを特徴としている。
この発明に従った使い捨て可能な吸収物品は：上部シートと、上部シートに結合された裏シートと、上部シートと裏シートの間に配置された吸収剤の核と、そして、使い捨て可能な吸収物品を装着者の回りに締結する為の締結システムと、を備えており、ここにいては上記締結システムが請求項１の雌部材または請求項２の再締結可能な締結装置を備えている、ことを特徴としている。
この発明に従ったもう１つの使い捨て可能な吸収物品は：裏シートと、上部シートと上部シートと裏シートの間の吸収剤の核とを含み裏シートに結合された保持組立体と、を備え、ここにおいては上記裏シートの少なくとも一部が請求項１の雌部材を備えている、ことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
明細書はこの発明を形成するとして考慮されている主題を特に指摘し、そして明確に主張している請求項で終了されているが、この発明は添付の図面を参照しながら以下の記載からより良く理解出来ると信じている。添付の図面においては、実質的に同じ要素を指摘するのに同じ参照符号が使用されている。ここにおいて：
第１図は、見ている者の方に向かい対面している立ち上がったリブ状の要素を伴ったＳＥＬＦウェッブを備えている、この発明の基礎ウェッブの好適な実施例の平面図であり；
第１Ａ図は、この発明の雌部材を備えている締結装置の実施例の斜視図であり；
第２図は、引っ張りがない状態における第１図のＳＥＬＦウェッブの部分的な斜視図であり；
第３図は、第５図に描かれた力−伸び曲線上の段階Ｉに対応している引っ張られた状態における第１図のＳＥＬＦウェッブの部分的な斜視図であり；
第４図は、第５図に描かれた力−伸び曲線上の段階IIに対応して引っ張られた状態における第１のＳＥＬＦウェッブの部分的な斜視図であり；
第５図は、第１図に示されている如きＳＥＬＦウェッブの動きを他の平面状である以外は同じ基礎重合体ウェッブ材料とを比較した、抵抗力対伸びパーセントのグラフであり；
第６図は、６０％の伸びにさらされヒステリシス対応が試験された時の第１図のＳＥＬＦウェッブの弾性ヒステリシス行動を示すグラフであり；
第７図は、フィルムの少なくとも一部をＳＥＬＦウェッブに形成する為に使用されるもう１つの装置の簡略化した図面であり；
第８図は、この発明の好適な実施例の部分的な側面図であり；
第９図は、この発明の雌部材を備えている使い捨て可能な吸収物品の平面図であり；そして、
第１０図は、この発明の雌部材を備えている使い捨て可能な吸収物品の平面図である。
発明の詳細な説明
再締結可能な締結装置の全体的な特徴
この発明の再締結可能な締結装置の好適な実施例である締結装置１０は第１Ａ図に示されている。締結装置１０は部材１２とこれに協働する雄部材１４とを備えている。
雌部材１２は、第８図に示す如く、基礎ウェッブ５３と係合層５４とを備えている。係合層５４は好ましくは複数のフィラメント９０を備えている。ここに使用されている時、用語「フィラメント」は直径または幅に対する長さの比率が高い部材を規定している。従ってフィラメントは、繊維（fiber）や糸（thread）やストランド（strand）やヤーン（yarn）やその他の部材やこれらの部材の組み合わせであることが出来、この組み合わせには当業界で既に知られている如く編まれていないウェッブ中に相互に予め付着されているフィラメントが含まれている。フィラメントの為の適切な材料は、例えば綿や毛の如き天然繊維；例えばナイロンやポリアミドやポリエステルやポリオレフィンやポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維の如き人口繊維；紡績糸（spun yarn）や他の材料や当業界で知られているとともにここで使用するのに適している材料の組み合わせ；を含んでいる。例示する編まれていないウェッブは、製品番号Ｐ−８の下でマサチューセッ州ウォルポール（Walpole）のインターナショナル ペーパー カンパニー（International Paper Company）の一部（Division）であるベラテック（Veratec）有限責任会社（Inc．）により製造されている編まれていない材料である。
雄部材１４、即ちフック部材、は、基礎１５と複数の立ち上げられた係合要素、即ち「フック」２８、とを備えている。用語「フック」は、この発明の雌部材１２のリブ状要素７４と係合するよう適用されている限り当業者において知られているいかなる形状であることが出来るという意味で制限がない。
この発明の締結装置１０は以下のように機能する。締結装置１０は、雌部材１２の係合層５４と雄部材１４のフック２８とが相互に押し付けられた時に閉鎖される。雌部材１２の係合層５４は雄部材１４のフック２８ともつれる。（雌部材の実施例は係合層５４がリブ状要素７４と同様にフック２８ともつれることが期待されていることに注目すべきである。）フック２８が雌部材１２と機械的にもつれることにより、雌部材１２と雄部材１４との間の連結は締結装置１０に負荷される分離力に抵抗する。
締結装置１０は、雄部材１４を雌部材１２から引き剥がすことにより、またはこの逆にすることにより、開放される。雄部材１４が弾性フック２８を有しているのであれば、引き剥がし動作はフック２８が雌部材１２から係合を解除されるようフック２８に曲げを生じさせる。他の場合には、雄部材１４と雌部材１２とはフック２８にもつれている雌部材１２の部分を引き剥がすことにより分離される。いずれの場合にも、雄部材１４と雌部材１２の２つは係合が解除され、雄部材１４は雌部材１２から完全に分離される。締結装置１０は次に上述した方法により再締結可能である。
雌部材
上述した如く、この発明の雌部材１２は、フィラメントまたは編まれていないウェッブを含んでいる係合層５４と基礎ウェッブ５３とを備えている。第１図は、雌部材１２の基礎ウェッブ５３の１つの実施例を示している。基礎ウェッブ５３は構造的に弾性状のフィルム（Structural Elastic-Like Film:SELF）ウェッブ５２を備えている。ＳＥＬＦウェッブ５２は引っ張りが負荷されていない状態で示されている。ＳＥＬＦウェッブ５２は２つの軸、即ち中心線、長手方向中心線１と長手方向中心線に対して略直交する横断または側方中心線ｔと、を有している。
第１図及び第２図に関しては、ＳＥＬＦウェッブ５２は区分領域の「引っ張り可能な網状組織（strainable network）」を含んでいる。ここにおいて使用されている時、用語「引っ張り可能な網状組織」は、適用され続いて解除された伸びに対応してＳＥＬＦウェッブ５２に弾性状行動を創出させる所定の方向における幾分かの役に立つ程度に伸びることが出来る複数の領域の相互に連結され相互に関連したグループを意味している。従って、ＳＥＬＦウェッブ５２そしてひいては雌部材は弾性的に伸びることが可能である。（ここで使用されている時、用語「弾性的に伸びることが可能である（elastically extensible）」は、ＳＥＬＦウェッブ５２が適用された伸びにさらされた時にＳＥＬＦウェッブ５２が示す弾性状行動を意味しており；ＳＥＬＦウェッブ５２は適用された伸びの方向に伸び、そして一旦適用された伸びが除去されると実質的に伸びが生じていない状態へと復帰される。）さらにＳＥＬＦウェッブ５２は、実質的な回復の為の能力を失うことなく適用される伸びの多数回の繰り返しにも耐えることが出来る。
引っ張り可能な網状組織は、第１の領域６４と第２の領域６６とを少なくとも含んでいる。ＳＥＬＦウェッブ５２は、第１の領域６４と第２の領域６６との間の界面にある変遷領域６５を含んでいる。変遷領域６５は、第１の領域６４と第２の領域６６の両者の行動の複雑な混合を同様に示す。ＳＥＬＦウェッブ５２が変遷領域を有していることが認められているが、しかしながらＳＥＬＦウェッブ５２は区分領域（即ち、第１の領域６４と第２の領域６６）におけるウェッブ材料の行動により大きく規定されている。従って、ＳＥＬＦウェッブ５２の次に続く記載は、第１の領域６４と第２の領域６６のみにおけるウェッブ材料の行動に関係している。なぜならば、これらは変遷領域６５におけるウェッブ材料の複雑な行動に強く影響されないからである。
ＳＥＬＦウェッブ５２は第１の表面と正反対の第２の表面とを有している。第１図及び第２図に示されている好適な実施例においては、引っ張り可能な網状組織は複数の第１の領域６４と複数の第２の領域６６とを含んでいる。第１の領域６４は第１の軸６８と第２の軸６９とを有しており、ここにおいて第１の軸６８は好ましくは第２の軸６９よりも長い。第１の領域６４の第１の軸６８はＳＥＬＦウェッブ５２の長手方向軸に対して実質的に平行であり、また第２の軸６９はＳＥＬＦウェッブ５２の横方向軸に対して実質的に平行である。好ましくは、第１の領域６４の第２の軸（即ち、第１の領域６４の幅）は略０．０１インチ乃至略０．５インチであり、より好ましくは略０．０３インチ乃至略０．２５インチである。第２の領域６６は第１の軸７０と第２の軸７１とを有している。第１の軸７０はＳＥＬＦウェッブ５２の長手方向軸に対して実質的に平行であり、また第２の軸７１はＳＥＬＦウェッブ５２の横方向軸に対して実質的に平行である。好ましくは、第２の領域６６の第２の軸（即ち、第２の領域６６の幅）は略０．０１インチ乃至略２．０インチであり、より好ましくは略０．１２５インチ乃至略１．０インチである。第１図の好適な実施例では、第１の領域６４及び第２の領域６６は実質的に線状であり、ＳＥＬＦウェッブ５２の長手方向軸に対して実質的に平行な方向に連続して延出している。第１の領域６４は弾性率Ｅ１と断面積Ａ１とを有している。第２の領域６６は弾性率Ｅ２と断面積Ａ２とを有している。
第１図に図示されている如く、ＳＥＬＦウェッブ５２の一部はＳＥＬＦウェッブ５２が軸に沿った方向抵抗力を発揮するよう「形成」されており、図に示された実施例の場合には、長手方向中心線１に対して実質的に平行な方向において適用された軸方向伸びにさらされている時に、ＳＥＬＦウェッブ５２の長手方向中心線１に対して実質的に平行である。ここに使用されている時、用語「形成された（formed）」は、ＳＥＬＦウェッブ５２が外部から適用されるいかなる伸びまたは力にもさらされていない時にＳＥＬＦウェッブ５２が所望の構造または形状寸法を実質的に保持するような所望の構成または形状寸法の創出を意味している。
ＳＥＬＦウェッブ５２の第１の領域６４は、好ましくは第２の領域６６から視覚的に区別することが出来ることが好ましい。ここに使用されている時、用語「視覚的に区別することが出来る（visually distinct）」は、ＳＥＬＦウェッブ５２が通常の使用にさらされている時に通常の裸眼で容易に識別することが出来る材料でＳＥＬＦウェッブ５２が形成されていることを意味する。好ましくは、第１の領域６４は、引っ張りが負荷されていない状態に材料がある間に所定の軸に対し平行に測定された時に、第２の領域６６の「表面通路長さ（surface-pathlength）」よりも短い「表面通路長さ」を有している。ここに使用されている時、用語「表面通路長さ」は、軸に対して平行な方向において問題の領域の地形上の表面に沿った測定を意味している。
第１図及び第２図に示されている如きＳＥＬＦウェッブ５２の好適な実施例においては、第１の領域６４は実質的に平坦である。即ち、第１の領域６４中の材料はＳＥＬＦウェッブ５２により行われる構成工程の前及び後で実質的に同じ状況にある。第２の領域６６は複数の立ち上げられたリブ状要素７４を備えている。ここで使用されている時、用語「リブ状要素（rib-like element）」は、浮き上がりや凹所や、主軸及び副軸を有しているこれらの組み合わせを意味している。リブ状要素７４は、ＳＥＬＦウェッブ５２の横方向軸に対して実質的に平行な第１のまたは主軸７６と、ＳＥＬＦウェッブ５２の長手方向軸に対して実質的に平行な第２のまたは副軸７７と、を有している。リブ状要素７４の第１の軸７６は、第２の軸７７に対して、少なくとも等しい長さを有しており、好ましくは長い長さを有している。好ましくは、第２の軸７７に対する第１の軸７６の長さの比率は少なくとも略１：１か、またはこれよりも大きく、より好ましくは少なくとも略２：１か、またはこれよりも大きい。リブ状要素７４の主軸７６は、好ましくは適用された伸びの軸に対して実質的に直交するよう配向されている。リブ状要素７４の主軸及び副軸の夫々は直線状や曲線状や、直線状と曲線状の組み合わせであることが出来る。ここで使用されている時、用語「実質的に直交する（substantially perpendicular）」は、２つの軸または２つの軸の延長により形成された張り角（subtended angle）が４５°よりも大きくなるような２つの軸の間の配向（orientation）を意味する。曲線要素の場合には、曲線要素の平均を表す直線軸を使用することがより便利である。
リブ状要素７４は、第２の領域６６が第１の領域６４の「分子レベルの変形（molecular-level deformation）」により出現させられるものよりも遥かに少ない抵抗力を、適用された伸びに対して生じさせる結果となる実質的な「形状寸法の変形（geometric deformation）」になることを許容する。ここで使用されている時、用語「分子レベルの変形（molecular-level deformation）」は、分子レベルに生じる変形であって通常の裸眼には見分けられない変形を意味している。即ち、人が分子レベルの変形、即ちＳＥＬＦウェッブ５２の伸び、の効果を見分けることが出来たとしても、人はそれを生じさせるかまたはそれが生じることを許容するような変形を見分けることは出来ない。これは、用語「形状寸法の変形（geometric deformation）」に対応する。ここで使用される時、用語「形状寸法の変形（geometric deformation）」は、ＳＥＬＦウェッブ５２またはＳＥＬＦウェッブ５２を具体化している物品が適用された伸びにさらされている時に、通常の裸眼により一般的には見分けることが出来るＳＥＬＦウェッブ５２の変形を意味している。形状寸法の変形の形式は、曲げ（bending）や展開（unfolding）や回転（rotating）を含むが、これらに限定されない。
第２の領域６６中のリブ状要素７４は、形成されていない領域、本質的には凹まされているか、または浮き上がらされているか、または単に空間領域として形成されているか、により相互に分離されいる。好ましくは、リブ状要素７４は、相互に接近し、そしてリブ状要素７４の主軸７６に対して直交するよう測定された時に０．１０インチよりも小さい形成されていない領域により分離されており、より好ましくは、リブ状要素７４は相互間に形成されていない領域を有しておらず隣接している。
第１の領域６４と第２の領域６６の夫々は、「投影された通路長さ（projected pathlength）」を有している。ここで使用されている時には、用語「投影された通路長さ（projected pathlength）」は、平行光が投射された領域の影の長さを意味している。第１の領域６４の「投影された通路長さ（projected pathlength）」と第２の領域６６の「投影された通路長さ（projected pathlength）」とは相互に等しい。
第１の領域６４は、ＳＥＬＦウェッブ５２の長手方向軸に対して平行な方向において地理学的（topograhically）に測定された時に第２の領域６６の表面通路長さＬ２よりも短い表面通路長さＬ１を有している。好ましくは、第２の領域６６の表面通路は第１の領域６４の表面通路よりも少なくともも略１５％は大きく、より好ましくは第１の領域６４の表面通路よりも少なくともも略３０％は大きく、そして最も好ましくは第１の領域６４の表面通路よりも少なくともも略７０％は大きい。
ＳＥＬＦウェッブ５２の為には、第１図において矢印８０で指摘されている、適用された軸方向伸びＤの方向は、リブ状要素７４の第１の軸７６に対して実質的に直交している。リブ状要素７４は、ＳＥＬＦウェッブ５２における伸びを許容する為に、真っ直ぐにすることが出来るか、または第１の軸７６に対して実質的に直交している方向に寸法形状を変形することが出来る。
第５図においては、この発明の熱成形された（formed）高分子ＳＥＬＦウェッブ５２の抵抗力−伸び曲線７２０が、同様の材料構造であるが、第１及び第２の領域６６を含んでいない、基礎ウェッブ材料の曲線７１０とともに、示されている。特に、標本は、オハイオ州シンシナチ（Cincinnati）のクロペイ株式会社（Clopay Corporation）から入手可能な指定標本１４０１の名において流通している、略０．００１インチの厚さの、直線状の低密度ポリエチレンから実質的になる高分子ウェッブ材料である。
ここで力−伸び曲線７２０を見ると、最初は、参照符号７２０ａにより指摘された実質的に直線状の低い力対伸びの段階Ｉがあり、力の壁に遭遇したことを示している参照符号７２０ｂにより指摘された変遷領域があり、そして実質的に高い力対伸びの行動を表示している参照符号７２０ｃにより指摘された段階IIがある。
第５図に示されている如く、引っ張り可能な網状構造を有しているＳＥＬＦウェッブ５２は、ＳＥＬＦウェッブ５２の長手方向軸に対して平行な方向に適用された伸びにさらされた時には、２つの段階で異なった伸び行動を表す。適用された伸びに対しＳＥＬＦウェッブ５２により発揮される抵抗力は、曲線７２０の段階IIの領域（７２０ｃ）に対して段階Ｉの領域（７２０ａ）の方が遥かに少ない。さらに、曲線７２０の段階Ｉの領域（７２０ａ）において示されている如く、適用された伸びに対しＳＥＬＦウェッブ５２により発揮される抵抗力は、段階Ｉの伸びの限度内において曲線７１０で示されている如き基礎ウェッブにより発揮される抵抗力よりも遥かに小さい。適用された伸びがＳＥＬＦウェッブ５２にさらに負荷されて段階II（７２０ｃ）に入ると、ＳＥＬＦウェッブ５２により発揮される抵抗力が増大し、そして基礎ウェッブにより発揮される抵抗力に接近する。ＳＥＬＦウェッブ５２の段階Ｉの領域（７２０ａ）の間の適用された伸びに対する抵抗力は、ＳＥＬＦウェッブ５２の第１の領域６４の分子レベル変形及びＳＥＬＦウェッブ５２の第２の領域６６の形状寸法の変形によりもたらされる。このことは、第５図の曲線７１０中に描かれているウェッブ全体の分子レベルの変形から得られる、基礎ウェッブにより創出された、適用された伸びに対する抵抗力と対照をなしている。ＳＥＬＦウェッブの材料は、第１及び第２の領域６６を備えるウェッブ表面の比率を調整することにより、段階Ｉにおいて基礎ウェッブ材料の抵抗力よりも小さな抵抗力で実質的に降伏するよう設計することが出来る。段階Ｉの力−伸び行動は、第１の領域６４の幅や断面積や間隔や、そして基礎ウェッブの構成を調整することにより制御することが出来る。
第３図に示されている如く、ＳＥＬＦウェッブ５２に第１図において矢印８０で指摘された如き適用された軸方向伸びＤにさらされた時には、短い方の表面通路長さＬ１を有する第１の領域６４が、段階Ｉに対応している適用された伸びに対して、分子レベルの変形の結果として、最初の抵抗力Ｐ１の殆どを提供する。段階Ｉの間に、第２の領域６６中のリブ状要素７４は、形状寸法の変形または曲げを生じさせないことを体験し、そして適用された伸びに対する最小の抵抗を提供する。段階Ｉと段階IIとの間の変遷領域（７２０ｂ）においては、リブ状要素７４は適用された伸びに対して直線状に配置される。即ち、第２の領域６６は形状寸法の変形から分子レベルの変形への変更を生じさせる。段階IIにおいては、第４図において示す如く、第２の領域６６中のリブ状要素７４は適用された伸びの軸に対して実質的に直線状になり（即ち、第２の領域６６はその形状寸法の変形の限界に到達し）、分子レベルの変形を介したさらなる伸びに抵抗し始める。第２の領域６６はこの時、さらに適用された伸びに対し、分子レベルの変形の結果として、第２の抵抗力Ｐ２に寄与する。第１の領域６４の分子レベルの変形及び第２の領域６６の分子レベルの変形の両者により段階IIにおいて示されている伸びに対する抵抗力は、第１の領域６４の分子レベルの変形及び第２の領域６６の形状寸法の変形により創出された段階Ｉにおいて示されている抵抗力よりも大きな総合抵抗力ＰＴを創出する。従って、段階IIにおける力−伸び曲線の傾斜は段階Ｉにおける力−伸び曲線の傾斜よりも遥かに大きくなる。
抵抗力Ｐ１は、（Ｌ１＋Ｄ）がＬ２よりも小さい時に、抵抗力Ｐ２よりも遥かに大きい。（Ｌ１＋Ｄ）がＬ２よりも小さい間には、第１の領域６４が最初の抵抗力Ｐ１を創出し、この抵抗力Ｐ１は以下の方程式を略満たす：

（Ｌ１＋Ｄ）がＬ２よりも大きな時には、第１及び第２の領域６６は，適用された伸びＤに対して、合併された合計抵抗力ＰＴを創出し、この合計抵抗力ＰＴは以下の方程式を略満たす：

段階Ｉの間において発生している最大伸びは、ＳＥＬＦウェッブ５２の「可能な伸び（available stretch）」として引用される。可能な伸びは、第２の領域６６が形状寸法の変形を発揮している距離に対応している。可能な伸びは、第５図に示されている如き力−伸び曲線７２０を観察することにより効果的に決定することが出来る。段階Ｉと段階IIとの間の変遷領域において屈曲が存在している概略的な地点は、「可能な伸び（available stretch）」の伸び％地点である。可能な伸びの範囲は、略１０％から１００％またはそれ以上に変化することが出来、第２の領域６６中の表面通路長さＬ２が第１の領域６４中の表面通路長さＬ１を越えている程度及び基礎フィルムの構成により大きく制御することが出来る。用語「可能な伸び（available stretch）」は、ＳＥＬＦウェッブ５２に負荷することが出来る伸びに限界を付与しようと意図するものではなく、可能な伸びを越える伸びが望まれるような適用も存在する。
第６図中の曲線７３０及び７３５は、第５図中の曲線７２０を発生させる為に使用されたＳＥＬＦウェッブ５２と略同じである、この発明のＳＥＬＦウェッブ５２により発生された弾性ヒステリシス行動を示している。ＳＥＬＦウェッブ５２は６０％の伸びで弾性ヒステリシス行動を試験された。曲線７３０は第１の周期の間の伸びの適用と解放とに対する応答を示しており、曲線７３５は第２の周期の間の伸びの適用と解放とに対する応答を示している。第１の周期７３１の間の力の解放と％表示または伸びが第６図に描かれている。大きな回復可能な伸び、即ち使用可能な弾性、が、多くの周期において比較的低い力で発揮されること、即ちＳＥＬＦウェッブ５２がかなりの程度まで容易に伸縮することが出来ること、に注目すべきである。
ＳＥＬＦウェッブ５２は、リブ状要素７４の第１の軸に対して実質的に直交する方向において、適用された軸方向伸びの方向に容易に反転自在に伸びることが出来るが、ＳＥＬＦウェッブ５２は、リブ状要素７４の第１の軸に対して実質的に平行な方向において、容易に伸びない。リブ状要素７４の形態は、リブ状要素７４がリブ状要素７４の第１の軸または主軸に対して実質的に直交する方向に形状寸法を変形することを許容し、その間に実質的な高分子レベルの変形がリブ状要素７４の第１の軸に対して実質的に平行な方向に伸びることを要求している。
ＳＥＬＦウェッブ５２を伸ばす為に要求されている適用される力の量は、ＳＥＬＦウェッブ５２を形成しているウェッブ材料の構成及び断面積と第１の領域６４の幅と間隔とに従属しており、第１の領域６４の幅を狭くし間隔を広くすると所望の伸びを達成する為に要求される適用される伸び力はより低くなる。第１の領域６４の第１の軸（即ち、長さ）は、好ましくは第１の領域６４の第２の軸（即ち、幅）よりも大きく、幅に対する長さの好ましい比率は略５：１からそれ以上である。
リブ状要素７４の深さと周期もまた、ＳＥＬＦウェッブ５２の可能な伸び及びＳＥＬＦウェッブ５２を備えている雌部材１２の効率を制御する為に変化させることが可能である。可能な伸び及び対応する雄部材１４のフックと係合する為の係合層５４の能力は、リブ状要素７４の所定の周期の為に、リブ状要素７４上に分け与えられている高さＨまたは変形の程度が増大されれば（高さＨは第８図に示されている）、増大される。同じ結果は、所定の高さＨまたは変形の程度の為に、リブ状要素７４の周期が増大されれば、達成される。しかしながら、リブ状要素７４の周期は、雄部材のフック２８が雌部材のフィラメント８０と係合出来なくなる程度に大きくてはならない。この発明の１つの好適な実施例では、リブ状要素７４の高さＨは略０．０１０インチと略０．０５０インチ（略０．２５ｍｍと略１．２７ｍｍ）との間であり、より好ましくは略０．０２０インチと略０．０３５インチ（略０．５１ｍｍと略０．８９ｍｍ）との間である。
ＳＥＬＦウェッブ５２はまた、ウェッブの横方向中心線に対して平行な方向にのみ伸びる必要はない。例えば、ＳＥＬＦウェッブ５２の長手方向軸及び横方向軸は、ウェッブの長手方向中心軸及び横方向軸に対してある角度に配置することが出来る。さらに、ＳＥＬＦウェッブ５２の複数の部分が、異なった角度の伸びを有することが出来る。
ＳＥＬＦウェッブ５２は、線状低密度ポリエチレン（LLDPE）や低密度ポリエチレン（LDPE）や超低密度ポリエチレン（ULDPE）や高密度ポリエチレン（HDPE）やポリプロピレンやポリプロピレンと上述した材料や上述した以外の材料との混合物を含んでいるポリエチレンの如きポリオレフィンを備えていることが出来る。また使用することが出来る他の適切な高分子材料の例は、ポリエステルやポリウレタンや堆肥化または生物劣化高分子や熱収縮高分子や熱可塑性エラストマーやメタロセン触媒を基礎とした高分子（例えば、ダウケミカル会社（Dow Chemical Company）から入手可能なＩＮＳＩＴＥ（商標名）やエクソン（Exxon）から入手可能なＥＸＸＡＣＴ（商標名）やトレッガー有限責任会社（Tredegar，Inc．）から入手可能なトレッガーＣＰＣ２ポリエチレン）、そして通気可能な高分子を含んでいるが、これらに限定されるものではない。ウェッブ材料はまた、人工織物や人工編み物や編まれていない物や開口されたフィルムや肉眼視可能に膨脹された３次元に形成されたフィルムや吸収剤や繊維状吸収材料や発泡体充填配合物や積層物及び／またはこれらの組み合わせ、を備えることが出来る。編まれていない物は以下の複数の方法：スパンレース（spunlace）やスパンボンド（spunbond）やメルトブロー（meltblow）やすかれ（carded）た及び／又は空気介在（air-through）または圧延接着された（calender bonded）、または当該技術分野において公知の他のいかなる方法；によっても形式出来る。
雌部材が、実質的に平坦な高分子フィルムの単一層を備えているＳＥＬＦウェッブ５２を含んでいる基礎ウェッブ５３を備えていることが出来る時には、この発明は他の材料、２つまたはそれ以上の材料の積層物または充填材料を備えたＳＥＬＦウェッブと同様に実行することが出来る。（ここにおいて使用される時には、用語「充填材料（filler material）」はＳＥＬＦウェッブ５２に嵩または厚さを創出する材料を意味している。）ＳＥＬＦウェッブ５２を作ることが出来る材料の例には、２次元開口フィルムや肉眼視可能に膨脹された３次元開口成形フィルムが含まれる。肉眼視可能に膨脹された３次元開口成形フィルムの例は、１９７５年１２月３０日にソンプソン（Thompson）に対して発行された米国特許第３，９２９，１３５号明細書；１９８２年４月１３日にマレネその他（Mullane，et al．）に対して発行された米国特許第４，３２４，２４６号明細書；１９８２年４月３日にラデルその他（Radel，et al．）に対して発行された米国特許第４，３４２，３１４号明細書；１９８４年７月３１日にアーその他（Ahr，et al．）に対して発行された米国特許第４，４６３，０４５号明細書；そして、１９９１年４月９日にベアード（Baird）に対して発行された米国特許第５，００６，３９４号明細書に記載されている。これらの特許の夫々は引用されることによりここに組み入れられている。他の適切な材料の例は、高分子フィルムや編まれていない物や高分子フィルムと編まれていない物の両者の混合構造または積層物を含む。高分子フィルムと編まれていない物の両者の積層物はまた、吸収体や繊維状吸収体材料や発泡体や加熱接着空気介在繊維構造（thermally bonded air-laid fibrous structures）や他の混合物を備えることが出来る。ＳＥＬＦウェッブ５２に対する層または充填材料の追加は強度及び回復の効果の為にウェッブを強化するよう作用するとともに、立ち上がった位置にリブ状要素７４を維持する助けともなる。これは、ひるがえって、対応する雄締結部材のフックにより良く係合する為の位置に雌部材１２の係合層５４を保つことを助ける。
基礎ウェッブ５３と係合層５４とは、当業者に知られている多数の結合方法の幾つかによって、相互に結合することが出来、または他の層または材料と結合することが出来る。このような結合方法は、加熱接着；接着剤による接着（スプレイ式接着剤やホットメルト式接着剤やラテックスを基礎とした接着剤やこれらと同様のものを含むが、これらに限定されのではない、多数の接着剤の幾つかを使用する）；超音波接着；そして押し出し積層（extrusion laminating）を含んでいるが、これらに限定されるものではなく、これにより高分子フィルムは編まれていない基盤の上に直接流しこまれて部分的な溶融状態で静止されている間に編まれていない基盤の一方の側に結合されるか、またはメルトブロウ（meltblow）された編まれていない物が高分子ウェッブに直接付着される。さらに、係合層は基礎ウェッブに対して連続的にまたは間欠的に結合出来る。（ここにおいて使用された時、用語「結合された（joined）」は、ある要素が他の要素に直接固定された形態や、ある要素が他の要素に、ある要素を中間部材（複数でも単数でも良い）に固定し、さらに中間部材を他の要素に固定することにより、間接的に固定される形態も含んでいる）
ＳＥＬＦウェッブ５２の材料の形成の為の方法は、合わせ板またはロール（mating plates or rolls）や熱成形や高液圧成形や鋳造による浮き彫りを含んでいる、これらの方法に限定されるものではない。一般的には、フィラメントまたは編まれていないウェッブを備えている係合層は、ＳＥＬＦウェッブが形成される以前に基礎ウェッブ５３に結合される。しかしながら、この発明は、基礎ウェッブ５３がＳＥＬＦウェッブ中に形成された後に係合層５４が基礎ウェッブ５３に結合されることにより実行されることを理解すべきである。さらに、第１図に示す如く、ＳＥＬＦウェッブ５２の全体部分が成形加工にさらされている一方で、ＳＥＬＦウェッブ５２はまた一部、例えば着地領域部分１２の一部、のみが成形加工されることが出来る。
今度は第７図を見ると、材料をＳＥＬＦウェッブ５２に形成する為の装置が参照符号５５０によって大略的に示されている。装置５５０は１対のローラ５５２，５５４を含んでいる。材料がローラ５５２及び５５４の間を通過する時、溝が形成された領域が材料の加工されない部分を残し、歯付きの領域５５６の間を通過した材料の部分が第２の領域６６におけるリブ状要素７４を創出するよう加工される。
対応する雄部材
ここで使用される時、用語「雄部材」はフック２８の如き係合要素を有した締結装置１０の部分を指摘する為に使用される。この発明の編まれていない雌要素１２とともに使用される雄要素１４は、従来の市場で入手可能なフック材料であることが出来る。雄要素１４は、しかしながら、柔軟で弾性的なフック２８を伴った従来の材料に限定されない。適切な雄部材は、より安く、比較的柔軟で、より破壊され易い（brittle）フックを有することが出来る。さらに係合要素は、「Ｔ字形状」やマッシュルーム形状やその他フックとして当該技術分野で知られているいかなる形状をも有することが出来る。１つの適切な雄部材２４は、ミネソタ州セントポール（St.Paul）のミネソタ鉱業製造株式会社（Minnesota Mining and Manufacturing Company）から入手可能な「スコッチメイト（SCOTCHMATE）」の銘柄のNo.FJ3402と指定され市場から入手可能な材料の如き、編まれた裏打ち部材から突出している多数の形作られた係合要素を備えていることが出来る。好適な雄部材は、１９８９年７月１１日にシー・エル・スクリップス（C.L.Scripps）に対して発行された「改良された締結装置を有している使い捨て可能なおしめ（Disposable Diaper Having An Improved Fastening Device）」と題された米国特許第４，８４６，８１５号の明細書中に記載されている。他の特に好ましい雄部材とこの雄部材を製造する為の方法は、１９９１年１０月２２日にトーマスその他（Thomas et al．）に対し発行された「機械的な締結先端部（Mechanical Fastening Prong）」と題された米国特許第５，０５８，２４７号の明細書；１９９２年５月２６日にトーマスその他（Thomas et al．）に対し発行された「機械的締結装置を製造する為の方法（Process for Producing a Mechanical Fastener）」と題された米国特許第５，１１６，５３６号の明細書；１９９３年１月１９日にトーマスその他（Thomas et al．）に対し発行された「再締結可能な機械的締結システムを製造する方法（Process of Manufacturing A Refastenable Mechanical Fastening System）」と題された米国特許第５，１８０，５３４号の明細書；そして、１９９３年７月２７日にトーマス（Thomas）に対し発行された「再締結可能な締結システムを製造する方法（Process of Manufacturing a Refastenable Fastening System）」と題された米国特許第５，２３０，８５１号の明細書；中に記載された先端部（Prong）である。これらの特許の夫々はこれによってここに引用されたことにより本願の明細書中に取り込まれた。
雄部材１４は幅広い材料から製造出来る。このような適切な材料は、ナイロンやポリエステルやポリプロピレンやこれらのいかなる組み合わせや他の材料を含んでいるが、これらに限定されるものではない。
再締結可能な締結装置の使用の例
この発明の再締結可能な締結装置１０は、使い捨て可能な吸収物品の為の締結装置として特に有用である。用語「使い捨て可能な吸収物品（disposable absorbent article）」は、ここで使用された時、体から排出されたものを吸収し保持する物品を意味する。より詳細には、その用語は、体から排出された種々の排出物を吸収し保持する為に装着者の体の近傍に、または体の上に、置かれる物品を意味している。用語「使い捨て可能な（disposable）」は、このような物品が１回の使用後に捨てられる（即ち、これらは一般的には洗濯されたり再使用されたりすることを意図されていない）ことを意味している。使い捨て可能な吸収物品の例は、おむつや失禁用衣類や衛生ナプキンや包帯やこれらに類似の物を含む。
第９図と第１０図は、この発明の雌部材１２を含んでいる締結システム７２を備えている使い捨て可能なおむつ５０の例を示している。おむつ５０は好ましくは、本体部５１と、２つの腰領域である第１の腰領域５６及び第２の腰領域５８と、を備えている。本体部５１は、液体を通過させない裏シート１６８と、液体を通過させる上部シート１６４及び吸収剤の核１６６を好ましくは含んでいる保持組立体１６０と、を好ましくは備えている。
第９図に示されている如く、おむつ５０の締結システム７２は、この発明の雌部材１２と雄部材１４とを備えている。締結システム７２の雌部材１２と雄部材１４との位置は、おむつ５０の所望の形状により変えることが出来る。さらに、裏シート１６８のいかなる部分や裏シート１６８の全体にこの発明の雌部材１２を、おむつ５０を廃棄形態に締結する為の手段とともに、備えて、おむつ５０に制限のない位置を提供するようにすることが出来る。他の実施例においては、雌部材１２を備えている裏シート１６８を有しているおむつ５０は、裏シート１６８に結合されている１つまたはそれ以上の追加の締結要素を備えていることが出来る。追加の締結要素は、この発明の雌部材１２または当該技術分野において知られているようないかなる他の締結部材も備えることが出来、上記他の締結部材はテープや機械的な結合装置やフックやループ形式の結合装置、その他を含むが、これらに限定されない。
この発明を容易に適用することが出来る公知のおむつの形状の幾つかの例が、１９９２年９月２９日と１９９３年６月２２日にケニース・ビー・ブエルその他（Kenneth B.Buell，et al．）に対し発行された２つとも「予め配置された撓み可能蝶番を有している動的弾性腰特徴を伴った吸収剤物品（Absorbent Article With Dynamic Elastic Waist Feature Having A Predisposed Flexural Hinge）」と題された米国特許第５，１５１，０９２号明細書及び米国特許第５，２２１，２７４号明細書；１９７５年１月１４日にケニース・ビー・ブエル（Kenneth B.Buell）に対し発行された米国特許第３，８６０，００３号明細書；１９９３年９月７日にウェイルソその他（Weil et al．）に対し発行された米国特許第５，２４２，４３６号明細書；そして１９９４年７月１９日にブエルその他（Buell et al）に対し発行された米国特許第５，３３０，４５８号明細書；中に記載されている。これらの特許の夫々は、ここに引用することによりこの明細書中に組み込まれた。しかしながら、この発明の締結装置はいかなる特別なおむつ構造や形態とともに使用することを制限されないことを理解すべきである。
この発明の特別な実施例が図示されているとともに記載されているが、この発明の精神及び範囲から離れない限り、種々の他の変化や変形を行うことができることは当業者にとり明白である。それ故に、添付の請求の範囲においては、この発明の範囲内の全てのこのような変化や変形を覆うことを意図している。

Claims (9)

1. 自身の少なくとも１つの軸に沿って適用された軸方向伸びに対応して弾性状行動を発揮し、実質的に同じ材料構造で形成された第１及び第２の領域を有し伸びが可能な網目状構造を含んでおり、第１の領域は上記適用された軸方向の伸びに対して第１の弾性状抵抗力を創出し、第２の領域はさらに適用される軸方向の伸びに対して第２の抵抗力を創出し、これにより第１の弾性状抵抗力と合わせて第１の弾性状抵抗力よりも大きな総合抵抗力を創出し、第２の領域は複数の立ち上げられたリブ状要素を有している、基礎ウェッブと；
   基礎ウェッブに固定されることにより、対応する雄締結部材のフックともつれることが出来るよう上記リブ状要素により支持される複数のフィラメントと；
   を備えていることを特徴としている、再締結可能な締結装置の為の雌部材。
2. ａ）フックを備えている雄部材と；そして、
   ｂ）自身の少なくとも１つの軸に沿って適用された軸方向伸びに対応して弾性状行動を発揮し、実質的に同じ材料構造で形成された第１及び第２の領域を有し伸びが可能な網目状構造を含んでおり、第１の領域は上記適用された軸方向の伸びに対して第１の弾性状抵抗力を創出し、第２の領域はさらに適用される軸方向の伸びに対して第２の抵抗力を創出し、これにより第１の弾性状抵抗力と合わせて第１の弾性状抵抗力よりも大きな総合抵抗力を創出し、第２の領域は複数の立ち上げられたリブ状要素を有している、基礎ウェッブと、
   基礎ウェッブに固定されることにより、上記雄締結部材のフックともつれることが出来るよう上記リブ状要素により支持される複数のフィラメントと、
   を備えている雌部材と；
   を備えていることを特徴とする再締結可能な締結装置。
3. 請求項１または２の雌部材においては、上記フィラメントが、編まれていないウェッブの成形中に共に予め取り付けられる。
4. 請求項１乃至３のいずれか１項に従った雌部材においては、上記リブ状要素が０．０１０インチと０．０５０インチとの間の高さ、より好ましくは０．０２０インチと０．０３５インチとの間の高さ、を有している。
5. 使い捨て可能な吸収物品であり、上部シートと、上部シートに結合された裏シートと、上部シートと裏シートの間に配置された吸収剤の核と、そして、使い捨て可能な吸収物品を装着者の回りに締結する為の締結システムと、を備えており、ここにいては上記締結システムが請求項１の雌部材または請求項２の再締結可能な締結装置を備えている、ことを特徴とする使い捨て可能な吸収物品。
6. 請求項１乃至５のいずれか１項に従った雌部材においては、上記基礎ウェッブがＳＥＬＦウェッブに成形される以前に上記フィラメントが上記基礎ウェッブに結合されるか、または上記基礎ウェッブがＳＥＬＦウェッブに成形された後に上記フィラメントが上記基礎ウェッブに結合される。
7. 請求項１乃至５のいずれか１項に従った雌部材は、上記基礎ウェッブが上記基礎ウェッブに嵩又は高さを創出する充填材料をさらに備えている。
8. 裏シートと、上部シートと上部シートと裏シートの間の吸収剤の核とを含み裏シートに結合された保持組立体と、を備え、ここにおいては上記裏シートの少なくとも一部が請求項１の雌部材を備えている、ことを特徴とする使い捨て可能な吸収物品。
9. 上記裏シートが、上記雌部材以外に上記裏シートに対して結合された追加の締結部材を備えている、請求項８の使い捨て可能な吸収物品。

Images